マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

私の中のあなた

2009-10-30 11:09:36 | 映画ー劇場鑑賞
ー私の中のあなたーMY SISTER'S KEEPER
2009年 アメリカ
ニック・カサヴェテス監督 キャメロン・ディアス(サラ・フィッツジェラルド)アビゲイル・ブレスリン(アナ・フィッツジェラルド)アレック・ボールドウィン(キャンベル・アレグザンダー)ジェイソン・パトリック(ブライアン・フィッツジェラルド)ソフィア・ヴァジリーヴァ(ケイト・フィッツジェラルド)ジョーン・キューザック(デ・サルヴォ判事)トーマス・デッカー(テイラー・アンブローズ)ヘザー・ウォールクィスト(ケリーおばさん)エヴァン・エリングソン(ジェシー・フィッツジェラルド)デヴィッド・ソーントン(ドクター・チャンス)

【解説】
アメリカの人気作家ジョディ・ピコーのベストセラー小説を、『きみに読む物語』のニック・カサヴェテス監督が映画化。白血病の姉のドナーとなるべく遺伝子操作によって生まれた妹が、姉への臓器提供を拒んで両親を提訴する姿を通し、家族のありかたや命の尊厳を問いかける。主演のキャメロン・ディアスが初の母親役に挑み、両親を訴える次女役を『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリンが熱演。シリアスなテーマながら、主人公一家の強い家族愛が胸を打つ。

【あらすじ】
白血病の姉ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)に臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によって生まれた11歳のアナ(アビゲイル・ブレスリン)。彼女はこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきたが、母サラ(キャメロン・ディアス)は愛する家族のためなら当然と信じてきた。そんなある日、アナは姉への腎臓提供を拒否し、両親を相手に訴訟を起こす。

【感想】
私には3人の子供がいますが、誰かが不治の病になったとして、他の誰かをドナーにできるでしょうか。
生まれた時からずっと、健康な子供に注射針や麻酔の伴う処置ができるか。
まして、腎臓提供をと思うだろうか?

この作品のアナ(アビゲイル・ブレスリン)は、白血病の姉(ソフィア・ヴァジリーヴァ)を助けるために、両親であるサラ(キャメロン・ディアス)とブライアン(ジェイソン・パトリック)が遺伝子操作で作った子供。
倫理的にはどうなの?という、ぎりぎりの子供です。

そうであっても、アナは日々人間として成長し、自我にも芽生え、自分の体を守るため、弁護士(アレック・ボールドウィン)を雇って姉への臓器提供を拒否するお話です。

すごくセンセーショナルな、ショッキングなテーマですが、本編はまったくそうではなく、穏やかな家族のお話でした。
日本では殺伐になりがちな法廷シーンも、難病を抱えて、介護犬と活動するアレック・ボールドウィンや、愛娘を亡くした判事(ジョーン・キューザック)を配置して、ともすれば孤立しそうな母サラの心情も酌んだ形でストーリーは進められて行きました。

法廷のシーン。左がサラ、真ん中が判事、右がアナの弁護士

ポイントはケイトの恋のお話です。

 ケイトとテイラー

病気そのものや、クスリの副作用で苦しみながらも、同じ患者であるテイラー(トーマス・デッカー)と知り合い、恋をして、生きる力や、別れの悲しみを経験するケイト。
それを戸惑いながらも温かく見守る家族。
本当にいいなあと思いました。

そして、最後の真相が明らかになったとき、家族は成長して、ケイトの死ときちんと向き合える人々になっていました。

私はまったく、サラと同じ立場で見てしまいました。
サラは弁護士というキャリアを投げ打って、ケイトの救命にあたっていて、それ以外は何も考えられない状況にいます。
アナが犠牲になるのは、申し訳ないと思うけど、でも、ケイトを死なせるわけにはいかない。
自分の目の前で、ケイトを死なせるわけにはいかないと、思い込んでいる母親なのです。
その思いは最後までぶれることはありませんでした。
でも、サラ自身の内面ではすごい葛藤があったと思うし、辛い決断を何度も自分に強いてきたのだと思います。
だから、家族もサラを理解し、彼女の愛情を疑ったり失ったりすることはなかったんだと思いました。

本当に、いい映画でした。
みなさんにも、ぜひ見ていただきたいと思いました。

ミュージカル ウィキッド 誰も知らない、もう一つのオズの物語

2009-10-27 09:27:27 | 映画ー劇場鑑賞
ーミュージカル ウィキッド 誰も知らない、もう一つのオズの物語ー
作詞/作曲=スティーヴン・シュワルツ 脚本=ウィニー・ホルツマン 原作=グレゴリー・マグワイア 演出=ジョー・マンテロ
日本語版歌詞・台本=劇団四季文芸部 
キャスト=グリンダ(苫田亜沙子)エルファバ(江畑晶慧)ネッサローズ(山本貴永)マダム・モリブル(八重沢真美)フィエロ(北澤裕輔)ボック(金田暢彦)ディラモンド教授(雲田隆弘)オズの魔法使い(栗原英雄)

【感想】
1900年にアメリカで出版された、ライマン・フランク・ボームによる小説「オズの魔法使い」は、いまなお全世界で読み継がれている児童文学作品です。
アメリカ・カンザス州に住むドロシーが、竜巻に家ごと巻き込まれて、飼い犬のトトとともに不思議な「オズの国」へ飛ばされてしまう。
脳みそのないかかしや、心臓のないブリキの木こり、臆病なライオンと出会い、「エメラルドの都」にいる大魔法使い「オズ」に願いを叶えてもらうために会いに行くという物語です。

1939年に映画「オズの魔法使い」が、MGMがヴィクター・フレミング監督を起用して、ファンタジーミュージカルとして製作されました。
主演はジュディ・ガーランド。
完成には、困難を極め、公開当時もあまりヒットしなかったようですが、いまではファミリー映画としてその輝きは失せていません。
私もテレビで見たことがあります。
挿入歌「虹の彼方に」は、頭の中でメロディーが聞こえるほど有名。
スタンダードナンバーとなっていますね。

さて、このミュージカルの「ウィキッド」は、「オズの魔法使い」の裏話として、1995年に刊行されたグレゴリー・マグワイヤ著の「オズの魔女記」が原作です。
「オズの魔女記」をウィニー・ホルツマンが書き直し、スティーブン・シュウォルツが曲を付けたミュージカル版は、原作を大幅に脚色し直して、テンポのある作品に仕上がっています。
境遇の全く違う魔女2人の友情や、ボーイフレンドとの三角関係など、青春の問題を描きながら、肌の色の違いや動物たちに、弱い立場の人たちを重ねて、人種差別など、社会弱者の問題にも切り込んでいると言えます。
また、「オズの魔法使い」でおなじみの、ブリキ男やかかしなどをうまく配置して、物語に厚みを出していました。

☆ネタバレ
お話は「オズの魔法使い」で描かれたオズの世界の、少し前から始まります。
オズの国では、人も動物も同じ言葉を話し、みんな自由に平和に暮らしていました。

魔法のクスリを持つ謎の人間と不倫をした女性が、身ごもり、生まれた子供が肌の色が緑色の醜い娘、エルファバでした。
この夫婦には次の娘、ネッサローズも誕生するのですが、月足らずで生まれたため、生まれつき足が不自由でした。
そのお産がもとで母親は亡くなり、エルファバは父からも疎まれて育ちました。

二人は年頃になり、寄宿舎のある高校へ。
エルファバは足の悪いネッサローズの世話係ということでしたが、魔法の才能を認められて、マダム・モリブルの特別授業を受けることになりました。

その高校には、美人で明るくみんなに好かれるグリンダと、かっこいいフィエロがいました。
グリンダはエルファバと同室になりましたが、エルファバを疎ましく思い、自分の気に入らない帽子をプレゼント。
エルファバは、その帽子をグリンダの好意だと思い、それをかぶってダンスパーティに現れました。
そのみっともない姿に引いてしまう同級生たち。
そのなかでエルファバは一人で踊りだしました。
グリンダは、エルファバと一緒に踊り始めます。
二人の間に友情が生まれ、お互いの内面を知ろうと努力するようになりました。

ある日、エルファバにオズの魔法使いから招待状が届き、エメラルドシティへとグリンダとともに旅立ちます。
エメラルドシティはまぶしいほどの大都会でしたが、宮殿を訪ねたふたりはオズの魔法使いの正体を知って驚きました。
ほかの世界から来た普通の人間だったのです。
しかも彼は、自分の威信を保つために動物たちから言葉を奪っていた張本人でした。
真実を知ったエルファバは「魔法の書」を持って、空高く舞い上がり、オズの国の自由のために、オズと戦う決心をしました。

オズは、エルファバこそ悪い魔女だと国中をあおり、人々は魔女探しに血眼になります。
時は過ぎ、グリンダはオズの広報官として、フィエロはエルファバ探しの先鋒として活躍していました。
でも、二人ともエルファバの身を一番案じていたのでした。

マダム・モリブルが起こした竜巻で、ドロシーがやってきました。
運悪く、ドロシーの家がネッサローズの上に落ち、ネッサローズは亡くなってしまいました。
しかし、それこそがエルファバをおびき出すオズの策略だったのです。
追いつめられたエルファバは、ドロシーを捕まえて立てこもりますが、万事休す、ドロシーから水をかけられて死んでしまいましたー。

でも、このあとから、どんでん返しが楽しめます。
愛と友情と冒険がいっぱい詰まった舞台でした。

グリンダとエルファバの友情物語には胸を打たれます。
舞台装置も素晴らしいし、衣装もとても楽しいです。

これは、もう一回見に行きたいなあ、という気持ちにさせてくれるミュージカルでした。

大阪四季劇場で、2010年4月4日まで公演が決まっているようです。

リミッツ・オブ・コントロール

2009-10-10 09:06:23 | 映画ー劇場鑑賞
ーリミッツ・オブ・コントロールーTHE LIMITS OF CONTROL
2009年 アメリカ
ジム・ジャームッシュ監督 イザック・ド・バンコレ(コードネーム:孤独な男)アレックス・デスカス(コードネーム:クレオール人)ジャン=フランソワ・ステヴナン(コードネーム:フランス人)ルイス・トサル(コードネーム:ヴァイオリン)パス・デ・ラ・ウエルタ(コードネーム:ヌード)ティルダ・スウィントン(コードネーム:ブロンド)工藤夕貴(コードネーム:モレキュール(分子))ジョン・ハート(コードネーム:ギター)ガエル・ガルシア・ベルナル(コードネーム:メキシコ人)ヒアム・アッバス(コードネーム:ドライバー)ビル・マーレイ(コードネーム:アメリカ人)

【解説】
鬼才ジム・ジャームッシュが『ブロークン・フラワーズ』以来、約4年ぶりに放つ新作。スペインを舞台に、ある任務のためにさまざまな街を巡る謎の男の不可思議な旅を幻想的な映像とともにつづっていく。主演はジャームッシュ作品の常連俳優イザック・ド・バンコレ。ビル・マーレイ、ガエル・ガルシア・ベルナル、工藤夕貴らも出演している。色彩の国スペインでオールロケを慣行して描き上げた、色鮮やかな映像世界が見どころ。

【あらすじ】
「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」という不可解な任務を与えられ、一人の男(イザック・ド・バンコレ)がスペインにやって来た。“孤独な男”なるコードネームを持つ彼は、任務遂行を目指してスペイン中を巡っていく。そんな“孤独な男”の前に、彼同様にコードネームを持つ名もなき仲間たちが現れ始めるが……。


【感想】
これは、ジム・ジャームッシュ流の作品で、彼の作品を見たことがない人にはなかなかきついんじゃないかなあ。

「ブロークン・フラワーズ」よりは、かなり難解ですが、難解と思わない方がいいのかも…。
見たままを感じていいんじゃないかなあ?

主人公はたぶん、殺し屋(イザック・ド・バンコレ)。
凄腕だと思う。
だって、目を開けたままで眠るんだよ。
大きなバッグを持っていて、中には仕事着である上等なスーツが何着か入っています。
最初は、絶対武器が入っていると思ったけど、拳銃は嫌いなようです。
携帯電話も嫌い。
精神集中のために太極拳のようなポーズをして、最後に礼で終わる。
寡黙である。

最初、殺し屋は空港で二人の男に会う。
一人はスペイン語で指令を出す人、もう一人は通訳。
今回の指令は「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」というもの。
そして、ホテルの鍵を渡し、「バイオリンを探せ」と言った。

彼を示すのは(たぶん)エスプレッソが二つのカップに入れられている。
それを見つけてキーマンが声をかける。
合い言葉は「スペイン語を話せるか」と聞かれたら「いや」と答えること。
そのとき交換されるマッチ箱の中に指命の暗号が書いてあって、その紙は読み終わるとエスプレッソで胃の中に流し込む。
キーマンたちは、映画や美術科学の話をする。
全体に共通してこんな感じ。

まず、飛行機でマドリッドへ飛んで、渡された鍵で部屋を開け、そのホテルで滞在。
すごくおしゃれな大理石のまわり階段のあるホテル。
毎日のようにカフェでエスプレッソを二つ並べて待っている。
退屈なので、美術館へも出かける。
ある日バイオリンを持った男がやって来て、おしゃべりをした後マッチを交換して、「女を待て」という。
ホテルに帰ると、裸の女がいて、誘惑するが、彼は乗らない。
仕事中はセックスはしないようです。

やっとカフェに金髪の女(ティルダ・スウィントン)が現れて、次ぎに行く場所を示した暗号を渡す。
長距離列車の中で、女(工藤夕貴)と接触。
指令とホテルの鍵を渡される。
次に接触した来るのは「ギターを持った男」と言われる。

渡された鍵は、郊外の町のホテル。
外は落書きだらけで汚いけど、中はきれいな中庭があって、幾何学模様の床と幾何学模様の色鮮やかな壁紙が印象的な廊下。
また、ここでしばらく待つ。
退屈なので町をぶらついていると、怪しいフラメンコの店があって、ここが本命かと観客も色めくけれど、違っていて、殺し屋は苦笑い。
ある日カフェにギター男(ジョン・ハート)がやって来て、指令を伝え、彼はギターを持ったまま再び列車で移動。
次の接触者は「メキシコ人とそのドライバー」。

また汽車に乗って、着いたところは、荒野が広がる田舎町。
まるで、ウエスタンに出て来るような田舎の駅です。
丘の上のカフェで待っていると、そこにやって来たのが顔に傷のあるメキシコ人(ガエル・ガルシア・ベルナル)。
さらなる指令を置いて、運転手とともにいよいよ本命「自分こそ偉大だと思う男」のアジトへ。

その本命がビル・マーレイ。
相変わらず、笑わせてくれます。
なぜ彼が「自分こそ偉大だと思う男」かという根拠は知らされず、殺し屋がギターから抜いておいたギターの弦で、あっさりと締め殺され、殺し屋は姿を消し、これでミッションは終わり。
大成功!!


殺し屋はアメリカへ戻り、普段着に着替えて、スーツは鞄とともにコインロッカーへ置き去り。
雑踏の中へと姿を消しました。終わり。

ひねりも何もありません。

依頼主は何者か?
暗殺されたのは何者か?
指令を伝えに来た人たちは誰なのか。
ティルダ・スウィントンは、誰に何のために誘拐されたのか。
裸の女はなぜ殺し屋を追って来て、誰に殺されたのか。
どうやってアジトに侵入し、脱出したのか。

まあ、これだけ謎だらけだったら、この方向を考えるのは違っているなあと思うでしょう?

それよりも、ジム・ジャームッシュのスタイリッシュな世界を楽しみましょう。
スペインをこんな風に楽しむんですよ、と言うことかもしれないし…。
実際、緊張感溢れる殺し屋との旅は、長いようで短い、不思議な感覚を味わえました。
観念や感覚だけでも、ストーリーなんかなくても、映画は楽しめる、と言うことかなあ?

誰にでも、進められる作品ではないけど、タイトルの「支配の限界(LIMITS OF CONTROL)」から、エンドタイトルの「限界もない、支配もない(NO LIMIT NO CONTROL)」へ、この流れを考えてみるのも一興かと思いました。
いろいろこじつけてもみても、結局、私には何もわからないけどね~。
それでも、どこか魅力を感じる映画でした。

幸せはシャンソニア劇場から

2009-10-10 08:46:57 | 映画ー劇場鑑賞
ー幸せはシャンソニア劇場からーFAUBOURG 36/PARIS 36
2008年 フランス/ドイツ/チェコ
クリストフ・バラティエ監督 ジェラール・ジュニョ(ピゴワル)クロヴィス・コルニアック(ミルー)カド・メラッド(ジャッキー)ノラ・アルネゼデール(ドゥース)ピエール・リシャール(ラジオ男)ベルナール・ピエール・ドナデュー(ギャラピア)マクサンス・ペラン(ジョジョ)

【解説】
『コーラス』の製作者ジャック・ペランとクリストフ・バラティエ監督が再タッグを組み、フランスで130万人の動員を記録した感動作。経済不況や戦争の影が忍び寄る1936年のフランス、パリ北部の街角にあるミュージックホールを舞台に、力強く生きる親子、恋人同士、音楽仲間たちの物語が華やかな音楽とともにつづられる。歌唱力抜群の大型新人として注目を集めた19歳のノラ・アルネゼデールなど、キャストたちの好演と歌声にも注目だ。

【あらすじ】
下町の人々から愛されるミュージックホール、シャンソニア劇場が不況のあおりを受け、不動産屋に取り上げられる事態に。支配人のピゴワル(ジェラール・ジュニョ)は仲間たちとともに劇場を取り戻そうと、オーディションにやって来た美しい娘ドゥース(ノラ・アルネゼデール)の類まれな歌声を頼りに、再び公演を始めるが……。


【感想】
いやあ、よかったなあ。
この映画、もしかしたら今年私の一番かも…!!

ジャック・ペランと言えば「ニューシネマパラダイス」、ジェラール・ジュニョと言えば「バティニョールおじさん」「コーラス」、監督も「コーラス」のクリストフ・バラティエ。
私が気に入るのも納得ですね。

「ニューシネマパラダイス」の匂いがします。
好きな人はぜひご覧くださいね。

時代は1936年から始まります。
どうみてもお人好しの貧しい市民にしか見えないピゴワル(ジェラール・ジュニョ)は、殺人の疑いで取り調べを受けています。
担当の刑事は、この仕事を早く終えて、バカンスに出かけたいのですが、彼が殺人を犯した理由を知りたくて、じっくり話を聞き始めました。
観客も、彼の話をじっくり聞きたいと思わせる、うまい導入部分です。

☆ネタバレ
ピゴワルはファボール(下町)のシャンソニア劇場で長年幕引き係として働いていました。
妻は一座の司会嬢、そして愛する一人息子のジョジョ。
家族3人でバカンスに海へ行くのが夢でした。

ところが、劇場のオーナーが悪徳不動産やのギャラピアに資金繰りのために借金し、厳しい取り立てに屈して、大晦日の夜自殺してしまいました。
劇場で働いていた人たちは即刻失業、劇場もギャラピアの持ち物に。

ピゴワルにとってもっと悪いことに、妻は旅回りの歌手と駆け落ちしてしまったのです。

仕事もなく、酒に溺れるピゴワル。
ジョジョはラジオ男(ピエール・リシャール)に教わったアコーディオンを弾いて、学校へも行かず、物乞いをし、食料品店に、ピゴワルが付けで買ったお酒や食べ物のお金を支払っていました。
それを知ったピゴワルはやっと目が覚め、息子のためになんとかしなくてはと思います。
でも、妻はお金持ちの貿易商と再婚して、ジョジョの養育権を求め、ビゴワルは法的にもジョジョを取り上げられてしまいました。

ジョジョを取り戻すために、再びシャンソニア劇場に戻ったピゴワル。
シャンソニア劇場では、ジャッキーが無断で物まねショーを開催していました。
ピゴワルと元照明係のミルー(クロヴィス・コルニアック)は、それを妨害に来たギャラビアの手下を蹴散らして、劇場を占拠しました。

ギャラピアは、自殺した支配人を頼って来たドゥース(ノラ・アルネゼデール)に、年甲斐もなく恋をして、優しい振りをして、シャンソニア劇場の自主再建を認めました。

でも、資金もなく、素人芸人の集まりのような劇場は、失業者たちの劇場として話題にはなりましたが、ドゥースという新しいスターを生んだところで行き詰まり、閉鎖を余儀なくされました。
ドゥースは大手のプロダクションに誘われました。
ドゥースとミルーは愛し合っていましたが、ドゥースは歌手として生きる道を選んだのでした。

パリの労働者はゼネストを行い、労働者の権利も勝ち得ましたが、一方では、ユダヤ人を排斥するファシストたちも団結していました。
時代が戦争へと動き出していたのです。

劇場のの再生もダメ、息子も取り戻せない、絶望したピゴワルは泥酔して劇場の高見から落ちて大けがをしました。
一命は取り留めましたが、家財道具も差し押さえられ、やっとの思いで取り戻したジョジョのアコーディオンを持って妻のところに。
結局は会えず、それでも、息子を取り戻すためにわずかな望みをつないで、肉体労働者となりました。

一方、ドゥースが有名になり、ラジオで歌っていました。
彼女が、かつての恋人ローズの娘だと知ったラジオ男は、長年の引きこもりを終え、ドゥースのもとへ。
ドゥースが歌っている歌は自分が作った歌だと告げ、シャンソニエ劇場のために戻ってほしいと言います。

ドゥースはギャラピアと、我が身をかけて取引をし、ジャッキー、ミルー、ピゴワルを引き入れ、ラジオ男作・演出のショーを敢行しました。

このショーが大当たり。
シャンソニエ劇場はかつての活気を取り戻し、今一歩でギャラピアから劇場を買い戻せると言う日ーパリ祭の夜に、悲劇が起こったのです。

ストーリーも、展開が早く、起伏があってすごく面白いし、失業者の問題など、現代に通じるような問題も示されているし、父と息子の思いやりには泣かされるし、その演出には笑ってしまうし、このへんは文句なしです。
ドゥースとミルーの、一途な恋愛物語もとても素敵です。

でも、一番重要なのは、人々がシャンソニア劇場の再建にかける情熱と友情の物語です。
ここが「ニューシネマパラダイス」とは違って、とてもわくわくします。
でも、思いがけない悲劇が待っているというどんでん返し。
しかも、悲劇だけでは終わらない、ラストの余韻も楽しめます。

この作品、お薦めです。

バンク・ジョブ

2009-10-06 14:02:57 | 映画ーDVD
ーバンク・ジョブーTHE BANK JOB
2008年 イギリス
ロジャー・ドナルドソン監督 ジェイソン・ステイサム(テリー・レザー)サフロン・バロウズ(マルティーヌ)リチャード・リンターン(ティム・エヴェレット)スティーヴン・キャンベル・ムーア(ケヴィン)ダニエル・メイズ(デイヴ)ピーター・ボウルズ(マイルズ・アークハート)キーリー・ホーズ(ウェンディ・レザー)コリン・サーモン(ハキム)ピーター・デ・ジャージー(マイケルX)ジェームズ・フォークナー(ガイ)シャロン・モーン(ソニア)アルキ・デヴィッド(バンバス)アリスター・ペトリ(フィリップ・リスル)マイケル・ジブソン(エディ)ジョージア・テイラー(イングリッド)デヴィッド・スーシェ(ロウ・ヴォーゲル)

【解説】
“ウォーキートーキー強盗”として有名なイギリス最大の強奪事件を基に作られたクライム・サスペンス。銀行強盗に入った先で、思わぬ王室スキャンダルを知ってしまったメンバーたちの起死回生の物語をドラマチックに見せる。主演はシブさが売りの『デス・レース』のジェイソン・ステイサム。彼を悪の道に誘うミステリアスな美女を『再会の街で』のサフロン・バロウズが演じている。複雑に絡み合う利害関係と、謎が謎を呼ぶ展開に興奮する!

【あらすじ】
1971年、イースト・ロンドンで中古車店を営むテリー(ジェイソン・ステイサム)は資金繰りに頭を悩ませていた。そんなある日、彼は昔なじみのマルティーヌ(サフロン・バロウズ)から銀行強盗の話を持ちかけられる。早速彼は仲間のケヴィン(スティーヴン・キャンベル・ムーア)とデイヴ(ダニエル・メイズ)に相談し、実行を決める。


【感想】
実話とはいえ、スキャンダルに関わった人が生きているうちは秘密だそうです。
だから、人物の名前も仮名ですって。

事件の数日後にD通告(国防機密報道禁止令)が発令されていっさい報道されなくなり、マスコミも警察も沈黙を守り通しているそうです。

それでも、9割は実話と言うこの作品、すごく面白かったです。

ジェイソン・ステイサムが主演だけど、すごいアクションはありません。
だけど、かっこいいわねえ、やっぱり。
男の人は、禿げるのをいやがるけど、ジェイソンを見てよ。
本当にかっこいい人は、禿げていてもかっこいいよ!!

☆ネタバレ
さて、ロンドンで中古車屋を経営しているテリー(ジェイソン・ステイサム)は、資金繰りに苦しんでいた。
そこに、昔なじみのマルティーヌ(サフロン・バロウズ)から銀行強盗の話を持ちかけられる。

絶対にうまくいく銀行強盗。
うまい話ー。
でも、この話には裏があった。

町のギャングマイケルXは、いくら悪いことをして捕まっても、すぐに無罪放免される。
すごい王室スキャンダルを握っていたから。
その証拠の写真はベイカー街の小さな銀行の貸金庫の中にあった。

マルティーヌは、麻薬の密輸で捕まりそうになった時、知り合いの政府高官のティム・エヴェレット(リチャード・リンターン)に助けを求めた。
そこで、取引に使われたのが、マイケルXの貸金庫を銀行強盗に見せかけて盗み出すこと。

でも、この銀行の貸金庫に眠っていたのは、マイケルXが握っている写真だけではなかった。
町の風俗店の経営者が、おまわり渡した賄賂の記録や、風俗店に遊びに来る上院議員や政府高官の恥ずかしい写真など、たくさんのスキャンダルや世間には公表できないお宝の山だったー。

テリーたちはド素人の集まりだったので、計画もずさん。
隠れ家に宅配を頼んだり、ウォーキートーキーで連絡を取り合っているのを警察に傍受されたり…。

首尾よく強盗は成功するが、あとが大変。
国家権力や、闇の暴力が束になってかかって来る。
テリーが引き入るド素人の強盗団は、どうやってその攻撃をかわして行くのかー。

それが見所です。
めちゃめちゃ、面白かったですよ。

男と女の不都合な真実

2009-10-05 16:56:02 | 映画ー劇場鑑賞
ー男と女の不都合な真実ーTHE UGLY TRUTH
2009年 アメリカ
ロバート・ルケティック監督 キャサリン・ハイグル(アビー)ジェラルド・バトラー(マイク)エリック・ウィンター(コリン)ジョン・マイケル・ヒギンズ(ラリー)ニック・サーシー(スチュアート)ケヴィン・コナリー(ジム)シェリル・ハインズ(ジョージア)ブリー・ターナー(ジョーイ)

【解説】
『ラスベガスをぶっつぶせ』のロバート・ルケティック監督が手掛ける、不器用な大人の男女の恋愛指南ラブストーリー。頭でっかちなキャリアウーマンと、口だけは達者だが恋に憶病な男性の困難な恋愛模様をコミカルにつづる。主演は『幸せになるための27のドレス』のキャサリン・ハイグルと、『幸せの1ページ』のジェラルド・バトラー。美男美女が口走る過激なセリフの数々や、ブレーキ不能の恋の行方にハラハラドキドキ!

【あらすじ】
美人で優秀なテレビプロデューサーのアビー(キャサリン・ハイグル)だが、その仕切り屋の性格が災いしてなかなかいい相手に巡り合えずにいた。そんな折、彼女は番組の視聴率アップのため、下世話な恋愛相談が売りのマイク(ジェラルド・バトラー)と嫌々チームを組まされる。まるで水と油のような二人は、最初からぶつかり合うが……。

【感想】
かなりガラガラな映画館だったのに、隣に太った男性が。
こんなテーマの映画って、隣に知らない男性がいてほしくないわー。

でも、純粋に映画を楽しまれているようで、かなり「わはは」と声を出して笑っていらっしゃるので、私も思い切り笑って見ましたよ。

そんなに過激な内容でもありませんでした。
ストーリーは結構普通のラブコメでした。
セリフが過激、あ、一カ所、笑っていいかどうか、迷うシーンもありましたが、思いっきり笑いました。
だって、おかしいんだもん。

ジェラルド・バトラーは「幸せの1ページ」でも、「PSアイラブユー」でも、こういうキャラだなあ。
今一番男らしくて包容力のある俳優さんかもしれませんね。

あの日、欲望の大地で

2009-10-05 16:46:11 | 映画ー劇場鑑賞
ーあの日、欲望の大地でーTHE BURNING PLAIN
2008年 アメリカ
ギジェルモ・アリアガ監督 シャーリーズ・セロン(シルヴィア)キム・ベイシンガー(ジーナ)ジェニファー・ローレンス(マリアーナ)ホセ・マリア・ヤスピク(カルロス)ヨアキム・デ・アルメイダ(ニック)ジョン・コーベット(ジョン)ダニー・ピノ(サンティアゴ)J・D・パルド(サンティアゴ(少年時代))ブレット・カレン(ロバート)テッサ・イア(マリア)

【解説】
『21グラム』や『バベル』などの脚本家として知られるギジェルモ・アリアガが、監督として長編デビューを飾った壮大な愛の物語。愛を渇望する悲しい宿命を背負いながらも、一筋の光に導かれる3世代の女性たちの生き様を真摯(しんし)に描く。ミステリアスな主人公とその母親を演じるのは、シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガー。このオスカー女優二人が肉体をさらけ出し、ひたむきに熱演する女性たちの魂の叫びやその悲しみに圧倒される。

【あらすじ】
シルヴィア(シャーリーズ・セロン)は、ポートランドの海辺にたたずむ高級レストランのマネージャーとして働いている。仕事場では有能な彼女だが、プライベートでは行きずりの相手との情事を繰り返していた。そんなある日、彼女の前にカルロス(ホセ・マリア・ヤスピク)というメキシコ人男性と、12歳の少女マリア(テッサ・イア)が現れ……。

【感想】
女性のドラマですが、賛否両論ある映画でしょうね。
私は、かなり気に入りました。

前半は時系列も、場所も、かなり入れ替わって、なかなか本筋が見えてきません。
でも、シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガー二人の演技力に見とれて、ぐんぐん引き込まれます。

☆ネタバレ
シルヴィア(シャーリーズ・セロン)は、ポートランドの海辺の高級レストランのマネージャーをしている。
店のコックと不倫関係にあり、行きずりのお客ともベッドをともにする。
自傷行為を続け、自殺願望もあるようだ。

唐突に挿入されるシーン。
荒野の真ん中で、トレーラーが爆発炎上した現場。
男の兄弟がやって来て、友達に言う。
「父親が死んだ現場。愛人と二人重なって」

もう一つの話は、四人の子供がいる幸せそうな家庭。
長女は高校生で、二人の弟と、幼い妹。
父親は、家族思いで、母は優しい。
しかし、母ジーナ(キム・ベイシンガー)には秘密があった。

乳がんで乳房を失った。
ジーナは傷つき、夫もそんなジーナを抱けなくなっていた。

ジーナは愛人を作り、トレーラーで密会を重ねていた。
最初は廃屋のようなトレーラーが美しく飾られ、二人の愛の巣へと変わって行く。
「水が冷たいわ」とジーナが言い、男はプロパンガスを運んで来た。

この男にも家庭があった。
冒頭の兄弟の父親である。

そして、事故は起きた。
両方の家族は、傷つき嘆く。

そんな中、死んだ男の長男のサンティアゴ(J・D・パルド)はジーナの長女マリアーナ(ジェニファー・ローレンス)に近づき、二人は引かれ合う。
やがて、サンティアゴの母にも、マリアーナの父に知られるところとなり、嘆かれ、激怒され、二人は町を出る。
マリアーナのお腹にはサンティアゴの赤ちゃんが宿っていた。

マリアーナには大きな秘密があった。
誰にも言えない秘密。
愛するサンティアゴにも言えない。
そして、赤ちゃんを産んで2日後、マリアーナは姿を消した。


成長したマリアーナがシルヴィアなのですが、ここからは、あまり書きたくないなあ。
みんなに見てもらいたい。

正しいとか、そういうことではなく、過ちを犯した人間でも、生きる道はあるんだってこと。
命は成長し、やがて傷も罪も癒される時がくるんだろうということ。
希望的観測でもいい、自分は生きていていいんだと、思う時もきっと来るということ。

いつか、母の罪を許し、若さ故の悔やんでも悔やみきれない過ちも、癒され、前を向ける日が来るということ。

この映画を見て、そんなことを感じました。

みんなはどう思うのかなあ?


ウルヴァリン:X-MEN ZERO

2009-10-05 15:38:53 | 映画ー劇場鑑賞
ーウルヴァリン:X-MEN ZEROーX-MEN ORIGINS: WOLVERINE
2009年 アメリカ
ギャヴィン・フッド監督 ヒュー・ジャックマン(ローガン(ウルヴァリン))リーヴ・シュレイバー(ビクター(セイバートゥース))リン・コリンズ(ケイラ)ダニー・ヒューストン(ストライカー)テイラー・キッチュ(レミー・ルボー(ガンビット))ライアン・レイノルズ(ウェイド・ウィルソン(デッドプール))ウィル・アイ・アム(ライス)ダニエル・ヘニー(エージェント・ゼロ)ドミニク・モナハン(ブラッドリー)ケヴィン・デュランド(フレッド・デュークス)

【解説】
全世界でヒットした、『X-MEN』シリーズ最新作。ヒュー・ジャックマン演じる特殊な能力を持つウルヴァリン誕生の秘密を描く。監督には『ツォツィ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞した南アフリカ出身のギャヴィン・フッドを抜てき。キャストには、『オーメン』のリーヴ・シュレイバーや『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のライアン・レイノルズら多彩なキャストが名を連ねる。シリーズ史上、類を見ない激しいアクションに注目。

【あらすじ】
特殊な能力を持つ、ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)。かつてカナダの森で目覚めたとき、ローガンという名の兵士だったというほかに、彼は過去を記憶していなかった。そして、そこには“ウルヴァリン”と刻まれた軍の認識票が残っていたが……。

【感想】
ウルヴァリン誕生秘話。
話は150年も前に遡る。

☆ネタバレ
微熱を出してベッドに伏せているジェームズのそばで、乱暴そうな感じの年上の少年ビクターがいる。
ジェームズの父親が現れ、ビクターに帰るように促す。

そのとき、階下で争う音、どうやらビクターの父親が来たらしい。
ジェームズの母親は、ビクターの父親の元の奥さんだった様子。
ジェームズの父親は部屋を飛び出し、そこに銃声、ジェームズの父親はビクターの父親に撃たれてしまった。

ジェームズの体に怒りが満ちると、握った拳から、3本の爪が飛び出し、ビクターの父親を襲った。
ビクターの父親は「お前は俺の息子だ」と言う。

家を飛び出したジェームズを追いかけてビクターがやってきた。
「おまえは、俺の弟だ。おまえは俺が守る」

そして、後年、この兄弟はいつの世にも戦場にいた。
「南北戦争」「ノルマンジー上陸作戦」「ベトナム戦争」
「背中を合わせろ」窮地に陥った時の二人の合い言葉だ。
ジェームズはローガンと名乗っている。

やがて二人は、ストライカーと言う軍人に集められ、特殊能力を持った戦士のチームとして、特別な任務に就くが、ローガンは人殺しに嫌気がさし、チームを抜けた。

彼は、今恋人ケイラ(リン・コリンズ)、と暮らし、鉱山で働いていた。
幸せな毎日。
ケイラは月に恋した妖精の話をし、その名はウルヴァリンだと教える。

しかし、ビクターはかつての仲間を襲い、殺し、ストライカーはローガンにビクターを抑えるように命令した。
ビクターは、さらにケイラを殺してしまう。
怒ったローガンはストライカーの口車に乗り、「ウェポンX」の実験台となるー

面白かったです。
わかりやすいし。

Xメンシリーズのウルヴァリンの生い立ちですが、彼自身は本シリーズでは、記憶喪失になっている設定でした。
謎だらけの彼の過去。
すっかり、解き明かされましたね。

美しいとは言えないけど、意外な兄弟愛にもほろりと来ました。
本シリーズのキャラクターもちらちら出て来て、とても楽しめます。

またまた、ヒュー・ジャックマンの肉体美。
全裸で駆け回るシーンもあり、たまりませんよ。
バイクシーンもかっこいいし、アクションも素敵…。
ファン必見ですね。

個人的には、レミー・ルボー(ガンビット)を演じたテイラー・キッチュがよかったなあ。
ちょっとヒース・レジャーに似てると思いませんか?




オーストラリア

2009-10-05 14:34:46 | 映画ーDVD
ーオーストラリアーAUSTRALIA
2008年 オーストラリア
バズ・ラーマン監督 ニコール・キッドマン(レディ・サラ・アシュレイ)ヒュー・ジャックマン(ドローヴァー)デヴィッド・ウェンハム(ニール・フレッチャー)ブライアン・ブラウン(キング・カーニー)ジャック・トンプソン(キプリング・フリン)デヴィッド・ガルピリル(キング・ジョージ)ブランドン・ウォルターズ(ナラ)

【解説】
映画『ロミオ&ジュリエット』『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督が、壮大なオーストラリアの自然を舞台に描く運命的な愛の物語。主演は『ムーラン・ルージュ』に引き続きバズ監督作品参加となるニコール・キッドマンと映画『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のヒュー・ジャックマン。広大なオーストラリア大陸のロケーションや、主要キャストをオーストラリア出身者で固めるなど、バズ監督のこだわりが随所に見ることができる。


【あらすじ】
第二次世界大戦を目前に控えたオーストラリアを訪れた 英国貴族レディ・サラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)。サラは死んだ夫が残した広大な土地と1,500頭の牛を相続し、土地を守るために粗暴な現地のカウボーイ(ヒュー・ジャックマン)と手を組み、遠く離れたダーウィンまで牛を引き連れて行かなければならなかった。反目しあう二人だったが、長旅やアボリジニの孤児の少年との出会いを通し、徐々に惹(ひ)かれあっていく。

【感想】
公開時、ちょっと評判を見たらすごく悪かったんです。
見た友達は、よかったよと言っていましたが、なんか、興味が失せてしまい、劇場には行きませんでした。

主演はオーストラリア出身のニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマン。
オーストラリア版「風と共に去りぬ」といううたい文句でしたね。

時代は1940年くらい。
第二次世界大戦の戦火が、オーストラリアにも迫って来た頃です。

アボリジニの女性と白人男性の間に生まれ、クリームと呼ばれるナラ(ブランドン・ウォルターズ)の言葉で語られる物語です。
ナラは、祖父のキング・ジョージ(デヴィッド・ガルピリル)からアボリジニの不思議な力を教えられ、ひとりで旅に出るアボリジニの成年儀式「ウォークアバウト」に出かける年齢を迎えようとしていた。

オーストラリアの歴史が深く影を落としているのですが、イギリスの植民地化によって、アボリジニ人口が90パーセント減少したと言われています。
免疫のない病気や、飲酒習慣のなかったところにもたらされた文化の違い、あるいは、流浪地として使われていたことによって、モラルの高くない白人たちがハンティングの対象としたなど、残酷な理由が挙げられていました。

そういえば、世界史で「白豪主義」という言葉を聞いたような気が…。

アボリジニの子供や混血の子供は、親元から引き離され、教会や白人家庭で育てるという政策がとられた時期もあるそうです。
しかし、実際に彼らの送られた場所は強制施設や孤児院で、虐待を受けたり、遺棄された子供も少なくなかったそうです。
彼らはアボリジニとしてのアイデンティティを失い、「盗まれた世代」と呼ばれています。
この作品にも、そういう子供たちが登場します。

アボリジニは、文字を持たないことから、証拠も残さず消滅した部族も多いということです。

そういえば、私がアボリジニの存在を知ったのも、大人になってからのような気がします。
痕跡もなくこの世界から消滅した人たちー怖いですね。

2008年にオーストラリア政府は、アボリジニに対して正式に謝罪したそうです。
でも、賠償はなしだということで、ただ謝っただけのようです。

2008年というのも驚きだし、もう取り返しがつかなくなってからの謝罪に意味があるのでしょうか?

さて、そういうことを念頭において、この作品を振り返りたいと思います。
イングランド出身で、オーストラリアに牧場を持ち、長年その牧場にかかり切りの夫を追ってオーストラリアにやって来たレディ・サラ・シュレイ(ニコール・キッドマン)と、夫に雇われているカウボーイのドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)のロマンスを、目一杯楽しみたい作品です。

☆ネタバレ
サラがオーストラリアにやってきたその日、夫は何者かに殺されてしまいます。
大地主キング・カーニー(ブライアン・ブラウン)は、サラの土地を狙っていました。
1500頭の牛を港へ運び、それが売れたら、土地を守れるというので、サラはドローヴァーやその従者たち、ナラやナラのおばあちゃんなどを道連れに、牛を追って旅に出ました。

その旅の途中で、ナラを愛しく思う心が芽生え、ドローヴァーとも愛し合うようになります。

牛を運び終え、牧場を守り、3人の家族のような生活が始まりましたが、ドローヴァーは牛を追って旅をする生活、ナラは「ウォーキングアバウト」に旅立ってしまいました。
しかし、警察に見つかり、離れ小島の強制施設に入れられることになってしまいました。

傷心のサラは、なんとかナラを解放してもらおうと、ダーウィンで働き始めますが、そこに日本軍が空爆を開始して…

日本軍がオーストラリアを空爆しているのですね。
この歴史も知りませんでした。

ただ、ここが、この映画が日本で評判の悪い理由なのですが、強制施設のある島へ日本軍が上陸して、子供たちを助けに来たアボリジニを銃殺するのです。

私もここが疑問です。
なぜ、日本人にアボリジニを殺させなくてはならなかったか?
微妙な問題のすり替えがある感じがしてなりません。

子供たちは救われ、ナラとサラとドローヴァーは再会を喜びます。

ナラの父親も明かされ、サラの夫殺しの謎も解け、悪人は滅びます。

ナラはアボリジニの子供として「ウォークアバウト」に旅立ちますが、サラとドローヴァーはそれを見送るというハッピーエンドです。

だからよけいに、日本人だけが悪者にされたようで、不快感の残るのが残念な作品でした。

ブッシュ

2009-10-05 13:36:06 | 映画ーDVD
ーブッシューW.
2008年 アメリカ
オリヴァー・ストーン監督 ジョシュ・ブローリン(ジョージ・W・ブッシュ(大統領))エリザベス・バンクス(ローラ・ブッシュ)ジェームズ・クロムウェル(ジョージ・H・W・ブッシュ)エレン・バースティン(バーバラ・ブッシュ)リチャード・ドレイファス(ディック・チェイニー(副大統領))スコット・グレン(ドナルド・ラムズフェルド(国防長官))ヨアン・グリフィズ(トニー・ブレア(イギリス首相))タンディ・ニュートン(コンドリーザ・ライス(大統領補佐官))ジェフリー・ライト(コリン・パウエル(国務長官))トビー・ジョーンズ(カール・ローブ(次席補佐官))ステイシー・キーチ(アール・ハッド師)ブルース・マッギル(ジョージ・テネット(CIA長官))デニス・ボウトシカリス(ポール・ウォルフォウィッツ(国防副長官))コリン・ハンクス(デヴィッド・フラム(大統領補佐官))

【解説】
アメリカ元大統領、ジョージ・W・ブッシュの半生を描く伝記映画。名門一家に生まれた問題児がいかにして大統領になったのかを『JFK』『ニクソン』と大統領映画を手掛けてきたオリヴァー・ストーン監督が描く。ブッシュを演じるのは、『ノーカントリー』のジョシュ・ブローリン。チェイニー副大統領をリチャード・ドレファスが演じ、ライス大統領補佐官をタンディ・ニュートンが演じるなど、ブッシュの側近たちの配役にも注目。父親との確執や逮捕歴など、人間味あふれる姿が興味深い。

【あらすじ】
大学時代には逮捕歴があり、卒業後は職を次々と変え、ついにアルコール依存症になってしまったWことジョージ・W・ブッシュ(ジョシュ・ブローリン)。父のジョージ・H・W・ブッシュ(ジェームズ・クロムウェル)がアメリカ大統領になると、輝かしい父や出来のいい弟と自分を比較しては愚痴っていた。そんなダメ男のWが、「お前が大統領になるのだ」という神のお告げを聞き……。

【感想】
アメリカも日本も、政権が交代したけど、将来は見通せず、前政権の残した問題が山積みで、オバマさんも鳩山さんも苦労が多そうです。

アメリカの退陣したばかりのブッシュ政権が、こんなに早く映画のネタになるなんて、アメリカって、やっぱりすごいですね。

でももっと、ブッシュを小バカにしたような内容かと思っていました。
軽く笑ってすませるような作品ではないところも、オリヴァー・ストーン監督、さすがです。

W.と呼ばれるジョージ・W・ブッシュ(ジョシュ・ブローリン)は、偉大な父、第41代アメリカ合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュ(ジェームズ・クロムウェル)長男として成長するが、父親に対しても、できのいい弟に対しても劣等感でいっぱいの青春時代を送る。
逮捕歴もあり、女性との問題、アルコール依存症など、問題が多い。

その彼が神の啓示を受けて、大統領を目指し、当選する。
そして、彼の政権は悩みながらも、イラクへの派兵を決める。
父の決断した湾岸戦争を強く意識しながら。

確かに、アメリカの大統領のことを、自国の人間が笑ってすますわけにもいかないでしょう。
運命共同体。
そんなこといえば、アメリカの命運は、日本の、いえ、世界の運命を決めるとっても過言ではありませんよね。

そして、人間ブッシュについて描かれたこの作品。
アメリカ政治に明るくない私にも、いろいろ考えさせられる内容でした。

テレビニュースでおなじみとも言える、ブッシュ大統領の側近の人たち。
特に、ライス大統領補佐官役のタンディ・ニュートンの仕草には、はまってしまいました。
すごく、似ています!!

とにかく、大きな存在のアメリカ大統領ではありますが、そこは人間のやること。
一人で政治はできないし、時勢や流れもあるでしょうし。
でも、人々の暮らしが少しでもよくなるように、政治の力でよりよい方向へ導いてもらいたいものです。