マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

食べて、祈って、恋をして

2011-05-25 11:04:45 | 映画ーDVD

ー食べて、祈って、恋をしてーEAT PRAY LOVE

2010年 アメリカ

ライアン・マーフィー監督・脚本 エリザベス・ギルバート原作ジュリア・ロバーツ(リズ・ギルバート)ハビエル・バルデム(フェリペ)ジェームズ・フランコ(ディビッド)リチャード・ジェンキンス(リチャード) ヴィオラ・デイヴィス(デリア) ビリー・クラダップ(スティーブン)

 

【解説】

世界中の女性から絶大な支持を受けるエリザベス・ギルバートの自伝的ベストセラー小説を、ジュリア・ロバーツを主演に迎えて映画化した人間ドラマ。ジャーナリストとして活躍するヒロインが離婚と失恋を経て、自らを立て直すために出た旅の日々を描く。ヒロインの人生を変える男性に『ノーカントリー』のハビエル・バルデムがふんするほか、『スパイダーマン』シリーズのジェームズ・フランコらが共演。イタリアやインド、バリ島でロケを行った美しい風景も見どころだ。

 

【あらすじ】

ニューヨークでジャーナリストとして活躍するエリザベス(ジュリア・ロバーツ)は、離婚と失恋を経た後、すべてを捨てて自らを探す旅に出る。イタリアでは食の快楽を追求し、インドのアシュラムでは精神力を高めるべくヨガと瞑想(めいそう)に励む。そして、最後に訪れたインドネシアのバリ島では、彼女の人生を大きく変える出会いが待っていた。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この映画、評価が低くて、結局映画館に見に行かなかったのです。

でも、見に行けばよかったー。

いい映画でした。

人の意見に惑わされてはダメね。

 

ジャーナリストのリズ(ジュリア・ロバーツ)は、バリに旅行し、薬療師の老人に占ってもらった。

☆2度の結婚をし、1度は短く、1度は長い。(今の結婚が長いか短いかはわからない)

☆全財産を失うが、取り戻す。

☆もう一度バリに戻って来る。

 

6ヶ月後のニューヨークには、スティーブン(ビリー・クラダップ)との結婚生活に迷いが生じたリズがいた。

悩んで、リズは家を出る。

そして、自分の脚本で演技をする役者の卵デイビッド(ジェームズ・フランコ)に会う。

 

行くところもないリズはデイビッドの家で同棲を始めるが、やがてうまくいかなくなる。

ディビッドは「お互い不幸せなのはわかっているけど、別れる不幸よりましなのでこのままいよう」という。

 

一方で、スティーブンとの離婚は泥沼化。

とうとうリズの全財産を譲ることで成立した。

 

ニューヨークで煮詰まってしまったリズは、かねてから憧れていたイタリアと、ディビッドが信仰していたインドの導師の修行所を回り、薬療師の予言通りバリに行く計画を立てて実行した。

 

まずは、イタリア。

スウェーデン人の女性と知り合い、イタリア語の先生を紹介したもらい、彼の家族と共に4ヶ月、ひたすら食を楽しむ生活をした。

 

次にインドへ行き、朝から規律正しく生活し、瞑想に耽った。

リチャード(リチャード・ジェンキンス)や、結婚前のインドの若い娘たちと出会い、人生について深く考える。

 

そして、何かを掴んで、バリへ戻って来た。

 

家を借りて、薬療師の元で、瞑想に耽る。

生活も始めた。

 

あるとき、車にぶつかってしまう。

大事に至らなかったが、それを運転していたのがフィリペ(ハビエル・バルデム)。

彼もまた、バリで傷ついた心を癒していたのだった。

 

確かに、リズのやり方を見て、「何を贅沢な」と怒りを感じる人も少なくないでしょう。

みんな、何かをがまんして生きているのですから。

もっと、生活のためにあくせくしている人がいる、我慢が足りない、それはごもっともです。

 

でも、私の知り合いに、まさにこんな感じで(理由は知らないですよ)、離婚して長い旅をした人がいます。

当時は、周りの人から「辛抱が足りない」と言われたそうです。

でも、彼女はそのあとの困難な人生も「わが人生に悔いなし」と明るく生きています。

 

自分の人生、結局は自分とどう折り合いを付けるかということでしょう。

他人には理解できない結婚の失敗。

自分が失敗と感じたら、リセットしてやり直すことだって、とても勇気のいることだし、選択肢のひとつだと思います。

 

私はリズの生き方にとても共感できました。

失敗を認めることは自分にとっても辛いことだし、自信を喪失してしまいます。

人も傷つけてしまったし、自分も深く傷ついた。

いったい、自分って何なんだろう。

神様に救ってもらいたいけど、神様って何なのかしら?

リズは何度も自分に問いかけ、人生の意味を考えるのです。

 

40歳を過ぎて自分探しなんて、甘いーという意見もあると思うけど、いくつになっても迷うことはあるでしょう。

人生で迷子になったら、まず、自分の足下を見なくっちゃ、と思います。

自分の気持ち、自分の立っているところ、自分が信じられる世界。

それもわからなくて、道なんか見つけられないでしょう。

 

リズはその点、とてもラッキーだったと思います。

まず、いい人に恵まれたこと、自分なりの神様を見つけられたこと。

そして、いいアドバイザーと出会ったこと。

 

なかなか新しい出会いに一歩を踏み出せなかったリズだけど、フィリペを受け入れるまでに成長しました。

人間いくつになっても、成長できるんですね。

失敗を恐れず、幸せを掴んでもらいたいと思いました。

 

最近、30代40代の人の独身の人たちとおしゃべりする機会も多いのですが(飲み屋でね)、独身も気楽でいいでしょうが、人生のパートナーも見つけた方がいいわよ、とお節介おばちゃんの私は、つい言ってしまいます。

 

この世は男と女しかいないんだから、手をつないで生きていくことのできる人がそばにいると心強いと思いますよ。

諦めないで、勇気を持ってパートナー探しをして欲しいなあ。

 

そして、この結婚ダメだー、と思ったら、リズのようにリセットする勇気も大切ですね。

これは本当に、難しいことですけどね。

 

なんにしても、自分の人生は一回切りなんだから、満足できる人生に作り上げたいですね。

 


パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉

2011-05-24 08:45:39 | 映画ー劇場鑑賞

 

ーパイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉ーPIRATES OF THE CARIBBEAN: ON STRANGER TIDES

ロブ・マーシャル監督 ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)ペネロペ・クルス(アンジェリカ)ジェフリー・ラッシュ(バルボッサ)イアン・マクシェーン(黒ひげ)サム・クラフリン(フィリップ)アストリッド・ベルジュ=フリスベ(シレーナ)ケヴィン・R・マクナリー(ギブス)キース・リチャーズ(ティーグ・スパロウ)ジュディ・デンチ

 

【解説】

自由奔放な海賊キャプテン・ジャック・スパロウをジョニー・デップが演じる人気シリーズ第4弾となるアクション・アドベンチャー大作。永遠の命をもたらす伝説の泉をめぐり、ジョニー・デップ演じるジャックが新たな冒険を繰り広げる。『シカゴ』『NINE』などのロブ・マーシャルが監督としてシリーズに初参加。ジャックのかつての恋人である女海賊を、『それでも恋するバルセロナ』のペネロペ・クルスが演じる。臨場感あふれる映像による大海原やアクションシーンの迫力に、度肝を抜かれること必至だ。

 

【あらすじ】

美しい女海賊アンジェリカ(ペネロペ・クルス)と再会したジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)。しかしジャックは、アンジェリカが不死の泉を見つけ出すために自分に近づいたのではないかと疑いを抱く。アンジェリカと史上最強の敵である黒ひげ(イアン・マクシェーン)と共にリベンジ号で船出したジャックだったが、そこには予想だにしない冒険が待っていた。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

キャプテン・ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)が戻ってきました。

シリーズ第4作目。

ウィルとエリザベスの本編は終了したので、この作品はジャックの新たなる冒険物語となります。

 

ジャックが、デイビー・ジョーンズから盗んだ海図には「生命の泉」(原語では若さの泉)が書いてありました。

ジャックは当然見つけたのでしょうね。

でも、ジャックには永遠の命なんて興味がなかったようです。

 

それより見つけたいものは、バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)に奪われたブラック・パール号。

 

仲間のギブス(ケヴィン・R・マクナリー)が自分に間違えられて吊るし首になるところを、ジャックらしいやり方で助けたまでは良かったけど、結局は捕まって王様ジョージ2世(スリーピーホロウでジョニーと競演していますねーリチャード・グリフィス)の前に引き出されます。

王様に呼ばれて登場したのが、なんとバルボッサ!!

 

「ブラックパール号はどうなったんだ!!」驚くジャック。

「沈んでしまったよ。片足も失ってね。いまでは、英国王お抱えの公賊だよ」なんてうそぶいています。

王様は「生命の泉の地図をジャックから奪って、バルボッサはその泉を見つけてこい」と命令しました。

そんなに簡単に捕まるジャックじゃない。

しかも、地図は…ギブスに盗まれたし…。

こんなところに長居は無用と、城から逃げ出しました。

 

途中で出会う貴婦人にジュディ・デンチ。

この人も、「ショコラ」でジョニーと共演していますね。

 

☆ネタバレ

追いつめられたジャックの、危ういところを助けてくれたのがジャックのパパのティーグ・スパロウ(キース・リチャーズ)。

「生命の泉が役に立つためには、儀式が必要なんだよ」などと教えてくれます。

 

そこへ、自分の名前を騙っている海賊が登場。

それは、なんと、かつて愛した女性アンジェリカ(ペネロペ・クルス)でした。

アンジェリカが言うには、修道女になろうと思っていたのに、ジャックに海賊に教育され、あげくに棄てられた恨みがあるんですって。

でも、アンジェリカの狙いはそれではなかったようです。

ジャックを道案内人にやはり「生命の泉」を狙っていました。

 

ペネロペは「ブロウ」でジョニーと共演しているので、なんかとてもいい感じでした。

 

さらに、アンジェリカの父親と言うのが、泣く子も恐れる海賊の中の海賊、黒ひげ(イアン・マクシェーン)だったのです。

しかも、ブラックパールを襲い、バルボッサを片足にしたのも黒ひげでした。

 

これに、情け知らずのスペイン艦隊までが加わって生命の泉争奪戦ということになります。

 

お約束のようなシーンがてんこもりで、とても楽しめる娯楽映画です。

全体的にお色気が足りないのが、不満と言えば不満です。

人魚も、気持ち悪さも清純さもセクシーさも怖さも、少し足りない気がします。

 

黒ひげも、デイビー・ジョーンズほど、怖くなかったなあ。

 

ペネロペは妊娠中なんですね。

いつもに比べて、セクシーさが足りないなあ。

せっかくジャックの元恋人なのに、危険度が足りなくて物足りなかったー。

 

とはいえ、待ちに待った新作パイレーツ。

ジャック・スパロウファンの私としては、かなり満足の行く出来でした。

 

2Dで十分と思いますけどね。

3Dは暗いよね。

 


ドアーズ/まぼろしの世界

2011-05-20 09:56:38 | 映画ーDVD

ードアーズ/まぼろしの世界ーWHEN YOU'RE STRANGE

2009年 アメリカ

トム・ディチロ監督 ナレーション=ジョニー・デップ ザ・ドアーズ ジム・モリソン ジョン・デンズモア ロビー・クリーガー レイ・マンザレク

 

【解説】

1960年代後半にさっそうと現われ、時代の寵児(ちょうじ)となった伝説的なロックバンド、ザ・ドアーズのドキュメンタリー映画。ドアーズ初の劇場用長編ドキュメンタリーとなる本作は、革命的なパワーを有する彼らの音楽と軌跡を未公開映像を交えながら刺激的に描き出す。監督は、『ジョニー・スエード』のトム・ディチロ。ナレーションをジョニー・デップが務める。時代を超え、今なおカルチャー・シーンに影響を与え続けるザ・ドアーズの魅力に迫る渾身(こんしん)作。

 

【あらすじ】

現代の音楽シーンに多大なる影響を及ぼしてきたザ・ドアーズの真の姿を追う本作は、The WHOを前座に迎えた1968年のシンガーボウルでの映像、伝説のエド・サリヴァン・ショー出演時の模様、ジャス・ジョプリンやアンディ・ウォーホルたちの交流など、リアルタイムの貴重映像の数々で知られざるザ・ドアーズの創作活動の内側に迫る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

はっきりいって、ジョニー・デップがナレーションを担当していると聞いたので見ることにしました。

 

でも、1960年代を描いたドキュメンタリーになっていて、ドアーズは「ハートに火をつけて」しか知らない私にも、たいへんわかりやすいものでした。

ジョニーのナレーションは秀逸でした。

 

ジョニーは、47歳と若いですが、この時代のことにとても興味があるようです。

「ラスベガスをぶっ飛ばせ」で、ゴンゾージャーナリズムのハンター・S・トンプソンを演じたこともあり、私も興味津々のアメリカの裏の歴史を解き明かしてくれます。

声のトーンも語り口も、とても、いいですよー。

 

ザ・ドアーズのジム・モリソンは中学生でニーチェやウィリアム・ブレイクを読みあさり、読破した早熟の天才でした。

父親は、海軍将校。

特典に、彼の父と妹のインタビューがありました。

 

あの破壊的な破滅的な歌詞の裏に、親孝行だった息子の面影を求めている父親のやさしいまなざしがありました。

 

お父さんのインタビューを聞いて、天才のジムの体を借りて、時代が歌わせていたような気がしました。

ジムは自分の両親の欄には「死」と書いていたのです。

このお父さんも2008年に亡くなられたということです。

 

あの時代、人々は権力や体制の象徴としての親を棄て、国を棄て、過去の自分を棄てでもと、自由を渇望していたのでした。

それほどまでに、求めて求めて、幻覚剤でその自由が得られると信じた人も少なくありませんでした。

ジャニス・ジョプリンもジミ・ヘンドリクスも27歳で亡くなり、ジムもまた例外ではありませんでした。

 

そしてベトナム戦争が終わり、薬の悪影響だけが残り、社会には棄てるほどの価値のあるものは何も残りませんでした。

棄てたいものがある時代の方が幸せだったと思えるほど。

人々の心の中には、ベトナム戦争の敗北感だけが残ったのではないでしょうか?

さらに、9.11など、悪い状況ばかりが重なり、アメリカ人はさらに自信をなくしているような気がします。

 

日本も、戦後ひたすらアメリカを追いかけて来て、いまだに幻想でしかないとわかりつつ、アメリカに追いすがっているような気がします。

 

ジムの生きた時代のアメリカの空気感が、十分に感じられるドキュメンタリーでした。

監督は、私と同い年だ!!

私もあの時代、少女ながらも新しい価値観が生まれる予感に胸が躍っていた頃を、ほろ苦く思いだしました。

 

 


グーグーだって猫である

2011-05-20 09:16:13 | 映画ーDVD

ーグーグーだって猫であるー

2008年 日本

監督=犬童一心 原作=大島弓子 キャスト=小泉今日子(小島麻子)上野樹里(ナオミ)加瀬亮(青白)大島美幸(麻子のアシスタント)村上知子(麻子のアシスタント)黒沢かずこ(麻子のアシスタント)林直次郎(マモル)伊阪達也(タツヤ)高部あい(京子)柳英里紗(エリカ)田中哲司(編集長・近藤)村上大樹(編集者・田中)でんでん(梶原)山本浩司(小林)楳図かずお(UMEZU氏)マーティ・フリードマン(ポール・ウェインバーグ)大後寿々花(人間のサバ)小林亜星(山本泰助)松原智恵子(麻子の母)

 

【解説】

大島弓子の同名の自伝的エッセー漫画を映画化した、ほのぼのとした人間ドラマ。愛猫を亡くした天才漫画家と、彼女を取り巻く人々の何気ない日常を軽快な音楽にのせて描く。自身も大ファンの大島作品に命を吹き込んだのは『黄色い涙』の犬童一心監督。等身大のヒロインを演じるのは『転々』の小泉今日子。共演者も上野樹里や加瀬亮ら豪華キャストが勢ぞろいした。生き生きと輝く彼らの姿に、生きることの楽しさや美しさを再発見させられる。

 

【あらすじ】

吉祥寺在住の漫画家、麻子(小泉今日子)が締め切りに追われる中、愛猫のサバが静かに息を引き取る。そのショックで漫画が書けなくなった麻子を、アシスタントのナオミ(上野樹里)たちは心配しながら見守っていた。そんなある日、麻子はペットショップでアメリカンショートヘアの子猫と出会い、グーグーと名付けて一緒に暮らし始める。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

これは、愛猫家の映画?

吉祥寺や井の頭公園の映画?

 

実は、かわいがっていた猫を亡くして癒しを求めている漫画家の映画なんですが…。

 

まず、麻子(小泉今日子)さんは、普通の少女マンガとは違うテーマを描いている漫画家(原作は大島弓子さんですから)だということだけど、なぜそういうテーマを選ぶ漫画家かと言う、根っこの部分が描かれていなかったので、彼女の人となりがわかりにくかったです。

 

4人のアシスタントは、朝子さんが休業中もお給料をもらっているのかなあ?

結構長そうでしたが。

 

謎の青年(加瀬亮)は、あとで研修医とわかるのですが、そのわりにはヒマそうでした。

 

アシスタントの一人のナオミ(上野樹里)の恋愛やアルバイトが絡んでくるのですが、とてもコメディ色が強くて、そのエピソードの全部に必然性が感じられなかった。

 

もう一つのテーマなのかなあ、死んだサパとの会話。

これで、元気を取り戻すんだから、とても大きな出来事だけど、そこに導くのが、この映画の語り役であるポール・ウェインバーグ(マーティ・フリードマン)。

吉祥寺で英会話を教えている講師で、なぜか英語でナレーションをしているんだけど、結局は死神だったみたい。

 

楳図かずおも、脈絡なく出てくるんだけど、ご近所さんと言うことなのかな?

 

ということで、私にはかなり意味不明の映画となりました。

 

グーグーはかわいい!!

単純に猫を楽しめばいいのかなあ?


ブラック・スワン

2011-05-19 10:05:41 | 映画ー劇場鑑賞

ーブラック・スワンーBLACK SWAN

2010年 アメリカ

ダーレン・アロノフスキー監督 ナタリー・ポートマン(ニナ・セイヤーズ)ヴァンサン・カッセル(トーマス・ルロイ)ミラ・クニス(リリー)バーバラ・ハーシー(エリカ・セイヤーズ)ウィノナ・ライダー(ベス・マッキンタイア)

 

【解説】

『レスラー』のダーレン・アロノフスキー監督と、『スター・ウォーズ』シリーズのナタリー・ポートマンがタッグを組んだ心理スリラー。内気なバレリーナが大役に抜てきされたプレッシャーから少しずつ心のバランスを崩していく様子を描く。芸術監督を演じるのは、フランスを代表する俳優ヴァンサン・カッセル。主人公のライバルを、『マックス・ペイン』のミラ・クニスが熱演する。プロ顔負けのダンスシーン同様、緻密(ちみつ)な心理描写に驚嘆する。

 

【あらすじ】

ニューヨーク・シティ・バレエ団に所属するバレリーナ、ニナ(ナタリー・ポートマン)は、踊りは完ぺきで優等生のような女性。芸術監督のトーマス(ヴァンサン・カッセル)は、花形のベス(ウィノナ・ライダー)を降板させ、新しい振り付けで新シーズンの「白鳥の湖」公演を行うことを決定する。そしてニナが次のプリマ・バレリーナに抜てきされるが、気品あふれる白鳥は心配ないものの、狡猾(こうかつ)で官能的な黒鳥を演じることに不安があり……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ナタリー・ポートマンがアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞した作品。

 

幼いときにバレエの基礎があり、徹底したトレーニングでバレエダンサーの肉体に鍛え上げたナタリー。

この作品は、自分自身との葛藤の物語で、ほとんどナタリーの表情で語られます。

演技の最高峰の受賞は、当然ですね。

 

子役から活躍して、美貌に加えてハーバード大卒という才媛。

そこに、アカデミー女優という名誉も加わりました。

さすがです。

 

ドキュメンタリータッチで描かれるニューヨーク・シティ・バレエ団に所属するバレリーナ、ニナ(ナタリー・ポートマン)の生活。

生活のすべてを、ストイックなまでにバレエに捧げている。

 

母と娘のつつましい暮らしぶり。

母もかつてはバレリーナであり、自分の夢をニナに託している。

 

バレエ団も経営が苦しい。

プリマバレリーナのベス(ウィノナ・ライダー)も盛りを過ぎて、人気も凋落している。

芸術監督のトーマス(ヴァンサン・カッセル)は、新しい解釈の「白鳥の湖」でバレエ団の再生をはかろうとしている。

彼は、ベスの引退を通告し、新しいプリマを選ぼうとしていた。

 

配役のオーディションで「白鳥だけなら迷いなく君を選ぶのに」とトーマスに言われたニナ。

途中で稽古場に入って来たリリー(ミラ・クニス)に、集中を途切れさせられたと恨みを抱く。

 

自分は選ばれないと思い詰めたニナは、トーマスに直訴した。

トーマスは激しいニナ内面をかいまみて、ニナをプリマに選んだ。

 

母とともに喜ぶニナだが、そこからが地獄の日々。

黒鳥の表現ができないとトーマスからダメ出しの日々。

それなのに、リリーは苦もなく黒鳥が踊れ、ニナの代役にも抜擢される。

 

憧れていたベラの破滅も目撃し、ますます心理的に追い込まれて行くニナ。

 

自分の中で、自分が引き裂かれて行く物語。

それをスリラーにして、ビジュアル化に成功した作品です。

 

母からの無言のプレッシャー、いままでの自分の努力した日々もプレッシャーになります。

トーマスに気に入られたい、たったひとりの女性として愛されたいと言う欲望もあるのでしょう。

ベラのようになりたくない、という思いも強いでしょう。

そして、プリマとしてこの作品を成功させて、母にも、トーマスにも、観客にも完璧を見せたい、というのが一番の願望でしょう。

 

それが、完璧に踊りたいという欲望となって、自分の中の悪魔が自分自身を苛むのです。

 

誰の心の中にでもある自分との葛藤。

それを黒鳥として表現し切ったナタリーは、ほんと、素晴らしかったです。

 

 

キャストも完璧だし、映像もきれいです。

 

ラストシーンはかなりなものです。

ぜひ、スクリーンでご覧下さい。

 

チャイコフスキーの「白鳥の湖」の曲が、まだ頭の中で鳴っていて、ブラックスワンになり切ったナタリーの表情が脳裏に浮かんでいます。

 

この映画はかなりすごいです。

 


アンノウン

2011-05-14 09:34:55 | 映画ー劇場鑑賞

ーアンノウンーUNKNOWN

2011年 アメリカ/ドイツ

ジャウマ・コレット=セラ監督 リーアム・ニーソン(マーティン・ハリス博士)ダイアン・クルーガー(ジーナ)ジャニュアリー・ジョーンズ(エリザベス・ハリス)エイダン・クイン(もう一人のマーティン)ブルーノ・ガンツ(エルンスト・ユルゲン)フランク・ランジェラ(ロドニー・コール)

 

【解説】

96時間』のリーアム・ニーソンを主演に迎えた、ベルリンを舞台に繰り広げられるアクション・スリラー。交通事故から目覚めると妻が自分のことを忘れ、別の男が自分に成り済ましていた上に、何者かに命を狙われる羽目になった男が、奪われた身元を取り戻そうと奮闘する。監督は、『エスター』が高い評価を得たジャウマ・コレット=セラ。共演には『イングロリアス・バスターズ』のダイアン・クルーガー、『マイケル・コリンズ』でリーアムと共演したエイダン・クインら国際色豊かな顔ぶれがそろう。

 

【あらすじ】

ベルリンで交通事故に遭ったマーティン・ハリス(リーアム・ニーソン)が意識を取り戻すと、妻が自分のことを忘れ、見知らぬ男(エイダン・クイン)が自分に成り済ましていた。異国の地で身元を証明する手だてがない中、彼は訳も分からぬまま何者かに命を狙われる羽目に。タクシー運転手ジーナ(ダイアン・クルーガー)の協力を得て、マーティンは真相究明に乗り出すが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この映画、面白かったですよ。

「96時間」につづく、リーアム・ニーソン主演のサスペンス映画です。

 

学会でベルリンに来たマーティン・ハリス(リーアム・ニーソン)とリズ(ジャニュアリー・ジョーンズ)夫妻。

会場となるホテルにチェックインしようとしたそのときに、マーテインは空港にアタッシュケースを置き忘れたことを思い出す。

すぐにタクシーを捕まえて空港へ。

ところが、事故に遭い、橋から川に落ちてしまう。

マーティンは頭を強打して気を失っている。

タクシーの運転手のジーナ(ダイアン・クルーガー)は必死の思いで助けるが、そのどさくさにまぎれて姿を消した。

彼女は、不法滞在の移民だったのだ。

 

4日後、病院で意識を取り戻したマーティン。

記憶がおかしい。

心配してそばにいるはずの妻の姿もない。

とりあえず、妻を捜しにホテルへ。

 

しかし、見つけた妻は、自分のことを知らない人間だと言い、夫として示したマーティン・ハリスは別人(エイダン・クイン)だった。

 

これは、ネタバレ厳禁です。

ここでも紹介するのは控えたいと思います。

ぜひ、劇場で楽しんでください。

 

夢オチではないので、ご安心ください。

 

リーアム・ニーソンは、スター・ウォーズのクアイ・ガン=ジンとか、ナルニア国物語のアスランのような、人格者のイメージです。

190センチと長身だけど、優しそうです。

でも、「ラブアクチュアリー」みたいなハートフルコメディでもよかったし、「96時間」の親ばかぶりのアクションも素敵でした。

 

一昨年、奥様のナターシャ・リチャードソンがスキーの事故で亡くなられるという不幸がありました。

それでもこうしていい作品に出演されているのは、素敵なことですね。

 

この作品は 、久しぶりに本格的なサスペンスが楽しめたなあという感じでした。

 


キス&キル

2011-05-14 09:30:08 | 映画ーDVD

ーキス&キルーKILLERS/KISS & KILL

2010年 アメリカ

ロバート・ルケティック監督 アシュトン・カッチャー(スペンサー・エイムス)キャサリン・ハイグル(ジェン・コーンフェルド)トム・セレック(ミスター・コーンフェルド)キャサリン・オハラ(ミセス・コーンフェルド)キャサリン・ウィニック(ヴィヴィアン)リサ・アン・ウォルター(オリビア)ロブ・リグル(ヘンリー)アレックス・ボースタイン(リリー)ケヴィン・サスマン(マック)ケイシー・ウィルソン(クリステン)マーティン・マル(ホルブルック)

 

【解説】

旅行先でとある女性と運命的な恋に落ちスピード結婚を果たした若い男が、元CIAのすご腕エージェントという素性を隠していたために夫婦そろって騒動に巻き込まれるラブ・コメディー。アシュトン・カッチャーがキャサリン・ハイグルを相手役に迎え、一筋縄ではいかない恋の試練に立ち向かう。監督は、『男と女の不都合な真実』のロバート・ルケティック。理想の相手に出会えたものの、真実を語れない主人公のジレンマが共感を集めそうな一作。

 

【あらすじ】

お嬢様のジェン(キャサリン・ハイグル)は、旅行先の南フランスで理想の男性スペンサー(アシュトン・カッチャー)と出会い、あっという間に結婚してしまう。郊外で幸せな新婚生活をスタートさせるジェンだったが、スペンサーがすご腕の元CIAのエージェントだったため一緒に命を狙われ、銃を手にして戦うハメになってしまう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

去年、「ナイト&デイ」という作品があったでしょう?

トム・クルーズとキャメロン・ディアス主演の。

どうしても、それに似ているのよね。

 

邦題はそれに乗っかろうとしているのがみえみえですね。

 

こちらは、アクション映画と言うよりラブコメ色が強かったです。

アシュトン・カッチャーは、鍛えてしぼった肉体がとても魅力的でした。

一方の、ただいまラブコメの女王の座に一番近いと思われるキャサリン・ハイグル。

美人と言うのではないけど、親しみやすく、チャーミングな表情、こちらも絶好調でした。

 

でも私はこの作品、あまり楽しめませんでした。

新婚生活に入り込んで来るジェン(キャサリン・ハイグル)の両親(トム・セレック、キャサリン・オハラ)もすごく面白かったし、どんどん繰り出される刺客たちにも驚いたんだけど、面白いところまではいきませんでした。

 

ご近所さんが3年もかけてそのときを待っていた刺客だったと言うところを、もう少し丁寧に描いて欲しかったです。

この人誰だっけ?ーみたいな刺客が続々と現れて、お話から気分がそがれてしまいました。

 

しかも結末はすごく家族的なところに納まって、虫けらのように死んでしまった刺客たちが哀れに思えてしまいました。

 

やはり、トムとキャメロンの勝ちだなあ。

 


舞妓 Haaaan!!!

2011-05-14 09:21:42 | 映画ーDVD

ー舞妓 Haaaan!!!

2007年 日本

監督=水田伸生 脚本=宮藤官太郎 キャスト= 阿部サダヲ(鬼塚公彦)堤真一(内藤貴一郎)柴咲コウ(大沢富士子(駒富士))小出早織(駒子)京野ことみ(小梅)酒井若菜(豆福)キムラ緑子(良江)大倉孝二(大下)生瀬勝久(先崎部長)山田孝之(修学旅行生)須賀健太(カメラ小僧)Mr.オクレ(老社員)日村勇紀(カメラ小僧)北村一輝(医師)植木等(斉藤老人)木場勝己(玄太)真矢みき(こまつ)吉行和子(さつき)伊東四朗(鈴木大海)

 

【解説】

さまざまなルールや、しきたりが満載の舞妓の世界を舞台に、クドカンこと宮藤官九郎がオリジナル脚本を手がけた人情喜劇。舞妓と野球拳をするという夢をかなえるため、人生のすべてをかける男の姿をハイテンションに描く。監督は、宮藤脚本のテレビドラマ「ぼくの魔法使い」の水田伸生。舞妓しか愛せない主人公を「大人計画」の阿部サダヲが熱演。あでやかな舞妓姿を見せた柴咲コウが阿部、宮藤らのパンク・バンド「グループ魂」に参加し、主題歌を歌っていることにも注目だ。

 

【あらすじ】

お茶屋で遊んだことはなくとも、熱狂的な舞妓ファンの鬼塚公彦(阿部サダヲ)は、念願の京都支社への転勤が決まる。恋人の富士子(柴咲コウ)を捨てて京都入りした彼は、お茶屋へ直行するも、「一見さんお断り」の壁にぶつかってしまう。しかし、会社の社長がお茶屋の常連で、仕事で実績を出した公彦はついにお茶屋デビューを果たす。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「芸妓」を研究テーマにしている先輩がいて、お茶屋遊びもさせていただいたことがあります。

高尚すぎて、あんまり面白いとは思いませんが。

日本の文化であることには、間違いがないですが。

 

舞妓さんマニアでホームページの管理人までやっている鬼塚公彦(阿部サダヲ)は、念願の京都支社への転勤が決まり、大喜び。

恋人の富士子(柴咲コウ)に「おまえは舞妓ではないから、別れる」と言い捨てて京都へ。

「舞妓さんと野球拳をする」という目的のため、憧れのお茶屋に行こうとするが「一見さんお断り」のルールに阻まれても舞妓にも会えない。

 

社長がお茶屋の常連と知り、会社の利益のために働き、その実力を認められて晴れてお茶屋に上がろうとするが、胃潰瘍を指摘され、手術をしてようやくお茶屋に上がれることとなった。

 

そのころ鬼塚に棄てられた富士子は、京都に来てお茶屋に入り、舞妓修行を始めていた。

 

お茶屋には、プロ野球の投手内藤貴一郎(堤真一)がいて、鬼塚をバカにする。

鬼塚は舞妓の駒子(小出早織)と仲良くなり、貴一郎、舞妓になった富士子らとの人間関係がもつれていく。

 

クドカンの脚本は大抵そうですが、ストーリーがどんどんふくらみすぎて、何が本題だったかわからなくなってしまいます。

ストーリーより、ギャグの方が大事なんですね。

 

私はギャグより、本筋にこだわってしまいます。

ストーリーが進めば進むほど寄り道ばかりで、だんだんめんどうになってきます。

私は、つくづく「古い人間なんかなあ」と思ってしまいます。

 

この作品もそうでした。

 

すごいハイテンションも、役者さんのうまさもわかるのに、本筋を見逃してしまいました。

 

本筋は、富士子の純情なんじゃなかったっけかなあ?

父親の心情だっけ?

 

あら?

 

クドカンの脚本て、なんか大事な部分を隠そうとしている気がするなあ。

それは、テレなのか、コンプレックスなのかー?

わからないなあ。


キッズ・オールライト

2011-05-11 10:04:03 | 映画ー劇場鑑賞

 

ーキッズ・オールライトーTHE KIDS ARE ALL RIGHT

2010年 アメリカ

リサ・チョロデンコ監督 アネット・ベニング(ニック)ジュリアン・ムーア(ジュールス)ミア・ワシコウスカ(ジョニ)マーク・ラファロ(ポール)ジョシュ・ハッチャーソン(レイザー)

 

【解説】

ある風変わりな家族を通し、真の愛情や家族のあり方を見つめた人間ドラマ。長年共に暮らしてきた同性カップルの子どもたちが、自分たちの父親を捜し始めたことから起きる騒動をコミカルに描く。監督は、『しあわせの法則』のリサ・チョロデンコ。実力派女優のアネット・ベニングとジュリアン・ムーアがカップルにふんするほか、共演には『ゾディアック』のマーク・ラファロ、『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカら豪華な顔ぶれがそろう。

 

【あらすじ】

同じ父親を持つジョニ(ミア・ワシコウスカ)と弟レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)は、それぞれの母親と一緒に仲良く幸せに暮らしていた。そんなある日、自分たちの父親ポール(マーク・ラファロ)の存在が気になり始めた姉弟は、2人で彼を訪ねる。そのことがそれぞれの母親ニック(アネット・ベニング)とジュールス(ジュリアン・ムーア)に知れたことから、家族の関係がきしみだす。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

2010年、ゴールデングローブ賞作品賞受賞作品。

 

ホームコメディですが、設定がかなりユニーク。

日本では考えられないレズビアンカップルが家庭を持ち、それぞれの子供と一緒に暮らしている。

精子提供者は匿名だが同じ。

つまり、母違いの姉弟が父親を知らずに思春期を過ごしているという設定です。

特殊な家庭を描いているんだけど、普遍的な家族の問題が浮き彫りにされて、すごく面白かったです。

 

女医のニック(アネット・ベニング)は、18歳でもうすぐ大学生となり家を離れるジョニ(ミア・ワシコウスカ)の母。

この家庭では経済的な部分を一人で支え、お父さん的役割。

ジュールス(ジュリアン・ムーア)は、15歳のレイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)の母親。

最近トラックを買い、ガーデナーとして仕事を始めようとしている。

 

ジョニはレイザ−のお願いを聞いて、精子バンクに問い合わせ、自分たちの精子提供者、つまり生物学上の父親ポール(マーク・ラファロ)を探し当てた。

母たちの内緒でポールの経営するオーガニックレストランへ会いに行った。

 

すっかりポールのことが気に入った二人だが、レイザーが母たちに問いつめられてポールのことを白状してしまう。

 

☆ネタバレ

子供たちに諦めさせるため、ポールを自宅に招いて食事をするのだが、ジュールズがポールの家の庭を整備する約束をしてしまい、母たちの「子供たちにポールとの付き合いを諦めさせる」という目的が台無しになってしまった。

 

ここからは、ジュールズとポールが愛し合う関係となり、家庭ががたがたして行くという、お決まりの展開なのですが、ニックとジュールズがまさに熟年夫婦のような会話をしているところが、とても面白かったです。

 

アネット・ベニングとジュリアン・ムーアのレズビアンもからっとした描き方で、嫌みがありませんでした。

下ネタ満載だけど、ジュリアンはとてもうまくすり抜けて行きます。

全身そばかすみたいな裸体をおしげもなくさらして、笑いを取りつついやらしくない、すごい女優です。

 

アネットは、クセのある難しい人間を、愛すべき個性として演じて、最後の決め台詞「自分の家庭を作りなさい」とポールに一喝。

かっこ良かったです。

アップになったときのしわまでかっこ良かった!!

 

女性同士でも、一緒に暮らすと自然と主と従の役割分担ができてしまうところや、それによって生じるコンプレックスや、プライドを傷つけられても我慢すると言う関係が、すごく自然に描かれていて、私なんかは、ジュールズの気持ちがすごくわかるなあと思いながら見ていました。

 

ピエロの役回りのマーク・ラファロですが、ちょうどいい存在感で、軟弱で気弱な現代男性の一面をよく表していたと思います。

いつもより、ちょっとなよっとしたところが、自分の生き方に自信を持てない男の深層心理を表現していた気がしました。

 

「雨降って地固まる」の大団円は、ご不満な方もいらっしゃるかと思うけど、ニックとジュールズが時間をかけてじっくり育んできた家庭は、そう簡単には崩壊しないという証のような気がしました。

子供たちも、ママたちの選択に誇りが持てる結果となりました。

人間は弱い。

それは、親であっても同じです。

それを理解して、愛し合って行くのが家族だと思います。

私は、こうでなくちゃ!大満足でした。

 

ちょっと時代の先を行くホームコメディだと思いました。

既成の家庭観に疑問のある人、新しい家族像を模索している人、パートナーとの共生へ今一歩踏み出せない人、興味のある方は、ぜひご覧下さい。

 

 


彼女が消えた浜辺

2011-05-10 09:09:04 | 映画ーDVD

ー彼女が消えた浜辺ー

2009年 イラン

アスガー・ファルハディ監督  ゴルシフテ・ファラハニ(セピデー)タラネ・アリシュスティ(エリ)シャハブ・ホセイニ(アーマド)メリッラ・ザレイ(ショーレ)

 

【解説】

浜辺にバカンスに訪れた若い女性の失踪(しっそう)事件をきっかけに、人間の複雑な内面が暴かれるヒューマン・ミステリー。楽しいバカンスから事件後までの3日間を通し、残された登場人物たちがあらわにする不安やエゴなどを映し出す。監督は、本作でベルリン映画祭最優秀監督賞を受賞したイランの新鋭、アスガー・ファルハディ。ストーリーの充実度もさることながら、男女の関係などについてのイランの文化や価値観も興味深い。

 

【あらすじ】

テヘラン近郊の海辺のリゾート地にバカンスに訪れた男女の中に、セピデー(ゴルシフテェ・ファラハニー)が誘ったエリ(タラネ・アリシュスティ)もいた。トラブルに見舞われながらも初日は楽しく過ぎ、2日目に事件が起きる。海で幼い子どもがおぼれ、何とか助かったものの、エリの姿がこつ然と消えてしまっていたのだ。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

まず、イランという国の、想像以上の豊かさと、アメリカナイズされている品物の数々に驚きました。

知らない国の背景を楽しむのも、映画の楽しみですねー。

 

3組の夫婦とその子供が3人、そして、独身の男性一人と独身の女性一人が、3泊の予定で別荘地に遊びにきました。

 

3台の車に分乗して、トンネルで奇声を発したり、箱乗りしたり、子供じみていると思うほどのはしゃぎようでした。

 

この旅行を計画したのがセピデー(ゴルシフテェ・ファラハニー)です。

彼女には、ドイツ人の妻と離婚して傷心のアーマド(シャハブ・ホセイニ)に、自分の子供の保育園の先生であるエリ(タラネ・アリシュスティ)を紹介しようと企んでいました。

 

まず、最初のつまづき。

別荘は1泊しか取れていなくて、次の日から別荘の持ち主がやって来ると言うのです。

セピデーは「来たらなんとかなると思ったのよ」と言いながら管理人と交渉しますが、らちはあきません。

 

そのうち、空いている別荘があると言うので見に行くと、窓は破れているし、中も汚れていました。

多数決で、ここに3泊することになりました。

 

みんなふざけたり踊ったり、アーマドとエリをからかったり、少しふざけ過ぎですが、楽しい夜を過ごしました。

 

翌日、エリは帰ると言い出しました。

お母さんに1泊の旅行だと言っていて、お母さんは心臓が悪くて心配かけられないと言います。

女たちは引き止めたり、嫌みを行ったりします。

セピデーは、知らん顔して買い物に行ってしまいました。

 

エリは、子供たちに凧を揚げてやって遊んでいました。

一人の子供は波打ち際で遊んでいました。

子守役の女性が、お昼の準備に家の中に入りました。

エリに後を頼んで。

 

男たちがバレーボールに夢中になっている裏庭に幼い子供が泣きながらやってきました。

少し大きな子供もやってきて、海で遊んでいた子供が溺れていると言いました。

 

男たちは夢中で海に飛び込み、子供を助けました。

次に、エリがいないということに気がつきました。

子供を助けに海に入ったのではないかと、大騒ぎになりました。

警察も来て探しましたが、エリの姿はありません。

 

セピデーも帰ってきて、半狂乱で探しますが、エリの姿はどこにもありませんでした。

 

「帰りたいと言っていたから、帰ったんじゃないの?」誰かが言います。

でも、荷物はセピデーが隠していたし、携帯もセビテーが持っていました。

でも、みんなは、帰ったかもしれないと言う可能性にかけたい気持ちが強い。

 

お母さんに電話すると、旅行に行ったことも知らない様子でした。

エリが最後に電話した相手に電話すると「エリの兄だ」と言いました。

事実を隠したまま、兄と名乗る人物と会うことになりました。

 

セピデーは「電話の主はエリの婚約者だ」とアーマドに打ち明けます。

「なぜ、婚約者のある人を僕に紹介したのか?」詰め寄るアーマド。

セピデーは、エリがこの婚約を破棄したがっていたことを打ち明けます。

 

この事実を兄=婚約者に知られてはならない、みんなは子供にまで言い含めて口裏を合わせますが、結局はばれてしまいます。

 

すべての原因を作ったセピデーは、夫からもののしられて殴られてしまいました。

セピデーは、エリの愚痴を聞いて、なんとかしてあげたいとお節介を焼いた結果なのだから、責められても仕方がない立場です。

別荘の予約の件に現れているように、悪気はないお人好しなんだけど、少し軽はずみなところがある女性なんですね。

 

この間の、それぞれの発言や行動がとても人間臭くて面白い作品でした。

イラン人てこんな感じなのかなあ?

陽気で単純なところもありました。

お台所仕事や子守りなど、明らかに男女の役割分担が決まっていて、少し前の日本社会のようです。

発言も、男が威張っているんだけど、妻に頭が上がらない感じもあって、どこでも一緒だなあと思いました。

 

ただ、婚約や男女関係にはかなり厳しそうで、結局エリの本心が分からなくて、エリ一人がとても哀れな感じがしました。

嫌だとぼやいていても、結婚してみたらそれなりに幸せになったかもしれないもの。

 

戦争とか、テロとかではない、普通の生活を描いたイランの映画が日本で見れることが、平和でいいなあと思いました。