マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

タイタンの戦い

2010-04-29 21:55:21 | 映画ー劇場鑑賞
ータイタンの戦いーCLASH OF THE TITANS
2010年 アメリカ
ルイ・レテリエ監督 サム・ワーシントン(ペルセウス)ジェマ・アータートン(イオ)マッツ・ミケルセン(ドラコ)アレクサ・ダヴァロス(アンドロメダ)ジェイソン・フレミング(カリボス/アクリシオス王)レイフ・ファインズ(ハデス)リーアム・ニーソン(ゼウス)

【解説】
ギリシャ神話をベースに、神々の王ゼウスの息子として生まれながらも人間として育った青年ペルセウスが活躍するアクション・アドベンチャー超大作。監督は『トランスポーター2』のルイ・レテリエ。『アバター』の注目株サム・ワーシントンが主人公のペルセウスを演じるほか、『バットマン ビギンズ』のリーアム・ニーソンら豪華実力派が集結している。広大なスケールのスペクタクル映像と豪快なアクション・シーンが見どころ。

【あらすじ】
神々が世に君臨していたある時代。神々の王ゼウス(リーアム・ニーソン)の息子として生まれたが、人間として育てられたペルセウス(サム・ワーシントン)がいた。彼は世界を滅亡の危機から救うため、冥界の王ハデス(レイフ・ファインズ)を倒す戦いの旅に出る。そこには、悪魔や獣といった強敵との死闘が待っていた。(シネマトゥデイ)

【感想】
最初に、ごめんなさい。
ほとんど眠っていました。
私は、どういうわけか戦いのシーンは眠ってしまいます。

というわけで、映画代もったいなかった映画でした。

ほとんど全編が戦いのシーン。
戦いのシーンが大好きな方向きです。

2Dで見たけど、それは関係ないと思います。

私は、もっとペルセウスの出生の秘密とか、神が身勝手にも人間に宿した命である自分の存在への葛藤とかを期待したのすが、あまり触れられていませんでした。

☆ネタバレ
ペルセウスはアンドロメダと結婚するとばかり思っていたら、イオと一緒になるという結末で驚きました。

イオもまた、ゼウスに愛された女神でエパポスという子供をエジプトで産んだとウィキペディアに書いてありました。
いろいろな伝説があるみたいですね。

ジェイン・オースティン 秘められた恋

2010-04-29 21:51:22 | 映画ーDVD
ージェイン・オースティン 秘められた恋ーBECOMING JANE
2007年 イギリス/アメリカ
ジュリアン・ジャロルド監督 アン・ハサウェイ(ジェイン・オースティン)ジェームズ・マカヴォイ(トム・レフロイ)ジュリー・ウォルターズ(オースティン夫人)ジェームズ・クロムウェル(オースティン牧師)マギー・スミス(レディ・グレシャム)ローレンス・フォックス(ウィスリー氏)アンナ・マックスウェル・マーティン(カサンドラ・オースティン)

【解説】
「高慢と偏見」などで知られるイギリスの女流作家ジェイン・オースティンに迫る伝記ラブストーリー。監督は『キンキーブーツ』のジュリアン・ジャロルド。ジェインを『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ、その一世一代の恋の相手となる青年トムを『つぐない』のジェームズ・マカヴォイが演じている。自著の主人公たちをハッピーエンドへ導いてきた、ジェインの知られざる恋の物語が堪能できる。

【あらすじ】
1795年、イギリス。オースティン家の次女ジェイン(アン・ハサウェイ)は、裕福で家柄のいい相手との結婚を望む両親に迫られ、地元の名士レディ・グリシャム(マギー・スミス)の甥(おい)との結婚をしぶしぶ検討。しかしそんな中、ジェインはロンドンで法律を学ぶ知的なアイルランド人青年トム(ジェームズ・マカヴォイ)と出会う。(シネマトゥデイ)

【感想】
ジェーン・オーステインの小説は読んだことはないのですが、映画は面白い。
「プライドと偏見」「いつか晴れた日に(分別と多感)」、作品ではないけど「ジェーン・オースティンムの読書会」も見ました。
ブリジッド・ジョーンズの日記にも関連しています。

そしてこの作品は、小説を書く前のジェーン・オースティンを描い伝記的な映画でした。

19世紀のイギリス、中流階級の女性には相続権もなく、職業選択の自由もありませんでした。
理想の生き方は、お金持ちと結婚すること。
貧しい牧師の家の次女として産まれたジェーン・オーステインの両親も、それを願っていました。
ちなみに兄が5人弟が1人いたそうです。

ジェーンは文章を書くのが好きな娘で、その日も徹夜して姉のカサンドラの婚約のお祝いに朗読する文章を書き上げました。
カサンドラは、父と同じ牧師と結婚することになっていましたが、その婚約者は結婚の前に西インド諸島へ布教活動に出かけ、その仕事が終わって帰ったら結婚ということになっていました。

ジェーンが朗読をしているときに、トム・ルフロイ(ジェームズ・マカヴォイ)という青年が入ってきて、退屈そうに聞いていた。
ジェーンは森を散策中にトムに出会い、自分の文章を批判されて、不愉快に思うジェーンであったが、二人は急速に引かれ合っていた。

一方、地元の富豪のレデイ・グリシャム(マギー・スミス)の甥ウィスリー氏(ローレンス・フォックス)に求婚され、両親も強く望むが、ジェーンは愛のない結婚はできないと思う。

しかし、トムにも伯父の援助を受けて法律の勉強をしているという事情の裏には、故郷の両親や兄弟を養うという隠された使命があった。
トムが放蕩のふりをして、世間の顰蹙を買う行為ばかり見せているのは、彼のカモフラージュだったのだ。

トムの真実を知り、愛がない結婚は無理、でも、お金がない結婚も無理だと悟ったジェーンは、トムへの思いを断ち、ウィスリー氏の申し出も断って、ペンで身を立てる決心をしたのでした。

姉のカサンドラもまた、婚約者が不況先で病死という悲劇にみまわれ、姉妹とも独身で生涯を送ったそうです。

このころの女性のおかれた立場は、ジェーンの小説で知ることができますが、そんなことより、自分の生き方や規範をユーモラスに表現したその心情の深さが、今も多くの女性の共感を得るのだと思いました。

そのジェーンが、洞察力の鋭い小説家になる前のまっすぐな恋は、とても心を打ちました。
アン・ハサウェイとジェームズ・マカヴォイも愛し合う二人にぴったりでした。

「アクロス・ザ・ユニバース」のジョー・アンダーソンがジェーンの兄ヘンリー役で出ていました。

素敵な映画でした。

少年メリケンサック

2010-04-23 09:24:20 | 映画ーDVD
ー少年メリケンサックー
2008年 日本
監督=宮藤官九郎 キャスト=宮崎あおい(栗田かんな)木村祐一(ハルオ(Gt.))勝地涼(マサル)田口トモロヲ(ジミー(Vo.))三宅弘城(ヤング(Dr.))峯田和伸(青春時代のジミー)ピエール瀧(金子欣二)佐藤智仁(青春時代のアキオ)波岡一喜(青春時代のハルオ)石田法嗣(青春時代のヤング)我孫子真哉(少年アラモード)チン中村(少年アラモード)村井守(少年アラモード)田辺誠一(TELYA)哀川翔(かんなの父)烏丸せつこ(美保)犬塚弘(作並厳)中村敦夫(TV局の司会者)UG(リハーサルスタジオのローディ)JAPAN-狂撃-SPECIAL(ヤングの不良仲間たち)遠藤ミチロウ(名古屋駅・店の大将)仲野茂(ガサ入れの警官)日影晃(花屋の店員)ユースケ・サンタマリア(時田(メイプルレコード社長))佐藤浩市(アキオ(Ba.))

【解説】
多彩な分野で活躍するクドカンこと宮藤官九郎の、監督2作目となるハイテンションなコメディー。ひょんなことから、凶暴なオヤジ4人組のパンクバンドを引き連れて全国ツアーに出ることになったお気楽OLの奮闘を描く。主演には話題作への出演が相次ぐ宮崎あおいがあたり、ハジけたコメディエンヌぶりを披露。彼女を振り回すバンドメンバーには佐藤浩市、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城がふんするほか、ユースケ・サンタマリアら豪華キャスト陣の共演が楽しめる。


【あらすじ】
レコード会社に勤めるかんな(宮崎あおい)は、動画サイトでイケメン4人組のパンクバンド“少年メリケンサック”のライブ映像を発見。彼らと契約すべく会ってみると、メンバーは50歳過ぎのオヤジで、彼女が見つけた映像は25年前のものだった。予想外の事態に困惑するかんなだったが、バンドの全国ライブツアーに同行するはめになり……。(シネマ・トゥデイ)

【感想】
パンクはわからないけど、面白かったです。

「篤姫」で国民的大女優になってしまった感のある宮崎あおいが、そのイメージを払拭してしまうくらいの壊れっぷり。
中年のおっさんを相手に大奮闘で、かわいかったです。

人生の半ばを過ぎて、はっきりいって落ちこぼれている、20年前にパンクバンドで燃え尽きたおっさんたち(佐藤浩市・木村祐一・田口トモロヲ・三宅弘城)が、もう一度バンドを組んでツアーに出るというストーリー。
それを世話するメジャーレーベルの契約社員のかんな(宮崎あおい)。

それに、かんなの恋愛やアキオとハルオの兄弟間の葛藤などを織り込んで、ロードムービーは進んで行きます。

宮藤官九郎の監督第2弾、前回の「真夜中の弥次さん喜多さん」よりはずっとまとまっているし、楽しい作品だと思いました。

シャッター・アイランド

2010-04-21 10:55:19 | 映画ー劇場鑑賞
ーシャッターアイランドーSHUTTER ISLAND
2009年 アメリカ
マーティン・スコセッシ監督 レオナルド・ディカプリオ(テディ・ダニエルズ)マーク・ラファロ(チャック・オール)ベン・キングズレー(ジョン・コーリー医師)ミシェル・ウィリアムズ(ドロレス・シャナル)エミリー・モーティマー(レイチェル・ソランド)マックス・フォン・シドー(ジェレマイアー・ネーリング医師)パトリシア・クラークソン(真実を知る謎の女)ジャッキー・アール・ヘイリー(ジョージ・ノイス)イライアス・コティーズ(アンドルー・レディス)

【解説】
『ディパーテッド』のマーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオが再びタッグを組んだ、不可解な事件が起きた孤島を舞台に、謎解きを展開する本格ミステリー大作。原作は『ミスティック・リバー』の著者、デニス・ルヘインの同名小説。主演のディカプリオが島を捜査する連邦保安官を演じ、『帰らない日々』のマーク・ラファロ、『ガンジー』のベン・キングズレーが共演。次々に浮かび上がる謎や、不気味な世界観から目が離せない。

【あらすじ】
精神を病んだ犯罪者の収容施設がある孤島、シャッター アイランド。厳重に管理された施設から、一人の女性患者が謎のメッセージを残して姿を消す。孤島で起きた不可解な失踪(しっそう)事件の担当になった連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)は、この孤島の怪しさに気付き始める……。(シネマトゥデイ)

【感想】
予告編で、「謎解き」がテーマのような印象を与えていますが、実際に鑑賞してみると、本題は謎解きではありませんでした。
人間の精神の複雑さがテーマだと思いました。

「超吹き替え」も目玉みたいだけど、本当にレオナルド・ディカプリオがいい演技をしているので、字幕で見て欲しいと思います。

シャッター・アイランドと呼ばれる精神病から重大犯罪を犯した人の収容施設の、レイチェル・ソランドという患者が失踪したという事件に、連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)が担当となり、フェリーで島に渡るところから物語は始まります。
同じ任務に就いたチャック・オール(マーク・ラファロ)も乗船していました。

シャッター・アイランドは、断崖絶壁の孤島で、船着き場は1箇所しかなく、南北戦争当時の要塞もあり、そこが重症患者の収容施設になっていました。
島に上陸するとおびただしい数の警察官がいて、副所長が、病院医長のコーリー(ベン・キングズレー)の部屋まで案内してくれました。

ここからのストーリーは全部がネタバレになっちゃうので書きません。

でも、テディには本当に悲しい人生があったのです。
謎解きを考えるより、テディの悲しい人生を思いながらこの映画を見ると、とても感動的なラストとなることでしょう。

私も謳い文句に乗せられて、「何が謎を解くヒントなのか」と思ってみてしまいましたから、テディの悲しみに思いが至らないまま終わってしまいました。

これは、もう一回見に行きたいなあ。
テディの辛い人生にどっぷりとつかって。


テディ(レオナルド・ディカプリオ)

ぐるりのこと。

2010-04-21 10:40:36 | 映画ーDVD
ーぐるりのこと。ー
2008年 日本
監督=橋口亮輔 キャスト=木村多江(佐藤翔子)リリー・フランキー(佐藤カナオ)倍賞美津子(吉田波子)寺島進(吉田勝利)安藤玉恵(吉田雅子)八嶋智人(諸井康文)寺田農(吉田栄一)柄本明(安田邦正)木村祐一(夏目先輩)斎藤洋介(橋本浩二)温水洋一(和久井寛人)峯村リエ(生方圭子)山中崇(小久保健二)加瀬亮(田中ツヨシ)光石研(幼女誘拐殺人事件の弁護士)田辺誠一(売春事件の裁判長)横山めぐみ(資産家の母親)片岡礼子(小山悦子)新井浩文(大間真治)

【解説】
前作『ハッシュ!』が国内外で絶賛された橋口亮輔監督が、6年ぶりにオリジナル脚本に挑んだ人間ドラマ。1990年代から今世紀初頭に起きたさまざまな社会的事件を背景に、困難に直面しながらも一緒に乗り越えてゆく夫婦の10年に渡る軌跡を描く。主演は『怪談』の木村多江と、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の原作者リリー・フランキー。決して離れることのない彼らのきずなを通して紡がれる希望と再生の物語が、温かな感動を誘う。

【あらすじ】
1993年、何事にもきちょうめんな妻の翔子(木村多江)と法廷画家の夫カナオ(リリー・フランキー)は、子どもを授かった幸せをかみしめていた。どこにでもいるような幸せな夫婦だったが、あるとき子どもを亡くしてしまい、その悲しみから翔子は心を病んでしまう。そんな翔子をカナオは温かく支え続け、2人の生活は少しずつ平穏を取り戻してゆく。

【感想】
この作品、よかったです。
夫婦の何気ない会話が、とてもリアルで共感できました。
この自然さって、日本映画には少ないと思います。

翔子(木村多江)とカナオ(リリー・フランキー)の30歳から40歳までの夫婦の話です。

二人は美大の同級生。
祥子は出版社で働き、カナオは靴屋でアルバイトをしていた。
そんなある日、カナオは先輩の紹介で法廷画家という職業を得た。
なれない職場に戸惑いながらも、マイペースで仕事に打ち込んでいき、個性的な職場の人たちにも受け入れてもらえるようになります。
彼にあった職場が見つかったという感じです。

祥子は、几帳面な性格で、出版社でバリバリと働いていた。
二人は同棲していたのですが、妊娠して結婚、出産。
でも、不幸なことに子供は死んでしまった。

それまで、明るかった祥子は、落ち込みが激しく、とうとう鬱症状となり、仕事もできなくなってしまった。
夫婦の会話も減り、祥子はますます自分の殻に閉じこもってしまう。

カナオの仕事が法廷画家ということで、地下鉄サリン事件や幼女連続誘拐殺人事件、付属池田小学校事件などの法廷場面が、時代背景として示され、豪華脇役陣も楽しめました。

私もこの時代を生きて来たわけですが、思いだすのも辛い事件ばかりです。
そして、凶悪犯罪に対して鈍感になってしまった10年間でもありましたね。

壊れた人間の起こした事件を思いだすたび痛ましいのですが、それに呼応するように、体と心のバランスを崩して、感情的になっていく木村多江さんの演技が素晴らしいです。
2008年の日本アカデミー賞主演女優賞ほか、たくさんの賞を受賞しています。

でも、妻がどんな状態になっても、カナオは自然体で寄り添います。
元気だった頃、祥子はカナオが頼りない感じで、命令ばかりしていましたが、落ち込んだときには、こういう夫がいいなあ。
何も言わずに、ただそばにいてくれる。
ストレスの多い現代の夫婦として、大切なことかなあ、と思いました。

祥子は徐々に健康を取り戻し、カナオとの絆も深めて幸せになっていくようなエンディングでした。

子供も大切だけど、最終的には夫婦が大事だと思う、今日この頃です。
祥子とカナオのように、ひなたぼっこをしながら笑っていたいなあ。



アリス・イン・ワンダーランド

2010-04-19 11:22:56 | 映画ー劇場鑑賞
ーアリス・イン・ワンダーランドーALICE IN WONDERLAND
2010年 アメリカ

ティム・バートン監督 ミア・ワシコウスカ(アリス)ジョニー・デップ(マッドハッター)ヘレナ・ボナム=カーター(赤の女王)アン・ハサウェイ(白の女王)クリスピン・グローヴァー(ハートのジャック)マット・ルーカス(トウィードルダム/トウィードルディー)アラン・リックマン(芋虫のアブソレム)マイケル・シーン(白うさぎ)スティーヴン・フライ(チェシャ猫)ティモシー・スポール(ベイヤード)ポール・ホワイトハウス(三月うさぎ)バーバラ・ウィンザー(ヤマネ)マイケル・ガフ クリストファー・リー(ジャバウォッキー)

【解説】
児童小説家ルイス・キャロルが1865年に発表した「不思議の国のアリス」と、その続編「鏡の国のアリス」のヒロインであるアリスの新たな冒険を、ティム・バートン監督がイマジネーションあふれる世界観で描くファンタジー。アリスを演じるのはオーストリア出身の新進女優ミア・ワシコウスカ。ストーリーの鍵を握る重要なキャラクターである帽子屋を、バートン監督と7度目のコンビとなるジョニー・デップ。そのほかにヘレナ・ボナム=カーターやアン・ハサウェイら豪華キャストの出演も話題となっている。

【あらすじ】
白ウサギと遭遇したことによって不思議の国へと迷い込んだアリス。そこは、美しくもグロテスクなファンタジーワールドで、トゥィードルダムとトゥィードルディーや、赤の女王とその妹で慈悲深い白い女王たちに出会う。
(シネマトゥデイ)

【感想】
あまりにも有名なルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」を下敷きに、19歳になったアリスが、再びワンダーランドを訪れると言うお話です。

ルイス・キャロルの脈絡のないおとぎの世界が、ティム・バートンによってどう表現されるのか、とても興味深いものがあります。
また、ティムの盟友、ジョニー・デップが、マッドハッター役で、アリスの導き役をするというのも、わくわくしました。

初日は、どの映画館も満員で、グッズも売り切れ続出ーと聞いて、私はとりあえず2D鑑賞をすることにしました。

☆ネタバレ
19歳のアリス(ミア・ワシコウスカ)は、理解者であった父を亡くし、父の会社を買い取ってくれた父の友人である実業家のパーティに母と出席しました。
そこでは、その実業家の息子の求婚を受け入れる、という儀式が待っていました。

そこに、時計を持ったウサギ(マイケル・シーン)が現れ、あの日と同じようにアリスはワンダーランドへ落ちていきました。
求婚者やそれを見守るお客さんを残して。

あの日と同じと言っても、アリスには悪夢の中の出来事にしか過ぎなかったし、ほとんどのことを忘れていました。
そして、そこはワンダーランドではなく、リアルなアンダーランドだったのです。



ティムの描くダークなアンダーランドは素敵です。
背景もキャラクターたちも詳細に描き込まれて、魅力的です。
衣装もとても素敵。
マッドハッターの帽子は質感といい、形といい、映画の象徴のように素敵でした。

アリスが6歳のときに来た時とは違って、前女王が亡き後、赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)と白の女王(アン・ハサウェイ)が対立して、今は赤の女王が恐怖で治める国となっていました。

予言の書によれば、勇士が来て赤の女王の操るジャバウォッキー(クリストファー・リー)を倒すというのです。
その勇士こそ、アリスと、アンダーランドの生き物たちは信じていました。

そこに現れたアリス。
これは本物?
とみんなが思います。
賢者の芋虫(アラン・リックマン)は「ほとんどアリスではない」と言いますが、マッドハッターは本物のアリスと信じて、白の女王の元に導こうとします。

アリスの成長物語+アンダーランドでの戦いというのが内容です。

3Dで見なくても、アンターグラウンドは十分に素敵ですし、キャラクターも個性的で面白いです。
赤の女王はすごく頭が大きくて、それがコンプレックスとなり、妹で誰にでも愛される白の女王への嫉妬が、幼児性の残虐さを助長させているという人物です。
それに媚びへつらっているハートのジャック(クリスピン・グローヴァー)も大悪人で面白いキャラです。

マッド・ハッターは右目と左目の瞳孔の大きさが違って、喜怒哀楽が激しいけれど、全面的にアリスの理解者です。
最後に踊るくねくねダンスは、面白い。
ジョニーが自分で踊っているのかしら?

チェシャ猫(スティーヴン・フライ)は進出奇抜で、いい表情をしています。
あと、双子やヤマネや犬や怪物なども、人間的情感に溢れていて、みんなとても素敵でした。

残酷シーンもほどよく入って、大人向きです。

と、とても凝っている映画なんですが…
ここから辛口になります。

とにかく、ストーリーがあまりに単純だと思いました。
19歳のアリスが、求婚者をほったらかして、ウサギの後を追う、という幼児性が、アンダーランドの中でも「夢から覚めたら…」と現実逃避ばかりしている幼さとして表現されています。
マッドハッターが「前はもっと強かったのに」と言いますが、確かに、6歳のアリスは、好奇心に溢れた、とても勇敢で強い子供でした。

赤の女王の残虐性は、親からも愛されないその容姿にあるのに、結局は、追放されてしまいます。
アリスの活躍で、白の女王の勝利となるのですが、この白の女王は、自分で難局に立ち向かうことのない女王で、「私は殺生はしない」と平気で言っています。
これって、アリスに嫌なことを押し付けて、責任逃れなんじゃないの?と、白の女王を信じる気持ちにもなれませんでした。
そう言わせるには、それだけのいろいろ理由はあるんですが、でもねー。
白の女王、アン・ハサウェイの大きな口をさらに誇張して、しかもぶりっ子であんまり好きにはなれませんでした。
まだ、赤の女王の方が、ハートのおチョボ口など、かわいげがありました。

とにかく、アリスは冒険をやり遂げて地上世界に戻り、求婚を断って、実業家の助手となり、船に乗って貿易の旅に出るというエンディングです。

これが現代の夢?

私は、この結末に、はたと戸惑ってしまう。
今私たちの見たい夢は、お金持ちになることではないと思うんだけどなあ。
ティムよ、お前もか?と言いたくなりました。
いままで、マイノリティばかりを描いて来て、マイノリティの寂しさや優しさに心を寄せて来たはずのティムが、あわれな赤の女王や求婚者を切り捨てて、実業の世界にというエンディング、これでいいのかあ?

キャラクターや世界観が相変わらず素敵だっただけに、この結末には正直言って、がっかりしました。

でも、3Dでもう一度見るつもりです!!


美しき諍い女

2010-04-16 17:11:51 | 映画ーDVD
ー美しき諍い女(うつくしきいさかいめ)ーTHE BEAUTIFUL TROUBLEMAKER/LA BELLE NOISEUSE
ジャック・リヴェット監督 ミシェル・ピッコリ ジェーン・バーキン エマニュエル・ベアール マリアンヌ・ドニクール

【解説】バルザックの『知られざる傑作』を原作に撮った、ジャック・リヴェット監督作品。孤高の画家フレンホーフェルは、自らの最高傑作“美しき諍い女”を描こうと妻をモデルにするが完成直前に破棄してしまう。そして10年後。彼の前に、若いモデル、マリアが現れた事から彼は再び“美しき諍い女”の仕上げにとりかかるが……。(allcinema ONLINE)

【感想】
「美しき諍い女」という邦題は素晴らしい。
日本語は詩情があります。
英語ではザ・ビューティフル・トラブルメーカーですもの。
無修正版4時間の作品を鑑賞しました。

若い画家のニコラ(ダヴィッド・バースタイン)は、ガールフレンドのマリアンヌ(エマニュエル・ベアール)知り合いの画商ポルビュスに頼んで、尊敬する画家のフレンホーフェル(ミシェル・ピコリ)の屋敷を訪ねた。
美しいプロヴァンスの古城。

屋敷では、フレンホーフェルとその妻リズ(ジェーン・バーキン)が心よく出迎えてくれた。
夜遅くなって、ポルピュスが、かつてフレンホーフェルがリズをモデルに描こうとして挫折した「美しい諍い女」を、マリアンヌをモデルに描いてみないかと持ちかけた。
できたら、どんな作品でも市場価格で買い取るという。

ニコラとフレンホーフェルが乗り気になり、マリアンヌも、その夜は承諾しなかったが、朝になると、画家の屋敷に出向いていった。

ここから、この作品はほとんどがアトリエでの描写になります。
老画家と裸で向き合うマリアンヌの、濃密な4日間。
デッサンから始まり、クロッキーなど、私のような絵画に何の知識もない人間には、はっきり言って苦痛な時間が過ぎていきます。
その間に、マリアンヌは解体され、内面をさらすと言う過酷な作業をさせられます。
エマニュエル・ベアールのヌードが素晴らしい。
この肉体こそが芸術品だなあ、とうっとりします。

真剣に芸術に向き合う姿が、鬼気迫ります。
二人とも、自我をむき出し、傷つけ合い、ある時は共感し、芸術作品が苦しみながら産まれていく様子を、観客は冷静に観察することになります。

☆ネタバレ
マリアンヌにも苦しい時間ですが、やがてマリアンヌは高揚していきます。
反対にリズは、自分で挫折した絵の書き直しと知って、傷つき、夫にも失望を感じます。
夫が挫折したとき、リズもまたすごく傷ついていたからです。

このへんのジェーン・バーキンは鬼気迫った感じで素晴らしい。

ニコラもまた、嫉妬に悩まされていきます。
弱さを露呈して、妹に頼る有様です。

さて、「美しき諍い女」が出来上がりました。
マリアンヌは一目見るなり、顔色を変えてアトリエを飛び出していきました。
怒りを抑えることができない様子です。
そして、ニコラの妹に「自分の冷淡さを見た」と打ち明け、落ち込みます。

リズは椅子を持って来てじっくりと見て、「やっぱりね」という感じです。
なぜか、絵の裏に印を入れました。
夫の意図を汲んだような感じでした。

画家の家で働く若いメイドは、この絵を見て「美しい人」と感嘆しました。

そして、この絵は画家の手によって、アトリエの壁に塗り込められてしまいました。
ちらりと見えたのはバックが赤ということだけでした。

そのあと、画家は画商に渡すための作品を仕上げました。
結局、観客は「美しき諍い女」を見ることはできません。
ここまで付き合わせて「うっそー!!」と思いましたが、これが正解かもしれません。

マリアンヌの人生観を根底から変えてしまった作品。
画家を生き返らせた作品。
リズを落ち着かせた作品。
いつか、世に出ることもあるのでしょうか?

いつも見るばかりの絵画を、書き手の側から体験したような気分になりました。

第9地区

2010-04-13 10:49:49 | 映画ー劇場鑑賞
ー第9地区ーDISTRICT 9
ニール・ブロンカンプ監督 シャールト・コプリー(ヴィカス)デヴィッド・ジェームズ[俳優](クーバス大佐)ジェイソン・コープ(クリストファー・ジョンソン)ヴァネッサ・ハイウッド(タニア)

【解説】
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソンが製作を担当し、アメリカでスマッシュヒットを記録したSFムービー。突然地球に難民として降り立った正体不明の“彼ら”と共に暮らすことになる人間の困惑と、マイノリティーとして生きる“彼ら”とのドラマをしっかりと見せる。本作で監督と脚本を担当し、デビューを飾ったのは新人のニール・ブロンカンプ。俳優たちも無名ながらも迫真の演技を披露する。そのオリジナリティーあふれる物語と、摩訶(まか)不思議な“彼ら”の造形に目を奪われる。

【あらすじ】
ある日、ほかの惑星から正体不明の難民を乗せた謎の宇宙船が、突如南アフリカ上空に姿を現す。攻撃もしてこない彼らと人間は、共同生活をすることになる。彼らが最初に出現してから28年後、共同居住地区である第9区のスラム化により、超国家機関MNUは難民の強制収容所移住計画を立てるのだが……。

【感想】
結婚する前、夫とデートの時、映画を見ようということになって、二人の意見が折り合わず、別々に映画館へ入って、後でふたたび落ち合ったことがありました。
その時の映画が、私は「ああ、野麦峠」、夫は「エイリアン」の1作目でした。

私が感動の涙で映画館を出ると、夫は「気持ち悪るー」と言って出て来て、私の感動は吹っ飛んでしまいました。

この映画を見終わって、その時のことを思い出しました。
「昔だったら見てないわ」
案の定、夫は大喜び。
なんとか最後まで見たということは、私が成長したと言うこと?

無名の監督、俳優で、低予算。
アカデミー賞の作品賞にノミネートされただけあって、見所はたくさんありました。
宇宙船が不時着(?)した場所が、南アフリカのヨハネスブルグというのも、アパルトヘイトや人種差別やスラムを思い出させて秀逸です。
ニュースドキュメンタリー風に状況を観客に示すと言う手法も成功しているし、主人公が国連をもじったようなMNUという組織のちょっと空気の読めなさそうな職員ヴィカス(シャールト・コプリー)というのも大成功。
彼が、MNU幹部の上司の娘を嫁にしているという設定も面白かった。
この妻がすごくきれい。
ヴィカスが妻の元に帰りたがる気持ちがすごくわかりました。

もう一方の「エビ」と呼ばれているエイリアンの難民たち。
宇宙船が現れた時は、人間たちは厳戒態勢で宇宙船の中に入っていくんだけど、入ってみたら、弱ったエイリアンたちがたくさんいて、結局保護することになったのです。
その難民収容地区が「第9地区」というわけです。

☆ネタバレ
それから20年。
エイリアンたちは増え続けるが、いっこうに立ち去る気配がない。
どうやら、技術者たちは死んでしまっていて、残っているのは無知で粗暴な下っ端ばかりのようです。

スラムの真ん中に、さらにひどいスラムができてしまって、治安の悪さから、とうとうエイリアンたちを第10区に移動させることになりました。
その責任者にヴィカスが選ばれ、みごと昇進と言うわけです。

でも、初日から大変なことが起きました。
ヴィカスが見つけた液体が彼の顔にかかってしまい、ヴィカスの体に異変が起きたのです。
MNUはすぐにヴィカスを調べて、ヴィカスのDNAがエイリアンと同化しつつあることを確認しました。

ここから、私がヒンケツがおきそうになった実験室のシーン。
怖かったー。
ヴィカスの恐怖がもろに伝わって来ました。
「もう耐えられない!」と思ったところで、ヴィカスが脱出に成功。
ここからは、わりと気楽に楽しんでみることができました。
ほんと、ほっとしました。

ヴィカスは逃げ場がなく、第9地区に潜り込みます。
そして、エイリアンのクリストファーとその子供に出会います。
クリストファーは科学者で、人間の目を盗んで、20年かけて母船に戻る司令船を修理していました。
ヴィカスのかかった液体は、司令船も動かせる起動物質のようでした。
これがエイリアンの科学なのでしょうね。
それがあれば、ヴィカスの体も元通りにすると約束してくれました。

二人はMNU内部へ液体を取りにいくのです。

ヴィカス対人間。
ヴィカスも含めて人間描き方がえげつないです。
人間が嫌いになるわ。

唯一の救いがエイリアンのクリストファーなんて、私はちょっと嫌でした。
嫌だけど、このクリストファーはすごくいいやつで、子供思いだし、義理堅いし、ヴィカスのようないいかげんな人間にも友情を示してくれるのです。

この監督って、よほど人間嫌いなんじゃないかなあ?
ヴィカスを最後まで追いつめるクーバス大佐なんて、最悪でした。

レビューを読んだら、評判いいんです。
私は、まず汚さとグロさの見た目がダメでした。

クリストファーがかわいく見える?
あかん、見えません。

監督は南アフリカ出身のニール・ブロンカンプ。
公式サイトで見るとなかなかかわいいお顔です。

製作は「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン。
ブロンカンプ監督は、ジャクソン監督が見いだした新人監督だそうです。
ジャクソン監督は、スプラッター・ホラーがデビュー作なので、こういう作品を手がけるのは楽しかっただろうし、この映画の成功にも「我が意を得たり」と、喜んでいるでしょうね。



映画を見終わってトイレに言ったら、「エイリアンお断り」のステッカーが貼ってあって、うんざりしました。
ほんとに、怖かったんだもの。

2010-04-12 10:42:17 | 映画ーDVD
ー道ーLA STRADA
1954年 イタリア
フェデリコ・フェリーニ監督 アンソニー・クイン ジュリエッタ・マシーナ

【解説】
大力自慢の大道芸人ザンパノが、白痴の女ジェルソミーナを奴隷として買った。男の粗暴な振る舞いにも逆らわず、彼女は一緒に旅回りを続ける。やがて、彼女を捨てたザンパノは、ある町で彼女の口ずさんでいた歌を耳にする……。野卑な男が、僅かに残っていた人間性を蘇らせるまでを描いたフェリーニの作品。(allcinema ONLINE)

【感想】
高橋大輔選手が、オリンピックや世界選手権でこの映画の主題歌「ジェルソミーナ」で演技をして、世界中の人々に感動を与えました。
ニーノ・ロータの名曲。

そして、始めて見たのですが、映画も素晴らしかった。
1954年の作品ですが、今もまったく古びてはいませんでした。

allcinema ONLINEの解説には「白痴の女」とあり、DVDの特典にも付いている淀川長治さんの解説もそう言っているのですが、私には、ジェルソミーナが白痴には見えませんでした。

解説の言葉はきついので、私なりに説明したいと思います。

ジェルソミーナは海辺のあばら屋で暮らす貧しい子だくさんの家の長女です。
ザンパノという旅芸人の手伝いをしていた、ジェルソミーナの妹ローザが死んだので、代わりの娘を買いに来たと言うわけです。

お母さんは、ローザの死んだことはとても悲しいけれど、ジェルソミーナと引き換えのお金が欲しい気持ちに引き裂かれて、泣きわめいています。
ジェルソミーナの代わりのお金と言っても、1万リラ、今の価値では5千円ほどらしいです。
お母さんは、これで屋根の修理と子供たちの食費にしたいようでした。

ジェルソミーナも家の事情を知っているので、ザンパノについていく決心をします。
海をみつめて、大きな瞳に涙をいっぱい貯めて、一生懸命決心するジェルソミーナ。

オート三輪トラックに乗って、ザンパノとジェルソミーナの旅が始まりました。
ザンパノは無教養で粗暴な男です。
胸の筋肉で、鎖に繋いだ鉤を壊すという芸でした。
ジェルソミーナは芸もなく、料理もできない。
夜は愛もなく抱かれるという生活。

それでもジェルソミーナはザンパノに精一杯尽くします。
寸劇の相手をしたり、帽子を持ってお金を集めたり、懸命です。
でも、ザンパノは酒場で出会った女と、ジェルソミーナを置き去りにしてしまいます。
長い夜を町の隅っこで過ごすみじめなジェルソミーナ。
とうとうザンパノから逃げ出しますが、見つかって、力づくで戻されてしまいました。
ジェルソミーナには逃げ帰る場所もないのです。

ザンパノはサーカスに雇われました。
そこで綱渡り芸人と出会いました。
「狂人」の異名を取るこの人は、ピエロの化粧をして、涙を一粒頬に描いていて、天使の羽を付けています。
いたずらばかりしていますが、ジェルソミーナにはやさしく、トランペットを教えてくれました。

この芸人は、いつもザンパノをからかうので、ザンパノは怒り、ナイフを持って追いかけ、とうとう結局警察沙汰になってしまいました。

先に釈放された芸人はジェルソミーナに「なぜ、ザンパノと別れて、サーカス一座と一緒に行かないのか?」と問いかけます。
「私は役立たずだもの」と泣くジェルソミーナ。
芸人は「この世に役に立たないものなどない。この小石だって、ぼくにはわからないけど、役に立っているんだよ」と諭します。

警察から出て来たザンパノを迎えたジェルソミーナですが、ザンパノはまだ怒りに自分を抑えることができないでいました。

途中で綱渡り芸人に会い、とうとう彼を殴り殺してしまいます。

そのショックで精神的にも肉体的にも弱っていくジェルソミーナ。
ザンパノは役に立たなくなったジェルソミーナを置き去りにしてしまいました。

何年かたって、サーカスの一員となったザンパノの耳に、ジェルソミーナがいつもトランペットで吹いていたメロディーが聞こえて来ました。
ザンパノが歌っている女の人に聞くと、その人のお父さんが助けた女の乞食が歌っていたと言うことでした。
そして、その女は死んでしまったと聞かされました。

ザンパノはようやくジェルソミーナが自分に取とってどんなに大切な存在だったかと思い知り、夜の海で悔恨の涙にくれるのでした。

貧しいけど、無垢な魂を持ったジェルソミーナがとても哀れでした。
なんのために彼女は産まれ、辛い思いをしたのかと、涙が出ます。
でも、彼女の美しい心が、ザンパノの魂を救ったのですね。

このジェルソミーナを演じたジュリエッタ・マシーナは、フェリーニの奥さんですが、素晴らしい演技力のある女優だと思いました。

ザンパノを演じたアンソニー・クインも、個性の強い俳優さんでした。

監督始め、主演の二人もなくなっていますが、時代を経ても色あせない作品って、すごいなあと思いました。
心が弱ったときに、繰り返しみたい映画だと思いました。