ースノーデンーSNOWDEN
2016年 アメリカ 135分
監督=オリバー・ストーン キャスト=ジョセフ・ゴードン=レヴィット (エドワード・スノーデン) シェイリーン・ウッドリー (リンゼイ・ミルズ) メリッサ・レオ (ローラ・ポイトラス) ザカリー・クイント (グレン・グリーンウォルド)
【解説】
名匠オリヴァー・ストーン監督が、アメリカ政府による国際的な個人情報監視の事実を暴き世界を震撼(しんかん)させた「スノーデン事件」の全貌に迫る人間ドラマ。CIAおよびNSA(アメリカ国家安全保障局)職員だったエドワード・スノーデン氏がキャリアや恋人との幸せな人生を捨て、重大な告発を決意するまでの過程を描く。スノーデン氏をジョセフ・ゴードン=レヴィット、その恋人をシャイリーン・ウッドリーが演じるほか、オスカー女優メリッサ・レオ、ザカリー・クイント、トム・ウィルキンソンらが脇を固める。
【あらすじ】
2013年6月、元CIAおよびNSA(アメリカ国家安全保障局)職員エドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の内部告発により、アメリカ政府がひそかに作り上げた国際的な監視プログラムの存在が明らかになる。そこに至る9年の間、国を愛する平凡な若者はテロリストばかりか民間企業や個人、同盟国までも対象とされ、全世界のメールや携帯電話での通話が監視されている現実に危機感を募らせていた。(シネマトゥデイ)
【感想】
スノーデンの事件は、とてもセンセーショナルなことでまだ解決していないし、ご本人もロシアで存命なのも知っているし、どんな内容なんだろうと興味がありました。
とはいうものの、他国の話であり、日本政府も静観しているので、私自身もさほど深くは知りませんでした。
CIAが各国の大使館、同盟国でも、盗聴しているとか。
実際に映画を見て、驚きました。
「エネミー・オブ・アメリカ」で、監視活動が一般市民にも及んでいるということを知り、それ以来は映画の作品の中では当たり前のように出てきます。
「ボーン」シリーズでは、CIAは血眼でボーンを探すツールに使っていました。
そのシステム、本当にあるんだろうけど、普通の市民には関係ないわ、と思っていました。
スノーデン自身も、そういう機関に関わりながらも、自分の生活には関わりないわと思っていたのでしょう。
それが、自分の部屋にあるコンピューターを使って監視されているかもしれないという見えない恐怖に囚われていく様子が、とても克明に描かれていました。
スノーデンは告発した時、若干29歳の若者でした。
9.11に触発されてアメリカ軍への入隊を決心するような、愛国心に溢れた若者でした。
日本にも赴任していて、アニメなどの日本の文化にもとても興味を持っている、今時の青年。
何も特別ではありません。
NAS(国家安全保障局)内でも優秀で、出世が早く、年収20万ドルもらっていたそうです。
では、なぜ彼は命の危険を顧みず、すべてを投げ打って告発したのか?
それは映画のラストに語られます。
いつの間にかスノーデンを演じていたジョセフ・ゴードン=レヴィットに変わってご本人登場。
感動しました。
今では、恋人のリンゼイとロシアで平和に暮らしているそうです。
でも、なぜロシアなの?と思います。
アメリカの、しかも人権派と言われるオバマ政権下で起こったこの事件。
アメリカの大統領選にロシアのサイバー攻撃があったと言われているし。
目に見えないサイバー戦争、怖い気がしますが、どうすれば自分を守れるのかわからなくて、全くすっきりしません。
映画は本物のスパイ映画のようにスリリング。
特に、内部思慮を持ち出すところはハラハラドキドキです。
リベラルな恋人リンゼイとの関係も爽やかで素敵でした。
作品としても成功していると思いますが、オリバー・ストーン監督の心中は複雑なようです。
この映画の資金がアメリカで集まらず、イギリスとドイツから資金調達してドイツで撮影されたそうです。
言論や表現に対して自由と思われるアメリカでさえ、自分の恥は隠したがるということでしょうか?
この事件の後、システムは制限されたというけど、システム自体は存在しているし、映画の中でも言っていたけど、日本が同盟国でなくなったらすぐに電力を止めるなどのパニックを起こすことができるらしい。
それって無言の圧力だし、怖いことだなあと思いました。
リス・エヴァンスやニコラス・ケイジも出演しています。