マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

南極料理人

2010-08-30 11:35:56 | 映画ーDVD

ー南極料理人ー

2009年 日本

監督=沖田修一 原作=西村淳 キャスト= 堺雅人(西村淳(調理担当))生瀬勝久(本さん(雪氷学者))きたろう(タイチョー(気象学者))高良健吾(兄やん(雪氷サポート))豊原功補(ドクター(医療担当))西田尚美(西村の妻・みゆき)古舘寛治(主任(車両担当))小浜正寛(平さん(大気学者))黒田大輔(盆(通信担当))小野花梨(西村の娘・友花)小出早織(KDD清水さん)宇梶剛士(スズキ)嶋田久作(船長)

 

【解説】

南極観測隊に料理人として参加した、西村淳原作のエッセー「面白南極料理人」を映画化した癒し系人間ドラマ。南極の基地内で単身赴任生活を送る8人の男性たちの喜怒哀楽を、数々のおいしそうな料理とともに見せる。料理人を演じるのは、ここのところ『ジェネラル・ルージュの凱旋』など話題作への出演が相次ぐ堺雅人。共演の生瀬勝久や高良健吾ら新旧の実力派俳優たちとともに、絶妙のアンサンブルで展開するユーモラスな物語に魅了される。

 

【あらすじ】

西村(堺雅人)は南極の昭和基地からも遠く離れた陸の孤島、南極ドームふじ基地に料理人として派遣される。妻(西田尚美)と娘を置いての単身赴任生活で、彼は8人の男性南極越冬隊員たちの胃袋を満たすという大役を任される。基地では雪氷学者(生瀬勝久)をはじめ、雪氷サポート隊員(高良健吾)らが彼の料理を心待ちにしており……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品、実話ということもあり、大事件とかがおこるわけではない。

草木も生えぬ厳寒の南極大陸、南極ドームふじ基地の1年以上にも及ぶ越冬隊で、寝食を共にした8人の男たちの話。

(これだけでも、十分むさ苦しい)

 

主人公の西村(堺雅人)さんは、海上保安庁に勤めていた。

妻と一人の娘(西田尚美=みゆき・小野花梨=友花)あり。

 

同僚のスズキ(宇梶剛士)さんが、幼い頃の夢である南極越冬隊に選ばれたのだが、事故でいけなくなり、急遽西村に白羽の矢が立ったのだ。

 

家族に相談する暇もなく、家族も反対する様子もなく、西村は越冬隊の料理担当として、チームに加わった。

 

そうなると、彼はプロフェッショナルとして使命感に燃えて、自分の仕事をまっとうします。

この作品に出て来るお料理、見事です。

「かもめ食堂」と双璧だなあ。

 

チームのメンバーは、年齢も職業もバラバラな男たち。

自分の研究に燃えている人もあれば、「日本へ帰りたい」とばかり言っている人、恋人に高い電話代も厭わずかけている人、トライアスロン出場のためにトレーニングに励む強者までいます。

 

テレビはビデオだけ、娯楽も限られている単調な南極生活では、食事だけが楽しみになってしまうことは必然でしょう。

 

私は、もっと争いごとがあるかと思ったけど、みんな穏やかな人たちで、淡々と仕事をこなし、アホみたいなことに夢中になって、たわいのない冗談を言い合って、時間は過ぎてゆきました。

 

女性ばかりだと、食事中もおしゃべりでうるさいくらいでしょうが、男たちは黙々と食べ続けます。

その寡黙さがチームの絆を生んでいくのかもしれませんね。

 

帰国した男たち、日常生活に戻って、なにか得たものも大きかったようです。

 

ラストシーン、ハンバーガーをほうばって「うまい!」の一言。

堺雅人、こんな表情がうまいなあ。

 

キャスティングもよかったと思いました。

豊原功補さんて、あまり知らなかったけど、なかなかかっこいいね。

 


ぼくのエリ 200歳の少女

2010-08-29 10:53:42 | 映画ー劇場鑑賞

ーぼくのエリ 200歳の少女ーLAT DEN RATTE KOMMA IN/LET THE RIGHT ONE IN

2008年 スウェーデン

 

トーマス・アルフレッドソン監督 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト原作・脚本 カーレ・ヘーデブラント(オスカー)リーナ・レアンデション(エリ)

 

【解説】

スウェーデンのスティーヴン・キングこと、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストのベストセラー小説を映画化した異色ラブストーリー。孤独な少年がバンパイアと初めての恋に落ち、戸惑いながらもその現実を受け入れていく過程を詩情豊かにつづる。本作の核となる主人公役を演じるのは、カーレ・ヘーデブラントとリーナ・レアンデションという無名の子役たち。彼らのピュアな魅力が光る、残酷だがはかなくも美しい愛の物語に圧倒される。

 

【あらすじ】

ストックホルム郊外で母親と暮らす12歳のオスカー(カーレ・ヘーデブラント)は、学校で同級生にいじめられていた。ある晩、彼はアパートの隣の部屋に引っ越して来たエリ(リーナ・レアンデション)という少女と出会う。同じころ、近くの街では青年が逆さづりにされてノドを切り裂かれ、血を抜き取られるという残忍な殺人事件が起きる。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

久しぶりに映画館へ出かけていきました。

見に行った甲斐のある作品でした。

謎が残ったので、本も読むことにしました。

 

ストックホルムの冬は雪で覆われ、暗い。

オスカー(カーレ・ヘーデブラント)はストックホルム郊外で母親と暮らす12歳の少年。

母は離婚していて、父親とは時々会う。

学校ではイジメにあっていて、誰にも言えない辛い孤独な毎日。

 

そんなとき、オスカーの部屋の隣に中年の男が引っ越して来た。

 

マンションの庭のジャングルジムで女の子と会う。

女の子はとても顔色が悪く「友達にはならないよ」という。

 

そのころ、この辺りでは人が逆さ刷りにされて殺されるという猟奇事件が発生していた。

 

☆ネタバレ

 

この殺人事件は、オスカーの出会った少女・エリ(リーナ・レアンデション)と同居している中年の男がやったことだった。

エリはヴァンパイアで、人の生き血を吸って生きているようだ。

その血を集めているのがこの男。

 

しかし、殺人はしても、血を奪うのに失敗した。

エリは空腹のあまり、通りすがりの人を襲う。

男は死体を凍った川の下に隠した。

 

こんなふうに、スプラッターだし、ヴァンパイアものなのですが、不思議と怖い感じがしません。

 

テーマはボーイ・ミーツ・ガール、性に目覚める物語です。

オスカーはとても子供っぽい。

エリは、少しは強がって入るけど、やはり子供です。

ヴァンパイア版「小さな恋のメロディ」と公式ホームページで紹介してありました。

ヴァンパイアの恋ということでは、「トワイライト」も連想します。

ヴアンパイアってエロスを感じますね。

 

でも、この物語はそんなに単純に進みません。

エリを面倒見ていたおじさんが、かなり悲惨な状態で死んでしまいます。

保護者が亡くなったエリは生きていくのが難しくなります。

ヴァンパイアって、意外に弱い存在です。

人間の生き血しか飲めないし、太陽に当たると燃えてしまうし、夜しか活動できないわけだし。

 

クライマックスで現れる、ぼかしのかかったエリの局所のアップ。

あれだったら、とても猥褻なことを想像してしまって、返って逆効果だと思いました。

たぶん、あの映画のテーマも伝わらないんじゃないかなあ。

という不満が残って、本を読むことにしました。

 

ネットで調べた範囲では、あれはエリの傷跡だそうです。

なんどもエリが「女の子じゃなくてもいいの?」と聞きますが、それは、生殖能力がないという意味のようです。

 

でも、ぼかしがかかっているので、私は男性器があったのかと思いました。

観客を惑わすよくないぼかしだと思いました。

 

オスカーはエリに引かれ、エリが人を襲うところに遭遇しますが、それでもエリを受け入れ、血だらけの口にファーストキスをします。

エリとオスカーに絆ができ、エリはオスカーの窮地を救いました。

 

ラストシーン、オスカーは明るい日差しの中で汽車に乗っています。

箱の中にはエリが入っているようです。

トントンツーツー、二人だけのコミュニケーションであるモールス信号で会話しています。

 

ずっと暗かったオスカーの表情が、このシーンではとても明るいところに、不安と悲しみを感じます。

あの中年の男のような運命を辿らないで欲しいと、祈らずにはいられません。

 

ハリウッドでリメイクが決まっているようですが、この少年と少女の詩的な感じが残ればいいのですが…

どんな切り口で見せてくれるか、楽しみです。

 


阪神×広島ー8月25日 京セラドーム

2010-08-28 19:04:22 | スポーツ

ー阪神×広島ー

8月25日、記録的な試合を観戦することができました。

詳しい試合経過はこちら

 

この日は入場者全員に、背中に「魅せたる」と書かれたTシャツのプレゼント。

私もこのTシャツを着て応援しました。

 

試合開始前に、故阿久悠さん作詞の阪神応援歌「野球狂~拝啓タイガース様~」が、サンプラザ中野さんによって披露されました。

サンプラザ中野さんは、バックスクリーン横のスタンドの高いところから、天国の阿久さんにに届けとばかり、熱唱してくださいました。

 

 

先発は開幕投手の安藤。

ですが、ご存知の通り、最近チョー調子悪いですものね。

案の定、1回先頭打者に不運なヒットを打たれて、新井のエラーもあり、3失点。

1回の表に、広島の投手、今村の不調に助けられて2点を返します。

でも、3回表には嶋と岩本に2ランホームランを打たれて、もう、この試合も終わりだと、誰もが思っていたことでしょう。

 

ところが、6回城島の2ランホームランで5-8と3点差になったところから、ライトスタンドの阪神ファンもようやく元気になってきました。

 

そして、7回表を渡辺がなんとか0点で押さえた後の裏の攻撃。

なんと、ライトスタンドに金本の満塁ホームランが飛び込みました。

 

球場全体が(広島ファン以外ですが)、総立ちとなり、知らないファン同士が抱き合って喜んでいました。

私も、ご近所の若者たちと何度も何度もハイタッチ。

いつも、おとなしく冷静に(?)観戦している私にとって、初めての経験でした。

 

そのあと私の目の前に現れた金本選手のそっくりさん。

ファンに囲まれてすごい人気者でした。

似てるでしょう?どことなく…

 

そして、8回裏は10点も入り、お祭り騒ぎ。

盆と正月が一緒に来たようなおめでたさでした。

 

試合が終わった瞬間の歓喜のスタンド。

 

スコア、読めるかな?

22点だよ!!

球団新記録だってねー。

すごい!!

 

結局、広島3連戦はこの日しか勝てなかったのですから、ほんと、いい日に見に行ったと嬉しくてたまりません。

 

私は今年、球場に行くのはこの日で4回目ですが、全部勝っています。

私って、ラッキーおばさんかなあ!!

 

セ・リーグはトップ3チームが入り乱れての首位争いで、ほんと、毎試合ごと厳しいと思うけど、今年は優勝して欲しい。

 

がんばれタイガース!!

まだまだ気を抜かずに、応援するよ!!


夏休みー城崎マリンワールドへ

2010-08-28 18:55:25 | 旅行

城崎マリンワールド

 

夏休み、今年は息子夫婦と兵庫県豊岡市の竹野海岸へ遊びにいってきました。

その帰りに寄った「城崎マリンワールド」がとても楽しかったので、ご紹介します。

 

トドの飛び込み

 

大水槽でのお魚の食事

 

イルカとあしかのショー

 

せいうちも登場

 

お部屋の中のイルカのショー、すごく近くで見れます。

 

たぶん、この水族館に来るのは今回で3回目です。

でも、来るたびに進化していると思いました。

 

この日はお盆も過ぎたというのに家族連れで賑わっていました。

大人も子供も一日遊べるところがいいですね。


ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~

2010-08-23 10:19:27 | 映画ーDVD

ーヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ー

2009年 日本

監督=根岸吉太郎 原作=太宰治 脚本=田中陽造 キャスト=松たか子(佐知)浅野忠信(大谷)室井滋(巳代)伊武雅刀(吉蔵)広末涼子(秋子)妻夫木聡(岡田)堤真一(辻)

 

【解説】

2009年に、生誕100年を迎える文豪・太宰治の同名短編小説を、『雪に願うこと』の根岸吉太郎監督が映画化した文芸ドラマ。戦後の混乱期を背景に、道楽ざんまいの小説家の夫に振り回されながらも、明るくしなやかに生きていく女性の姿を描く。逆境の中でも活力にあふれるヒロインには話題作への出演が相次ぐ松たか子、太宰を思わせる小説家に『モンゴル』などで海外でも評価の高い浅野忠信。さらに室井滋、伊武雅刀、妻夫木聡、堤真一ら豪華共演陣が脇を固める。

 

【あらすじ】

戦後の混乱期、酒飲みで多額の借金をし浮気を繰り返す小説家・大谷(浅野忠信)の妻・佐知(松たか子)は、夫が踏み倒した酒代を肩代わりするため飲み屋で働くことに。生き生きと働く佐知の明るさが評判となって店は繁盛し、やがて彼女に好意を寄せる男も現れ佐知の心は揺れる。そんな中、大谷は親しくしていたバーの女と姿を消してしまい……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

まず、思ったことは映像の美しさでした。

複雑な深い色が、人々の心象をよく表現できているなあ、と思いました。

 

この作品はタイトル通り、作家の大谷(浅野忠信)の妻・佐知(松たか子)が主人公です。

相変わらず、松たか子がうまいです。

とてもきれいな日本語を話すのですが、上品で嫌みがなく、さすがに梨園の人だなあと思いました。

 

☆ネタバレ

佐知は、極寒の冬に火の気のないような貧乏暮らしなのに、行きつけの飲み屋からお金を奪って逃げて帰った夫に対しても、追って来たのみや夫婦に対しても、冷静さを失わないしっかり者です。

 

彼女は元の彼氏(堤真一)にも尽くした末に、彼のために万引きまでした過去がありました。

そのとき情けをかけてくれた大谷と結婚、一児をもうけます。

 

彼女のその一途さが、ダメ男を引き寄せるのでしょうか。

夫は、バーの女(広末涼子)と心中騒ぎまで起こしてしまうのです。

でも、彼女は流されることなく、自分の母性を失わず、しかも夫への愛を貫きます。

 

飲み屋で働き始めた佐知を迎えに来た大谷と、ねんねこにおぶった子供と一緒に帰る帰り道、佐知が「私はいま幸せです」と言うと、大谷は「女には不幸も幸せもない」と言います。

佐知が「男には?」と聞くと「不幸しかない」と答えました。

佐知は「私は親子3人で暮らせることが幸せだ」と言います。

 

ここが、この作品の素敵なところでした。

男は観念の世界で苦しみもがいているのに、女には現実しかないところ。

よくわかるよね。

 

心中されて拘置所の夫に会いに行った佐知「愛なんて感じられない」と泣く。

夫と心中した女とすれ違ったときに、女が勝ち誇ったような笑顔を見せる。

それで、勝ち気が出たのか、元カレに弁護を頼む。

 

元カレで、今は立派な弁護士になっている辻を、大谷の不始末の尻拭いを依頼したために訪ねるシーンで、パンパンの女性から口紅を買って、口紅を塗って会いに行くシーン。

なんか、女の心意気を感じました。

 

行く場所がなく戻って来た夫を追いかけて、「私たちは生きていさえすればいいのよ」と言って、そっと手をつなぐ佐知。

佐知は、この先もこのダメ夫の面倒を見て行くのでしょうね。

 

「愛」というには、あまりに重い「生命」を支える母の力強さを感じましたが、皆さんの感想はいかがでしょうか?

 

私は、佐知の成長物語として描かれているところに、この作品への共感を覚えました。

 

広末涼子さんの演技もなかなかよかった。

浅野さんは、太宰そのものに見えました。

うまいねえ。

 


パーフェクト・ゲッタウェイ

2010-08-23 10:17:32 | 映画ーDVD

ーパーフェクト・ゲッタウェイーA PERFECT GETAWAY

2009年 アメリカ

デヴィッド・トゥーヒー監督  ミラ・ジョヴォヴィッチ(シドニー)ティモシー・オリファント(ニック)キエレ・サンチェス(ジーナ)スティーヴ・ザーン(クリフ)マーリー・シェルトン(クレオ)クリス・ヘムズワース(ケイル)

 

【解説】

世界一美しいリゾート地として人気のハワイを舞台に、ハネムーンで訪れた男女が、殺人事件に巻き込まれていくアクション・サスペンス。『ピッチブラック』『ビロウ』などのデヴィッド・トゥーヒー監督が、『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチを主演に迎え、犯人も動機も不明の殺人事件に翻弄される人間の心理を、ハワイの解放的な景観と対比して描く。予測不可能な展開の果てに待ち受ける衝撃のラストに絶句する。

 

【あらすじ】

世界でも有数のリゾート地ハワイで1組のカップルが殺され、ハネムーンでハワイを訪れていたクリフ(スティーヴ・ザーン)とシドニー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、自分たちの周囲にいる人間に疑いの目を向ける。軍隊にいた男や入れ墨をした男とその彼女たちが怪しいとにらむが、クリフたちは犯人像をつかめず……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ハワイのオアフ島でカップルの猟奇的な殺人事件があって、その犯人もカップルで、カウアイ島に逃げた。

 

登場人物が、3組のカップルで、この中に犯人がいるということだけど、サスペンスの常道として、一番怪しそうではないカップルが犯人だろうなあ、と思ってしまう。

 

☆ネタバレ

一番怪しそうなカップルが、映画中盤でいなくなります。

残り二組。

 

さらに確信は深まるけど、これをどこでどう意表をついたドンデン返しを見せてくれるのか、と期待しました。

でも、結末はかなりの力技。

結構、感想は「なあ~んや」でしたね。

 

最後のシドニー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)の改心がオチということでしょうか。

 

収穫は、ティモシー・オリファントの肉体美かなあ?

なかなかの、いい男でした。


ココ・シャネル

2010-08-18 13:41:35 | 映画ーDVD

ーココ・シャネルーCOCO CHANEL

2008年 アメリカ/イタリア/フランス   

クリスチャン・デュゲイ監督 シャーリー・マクレーン(ココ・シャネル)バルボラ・ボブローヴァ(若き日のココ・シャネル)マルコム・マクダウェル(マルク・ボウシエ)

 

【解説】

現在でも世界中で愛されるトップブランドの創始者でデザイナー、ココ・シャネルの半生を描く伝記ドラマ。第二次世界大戦後、亡命生活を終えてファッション界へカムバックを果たした1954年以降のシャネルが、自身の駆け出しの時代を追想する2部構成で、世界で最も有名なデザイナーに肉迫。シャネル役は、オスカー女優シャーリー・マクレーン。ビンテージの宝石やバッグなど、それぞれの時代のシャネルファッションにも注目。

 

【あらすじ】

1954年のパリ。空白の15年を経てファッション界に戻り、復帰コレクションを用意したココ・シャネル(シャーリー・マクレーン)のオートクチュール店には、たくさんの評論家や顧客が集まった。しかし、コレクションは不評に終わり、シャネルと、ビジネス・パートナー、マルク・ボウシエ(マルコム・マクダウェル)はがく然とする。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、ココ・シャネルの伝記的作品「ココ・アヴァン・シャネル」「シャネル&ストラヴィンスキー」に続き3本目です。

この作品は、シャネルが1954年に亡命生活からパリに戻り、ファッション界へ復帰したときに、そのコレクションが不評に終わった時、シャネルの回想で彼女の人生を振り返る形で描かれています。

 

フランス映画のオドレイ・トトゥ主演の「ココ・アヴァン・シャネル」で、若い時のエピソードを見ていますので、内容自体は、一番平凡だと思いました。

 

平凡だから悪い作品というのではなく、晩年のココを演じたシャーリー・マクレーンは、その風格といいココ・シャネルそのものでした。

 

シャネルは時代の生み出した天才と言えると思います。

彼女自身は、フェミニズムとか女性の自立とか頭で考えるのではなく、自分の感性に従って時代を走り抜いたトップランナーでしょう。

それは、不幸で孤独な生い立ちと無縁ではありません。

両親もなく、教養もない痩せっぽちの少女が、自分の才覚だけで、激動のフランスを生き抜いた物語です。

 

さらに、強烈な個性を持つココを愛した人たち。

男も女も、彼女の虜になった人たちがたくさんいて、彼女の生き様を懸命に支えた結果だと思いました。

 

こんなにも人を惹き付けるシャネルという人物。

ブランドには興味はなくても、死んでもなおファッションリーダーとしてあり続けるのシャネルの精神には、興味津々です。



プリンセスと魔法のキス

2010-08-12 10:01:00 | 映画ーDVD

ープリンセスと魔法のキスーTHE PRINCESS AND THE FROG

2009年 アメリカ

ジョン・マスカー 、ロン・クレメンツ監督 アニカ・ノニ・ローズ(ティアナ)ブルーノ・カンポス(ナヴィーン王子)ピーター・バートレット(ローレンス)キース・デヴィッド(ドクター・ファシリエ)ジェニファー・ルイス(ママ・オーディ)マイケル=レオン・ウーリー(ルイス)ジム・カミングス(レイ(レイモンド))ジェニファー・コディ(シャーロット)ジョン・グッドマン(ビッグ・ダディ)テレンス・ハワード(ジェームズ)オプラ・ウィンフリー(ユードラ)

 

【解説】

アメリカ・ニューオーリンズを舞台に、ひたむきに夢を追う女性とカエルの姿に変えられた王子とのラブ・ストーリーを描くロマンチックなミュージカル・アニメ。監督は、『アラジン』『リトル・マーメイド/人魚姫』のジョン・マスカーとロン・クレメンツ。ヒロインの声を担当するのは、『ドリームガールズ』でメンバーの一人を演じたアニカ・ノニ・ローズ。リズミカルな音楽と真実の愛を説くストーリーが、心を高揚させてくれる。

 

【あらすじ】

いつの日が自分の手で夢を実現させたいと願う女性、ティアナ。ある日、ティアナの前に、言葉を話す一匹のカエルが現れる。かつて王子だったころ、のろいによって姿を変えられてしまったと語るカエル。そして、魔法を解くためにキスしてほしいとティアナに告げるのだが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

グリム童話の「かえるの王様」は、私のお気に入りのおとぎ話でした。

幼い頃の私は、かえるが好きだったし、遊び相手でもあったから、とても身近なお話に感じていました。


この作品は、「かえるの王様」が下敷きになっていますが、幼い頃、プリンセスに憧れたシャーロットが主人公ではなく、「かえるとなんて、絶対キスしないわ」という現実的なティアナがヒロインです。


この作品、いわゆるおとぎ話の常道である、貧しいけれど美しい娘がプリンスのキスで幸せになるという筋道は取っていません。


まず、背景はジャズのメッカ・ニューオリンズ。

しかもティアナは黒人の少女です。


幼い時から、現実的で、しっかりしたティアナ。

レストランを持ちたいという夢半ばで亡くなった父との夢をかなえようと、懸命に働いている。


周りの人たちは、小娘がいくら働いてもレストランなんか持てないと、バカにしています。


一方、プリンセスであるナヴィーンも、いわゆるプリンスとしてはふさわしいとは言えません。

マルドニアの王子ですが、放蕩が過ぎて勘当され、お金持ちの娘と結婚するしかないという状況です。

なのに、ジャズ好きで無責任な性格。

遊び癖が直らない。


こんなふうに、昔々のディズニーのお姫様ものとは違うけど、悪い魔術師が出て来たり、よい魔法使いが出て来たり、かえるに姿を変えられたりと、だんだんおとぎ話らしくなっていきます。


生真面目過ぎるティアナと、いいかげん過ぎるナヴィーンの距離もだんだん近づいていく過程も丁寧に描かれていて、わくわくします。


「夢は見るだけでなく、努力しないと…」ティアナのお父さんが言う通り、ティアナが努力と才覚で運命を切り開いていく姿が、今の時代に合っている感じがしました。


そして、ティアナは「パパは夢はかなえられなかったけど、大切なものは手に入れた、それは愛」だということに気がつくのです。


奇跡のキスが二人の魔法を解き、めでたし、めでたし…。


久しぶりに、おとぎ話を見て幸せな気分になりました。


一番いいなあと思ったのが、音楽。

とても素直に心にしみてきました。

ミュージカルの不自然さがなかったと思いました。

音楽はランディ・ニューマンです。


黒人の女性をヒロインにしたのは、とてもいいと思うんだけど、ただ黒人と言うだけで、それに伴うマイナス点が描かれていなかったので、黒人の人は不満が残るだろうなあ、とは思いました。

でも、あえて、リスクに挑戦した姿勢は勇気があると思いました。


あと、レイというティアナたちに協力してくれるホタル、とてもいいキャラクターですが、従来のディズニーではありえない過酷な運命が彼を襲います。


こんなふうに、観客の期待を裏切りながら、美しい絵と美しい音楽で、素敵なおとぎ話の世界へ誘ってくれる、とても素敵な作品だと思いました。


手書きアニメにこだわって「ディズニーアニメの王道ここにあり」という心意気も見せてもらった気がしました。


おとぎ話が好きだった昔の乙女たちにオススメです。


でも、ティアナとナヴィーンのかえるって、「ど根性ガエル」みたいだと思ったのは、私だけかな?


ゾンビランド

2010-08-09 11:42:38 | 映画ー劇場鑑賞

ーゾンビランドーZOMBIELAND

2009年 アメリカ

ルーベン・フライシャー監督 ウディ・ハレルソン(タラハシー)ジェシー・アイゼンバーグ(コロンバス)アビゲイル・ブレスリン(リトルロック)エマ・ストーン(ウィチタ)ビル・マーレイ

 

【解説】

人類の大半が人食いゾンビと化した世界を舞台に、引きこもり青年がゾンビのいない地を求めて仲間たちとサバイバルの旅をするホラー・コメディー。血肉飛び散るホラーにロードムービー、主人公の成長を描いた青春ラブストーリーなど娯楽映画のあらゆる要素が盛り込まれ、ゾンビ映画史上最大のヒットを記録した。出演には『2012』のウディ・ハレルソン、『イカとクジラ』のジェシー・アイゼンバーグ、『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリンら実力派がそろう。

 

【あらすじ】

人類の大半が人食いゾンビと化した世界で、引きこもり青年のコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)は、ゾンビの世界で生き残るためのルールを作り、それを実践して生き延びてきた。故郷へ向かう旅の途中、屈強な男タラハシー(ウディ・ハレルソン)、したたかな姉妹ウィチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)に出会い、ゾンビがいないとうわさされる遊園地を目指してサバイバルの旅を続ける。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

最近はやりの(?)感染系のゾンビ映画。

これは、笑えるホラーでした。

 

主人公の4人、オタクのコロンバス、詐欺姉妹のウィチタとリトルロック、暴力的なタラハシー

 

リトルロック役のアビゲイル・ブレスリン。

 

わかりやすいコメディーなので、中身はあまり言わない方がいいと思います。

ひたすら笑ってください。

 

ビル・マーレイの登場がツボです。

さすが、コメディーの大御所、笑わせてくれます。

 

暑い夏にはオススメですよ。

ただし、ゾンビはとても気持ち悪いので、それが苦手な人は避けてくださいね。

 

ゾンビ役のエキストラの人たち、かなりはちゃめちゃで、生き生きと楽しそうでしたよ。

 


セントアンナの奇跡

2010-08-06 08:57:25 | 映画ーDVD

ーセントアンナの奇跡ーMIRACLE AT ST. ANNA

2008年 アメリカ/イタリア

スパイク・リー監督 デレク・ルーク(オブリー・スタンプス二等軍曹)マイケル・イーリー(ビショップ・カミングス三等軍曹)ラズ・アロンソ(ヘクター・ネグロン伍長)オマー・ベンソン・ミラー(サム・トレイン上等兵)ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(ペッピ・ザ・グレート・バタフライ・グロッタ)ヴァレンティナ・チェルヴィ(レナータ)マッテオ・スキアボルディ(アンジェロ・トランチェッリ(少年))セルジョ・アルベッリ(ロドルフォ)オメロ・アントヌッティ(ルドヴィコ)ルイジ・ロ・カーショ(アンジェロ・トランチェッリ)ジョン・タートゥーロ(アントニオ・トニー・リッチ刑事)ジョセフ・ゴードン=レヴィット(ティム・ボイル)ジョン・レグイザモ(エンリコ)


【解説】

第二次世界大戦中のイタリアで実際に起きた虐殺事件を基に、兵士の葛藤(かっとう)と心の交流をサスペンスタッチでつづる戦争ドラマ。『マルコムX』のスパイク・リー監督が同名の小説を映画化し、リアルな戦闘シーンだけではなく、人種を超えた人間の尊厳と希望を見事に描き切った。主要な4人の若き黒人兵を、『大いなる陰謀』のデレク・ルークや『7つの贈り物』のマイケル・イーリーらが好演。戦争の無意味さや、人間の温もりがダイレクトに伝わってくる。



【あらすじ】

1983年、平凡な黒人の郵便局員が客を射殺する不可解な事件が発生。この事件の背景には、第二次世界大戦中のイタリアでのとある出来事が隠されていた。黒人だけで組織されたバッファロー・ソルジャー4人の兵士は部隊からはぐれ、イタリア人の少年(マッテオ・シャボルディ)を保護する。4人はトスカーナの村でつかの間の平和を感じるが、ナチスの脅威はすぐそこまで迫っており……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、普通の戦争映画ではありません。

人の本質が極限状態の中で浮き彫りにされるという作品でした。

人間は、人種で区別されるものではないし、国や組織で区別されるものでもない。

強い人間か弱い人間か、人の気持ちや命を一番大切と考える人間か、そうでないかー。

 

この作品中には、いろんなグループが出て来て、その中にはいろんな人がいるということを露にしていきます。

無能な指揮官は、いかに部下を不幸にするか。

組織の中の汚い裏切りは、どんな悲劇を招くか。

しかし、この作品の言いたいのは、どんな悲惨な場所でも起きる小さな奇跡。

偶然のような奇跡の積み重なりが、光となって大きな奇跡へとつながっていく。

どんなに辛い人生でも、生きてさえいれば、奇跡を見ることだってできるんですね。

 

この物語は、事実なので、なんの先入観もなく見ても、素直に鑑賞できるのですが、時代背景や、イタリアの当時の内情を知っておくと、なお、面白いかと思います。

公式HPに詳しく掲載されています。

http://www.stanna-kiseki.jp/history/index.html

 

 

物語は、黒人の郵便局員ヘクター(ラズ・アロンソ)が切手を買いに来た市民をドイツ製の銃で撃ち殺したことから始まります。

遅れて来たジャーナリスト(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)に、刑事(ジョン・タートゥーロ)は家宅捜索の情報を与えます。

 

犯人のヘクターの自宅からは、ギリシャ風の彫像の頭が出て来た。

専門家に見せると、これは長い間行方不明だった値打ちのあるものだと言うことがわかりました。

イタリアのサンタ・トリニータ橋を飾っていたものですが、第2次世界大戦中、ドイツ軍に爆破されたのです。

なぜ、イタリアの彫刻がヘクタターの部屋に長い間保管されていたのかー?

ますます謎は深まります。

 

ジャーナリストはヘクターに面会に行きました。

そこで、語られた「眠る男」とは?

驚愕の事実とはー。

 

2次世界大戦中、ヘクターはバッファロー・ソルジャーと呼ばれる黒人ばかりの部隊にいました。

 

黒人部隊は1860年代に、南北戦争でも組織されて、「グローリー」(1989年)という映画になってデンゼル・ワシントンが助演男優賞を受賞しています。

 

それでも、当時は差別意識が強く、黒人部隊はあっても多くは後方支援でした。

しかし、戦争が激化していく上で、黒人部隊も数にしたらわずかですが、前戦に送られた部隊もありました。

ヘクターのいた第92師団もそのひとつでした。

 

彼らは、川を渡ってドイツ軍を追っていく任務を負っているにも関わらず、援護をしてくれるはずの本隊の隊長は、人種差別から、前線の黒人から報告も聞き流し、あろうことか、勝手に照準を変えて、黒人部隊の背後を攻撃する始末です。

 

部隊はバラバラになり、オブリー・スタンプス二等軍曹(デレク・ルーク)ビショップ・カミングス三等軍曹(マイケル・イーリー)ヘクター・ネグロン伍長、サム・トレイン上等兵(オマー・ベンソン・ミラー)の4人が川岸に渡りました。

 

トレインは、どこで拾ったのか、ギリシャ彫像の頭部を大事そうに持ち歩いていました。

トレインは、少し頭が悪く、巨体でどんくさかったのです。

 

トレインは農作業の小屋を偵察に行き、爆撃で柱の下敷きになった子供アンジェロ(マッテオ・シャボルディ)を保護する。

アンジェロは見えない何者かと会話をする奇妙な少年でした。

4人はアンジェロを連れて、村に入り、ある民家に押し入りました。

 

民家にはレナータとその父のルドヴィコがいました。

ルドヴィゴはかつてはムッソリーニの率いるファシスト党の党員で、村の人たちからは嫌われていました。

 

レナータたちは押し入って来た黒人のアメリカ兵を見て、嫌だと思いましたが、病気の子供がトレインから離れようとしないので、しぶしぶ泊まることを認めました。

 

やがて本部から無線がつながり、「ドイツ兵を一人捕虜にしろ」という命令が来ました。

村人と黒人の間に奇妙な親密さが生まれ、故郷では差別され虐げられている自分たちが、イタリアでは人間として扱われているという自由を感じます。

 

ちょうどそのとき、ファシストやドイツ軍に抵抗している「バルチザン」のグループが町を訪れました。

ドイツ将校を捕虜として連れていました。

 

黒人たちは、このドイツ人を彼らの尋問の後に譲ってもらうことを約束して、ほっとするのですが、このドイツ人を追って、ドイツの軍隊が大軍を率いてこの村に迫っていました。

ドイツ人将校とアンジェロは運命的な出会いをして、ドイツ軍に追われていたのです。

 

このあと、黒人兵、パルチザン、ドイツ軍、アメリカ軍が複雑な動きをして、大銃撃戦となって、黒人や村人たちはほぼ皆殺しとなってしまうのです。

そして、その生き残りがヘクターというわけなのです。

 

映画を見ていて、セントアンナの大虐殺が史実であることを知りました。

このシーンはすごく辛いものでした。

でも、こういう一般市民を虐殺する行為は、他にも行われていたようで、ますます心が痛くなりました。

 

劇中、銃撃戦で無抵抗な市民がバタバタと殺されていく場面で、アルトゥーロがアンジェロにいいます。

「よく見ておいて、これがぼくたちの子供時代だ」と。

心に重く響くセリフでした。

 

いつもなら、戦争の悲劇を暴いて終わりの映画が多いですが、この映画はもうひとひねりが利いていました。

 

見終わった後、すごく清々しい気持ちになるし、人間にも希望が持てました。

人間が悪いんじゃない、戦争が人間を悪くするのです。

戦争は絶対ダメ。

そして、差別も虐待も虐殺も、あってはならないことです。

 

極限状態に陥らないこと。

人間性を保つこと。

 

それを示してくれたのがトレインでした。