マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ベガーズオペラー大阪公演ー

2008-02-28 11:00:55 | 舞台
ーベガーズオペラー
■原作ジョン・ゲイ■音楽イローナ・セカッチ■脚色・演出ジョン・ケアード■翻訳吉田美枝■訳詞松田直行■出演=内野聖陽 / 高嶋政宏 / 村井国夫 / 橋本さとし / 近藤洋介 / 島田歌穂 / 笹本玲奈 / 森公美子 ほか

【解説】
 ジョン・ゲイが「ベガーズ・オペラ」を書いたのは、1727年。当時ロンドンの演劇界はイタリア風オペラが主流で、ギリシャ神話の物語をベースに した、ロマンティックで現実味のない筋が大半でした。普通の観客の日常生活とは遠く離 れていたのです。まして国民の大半を占める貧困な人々の生活とは無関係でした。
 「ベガーズ・オペラ」を書く際のゲイの着想は、まさに天才のひらめきでした。彼は、 一般の人々のために、一般の人々についてのオペラを書くと決めたのです。社会のどんな 階層の人でも理解でき、夢中になれるオペラです。そして観客を驚かせた彼の工夫は、そ のオペラを若い乞食が書き、エリート作品しか上演されないドルリー・レーン劇場で一回 だけ上演する設定にしたことでした(私のバージョンでは、その乞食をトムと呼んでいま す)。しかし、最も大きな驚きは、作品の中身でした。ゲイは、マクヒースという犯罪人を 主人公にし、ヒロインは二人の娘、ポリー・ピーチャムとルーシー・ロキットとしたので す。マクヒースは、追いはぎではあっても、ロマンティックな人物で、ポリーとルーシー は、両方ともどうしようもなくマクヒースを愛しているライバル同士です。物語の舞台も やはり当時の観客には予想外の場所で、盗人の巣窟、監獄、娼家、居酒屋まで出てきます。 「ベガーズ・オペラ」は何もかも異例な作品でした。音楽も例外ではありません。ゲイは、 オペラ風の曲を新しく作曲させるのではなく、だれもが知っている曲に歌詞をつけたので す。その結果、「ベガーズ・オペラ」の音楽は、だれでも親しめる音楽となりました。いま、 「ベガーズ・オペラ」は世界最初のミュージカルと言われています。(後略) 演出家・ジョン・ケアード(HPより)

【あらすじ】
ある時、若い詩人のベガー(=乞食)が「オペラ」を書いた。
そして老役者の好意で一回だけ本物の劇場で上演できることになった。
これが「ベガーズ・オペラ」の発端です。

その主人公は、男も女もうっとりするほどすてきで、勇敢な男。
ただし困ったことに、その男の仕事は、街道で馬車を待ち伏せて襲う追いはぎ。
もう一つ困ったことに、この男、女の魅力とギャンブルの面白さには絶対勝てない。

彼を取り巻くのは――
追いはぎたち、すり、盗人、盗品買い取り屋とその女房と娘のポリー、若くきれいな娼婦たち、若くもきれいでもない娼婦たち、監獄の看守長、その娘ルーシー。それぞれが巻き込まれる大騒ぎ。

あなただったらどうします?
一人娘が愛した男が追いはぎだったら?
愛した追いはぎの命を、あなたの両親が40ポンドの密告料が欲しくて狙っていたら?
ポリーと結婚したのに、ルーシーのお腹も大きくなっていたら?
愛する人が入れられた牢屋の鍵が手近にあったら?
愛する人の妻と称する若い女がやってきて、手近にネコイラズがあったら?
せっかく捕らえた追いはぎを、娘が逃がしてしまったら?
命からがら逃げたのに、またまた牢屋へ逆戻りとなったら?(後略)(HPより)

【感想】
幸運なことに、今回の大阪公演に、初日(2月6日)と千秋楽(2月26日)に行くことができました。
しかも、両日とも、とてもいい席でした。
席を確保してくれたA子さんに感謝です。

この作品はまず、一昨年WOWOWのオンエアーで見ました。
なにげなく録画していたのですが、私の目は内野聖陽さんの演じるセクシーなマクヒールにくぎ付けになりました。
「なんじゃ、こりゃー!!」って感じでした。

 マクヒース(内野聖陽)

この作品の公演が大阪であるとわかったとき、とてもうれしかったです。

この作品は、乞食たちがたった1回の公演のためにオペラを演じるという2重構造になっています。

それで、乞食たちも演じながら観客になったり、観客を相づちを求めたり、舞台に上げたりと、客席と近いのも特徴です。
劇中劇の合間で、乞食たちが素に戻ると、役とは違う性格が表れるのも面白いところです。
舞台の上に、客席を作ってあることでも、演出の意図が分かるようになっています。

この劇中劇のエンディングは悲劇ですが、劇場を世話した老役者の意向により、ハッピーエンドになってしまいます。
作者のトム(橋本さとし)はもちろん、すごく不満ですが、「♪最後は悲劇の人生なら~♪」とみんなに諭され、楽しい踊りで大団円を迎えるという趣向です。

トム(橋本さとし)

渡る世間も金次第、神も仏もない世界を登場人物たちは渡って行きます。
バカバカしいお色気話の間に秘められたエピソードの中に、世の中の矛盾を問い、生きる意味を問うています。
それは、現代にも通じていて、観客の思いも巻き込んで行きます。
生きるエネルギーに満ちている、とても楽しいステージです。

3月5日~30日まで東京・日生劇場。

大阪で再演があれば、また見に行きたいです。

さらば、ベルリン

2008-02-24 14:09:36 | 映画ーDVD
ーさらば、ベルリンーTHE GOOD GERMAN
2006年 アメリカ スティーヴン・ソダーバーグ監督 ジョージ・クルーニー(ジェイク・ゲイスメール)ケイト・ブランシェット(レーナ・ブラント)トビー・マグワイア(タリー)ボー・ブリッジス(ミュラー大佐)トニー・カラン(ダニー)リーランド・オーサー(バーニー)ジャック・トンプソン(ブレイマー下院議員)ロビン・ワイガート(ハンネローレ)ラヴィル・イシアノフ(シコルスキー)クリスチャン・オリヴァー

【解説】
ジョージ・クルーニーとスティーヴン・ソダーバーグ監督のコンビが送る、第二次世界大戦後のベルリンを舞台にしたサスペンス。戦後の闇に潜む謎を追うアメリカ人従軍記者にジョージ・クルーニー。混乱のベルリンを生き延びた元恋人をケイト・ブランシェットがミステリアスに演じる。1940年代の撮影手法と終戦時の記録映像を用いたソダーバーグこだわりの演出で、フィルムノワールの雰囲気を存分に味わえる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
ポツダム会談の取材のため、ベルリンを訪れたアメリカ人従軍記者のジェイク(ジョージ・クルーニー)。かつて、ベルリンに残してきた恋人のレーナ(ケイト・ブランシェット)に再会するも、彼女はジェイクの運転手タリー伍長(トビー・マグワイア)の恋人となっていた。そんな中、銃殺されたタリー(トビー・マグワイア)の遺体がソ連占領地区で発見され……。(シネマトゥデイ)

【感想】
ケイト・ブランシェット特集みたいになっています。

この作品は「カサブランカ」や「第三の男」などを思い出させる白黒フィルムです。

特にラストなんか、「カサブランカ」そっくりでした。

でも、独自の世界をつくりだしているソダバーグ監督はさすがです。

しかし、わかりにくいストーリーで、私は誰にも感情移入できませんでした。
ソダバーグ作品はいつもそうなんですが。

原題は「THE GOOD GERMAN」ナチスの支配下によきドイツ人はいたのか、という皮肉な重い問いのように思えました。
「さらば、ベルリン」ではこのニュアンスはわからないでしょう。

レーナ(ケイト・ブランシェット)はユダヤ人でありながら、高名な数学者の秘書である夫と戦時下を生き抜いてきた、謎の多い美女です。

戦時中はアメリカ人従軍記者のジェイク(ジョージ・クルーニー)と不倫関係にあり、戦後はアメリカ占領軍の運転手タリー伍長(トビー・マグワイア)の愛人となり、密かに国外脱出の機会を伺っていました。

ポツダム宣言の取材でふたたびベルリンを訪れたジェイクは、レーナと再会、タリーが銃殺された謎を追って行くうちに、アメリカ、ソ連もレーナを追っていることに気がつく。

大国が欲しがっている新型ロケット開発と、ナチスが行っていた秘密工場の戦慄の実情。

ジェイクはレーナを助けるべく、両国を敵に回して奮闘し、真実に近づいて行きます。

そして、レーナが国外に逃れる手はずが整った最後の最後に、レーナの秘密が明かされるのです。

プロペラ機のプロペラが回りだし、レーナと別れたジェイクが立ちすくんでいるところへ浮かび上がる「THE END」のマーク。
ノスタルジーでした。

時はすでに米ソの冷戦時代に突入しようとしていました。

難しい作品でした。

ジョージ・クルーニーのジェイク、びっくりするほど弱い男でした。
タリーに殴られて、ぶっ飛んでいましたもの。
あれは、弱過ぎるだろう!

もうひとついうと、タリーという人物が、トビーのイメージではありませんでした。

娼婦を愛人にする、女に暴力を振るう、ジェイクの身分証を盗む、ソ連領にも自由に出入りして、腕にも覚えのあるやくざな兵隊という役どころです。
あっけないほど早くに死んでしまうので、もう少しワルのイメージのある人を起用すればよかったのになあ。

エリザベス

2008-02-24 14:03:51 | 映画ーTV
ーエリザベスーELIZABETH
1998年 イギリス シェカール・カプール監督
ケイト・ブランシェット(エリザベス一世)ジョセフ・ファインズ(ロバート・ダドリー)ジェフリー・ラッシュ(フランシス・ウォルシンガム卿)クリストファー・エクルストン(ノーフォーク公爵)リチャード・アッテンボロー(ウィリアム・セシル卿)ファニー・アルダン キャシー・バーク エリック・カントナ 
ジェームズ・フレイン ヴァンサン・カッセル ジョン・ギールグッド ダニエル・クレイグ エミリー・モーティマー 

【解説】
カトリックとプロテスタントの争いが激化する、16世紀のイングランド。エリザベスは、腹違いの姉で、彼女をロンドン塔に幽閉したメアリー女王の崩御後、世継ぎとして弱冠25歳の若さでイングランド女王に即位する。エリザベスには愛する恋人ダドリーがいたが、女王の立場は関係の緊迫した隣国との政略結婚を迫る。様々な謀略が渦巻き絶えず命を狙われるエリザベス。そんな苦悩が続く中、カトリックの最高権力・ローマ法王による謀反計画を知ったエリザベスは、対抗権力の粛清を行う……。(allcinema ONLINE)

【感想】
やはり、この作品を見てから、「エリザベス ゴールデンエイジ」をみるのがいい思いました。

それを一番感じたのがヴォルカを踊るエリザベスです。
この作品では、ロバート卿と3回踊るシーンがありました。
1度目は、まだ政争に巻き込まれる前の無垢の頃のエリザベス。
恋に発展しそうな予感の中で踊っています。

2度目は女王になってのパーティーで。
愛し、信頼している家臣であることを認め、恋人として受け入れるための踊り。

3度目は、スペインとフランスの両大国から求婚され、しかも命を狙われている中で、ロバートの心を試すかのような荒々しい態度。

そして、ゴールデンエイジでは、侍女のベスとローリー卿に踊らせ、それを見ているエリザベスの姿がありました。

また、ヴォルシンガムとの関係も、この作品から始まっていました。
ヴォルシンガムの狡猾な手法が、こちらではより鮮明で、エリザベスとの絆の強さも納得できました。

「ゴールデンエイジ」では、エリザベスは終始威厳を保った女王の姿でしたが、こちらは、娘時代の無邪気な表情から一転して、死刑に怯える幽閉されたエリザベス、覚悟が十分な定まらない間に、女王になった単純な喜び、側近たちの意見に翻弄される自信のない顔など、成長して行くエリザベスの様子がよく描かれていました。
ひとつの法案を乗り切ったことをきっかけに自信を得て、その後の暗殺未遂事件を受けて、次々に政敵を粛正して行く姿は、とても厳しいものがありました。

ローマ法王から放たれたテロリスト役で、ダニエル・クレイグが登場するのが面白かったです。
この作品でも、拷問されていました。

ヴァンサン・カッセル、ファニー・アルダンといったフランスの名優が、個性の強い役をしているのも楽しめました。

最後、髪を切って「処女になった」とつぶやき、家臣たちに「国家と結婚した」と言い放つ白塗りの顔は、自分の運命を受け入れた女王の顔に見えました。

ラスト、コーション

2008-02-22 11:48:39 | 映画ー劇場鑑賞
ーラスト、コーションー LUST, CAUTION/色・戒 
2007年 中国/アメリカ アン・リー監督 チャン・アイリン原作 トニー・レオン(イー)タン・ウェイ(ワン・チアチー(マイ夫人))ワン・リーホン(クァン・ユイミン)ジョアン・チェン(イー夫人)トゥオ・ツォンホァ(ウー)チュウ・チーイン(ライ・シュウチン)チン・ガーロウ(ツァオ)クー・ユールン(リャン・ルンション)ガオ・インシュアン(ホァン・レイ)ジョンソン・イェン(オウヤン・リンウェン(マイ氏))

【解説】
日本軍占領下の上海、そして香港を舞台にチャン・アイリンの自伝的短編を『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー監督が映画化したサスペンス・ドラマ。1万人のオーディションで選ばれた、女スパイを演じるタン・ウェイは大胆な性描写にも体当たりで臨み、演じ切る。トニー・レオンの完ぺきな中国語にも注目。総製作費40億円をかけた映像美も見逃せない。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
1940年前後、日本軍占領下の上海。ワン(タン・ウェイ)は女スパイとしてイー(トニー・レオン)のもとへ送られる。しかし、大臣暗殺を企てる抗日青年との間で心が揺れ動くワンは……。(シネマトゥデイ)

【感想】
アン・リー監督の「ブロークバックマウンテン」に続く、究極の禁断の愛の物語。

☆すごく気に入ったので、ほとんどネタバレです。

第二次世界大戦中の、日本軍が占領して支配している香港で、劇団に所属していた学生たちが始めた抗日スパイ活動。
ワン・チアチーは、マイ夫人と偽って、日本政府に組しているイーに近づく。
日本占領軍の犬、イーを抹殺する計画。

イー夫人の麻雀仲間になって、イーの気を引き、仲間とセックスの練習までしてイーを誘惑するが、イーはするりと逃げてしまう。

隠れ家から撤退準備中にツァオが来て、彼らの正体を暴き、怖れた学生たちはツァオを惨殺してしまう。
この事件を重慶政府がもみ消し、学生たちはスパイ活動から抜け出せなくなる。
ワンはその場から逃げ出し、行方をくらました。

その3年後の上海。
ワンは、イギリスにいる父親が再婚し、伯母の家から大学に通っている。
孤独な日々だが、少ないお小遣いの中でも、映画を見に行くのが唯一の楽しみ。

かつての仲間のクァンが、もう一度スパイ活動に復帰するよう、接触してきた。
さらに出世したイーの隙を狙う役割。
その要請に応じるワン。
しかし、今回の指令は自殺薬を持たされるような非情なもの。
今回の指令に比べたら、前回の一件は稚拙な子供騙しのお遊びでしかない。
ワンは、深い闇の世界に足を踏み入れたのだ。

前半のワンは、無邪気で純粋な女学生だったが、スパイごっこをして、結局おぼえたのはタバコとセックス。
いつも受け身で、イーの愛人になるかどうかも、仲間に決めてもらっていた。
殺人を目撃して、自分の置かれた立場がやっとわかるという世間知らずだった。

後半のワンは、死の覚悟を持ったプロのスパイ。
何が彼女をそう導いたのか、想像するしかないが、イーに強姦さながらに犯されても、彼に近づけたことににやりと笑える女になっていた。

そこから、アン・リー監督が「ブロークバックマウンテン」で見せたような、禁断の性愛の、これでもかというような描写が続く。

男も女も探るような目をしながら、ぎりぎりの快楽を模索している。

それが、逢瀬を重ねるうち、情愛が愛に変わっていくのを観客は目の当たりにする。
このへんが、監督の自信に満ちた手法でしょう。

ワンはイーに、歌をプレゼントし、イーは、大きなダイアモンドをプレゼントする。
これはイーの真実の愛の証でしょう。

ワンは、正真正銘の非情な女スパイになったはずなのに、最後の最後で叫んでしまう。「逃げて…」
これもワンの愛の証だったのでしょう。

ワンの叫びーそして、我を忘れて逃げ出すイーのみっともなさ。
ここで、二人の関係が崩れたのですよね。

 ワンとクァン

その一件の前に、ワンがスパイ組織に入った理由かとも思われる、クァンへの思いを吐露するシーンがありました。
いざ決行という時、クァンはワンにキスをします。
「なぜ、3年前にしてくれなかったのか」となじるワン。
このとき、ワンは知ったのでしょう。
「なにもかも、もう遅いんだ。自分は変わってしまったんだ」ということを。

ワンには自害するという選択肢がありました。
イーの情けを信じていたのでしょうか?

イーには、ワンを助けるという選択肢はなかったのでしょうか?
イーもまた、日本と中国の間を非情に生きる一人の男だったのですね。
そして、ワンのために我が身を危険にさらすことはしなかった。
処刑命令にサインをする。

結論は、男の愛より女の愛の方が深いーと言うことでしょうか?
あるいは、どんなに苦渋や辛酸をなめたあとでも、女は一瞬で心を翻せる、ということかなあ?
ワンは自分のすべてをかけて積み重ねてきたことを、あの一瞬で全部失ったんだものね。
敵の男を助けるために…。

しばらく、映画の余韻に浸りたいと思います。



このイーという役は、トニー・レオンしかできないでしょうね。
キャラクターの陰影の深さ、人間の厚み、しかも色男で好色でなければならない。
うーん、彼なら納得!!でした。

新人のタン・ウェイはすごい。
トニーを相手に、あれだけの演技、まあ、恐れ入りました。

アン・リー監督が「ブロークバック~と対をなす映画」と言ったのを新聞で読んでいたからか、途中からブロークバックのイメージと重なって行きました。
先日亡くなったヒース・レジャーの切ない表情が浮かんで、悲しくなりました。

 イー夫人のニュートラルな感じ、よかったです。
夫の浮気をかぎとっても、ちっとも騒がないのね。
これも、ワンとは違う女の生き方でした。

麻雀のときの女たちの会話、麻雀のルールなど、もっと深い意味が分かったら、なおのことスリリングで面白かったことでしょう。

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

2008-02-22 11:23:54 | 映画ー劇場鑑賞
ーマゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋ー MR. MAGORIUM'S WONDER EMPORIUM
2007年 アメリカ ザック・ヘルム監督 ダスティン・ホフマン(エドワード・マゴリアム)ナタリー・ポートマン(モリー・マホーニー)ジェイソン・ベイトマン(ヘンリー・ウェストン)ザック・ミルズ(エリック・アップルバウム)

【解説】
ナタリー・ポートマンとダスティン・ホフマンという豪華共演による、奇想天外なおもちゃ屋を舞台にしたファンタジードラマ。おもちゃ屋の再興を目指す支配人とオーナーの冒険が温かく描かれる。『主人公は僕だった』の脚本を担当し、一躍注目の的となったザック・ヘルムの監督デビュー作。独りでに動き出すおもちゃや絵本から飛び出る動物など、色彩と躍動感あふれるビジュアルも見どころ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
まるで魔法にかけられたように、商品が勝手に動き出すマゴリアムおじさん(ダスティン・ホフマン)のおもちゃ屋。大盛況の折、マゴリアムおじさんは雇われ支配人のモリー(ナタリー・ポートマン)を後継者にすることを宣言。しかしその日を境に、マゴリアムおじさんの引退に不満を感じたおもちゃたちが、いたずらや嫌がらせを始めてしまう。(シネマトゥデイ)

【感想】
なんだか、予告編がすべてのような映画でした。
どこで盛り上がるのかと思っていたら、そのまま終わってしまいました。
眠かったー。

眠ったかもしれないので、自信はないのですが、わからないことだらけです。

1,モリーとマゴリアムおじさんの関係。天才ピアニストといわれたモリーが、なぜ彼の店で支配人をしているの?
2.ベリーニって何者?なんで地下室に住んでいるの?
3.木製キューブの使い方と、役割は?空を飛べるだけ?
4.そもそもマゴリアムおじさんて何者?引退の理由は?
5.ぬいぐるみのモンキーが最初から寂しそうだったけど、結局最後にヘンリーに抱きついて終わり。かわいいキャラなのになんかエピソードはないのかしら?

ネタフリはたくさんあるのに、ひとつも受けてくれないという感じで、すっきりしませんでした。

ダスティン・ホフマンはすごく楽しそうだったけど、ナタリー・ポートマンには迷いがあったんじゃないかなあ。
ポール・マッカートニーの音楽プロモとイメージがかぶって、ポールの時の方がかわいかった。
ヘンリーの存在感が弱い感じがしました。

エリックの帽子のコレクションにはわくわくしました。
ダイアルを回すと変わるお部屋もいいなあ。

結局、私が不思議なおもちゃ屋に入れなかったということでしょうね。
さびしい…。

エリザベス ゴールデンエイジ

2008-02-20 11:40:32 | 映画ー劇場鑑賞
ーエリザベス:ゴールデン・エイジーELIZABETH: THE GOLDEN AGE
2007年 イギリス/フランス シェカール・カプール監督 ケイト・ブランシェット(エリザベス女王1世)ジェフリー・ラッシュ(フランシス・ウォルシンガム)クライヴ・オーウェン(ウォルター・ローリー)リス・エヴァンス(ロバート・レストン)ジョルディ・モリャ(スペイン国王フェリペ2世)アビー・コーニッシュ(ベス・スロックモートン)サマンサ・モートン(スコットランド女王メアリー)トム・ホランダー エディ・レッドメイン アダム・ゴドリー

【解説】
『エリザベス』のシェカール・カプール監督が、再びケイト・ブランシェットを主演に迎え、エリザベス女王の“黄金時代”に焦点当てた歴史大作。当時ヨーロッパの最強国だったスペインとの宗教対立を軸に、君主として生きる女性の苦悩を画面に焼き付ける。前作同様宰相役のジェフリー・ラッシュほか、『インサイド・マン』のクライヴ・オーウェンら実力派俳優が集結。豪華絢爛(けんらん)な衣装に身を包み、心身ともにイギリス女王に成り切ったブランシェットの神々しさに圧倒される。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
1585年、エリザベス1世(ケイト・ブランシェット)はプロテスタントの女王としてイギリスを統治していた。だが、欧州全土をカトリックの国にしようと目論むスペイン国王フェリペ2世(ジョルディ・モリャ)は彼女の失脚を画策する。そんな女王の前に、新世界から戻ったばかりの冒険家ローリー卿(クライヴ・オーウェン)が現れ……。(シネマトゥデイ)

【感想】
「ゴールデンエイジ」というタイトルですが、この映画に描かれているのは、まだひ弱い頃のイギリスです。
この後から、ゴールデンエイジが始まるのです。

最初からすごい威厳で、エリザベスはケイト・ブランシェットそのものと思わせるすごさがありました。

でも、前作ではまずエミリ・ワトソンの起用が決まっていて、彼女のスケジュールのミスで急遽決まった大抜擢だったそうです。
しかも、映画会社がなかなか承諾しないところ、監督自らが説得したとか。
そこまでケイトに惚れ込んでの前作、そして続編、監督の執念も感じます。

スペイン王(ジョルディ・モリャ)の謀略、船乗りローリー卿(クライヴ・オーウェン)への叶わぬ思い、メアリー王女(サマンサ・モートン)との確執、国内ではカソリック教徒がエリザベス暗殺を画策している等々、本当に気苦労の耐えない女王です。
お気の毒でした。

そんな女王を支える側近のウォルシンガム(ジェフリー・ラッシュ)の献身も見逃せません。

エリザベスの命を狙うカソリック教徒のキーマンとなるレストン(リス・エヴァンス)の役割が、イマイチわからなかったのですが、印象に残る役でした。

ただ、メアリーを演じたサマンサ・モートンが、あまりエリザベスと王座を争う女性に見えなかったのが残念でした。
メアリーを監視する役でトム・ホランダーも出演していました。

とにかく、これほど癖のある役者を従えても、ケイト=エリザベスの威光が抑えられることはありませんでした。

しかも、ローリー卿にみせる女心と、侍女ベス(アビー・コーニッシュ)との密通を知ったときの激高、素晴らしかったです。

なんでも手に入る、最高権力の女王なんだから、愛する男をベッドに引き入れるくらいなんでもないことだと思いましたが、欲しいものはキスだけだなんて…。
エリザベスのけなげさに涙が出ました。

そして、最後は二人の間を許し、赤ちゃんにも祝福を与えます。
「母にはなれなくても、私はイングランドの母だ」と言い切るエリザベス。
女王としての存在を全うし、イギリスの礎になった人だったのですね。



エリザベスの豪華な衣装と、さまざまに変わる鬘。
イギリスの王室って地味かと思っていましたが、フランス王室にも負けない豪華さだったのですね。
鬘を着けるシーン、取るシーン、衣装部屋、寝室での姿、いろいろ見せてもらえます。
そして、全裸の後ろ姿…。
セクシーシーンとは違う、何かを物語っている背中でした。

甲冑姿で、戦争の最前線で指揮を鼓舞するエリザベス、かっこよかったです。
「茶々」でも同じようなシーンがあったので思い出してしまいましたが、全然違う。
この差はなんなのでしょう????



こういうところも、見どころでした。

あの空をおぼえてる(試写会)

2008-02-20 11:23:27 | 映画ー劇場鑑賞
ーあの空をおぼえてるー
2008年 日本 冨樫森=監督
竹野内豊 水野美紀 広田亮平 吉田里琴 小池栄子 中嶋朋子 品川祐 小日向文世

【解説】
ジャネット・リー・ケアリー原作の米国の児童文学を映画化した感動作。『天使の卵』など人間ドラマを得意とする冨樫森監督が、突然の不幸に見舞われた一家の再生の道のりを静かに見すえる。『冷静と情熱のあいだ』以来7年ぶりの映画出演となる竹野内豊が、2児の父親役で新境地を開拓し、妻役の水野美紀や息子役の広田亮平らとともに迫真の演技をみせる。平凡な日常に潜む人間の温かさや力強さを生き生きと描いたストーリーに引き込まれる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
地方都市で写真館を営む雅仁(竹野内豊)は妻(水野美紀)と小学生の息子(広田亮平)、幼稚園に通う娘(吉田里琴)と幸せに暮らしていた。だがある日、子どもたちが交通事故に遭い、息子は無事生還するが、娘は亡くなってしまう。雅仁は娘を守れなかったことで自分を責め、生き残った息子は何とかして両親をなぐさめようとする。(シネマトゥデイ)

【感想】
かわいい娘を交通事故で亡くした家族が、再生するお話。

全編、ほとんどが亡くなった娘の思い出に満ちていました。

家族の悲しみはとてもよくわかりますが、新鮮さに欠けているように思いました。
「子供が死ぬ」というは反則技を使っているんだから、もうひとつ工夫が欲しかったと思います。

竹野内豊の父、水野美紀の母に、かわいくて演技力のある子役、広田亮平と吉田里琴の作り出す家族は、本当の家族のように素敵でした。
映像もとてもきれいだったし、父親が写真が専門という設定もあって、写真もすごくきれいでした。

吉田里琴ちゃんは、息子が小学1年生の時に手をつないでいた同じクラスのタカちゃんを思い出しました。
きっと、きれいな娘さんになっていることでしょう。

L change the WorLd

2008-02-19 09:46:51 | 映画ー劇場鑑賞
ーL change the WorLdー
2008年 日本 中田秀夫=監督 松山ケンイチ(L)工藤夕貴(久條希美子)福田麻由子(二階堂真希)南原清隆(駿河秀明)平泉成(松戸浩一)福田響志(BOY)正名僕蔵 金井勇太 佐藤めぐみ(三沢初音)石橋蓮司 藤村俊二(ワタリ)鶴見辰吾(二階堂公彦)高嶋政伸(的場大介)

【解説】
『DEATH NOTE デスノート』シリーズで“キラ”こと夜神月を追いつめた、もう1人の主人公“L”を主役にしたスピンオフムービー。前後編で完結した『DEATH NOTE デスノート』とは違う新たな視点からLの謎に迫り、Lの最期の23日間を追うサイドストーリーが展開する。ハリウッドでの活躍も目覚しい『怪談』の中田秀夫監督がメガホンを取り、自身初となる本格派アクションを織り交ぜたドラマをサスペンスフルに演出。L役の松山ケンイチ、ワタリ役の藤村俊二が続投するほか、特殊メークを施した悪人役の高嶋政伸、Lを助ける男役の南原清隆らが新たな“デスノ”の世界を彩る。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
名前を書かれた人間は必ず死に至る“デスノート”を駆使して犯罪者を粛清、新世界の神になろうとした“キラ”こと夜神月の野望を阻止するため、天才的な頭脳で応戦したL(松山ケンイチ)。しかし、キラ事件の解決には、Lにとって多くの代償が伴った。そんなLの前に、彼自身が解決しなくてはならない難事件が立ちはだかった。(シネマトゥデイ)

【感想】
『DEATH NOTE デスノート』には全く興味がなかったのに、この映画の予告編にはすごく心を動かされていました。

去年、日本アカデミー賞を見に行った時に松山ケンイチファンという女性とお話しさせていただいて、名前がインプットされていました。
そしたら、「スウィーニー・トッド」のジャパンプレミアにゲストとして招待されていて、その後、「ジョニーに影響されて…」という発言も聞き、日本の若手俳優の中ではかなり注目しています。

「L change the WorLd」の公開のために、TVで放送された『DEATH NOTE デスノート』後編を娘と一緒に見ました。彼女は原作も読んでいて、いろいろ教えてもらったので、Lという人物の輪郭はわかっていました。

 DEATH NOTEを持つL

Lと夜神月との死闘は、Lの勝利に終わったが、その代償も大きかった。
Lは自らデスノートに自分の死ぬときを書き、それが23日後に迫っていた。
彼が信頼を寄せるワタリも死んだ。
しかし、彼に導かれるように二人の子供が、Lを頼って転がり込んできたー

私は、とても面白かったです。
「L」は松山ケンイチによって、とても魅力的なキャラクターに仕上がっていました。
この映画は「L」=松山ケンイチがすべてではないでしょうか。
異様な出で立ちのLですが、だからこそ、みんなが忘れている人間らしさが表現できたのだと思いました。

 工藤夕貴と高嶋政伸

もう一人、高嶋政伸が演じた的場という人物も興味深い悪者でした。
彼の悪人メイクもよかったと思いました。

ストーリーとかシチュエーションとか、確かに緻密ではないけど、これでも全然構わなかったです。
南原清隆のFBIもあまり気にならなかった。
むしろ、工藤夕貴の演技の方が不自然に思ったのはなぜかなあ。

総合的に、とても満足できた映画でした。
この魅力的な「L」が、いなくなる存在だとはじめからわかっていたけれど、終わってなおさら惜しい気がします。

この映画のよさをなかなか説明しにくいけど、映画の使命のひとつであるエンターテイメント性を満たしているからだなあと思いました。

アメリカン・ギャングスター

2008-02-17 14:58:19 | 映画ー劇場鑑賞
ーアメリカン・ギャングスターー
2007年 アメリカ リドリー・スコット監督 デンゼル・ワシントン(フランク・ルーカス)ラッセル・クロウ(リッチー・ロバーツ)キウェテル・イジョフォー(ヒューイ・ルーカス)キューバ・グッディング・Jr(ニッキー・バーンズ)ジョシュ・ブローリン(トルーポ刑事)テッド・レヴィン(ルー・トバック地方検事)アーマンド・アサンテ(ドミニク・カッターノ)ジョン・オーティス(ジェイ・リヴェラ)ジョン・ホークス(フレディ・スピアマン)カーラ・グギーノ(ローリー・ロバーツ)RZA(モーゼス・ジョーンズ)ルビー・ディー(ママ・ルーカス)コモン(ターナー・ルーカス)ライマリ・ナダル(エヴァ)ロジャー・グーンヴァー・スミス(ネイト)マルコム・グッドウィン(ジミー・ジー)ユル・ヴァスケス(アルフォンゾ・アブルッゾ)リッチー・コスター(ジョーイ・サダーノ)ワーナー・ミラー(メルヴィン・ルーカス)アルバート・ジョーンズ(テレンス・ルーカス)J・カイル・マンゼイ(デクスター・ルーカス)ティップ・ハリス(スティービー・ルーカス)

【解説】
1970年代のニューヨークを舞台に実在した伝説のギャング、フランク・ルーカスの半生を描く犯罪サスペンス。『グラディエーター』の名匠、リドリー・スコット監督がメガホンを取り、しがない運転手から麻薬王にまで上りつめた男の一代記を骨太に描く。主演はオスカー俳優のデンゼル・ワシントン。彼を追う刑事を同じくオスカー俳優のラッセル・クロウが演じる。型破りなギャングスターの知られざる実像、多くの有名アーティストによるゲスト出演などに注目。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
1970年代の初頭のニューヨークで、ハーレムを牛耳っているギャングのボスの運転手をしていたフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、ボスの亡き後、東南アジアの麻薬を密輸する計画を決行する。時に横暴ともいえる強引なやり方で財力をつけたフランクは、マフィアにも一目置かれる麻薬王として街に君臨する。(シネマトゥデイ)

【感想】
この映画は実話なので、ギャング映画にありがちな銃撃戦や派手なアクションは少なかったです。
でも、こういう歴史の裏話ってなかなか興味深いものがありました。

ハーレムを仕切っていた黒人のギャングのボスが死んだ。
運転手として信頼を得て、彼に影のようにぴったりとくっついていた男フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、ボスの死から多くのことを学んだ。
自分から見れば雲の上の存在であるボスでさえ、イタリア人マフィアに搾取されているに過ぎず、時代の流れによっては、右往左往するはかない存在だということを思い知ったのだ。
彼は、麻薬取引きをベトナム戦争を利用して東南アジアから直に輸入するというシステムを確立させ、莫大な富を得る。
そのやり方は、イタリアンマフィアに習い、ファミリーで固め、秘密が外部に漏れないように周到に守られていた。
しかも彼らは、質素で目立たない日常生活をおくって、警察当局や世間の目も欺いていた。

 フランクと兄弟たち

一方、ブルックリンから川を隔てたニュージャージの刑事リッチーは、女癖はいたって悪く、別れた妻とも息子の親権を巡って裁判中の身の上だが、不正は一切しないという信念の持ち主。
トランクにお金がたくさん積まれた自動車を見つけて、警察に届けたというだけで、仲間の刑事からも、あろうことか相棒からも疎んじられる存在。
このころの警察は、賄賂天国、すごく腐敗していたようです。

☆ネタバレ
その彼が、不正に組みしないという評価から「ブルーマジック」という麻薬のブランドの捜査を任される。
チームが結成され、調査が開始された。

彼の目に止まったのが、派手な毛皮のコートとお揃いの帽子をかぶり、世紀の大試合「アリ対フレージャー」のボクシングの試合会場の特等席に妻と陣取ったアフリカ系黒人の男。
マフィアの大親分の前の席に座り、大親分と親しく談笑する黒人、元ボクシングチャンピオンや人気歌手が挨拶して行く男、フランク・ルーカスの姿だった。

目立たない生活を心がけ、弟にも戒めていた彼が、妻に送られた豪華な毛皮のコートで馬脚を現すとはー、とても皮肉でした。

デンゼルの、切れたら殺人も眉ひとつ動かさない冷徹さでやりとげるけれども、普段は理知的な紳士と、ラッセルの、人前でのスピーチは死ぬほど嫌い、ドンパチやっている方が性に合うというがさつな刑事が、ラストに近いわずかな時間だけど、二人の間にいい関係が生まれ、利害が一致して警察の不正を暴いて行く様子は、胸がすく思いでした。

そう言う意味では、デンゼルとラッセルの演技対決が見物の映画でしょう。
刑務所から出て来たデンゼルの引き締まった顔、かっこよかったです。

だけど、このころのアメリカの警察って腐敗し過ぎー!!
この事件で警官の4分の3が逮捕されたって、ひどすぎます。
警察に正義はなかったのか?

それから、同じ黒人なのに、麻薬中毒者をどんどん増やして行くフランクもひどい。
ときどき挿入される麻薬中毒者の悲惨な映像。
同胞にすることかと、憤りを覚えました。

そう思うと、いくら腐敗を暴いたとはいえ、殺人も犯しているし、15年の刑期は短過ぎるんじゃないでしょうか?

警察当局は当時、黒人が組織的に闇社会を牛耳れるはずはないとタカをくくり、フランクにはなかなかたどり着かなかったようです。
このあたり、人種差別の根深さも感じました。

マーシャル・ロー

2008-02-15 19:08:04 | 映画ーTV
ーマーシャル・ローーTHE SIEGE
1998年 アメリカ エドワード・ズウィック監督 デンゼル・ワシントン(アンソニー・ハバード)アネット・ベニング(エリース・クラフト/シャロン・ブリッガー)ブルース・ウィリス(ウィリアム・デヴロー将軍)トニー・シャルーブ

【解説】
ブルース・ウィリス、デンゼル・ワシントン共演の政治ドラマ。大都市ニューヨークでテロ事件が勃発。戒厳令が敷かれ、さながら戦場と化したNYで、陸軍・FBI・CIAの思惑が激しく交錯する。シミュレーション的側面も持つ、リアルで時事的な描写が特筆もの。アネト・ベニング共演。NYのブルックリンで、バスジャックのテロ事件が起きた。テロリズム対策部長のハバードは、事件の犯人の背後に政治的な思惑を感じ取る。(allcinema ONLINE)

【感想】
ここんとこ少し、デンゼル・ワシントン特集っぽいですね。

途中から、「この映画って、9.11の前なの?」と気になりだすほど、あの事件を思い出させる映画でした。
これを、事件以前に見た人と、以後に見た人では評価も感想も変わって来るのではないでしょうか。

マーシャル・ローは戒厳令のことだそうです。
原題は「THE SIEGE」。

イスラム教のシークをウィリアム・デヴロー将軍(ブルース・ウィリス)率いるアメリカ軍の一部隊が非合法に拉致したことが事件の発端でした。
イスラム過激派の自爆テロが軍の施設を爆破して多数の被害を出したのが原因でした。

そして、ニューヨークでは爆弾テロが多発し、ハブ(デンゼル・ワシントン)が指揮するFBIのテロ対策班が、犯人グループを潰しても潰しても、さらにエスカレートして行くとということで、戒厳令が敷かれ、軍隊が治安維持に乗り出してくる事態となります。
疑わしい中東から来た人々をスタジアムに逮捕監禁して、それに反対するデモ隊も出て、街は騒然となって行きます。

闇で中東などで暗躍して来たCIA工作員にアネット・ベニング。
二つの名前を持つ女でした。
やはりうまかったです。
デンゼルとの演技対決、なかなか見物でした。

それにしてもCIAは、この映画で言われているように、現地の人を味方にして、爆弾の作り方まで教えたなんて、本当なのでしょうか。
その後、冷戦が終わり、放り出された工作員は、そりゃ恨むでしょう。

最終的には、「犯罪者は法によって裁かれる権利があり、それは長い間、みんなで努力して勝ち得たものなんだ」というハブの言葉に、大義でがちがちになっていた将軍も心を動かされるというラストですが、これは、9.11を経験した人の耳には届きにくい言葉となったようです。