マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

黄金を抱いて跳べ

2013-04-23 12:43:10 | 映画ーDVD

ー黄金を抱いて跳べー

2012年 日本

監督=井筒和幸 原作=高村薫 キャスト=妻夫木聡(幸田弘之)浅野忠信(北川浩二)桐谷健太(野田)溝端淳平(北川春樹)チャンミン(モモ(チョウ・リョファン))青木崇高(キング)中村ゆり(北川圭子)田口トモロヲ(山岸)鶴見辰吾(末永)西田敏行(ジイちゃん(斉藤順三))

 

【解説】

日本推理サスペンス大賞に輝く高村薫のデビュー小説を、『パッチギ!』シリーズなどの井筒和幸が実写化したクライム・ムービー。万全の警護システムが敷かれた銀行地下金庫からの金塊強奪に挑む男たちと計画の思わぬ行方を、息詰まるタッチで活写する。『悪人』の妻夫木聡、『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』の浅野忠信、『BECK』の桐谷健太、『釣りバカ日誌』シリーズの西田敏行、東方神起のチャンミンなど、豪華な顔ぶれが結集。裏切りや疑心が交錯する物語に加え、計画の推移を綿密に追ったディテールにこだわった描写も必見。

 

【あらすじ】

裏社会の住人相手の調達屋として生きる幸田(妻夫木聡)は、大学の同級生だった北川(浅野忠信)からある計画を持ち掛けられる。それは大阪市の銀行が誇る、コンピュータを駆使した完璧な防犯システムが施された金庫から240億円相当の金塊を強奪するというものだった。システムエンジニアの野田(桐谷健太)、北川の弟・春樹(溝端淳平)、爆破のプロでスパイでもあるモモ(チャンミン)、元エレベーター技師のジイちゃん(西田敏行)というメンバーで金庫に挑む幸田たちだったが、彼らの意外な過去や裏切りが浮上し……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

Yahoo映画のレビューを読んだら、すごく賛否が別れていて、私はどうかなあと半信半疑で見ましたが、かなり面白かったです。

私は井筒監督と合うのかもしれないなあ。

 

原作があるので、原作ファンが失望しているのかもしれませんね。

私は未読なので、映画として楽しめました。

 

見終わって思ったのは、この映画の骨は、幸田(妻夫木聡)とモモ(チャンミン)のなぜか引かれ合う人間関係。

モモは始めに兄を殺し、幸田は父親の自殺した姿を見る。

こういうところにも、彼らの運命の厳しさを表現していたのかなあと思いました。

 

それに絡んでくるのが北川(浅野忠信)が犯罪に入れ込む異常さ。

最後は妻子が死んで、ますます狂気に囚われていく様が面白かったです。

 

これは、金塊強奪が目的というより、狂気のゲームを人生の目的にしてしまった男たち、生きる目的を見失った人たちという感じでした。

そこのところが、なんとも刹那的でぐっときました。

 

理想の出産

2013-04-23 12:40:25 | 映画ーDVD

ー理想の出産ーUN HEUREUX EVENEMENT/A HAPPY EVENT

2011年 フランス

レミ・ブザンソン監督 エリエット・アベカシス原作 ルイーズ・ブルゴワン(バルバラ)ピオ・マルマイ(ニコラ)ジョジアーヌ・バラスコ(クレール)

 

【解説】

ベストセラー作家エリエット・アベカシスの自伝的小説を基に、出産と育児にまつわる現実を描いた人間ドラマ。初めての妊娠、出産体験に悪戦苦闘するヒロインを、『アデル/ファラオと復活の秘薬』のルイーズ・ブルゴワンが熱演。フランスの新鋭レミ・ブザンソン監督とパートナーのヴァネッサ・ポルタルが共同脚本を手掛け、妊娠による急激な環境の変化、子どもの世話に振り回され夫婦仲もこじれるといった、女性の本音と悩みを赤裸々につづる。

 

【あらすじ】

大学院に通うバルバラ(ルイーズ・ブルゴワン)は、ビデオショップで偶然出会ったニコラ(ピオ・マルマイ)と恋に落ち、間もなく彼女は妊娠。母になる喜びに包まれる一方、急激に変化する体調や将来への不安に戸惑うバルバラは女の子を出産し、親子3人での新生活が始まる。泣きやまない娘の世話に振り回され自分の時間を作ることもままならない中、育児に対する夫との意見の違いから夫婦仲は悪化していく。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

女性目線から描かれた出産、子育ての作品。

産後間もない娘と一緒に鑑賞しました。

 

フランスと日本の妊娠、出産、育児のそれぞれ違いや同じところを、楽しく比較はしながら見ることができました。

 

出産の不安を大海に投げ出されたイメージで描くなど、ステキなシーンもたくさんありました。

現代女性の不安に寄り添ってくれる作品ではないかな?

 

嘘偽りなく、かといってストレート過ぎもしないので、これから出産を控えている人や、出産に不安を抱いているカップルにもお勧めの作品です。

 

『アデル/ファラオと復活の秘薬』のルイーズ・ブルゴワンが、体当たり演技。

きっと共感できるでしょう。

 

娘は、「赤ちゃんの夜泣きの苦労の描き方が足りない」と言っていました。笑!!

実感でしょう。

 

ヒッチコック

2013-04-19 10:55:10 | 映画ー劇場鑑賞

ーヒッチコックーHITCHCOCK

2012年 アメリカ

サーシャ・ガヴァシ監督 スティーヴン・レベロ原作 アンソニー・ホプキンス(アルフレッド・ヒッチコック)ヘレン・ミレン(アルマ・レヴィル)スカーレット・ヨハンソン(ジャネット・リー)トニ・コレット(ペギー・ロバートソン)ダニー・ヒューストン(ウィットフィールド・クック)ジェシカ・ビール(ヴェラ・マイルズ)マイケル・スタールバーグ(ルー・ワッサーマン)ジェームズ・ダーシー(アンソニー・パーキンス)マイケル・ウィンコット(エド・ゲイン)リチャード・ポートナウ(バーニー・バラバン)カートウッド・スミス(ジェフリー・シャーロック)

 

【解説】

数々の傑作を世に送り出したサスペンスの帝王アルフレッド・ヒッチコックの知られざる素顔に迫る伝記ドラマ。仕事のパートナーでもあった妻アルマ・レヴィルとの愛の葛藤も交え、名作『サイコ』製作の舞台裏などが描かれる。監督は、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』のサーシャ・ガヴァシ。ヒッチコック夫妻には、共にオスカー受賞者で本作が初共演となるアンソニー・ホプキンスとヘレン・ミレン。さらにスカーレット・ヨハンソン、ジェシカ・ビールら豪華キャストが脇を固める。

 

【あらすじ】

1959年、作品の高評価とは裏腹に監督としてはアカデミー賞に縁遠かったアルフレッド・ヒッチコック(アンソニー・ホプキンス)は、後にサスペンス映画の金字塔と称される『サイコ』の製作に着手。しかし独創的かつ奇抜であるがゆえに資金繰りは難航し、数々の困難に見舞われてしまう。さらに、常に彼を支え続けてきた最大の理解者である妻アルマ(ヘレン・ミレン)との関係までほころびが生じてきて……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ヒッチコックの作品が好きになったのは、たぶん「鳥」を日曜洋画劇場で見てからだと思いますが、「サイコ」も怖くて、とても面白かった!!

これで「絶対ヒッチコックが好き」と思いました。

 

「ヒッチコック劇場」も好きでした。

この作品の冒頭はあの番組らしい始まり方で、テンションが上がりました。

 

アンソニー・ホプキンスは、はっきりいってヒッチコックには似ていません。

でも、こんなに似せた演技をしているのに、ちっとも臭さを感じないところはさすがです。

 

ヒッチコックはたくさんの映画を撮っていて、ファンも多く売れっ子監督だと思っていましたが、代表作のひとつである「サイコ」がこんなにも産みの苦しみを味わっていた作品だったなんて、びっくり。

「サイコ」の始まりは、全米を震撼させた実話が基だったのですね。

「エド・ゲイン事件」

あまり猟奇的な話でスポンサーがつかないので、自宅を担保に入れた借金で製作したインディーズ映画から始まったことや、配給会社からの圧力、映倫との軋轢ーいやはや、そんなに苦労があったなんて。

でも、スタッフは監督に全幅の信頼を置いて参加したのですね。

そこが、並みの監督にはできないことでしょう。

 

なにより驚いたのが、妻アルマ(ヘレン・ミレン)との関係です。

ちょっと変なおじさんのヒッチコックをよくこまで支えて来た人だなあ、この人あっての偉大な天才なんだと思いました。

偏執狂だし、覗き魔だし、嫉妬深いし、ブロンド女優好き…、まあ、あの映画を撮るのだから、妄想のすごい人には違いがないでしょうが。

でも、彼の才能を信じて、あるときは陰で助け、あるときは叱咤激励する、この妻の力は偉大だったでしょう。

 

アルマが夫に向かって切る啖呵。

妻たるもの、一度は言いたいセリフでした。

格好良かったです。

 

その他、スカーレット・ヨハンソン、ジェシカ・ビールが当時の女優さんの雰囲気たっぷりに演じているのもとてもよかったし、めだたないけどトニ・コレットも面白かったです。

アンソニー・パーキンスを演じたジェームズ・ダーシーもそっくりでした。

 

ラストもヒッチコック劇場風に戻って、くすりと笑えるシーン。

とても楽しい映画でした。

そうそう、トレードマークの横向きのシルエット、懐かしいなあ。

 

ヒッチコックファンはもちろん、往年のハリウッド映画ファンも一見の価値ありですよ。

 


The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

2013-04-18 10:10:05 | 映画ーDVD

The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛ーTHE LADY

2011年 フランス

リュック・ベッソン監督 ミシェル・ヨー(アウンサンスーチー)デヴィッド・シューリス(マイケル・アリス/アンソニー・アリス)ジョナサン・ラゲット(キム)ジョナサン・ウッドハウス(アレックス)スーザン・ウールドリッジ(ルシンダ)ベネディクト・ウォン(カーマ)

 

【解説】

非暴力を貫いてミャンマーの民主化に挑み、アジア人女性初となるノーベル平和賞を授与された活動家、アウンサンスーチーの実録ドラマ。長きにわたる同国軍事政権との戦いと、それを支えてきたイギリス人の夫と息子たちとのきずなを、『レオン』『フィフス・エレメント』などのリュック・ベッソン監督が重厚なタッチで映し出していく。『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のミシェル・ヨーが、ビルマ語のセリフを完全習得するだけでなく、本人のしぐさやなまりまでも研究し熱演。共演は『ネイキッド』のデヴィッド・シューリス。

 

【あらすじ】

ビルマ(現ミャンマー)建国の勇士として亡き後も国民から敬愛されている将軍を父に持つ、アウンサンスーチー(ミシェル・ヨー)。1988年、母の看病のためにイギリスから祖国のビルマへと戻った彼女は、軍事政権が若者たちの民主主義運動を弾圧するのを目の当たりにしてショックを受ける。そんな中、民主主義運動家たちが彼女の帰国を知って選挙への出馬を訴える。彼らの切実な思いを知って立候補を決意し、民衆の前に立つスーチーだが、それを機に軍事独裁政権から想像を絶する圧力をかけられ……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

劇場公開には行けなかったけど、ちょうど27年ぶりに来日を果たされたアウンサウンスーチー氏。

私にとってはタイムリーな鑑賞となりました。

 

ミャンマーは昔「ビルマ」という国名で知られ、日本でも竹山道雄の「ビルマの竪琴」で知られています。

これは太平洋戦争で日本が敗戦したときの物語ですが、その後、イギリスからの独立や軍事クーデターなど、激動の近代史の中をスーチー氏は生きてきたのです。

 

ビルマ建国の父として今も国民から敬愛されているアウンサン将軍の長女として生まれたスーチー。

彼女がまだ幼いときに父アウンサンは暗殺されてしまった。

 

1988年、イギリス人学者マイケル・アリスと結婚して、2人の男の子を授かり、オックスフォードで幸せに暮らしていたスーチーの元に、母の病気の悪化を知らせる手紙が届いた。

急遽帰国したスーチーは、軍事独裁政権が人々の民主化の運動を弾圧している現状を目の当たりにする。

 

そこから、家族の住むイギリスを離れ、故郷で民主化運動に取り組むスーチーの姿を追います。

長期間の自宅軟禁やハンガーストライキなど、さまざまな手段で非暴力の抵抗を続けたスーチー氏。

クライマックスは、癌を患った夫の死に目にあえなくて、電話でその訃報を聞き泣き崩れる姿でしょう。

 

この作品で強く描かれていたのは、夫であるアリス博士の強い支えでした。

あるときは体を張って、あるときはノーベル賞候補となるための資料作りや人脈確保など、考えられるすべてのことをなさったと思いました。

「鋼鉄の蘭」とも称されるスーチー氏の揺るぎない精神力は、彼女自身の強さもあるけれど、それを支えた夫や息子たちの力でもあると思いました。

 

ぜひこの機会にご覧になってはいかがでしょうか?

 


オレンジと太陽

2013-04-17 09:07:12 | 映画ーDVD

ーオレンジと太陽ーORANGES AND SUNSHINE

2010年 イギリス

ジム・ローチ監督 エミリー・ワトソン(マーガレット・ハンフリーズ)デヴィッド・ウェナム(レン)ヒューゴ・ウィーヴィング(ジャック)

 

【解説】

マーガレット・ハンフリーズ原作の「からのゆりかご大英帝国の迷い子たち」を基に映画化した、児童移民の実態に迫る感動作。イギリスがひそかに19世紀から1970年まで行っていた、強制児童移民という恐るべき真実を明らかにする。今回初のメガホンを取るのは、イギリスを代表する巨匠ケン・ローチの息子ジム・ローチ。物語の鍵を握る社会福祉士を、『奇跡の海』のエミリー・ワトソンが演じている。社会的大問題を独自の視点で描く展開に心打たれる。

 

【あらすじ】

1986年、マーガレット(エミリー・ワトソン)は、イギリスのノッティンガムでソーシャルワーカーとして働いていた。結婚して子どもにも恵まれた彼女は、ある女性から衝撃的な告白を聞く。当時児童養護施設にいた4歳の彼女は、何と船でノッティンガムからオーストラリアまで送られたというのだ。彼女はそのことをきっかけに、本件に関して調査を進めていくと、ばく大な数の子どもがいることを知り……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「子供たちだけで移民するなんて、そんなことあるわけがないでしょう」

ソーシャルワーカーのマーガレット(エミリー・ワトソン)は、直談判に来た、自分がイギリス人の孤児でオーストラリアに強制的に移民させられて親を捜しているという女性に対して、驚いてとっさに返した言葉です。

 

でも、それから間もなしに開かれた養子の会で、ある女性が「自分の生き別れた弟がオーストラリアで生きているらしい」という話を聞き、調べてみる気になった。

そうしたら本当に、孤児のオーストラリア移民政策は、国家間の事業として、長い間秘密裡に行われていたのだった。

しかも期間は1617年から1970年まで続き、その数は15万人にも達していた。

 

この作品は、マーガレット・ハンフリーズ原作の「からのゆりかご大英帝国の迷い子たち」から作られた実話だそうです。

 

孤児という声を上げられない弱いものに対して、なんという仕打ちでしょう。

事業は、教会などの慈善団体が行っていたようですが、誰も、孤児の立場から考える人はなかったようです。

その事業の中身は、慈善という名の児童虐待。

 

イギリスは「ゆりかごから墓場まで」というスローガンの元に、シングルマザーにも手厚い福祉があるのかと思っていたら、母親から子供を取り上げ、オーストラリアへ安い労働力として送り込んでいたなんて!

 

親から引き離され、重労働や虐待に耐えて大人になった孤児たちの究極の願いは、「お母さん」探し。

それは、自分がどこから来た何者なのかというアイデンティティ探しでもありました。

マーガレットの元には、母親の所在を探して欲しいという依頼が殺到しました。

まさに「瞼の母」なんですね。

 

マーガレットは「児童移民トラスト」を立ち上げ、その活動は今も続いているそうです。

 

たんたんと描かれるこの作品。

事実の重みを感じました。

マーガレットは、事実を追求しながらも、責任を国家や慈善団体に押し付けるのではなく、イギリス人の責任として捉えようとしていて、人間の器の大きさを感じました。

孤児たちの心に寄り添い、まさしく母性を体現しているような人でした。

マーガレットの仕事の意義をよく理解し、家庭を守り支えてくれた夫の存在も大きいと思いました。

 

悲しいテーマだけど、悲しすぎず、激しすぎず、でも孤児たちの悲しみとマーガレットの苦悩を的確に描き切っていました。

オススメです。

 

理想の結婚

2013-04-16 10:25:32 | 映画ーDVD

ー理想の結婚ーAN IDEAL HUSBAND

1999年 イギリス

オリヴァー・パーカー監督 ケイト・ブランシェット ミニー・ドライヴァー ルパート・エヴェレット ジュリアン・ムーア ジェレミー・ノーサム リンゼイ・ダンカン ピーター・ヴォーン ジョン・ウッド サイモン・ラッセル・ビール

 

【解説】

「エリザベス」のケイト・ブランシェット主演によるラブ・ロマンス。ロンドンの社交界を舞台に、理想の夫をめぐる淑女・悪女・賢女たちの人間模様をユーモラスに描く。1895年、ロンドン。政治家のロバートと美しく聡明な妻ガートルードは、社交界の誰もが羨む理想的なカップル。だが、ロバートの過去を知る女性が突然現れ・・・。(allcinema ONLINE

 

【感想】

19世紀のロンドンが舞台のラブ・コメディ。

オスカー・ワイルドの原作だそうです。

 

ガートルード(ケイト・ブランシェット)の夫ロバート・チルターン(ジェレミー・ノーサム)は、若いながらも議員を務め、首相からも一目置かれる正義感溢れる切れ者。

二人は社交界でも花形で理想のカップルとうたわれていた。

 

ロバートの親友ゴーリング卿は、家柄血筋は申し分なく、ハンサムだったが、プラプらラと遊びほうけてなかなか結婚しようとしない。

古株の議員である父親はやきもきしていた。

 

そんなときに開かれた夜会に、ガートルードの学友でもあるチーヴリー夫人(ジュリアン・ムーア)が現れ、ロバートを呼び出し、彼の過去の背任行為(インサイダー取引)を持ち出して揺すって来た。

それは、議会でロバートの主張を変えることを意味していた。

さもなくば、世間にばらすという。

ガートルードに軽蔑されることを恐れたロバートは、親友であるゴーリング卿に相談した。

ゴーリング卿とチーヴリー夫人はかつて恋人同士だったことから、事態は複雑に展開していきます。

 

そこにロバートの妹でゴーリング卿に思いを寄せているメイベル(ミニー・ドライバー)も絡んで、いっそう複雑に面白く展開していきます。

 

ケイトは美しいし、ルパート・エヴェレットも素敵。

それぞれが芸達者なので、とても楽しめました。

特にジュリアン・ムーアのチーブリー夫人、嫌みな女がぴったり。

ずいぶん楽しそうに演じていましたよ。

 

皮肉の利いたイギリス映画が好きな人にお薦めです。

 


この森で、天使はバスを降りた

2013-04-16 10:21:49 | 映画ーDVD

ーこの森で、天使はバスを降りたーTHE SPITFIRE GRILL

1996年 アメリカ

リー・デヴィッド・ズロトフ監督 アリソン・エリオット エレン・バースティン マーシャ・ゲイ・ハーデン ウィル・パットン キーラン・マローニー ゲイラード・サーテイン ジョン・M・ジャクソン ルイーズ・デ・コーミア

 

【解説】

ある町に降り立った少女が巻き起こす出来事を温かい視点で描くハートウォーミング・ストーリー。森の奥深くにある小さな町を通るバスからパーシーという少女が降りてくる。彼女は、ハナという無愛想な女が経営するレストラン『スピットファイアー・グリル』で働くことになる。町の人々はよそ者であるパーシーに奇異のまなざしを向けるが、パーシーの魅力に周囲の人々は惹かれてゆく。だが、彼女は誰にも言えない暗い過去があった。(allcinema ONLINE

 

【感想】

この作品は、心に残る作品でした。

オススメです。

 

電話交換手のパーシー(アリソン・エリオット)、州の観光案内で「こんな素晴らしいところはないですよ」と夢見心地で案内する。

そばから同僚が「行ったこともないくせに」と茶々を入れる。

それもそのはず、ここは州立刑務所の中。

パーシーは囚人だ。

 

邦題はパーシーが出所後、ギリアドという田舎町でバスを降りたことを表現しているけど、「天使」というのはネタバレ気味。

観客はこの時点でまだパーシーがどういう人物か、疑っているでしょう。

 

パーシーが刑務官に紹介されて頼って来たのは、ギリアドのシェリフ(ゲイラード・サーテイン)。

このシェリフが紹介してくれたのがハナ(エレン・バースティン)が経営するレストラン「スピットファイアーグリルーTHE SPITFIRE GRILL」、そう原題です。

 

ハナは疑いながらもパーシーを住み込みで雇ってくれた。

小さな町の人々は、パーシーが何者か好奇に満ちたまなざしでレストランにやって来た。

パーシーは大声で「ハナ、私は刑務所に入っていたって言ったかしら?」と叫んだ。

それで、ハナはすっかりパーシーが気に入ってしまった。

 

疑い深かったのはハナのたった一人の甥のネイハム(ウィル・パットン)。

妻のシェルビー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)をハナのレストランで働かせにやった。

でも、いつもネイハムにバカにされていたシェルビーはパーシーとすっかり仲良くなった。

 

ハナは、レストランを売りたかったが、買い手がつかなかった。

パーシーはカフェの新しいオーナーの募集に参加費100ドルの作文コンテストを提案した。

三人はその企画に夢中になり、なんと全国からたくさんの反響があった。

 

ハナがお金が欲しかった理由は、戦争で心が傷つき、山にこもってしまった一人息子の心配があったからだった。

誰にも秘密にしていたが、パーシーはその息子と心を通わせていた。

 

作文コンテストが締め切りとなり、ハナの家にたくさんの現金が集まった夜、ネイハムはパーシーを疑い、お金を隠そうとして…。

 

☆ネタバレ

パーシーの不幸な過去が明かされ、パーシーはハナの息子を逃がす途中で亡くなってしまいます。

でも、ハナの元に息子が帰り、ハナは若い子連れの女性にレストランを譲るというラストでした。

 

ここで、初めてパーシーはみんなの心に宿る天使だいうことがわかります。

どんなに不幸な生い立ちでも、素直な心が人々に温かい気持ちを思い出させるというステキな作品でした。

 

オススメです。


アンナ・カレーニナ

2013-04-12 16:38:22 | 映画ー劇場鑑賞

ーアンナ・カレーニナーANNA KARENINA

2012年 イギリス

ジョー・ライト監督 レオ・トルストイ原作 キーラ・ナイトレイ(アンナ・カレーニナ)ジュード・ロウ(カレーニン)アーロン・テイラー=ジョンソン(ヴロンスキー)ケリー・マクドナルド(ドリー)マシュー・マクファディン(オブロンスキー)ドーナル・グリーソン(リョーヴィン)ルース・ウィルソン(プリンセス・ベッツィ・トヴェルスカヤ)アリシア・ヴィキャンデル(キティ)オリヴィア・ウィリアムズ(ヴロンスキー伯爵夫人)エミリー・ワトソン(リディア・イワノヴナ伯爵夫人)カーラ・デルヴィーニュ(ソロキナ嬢)

 

【解説】

ロシアの文豪LN・トルストイの代表作を実写化した大作ドラマ。19世紀ロシアを舞台に、青年将校に惹(ひ)かれたのを機に政府高官である夫との愛のない結婚や社交界から離れようと決意した女性に振り掛かる試練を追う。メガホンを取るのは、『つぐない』『ハンナ』などの鬼才ジョー・ライト。『つぐない』でライト監督と組んだキーラ・ナイトレイが、許されぬ恋に身を焦がしながらも自分らしく生きようとするヒロインのアンナ・カレーニナを熱演。実力派スターが集結した豪華な共演陣、豪華絢爛(けんらん)な衣装や美術も見どころだ。

 

【感想】

19世紀末のロシア。政府高官カレーニン(ジュード・ロウ)の妻にして、社交界の花として人々から注目されるアンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)。しかし、華やかな生活の裏で夫との愛なき結婚に空虚なものを抱いていた。そんな中、彼女は離婚の危機に陥った兄夫婦の関係を修復させようと、彼らのいるモスクワへ。駅に降り立ったアンナは、そこで青年将校ヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会う。彼から強い思いをぶつけられて戸惑う彼女だが、自分にも彼を慕う気持ちで胸がいっぱいだった。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

どろどろの不倫話かと覚悟して見に行ったら、舞台仕立ての風変わりな展開で、それはそれで楽しめました。

 

19世紀末の帝政ロシアと呼ばれていた頃のお話。

ペテルブルグに住む政府高官カレーニン(ジュード・ロウ)の妻アンナ(キーラ・ナイトレイ)は、兄夫婦のいざこざを治めるためにモスクワにやってきた。

 

兄も役人だが、女遊びがひどく、今回は娘の家庭教師に手を出したところを妻のドリー(ケリー・マクドナルド)に知られ、離婚まで持ち出す騒動となった。

 

アンナはドリーに「自分が苦しまないように兄の行為を許せ」と諭した。

 

オブロンスキー(マシュー・マクファディン)は、ドリーの妹キティ(アリシア・ヴィキャンデル)に求婚しようと田舎の領地からやってきた。

でも、キティは青年将校ヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)からのプロポーズを待っていた。

 

ドリーに誘われて舞踏会に出たアンナは、みんなの憧れの的となった。

特にヴロンスキーは、アンナの美貌に心を奪われてしまった。

モスクワに帰るアンナを追いかけて来た。

二人は一目もはばからずふるまい、ヴロンスキーは離婚を迫った。

二人の間に赤ちゃんまでできたが、難産でアンナは生死をさまよう。

 

カレーニンとヴロンスキーは和解するが、アンナが回復するとまた関係は険悪となり、なかなか離婚に応じない。

一人息子もアンナから取り上げて、世間からも隔絶され、アンナはどんどん精神不安定になる。

最後にはヴロンスキーに女性がいると疑い出し、希望をなくしたアンナは列車に身を投げて自殺してしまう。

ヴロンスキーは戦地へと赴く。

 

一方、ヴロンスキーに去られて傷心のキティは、再び勇気を奮って求婚したオブロンスキーを受け入れ、彼の領地で生きることを決心する。

 

先にも書いたように、舞台仕立てで淡々と進んでいくので、誰に思い入れをするというふうなドラマではありませんでした。

キーラの演じるアンナは強い女性で、自分のしたことの結果として悲劇の結末となったのは同情の余地がないと思いました。

 

カレーニンは冷静な男で、アンナにとっては面白みのない年上の夫だったのでしょう。

でも、ヴロンスキーは後先考えない若造で、二人の恋には最初から未来がありませんでした。

この物語、私はキティが救われたお話だと思いました。

真の男、オブロンスキーと一緒になれて、キティが幸せになれたのはアンナのお陰?

人生は皮肉ですねー。

 

帝政ロシア時代の豪華なドレスや宝飾品は、本当に素敵。

目の保養になりました。

 

ヴロンスキーは、まるで宝塚の男装のようだと思いましたが、彼を演じているアーロン・テイラー=ジョンソンは、「ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ」でジョン・レノンを演じていたし、もっとびっくりは「キック・アス」の主人公なんですね!!

 


仕立て屋の恋

2013-04-12 16:33:58 | 映画ーDVD

ー仕立て屋の恋ーMONSIEUR HIRE

1989年 フランス

パトリス・ルコント監督 ミシェル・ブラン(イール氏)サンドリーヌ・ボネール(アリス)リュック・テュイリエ(エミール)アンドレ・ウィルム(刑事)

 

【解説】

殺人事件の容疑者として、仕立屋のイールという男が浮かんだ。だが彼こそは、真犯人を知る唯一の人物だった。向かいのアパートに暮らす、アリスという女性をのぞき見しているときに、殺人事件を目撃してしまったのだ。アリスは彼が何処まで知っているかを確かめようと接近してきたが……。(allcinema ONLINE

 

【感想】

仕立て屋の恋、この恋は悲しい結末でした。

 

若い娘が殺された。

容疑者に浮かんだのが、町内の変わり者、仕立て屋のイール氏(ミシェル・ブラン)。

陰気な風貌、中年の独りもの。

刑事(アンドレ・ウィルム)が聞きに来ても愛想が悪い。

 

イール氏の密かな楽しみ。

迎えのアパートに住むアリス(サンドリーヌ・ボネール)の部屋をのぞき見ること。

アリスには、結婚を望んでいる恋人エミール(リュック・テュイリエ)がいた。

 

アリスはひょんなことから、イール氏の存在に気が付いた。

アリスはある思惑を持ってイール氏に近づいていく。

 

☆ネタバレ

殺人事件の真犯人はエミールだった。

あの夜、殺人事件を起こしてしまったエミールはアリスの部屋に来て証拠品を始末した。

それをイール氏に見られたのかどうか?

アリスはそれを確かめたかった。

 

イール氏にもアリスの魂胆はわかったが、エミールを諦め自分と一緒に故郷に帰ってくれるかどうか、大きな賭けに出た。

その結果は…!?

 

イール氏には、最悪の結果となった。

しかし、イール氏は一言も弁解せず、悲しい愛の言葉を一言吐いて、死んでいきました。

 

こういう恋もあると切ない気持ちになりました。

よかった!!

 

冷静に考えると、覗き見は犯罪だし、覗き見するような男は絶対好きにならない。

でも、こうして名匠ルコントの手にかかり作品となってみると、イール氏の心理の深さと、アリスの残酷さが浮き彫りになっていました。

さすが名作、すごいね!

 


ロレンツォのオイルー命の詩

2013-04-12 16:30:18 | 映画ーDVD

ーロレンツォのオイルー命の詩ーLORENZO'S OIL

1992年 アメリカ

ジョージ・ミラー監督 ニック・ノルティ スーザン・サランドン ピーター・ユスティノフ キャスリーン・ウィルホイト ジェリー・バマン マドゥカ・ステッディ ジェームズ・レブホーン アン・ハーン ザック・オマリー・グリーンバーグ ローラ・リニー

 

【解説】

不治の病、副賢白ジストロフィーに侵された息子を救うために奮闘する夫婦の実話を、「マッドマックス」のG・ミラーが映像化した作品。平凡な銀行員オーギュストの息子が、不治の病に侵された。病院の治療もむなしく、息子の容体は日をおって悪化していく。オーギュストと妻は、自分たちの手で治療法を発見するべく様々な文献を読みあさるが……。(allcinema ONLINE

 

【感想】

私事ですが、孫ができました。

二人目の孫ですが、娘の子供なので、我が家で静養中です。

 

そんな中でこの作品を見ると、親の気持ちが身にしみる作品でした。

健康で育つ中でも、いろんな悩みが沸いてくるのが子育て。

それが、難病の子供を持つ親御さんのお気持ちは、大変なものがあることでしょう。

 

銀行に勤めるアメリカ人のオドーネ夫妻(ニック・ノルティ、スーザン・サランドン)は、最近赴任先のアフリカから本国に戻って来た。

ところが、愛する息子ロレンツォに異常が現れる。

突然乱暴になったり、転倒して大けがをしたり。

医師の診断は、不治の病、副賢白ジストロフィーALDと診断された。

 

夫妻は、あらゆる治療を試みるが、まだ発見されて間もない病気なので、実験台にされることもあった。

夫妻はこれではいけないと、文献を読みあさり、研究を始めた。

 

そして、専門の壁を越えたシンポジウムを開催したり、独自の研究を専門家に聞いてもらったりしながら、脱ミエリン化を起こす極長鎖脂肪酸(VLCFA)を低下させる一種の栄養療法であるオレイン酸とエルカ酸の混合物「ロレンツォのオイル」を作り出した。

 

この物語は実話であり、映画の最後にはロレンツォのオイルで助かった人たちが映し出されています。

ロレンツォを演じた子役の演技に、涙を禁じられません。

とてもいい映画でした。

 

その後日談がウィキペデアに掲載されていました。

「その後、ロレンツォは処置が遅れたため劇的な回復は見られなかったものの、簡単な意思表示や、絵本や音楽を楽しむまでには回復した。

母親のミケーラ・オドーネが20007月に肺癌により亡くなり、父親のオーギュスト・オドーネがその後も看病していたが、2008530日にロレンツォは誤嚥性肺炎のために死去した(30歳没)。」ウィキペディァより

 

この治療法は、効く人と効かない人があったようですが、いまでは発症前の患者を見つけ、早期から「ロレンツォのオイル」を投与して予防しているそうです。

 すごい功績ですね。