マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

タイピスト!

2014-04-28 10:16:02 | 映画ーDVD

ータイピスト!POPULAIRE

2012年 フランス 111

レジス・ロワンサル監督 ロマン・デュリス(ルイ・エシャール)デボラ・フランソワ(ローズ・パンフィル)ベレニス・ベジョ(マリー・テイラー)ショーン・ベンソン(ボブ・テイラー)ミュウ=ミュウ(マドレーヌ・エシャール)

 

【解説】

1950年代フランスを舞台に、タイプの早打ち以外には取りえのないヒロインが、タイプ早打ち世界大会優勝を目指して奮闘するラブコメディー。監督は、本作で初めて長編作のメガホンを取る新鋭レジス・ロワンサル。主演は『譜めくりの女』のデボラ・フランソワと、『ロシアン・ドールズ』のロマン・デュリス。ファッションなど1950年代当時のテイスト満載の映像美や、競技さながらの激戦が展開するタイプ早打ちシーンに目を奪われる。

 

【あらすじ】

女性にとって大人気の職業が秘書で、さらにタイプライター早打ち大会に勝つことが最高のステータスだった1950年代のフランス。田舎出身のローズ(デボラ・フランソワ)は保険会社の秘書に採用されるが、ぶきっちょで失敗してばかり。そんな彼女の唯一の才能であるタイプ早打ちに目を付けた上司ルイ(ロマン・デュリス)は、二人で協力し、タイプ早打ち世界大会に出ないかと提案する。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

秘書という職業が、女性の憧れの職業だった時代のフランス。

田舎でなんでも屋を営む父。

父の目を盗んで、店に飾ってあるタイプライターを夜ごと叩いて練習していたローズ(デボラ・フランソワ)は、パリの保険会社の秘書募集に応募する。

タイプライターを1本指で早く叩くローズに何かを感じて、社長のルイ(ロマン・デュリス)はローズを採用することにした。

平凡な結婚を望む父に逆らい、家を出たローズだが、ドジで役立たず、仕事はさんざんだった。

それでもルイはローズをタイプライターの早打ちコンテスト出場させ、1本指でも2位になった才能に注目。

自分の家に秘密で住まわせ、特訓が始まった。

 

スポ根もののような感じで物語は進んでいきます。

ローズが勝ち進むに連れて、ルイとの恋愛の行方が気になります。

ついにアメリカでの世界大会へ!

 

決まり切っているような展開だけど、女性はこういう展開、好きなんじゃないかな?

すごくおしゃれで、とても楽しめる作品でした。

 

オン・ザ・ロード

2014-04-28 10:11:58 | 映画ーDVD

ーオン・ザ・ロードーON THE ROAD

2012年 フランス/ブラジル 139

ウォルター・サレス監督サム・ライリー(サル・パラダイス(ジャック・ケルアック))ギャレット・ヘドランド(ディーン・モリアーティ(ニール・キャサディ))クリステン・スチュワート(メリールウ(ルアンヌ・ヘンダーソン))エイミー・アダムス(ジェーン(ジョーン・フォルマー))トム・スターリッジ(カーロ・マルクス(アレン・ギンズバーグ))キルステン・ダンスト(カミール(キャロリン・キャサディ))ヴィゴ・モーテンセン(オールド・ブル・リー(ウィリアム・バロウズ))

 

【解説】

アメリカ文学をけん引したビート・ジェネレーションの中心人物であるジャック・ケルアックの小説を基にした青春作。自分とは真逆の破天荒な性格の男とその妻に出会った作家が、彼らと一緒にアメリカを放浪する中で成長していく姿を映し出す。『コントロール』のサム・ライリー、『トロン:レガシー』のギャレット・ヘドランド、『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワートら実力派が出演。アメリカ、カナダ、メキシコ、アルゼンチンでロケを敢行して撮られた雄大な風景も、深遠な物語にさらなる奥行きを与えている。

 

【あらすじ】

父親の死を引きずり鬱屈(うっくつ)とした日々を過ごす青年作家サル・パラダイス(サム・ライリー)。ある日、彼は内省的な自分とは正反対である奔放な男ディーン(ギャレット・ヘドランド)とその幼妻メリールウ(クリステン・スチュワート)と知り合う。社会規範にとらわれずにセックスやドラッグをむさぼるディーンの生き方、メリールウの美貌に惹(ひ)き付けられたサルは、彼らと一緒にニューヨークを飛び出して各地を放浪することに。かつてないほどの充足感と自由を得る彼だったが、そんな日々にも終わりが近づこうとしていた。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ビート・ゼネレーションとかビートニクという言葉とともに、ジャツク・ケルアックの名前はよく耳にしたのですが、はっきりいってよく知りませんでした。

アメリカの若者文化に大きな影響を与えたと言われる「路上」の映画化ということで鑑賞しましたが、ちょっとピンと来ませんでした。

 

1940年代から50年代の話で、作家を志しているサル・パラダイス(サム・ライリー)が、友人となったディーン(ギャレット・ヘドランド)とその幼妻メリールウ(クリステン・スチュワート)とともに、おんぼろ車で旅をするロードムービーです。

小説の形を取っていいますが、モデルがいて、サルはケルアック自身、ディーンはニール・キャサディ。

 

仲間がまたすごくて、詩人のアレン・ギンズバーグや作家のウィリアム・バロウズらのエピソードが盛り込まれています。

 

監督は「モーターサイクル・ダイアリー」のウォーター・サレス、フランシス・コッポラがプロデュースしています。

主人公の二人はあまり知らない俳優さんですが、キルスティン・ダンスト、エイミー・アダムス、スティーヴ・ブシェミ、テレンス・ハワード、ヴィゴ・モーテンセンなどがゲスト出演しています。

 

これを見れば、ビート・ゼネレーションの精神がわかるのかなあ、という期待で見ましたが、私にはあまり新鮮味のない青春映画に見えました。

やはり、本を読んだ方がいいのでしょうね。

 


キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー

2014-04-27 17:38:24 | 映画ー劇場鑑賞

ーキャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャーーCAPTAIN AMERICA: THE WINTER SOLDIER

アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ監督 クリス・エヴァンス(スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ)スカーレット・ヨハンソン(ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ)セバスチャン・スタン(バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー)アンソニー・マッキー(サム・ウィルソン/ファルコン)コビー・スマルダーズ(マリア・ヒル)フランク・グリロ(ブロック・ラムロウ/クロスボーンズ)エミリー・ヴァンキャンプ(シャロン/エージェント13)ヘイリー・アトウェル(ペギー・カーター)ロバート・レッドフォード(アレクサンダー・ピアース)サミュエル・L・ジャクソン(ニック・フューリー)マキシミリアーノ・ヘルナンデス(シットウェル)トビー・ジョーンズ(ドクター・ゾラトーマス・クレッチマン(ストラッカー)エリザベス・オルセン(ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ)アーロン・テイラー=ジョンソン(ピエトロ・マキシモフ/クイックシルバー)

 

【解説】

『アベンジャーズ』でのニューヨークの戦いから2年後を舞台に、キャプテン・アメリカと暗殺者ウィンター・ソルジャーとの死闘を描くアクション大作。70年の眠りから覚め、アベンジャーズの一員として戦ったキャプテン・アメリカが、S.H.I.E.L.D.(シールド)の仲間に突如襲われ、その裏に潜む真実を追う姿を映し出す。監督は、『ウェルカムトゥコリンウッド』のアンソニー・ルッソとジョー・ルッソ。キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスやスカーレット・ヨハンソンらが出演。新たに加わる名優ロバート・レッドフォードの役どころにも注目。

 

【あらすじ】

アベンジャーズのメンバーとして戦ってから2年、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)はS.H.I.E.L.D.(シールド)の一員として活動していた。ある日、キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)を世界屈指の暗殺者ウィンター・ソルジャーが襲撃。さらにウィンター・ソルジャーの正体は、キャプテン・アメリカの親友で第2次世界大戦で亡くなったバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)で……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

安心して見ていられるヒーローものという感じです。

人間の肉体を使ってのアクション、守るべきものも敵の輪郭もはっきりしていて、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)の端正なマスクとともに正統派ヒーローの活躍を楽しめます。

 

これは第2弾で、アベンジャーズのシリーズもあり、キャプテンアメリカ自身の続編もありで、楽しみは膨らむという感じです。

 

キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)との会話や、ファルコン(アンソニー・マッキー)との友情など、人間ドラマとしても楽しい作品です。

 

ゴールデンウィークにオススメです。

 


大統領の料理人

2014-04-27 17:16:01 | 映画ーDVD

ー大統領の料理人ーLES SAVEURS DU PALAIS/HAUTE CUISINE

2012年 フランス 95

クリスチャン・ヴァンサン監督 カトリーヌ・フロ ジャン・ドルメッソン イポリット・ジラルド アルチュール・デュポン ジャン=マルク・ルロ アルリ・ホベール ブリス・フルニエ エルヴェ・ピエール レシュ・レボヴィッチ トマ・シャブロル

 

【解説】

『恋愛小説ができるまで』のクリスチャン・ヴァンサンが監督と脚本を務め、フランス大統領官邸史上唯一の女性料理人の実話を基につづる感動作。フランソワ・ミッテラン大統領のプライベートシェフとして腕を振るった主人公の奮闘を描く。『地上5センチの恋心』などで知られるセザール賞の常連カトリーヌ・フロが、ポジティブなヒロインを熱演。一皿一皿を丁寧かつ心を込めて作る料理人が生み出す小さな奇跡や絆が心を打つ。

 

【あらすじ】

ある日、フランスの田舎でこじんまりとしたレストランを経営するオルタンス(カトリーヌ・フロ)のもとにフランス政府の公用車がやって来る。彼女はパリ中心部にあるエリゼ宮殿と呼ばれる大統領官邸へと招かれ、フランソワ・ミッテラン大統領のプライベートシェフに任命されたのだ。だが、これまで女性料理人がいなかった男社会の厨房ではオルタンスはよそ者でしかなく……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

思っていたより、いい作品だった。

フランス映画のアカデミー賞とも言えるセザール賞常連と言われるカトリーヌ・フロ、うまいなあ。

ミッテラン大統領の料理人として、史上初めて女性が登用されたという実話がベースになっているそうです。

 

オルタンス(カトリーヌ・フロ)の現在の職場、南極の基地の厨房と、過去の職場、エリゼ宮の大統領専用のキッチンで、彼女が働く様子が並行して描かれる。

 

大統領専属シェフとしてのオルタンス。

エリゼ宮で働く人のための大きな厨房があって、そこではたくさんの人が働いています。

オルタンスに任されたのは、その厨房ではなく、大統領のプライベートな昼食。

注文はその日の朝に出され、すぐにメニューを決めて許可をもらって、限られた時間で仕上げるというもの。

チームは、助手が一人と給仕長とオルタンスだけ。

 

大統領の好みも何もわからない中での仕事始めだった。

それでも丁寧に作るオルタンスの料理は大統領に気に入られ、信頼を得る。

しだいにオルタンスは食材にもこだわり、最高の食事を作っていく。

大統領との信頼関係もでき、友情にも似た感情が二人を繋ぐまでになっていた。

しかし、それが主厨房や主シェフとの軋轢を生み、オルタンスの立場を危ういものにする。

さらに、軽費節減、大統領の健康管理ということで、やれることも少なくなり、とうとうエリゼ宮を去らざるを得なくなった。

 

そして、次にやって来たのが最果ての地、南極基地というわけ。

ここでは、男たちの職場の中の尊敬されるシェフとして、離任のその日まで君臨した。

お別れパーティはサプライズで行われ、気丈なオルタンスの目にも涙が…。

 

最後にオルタンスが、オーストラリア人のジャーナリストにその野心を打ち明けた。

「この職場は、男性料理人募集だった。でも、私はこの職場を勝ち取った。給料がよかったから。ここで得た収入を元手にニュージーランドでトリュフの栽培をするつもり。いい場所を見つけてあるの」と。

この心意気、挫折しても次へのバージョンアップのために、モチベーションを保って仕事に全身全霊を注ぐ。

この姿勢が、彼女のスタンスなんだと、感心しました。

 

二つの職場を並行して描く構成には、最初戸惑いもあったけど、どこにいても変わらないオルタンスの料理に対する真摯な姿がよく表現されていたと思いました。

オルタンスが手順をつぶやきながら料理を仕上げていくところ、とてもよかったです。

フランス料理が芸術的なわけもよくわかりました。

 


四十九日のレシピ

2014-04-27 17:07:34 | 映画ーDVD

ー四十九日のレシピー

2013年 日本 2013

監督=タナダユキ キャスト=永作博美(高岩百合子)石橋蓮司(熱田良平)岡田将生(ハル)二階堂ふみ(イモ)原田泰造(高岩浩之)淡路恵子(珠子)

 

【解説】

NHKドラマとしても放映された伊吹有喜原作の小説を、『ふがいない僕は空を見た』などのタナダユキ監督が映画化した感動作。母が亡くなりそれぞれに傷を負いながらも、四十九日までの日々を過ごす間に再生への道を歩み始める家族の姿を描き出す。主人公に、『八日目の蝉』で高い評価を得た永作博美。その父親を石橋蓮司が演じ、二階堂ふみや岡田将生ら若手俳優も共演を果たす。新旧の演技派俳優が豪華共演を果たした繊細な人間ドラマが心に響く。

 

【あらすじ】

熱田良平(石橋蓮司)が急に妻の乙美を亡くして2週間が過ぎたころ、派手な身なりのイモ(二階堂ふみ)が熱田家を訪問する。突然現われ、亡き妻から四十九日を無事に迎えるためのレシピを預かっていると言い彼女の存在に良平は目を白黒させる。そこへ夫(原田泰造)の不倫で、離婚届を突き付けてきた娘の百合子(永作博美)が東京から戻って来て……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「タカダワタル的」で始めて知ったタナダユキ監督。

「ふがいない僕は空を見た」もなかなの問題作でした。

そして、この作品。

とても感動的なストーリーと、私には理解しがたいラストという複雑な感想を持ちました。

 

都内の高級住宅地で、夫・浩之(原田泰造)と介護が必要な義母(赤座美代子)と一緒に暮らしている主婦の百合子(永作博美)。

長年不妊で悩んでいる百合子に、浩之の愛人から「妊娠したから別れてくれ」と電話がかかった。

離婚届にサインして、百合子は家を出た。

 

百合子の実家では、父の良平(石橋蓮司)が妻の乙美を突然亡くし、茫然としていた。

そこへ、乙美が生前ボランティア活動をしていた更生施設出身のイモ(二階堂ふみ)が訪ねて来て、乙美の遺言だと言って、「四十九日の大宴会」の話を始めた。

 

良平は気が乗らないものの、イモを受け入れているところへ、百合子が帰って来た。

乙美は後妻で、百合子は乙美に心を開くことがなかった。

百合子は乙美のことを何も知らなかった自分に愕然とし、乙美の四十九日のために、乙美の年表を作ろうと、乙美の過去を探し始める。

 

亡くなってから思ってもなあ、と思いながら見ていましたが、人を理解しようとする姿勢は、やはりうるうるとします。

乙美の、誰に対しても親身になる人柄は本当に感動的なものでした。

それにしても、他人がこんなに乙美を評価しているのに、肝心の夫と娘に、生きている間にそれが伝わらなかったなんて、やはりさびしいなあと思いました。

 

いらいらするのは百合子の夫の浩之です。

愛人だけならまだしも、子供まで作って、しかも寝たきりの母は百合子に任せっぱなしなんて、私のイライラは最高点まで達しました。

 

最後は心を入れ替えたと言って、土下座をしていましたが、私にはこういう人物の言葉は信じられないなあ。

ただ、母の介護を押し付けたいだけじゃないのかなあ?

と、映画が終わっても疑り深い私。

 

子供がない女性の生き方に付いて、ネガティブに描かれていたけど、子供がいても浮気する夫は浮気するし、こんな人柄のいい乙美さんでも、懐かない百合子のような子供もいるしね。

人の心は複雑です。

 

血のつながりだけが絆のすべてではないし、人間関係は、すべて個人の努力の結果だと思うなあ。

どんなに努力してもうまくいかない時もあるし、そういうときも、落ち込まないことが大切です。

 

愛人が生む赤ちゃんと、あまり大切にされていないような愛人の子供。

百合子はどうするのかしら?

そのへんが、この作品の余韻かもしれませんね。

 


それでも夜は明ける

2014-04-09 09:53:54 | 映画ー劇場鑑賞

ーそれでも夜は明けるー12 YEARS A SLAVE

2013年 アメリカ 134

スティーヴ・マックィーン監督 キウェテル・イジョフォー(ソロモン・ノーサップ/プラット)マイケル・ファスベンダー(エドウィン・エップス)ベネディクト・カンバーバッチ(フォード)ポール・ダノ(ジョン・ティビッツ)ポール・ジアマッティ(フリーマン)ルピタ・ニョンゴ(パッツィー)サラ・ポールソン(エップス夫人)ブラッド・ピット(バス)アルフレ・ウッダード(ショー夫人)

 

 

【解説】

奴隷制度がはびこっていたアメリカを舞台に、自由の身でありながら拉致され、南部の綿花農園で12年間も奴隷生活を強いられた黒人男性の実話を映画化した伝記ドラマ。主人公が体験した壮絶な奴隷生活の行方、そして絶望に打ち勝つ希望を描き出す。監督は『SHAME -シェイム-』のスティーヴ・マックィーン、黒人男性を『2012』などのキウェテル・イジョフォーが演じる。共演には、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ブラッド・ピットら豪華キャストがそろう。

 

【あらすじ】

1841年、奴隷制廃止以前のニューヨーク、家族と一緒に幸せに暮らしていた黒人音楽家ソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、ある日突然拉致され、奴隷として南部の綿花農園に売られてしまう。狂信的な選民主義者エップス(マイケル・ファスベンダー)ら白人たちの非道な仕打ちに虐げられながらも、彼は自身の尊厳を守り続ける。やがて12年の歳月が流れ、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バス(ブラッド・ピット)と出会い……

(シネマトゥデイ)

 

【感想】

今年のアカデミー賞作品賞の作品賞を受賞した作品ですが、なんか重たいテーマに気後れして、見るのが遅くなりました。

そして予想に違わず、重い作品でした。

 

この監督のスティーブ・マックイーンは黒人監督で、黒人監督として初めて作品賞を獲得したそうです。

 

奴隷解放宣言は1863年に出されたものなので、この作品はその20年くらい前の話ということになります。

ニューヨークで家族と暮らす自由黒人のソロモン(キウェテル・イジョフォー)が体験した実話ということなので、とても説得力のある話です。

 

自由とはいえ、奴隷が合法的であった時代には、黒人の権利や人権はかなり危ういものであったと思われます。

ソロモンのようにだまされて売られる人もいたのでしょうね。

 

最初の雇い主のフォード(ベネディクト・カンバーバッチ)は気弱で、奴隷も人間かもしれないと考えている人物ですが、気弱さのせいか、借金の形にソロモンを売ってしまいます。

 ベネディクト・カンバーバッチ

次の雇い主のエップス(マイケル・ファスベンダー)は、サディストともいえる残酷な人間で、パッツィー(ルピタ・ニョンゴ)という綿摘みの名人を性的に虐待するし、いたぶるし、最悪の人間でした。

  マイケル・ファスベンダー

最終的にカナダ人の建築家バス(ブラッド・ピット)に出会い、自分の素性を知る人物に連絡を取ってもらって裁判で解放されるのですが、その歳月は12年にも及んでいました。

 

実話なので、すごく感動的というわけにはいかず、淡々と辛い日々が描かれていきます。

ここのところ、アメリカの映画に黒人の作品が多いのは、オバマ大統領が出現したことも大きいのではないでしょうか?

たぶんまだまだ差別はあるし、黒人は貧しい人が多いとも思いますが、こういう作品に後押しされて、すべての人が幸せになれたらいいですね。

 

内容はつらいものですが、主演のキウェテル・イジョフォーをはじめ、悪役ぶりをいかんなく発揮したマイケル・ファスベンダーもよかったです。

 

ひどい目に遭わされるルピタ・ニョンゴは助演女優賞を獲得しました。

 

 


ウォルト・ディズニーの約束

2014-04-08 10:45:03 | 映画ー劇場鑑賞

ーウォルト・ディズニーの約束ーSAVING MR. BANKS

2013年 アメリカ 126

ジョン・リー・ハンコック監督 エマ・トンプソン(P..トラヴァース)トム・ハンクス(ウォルト・ディズニー)ポール・ジアマッティ(ラルフ)ジェイソン・シュワルツマン(リチャード・シャーマン)ブラッドリー・ウィットフォード(ドン・ダグラディ)ルース・ウィルソン(マーガレット・ゴフ)メラニー・パクソン(ドリー)アニー・ローズ・バックリー(ギンティ)コリン・ファレル(トラヴァース・ゴフ)

 

【解説】

エマ・トンプソンとトム・ハンクスという英米のオスカー俳優が共演を果たし、傑作ミュージカル映画『メリー・ポピンズ』誕生秘話に迫る感動のヒューマンドラマ。ウォルト・ディズニーの映画製作の舞台裏を初めて描き、原作者と映画製作者の激しい攻防を情感豊かに映し出す。ポール・ジアマッティやコリン・ファレルら名優たちも豪華共演。頑固な作家の心の奥深くに秘められた、ある思いを浮き彫りにする展開に心打たれる。

 

【あらすじ】

1961年、パメラ・L・トラヴァース(エマ・トンプソン)は、ウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)が長年熱望する「メリー・ポピンズ」の映画化について話し合うためにロサンゼルスに向かう。傑作児童文学の著者である彼女は気難しい性格で周りを困惑させる。スタッフたちはどうにかしてトラヴァースに映画化の契約書に署名してもらおうと心を砕くが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、オーストラリア人で「メリー・ポピンズ」シリーズの著者・パメラ・L・トラヴァースの伝記を製作したプロデューサーが持ちかけ、イギリスのBBCフィルムズが融資を決め、脚本が作られたが、ウォルト・ディズニー・カンパニーの許諾が無くては作れないということで、持ち込まれた作品だそうです。

 

ウォルト・ディズニーも登場して、ディズニー映画の裏側を見せる作品。

ジョン・リー・ハンコック監督は、そのキャラクターや脚本について、カンパニー側から干渉を受けなかったということなので、その太っ腹がうれしい作品です。

 

お陰で、オリジナルの「メアリー・ポピンズ」で使われた名曲の数々が楽しめます。

東風とともに、バンクス家にナニーとしてやって来たメリー・ポピンズ。

しつけやお行儀に厳しい反面、思いもよらない方法で、人々を幸せにしていきます。

 

私はこの映画を劇場で見た覚えがあるのですが、たぶん中一くらいだったと思います。

すごく気に入って、サントラも買ったと思います。

「スーパーカリフラジリスティクスエスピアリドーシャス」と歌えて、友達に自慢したけど、誰も感心してくれなかったなあ。

でもこの作品に出会って、当時の頃が蘇りました。

とても楽しいひとときでした。

 

ロンドンに住んでいる作家のP..トラヴァース夫人(エマ・トンプソン)。

自分の作品である「メアリー・ポピンズ」の映画化の許可をウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)から求められて20年、ずっと拒否し続けていた。

それでもウォルトは諦めず、最後の企画書の契約をするために話し合いたいと、夫人にアメリカのディズニースタジオまで来るように知らせが来た。

 

夫人の方も、最近は新しい作品も書けず、生活も困窮し始めていた。

弁護士に促されて、ロサンゼルス空港に降り立った夫人を迎えに来ていたのは運転手のラルフ(ポール・ジアマッティ)。

気難しい夫人の相手をしながらディズニースタジオに着くと、脚本家のドン(ブラッドリー・ウィットフォード)、作曲家のリチャードと(ジェイソン・シュワルツマン)ロバート(B・J・ノヴァク)のシャーマン兄弟もにこやかに出迎えるが、夫人はかなり手厳しい。

 

ウォルトに会って説得され、とにかくドンたちと脚本の擦り合わせを始めるが、話し合いをテープに録音することを要求し、そもそもミュージカルにすること自体が気に入らないし、アニメは絶対にダメ。

 

映画のエンディングにこのときの録音の音声が流れて、当時の緊張した様子をかいま見ることができます。

 

なぜ、これほどまでに夫人はこの作品に執着するのか?

そこには、夫人の幼い頃の悲しい経験が隠されていたのです。

 

☆ネタバレ

原題は「SAVING MR. BANKS」。

バンクス氏は、メリー・ポピンズの雇い主であり、子供たちの父親です。

この人物にはモデルがいました。

夫人のお父さん、トラヴァース・ゴフ(コリン・ファレル)です。

自分のペンネームに使っているほど愛着のある父。

しかし、その思い出はとても悲しいものでした。

 

夫人は幼い頃からとても想像力の豊かな子供でした。

父もとても想像力の豊かな人で、二人はとても気が合っていました。

でも、そんなお父さんは銀行家という職業には合っていなかったのでしょう。

酒に溺れ、体も弱らせていきます。

お母さんも、そんなお父さんや子育てに疲れ、自殺を図ってしまう。

そんなときに東風とともにやって来たのが、母の姉であるメリー・ポピンズのモデルとなった伯母さんでした。

 

父は失意の中で亡くなり、夫人の心にはトラウマが残りました。

 とても、ディズニーがやりたいようなハッピーなお話ではなかったのです。

 

でも、ディズニーが言った「バンクス氏を救う物語なのです」という殺し文句に、夫人は負けました。

 

ラストはすごく面白かった。

「ややこしいから夫人はプレミアに呼ばない」というディズニーの思惑に反して、夫人はロンドンからやってきます。

このへんの運転手・ラルフとの交流もとても楽しいです。

そして、苦々しい顔で見ていた夫人の表情がラスト「凧をあげよう」では涙に変わります。

私も思わずもらい泣き。

エマ・トンプソンにはよく泣かされます。

私の涙腺を刺激する演技力です。

 

たしかに、ディズニーの作品は、悲しいお話でも明るいミュージカルに仕立て直して、そのキャラクターが一人歩きをしてしまうと感じることがあります。

原作者には忸怩たる思いもあるでしょうね。

それでも、ディズニーの世界観がとてもしっかりしているので、全世界に愛されるのでしょうが、イメージが統一されてしまうという側面もあるかと思います。

この映画はそういうマイナス面にも切り込んだ画期的な作品だと思いました。

 

それにしても、メリー・ポピンズのオリジナルの歌は最高ですね。

この作品を見て以来、ずっと名曲たちが頭の中で蘇っています。

「お砂糖ひとさじで」「笑うことが好き」「2ペンスを鳩に」とか、「踊ろう、調子よく」までです。

「メリー・ポピンズ」を初めて見た思春期の私が、とても感動してサントラを何度も聴いたんだなあと思い出しました。

こうして、今の映画好きの私ができあがったのでしょうね。

 


スティラーズ

2014-04-08 10:38:43 | 映画ーDVD

ースティーラーズーPAWN SHOP CHRONICLES

2013年 アメリカ 113

ウェイン・クラマー監督 ブレンダン・フレイザー(リッキー)イライジャ・ウッド(ジョニー)ヴィンセント・ドノフリオ(アルトン)ペル・ジェームズ(シンディ)シャイ・マクブライド(ジョンソン)マット・ディロン(リチャード)ポール・ウォーカー(ロウドッグ)

 

【解説】

『ワイルド・スピード』シリーズなどのポール・ウォーカーが出演した異色アクション。アメリカ南部を舞台に、怪しげな者たちが生き残りを懸けた戦いを強いられる運命の一日を映し出す。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどのイライジャ・ウッド、マット・ディロン、ブレンダン・フレイザーら、実力派たちが競演。『ワイルド・バレット』で、ポールと組んだウェイン・クラマー監督がメガホンを取る。クセある人物にふんした彼らが披露する怪演はもとより、ブラックジョークとバイオレンスが渦巻くタッチも必見。

 

【あらすじ】

アメリカ南部。白人至上主義者である強盗団リーダーは、ドラッグディーラーから大金を奪い取ろうとたくらんでいた。その頃、エルヴィス・プレスリーを崇拝する巡業芸人は宗教めいたことを口走る男と出会い、妻を何者かに誘拐された過去を持つ男は女性ばかりを狙った猟奇犯と遭遇する。一見、無関係な彼らであるが、奇妙な巡り合い、欲望や怨嗟(えんさ)といった感情、ヒステリックな小人、手癖の悪い料理人など、さらに奇々怪々な連中の登場によって、予想だにしなかった事態に身を投じていくことになる。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ポール・ウォーカーが昨年11月に交通事故で亡くなったので、何か見たいなあということでレンタルした作品。

別に、ポール・ウォーカーが主演ということはないけど、あまり彼の作品を見ていないので、面白そうかなあと思って。

タランティーノが絶賛ということだけど、いえいえ、タラちゃんの作品の方がずっと面白いです。

この作品は、どちらかというとグロじゃないかな?

 

南部の小さな町の質屋を介在して起こる事件を、オムニバス風に展開した作品。

質屋の親父と近所の親父の会話はなにやらジム・ジャームッシュ風。

 

大きなエピソードは3つかな?

 

ひとつは、ポール・ウォーカーの出て来る、ジャンキーの強盗団の話。

強盗といっても、お金がないので、麻薬の売人を襲って麻薬を強奪しようというもの。

 

 

次は、婚約者と旅の途中に質屋に寄ると、誘拐された元妻の指輪を見つけて、復讐心に火がついて、誘拐犯を突き止め妻を見つける男(マット・ディロン)の話。

この誘拐犯がジョニーというサイコ野郎。

イライジャ・ウッドがやっているんだけど、はまっています。

ここに捕まっている全裸の女性たちが、ジョニーを慕っているのがよくわからなかったなあ。

 

最後は、エルビスプレスリーのモノマネ芸人だけど、お金がなくてプレスリーのペンダントを質入れしに来るリッキー(ブレンダン・フレイザー)の話。

悪魔に魂を売る話になっていきます。

 

最後、この3つの話がカーニバルのシーンでまとまるんだけど、なんか、つまらなかった。

テーマが、人種差別や悪魔やサイコという日本人にはあまり縁のない奇抜なものだからかなあ。

 


クロワッサンで朝食を

2014-04-08 10:32:46 | 映画ーDVD

ークロワッサンで朝食をーUNE ESTONIENNE A PARIS

2012年 フランス/エストニア/ベルギー 95

 

イルマル・ラーグ監督 ジャンヌ・モロー(フリーダ)ライネ・マギ(アンヌ)パトリック・ピノー(ステファン)フランソワ・ブークラー(モーリス)フレデリック・エポー(ドミニク(ギャルソン))ヘレ・クニンガス(リディア)

 

【解説】

『死刑台のエレベーター』や『突然炎のごとく』などで知られる大物女優、ジャンヌ・モローが主役を演じた味わい深い人間ドラマ。年齢や性格や境遇が全く異なる2人の女性が、ぶつかり合いながらも次第に心を通わせていく過程を描き出す。パリで次第に輝きを取り戻していく家政婦を、エストニア出身の女優ライネ・マギが好演。ジャンヌの演技や、生きる喜びを思い出させてくれる物語に魅了される。

 

【あらすじ】

エストニアの小さな町で暮らすアンヌ(ライネ・マギ)は、2年間付きっ切りで介護をしていた母親を亡くし放心状態だった。そんな折り、多少フランス語が話せる彼女にパリでの家政婦の仕事が舞い込んでくる。意を決して憧れのパリに向かったアンヌを、しゃれたアパートで待っていたのは、気難しいエストニア出身の老婦人フリーダ(ジャンヌ・モロー)だった。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「クロワッサンで朝食を」という邦題、なんか日本語として変じゃないですか?

「ティファニーで朝食を」を意識しているのは間違いないですよね。

でも、ティファニーは場所なのでわかるけど、クロワッサンは食べ物なので、「朝食はクロワッサンで」が正しい言い方ですよね。

これでは、色気がないですが。

 

実際、これがフリーダ(ジャンヌ・モロー)のセリフです。

しかも、アンヌ(ライネ・マギ)が用意したものを一口食べて「これはプラスティク」と投げ捨てます。

二人の関係を端的に表しているシーンでした。

 

エストニアの寒い夜。

長年自分の母を介護して疲れているアンヌ。

別れた夫が酔っぱらって訪ねて来て、さらにうんざり。

 

そのうちに母が亡くなって、子供たちも遠く離れていてしかも忙しい。

 

孤独なアンヌの元に、パリで家政婦として働かないかという依頼が来る。

 

雇い主はカフェを経営するステファン(パトリック・ピノー)。

フリーダの高給アパルトマンに案内して、彼女の世話をするようにいう。

自殺未遂をしたことがあるので、薬箱には必ず鍵をかけるように言われた。

 

フリーダは、痴ほうでもなくも心身の状態も良さそうだ。

しかし、家政婦の存在はよく思っておらず、食べないことと毒舌で抵抗して、追い出そうとする。

ステファンに相談すると、勤めを続けるように言われた。

覚悟を決めてふたたびフリーダの元へ。

 

ステファンとフリーダの関係が明らかになるにつれて、アンヌとの距離も縮まって行く。

 

☆ネタバレ

エストニア人とパリの関係性がよくわからないけど、アンヌにとっては華のパリ、憧れだということがわかります。

フリーダに冷たくされても、夜のパリを歩き回って、元気を取り戻すのも、故郷には帰りたくないという気持ちの表れかもしれません。

 

フリーダは、パリのエストニア人社会とうまくいかず、やはり孤独と老いの中にいる人ですが、本来の気丈さでその思いと闘って来たのでしょう。

お金があって、愛人がいても、なんの解決にもならないことはよく知っているのです。

そのあたりの誇り高さを、ジャンヌ・モローは威厳たっぷりに見せてくれました。

 

フリーダとアンヌが、無くてはならない関係を作って行くところは、何気なくていい感じです。

その間で右往左往するステファンもいい人でした。

 

肉親との絆から離れてしまった他人同士の絆をどう繋いでいくか、やはり人生の大きなテーマですね。

 

老いてもファッショナブルなジャンヌ・モローの着こなしが素敵でした。
自分の服を使っているそうです。
さすがですねー。