映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

評決(1982年)

2021-01-11 | 【ひ】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv7453/

 

 フランク・ギャルビン(ポール・ニューマン)は、かつてはやり手の弁護士だったが、ある事件に巻き込まれて転落、、、今や飲んだくれアル中で、新聞の死亡欄を漁って仕事を探す日々。

 ある日、医療過誤事件の弁護を依頼される。依頼者は示談金をもらえれば良いと、楽勝のはずだったが、事件を調べるうちに、フランクの中で正義感が頭をもたげ、病院側からの示談を蹴って、裁判へと持ち込む。

 しかし病院側の弁護士は、勝つためなら手段を選ばないと悪名高いコンキャノン(ジェームズ・メイソン)で、フランクは、当初有力な証人として証言を依頼していた医師がなぜか長期不在になるなどして戦略が狂い、追い詰められていく。

 万策尽きたかと肩を落とすフランクだが、ある書類の記述に目が留まり、当時、病院の受付係をしていた女性が何かを知っているのではないかと察して、彼女の連絡先を入手しようとするが、、、。


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 年明け最初に見た映画。今年は、また劇場に行く機会が減りそうな予感。スガは一ヶ月で絶対押さえ込むとか寝言をほざいているけれど、今の状況を見て一ヶ月で収まるわけねーだろって、素人でも分かるわけで。パワハラで成り上がっただけの、知性も適性もない名ばかりソーリはさっさと引退してくれ。

 それにしても、見たい映画は数あれど、どうしたもんだか、、、。今の医療体制を思えば出歩く気にはならないが、見たい映画は、やっぱり見たい。まあ、とりあえず、引きこもりの間はDVDでも見るしかないですね。


◆ダメダメ弁護士

 あらすじには書かなかったけれど、フランクの戦略が狂うのは、シャーロット・ランプリング演ずる謎の美女・ローラがスパイだったからです。彼女はホントに品があって美しい、、、。もう、惚れ惚れしてしまう。

 居酒屋で出会ったローラとフランクがあまりにもあっけなく男女の関係になるもんだから、ハレ??となったが、案の定ウラがあったということだ。フランクが無防備すぎるとも言えるが、あの出会い方だったら疑いを持たないのもムリないかもなぁ、、、とも思う。

 しかし、ローラは次第にフランクに本気になってしまい、自分がスパイでいることが苦しくなってくる。コンキャノンから小切手を渡されたときに涙を浮かべていたシャーロット・ランプリングの美しさよ、、、。こっちまで切なくなってくる。

 思い悩んだローラが真実をフランクに打ち明ける前に、フランクの友人がローラの正体を見破り、フランクに教えてしまう。その後、ローラと直接会ったフランクが、ローラをいきなり顔面パンチするのは、気持ちは分かるが、いただけない。まぁ、どっちが酷いことしているかといえば、どっちもどっちなんだが、、、。

~~以下、ネタバレしています。~~

 結局、フランクは自力で病院の受付係をしていた女性を探し出し、重大な証言を得て、法廷で彼女に証言させたことで勝利を得る。ヨレヨレ弁護士だったフランクが、久しぶりにバリバリ弁護士になった瞬間だろう。

 映画としては、良かったね、、、だけれど、見ていてかなりツッコミ所が満載で、フランクが勝ってもカタルシスはあまり感じられなかった。

 そもそも、彼は相手の示談話を、依頼人の意向を確かめもせずに蹴って、勝手に裁判に持ち込んでいる。これは、かなりダメなんじゃないの? 案の定、依頼人の怒りを買って殴られそうにさえなる。見ていて全然フランクに肩入れする気になれない。そらそーだろ、としか思えない。

 さらに、当時の受付係の女性の証言だが、それを裏付ける証拠が、書類の原本ではなくコピーだったため、相手のコンキャノン弁護士のゴリ押し異議申立てが認められて証拠採用しないと裁判長が判断している。しかし、あまりにもあからさまな病院側の過失を証明する彼女の証言内容だったため、結果的に、陪審員が裁判長の判断を無視した形で、病院の過失を認める結論を下したことになる。これも、法的にどーなの??って話。……まあ、この裁判長も、あり得ないくらいヘンなんだが。

 フィクションだからそんなことどーでも良いって話じゃないでしょ、ここは。陪審員制度の問題点なんだろうけど、あの裁判長といい、フランク自身の仕事ぶりといい、ちょっとなぁ、、、という感じ。

 もっと言うと、美しいシャーロット・ランプリング演ずるローラの存在意義が非常に薄いことも難点。ほとんどいなくても成立する話。フランクの動きなど、コンキャノンの事務所くらいのレベルなら、あんな安っぽいスパイを送り込まなくても十分探りを入れられるだろう。フランクは脇が甘いし。ローラとのエピソードは、何のためにこの話に盛り込んだのか、不思議なくらい本筋に絡んでいないどーでもよい話になっている。むしろ、あんな色恋要素を入れない方が、もっとピリッとした話になったんじゃないのか。


◆ポール・ニューマンとか、その他もろもろ。

 ポール・ニューマンって、私にとって今までかなり存在感の希薄な俳優だったんだけど、本作を見て見方がガラリと変わったわ~。

 何しろカッコイイ。いや、今までもカッコイイとは認識していたが、そんなに“ステキ~!”って感じではなかった。彼が『ダーティ・ハリー』の主役のオファーを蹴って、イーストウッドにお鉢が回ってきたというエピソードは有名だが、あのハリー・キャラハンとポール・ニューマンってゼンゼン合わないやん!とずーーっと思ってきたけれど、今回のフランクを演ずる彼を見て、ポール・ニューマンのハリー・キャラハンも見たかった、と思ってしまったほど。

 終盤、裁判で勝って注目を浴びている彼よりも、アル中でどうしようもないフランクの方がステキだな~と思ってしまった。何か、人生に敗れてトボトボと歩いている背中とか、哀愁漂っていてセクシーだった。若い頃のポール・ニューマンより、この頃の方が渋くて魅力があるわ~。

 また、敵であるコンキャノンを演ずるジェームズ・メイソンのふてぶてしさが素晴らしい。悪役を魅力的に演じられる役者って、やっぱり素晴らしいと思うわ。ちょっと形勢不利になると、微妙に焦りを見せるけれど、なんとか自分に有利な方向に持っていく強引さとか、実に巧いなぁ、と。

 しかし、それを上回る憎々しさを見せていたのが裁判長を演じたミロ・オーシャ。もう、あまりにも偏向判事で、あり得んだろ!!って感じだった。あんな裁判長、アメリカには居るのかね? ……というか、日本でも居るのかしらん? あんな裁判長に裁かれるの、イヤなんですけど、、、。というか、ミロ・オーシャが演じていたから、余計にあり得なさが強調されていたような。ミロ・オーシャといえば、ゼッフィレッリの『ロミオとジュリエット』の神父役が印象的だが、本作でも存在感抜群であった。

 あと、ラストシーンが意味不明、という感想をネットでも見たが、あれは大人の恋愛話の終わり方としては余韻があって良かったと思う。ローラの存在意義が薄いと書いたけれど、ローラの存在があったからこそ、あのラストシーンが成立するわけで。だからこそ、というか、あのラストシーンを活かすためにも、ローラがスパイであることを、ローラ自身の口からフランクに告げさせるべきだったと思うのよね。んで、終盤、ローラに重要な役割を担わせる展開にした方がロマンスと並立させることが出来て良かったんじゃないかなぁ。あまりにもシャーロット・ランプリングの使い方がもったいなさ過ぎる。

 監督は、シドニー・ルメット。本作では、陪審員たちがなぜ裁判長の指示を無視した結論を出したのかが謎なんだけど、デビュー作『十二人の怒れる男』のように、陪審の評議もちょっと見たかったかも、、、。

 ネットを見ていたら、ポール・ニューマンとイーストウッドのツーショット画像を発見したので、貼っておきます(画像はお借りしました)。

 

 

 

 

 

 

あの後、フランクとローラは、、、
 

 


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コメント (4)
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