マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

さらば、ベルリン

2008-02-24 14:09:36 | 映画ーDVD
ーさらば、ベルリンーTHE GOOD GERMAN
2006年 アメリカ スティーヴン・ソダーバーグ監督 ジョージ・クルーニー(ジェイク・ゲイスメール)ケイト・ブランシェット(レーナ・ブラント)トビー・マグワイア(タリー)ボー・ブリッジス(ミュラー大佐)トニー・カラン(ダニー)リーランド・オーサー(バーニー)ジャック・トンプソン(ブレイマー下院議員)ロビン・ワイガート(ハンネローレ)ラヴィル・イシアノフ(シコルスキー)クリスチャン・オリヴァー

【解説】
ジョージ・クルーニーとスティーヴン・ソダーバーグ監督のコンビが送る、第二次世界大戦後のベルリンを舞台にしたサスペンス。戦後の闇に潜む謎を追うアメリカ人従軍記者にジョージ・クルーニー。混乱のベルリンを生き延びた元恋人をケイト・ブランシェットがミステリアスに演じる。1940年代の撮影手法と終戦時の記録映像を用いたソダーバーグこだわりの演出で、フィルムノワールの雰囲気を存分に味わえる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
ポツダム会談の取材のため、ベルリンを訪れたアメリカ人従軍記者のジェイク(ジョージ・クルーニー)。かつて、ベルリンに残してきた恋人のレーナ(ケイト・ブランシェット)に再会するも、彼女はジェイクの運転手タリー伍長(トビー・マグワイア)の恋人となっていた。そんな中、銃殺されたタリー(トビー・マグワイア)の遺体がソ連占領地区で発見され……。(シネマトゥデイ)

【感想】
ケイト・ブランシェット特集みたいになっています。

この作品は「カサブランカ」や「第三の男」などを思い出させる白黒フィルムです。

特にラストなんか、「カサブランカ」そっくりでした。

でも、独自の世界をつくりだしているソダバーグ監督はさすがです。

しかし、わかりにくいストーリーで、私は誰にも感情移入できませんでした。
ソダバーグ作品はいつもそうなんですが。

原題は「THE GOOD GERMAN」ナチスの支配下によきドイツ人はいたのか、という皮肉な重い問いのように思えました。
「さらば、ベルリン」ではこのニュアンスはわからないでしょう。

レーナ(ケイト・ブランシェット)はユダヤ人でありながら、高名な数学者の秘書である夫と戦時下を生き抜いてきた、謎の多い美女です。

戦時中はアメリカ人従軍記者のジェイク(ジョージ・クルーニー)と不倫関係にあり、戦後はアメリカ占領軍の運転手タリー伍長(トビー・マグワイア)の愛人となり、密かに国外脱出の機会を伺っていました。

ポツダム宣言の取材でふたたびベルリンを訪れたジェイクは、レーナと再会、タリーが銃殺された謎を追って行くうちに、アメリカ、ソ連もレーナを追っていることに気がつく。

大国が欲しがっている新型ロケット開発と、ナチスが行っていた秘密工場の戦慄の実情。

ジェイクはレーナを助けるべく、両国を敵に回して奮闘し、真実に近づいて行きます。

そして、レーナが国外に逃れる手はずが整った最後の最後に、レーナの秘密が明かされるのです。

プロペラ機のプロペラが回りだし、レーナと別れたジェイクが立ちすくんでいるところへ浮かび上がる「THE END」のマーク。
ノスタルジーでした。

時はすでに米ソの冷戦時代に突入しようとしていました。

難しい作品でした。

ジョージ・クルーニーのジェイク、びっくりするほど弱い男でした。
タリーに殴られて、ぶっ飛んでいましたもの。
あれは、弱過ぎるだろう!

もうひとついうと、タリーという人物が、トビーのイメージではありませんでした。

娼婦を愛人にする、女に暴力を振るう、ジェイクの身分証を盗む、ソ連領にも自由に出入りして、腕にも覚えのあるやくざな兵隊という役どころです。
あっけないほど早くに死んでしまうので、もう少しワルのイメージのある人を起用すればよかったのになあ。

エリザベス

2008-02-24 14:03:51 | 映画ーTV
ーエリザベスーELIZABETH
1998年 イギリス シェカール・カプール監督
ケイト・ブランシェット(エリザベス一世)ジョセフ・ファインズ(ロバート・ダドリー)ジェフリー・ラッシュ(フランシス・ウォルシンガム卿)クリストファー・エクルストン(ノーフォーク公爵)リチャード・アッテンボロー(ウィリアム・セシル卿)ファニー・アルダン キャシー・バーク エリック・カントナ 
ジェームズ・フレイン ヴァンサン・カッセル ジョン・ギールグッド ダニエル・クレイグ エミリー・モーティマー 

【解説】
カトリックとプロテスタントの争いが激化する、16世紀のイングランド。エリザベスは、腹違いの姉で、彼女をロンドン塔に幽閉したメアリー女王の崩御後、世継ぎとして弱冠25歳の若さでイングランド女王に即位する。エリザベスには愛する恋人ダドリーがいたが、女王の立場は関係の緊迫した隣国との政略結婚を迫る。様々な謀略が渦巻き絶えず命を狙われるエリザベス。そんな苦悩が続く中、カトリックの最高権力・ローマ法王による謀反計画を知ったエリザベスは、対抗権力の粛清を行う……。(allcinema ONLINE)

【感想】
やはり、この作品を見てから、「エリザベス ゴールデンエイジ」をみるのがいい思いました。

それを一番感じたのがヴォルカを踊るエリザベスです。
この作品では、ロバート卿と3回踊るシーンがありました。
1度目は、まだ政争に巻き込まれる前の無垢の頃のエリザベス。
恋に発展しそうな予感の中で踊っています。

2度目は女王になってのパーティーで。
愛し、信頼している家臣であることを認め、恋人として受け入れるための踊り。

3度目は、スペインとフランスの両大国から求婚され、しかも命を狙われている中で、ロバートの心を試すかのような荒々しい態度。

そして、ゴールデンエイジでは、侍女のベスとローリー卿に踊らせ、それを見ているエリザベスの姿がありました。

また、ヴォルシンガムとの関係も、この作品から始まっていました。
ヴォルシンガムの狡猾な手法が、こちらではより鮮明で、エリザベスとの絆の強さも納得できました。

「ゴールデンエイジ」では、エリザベスは終始威厳を保った女王の姿でしたが、こちらは、娘時代の無邪気な表情から一転して、死刑に怯える幽閉されたエリザベス、覚悟が十分な定まらない間に、女王になった単純な喜び、側近たちの意見に翻弄される自信のない顔など、成長して行くエリザベスの様子がよく描かれていました。
ひとつの法案を乗り切ったことをきっかけに自信を得て、その後の暗殺未遂事件を受けて、次々に政敵を粛正して行く姿は、とても厳しいものがありました。

ローマ法王から放たれたテロリスト役で、ダニエル・クレイグが登場するのが面白かったです。
この作品でも、拷問されていました。

ヴァンサン・カッセル、ファニー・アルダンといったフランスの名優が、個性の強い役をしているのも楽しめました。

最後、髪を切って「処女になった」とつぶやき、家臣たちに「国家と結婚した」と言い放つ白塗りの顔は、自分の運命を受け入れた女王の顔に見えました。