マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

パコと魔法の絵本

2008-09-30 11:40:44 | 映画ー劇場鑑賞
ーパコと魔法の絵本ー
2008年 日本
監督=中島哲也 役所広司(大貫(ガマ王子))アヤカ・ウィルソン(パコ)妻夫木聡(室町(ザリガニ魔人))土屋アンナ(タマ子(メダカちゃん))阿部サダヲ(堀米(ヤゴ))加瀬亮(浩一(アメンボ家来))小池栄子(雅美(沼エビの魔女))劇団ひとり(滝田(サカナ))山内圭哉(龍門寺(ミズスマシ君))國村隼(木之元(ガマ姫))上川隆也(浅野(タニシ))貫地谷しほり 彦摩呂 後藤ひろひと 林家ペー 林家パー子 ゆうたろう 松本さゆき デヴィ・スカルノ クリスチャン・ラッセン 木村カエラ

【解説】
『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督が、伝説的な舞台「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」を映画化。変わり者ばかりが集まる病院を舞台に、1日しか記憶が持たない少女のために、大人たちが思い出を残そうと奮闘する姿をファンタジックに描く。役所広司、妻夫木聡、土屋アンナなど豪華キャストが出演。クライマックスで役者たちを3DのフルCGキャラクターに変身させ、彼らの生の演技と連動させていく大胆な演出に注目。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
昔々、大人の俳優に脱皮できなかった元有名子役や、消防車にひかれたまぬけな消防士など、患者だけでなく医者や看護師も変わり者ばかりが集まる病院があった。中でも一代で自分の会社を築いた超ワガママ老人の大貫(役所広司)は、一番の嫌われ者。ある日大貫は、1日しか記憶を保てない少女パコ(アヤカ・ウィルソン)に出会う。(シネマトゥデイ)

【感想】
最初からハイテンション、ちょっとはしゃぎすぎの感じもするのですが、まずは中島哲也ワールドに乗っかってみましょう。
だんだん、心地よく、面白くなっていきますよ。

「下妻物語」「嫌われ松子の一生」で、その作風を確立させた感じですね、中島監督。
この作品は、ティム・バートン風と思ったのは、私だけでしょうか?
「シザーハンズ」のオープニングを思い出しました。

中谷美紀さんが日本アカデミー賞の主演女優賞を獲ったときのスピーチで、中島監督の厳しさを披露していましたが、この映画もかなり過酷だったことが想像できます。

役所広司さんの大貫はすぐにわかりました。
でも、上川隆也の院長先生にはびっくり。
スカートはく人とは思わなかったもの。

土屋アンナのナースは想像できるけど、小池栄子もがんばっていました。

一番わからなかったのは、妻夫木聡の室町。
エンドタイトルまでわからなかった。

 大貫とパコ

パコ(アヤカ・ウィルソン)がすごくかわいい。
この子のためなら、なんでもやってあげたくなる気持ちがわかります。

無垢な魂に出会い、年老いて、生きていることを呪っているような大貫が、人間性を取り戻すストーリー。
他の入院患者も個性的だけど、心に響くエピソードをちりばめて、ギャグや見せかけの華々しさに引っ張られることなく、いい作品に仕上がっていたと思いました。

お薦めです。

ヒトラーの贋札

2008-09-30 11:37:05 | 映画ーDVD
ーヒトラーの贋札ーDIE FALSCHER/THE COUNTERFEITER 
2007年  ドイツ/オーストリア
ステファン・ルツォヴィツキー監督
カール・マルコヴィクス(サロモン・ソロヴィッチ(サリー))アウグスト・ディール(アドルフ・ブルガー)デーヴィト・シュトリーゾフ(フリードリヒ・ヘルツォーク)マリー・ボイマー(アグライア)ドロレス・チャップリン(カジノの令嬢)

【解説】
国家による史上最大の贋札(がんさつ)事件と言われる、“ベルンハルト作戦”を題材にしたヒューマンドラマ。第2次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン強制収容所で、ナチスから紙幣贋造(がんぞう)を強制されたユダヤ系技術者たちの苦悩のドラマを描く。監督は『アナトミー』のステファン・ルツォヴィツキー。実際に強制収容所で贋造(がんぞう)に携わった印刷技師アドルフ・ブルガーの著書が原作となっている。驚がくの歴史的事件に秘められた真実の物語が堪能できる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
1936年のドイツ、ベルリン。パスポートや紙幣など、あらゆる偽造を行うプロの贋作(がんさく)師サリー(カール・マルコヴィックス)。犯罪捜査局の捜査官ヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)に捕らえられた彼は、マウトハウゼン強制収容所に送られる。そこは犯罪者の送られる刑務所ではなく、ユダヤ人を対象にした収容所だった。(シネマトゥデイ)

【感想】
こういう映画では、ナチスの非道さ、収容所での悲劇を扱った作品が目立ちますが、この作品は、切り口が新鮮でした。

主人公は、ユダヤ人とはいえ、贋札作りのサリー(カール・マルコヴィックス)。
はっきりいって、悪党です。

彼はその腕を見込まれ、ナチスの贋札作りの秘密基地へ連れてこられます。
そこは、収容所内にあっても別格の施設。
柔らかい布団に清潔なシーツ、食べ物もまだましです。

そこには、印刷のエキスパートたちが集められていました。
偽造パスポートから証明書など、ありとあらゆる偽造が行われていました。

ナチスの親衛隊長ヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)に命じられるままに偽ポンド紙幣を作るサリー。
やがてその腕は証明され、次はドル紙幣にかかるように言われます。

でも、腕のいい印刷工のブルガー(アウグスト・ディール)の妨害にあい、なかなか完成しません。
ブルガーは、ナチスに服従することをかたくなに拒んでいるのてした。

サリーは、そんなブルガーに手を焼きつつも、ヘルツォークの追求や仲間の裏切りからブルガーを守ります。
シャバでは犯罪者のサリーが…。

ここが、この作品の巧妙なところだと思いました。
映画のラストに、この物語を書いたのはブルガーだということが明かされます。
すごくうまい演出でした。

戦後、無事に戻ったサリーですが、カジノで贋札を全部使ってしまいます。
彼の虚無感、すごくわかりました。

なんともいえない、余韻を残した映画でした。

あの日の指輪を待つ君に

2008-09-29 18:47:50 | 映画ー劇場鑑賞
ーあの日の指輪を待つ君にーCLOSING THE RING
2007年 イギリス/カナダ/アメリカ
リチャード・アッテンボロー監督 
シャーリー・マクレーン(エセル・アン)クリストファー・プラマー(ジャック)ミーシャ・バートン(若き日のエセル・アン)スティーヴン・アメル(テディ)ネーヴ・キャンベル(マリー)ピート・ポスルスウェイト(クィンラン)ブレンダ・フリッカー(エレノア)
グレゴリー・スミス(若き日のジャック)デヴィッド・アルペイ(若き日のチャック)マーティン・マッキャン(ジミー)ジョン・トラヴァース(若き日のクィンラン)

【解説】
ひとつの指輪をめぐり交わされた約束についてつづる感動的な恋愛ドラマ。『愛と追憶の日々』のシャーリー・マクレーンが、戦地で愛する人をなくした喪失感を引きずったまま生きる老女を熱演。彼女の若き日を、テレビドラマ「The OC」シリーズのミーシャ・バートンが演じる。監督は『ガンジー』の巨匠リチャード・アッテンボロー。登場人物たちがめぐってきた、いちずで誠実な生きざまに、大きく心を揺さぶられる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
夫を亡くしたばかりのエセル(シャーリー・マクレーン)の淡々とした態度の裏には、50年前に起きた戦争の悲しい思い出が隠されていた。しかし、何も知らない娘のマリー(ネーヴ・キャンベル)は母への不満を募らせるばかり。そんな折、ミシガンに住むエセルのもとに、アイルランドからエセルの指輪を見つけたという連絡が入る。(シネマトゥデイ)

【感想】
大阪での公開を見逃していたので、宝塚まで遠征しました。
でも、行ったかいのある、いい映画でした。

シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマーの主演、巨匠リチャード・アッテンボロー監督作品。
この3人の年齢をたしたらいくつ?

でも、年齢を感じさせない、なかなか骨太の作品でした。

この物語は実話に基づいているそうです。
第二次世界大戦で引き裂かれた恋人の話は、たくさんあるでしょう。
ここに、北アイルランドの紛争が入ったことで、物語に深みが増し、不思議な説得力を持った気がしました。

☆ネタバレ
ここには、3つの約束が出てきます。
最初の約束は、テディ(スティーヴン・アメル)がエセル・アン(若き日=ミーシャ・バートン、現在=シャーリー・マクレーン)とかわした結婚の約束。

二つ目は、もし、自分が戦争から戻らなかったときは、エセル・アンの面倒はチャック(デヴィッド・アルペイ)がみて、その手助けをジャック(若き日=グレゴリー・スミス、現在=クリストファー・プラマー)がすること。
若い日の友情の証として、理解はできるけど、結局この約束が50年間、みんなを縛り続ける結果となります。

エセル・アンは、遺体も出てこないテディを忘れることはできず、自分の殻に閉じこもってしまう。
チャックは、エセル・アンと結婚してマリーという娘をもうけたものの、エセル・アンの愛情を得ることは、ついに死ぬまでできなかった。
ジャックも、自分の心に蓋をしたために、3回も結婚したのに、本当の愛には出会えなかった。

3つ目の約束は、映画のラスト近くで明かされます。
クィンラン(若き日=ジョン・トラヴァース、現在=ピート・ポスルスウェイト)が瀕死のテディとかわしたエセル・アンへの伝言。
この約束を伝えるために、クィランは危険な地域でテディの指輪を探し続けていたのでした。

この3つ目の約束が伝えられなかったことが、若い人たちの心をがんじがらめにし、50年の歳月が流れてしまったのでした。

人は、自分の言葉に縛られるものなのかもしれません。
そして、何かを終えなければ、新しく始められないのかもしれません。

タイトルから、戦争で引き裂かれた恋人の悲劇だと想像していた私は、いい意味で裏切られ、いろいろ考えさせられる作品となりました。

言葉の呪縛からやっと開放されたエセル・アンとジャックのラストシーンは、遅すぎたにしても、さわやかなとてもいいシーンでした。

指輪を発見して、いろいろな人を結びつける役割のジミー(マーティン・マッキャン)の純真さに救われます。
そのおばあさんのエレノアの、ユーモラスな存在もポイントが高いです。

おくりびと

2008-09-24 18:13:22 | 映画ー劇場鑑賞
ーおくりびとー
2008年 日本
監督=滝田洋二郎 キャスト=本木雅弘(小林大悟)広末涼子(小林美香)山崎努(佐々木生栄)余貴美子(上村百合子)吉行和子(山下ツヤ子)笹野高史(平田正吉)杉本哲太 峰岸徹 山田辰夫 橘ユキコ

【解説】
ひょんなことから遺体を棺に納める“納棺師”となった男が、仕事を通して触れた人間模様や上司の影響を受けながら成長していく姿を描いた感動作。監督には『壬生義士伝』の滝田洋二郎があたり、人気放送作家の小山薫堂が初の映画脚本に挑戦。一見近寄りがたい職業、納棺師に焦点を当て、重くなりがちなテーマを軽快なタッチでつづる。キャストには本木雅弘、広末涼子、山崎努ら実力派がそろい、主演の本木がみせる見事な納棺技術に注目。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収める仕事。当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。(シネマトゥデイ)

【感想】
日本人は、特に「死」を忌み嫌い、「死」に携わる人に対して嫌悪感をむき出しにします。

最近は、特に「死」が病院や施設に隔離された状態にあり、核家族や長寿が進んだことにより、ますます遠い存在です。

でも、よくよく考えてみると、誰もが避けて通れない道であり、「死ぬことは生きることなんだ」ということに気付かされます。

この映画は、まさに、そういう視点で描かれた映画でした。

主人公の大悟(本木雅弘)も、好き好んで就いた職業ではない納棺師という仕事。
でも、社長の佐々木(山崎努)について仕事をしていくうちに、その魅力に取り憑かれていきます。

本来のチェリストとしての自分とバランスをとりながら、自分自身も見つめ直し、納棺師としての誇りを見いだしていく物語でした。

エンドタイトルに、儀式のような美しい所作が流れます。
その瞬間に、亡くなった人の尊厳が輝くような気がしました。

悲しいばかりではなく、ユーモアに満ちていて、とてもいい映画でした。

サンシャイン2057

2008-09-24 17:54:26 | 映画ーDVD
ーサンシャイン2057ー
2007年 アメリカ
ダニー・ボイル監督
キリアン・マーフィ(キャパ)真田広之(カネダ)ミシェル・ヨー(コラゾン)クリス・エヴァンス(メイス)ローズ・バーン(キャシー)トロイ・ギャリティ(ハーヴィー)ベネディクト・ウォン(トレイ)クリフ・カーティス(サール)

【解説】
『ザ・ビーチ』『28日後... 』の監督と脚本家を務めたダニー・ボイルとアレックス・ガーランドによるSFスリラー。太陽の崩壊で地球滅亡の危機にひんした近未来を舞台に、究極の任務に向う宇宙船クルーに襲いかかる予期せぬ事態を、最新のVFXを駆使して描く。『麦の穂をゆらす風』のキリアン・マーフィ、『SAYURI』のミシェル・ヨー、『ラスト サムライ』などで国際的な注目を集める真田広之ら豪華キャストの出演も話題を呼んでいる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
50年後の近未来、太陽の消滅により地球も滅亡の危機にさらされていた。人類最後の望みを託されたのは、宇宙船イカロス2号に搭乗した船長(真田広之)や物理学者のキャパ(キリアン・マーフィ)ら男女8人のエリートたち。彼らは可能な限り太陽に接近し、太陽を再生させるという究極の任務に挑もうとしていたが、想像を絶する異常事態に巻き込まれてゆく。(シネマトゥデイ)

【感想】
劇場公開しているときは、なんとになく怖そうでスルーしましたが、キリアン・マーフィとダニー・ボイルコンビのホラー「28日後…」が妙に気に入ったので、見る気になりましたが…。

劇場で見なくてよかったー。
だって、(☆ネタバレ!!)乗り組員が~!!

まあ、当たり前と言えばそれまで。
太陽に突っ込んでいって、無事帰って来る方がウソっぽいですものね。

でも、ずっと緩慢な感じの画面に付き合わされて、次々死んでいくところを見せられるのも、辛いものがありました。

特に、早い段階でキャプテンのカネダ(真田広之)が死んでしまうのが、なんとも言えず、残念でした。

乗組員が、全員性格が変わっていったり、取り返しのできないミスを犯したり、希望の見えない展開で、しんどい映画でした。

しかも、最後は得体の知れない人物が出てきて、それでも使命を果たそうとするキャパ(キリアン・マーフィ)の姿はかなり痛々しかったです。

ブルーレイで見たので、映像はすごくきれいだったのに、スタッフたちが自分でハードルを高くしてしまったみたいな内容でした。

アイアンマン(試写会)

2008-09-22 20:15:46 | 映画ー劇場鑑賞
ーアイアンマンーIRON MAN
2008年 アメリカ
ジョン・ファヴロー監督
ロバート・ダウニー・Jr(トニー・スターク)ジェフ・ブリッジス(オバディア・ステイン)テレンス・ハワード(ローディ)グウィネス・パルトロー(ペッパー・ポッツ)ショーン・トーブ(イェンセン)

【解説】
自ら開発したハイテクの鎧を身にまとい、“アイアンマン”として悪と闘う男の活躍を描くアクション超大作。同名の人気アメコミを原作に『ザスーラ』のジョン・ファヴロー監督が世界平和のため正義を貫くヒーロー映画を撮り上げた。豊富な資金と科学技術でアイアンマンに変身する軍事会社社長トニー・スタークを、『ゾディアック』のロバート・ダウニー・Jrが好演。繊細(せんさい)な精神も持ち合わせる人間味あふれるヒーロー像も見もの。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
億万長者で発明家の軍需産業会社社長トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、視察に訪れた軍のキャンプでテロリストの奇襲に遭い、胸を負傷してしまう。やがて自分の会社の兵器がテロリストに悪用されている衝撃の事実を知ったトニーは、自ら戦闘用のスーツを作り、“アイアンマン”となってテロリストに闘いを挑む。(シネマトゥデイ)

【感想】
またまた、アメコミヒーローの映画化。
でも、ここのところ、レベルが高いなあ。

この「アイアンマン」も、「ダークナイト」にはおよばないものの、かなり楽しめました。

トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)はトップの軍需企業の御曹司にして、天才科学者、プレイボーイ。
すごい兵器を続々と作って、売れに売れまくっていました。
しかし、視察に出向いた戦場で、自分の会社の兵器が、自国の若い戦士を殺傷していることを目の当たりにし、自らも捕虜となって衝撃を受ける。

彼は、心臓に深い傷を負いながらにも科学者として目覚め、パワードスーツを作って、戦場から逃れる。

そして、生まれ変わった彼は、兵器を作ることを止めると宣言するが…。

このロバート・ダウニー・Jrは、私の大好きな「アリーmyラブ」というアメリカのテレビドラマで、アリーが2度目の真剣な恋のお相手のラリー役だったのです。
でも、とても唐突に、アリーの前から姿を消してしまいました。
後で聞いたら、麻薬がらみで降板させられたとか。

ほんとうに、いい感じの俳優さんだなあ、アリーもこれで幸せになれるのかなあ、と思って楽しみにしていたので、私もショックでした。

ここ数年、「キスキス,バンバン -L.A.的殺人事件」とか、「グッドナイト&グッドラック」などでスクリーンに戻ってきていることも、うれしいことでしたが、今回はアメコミヒーロー、トニー・スタークとして帰ってくると知って、とても楽しみに待っていました。

でも、不安もありました。
だって、1965年生まれ、ピーローにしては、少し年が行き過ぎているのでは?

 パワードスーツに改良を加えるトニー・スターク

その心配は大丈夫でした。
トニー・スタークは、超人ではなく、科学者で、自分の発明したパワードスーツを練習と改良を重ねて生み出しました。生まれながらのヒーローとは少し違っているからです。

この映画は、いろんな世代の人が楽しめる作品です。

うちの息子のような、超合金のロボで遊んでいたような人が、デートで見る映画には最適ですよ。
きっと、郷愁を感じることでしょう。
女性も、キスもしないようなペッパー(グウィネス・パルトロー)の献身に、心が引かれるのではないかな?

 トニーとペッパー

また、40代以降の人には、いくつになっても変われるというパワーを感じるんじゃないでしょうか。

改めるのに遅いことはないー気がついたら、1歩を踏み出しましょう。
きっと、世界が開けるはずです。
トニー・スタークのように。

クラッシュ

2008-09-17 14:51:43 | 映画ーDVD
ークラッシューCRASH
2004年 アメリカ
ポール・ハギス監督 サンドラ・ブロック(ジーン)ドン・チードル(グラハム)マット・ディロン(ライアン巡査)ジェニファー・エスポジート(リア)ウィリアム・フィクトナー(フラナガン)ブレンダン・フレイザー(リック)テレンス・ハワード(キャメロン)クリス・“リュダクリス”・ブリッジス(アンソニー)タンディ・ニュートン(クリスティン)ライアン・フィリップ(ハンセン巡査)ラレンズ・テイト(ピーター)ノーナ・ゲイ(カレン)マイケル・ペーニャ(ダニエル)ロレッタ・ディヴァイン(シャニクア)ショーン・トーブ(ファハド)ビヴァリー・トッド(グラハムの母)キース・デヴィッド(ディクソン警部補)バハー・スーメク(ドリ)トニー・ダンザ(フレッド)

【解説】
ロスのハイウェイで起きた交通事故をきっかけに、さまざまな人種、階層、職業の人々の人生が連鎖反応を起こすヒューマンドラマ。脚本に惚れ込んだサンドラ・ブロックや、ドン・チードル、マット・ディロンら豪華キャストが、運命に翻弄(ほんろう)される現代人の怒りや孤独や悲しみ、喜びや救いを見事に表現する。『ミリオンダラー・ベイビー』の製作と脚本でアカデミー賞にノミネートされたポール・ハギス監督による珠玉の名作。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
クリスマス間近のロサンゼルス。黒人刑事のグラハム(ドン・チードル)は、相棒であり恋人でもあるスペイン系のリア(ジェニファー・エスポジト)と追突事故に巻き込まれる。彼は偶然事故現場近くで発見された黒人男性の死体に引き付けられる……。(シネマトゥデイ)

【感想】
劇場で見て、とても感動して、そのあとアカデミー賞作品賞を獲ったことを知り、当然だなあと思った作品。
また、見直すと、さらに見えて来るものがありました。

主人公が誰というのではない、群像劇。
脚本が緻密に計算されて、ひとつのクラッシュ事故を中心に、人々の物語が濃密に積み重ねられていきます。

登場人物はみんなとても複雑で、一筋縄ではいかない人たちばかり。だから、その行く末も予測できません。

アメリカロサンゼルス、単純に人種差別とか偏見とか言ってしまえない複雑な社会に生きている人々の物語です。数多くの人種と、その人々の複雑な歴史、それに銃や暴力が人の心をもてあそぶように絡み合って、人々の思いが交錯し、疑心暗鬼を生み、ふれあえない町となってしまっています。

例えば、ライアン巡査(マット・ディロン)。

人種差別主義者の嫌みな警官ですが、家に帰れば、父親の介護をする孝行息子です。
また、事故を前にすると、自分の命も顧みず、人を助ける使命感も持っています。

 助けられたのはキャメロン(テレンス・ハワード)の妻クリスティン(タンディ・ニュートン)

例えば、グラハム(ドン・チードル)、


腕利きの刑事ですが、ジャンキーの母、不良で行方不明の弟がアキレス腱。
巨悪にも目をつぶらざるを得ないのです。

黒人ながら、敏腕プロデューサーとして、美人の妻クリスティン(タンディ・ニュートン)とセレブな暮らしをしているキャメロン(テレンス・ハワード)ですが、一皮むけば、人種差別に怯えなければならない、屈辱の自分がいます。

エリート検事(ブレンダン・フレイザー)の妻のジーン(サンドラ・ブロック)も、怪我をして、誰も助けてくれない状態になってやっと、自分のいらだちの原因が孤独にあるわかり、いつも冷たく当たっていた家政婦さんの優しさに、ようやく気付くのでした。

一番感動したのは、鍵屋のダニエルのエピソード。
見かけは、入れ墨だらけの黒人のダニエル。
ジーンの家では、鍵を修理しても「明日には変えさせて、あんなギャングに直させたら、明日には合鍵が町中に出回ってしまう」と言われてしまいます。
それでも言い返しもせず、仕事を終えて立ち去るダニエル。
家に帰れば、5歳の娘の優しいお父さん。
銃の音に怯える娘に、「妖精の服」を着せてあげます。
それは目にも見えず、さわれもしないけど、銃弾から身を守ってくれる不思議な服です。

一方、アラブ人といつも間違われる、ペルシャ人の1家。
お父さんは英語がうまく話せないし、理解も難しい。
それで、トラブルが絶えません。
泥棒に入られて以来、とても神経質で自分も銃を買うことにしました。
娘のドリは看護婦として働いていて、この国になじんでいますが、とても心配しています。

このお店に、ダニエルが鍵の取り替えにきたけれど、ドアが壊れていて、鍵がかけられない。
お父さんに言っても、通じないので、喧嘩になって、お金ももらわず帰ってきました。

その夜、ペルシャ人のお店は泥棒に襲われて、めちゃめちゃに。
保険も、お父さんの過失ということで支払われないことがわかりました。

ダニエルを逆恨みするお父さん。
捨ててあった領収書からダニエルの家を知り、拳銃を持って待ち伏せています。

ダニエルが帰ると、銃を構えて詰め寄るお父さん。
ダニエルの娘は「パパは妖精の服をもっていないのよ」と言いながら、ダニエルに飛びついた瞬間、銃声。



しかし、誰も傷ついていません。
「妖精の服」の魔法?
いえいえ、娘のドリが、空砲を入れておいたのでした。

「天使が助けてくれた」お父さんはつぶやきます。
ドリのお父さんを思う愛の力は、みんなを助けたのですね。

悲劇の結末となったのは、ハンセン巡査(ライアン・フィリップ)。


彼自身も、自分のなかにあった凶暴性について、認識していなかったでしょう。
あの瞬間まで…。

人々の悲しみも、怒りも、憤りも、恐怖もなにもかも飲み込んで、、巨大な都市は息づいています。

人々は、昼夜を問わずふれあいを求めて町を彷徨っているのです。
都会生きる人々の姿を、こんなにも多面的に捉えた映画が、かつてあったでしょうか! 

素晴らしいお映画でした。

激流

2008-09-17 14:42:02 | 映画ーDVD
ー激流ーTHE RIVER WILD
1994年 アメリカ
カーティス・ハンソン監督 メリル・ストリープ ケヴィン・ベーコン デヴィッド・ストラザーン ジョセフ・マッゼロジョン・C・ライリー

【解説】
週末を利用して家族と川下りに来たゲイル(メリル・ストリープ)は、そこで陽気な若者ウェイド(ケヴィン・ベーコン)と知り合う。彼女達一行は彼と行動を共にすることにするが、その若者には知られざるある秘密があった……。(allcinema ONLINE)

【感想】
この作品は、夏に見るべき作品ですね。
ドラフティングというのでしょうか、川下りはスリル満点で、とても涼しい気分になりました。

ストーリーもしっかりしているし、家族で楽しめる作品です。

ケヴィン・ベーコンの目が怖い。
笑顔でも、目だけは笑っていません。
すごい、演技だなあと感心しました。

デヴィッド・ストラザーンのパパが頼りないけど、私はそれがユーモラスに感じました。

あと、犬好きにはたまらない、マギーのジャンプ。
面白かったです。

キングダム・オブ・ヘブン(ディレクターズカット版)

2008-09-17 14:35:14 | 映画ーDVD
ーキングダム・オブ・ヘブンーKINGDOM OF HEAVEN
2005年 アメリカ
リドリー・スコット監督 オーランド・ブルーム(バリアン・オブ・イベリン)エヴァ・グリーン(シビラ)リーアム・ニーソン(ゴッドフリー・オブ・イベリン)ジェレミー・アイアンズ(ティベリアス)エドワード・ノートン(エルサレム王ボードワン4世)デヴィッド・シューリス(ザ・ホスピタラー)ブレンダン・グリーソン(ルノー・ド・シャティヨン)マートン・ソーカス(ギー・ド・リュジニャン)ハッサン・マスード(サラディン)

【解説】
『グラディエーター』のリドリー・スコット監督最新作。主演は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのオーランド・ブルーム。共演は『ドリーマーズ』のエヴァ・グリーン、『レッド・ドラゴン』のエドワード・ノートン。細部までリアルに描かれた大規模な戦闘シーンは必見。空前のスケールで描かれたスペクタクル・アクション。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
父親が勇敢な騎士ゴッドフリー(リーアム・ニーソン)と知った鍛冶屋のバリアン(オーランド・ブルーム)は、十字軍に入隊、戦いに身を投じる。たくましい騎士に成長したバリアンは、やがてエルサレム王を助け、美しい王女シビラ(エヴァ・グリーン)と禁じられた恋に落ちるが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
この作品、公開されたとき劇場で見たけど、あまりよくわからなかった。
このへんの歴史を知らないから、仕方がないのかなと諦めていました。

そうしたら、友達から「ディレクターズカット版を買ったから一緒に見ましょう」という、ありがたいお誘いが!!

ディスクが2枚に分かれている、3時間以上もある大作。
心して見なくては!!
と、意気込むこともなく、物語のなかに引き込まれ、あっという間の3時間でした。
とてもわかりやすかった。

 バリアン(オーランド・ブルーム)

前半の、バリアン(オーランド・ブルーム)が、鍛冶屋から騎士になるまでの、事情説明は、やはり長い感じがしましたが、劇場版ではばたばたと終わってしまった後半が、とても丁寧に描かれてあって、当時の人々の関係もよくわかりました。

特に、エルサレム王・ボードワン4世(エドワード・ノートン)の妹シビラ(エヴァ・グリーン)の置かれていた立場がとてもよく理解できて、すべての行動がつながりました。
シビラもまた、運命に翻弄された悲劇の王女でした。

 シビラ(エヴァ・グリーン)

この物語は、エルサレムをめぐる争いの歴史のなかで、偉大な二人の王、サラディン(ハッサン・マスード)とボードワン4世が理想の国を夢見た物語でした。

エルサレムに、宗教も人種も問わないキングダムオブヘブンを実現させようとしたボードワン4世に、賛同したサラディン王。
二人は、尊敬し合い、認め合っていました。
こういうこともできるのに、今も、イスラムの世界とキリスト教の世界は対立したままです。
対立という言葉では、とても足りない悲劇の毎日です。

映画の最後にバリアンがエルサレムの価値は?とサラディンに尋ねるシーンが印象的でした。
サラディンは答えます。
「ない」「でも、すべてだ」と。

戦争になる前に、敵と決めつける前に、相手を理解しようと努力したことがあったのでしょうか。

世界中の人々はみんな、地球号という宇宙船に乗っている運命共同体なのに。

監督の忸怩たる思いが詰まった作品だと思いました。

長いけど、たくさんの人にディレクターズカット版を見てもらいたいなあ。
伝わるものがたくさんありました。

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

2008-09-12 16:46:27 | 映画ーDVD
ーゼア・ウィル・ビー・ブラッドーTHERE WILL BE BLOOD
2007年 アメリカ
ポール・トーマス・アンダーソン監督 ダニエル・デイ=ルイス(ダニエル・プレインビュー)ポール・ダノ(ポール・サンデー/イーライ・サンデー)ケヴィン・J・オコナー(ヘンリー)キアラン・ハインズ(フレッチャー)ディロン・フレイジャー(H.W.)

【解説】
『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』のポール・トーマス・アンダーソン監督の最高傑作との呼び声も高い、石油採掘によってアメリカン・ドリームをかなえた男の利権争いと血塗られた歴史を描いた社会派ドラマ。原作は1927年に発表された、社会派作家アプトン・シンクレアの「石油!」。『マイ・レフトフット』のオスカー俳優ダニエル・デイ=ルイスが、冷徹な石油王が破滅していくまでを熱演。人間の計り知れない欲望や恐怖を、改めて思い知らされる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
石油ブームに沸く20世紀初頭のカリフォルニア。鉱山労働者のプレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)は、石油が沸く源泉があるという情報を耳にする。息子(ディロン・フリーシャー)とともに石油採掘事業に乗り出したプレインビューは、異様なまでの欲望で富と権力を手にしていく。(シネマトゥデイ)

【感想】
2時間40分という長い作品ですが、とても引き込まれました。
ダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)が、一人で金鉱を掘っていた時代から、石油王に成り上がるヒューマンドラマで、サスペンスでもなんでもないのに、ただ、呆気にとられてみてしまいました。
しかも、この男は人間的な魅力の一欠片も持ち合わせていないというのに、です。

これは、ひとえに、ダニエル・デイ=ルイスの、この人物の描き方がとても緻密で、この人物なら、こう考えるだろう、こう行動するだろうということが、すんなり受け入れられたからです。

この作品で、彼は、アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
これは、納得でした。

作品賞の「ノーカントリー」と比べると、やはりプレインビューの方が人間っぽい?
でも、それだけ悪人としてはリアルに見えました。

昔のマンガ、ジョージ秋山の「銭ゲバ」に似ていない?

☆ネタバレ
とにかく、プレインビューの過去について、詳しくは語られていないけど、彼が激高するときには、そのあたりも関係があるなあということは想像できました。

人が嫌いなので、大金持ちになって、人と隔絶した生活を送りたいーそれが彼の夢でした。

彼の映し鏡として登場する、偽予言者のイーライ(ポール・ダノ)。

最初、プレインビューの前に登場するのが双子兄のポールなのですが、最後まで「同一人物じゃないの?」と疑ってしまったのが、残念でした。
イーライのあの性格に集中したかったなあ。
同じ俳優さんが演じる意味があったのかしら?

このイーライという人物は、若くて気弱そうなのに、なかなかの役者。
口先で人々の心をコントロールして行く。
このへんは、プレインビューと同じ種類の人間。
その臭いを嗅ぎ取った二人は、お互いに憎悪を募らせ、ラストの悲劇へと導かれていきます。

赤ちゃんから育て、商売の信用を得るために利用している養子のH.W(ディロン・フレイジャー)。
彼に、愛情がなかったとは言えないと思う。
ガス爆発のときは、何をおいても助けに行ったし、耳が聞こえなくなったときもお医者さんに見せたり、寄宿舎に預けたり、家庭教師を付けたりしていたから。

ただ、寝かせるためにウイスキーをミルクに混ぜて飲ませたり、息子が爆発のショックで怯えているのに、放り出して燃えている油井を眺めていたり、説明もせずに汽車に置き去りにしたりするところなんかは、商売のための子供だったのかなあ、とも思いました。

そして、弟への思い。
弟だと偽って現れた人物を重用し、それがウソだとわかると、絶望のあまり殺してしまう。

弟が遺した日記を読みながら涙を見せるプレインビュー。
彼が本当に欲しかったものは、肉親だったのかもしれません。

あの狡猾で計算高く、神をも畏れない山師のプレインビューが犯してしまった2つの殺人。
殺人が割にあわないことを、よくわかっている彼なのに。

最後「終わった」とつぶやいたプレインビュー。
彼のなかで、何が終わったのだろう。
何かはわからないけど、それは、きっと完全に終わったのだ。

THERE WILL BE BLOOD
このタイトルの意味が、わからない。
「血」の意味するものは何なのでしょう。
宗教的な意味があるのかと思って見ていたけど、結局は血のつながりということでしょうか?
それとも、殺人?

「石油」と「宗教」と「血」。
うーん、深い。