マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

やわらかい手

2008-01-31 11:29:13 | 映画ー劇場鑑賞
ーやわらかい手ー
2007年 ベルギー/ルクセンブルグ/イギリス/ドイツ/フランス 
サム・ガルバルスキ監督
マリアンヌ・フェイスフル(マギー)ミキ・マノイロヴィッチ(ミキ)ケヴィン・ビショップ(トム)シヴォーン・ヒューレット(サラ)ドルカ・グリルシュ(ルイーザ)ジェニー・アガター(ジェーン)コーリー・バーク(オリー)

【解説】
60年代の伝説の女神マリアンヌ・フェイスフルが、『あの胸にもういちど』以来39年ぶりに主演した女性讃歌。世間知らずの中年主婦が思わず飛び込んだ性風俗の世界で、人間として、そして女性として生き生きと輝く様を描く。共演は『美しき運命の傷痕』などの演技派ミキ・マノイロヴィッチや、『ロシアン・ドールズ』のケヴィン・ビショップ。“男性を手で絶頂に導く”仕事をきまじめにこなす主人公の姿が、何ともこっけいで愛らしい。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
ロンドン郊外に暮らす平凡な主婦マギー(マリアンヌ・フェイスフル)は、病気の孫の手術代を稼ぐ必要に迫られていた。偶然セックスショップの“接客係募集”の張り紙を見つけた彼女は面接を受け、採用される。オーナー(ミキ・マノイロヴィッチ)の見込んだ通り、彼女はその手の滑らかさで店でナンバーワンの“接客係”になる。(シネマトゥデイ)

【感想】


マリアンヌ・フェイスフルー「60年代の伝説の女神」と言われても、全然ピンと来ませんでしたが、これを見て、当時話題になっていたことを思い出しました。
「あの皮のジャンプスーツの下は裸だ」とか、言っていましたねえ。

「ルパン3世」の峰不二子のモデルですって!!
最近では、「マリー・アントワネット」のマリア・テレジアを演じていたそうです。
気がつかなかったわ。

さて、マギー(マリアンヌ・フェイスフル)が、難病の孫のために家まで処分してもまだ足りないという状況で、職探しをするのですが、職安で言われた言葉!!
「職歴もなく、スキルもない、その年で…sorry」
一瞬、私のことかと思ってドキリとしました。
ショックでした。
謝ってもらっても…。

でも、これが現実です。
彼女は、息子にも嫁にも軽んじられ、友達からもバカにされている存在だったのです。

そこから、彼女の人生が始まったと言って過言ではありません。
人に誇れる仕事ではありませんが、その世界にもたくさんの人間がいて、いろんな感情やその人なりの尊厳を持って生きていました。

私も、現実では見ることのできない風俗の世界を覗かせてもらいました。
マギーの職場のシステムは、東京で学んだことだと経営者のミキ(ミキ・マノイロヴィッチ)が言ったときは、恥ずかしかったですが。

マギーの素晴らしいところは、どこにいても自分らしさを見失わず、背筋を伸ばして歩き、信じることを貫く姿勢だと思いました。
人が何と言おうと、自分に過ちがなければ、折れないし、かといって、人を思いやる優しさも失っていないし、義理や恩義も大切にします。

家を処分して孫に尽くしても信頼してくれなかった嫁(シヴォーン・ヒューレット)が、最後には泣いて感謝する。
そして、マギーの言葉にすがってくる。
説得力のあるシーンでした。
観客も、オリーの手術がうまくいくことが確信できました。

また、非情な経営者のミキの心を解き、ラストのキスは、びっくりしたけど、彼女の人生の扉が開いた瞬間だと思いました。

人生は捨てたもんじゃないし、いつでも、どんなときでも、希望はあると思わせてくれた映画でした。

でも、未婚の女性は見ない方がいいかも…。

いろんな場面でバカ受けしている人がいました。
私は、男性はみんな紳士だと信じていますよ。

ぜんぶ、フィデルのせい

2008-01-31 11:18:08 | 映画ー劇場鑑賞
ーぜんぶ、フィデルのせいー
2006年 イタリア/フランス ジュリー・ガヴラス監督 ニナ・ケルヴェル(アンナ)ジュリー・ドパルデュー(マリー)ステファノ・アコルシ(フェルナンド)バンジャマン・フイエ(フランソワ)

【解説】
9歳の少女アンナの目線から、激動の70年代を見つめた心温まるヒューマンドラマ。共産主義に目覚めた両親のせいで、上流階級の暮らしに別れを告げなくてはならなくなった少女の心の機微がユーモラスに描かれる。監督は『戒厳令』などで知られる、名匠コンスタンタン・コスタ=ガヴラスの娘ジュリー・ガヴラス。主人公アンナを約500人の候補者から選ばれた新星ニナ・ケルヴェルが演じる、仏頂面と大きな瞳がチャーミングなヒロインに注目。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
1970年代のパリ。弁護士の父(ステファノ・アコルシ)と雑誌記者の母(ジュリー・ドパルデュー)を持つアンナ(ニナ・ケルヴェル)は、名門のカトリックスクールに通うお嬢様。しかし、スペインで反政府活動を行っていた伯父の死をきっかけに、父と母は社会的良心に目覚め、アンナと幼い弟を残してチリへ旅立ってしまう。(シネマトゥデイ)

【感想】
「ぜんぶ、フィデルのせい」のフィデルは、フィデル・カストロのことです。

キューバ革命が起こり、スペインではフランコ将軍の独裁政治が続いている時代のパリ。
パリの裕福な弁護士一家のアンナ(ニナ・ケルヴェル)の生活に、それがどう関係するというのでしょう。

これの作品は、子供が主人公だけど、子供向けの作品ではありません。
昔子供だった人たちのための映画です。

親の考えひとつで、生活が激変した子供たちのお話。

アンナの場合はこうです。
アンナのパパ(ステファノ・アコルシ)はもともとスペインの貴族の生まれ。
親と意見が合わず政変を機にフランスへ来て、ママと出会い、パリで暮らすようになりました。
スペインに残ったパパの姉は、共産主義の夫とともに反政府運動をしていましたが、その活動の半ばで夫が亡くなり、アンナと同い年の娘を連れて、兄を頼ってフランスに来ました。
伯母さんに同情し、励ましているうちに、パパとママ(ジュリー・ドパルデュー)は共産主義者の生き方に心を奪われ、チリに飛び、人々の不幸を目の当たりにして、共産主義に目覚めてしまいました。
そこからです、アンナの生活が一変したのは。

革命を憎むキューバ人のメイドを解雇し、庭付き1軒屋から狭いアパートに引っ越し。
しかも、そこにはしょっちゅうヒゲの革命者たちが出入りする、アンナにとっては、好ましくない生活環境になってしまったのです。

学校はなんとか元のカソリックの小学校に通わせてもらえることになったのですが、大得意の宗教の時間が受けられず、友達からも変な目で見られるようになりました。

 パパとママのお話なんてわかんないよ!

「なんで、なんで、なんで?」
アンナは必死に考えます。
「お金がないなら、おばあちゃまにもらえばいいでしょ」とアンナが言ったら、ママは「電気代くらい払えなくちゃ」というから、アンナは友達から小銭を盗んでしまいます。
それを厳しく叱られたら、今度は電気代節約のため、家中の電気を消し歩き、しまいにはボイラーまで。

でも、何をやってもパパやママは考えを改めようとはしません。
アンナは怒って弟の手を引き、街を歩き回ります。

アンナは図書館で調べ、パパの故郷にも連れて行ってもらい、世の中はとても複雑なんだということが、少しずつわかってきました。

パパの理想もなかなかうまく実現できないし、ママがフェミニストの本を書いたら、パパが激怒するし。

パパもママも、それぞれの個人的な思いがあって、共産主義にのめり込んだようなのです。

こうして、大人の世界を少し覗いたアンナちゃん、どんな素敵な大人に成長していくか、とても楽しみです。

 かわいいきょうだい

ニナ・ケルヴェルの仏頂面も笑顔もすごくかわいいけど、弟のフランソワがまた、要所要所でいい演技をします。
アンナもこの弟にずいぶん救われていました。
めちゃ、かわいい男の子でした。

迷子の警察音楽隊

2008-01-31 11:14:13 | 映画ー劇場鑑賞
ー迷子の警察音楽隊ー
2007年 イスラエル/フランス エラン・コリリン監督 サッソン・ガーベイ(トゥフィーク)ロニ・エルカベッツ(ディナ)サーレフ・バクリ(カーレド)カリファ・ナトゥール(シモン)

【解説】
隣国同士でありながら、長い間敵対してきたイスラエルとエジプトの市民が音楽を通じて交流を深める夢のような一夜の物語。1990年代のイスラエルを舞台に、ユダヤの地に迷い込んだエジプト人と、現地のユダヤ人のほのぼのとしたやりとりをじっくりと見せる。誇り高き団長を演じるのは、イスラエル映画界を代表する名優サッソン・ガーベイ。民族や言葉が違っても、心を通わせることができるというメッセージが胸を打つ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
文化交流のため、イスラエルにやって来たエジプトのアレキサンドリア警察音楽隊のメンバー8人。しかし、空港には迎えもなく、団長(サッソン・ガーベイ)は自力で目的地を目指すが、なぜか別の街に到着してしまう。途方に暮れる彼らを、カフェの店主ディナ(ロニ・エルカベッツ)がホームステイさせてくれることになり……。(シネマトゥデイ)

【感想】
まったりとした、「間」の映画でした。
この「間」がなんとも心地よい。

親善のためにイスラエルに招かれたエジプトの警察音楽隊が、どんな手違いか、空港で待ちぼうけを食い、目的地はわかっているのだからと、パスに乗り降り立ったのですが、そこは、一字違いで大違いの田舎町。

道を聞いた食堂で、ご飯を食べさせてもらい、あげくには、ホームステイさせてもらうことになりました。

カチパンの団長(サッソン・ガーベイ)と女性に目がない若造のカーレド(サーレフ・バクリ)が、食堂の女主人ディナ(ロニ・エルカベッツ)の家に泊めてもらうことになりました。

イスラエルはヘブライ語、エジプトはエジプト語だそうです。
どちらも全然わかりませんが、双方ともたどたどしい英語で会話していて、そのまったりとした間がとてもいい感じでした。

英語で会話ができるだけ、わたしから見たらすごいなあ、とも思ったし、一節歌った「サマータイム」で合唱できるのも、すごいなあと思いました。
なんか、いいよね。

反目しあってきた歴史のある両国の、民間外交の話。
政治や宗教の話がひとつも出てこなかったことも、不思議でした。
ひとりひとりが人間レベルで理解しあうことが大切だとしみじみ思いました。

迷子にもなってみるもんです。

ナイト・オブ・ザ・スカイ

2008-01-29 10:59:20 | 映画ーDVD
ーナイト・オブ・ザ・スカイー
2005年 フランス ジェラール・ピレス監督 ブノワ・マジメル(アントワーヌ“ウォークマン”・マルシェリ大尉)クロヴィス・コルニアック(セバスチャン“ファーレンハイト”・ヴァロワ大尉)ジェラルディン・ペラス(マエル・コスト)アリス・タグリオーニ(エステル“ピットブル”・キャス)フィリップ・トレトン(ベルトラン)ジャン=バティスト・ピュシュ(“アイポッド”)クリストフ・レモン(“スタン”)フィオナ・カーゾン(レッドグレイヴ夫人)ジャン=ミシェル・ティニヴェリ(ファルジュ大佐)フレデリック・ヴァン・デン・ドリーシュ(アルドゥワン将軍)エリック・プーラン(クレベール大尉)ピエール・ポワロ(ド・セーズ)ピーター・ハドソン(ブキャナン将軍)

【解説】
『TAXi』で世界的ヒットを飛ばしたジェラール・ピレス監督による、フランス版『トップガン』。優秀なパイロット、マルシェリ大尉にふんするのは『ピアニスト』の美形俳優、ブノワ・マジメル。今回彼はタフな男を演じるためにヒゲを生やして役に臨んでいる。撮影にはフランス空軍が全面協力。世界有数のジェット戦闘機ミラージュ2000が実際に飛行する迫力の映像をスクリーンで目にすることができる。3D方式ではなく600カットに及ぶ空撮によるリアルな映像は圧巻だ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
イギリスの航空ショーでフランスの戦闘機ミラージュ2000が姿を消す。すぐにマルシェリ大尉(ブノワ・マジメル)とヴァロワ大尉(クロヴィス・コルニアック)は捜査を開始。旅客機の下に隠れて飛行中のミラージュ2000を発見するが、戦闘機は彼らを攻撃する体制に入る。(シネマトゥデイ)

【感想】
すばらしい映画でした。
戦闘機に乗って空を飛ぶことが体感できる映画といったら、おおげさすぎるでしょうか。

もちろん、一生乗ることはないし、この感覚がそれに近いものなのかどうかもわかりませんが、でも、楽しかった!!

フランス空軍が全面協力、いままで許されなかった、パリ市の上空からの撮影も許されたそうです。

「トップガン」しか頭になかった、というスタッフの心意気が伝わってきました。

航空ショーの真っ最中に、パイロットをすり替えて最新式戦闘機「ミラージュ」を盗むというオープニングもびっくりしましたが、すっごいゴージャスな美人の飛行士が二人出てきて、戦闘機を操縦するのも驚きー。
さらに、その一人はストリップみたいな踊りまで披露して、同僚の男性を喜ばせていたのには、唖然ーでした。

内容は、アメリカと競争して、どこかまで戦闘機でレースをするというもの。
あり得る話なのでしょうか。
しかも、外交的には内緒だなんて。

その計画をテロリストに利用されて、戦闘機を盗まれ、国を挙げてのサミットで計画されているテロを防げるかーというもの。

砂漠でロケをしたり、戦闘機を爆破したり、結構大掛かりで派手でした。

不自然だなあと思える設定を無視しても、いいわー、と思えるほどのできばえです。
CGを見慣れた目に、実写の素晴らしさを思い出させてくれました。
胸がスカットするスピード感と、空の美しさに彩られた映画でした。

ブノア・マジメルがするどいカミソリのようなマシェリ大尉を好演していました。
かっこいい!!

特典でのインタビューでは、少し太り気味のマジメル君が明るく答えていて、最初は別人かと思いました。
役者さんて、ほんと、何色にも染まるのですね。

ドン・サバティーニ

2008-01-29 10:55:31 | 映画ーDVD
ードン・サバティー二ー
1990年 アメリカ アンドリュー・バーグマン監督 マーロン・ブランド マシュー・ブロデリック ブルーノ・カービイ ペネロープ・アン・ミラー フランク・ホエーリー B・D・ウォン

【解説】
ニューヨーク大学の映画科入学のため、バーモントから上京してきたクラーク君は、いかにも田舎の好青年でお人好しといった風貌だった。生き馬の目を抜く都会で、彼は早速、置き引きにあう。イタめし屋で困っているところを、マフィアのドンに目をつけられ、ドンのペットであるワニの世話係をやることになる。好条件に目がくらんで、その仕事を引き受けた彼であったが……。(allcinema ONLINE)

【感想】
マーロン・ブランドが「ゴッド・ファーザー」の自分のパロディーをしているところが笑えます。
マシュー・ブロデリックが、若くてとてもかわいい。

最初に着ていたセーター、すごくかわいくてよく似合っていました。

田舎からNY大学へ行くために出てきたクラーク(マシュー・ブロデリック)が、いきなり置き引きにあい、犯人を追いかけて着いたところがドン・サバティーニ。
率のいいバイトを頼まれるが、それば絶滅寸前のコモドドラゴンの運搬だった。
クラークの義理の父親は過激な自然保護主義者。
彼に知られて、動物保護局に狙われるはめに…。

どたばたコメデイーですが、ほのぼのと楽しめました。

カオス

2008-01-28 08:46:08 | 映画ーDVD
ーカオスー
2005年 カナダ/イギリス/アメリカ
トニー・ジグリオ監督 ジェイソン・ステイサム(クエンティン・コナーズ)ウェズリー・スナイプス(ローレンツ)ライアン・フィリップ(シェーン・デッカー)ジャスティン・ワデル(テディー・ギャロウェー刑事)ヘンリー・ツェーニー(マーティン・ジェンキンス刑事)ニコラス・リー(ビンセント・デュラーノ刑事)ジェシカ・スティーン(カレン・クロス)ロブ・ラベル(銀行支配人)ジョン・カッシーニ(バーニー・カーロ)

【解説】
複雑に見える現象も簡単な方程式で表せるというカオス理論を題材に、警察内部に精通した銀行強盗と、2人の刑事の攻防を描くクライム・サスペンス。『トランスポーター』のジェイソン・ステイサムと、『クラッシュ』のライアン・フィリップが刑事にふんし、彼らに挑む知能犯を『ブレイド』のウェズリー・スナイプスが好演する。『Uボート 最後の決断』のトニー・ジグリオ監督による、二転三転するスリリングなストーリー展開に最後まで目が離せない。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
シアトルの銀行を武装強盗団が襲撃し、リーダーのローレンツ(ウェズリー・スナイプス)は、交渉人にコナーズ刑事(ジェイソン・ステイサム)を指名する。交渉中、一味は警察の裏をかいて逃走してしまうが、銀行からは何も盗まれていないことが判明。コナーズは新米刑事デッカー(ライアン・フィリップ)と組み、不可解な事件を追うが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
なかなかスリリングなクライムサスペンスでした。

ジェイソン・ステイサム、ウェズリー・スナイプス、ライアン・フィリップの三者が、それぞれの魅力を出していて、楽しめました。

派手な爆発も、カーチェイスも面白かったです。

☆ネタバレ
ただ、途中で「あれ?カオス理論はどうなった?もう、真相が分かってしまったけど…」と思いました。
デッカー(ライアン・フィリップ)が一生懸命メモしていたものが、あまり役には立っていなかったのですね。汗!!

首謀者と思われていたローレンツ(ウェズリー・スナイプス)が意外にあっけなく死んでしまって、そのあとにどんでん返しがくるのですが、あまりスカッとしたものでなかったのも、よかったのかどうか?と、悩んでしまいました。

ジェイソン・ステイサムはかっこいい横顔です。
ハードボイルド作品にぴったり!!

ライアン・フィリップの困り顔もチャーミングでした。

再会の街で

2008-01-26 19:24:59 | 映画ー劇場鑑賞
ー再会の街でー
2007年 アメリカ マイク・バインダー監督 アダム・サンドラー(チャーリー・ファインマン)ドン・チードル(アラン・ジョンソン)ジェイダ・ピンケット=スミス(ジャニーン・ジョンソン)リヴ・タイラー(アンジェラ・オークハースト)サフロン・バロウズ(ドナ・リマー)ドナルド・サザーランド(レインズ判事)マイク・バインダー(ブアイアン・シュガーマン)

【解説】
キャリアと家族に恵まれながらも人生にむなしさを感じる歯科医と、911の悲劇で家族を失い、自分の殻に閉じこもるようになった元歯科医の触れ合いと再生を描く感動作。主演は『50回目のファースト・キス』のアダム・サンドラーと『ホテル・ルワンダ』のドン・チードル。911をニューヨークで体験したマイク・バインダーが監督を務めている。繊細(せんさい)な演技を見せる実力派スター2人の競演と、物語に欠かせない要素となっているニューヨークのリアルな街並みを堪能できる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
キャリアと愛する家族に恵まれ、誰もがうらやむ順風満帆な人生を送るニューヨークの歯科医アラン(ドン・チードル)。ある日、彼は911の飛行機事故で妻子を亡くし、消息がわからなくなっていた大学時代のルームメート、チャーリー(アダム・サンドラー)を街で見かける。元歯科医のチャーリーは、今や世捨て人のような生活を送っていて……。(シネマトゥデイ)

【感想】
グラハム・ナッシュの「シンプルマン」で始まった。
一人暮らししていた頃、毎晩聞きながら眠っていた曲。
懐かしい!!
いまでも、歌えるし…。

この曲が流れている間、タイトルバックには夜のニューヨークの街が、スクーターに乗った人の足につけられたようなカメラで映し出されていました。

これも、9.11の映画。
すごく個人的な悲しみの映画です。
でも、普遍的な悲しみ。

9,11で妻とかわいい盛りの娘3人、ペットの犬まで亡くしたチャーリー(アダム・サンドラー)は、スクーターに乗って、ipodに入れた青春時代のお気に入りの音楽を聴きながら、心を閉ざして彷徨っていました。

彼と大学時代ルームメイトだったアラン(ドン・チードル)は、チャーリーをみつけ、懐かしさのあまり彼に声をかけますが、チャーリーはすっかり人が変わっていました。

 再会した二人は、元の友人に戻って仲良くニューヨークの街を走ります。

人が、悲しみのあまり心を閉ざすとはどういうことなのかー。
経験してみないと、誰にもわからないんだと思います。
悲しみが深すぎて、自分で自分を破壊してしまいそうだから、心を閉ざしていることだってあるのでしょう。

アランも、亡くなった妻の両親も、チャーリーにもとの人生に戻るように働きかけるのですが、果たしてそれが彼のためになるのかどうか?

 セラピストのアンジェラ

アンジェラ(リヴ・タイラー)のセラピーが功を奏して、悲しみを吐露してから、チャーリーが悲嘆にくれる様子は、痛々しくてみていられませんでした。
事実と向き合うことが、どんなに苦痛を伴うものか。
警察官に弾の入っていない銃を向けるチャーリー。
「頼むからチャーリー、落ち着いて! おまわりさん、銃に弾は入っていないのよ」と、観客みんながスクリーンに向かって呼びかけていたことでしょう。
これを書いているこのときでさえ、涙があふれそうになります。

冷たくみえた大家さんや会計士が、それぞれの立場で彼を守ってきたのだということも、理解できたし、感動しました。

アランも、チャーリーと付き合うことで、自分自身の問題点にも気づけたし、癒しにもなっていたようでした。
人って、関わることでなんらかの影響を与えあって、どちらかが一方的に優位に立っているということはないのですね。
持ちつ持たれつ、昔から言われてきたことだけど、本当だなあ。

人の心の傷に、専門家は無力だし、知識も役には立たない。
無駄に思えても、ただそばにいること、それしかないんだなあ。

ドナルド・サザーランドが判事で出演、出番は少ないけど、いいこと言いますよ。

シンプルマン以外にも、懐かしい曲やLPのジャケットなど、音楽の話題がいっぱい出てきました。
アダム・サンドラーが髪の感じとかも、ボブ・ディランに似ていました。

 アダム・サンドラー、ボブ・ディランに似ていました。

それにしても、アダサンもドン・チードルもうまいです。
ジョークもあって、重い気分にはなりません。
二人のギターとドラムのセッションシーンも楽しいです。

泣きたい人は、この映画を見て欲しい。
これが、泣ける映画だと思いました。

今年一番と言える映画を、見てしまったのかな?

ファントムー1.24 梅田芸術劇場

2008-01-26 19:11:15 | 舞台
ー舞台 ファントムー
上演台本・演出:鈴木勝秀
作詞:アーサー・コピット 作曲:モーリー・イェストン ファントム(エリック)=大沢たかお クリスティーン・ダエー=徳永えり フィリップ・シャンドン伯爵=ルカス・ペルマン ベラドーヴァ(映像出演)=姿月あさと  中村まこと 永島 克 コング桑田 阿部よしつぐ  大西ユカリ 伊藤ヨタロウ

【解説】
(ウィキペディアより)
ファントム(PHANTOM)は、ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』のアーサー・コピット&モーリー・イェストンによる舞台版である。1991年初演。
当初、ブロードウェイでの上演を目指して製作中だったが、一足先にロンドンでアンドリュー・ロイド=ウェバー版が大ヒットして早々とブロードウェイ上演が決定してしまったため、スポンサーのほとんどが離れ資金面の問題で上演を断念した。
その後、TVドラマ用に修正した脚本をアメリカのテレビ局に売却。1990年にドラマ化・放映され、青年エリックとしての人間性や出生の秘密など、原作と大きく離れ独自に掘り下げられた内容が賛否両論ながらも好評を博し、1991年テキサス州ヒューストンでリチャード・ホワイト(ファントム)、グローリー・クランプトン(クリスティーヌ・ダエー)にて初演。全米ツアーを経てその後も世界各地で上演されている。
日本では、宝塚歌劇団により2004年と2006年に上演されている。

(公式HPより)
この作品は、フランス人小説家ガストン・ルルーが1911年に発表した怪奇小説「オペラ座の怪人」を原作としたミュージカルです。
「オペラ座の怪人」は、数多く映画化、劇化、ミュージカル化されていますが、数々の作品の中でも、アーサー・コピット/モーリー・イェストンによるこの「ファントム」は、怪人ファントムの人間像に焦点をあてたストーリーと、独創的な楽曲で、1991年ヒューストンでの初演以来、多くの人々を魅了し、世界中で高い評価を受けています。
仮面を被り地下で生きていかなければならない運命を背負い、苦渋に満ちた人生を送る怪人の心の葛藤を鮮明に浮かび上がらせ、悲劇の結末までをドラマティックに描き出すこの作品は、日本でも有名なアンドリュー・ロイド=ウェーバー版「オペラ座の怪人」とは違った味わいの秀作です。
  この秀作を手がけるのが、今最も注目を集める演出家鈴木勝秀。
通称「スズカツ」と呼ばれる彼の演出スタイルは緻密かつ斬新。
自ら手がける上演台本によって構築された作品の全体イメージを初期の段階からスタッフ・キャストに浸透させ、稽古場でそれをベースに役者・スタッフの魅力を200%引き出すスタイルをとる。
満を持して、初のグランドミュージカル演出である。
ブロードウェイ屈指の作詞・作曲家コンビアーサー・コピット/モーリー・イエストンの代表作ミュージカル「ファントム」をどう演出するか必見です。

【感想】
私は劇団四季の「オペラ座の怪人」がお気に入りなので、この別解釈のミュージカルにも興味がありました。

大沢たかおのファントムって、かっこよさそうではありませんか!!

お客さんはいつにも増して女性客が多いような気がしました。

確かに、登場人物はよく似ているのに、解釈は全く違っていました。
ファントム=エリックの生い立ちの悲劇が、クリステイーンへの思慕と、それに応えようとして応えきれなかったクリスイテーンの未熟さによって、人々を巻き込んでの悲劇へとつながっていきました。
人間が作り出した怪人ということを強調した構成になっていました。
理解しあえない父と息子、引きこもりなど、現代にも通じるテーマでした。

ロイド・ウエーバー版に比べると、地味で、メロディラインはもっとパリの香りがしました。

でも、演劇作品として考えた時に、私は少し違和感を感じました。

昔からスターによる「座長公演」ってありますね。
前半お芝居で後半歌謡ショーみたいな。
今は、形を変えてこういうことも試みられているのかなあと思いました。
日本の演劇は、どうしてもスターに頼る形式だから、人気のスターさんでお客さんを集めないと集まらないのでしょうね。
大沢たかおさんは、あのかっこよさですもの、ファンも多くて集客もいいんだなあと思いました。

このミュージカルも、演劇としてしっかりできあがっているから、結局泣かされてしまいましたが、やはり、大沢たかおさんの歌も徳永えりさんの歌も、しっかりしているとはいえなかったです。
聴かせる歌が多いのも、気の毒な感じがしました。
歌手じゃないのですから。

フィリップ役が、あまり日本語が得意とは思えないルカス・ペルマンかということも謎でした。

あと、キャリエール(実父)に撃たれて死んだエリックの顔が、とてもきれいだったのはなぜなのでしょう。
死んだら苦しみから解き放たれた、現れていたのは心の醜さーと言いたいのかなあ。

アンサンブルの人たちが歌いながら客席を回るのですが、彼らの肉声が耳に飛び込んできたときが、いちばん心地よかったです。

ご贔屓の大西ユカリちゃんは、さすが歌のプロ。
ちょっとテイストは違う感じでしたが、いい声していたし、お芝居しながらも違う空気を出していて、評価できると思いました。

この日は、カーテンコールの後に、姿月あさとさんの歌と、ルカス・ペルマンさんのトークショーがあり、最後は得した気分で帰りました。

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(初日)

2008-01-21 17:54:24 | 映画ー劇場鑑賞
ースウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師ー
2007年 アメリカ
監督 : ティム・バートン
出演 : ジョニー・デップ 、 ヘレナ・ボナム=カーター 、 アラン・リックマン 、 サシャ・バロン・コーエン 、 ティモシー・スポール 、 ローラ・ミシェル・ケリー 、 ジェイン・ワイズナー

【解説】
19世紀、ロンドン。フリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカーは愛する妻と娘と共に幸せに暮らしていた。しかし、美しい妻に恋をしたターピン判事の陰謀で、バーカーは無実の罪を着せられ、投獄されてしまう。15年後、妻と娘を奪われたバーカーはスウィーニー・トッドと名前を変え、フリート街に戻って来た。理髪店を構え、パイ店の店主、ミセス・ラペットの協力を得て、ターピン判事への復讐を始める。(goo映画)

【感想】
初日、行ってきました。
それにしては、少し寂しい客の入り。
まあ、決して派手な映画ではないのです。

一緒に行った友達は、アンソニー(ジェイミー・キャンベル・バウアー)が最初のシーンから注目したというほど、彼の美貌に目を奪われていたようです。

でも、私はやはりジョニーが演じるスウイーニー・トッドに目はくぎ付けでした。

それにしても、ジョニーの表情。
絶望を表現しながらも、お茶目な表情を入れて、深刻になりすぎないところが素晴らしい。

暗い画面に濃いピンクの血の色が映えて、あまり怖いイメージは作っていません。
タイトルバックから血を観客に見せて、覚悟をうながし、本編が始まってアンソニーとスウィーニーの歌で始めて、ミュージカルだということを自然に観客に知らせています。

こういう心配りが随所に見えて、安心してみられる作品となりました。

そして、ジョニーの歌。
歌手ではない、役者の歌。
これはヘレナにも言えることですが、難しい歌を完璧にこなしていました。
いろんな人が掛け合いで歌うのも見どころです。
ミュージカルが苦手な人でも、心の声と思えば、きっと理解できると思います。
同じメロディーに乗せて歌う本音が、全然違うところが面白い。

☆ネタバレ
ターピン判事を仕留めそこなって、すでに殺人も経験したスウイーニーは、さらに絶望し、虫けら同然の人間、自分やラベット夫人さえ、生きている価値はないと、無差別殺人への道を歩みだすところ、ヤケになったという以上に、復讐だけにしか生きる支えを求めることができなかった彼の悲劇が、私の胸を締め付け、涙を誘いました。

お気に入りはラベット夫人と明るく踊るワルツ、そしてもう一度ラストで踊る死のワルツ。

やはりラストは切ないですね。
ミスターTは妻の顔を忘れていたのでしょうか?
自分の犯した罪について、ミスターTは、最後の最後に理解したのてしょうか?

ジェシー・ジェームズの暗殺

2008-01-21 17:49:33 | 映画ー劇場鑑賞
ージェシー・ジェームズの暗殺ー
2007年 アメリカ アンドリュー・ドミニク監督 ブラッド・ピット(ジェシー・ジェームズ)ケイシー・アフレック(ロバート・フォード)サム・シェパード(フランク・ジェームズ)メアリー=ルイーズ・パーカー(ジー・ジェームズ)ジェレミー・レナー(ウッド・ハイト)ポール・シュナイダー[俳優](ディック・リディル)ズーイー・デシャネル(ドロシー)サム・ロックウェル(チャーリー・フォード)ギャレット・ディラハント(エド・ミラー)アリソン・エリオット(マーサ・ボルトン)
マイケル・パークス(ヘンリー・クレイグ)テッド・レヴィン(ティンバーレイク保安官)カイリン・シー(サラー・ハイト)マイケル・コープマン(エドワード・オケリー)

【解説】
19世紀のアメリカに名をとどろかせた犯罪者ジェシー・ジェームズと、彼を暗殺した手下、ロバート・フォードの人物像に迫るサスペンス・ドラマ。プロデュースも務めるブラッド・ピットが伝説の無法者ジェシーを怪演し、ヴェネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞。監督は『チョッパー・リード 史上最凶の殺人鬼』のアンドリュー・ドミニク。伝説的人物の知られざる一面に迫る人間ドラマとしてだけでなく、登場人物のさまざまな思惑が交錯する心理サスペンスとしても楽しめる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
悪名高きアウトローとして数々の犯罪に手を染め、法をあざけり、自分自身のルールで生きてきたジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)。理想に燃える野心家の若者ロバート・フォード(ケイシー・アフレック)は、そんなジェシーの仲間になれたことを心から喜んでいたが、思わぬ事態が彼らを待ち受ける。(シネマトゥデイ)

【感想】
ジェシー・ジェームズの名前くらいは知っているけど、日本では有名というわけにはいかない人物。

でも、アメリカではネズミ小僧次郎吉や五右衛門のように知られた伝説の義賊なのでしょう。

ジェシー・ジェームズを巡る暗殺の謎。

ブラピが生涯一番の演技と評判ですね。

確かにブラピの演技はすごかったです。
若いときから挑戦してきた悪い人間の集大成だなあと思いました。
悪のりや澄んだ青い瞳の中の冷徹なまなざし。
怖かったです。

心理劇なので、すごく静かに物語は進んで行きますが、眠くなった頃に「バン!」と轟く銃声。
ほんと、びっくりします。怖いです。

私はこういう男の人同士が疑心暗鬼をいだいて、追いつめたり、追いつめられたりする映画、本当に怖いなあ。
ある意味英雄視されるカリスマ性を持った男が、裏切り者へ抱く、狂気を帯びた殺意。
殺されそうな人間を側に置いて、じっと見張っているような緊張感。
追いつめられて、耐えられなくなって、「殺される前に殺してしまえ」とばかり相手に向ける銃口。
ああ、怖い!!

事実はどうなのでしょう。
ボブに銃をプレゼントして、自分は銃を置く。
誰がジェシーを殺したのか。

結局、英雄を暗殺した人間たちも破滅へと導かれて行く様。
そう、彼らにまともな人生なんか待っていないですよね。

ベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレックが、ジェシーを崇拝して、最後は銃口を向けるボブ・フォードを好演していました。

背景となっている荒野が、殺伐とした人々の心の風景とも重なって見えました。

長い映画です、覚悟して。