マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

旅倶楽部「こま通信」手造りの旅<ナイルクルーズ>パート6

2010-01-31 13:19:40 | 旅行
ー10.1.8~18 旅倶楽部「こま通信」手造りの旅<ナイルクルーズ>ーパート6

<アスワンからアブシンベルへ>

朝目覚めたら、もう船はアスワンの町に着いていました。
船で朝食を食べたら、荷物を出してお別れです。


船のフロント。チェックアウトの様子

チェックアウトのときに冷蔵庫を申告しました。
54.5ポンド(1ポンドは約18円)。
私は100ポンド出しておつりを待っていました。
そうしたら、小銭がないらしいのです。
で、私の100ポンドを持ってボーイさんが船の中をうろうろし始めました。
でも、両替できなかったようです。
しかたがないから、私は100ポンド返してもらって、20ポンド札3枚を出しました。
おつりは5.5ポンド、ですよね?

レジの奥からしわくちゃなお札をなんとか2ポンド出してきたけど、それ以上はないようです。
どうするのかなあ、と思っていたら、フロントのホテルマンが自分の財布を取り出して1ポンドくれました。
でも、まだ足りないよねー。
そこへ、ツアコンの小松さんが「どうしたの?」と入ってくれて、「おつりがない」話をしたら、小松さんが1ポンド出してくれて、私が1ポンド泣いて、三方1損で丸く治まる、かあ?????
ホテルマンは小松さんに「さんきゅ」ですって。
これがエジプト式かと、呆れてしまいました。
小松さん、全然関係ないのに、迷惑をおかけしましたね。

さて、バスに乗って、オベリスクの採掘現場へ向かいます。
ここは、赤御影石の山です。
アスワンの特産ですって。
素敵ですねえ。



無事切り出していたら世界最大のオベリスクになるはずだったけれど、ひびが入ってそのまま放置されたオベリスクを見ることができました。
このオベリスクにたどり着くまでの、石段も坂道もみんな赤御影石です。
うちの玄関にもって帰れませんか?



アスワンハイダムの記念碑も大きな赤御影石でできていたし、歩道も赤御影石が敷き詰めてありました。

エジプトにとって、アスワンハイダムはとても大切な施設です。
ナイル川は毎年夏に氾濫し、洪水を起こしていました。

アスワンにはロウダムとハイダムがあって、ロウダムはイギリスの援助で1901年に建設されました。
これだけでは不十分だと考えたエジプト政府は、1952年にハイダムの建設計画を始めるが、エジプト革命が起こり、イギリスが撤退して計画は中止となった。
革命政府は、ダムの建設にむけて資金調達を始め、そのためにナセル大統領はスエズ運河の国有化を決める。
それが第2次中東戦争の発端となった。
1958年、ソ連が建設資金と資材の提供を申し出た。
1960年に建設が始まるが、水没地域の約9万人の住人の移転や、アブシンベル神殿などの遺跡が水没してしまうというたくさんの問題があった。
アブシンベル神殿の水没については、国際社会の反対の声が強く、ユネスコの援助で巨額な費用をかけて、移転された。

アスワンハイダムは総コスト10億米ドルをかけて1970年に完成。
完成を記念した塔が湖畔に建てられていました。



現地の住民の人たちも見学に来ていました。



 アスワンハイダムから上流を見る

 下流を見る。水量の差が一目瞭然です。

このダムを破壊されては、エジプトの主要都市に洪水が起こるので、警戒は厳重です。
これを守るために、イスラエルとも共存しようと努力するし、守るべきものがあるというのが、平和に通じるんだなあと思いました。


バスから降りて、砂漠体験。細かいさらさらの砂です。

飛行機に乗って、アブシンベルを目指します。
約1時間。
その間、眼下に広がるのはナセル湖と砂漠ばかり。
すごい国ですねえ。



アブシンベル神殿がちらりと見えました。
期待に胸が膨らみます。

すいている時の見学がいいだろうということで、ホテルで昼食の後、すぐに出発。
観光客はほとんどいなくて、アブシンベルが貸し切り状態でした。


砂漠を歩いて神殿へ


アブシンベルの全容が私たちの目の前に。

外は撮影していいんですが、中は禁止。


まず、外の4体、1体は首が下に転げ落ちています。


全部ラムセス2世です。
内側のラムセス像に寄り添っているのがネフェルタリ。


子供たちも描かれています。
 

この4体のラムセスは、90まで生きたラムセスなので、微妙に年が違っていると言います。

一番奥にある4体の像は、右端がラムセス2世、左が冥界の王オシリス、真ん中はラー神ともう1体は忘れました。汗!
年に2回、1回はラムセスの誕生日だそうですが、朝日が神殿の奥まで深く差し込み、ラムセス及び3体の像を照らすそうです。
オシリスは冥界の王なので日は射さないんですって。
不思議です。

そこに至るまでの壁画は、最初の部屋にはカディシュの戦いなどラムセスの功績を表し、次の部屋ではいかにラムセスが神に祝福されているかということが描かれ、最後はこうして神となったということが描かれています。

大神殿の隣には、小神殿があり、妃ネフェルタリが祀られています。
立像が6体あって、そのうち4体はラムセス2世、王の姿や神の姿で描かれています。
ネフェルタリはハトホル女神の形で描かれています。

たっぷり時間をかけて見学した後、いったんホテルに戻って休憩。
 私たちのお部屋

友達は、プールに飛び出していきました。



私は水着を忘れてしまいました。
でも、すぐに戻ってきて、とても水が冷たかったと言っていました。

夕方、アブシンベルに戻って「音と光のショー」を見ました。


始まりを待つ観客たち

あちこちで行われているけど、「ここのが一番!」と小松さんが太鼓判を押してくれました。
ここにはホテルが2つしかなくて、その泊まり客を調べてツーリストの多い国の言葉で行われるんだそうです。
なんと、ラッキーなことにこの日は日本語でした!!
暗くなって、大音響とともに、大神殿、小神殿をスクリーンに、巨大な映像が浮かび上がりました。

まず、砂に埋もれていたアブシンベルが、1800年代にヨーロッパの学者によってまたこの世に姿を現したことから語り始め、国際社会やユネスコの努力で、水没の危機から救われた様子を次々と映し出していきました。
この巨大な岩の芸術を、運べる大きさにカットしてまた組み立てるという、気の遠くなるような緻密で複雑な作業。
奇跡のようです。

そして語られるラムセス王の勇壮な生涯。
壮大な叙事詩となって私たちを包み込みました。
3000年の時を超えて、いまだ私たちに、生き生きとその生涯を語るラムセスという英雄。
アブシンベル神殿という揺るぎない建造物。
ただただ、圧倒されて見終わって、そこにはライトアップされたラムセスの姿がありました。



言葉も少なく、観客たちは暗い夜道をホテルへと帰っていきます。
空には、満天の星がきらめいていました。

アブシンベルはこれだけでは終わりません。
次の日、早起きして、夜明けを見に行きました。
そのために、飛行機の時間もずらしてもらえたそうです。
「日本人には外せない」なんて冗談を言いながら日の出を見守りましたが、これは本当に見てよかったです。



茜に染まった雲が太陽が出て来るのを待つようにたなびいて、とても神秘的でロマンティックな風景でした。
このシチュエーションで何も感じない人がいたら変でしょう?



やがて、まぶしくて目も開けていられないような太陽が昇り、当たりは一変するのです。
神殿の巨像を朝日が真っ赤に照らし、巨像は命を吹き込まれたようです。
昔の人が、ここに神を感じたのは本当に理解できると思いました。



私たちは、古代の住人となり、アスワンに戻っても、空き時間を利用して、これもまた水没を免れたイシス神殿を訪ねました。

もともと、フィラエ島にあったのですが、水没したために、神殿だけこの島にうつされ、この島の名前もフィラエ島となりました。

ボートに乗っていきました。



半ば水没していたのを救われたそうですが、とてもきれいな神殿で、古代遺跡とは思えません。
プトレマイオス王朝時代の神殿です。
女神を祀る、のちの聖母マリア信仰にもつながる感じが伝わってきました。



カフェでお茶を飲みました。
湖の青と、神殿の白、緑の木陰と赤い花。
心に刻みました。



さて、いよいよ空路カイロへ向かいます。


アバター

2010-01-30 10:24:39 | 映画ー劇場鑑賞
ーアバターーAVATAR
2009年 アメリカ
ジェームズ・キャメロン監督 サム・ワーシントン(ジェイク・サリー)ゾーイ・サルダナ(ネイティリ)シガーニー・ウィーヴァー(グレース・オーガスティン)スティーヴン・ラング(マイルズ・クオリッチ大佐)ミシェル・ロドリゲス(トゥルーディ・チャコン)ジョヴァンニ・リビシ(パーカー・セルフリッジ)ジョエル・デヴィッド・ムーア(ノーム・スペルマン)CCH・パウンダー(モアト)ウェス・ステューディ(エイトゥカン)ラズ・アロンソ(ツーテイ)

【解説】
『タイタニック』のジェームズ・キャメロン監督が12年ぶりに発表した、最新の映像技術を駆使して作り上げたアドベンチャー大作。ある衛星にやって来た人類と、その星にもともと住む者たちによる激しい戦闘を、迫力の最新3D映像で見せる。出演者は『ターミネーター4』のサム・ワーシントンほか、キャメロン監督とは『エイリアン2』以来久々にタッグを組むことになるシガーニー・ウィーヴァーら実力派が顔をそろえる。構想14年、製作に4年をかけたキャメロン監督による壮大な物語と斬新な映像美に酔いしれる。

【あらすじ】
下半身不随になり、車いす生活を送るジェイク(サム・ワーシントン)は、衛星パンドラにやって来る。彼は人間とナヴィ族のハイブリッドであるアバターに変化を遂げ、不自由な体で単身惑星の奥深くに分け入って行く。慣れない土地で野犬に似たクリーチャーに襲われていた彼は、ナヴィ族の王女(ゾーイ・サルダナ)に助けられる。(シネマトゥデイ)

【感想】
世界的大ヒット映画、「アバター」にやっと行ってきました。
なんでも「タイタニック」の興行成績を短期間で抜いたそうです。
私も、「カールじいさんの空飛ぶ家」を見た時の予告編で、その素晴らしい世界に期待を持っていました。

夫は「眠たいから、寝るかも…」とつぶやいていましたが、私は「彼は寝ない」という確信がありました。

やはり、始まりから静かだけど、何かを感じさせる映画でした。
そして、主人公がアバターを操り惑星パンドラに降り立ってからは、はらはらどきどき、みたこともない映像に瞬きも忘れるほどでした。

内容は、いつか見たことのあるようなことばかりなんだけど、それでしらけることはなく、いままでの映画の集大成とも言えるほどでした。

「ダンスウィズウルブス」「ジュラシックパーク」「ホカホンタス」、さらに影響を受けていそうなのが宮崎駿アニメ。
「もののけ姫」や「天空の城ラピュタ」や「風の谷のナウシカ」。
キャメロン監督のリスペクトを感じました。

夫はいたく気に入って、「もうDVDが欲しい」と言っています。
3Dで見れなくても、内容がいいんですって。
すごい入れ込みようです。

余談ですが、この映画、よく行く近所の居酒屋でも評判です。
おっちゃんたちの酒の肴になっています。
どうも、男のロマンをくすぐる作品のようです。

路上のソリスト

2010-01-30 10:20:23 | 映画ーDVD
ー路上のソリストーTHE SOLOIST
2009年 アメリカ

ジョー・ライト監督 ジェイミー・フォックス(ナサニエル・エアーズ)ロバート・ダウニー・Jr(スティーヴ・ロペス)キャサリン・キーナー(メアリー・ウェストン)トム・ホランダー(グラハム・クレイドン)リサゲイ・ハミルトン(ジェニファー・エアーズ・ムーア)

【解説】
ロサンゼルス・タイムズの記者スティーヴ・ロペスのコラムを基に、路上に暮らす天才音楽家ナサニエル・エアーズとロペス自身の心揺さぶる魂の交流を描いた人間ドラマ。監督は『つぐない』のジョー・ライト。ナサニエルを『Ray/レイ』のジェイミー・フォックス、ロペスを『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jrが演じる。実話ならではの驚きと感動に満ちた展開と、ハリウッドきっての実力派スター二人による熱演が堪能できる。

【あらすじ】
バイオリンを演奏する路上生活者のナサニエル(ジェイミー・フォックス)に出会ったロサンゼルス・タイムズの記者ロペス(ロバート・ダウニー・Jr)。かつてジュリアード音楽院に在籍し、チェロを演奏していたというナサニエルに興味を抱いたロペスは、ナサニエルの人生について調べ始め、連載コラムの題材にしようとする。(シネマトゥデイ)

【感想】
これも劇場へ見に行けなかった作品。
ようやく見れました。

ロサンゼルス・タイムズの記者スティーヴ・ロペスのコラムを基にした実話というから驚きです。

路上の天才音楽家ナサニエル・エアーズの物語。

ロペス(ロバート・ダウニー・Jr)は人気コラムニスト。
毎日、コラムのテーマを探している。
ある日、ベートーベンの銅像の前で、2本しかない弦のバイオリンを弾いているホームレスのナサニエル・エアーズ(ジェイミー・フォックス)と出会う。
話してみると、ジュリアード音楽院にいたという。

これは、ネタになるかも、とジュリアードに問い合わせると、卒業はしていないが在籍していたことがわかった。
いよいよ、ロペスの、路上の天才音楽家のコラムが始まった。

☆ネタバレ
読者からチェロが届いた。
エアーズはとても喜んで、ロペスに曲を披露する。
ロペスの心にその音楽が響いた。

こうして、ロペスとナサニエルに深い絆が結ばれたのです。
ここがこの作品の一番素晴らしいところだと思いました。
写真のシーンです。

ナサニエルは統合失調症を患っていました。
それが、彼に社会生活を困難にさせていたのです。

一般的な生活をしているロペスにも、ナサニエルと付き合っていくには限界があります。
ナサニエルの神になることはできません。

ロペスは、ナサニエルのコラムで賞をもらい、社会的成功を収める。
ナサニエルはロペスにとって、野心のためのパーツの一つだったのか?

ロペスは施設を紹介し、アパートで寝かせ、専門医に見せようと努力し、リサイタルも開こうとする。
つまり、ナサニエルをなんとか社会復帰させようと努力する。

それは、ナサニエルの望むことではない。
ナサニエルは、ベートーベンのようになすべきことをなして死にたいと願っているのだ。

ロペスの努力はことごとく失敗し、ナサニエルの生命の危機(?)という恐怖にも直面する。

この軋轢を二人はどう乗り越えていくのか。
とても、難しい問題でした。

ジェイミー・フォックスはナサニエルそのものに見えました。
ナサニエルの苦しみや悲しみを体現していました。
それを受け取るロバート・ダウニー・Jrもうまいし、ロペスの真の理解者である元妻役のキャサリン・キーナーもうまい。
こういう名優たちに支えられて、この難しいテーマの作品が輝きを持ったと思います。

エアーズが、本物のオーケストラを聞いて感動していることに感動するロペスのシーンは、ほんとうに素敵でした。
人が人に感動するって、本当に素敵です。
音楽を光で表したことについては、賛否があると思いますが、ナサニエルの頭の中の表現なので、これもありかなあとおもいました。

また、監督はイギリス人なので、ロスの町の撮り方が新鮮でした。
高速道路の下や、ホームレスのたまり場など、とても興味深かったです。

最後に現在の二人の様子がテロップで流れますが、難しい問題を乗り越えて、友情で結ばれた二人の、当然の選択だとほっとしました。

実話なので、あっとうてきな感動があるわけではないけど、そこがリアルに感じられて、とてもいい作品だと思いました。

チームバチスタの栄光

2010-01-30 10:18:09 | 映画ーDVD
ーチームバチスタの栄光ー
2008年 日本
監督=中村義洋 キャスト=竹内結子(田口公子)阿部寛(白鳥圭輔)吉川晃司(桐生恭一)池内博之(鳴海涼)玉山鉄二(酒井利樹)井川遥(大友直美)田口浩正(羽場貴之)田中直樹(氷室貢一郎)佐野史郎(垣谷雄次)

【解説】
現役医師・海堂尊による同名ベストセラー小説を、『アヒルと鴨のコインロッカー』の中村義洋監督が映画化した医療ミステリー。有能な心臓手術チームに起きた連続術中死をめぐり、内部調査を任された女性医師と、破天荒な切れ者役人のコンビによる活躍を描く。主演の竹内結子と阿部寛のほか、事件の鍵を握るチーム・バチスタメンバーには、吉川晃司、池内博之、佐野史郎、玉山鉄二といった人気、実力を兼ね備えた豪華キャストが顔をそろえる。


【あらすじ】
高難度の心臓手術「バチスタ手術」を26回連続で成功させていた“チーム・バチスタ”に、3度続けて術中死が発生。内部調査を任された田口(竹内結子)が適当な報告で締めくくろうとした矢先、厚生労働省から派遣された切れ者役人の白鳥(阿部寛)が現れる。2人はコンビを組んで、“チーム・バチスタ”のメンバーを再調査することになる。(シネマトゥデイ)

【感想】
この作品、先に小説を読んでいました。
でも、その方がかえって良かったかも。
映画で言えてないことを補うことができたので、失望が少なくてすみました。

主人公の田口公平を女性田口公子(竹内結子)に変えたのは、良かったと思いました。
そして、犯人探しをメインにおいて、観客の興味をそらさなかったのも成功と言えます。

でも、何かが足りないなあ。
臨場感、緊張感。

医療現場もなにもかも、全部フィクションということで、頭空っぽにしてみると楽しめると思います。

旅倶楽部「こま通信」手造りの旅<ナイルクルーズ>パート5

2010-01-27 11:37:44 | 旅行
ー10.1.8~18 旅倶楽部「こま通信」手造りの旅<ナイルクルーズ>ーパート5

<ナイルクルーズ2日目>
<ホルス神殿>
次の朝目覚めたら、エドナの岸壁についていました。
それも、他の船のすぐ横。
カーテンを開けたら、隣の船の食堂で、たくさんの人が食事をしていたのでびっくりしました。

隣の船やまたその隣の船の中を通って、上陸します。


こんな馬車に乗ります。

エドナのホルス神殿に行きます。
馬車に乗っていくのですが、地元の馬車なので言葉もわからないし、大変です。
ワッハブさんが1台1台往復の値段を交渉して、私たちを馬車に乗せてくれました。
御者の人たちは油断をするとお金をねだって来るそうなので、要注意です。



だけども、とっても愉快な馬車からの景色。
エドナの町も1日を始める準備に余念がないようです。

神殿の入り口には警察官の姿があり、ここも警備は厳重そうです。
たくさんのお店の後ろにホルス神殿の塔門が見えました。



このホルス神殿は、エジプト国内でも最も保存状態のいい遺跡として知られています。
この場所には、先史時代からホルスを祀る至聖所がありましたが、時代ごとに建造が繰り返され、現在のものはプトレマイオス王朝時代の立派なものです。


塔門


塔門の描かれた壁画ー王が敵を束ねてホルス神に捧げている様子


塔門に描かれている有翼日輪。ラー(太陽)とウジャアト(蛇)とホルス(ハヤブサ)が一体となったもの。

プトレマイオス王朝はアレキサンダー大王の部下だったプトレマイオスが創始しまた。
つまり、ギリシア人の作った王朝ですが、エジプト文化に同化しようとして神殿の建造に力を入れたようです。
神殿の壁画には、エジプトの神に認められたプトレマイオス王ということを示すたくさんのレリーフで飾られています。
着工から2世紀もかかって完成したものだそうです。


第1の塔門前のホルス


第2の塔門前のホルス

ホルスというのは、エジプト神話の神の名前で、ハヤブサの頭をした男性として表現されています。
オシリスとその妹イシスが結婚して生まれた神で、天空を司り、現世の王はホルスの化身だと考えられていました。


ホルスに祝福される王

《エジプト神話》
カイロの近郊に実在したヘリオポリスの神話をもとにまとめてみました。

広い海原ヌンからラー(アトゥム)が誕生し、独力で神々と世界を形作っていった。
ラーは太陽神なので、日の昇り沈みにあわせて、ラー自身も変形すると考えられた。
日の出の時はケプリ(フンコロガシ)として現れ、日中はハヤブサの姿をして天を舞い、夜は牡羊の姿で夜の船に乗り、死の世界を旅するとされている。

天はヌトという女神でも地はゲブという男神であった。
二人は夫婦で、最初は隙間なくくっついていたが、父シュウ(湿気)と母(空気)に引き離され、ゲブは少しでも近づこうと山々を創りだした。
ヌトとゲブの間にオシリス、イシス、セト、ネフティスをもうける。

オシリスは、体をミイラとして包帯を巻かれ、王座に座る男性の姿で描かれる。
オシリスはエジプトの王として人々の絶大な指示を得ていたが、それを妬んだ弟のセトに謀殺された。
遺体はバラバラにされてナイル川に投げ込まれたが、妻でもあり、妹でもあるイシスが拾い集め、ミイラとして復活させた。
自分の息子のホルスの後見として、セトから奪われた王座を奪還した。
これより、現世はホルスが、冥界はオシリスが統治・君臨することとなった。
ホルスはセトと争ったときに、左目を失い、これを「ウジャトの目」といって、魔除けになっている。

ハトホルは、ホルスの母、ときには妻ともされる。
世界を生み出した天の雄牛、子供を守る女神など多様な性格を持ち、イシスに次いでひろく崇拝された。
人の姿で表現される時も頭に牛の角がはえている。

その他、セベクはワニの頭を持った男の姿で表される。
プトレマイオス時代には、ギリシア神話のヘリオス(太陽神)と同一視されている。

アテンは人間や動物の姿で表されるエジプトの神々とは異なり、先端が太陽光線を何本も放ち、光線の一つに生命の象徴アンクを握った太陽円盤の形で表現される。
ツタンカーメンの父、アメンホテブ4世が特に崇拝した。

アヌビスは、ジャッカルの頭部を持つ男性か、ジャッカルそのものの姿で描かれた。
アヌビスはセトの妻にして妹である、ネフティスが兄のオシリスとの不倫によって身ごもった子供で、セトが敵視していたオシリスの子であることから、生まれてすぐにネフティスによって葦のしげみに隠された。
オシリスが冥界アアルの王となる以前の冥界を支配、管理しており、オシリスが冥界の王となった後も彼を補佐してラーの天秤を用いて死者の罪を量る役目を担い、その様子はピラミッドの壁面などに描かれている。

ケプリは、人間の体にフンコロガシの頭とする姿で表現される。
ラーの形態のひとつで、日の出を表す。

ウアジェトはコブラの姿またはコブラをつけた女性の姿で描かれる。


ここホルス神殿は、現世の王と同一視されるホルス神をご神体として祀っています。
至聖所にはホルスのご神体が安置されていました。



プトレマイオス王朝が一番現代に近いエジプトの王朝、といっても、紀元前300年から30年くらいのことですから、修復されているとはいえ、これだけのものが残っているのは驚きでした。
至聖所には屋根もあって、ご神体もあって、かつての姿が忍ばれます。

この至聖所をぐるりと囲む壁には、絶世の美所として名高いクレオパトラ7世の壁画もありました。



<船の中>
船に帰って、昼食まで、船のなかの見学がさせてもらえることになりました。
まず、厨房。



右がマネージャーさん、左が厨房の責任者の方です。
食材は全部本社から送られて来るそうです。
とても清潔な厨房で、船の食事はおいしいし、安全面でもとても信頼できると思いました。




サラダ係のコックさん

次に案内されたのが、操舵室です。



座ったいたのが民族衣装のエジプト人だったので、少しびっくりしました。
しかも、この人は見習いだそうです。
本当の船長さんは休憩中でそばにいました。

彼は、父親が持っていた船で操縦を覚えて、いまの職場まで来たそうです。
エジプトでは、専門学校や資格というものはなく、見習いから技術を習得していくようです。



緩やかなナイルの流れを、私たちは遡っています。


水辺の水牛


汽車も走っていました。

見学会の後は船の屋上でバーベキュウ。


このケバブがおいしかった!!

船には、プールもついています。
食後はデッキチェアでお昼寝。
バーから特製チャイを届けてもらいました。
美味しかった~!!



<コモンボ神殿>


コモンボが見えてきました。

夕方にコモンボに上陸。




この神殿もトトメス3世が作った場所に、プトレマイオス王朝時代に建造されたもの。
ホルス神殿にもすごく似ていましたが、この神殿の特徴は、2つの神を祭ってあるところです。





左からはいるとホルスの神殿、右側はワニの頭を持つセベクの神殿です。
神殿部も屋根が崩れていますが、珍しい壁画がたくさん残されていました。


古代のカレンダー


神々だけではなく、こんな蜂の絵もあります。


出産シーン(?)


授乳している女性。聖母像の元になったとも言われている。

また、有翼日輪の色鮮やかなレリーフも見られました。




美しい夕日も見られました。神々が見たのと同じ夕日でしょう。

<ガラベイヤパーティ>
夕食の後は、お待ちかねガラベイヤパーティ。


ワッハブさんがみんなを乗せてくれます。
英語の司会に日本語の司会に、彼が大活躍をしてくださいました。

一緒の船に乗り合わせた、国も言葉も違う人々が、一緒になって踊ったり、ゲームをしたりして過ごしました。


これも、クルーズの楽しみですね。

Dr.パルナサスの鏡

2010-01-27 10:35:45 | 映画ー劇場鑑賞
ーDr.パルナサスの鏡ーTHE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS
2009年 イギリス/カナダ

テリー・ギリアム監督 ヒース・レジャー(トニー)クリストファー・プラマー(パルナサス博士)ジョニー・デップ(鏡の向こうのトニー#1)ジュード・ロウ(鏡の向こうのトニー#2)コリン・ファレル(鏡の向こうのトニー#3)リリー・コール(ヴァレンティナ)アンドリュー・ガーフィールド(アントン)ヴァーン・トロイヤー(パーシー)トム・ウェイツ(Mr.ニック)

【解説】
『ブラザーズ・グリム』などの鬼才、テリー・ギリアム監督による幻想的なファンタジー。悪魔との契約で不死身を望んだ男を取り巻く人々の皮肉な運命を豪華キャストで描く。謎めいた青年役に、これが遺作となった『ダークナイト』のヒース・レジャー。彼の急逝により危機に陥った本作を救ったのは、ジョニー・デップにコリン・ファレル、ジュード・ロウという名優たち。撮影途中の役を彼ら3人が演じ分けた、奇想天外な物語に息をのむ。

【あらすじ】
鏡で人々を別世界に誘う見せものが売りの、パルナサス博士(クリストファー・プラマー)の移動式劇場はロンドンで大盛況だった。観客は博士の不思議な力で自分が思い描く、めくるめく世界を体験できるのだが、そこにはある秘密があった。トニー(ヒース・レジャー)はそのアシスタントとして観客を鏡の世界へと導く役目を担っていたが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
この作品は、主演のヒース・レジャーが撮影途中で亡くなったということから耳にしていました。
そして、その穴をジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が代役で演じたと。

どんな仕上がりなのか、興味津々でした。
しかも、テリー・ギリアムワールド。
どんな世界を見せてくれるのかー?

期待に違わない、それ以上の作品だと思いました。
面白いので、みなさんにもお薦めしたいと思います。

ギリアム監督作品だけど、わかりやすいし、汚くないし、大丈夫だと思います。
でも、ギリアム監督はいつも奇想天外の世界を見せてくれるけど、そのセンスの良さには驚かされます。

今回もそう。
パルナサス博士(クリストファー・プラマー)のイマジナリウムは、めくるめく世界を私たちに見せてくれます。

☆ネタバレ
神の領域にあったパルナサス博士(クリストファー・プラマー)は悪魔のMr.ニック(トム・ウェイツ)の誘惑に負けて、賭けをして勝ち、永遠の命を手に入れる。

あるとき、美しい女性と恋をして、娘を授かるが、妻は死んでしまう。
嘆いている博士の元にまた悪魔がやってきて、「娘が16歳になったときに娘を手渡せば、おまえの命を奪ってやろう」と言い、博士はうっかり約束してしまう。

そして、美しい娘に成長したヴァレンティナ(リリー・コール)の16歳の誕生日はすぐそこに迫っていた。
博士は移動劇場を馬車で弾いて、イマジナリウムに客を入れて楽しませていたが、本当のところ、客は少なかった。

そして、悪魔はまた賭けを持ち出した。
博士が5人の客を、イマジナリウムのなかで正しい道に導けたら、その契約はなしにしようと言ってきた。
博士は、また乗ってしまった。

そんなときに、ヴァレンティナは、首を吊っている男トニー(ヒース・レジャー)を助ける。
彼は記憶を失っていたが、客引きにとして才能を表し、博士のイマジナリウムは大盛況。
4人の客を喜ばせて、この賭けにも勝つかに見えた。
でも、そこに謎の男の正体を知るロシアマフィアが現れて、トニーとともにイマジナリウムのなかへ。


トニーとヴァレンティナ

トニーに恋したヴァレンティナもイマジナリウムに入っていくが、やがてトニーの正体が暴かれるー。

イマジナリウムでは、お客のイマジネーションの世界。
そのなかの最初がジョニー、マフィアと入っていくのがジュード、ヴァレンテイナの恋の相手がコリンというわけです。

 
第1のトニー(ジョニー・デップ)

 
第2のトニー(ジュード・ロウ)

 
第3のトニー(コリン・ファレル)

ジョニーが最初ですが、ヒースのイメージを損なうことなく、お客のイメージしたトニーという感じで違和感がなかったです。
ヒースは20歳台で、ジョニーは40半ばですが、それで違和感がないのも不思議です。
ヒースって、年より老けていましたねえ。
今思うと、老成していたのかもしれません。

パルナサス博士は、テリー・ギリアムのイメージです。
達観しているようで、おかしな賭けに乗ってしまう軽薄さ。
それが、自分の首を絞める運命。
クリストファー・プラマーはさすがでした。

悪魔のMr.ニックのトム・ウェイツはぴったりでした。
悪魔って、意外にこんな感じで身近にいるのかも。


Dr.バルナサスとMr.ニック

とってもシニカルでだけど、どこかユーモラスな世界観を楽しむことができました。

エンドロールも終わって、劇場が真っ暗になったときに、映画のテーマ曲と同じ携帯の着信音が流れます。
これは、テリー・ギリアム監督の作詞作曲した「We are the children of the world」ですが、ヒースが実際にプライベートでも使用していたということです。

ここで、この着信音がダウンロードできるそうですよ。


ラフマニノフ ある愛の調べ

2010-01-27 10:31:41 | 映画ーDVD
ーラフマニノフ ある愛の調べーLILACS
2007年 ロシア

パーヴェル・ルンギン監督 エフゲニー・ツィガノフ(セルゲイ・ラフマニノフ)ヴィクトリア・トルストガノヴァ(ナターシャ)ヴィクトリア・イサコヴァ(アンナ)ミリアム・セホン(マリアンナ)

【解説】
類稀な天才ピアニストにして天才作曲家、セルゲイ・ラフマニノフがこの世に遺した美しい名曲に秘められた愛の物語。ロシア革命によるアメリカ亡命など、次々に襲いかかる試練の中で生み出された不滅の名曲の誕生秘話に迫る。監督は、『タクシー・ブルース』で1990年カンヌ国際映画祭最優秀監督賞を受賞したパーヴェル・ルンギン。「ピアノ協奏曲第2番」など、時代を超えて今も多くの人々を魅了するラフマニノフの名曲の数々がドラマを彩る。

【あらすじ】
ロシア革命を逃れてアメリカに亡命したラフマニノフ(エフゲニー・ツィガノフ)の初コンサートが、ニューヨークのカーネギーホールで大成功を収める。しかし人々の熱狂とは裏腹に、祖国への望郷の念や新しい曲が生まれない苦しみで、ラフマニノフは焦燥感に苛まれていた。そんなある日、彼の元に送り主不明のライラックの花束が届く。

【感想】
ラフマニノフの名曲の秘話が描かれているのかと、楽しみに見たけど、内容は不機嫌な芸術家の話で、少しがっかりしました。

☆ネタバレ
両親の不仲から離婚へと、不幸な幼少時代を送ったラフマニノフですが、音楽の先生に見いだされて、彼の元で育ちます。

先生は作曲に反対し、演奏家として生きるように強く指導しますが、ラフマニノフはアンナという女性に魅了されて彼女のために作曲します。
結局、それが元で、先生とも不和になり家を追い出され、なんとか初演奏会までこぎつけても、ヨッパライの指揮者のせいで演奏会は大失敗。
アンナにも愛想を尽かされてしまいました。

失意のときに力になってくれたのが、従妹で幼なじみのナターシャ。
彼女は自分の婚約者の医者と別れてまでも、ラフマニノフに尽くします。

一方ラフマニノフは、自分の教え子であるマリアンナと浮気。

ロシア革命についていけないラフマニノフは亡命を決意。
そのときに共産党幹部になっていたマリアンヌに助けられて、ナターシャや子供たちを連れてアメリカに亡命しました。

自由の国アメリカに行ったのに、さらに彼の気持ちは荒んでいきます。
「作曲ができない」「同じ曲ばかり弾かされる」
各地の演奏旅行で、大成功をおさめても、ラフマニノフの心は晴れません。

そんなときに、初恋の人アンナとの思い出のライラックが届きます。
元気を取り戻すラフマニノフ。

やがて、彼は、この花の送り主を突き止め、真実の愛に気がつくのです。

このラストは本当に素敵です。
ここまで、ナターシャはよく尽くしたと、感心しました。
妻の鑑やね。

このラストと、美しい「ピアノ協奏曲第2番」ですくわれますが、ラフマニノフの性格はいいとは言えず、主人公に共感できない作品でした。

エグザイルー絆ー

2010-01-27 10:27:45 | 映画ーDVD
ーエグザイル/絆ーEXILED/放・逐
2006年 香港

ジョニー・トー監督 アンソニー・ウォン(ブレイズ)フランシス・ン(タイ)ニック・チョン(ウー)ラム・シュー(ファット)ロイ・チョン(キャット)ジョシー・ホー(ウーの妻)リッチー・レン(チェン軍曹)サイモン・ヤム(ボス フェイ)ラム・カートン(ボス キョン)

【解説】
香港映画界が誇るヒットメーカー、ジョニー・トーが監督を務めた、裏社会に生きる男たちの友情とロマンを描いたノワール・アクション。因縁の再会を果たしたマフィアの仲間たちが、ボスの追っ手から逃れるべく激しいガン・アクションを繰り広げる。アンソニー・ウォン、ラム・シュー、サイモン・ヤムといった、ジョニー・トー監督作品ではおなじみの役者たちが集結。緊迫感あふれるシーンの中でときおり見せる、男同士の純粋でユーモラスなやり取りにも胸が熱くなる。

【あらすじ】
ブレイズ(アンソニー・ウォン)、ファット(ラム・シュー)、タイ(フランシス・ン)、キャット(ロイ・チョン)の4人は、中国返還が迫るマカオで再会した。ボスのフェイ(サイモン・ヤム)を銃撃して逃亡したウー(ニック・チョン)を巡り、敵と味方にわかれることになってしまう。しかし、深いきずなで結ばれた5人の運命は予期せぬ方向へと突き進む。

【感想】
香港ノワールの旗手、ジョニー・トー監督作品。
レベルは高いです。
面白かった。

幼い時からの友達の絆がテーマ。
男って、単純!そしてバカ!!
そこが素敵、って感じの映画でした。

主人公4人のキャラがとても魅力的でバランスが良かった。

劇画的な映像で、私なんかはとても好きです。

狭いところでの銃撃戦。
何回も出て来るけど、飽きさせません。

こんな作品も好き。

旅倶楽部「こま通信」手造りの旅<ナイルクルーズ>パート4

2010-01-23 15:52:20 | 旅行
ー10.1.8~18 旅倶楽部「こま通信」手造りの旅<ナイルクルーズ>ーパート4

<カルナック神殿>

やはり、旅の興奮があるのでしょうか?
私と同室のKは朝早くから目が覚めて、船の屋上にあるテラスから朝日を見ることにしました。



東の空はすっかり明るくなっていて、昨日見学した西岸には気球が上がっていました。
行き交う船が朝日を浴びてとてもきれいです。

朝食はバイキング。

私の食べたもの。

では、カルナック神殿に出発です。
出で立ちは、タオルやスカーフですっぽり顔を覆って、帽子を深くかぶります。


振り向くと、ハトシェプスト葬祭殿(があるはずなんですが…)。


羊の顔をしたスフィンクスがお出迎え。



顔はこんな顔。

塔門の裏側。
こんなふうに日干しレンガで坂道を作って巨石を積み上げたということです。


生け贄を殺したという祭壇。


セティ2世の神殿



第2塔門、直立しているラムセス2世像と左足を出している像があります。
立っている方は、生きている姿を表し、直立している方はミイラのポーズで死んでいることを表します。
ミイラポーズの足下にいるのは、娘さんです。





ここで、何度も名前が出てきているラムセス2世について、少し説明しておきます。
この人が、今回の旅行のヒーローになりました。(私にとっては、ですよ)

ラムセス2世は紀元前1314年から紀元前1224年(1説ですが)、古代エジプト第19王朝のファラオで、ラムセスはギリシャ語ですが、「ラー(太陽神)によって生まれた」という意味の名前だそうです。

セティ1世の息子で、セティ1世がなくなった後、24歳で即位し、90歳で没するまで、66年間統治し、何人ものお妃や側室との間に、後継者となるメルエンプタハをはじめ、息子111人、娘69人を儲けたと伝えられています。

彼を一躍有名にしたのが、あちらこちらの壁画に描かれている「カディシュの戦い」。
これは、紀元1286年、ヒッタイトとの間で行われた戦争で、自ら軍を率いて闘いました。
苦戦しつつも彼の大活躍で勝利し、これを機にヒッタイトと休戦(世界史初の平和条約)に成功、ヒッタイトの王女を王妃に迎えたそうです。

ヒッタイト!!トルコへの旅行で、ハットゥシャにあるヒッタイトの遺跡に行きました。
あのときは、何にもわからず、ガイドさんの説明がとても眠かったのを覚えていますが、ここで、つながりました。
すごい城壁が修復されて残っていたし、ライオンの門もありました。
なんだか、うれしいなあ!
古代がぐっと近く思えます。

さらにラムセス2世は、ナイルの南の地ヌビアを勢力に加え、ここにスーダンからの侵略者を威嚇するためにアブシンベル神殿を建立したということです。

旧約聖書の「出エジプト記」、モーセのお話ですが、このときのファラオがラムセス2世ではないかと言われています。
最近では、ラムセス2世の息子メルエンプタハという説が有力のようですが。
というのも、メルエンプタハは水死したようで、それはモーセの話と合うということらしいです。

ちなみに赤ちゃんだったモーセを拾って育てたのは、ハトシェプスト女王との説もあるそうです。

このように、新王国に富と栄華をもたらし、大王と呼ばれるラムセス2世ですが、ネフェルタリという王妃をこよなく愛したようです。
王家の谷のネフェルタリの墓(現在は見学禁止)には、ラムセスがネフェルタリを思って読んだ詩がたくさん残されているそうですが、中でも、
「余の愛する者はたゞひとりのみ。何者も余が妃に匹敵する者はなし。生きてあるとき、かの人は至高の美を持つ女人であつた。去りて、しかして余の魂を遙か遠くに奪ひ去りしが故 」という情熱的なものがあるそうです。


ネフェルタリのお墓の壁画に描かれているネフェルタリ(ウィキペディァより)
この輪っかで囲まれているのがカルトゥーシュです。
中にネフェルタリを表すヒエログラフが書かれています。

アブシンベル神殿には、大神殿の隣にネフェルタリのために小神殿さえ作られていました。
亡くなってからも大切にされていたことが、ひしひしと伝わります。

ネフェルタリはラムセス2世との間に3人の息子と2人の娘を儲けましたが、誰も王位を継いでいません。



そして、話を戻しますが、ラムセス2世のミイラポーズの足下にいる女性は、ネフェルタリそっくりの自分の娘で、この娘と結婚しようとしたようです。
さすがに、このころの法律も親子の婚姻は禁じていたし、神官たちも大反対したそうですが、彼は「自分は神から生まれ、神のような存在なのだから、いいのだ」ということを言ったようです。

それはやりすぎでしょう、と思うけど、それほどまでに愛されたネフェルタリという女性。
どんなに素晴らしい人だったんでしょう。
ラムセスって、「英雄色を好む」だけではない、初恋を貫くようなロマンチストな一面があったのかも。
文武両道の愛妻家だったのかなあ。
二人の間には、どんな愛情物語があったのでしょう。
自己顕示欲の強いファラオというイメージが、愛妻家ラムセスさんに変わってきました。


さあ、お待ちかねの大列柱室。
アガサ・クリスティの「ナイル殺人事件」の殺人未遂の舞台となったところです。
映画「ナイル殺人事件」では、こんな柱の間から巨石が落ちてきましたよね!!


柱の裏側には彩色の色がまだ鮮やかに残っています。
カルトゥーシュで描かれているのが、ファラオの名前です。
見えるかなあ?
ファラオの名前は2つ以上はあるようです。


トトメス1世のオベリスク。向こうにハトシェプスト女王のオベリスクが見えます。


これがハトシェプスト女王のオベリスク。

第5・第6の塔門を抜けて、神殿の中に入ると観光客でごったがえしています。
もう何が何かわからない状態です。
とうとう、ワッハブさんともはぐれてしまいました。

神殿の中には至聖殿と呼ばれるいわゆるご神体を祀っている部屋の周りに、部屋がたくさんあって、これはそのひとつのお部屋の天井です。


星が描かれていて、あかり取りの隙間もあいています。



これは、アメン神(太陽神だと思うけど…)。
色が残っています。



やっとワッハブさんを見つけました。



聖なる池。
ここで身を清めるそうです。



みんながぐるぐる回っています。
その正体はスカラベ(糞転がし)。



太陽を運んでいる姿をイメージして、神として祀られています。
私たちもぐるぐる回ってお願いごとを。

修復作業もきりがなく、大変そうです。



スフィンクスの後ろ姿は、なんだかユーモアがあります。



<ナイルクルーズのはじまり>

船に戻ったら、いよいよクルージングの始まりです。
合図も何にもない、静かな出航。

夕暮れが近くなって、エスナの水門にさしかかりました。



水門で船のスピードが緩むのを待って、物売りの人たちがボートでやってきました。



甲板にものを投げ入れて、お金を払わなかったら船の中にも乗り込んで来るというので、みんな必死に投げ返していました。
明日の晩のガラベーヤパーティのための衣装を売りにきているようです。
うまく買えた人もいました。
私は船の中のショップで調達しました。

その際に仲良くなった(ショップの店員さん)。



結局、彼のお勧めに負けて(?!)金製のカルトゥーシュを買ってしまいました。
カルトューシュの中に私の名前をヒエログリフで入れてくれて、裏にはアンク(命の鍵)を貼付けてくれるそうです。
この買い物の値段交渉には、東京から参加の結婚したばかりの若奥様とワッハブさんが通訳で頑張ってくださいました。

甲板に来たカラス。


トルコにもいたなあ。

水門は、先日近江八幡で通った水門と原理は同じ。
エスナダムの上流と下流では水位が違うので、船をいったんドックのようなところに入れて水門を閉じ、上流の水門を開けて水位を上げて、上流の水門を開けてまた進む、というもの。
みんなで、船の先端に集まって、ナイルの流れを眺めていました。

この夜はさすがにみんな疲れてしまって、夕食の後は早く静かに休みました。


旅倶楽部「こま通信」手造りの旅<ナイルクルーズ>パート3

2010-01-22 11:36:05 | 旅行
ー10.1.8~18 旅倶楽部「こま通信」手造りの旅<ナイルクルーズ>ーパート3

<王家の谷とハトシェプスト女王の葬祭殿>


メムノン巨像です。
アメンホテプ3世の像だそうです。
もともとはこの後ろに葬祭殿があったのですが、メルエンプタハが自分の葬祭殿の石材を調達するために壊してしまったということです。

ここの駐車場でホテルが作ってくれたお弁当をバスの中で食べました。


メムノン像の側面に彫られたヒエログリフ。
古代エジプトの文字です。
これから巡る遺跡は、この文字で溢れているそうです。
飛行機の中で、友達が持ってきた本を少し読みましたが、簡単そうに書かれていたのに、すぐに眠くなってしまいました。
でも、読む方向くらいはわかったし、王様の名前の特徴もわかったので、興味津々です。

ヒエログリフの解読は、19世紀のフランス人の言語学者シャンポリオンが成功したそうです。
1799年にエジプトのロゼッタで発見されたロゼッタストーンには、3つの言語で書かれた文章があり、最初がヒエログリフ、次がデモティック、最後にギリシャ語でした。
ギリシャ語は読めて、後の文章も同じだと考えられていましたが、すでに読める人はいなかったのでした。
シャンポリオンはコプト文字の研究もしていて、コプト文字に近いデモティックを読むことに成功し、ヒエログラフも読めたそうです。
ロゼッタストーンの解読にはコプト文字がが役に立ったんだと、ガイドの大政さんが教えてくれました。


ロゼッタストーン(ウィキペデアより)カイロ博物館でもレプリカを見ました。

エジプトで初めて見る巨像なので、その大きさにびっくりしましたが、奈良の大仏より、少し大きいくらいです。
メムノン巨像18メートル、奈良の大仏は14.5メートル。
しかも、こちらは椅子に座っているし、大仏はあぐらをかいているし、どっちが背が高い?なんて考えるのも面白かったです。

続いて王家の谷へ。
ここはカメラが禁止です。
エジプトの観光施設全部に言えることですが、セキュリティチェックがとても厳しい。
かならず空港みたいなセンサーがあるし、受付にカメラを預けなければならないところもありました。
そこには自動小銃をかかえた警察官もいて、ものものしい感じもします。

クルーズ船にも自動小銃を持った警察官が乗り込んでいたし、船を乗り降りするときにも見張っていました。

日本人にとって忘れられない事件。
ルクソール事件と呼ばれています。
「1997年、1997年11月17日午前9時(現地時間)ごろ、ルクソールの王家の谷近くにある、ハトシェプスト女王葬祭殿の前にて、外国人観光客ら200名に向けて待ち伏せていた少なくとも6名(もっと多かったという証言もある)のテロリストが、守衛を襲撃した後、無差別に火器を乱射し銃弾がなくなると短剣で襲ったという。この襲撃でスイス人、ドイツ人、日本人(観光客9名、添乗員1名)ら観光客61名が殺害された。」(ウィキペディアより)

私と友達は、1997年以前からエジプトに憧れ、行ける機会を待っていましたが、この事件から後の中東の不安定な情勢を考えて、なかなか踏み切れないでいたのでした。

やはり、この事件のことを考えると、暗い気持ちになり、厳しいセキュリティチェックも仕方がないという気持ちでした。

さて、まだ10時過ぎだというのに、気温はどんどん上がっていきました。
砂漠の中の王家の谷。

(ウィキペディアより)

飛行機の中で少し勉強したヒエログリフなので、王様の名前がどこにあるかくらいわかって(カルトゥーシュと呼ばれる輪っかで囲んであるのが王様の名前です)、自分が歴史ハンターになった気分です。

ラムセス9世、ラムセス1世と見たところで、ワッハブさんが「今日はツタンカーメンのお墓が見学できますよ」と言いました。
決まった時間しか公開していないそうです。
しかも、見られない日もあると言います。
ここの入り口を見張っている人はとても怖い顔で「入るなら早く入りなさい」と言っているようでした。


ツタンカーメンのお墓の入り口(ウィキペデアより)

中へ入ると、今まで見てきた王の墓より、だいぶ規模が小さいけれど、あまりにも有名です。
理由は盗掘を免れたからです。
玄室には一番外側の人型棺が展示されていました。
壁には一面の壁画。

入り口近くの小さな部屋に、ツタンカーメンのミイラが眠っていました。
3300年以上の時を超えて残る肉体って、あり得なーい!!
でも、彼はただ、静かに眠っているだけでした。
カイロ博物館で彼の遺品を見るのが、ますます楽しみになりました。

もうへとへとでしたが、ラムセス3世のお墓を見ました。
このお墓は、とても豪華でした。
ツタンカーメンは亡くなったのが18歳くらいらしいので、あまりお墓の準備ができなかったらしいのです。
このラムセス3世の墓は、準備する時間がたくさんあったのでしょうね、ほんとうに立派でした。

見られるお墓は1グループ3個だそうです。
入り口でチケットにはさみを入れてくれます。
ツタンカーメンは別チケット。

次は、ルクソール事件の惨事があったハトシェプスト女王葬祭殿へ。


ハトシェプスト女王は、トトメス1世の娘で、夫はトトメス2世。
不幸なことに世継ぎに恵まれなかったので、トトメス2世は妾の子トトメス3世を世継ぎに指定しましたが、この子が幼かったため、王に変わって22年間も統治した女王です。
テレビで予習したところによると、彼女は幼いトトメス3世を継子いじめして、みずから髭を付けて男装していたそうです。


神殿の壁画


天井には星も

この葬祭殿にも、「自分は神から約束された命なので、女ではない、神聖な存在だ」と言う物語が描かれてあるそうです。

カイロ博物館にも男装して顔色も浅黒いハトシェプスト女王の顔の像がありました。

葬祭殿というくらいですから、ここで彼女のお葬式が行われたのでしょう。
とても巨大な遺跡、その影響力が忍ばれます。


第3テラス


一番奥にある岩をくりぬいて作られた至聖室

彼女の死後、王になったトトメス3世は、彼女を嫌って、壁画の中の彼女の神格化された部分を削ってしまったそうです。
いつの世も、人間の感情的な部分は変わらないようです。
(女性の王を認めない神官がやったという説もあります)


葬祭殿から東岸ルクソール市内を臨む


クルーズ船にチェックイン


クルーズ船のロビーから吹き抜けの天井を見上げる。

クルーズ船にチェックインして、お昼ご飯!!
バイキング形式で、たくさんの食べ物で溢れていました。


食堂


初めてのエジプト料理。なかなか薄味でピクルスなんて、すごく美味しいです。
後ろにあるのがエジプトのビールサッカラ。
イスラム教はアルコールが禁止ということで、飛行機にも置いてありませんでしたが、船は観光用なのでビールもワインもエジプト製のものがありました。
ちなみに、サッカラビールはキリスト教徒が経営しているそうです。

<ルクソール神殿>

4時過ぎに再集合してルクソール神殿へ。



この神殿は東岸、ルクソールの町の中心にあります。
エジプトの神殿は、その地の豪族が既に建てていたところに新築したり増築したりしたものが多いようです。
この神殿も、もともとあったところに新王国の第18王朝のアメンヘテブ3世によって建立されたそうです。

この神殿は、次の日に行くカルナック神殿の付属神殿として作られたもので、本来は約3キロも続くスフィンクスの参道で結ばれていました。
その参道を復元しようと、町の真ん中で、家の立ち退きや修復作業を進めている最中のようでした。



入り口には塔門があって、その前にはラムセス2世の座像が入り口に2体あります。
オベリスクも2つあったはずですが、今は1つしかありません。
切り取られた台座だけが残されていました。
ここにあったオベリスクはパリのコンゴルド広場にあります。
壁面には、ラムセス2世の「カディシュの戦い」が描かれてありました。



入り口を入ると、遺跡に不似合いな建物がありました。
現在もイスラム教会として使われているそうです。


ここはラムセス2世の中庭と呼ばれている空間です。


再び現れるラムセス2世の座像


台座には征服した捕虜が描かれています。これは、東方系の敵。


これはアフリカ系の敵。

ラムセスの2体の座像の間を通って、アメンヘテブやツタンカーメンが作った神殿に入っていきます。


これはツタンカーメンとその妻アンケセナーメンの仲睦まじい像ですが、なんと、この像に書いてあるのはラムセス2世の名前!!
このように、ラムセスは過去の王様の偉業に自分の名前を書き換えているものが多数見られるそうです。
ラムセス2世って、どんな人だったんだろう。
私の頭の中に、自己顕示欲の強い暴君のイメージができあがっていきました。

神殿の一番奥にはギリシア風の花が開いたような形のの柱があって、ここはアレキサンダー大王の所縁の神殿となっています。

この神殿に、長い時間が流れていることを感じます。

いよいよ夕暮れが迫り、ライトアップされました。
振り返れば大列柱室の巨大な柱の林が浮かび上がりました。



では、ルクソール宮殿のライトアップを楽しんでください。





塔門の前のラムセス2世の顔


カルナック神殿まで続いていたというスフィンクスの参道


こんな顔をしています。

今日は停泊中の船で宿泊です。

エジプトには神殿やお墓はあっても宮殿は残っていません。
このファラオたちがどんな暮らしをしていたのか、もはや謎ですが、お墓にこれほどまでの執念を燃やす人々ですから、その住まいはもっときらびやかだったに違いありません。

大氾濫を起こして、人々に災いと豊かさを同時にもたらしたナイル川。
その川とともに行きた古代のエジプト人たち。

古代人への憧れに、私の心はますます膨らんでいくのでした。