マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

縞模様のパジャマの少年

2011-11-29 17:59:55 | 映画ーDVD

ー縞模様のパジャマの少年ーTHE BOY IN THE STRIPED PYJAMAS

2008年 イギリス/アメリカ

マーク・ハーマン脚本・監督 ジョン・ボイン原作 エイサ・バターフィールド(ブルーノ)ジャック・スキャンロン(シュムエル)アンバー・ビーティー(グレーテル)デヴィッド・シューリス(父)ヴェラ・ファーミガ(母)リチャード・ジョンソン(祖父)シーラ・ハンコック(祖母)ルパート・フレンド(コトラー中尉)デヴィッド・ヘイマン(パヴェル)

 

【解説】

ナチス将校を父親に持つドイツ人少年と強制収容所内のユダヤ人少年との友情と哀しい運命を描いた心揺さぶる人間ドラマ。ジョン・ボイン原作の世界的ベストセラーを、『ブラス!』『リトル・ヴォイス』のマーク・ハーマン監督が映画化。主人公となる二人の少年をオーディションで選ばれたエイサ・バターフィールドとジャック・スキャンロンが演じ、デヴィッド・シューリスやヴェラ・ファーミガといった実力派が脇を固める。人種など問わない純粋な友情と、戦争がもたらす子どもたちの宿命に胸が痛む。

 

【あらすじ】

第二次世界大戦下、8歳の少年ブルーノ(エイサ・バターフィールド)は、ナチス将校の父(デヴィッド・シューリス)の栄転でベルリン郊外に引っ越すことになる。裏庭の森の奥、鉄条網で覆われた場所を訪れたブルーノが出会ったのは、縞模様のパジャマを着た少年シュムエル(ジャック・スキャンロン)だった。二人は友情を育むが、ある日ブルーノはシュムエルを裏切ってしまい……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品、「ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ」でしっかりものの長男を演じていたエイサ・バターフィールドを調べていたら出てきた作品で、レビューの評判もいいし、と思って借りました。

 

見始めて、「戦争ものだ。しまったかなあ」と思い始めましたが、ドイツ将校の家庭のお話だし、子供が主人公だし、「きっと、大丈夫」と思って見ていました。

 

8歳の少年ブルーノ(エイサ・バターフィールド)はベルリンで暮らしていました。

ある日、家に帰るとパーティの用意をしていました。

父(デヴィッド・シューリス)と母(ヴェラ・ファーミガ)から、父の転勤でベルリン郊外へ引っ越すことが告げられました。

姉のグレーテル(アンバー・ビーティー)は納得しましたが、ブルーノは友達と別れるのが嫌でした。

 

転勤先はベルリンの郊外。

兵隊さんが警備して物々しい感じです。

ブルーノの部屋から農場が見えて、そこにいる大人も子供も縞模様のパジャマを着ていました。

 

台所にはズボンの裾から縞模様のパジャマをのぞかせている老人がいて、下働きをしていました。

 

学校へは行けず、厳格な家庭教師に勉強を教えてもらうことになりましたが、ブルーノの大好きな冒険や短剣の本は禁止され、ドイツの歴史ばかりを学びました。

 

ブルーノは友達も無く退屈でした。

 

庭で怪我をしたとき、下働きの老人が手当をしてくれて、自分は医者だと言いました。

「よっぽどへまな医者だったんだね。ジャガイモの皮を剥いているもの」

 

退屈でたまらず、母が出かけた隙に、禁じられた裏庭を抜けて、森を抜けて農場へ着きました。

家畜もいないのに有刺鉄線が張り巡らせてありました。

 

一人の少年がぽつんと座っていました。

「なぜお昼なのにパジャマを着ているの?」

「パジャマじゃないよ」

「胸に書いてある数字はなんのゲームなの?」

「ゲームじゃないよ」

「じゃあ、何?」

「わかんない」

「あの煙は何?」

「知らない。あっちに行ったらダメなんだ」

この少年はシュムールと言いました。

ブルーノと同じ8歳でした。

「ヘンな名前。今まで聞いたことないよ」

「ぼくだってブルーノなんて初めて聞いたよ」

二人は友達になりました。

 

☆ネタバレ

家庭教師の先生は、ユダヤ人のせいで第1次世界大戦に負けた、ユダヤ人は全員悪者だと言いました。

「いい人はいないの?」

ブルーノはシュムールを思って、その言葉を信じることができません。

 

グレーテルは、運転手のコトラー中尉(ルパート・フレンド)に淡い恋心を抱いていたので、すっかり軍国少女になっていました。

 

でも、ブルーノは、出発前のおばあさんの不機嫌な様子や、ここにきてからの母の神経質になっていく様子、父の怖い感じなど、大人の変化を感じていました。

 

ある日、シュムールが家にきてガラス食器を磨いていました。

ブルーノがお菓子をあげました。

そこへ、コトラー中尉がやってきて、厳しく詰問しました。

「この子が勝手に食べた」ブルーノは思わず嘘を言いました。

 

農場に通いましたが、シュムールは現れませんでした。

ようやく会えたとき、シュムールの顔は腫れ上がっていました。

ブルーノは謝り、シュムールは許し、二人は有刺鉄線を避けて握手をしました。

 

ブルーノの家に軍の人たちが集まり、収容所を紹介するフィルムを見ていました。

それを盗み見したブルーノは、思ったより楽しそうな場所なので、父もいい人なんだとうれしくなって父に抱きつきました。

 

二人は誰にも内緒で二人だけの時間を楽しんでいました。

これしか楽しみがない二人でした。

 

ベルリンでは空爆でおばあさんが亡くなりました。

 

母は、どんどん具合が悪くなっていく様子でした。

とうとう両親は、母と子供たちをここから遠いところへ引っ越しさせることにしました。

 

別れを惜しむブルーノとシュムール。

シュムールは父親が行方不明になったことを心配していました。

 

「戦争が終わったらベルリンで探してあげるよ」と言ったけど、シュムールはうなだれたまま。

ブルーノは土が柔らかくなっているところをみつけ、

「明日、出発前にここを掘って中に入ってお父さんを探すのを手伝うよ」

「同じ服なら取って来られるし、帽子をかぶればわからないよ」と喜ぶシュムール。

 

そして運命の日、ブルーノは納屋からシャベルを持ち出し収容所へ。

縞模様の服に着替えて、穴を掘って収容所の中に入っていきました。

 

「カフェはないの?」

フィルムで見たのとは全然違う様子に戸惑いましたが、友達のお父さんをみつけるのだという、強い意志がありました。

 

そのとき、鋭いホイッスルの音とともに兵隊がやってきて、小屋の中の大人たちと一緒に、行進の波に飲み込まれて、逃げ出すこともできずにシャワールームのような小屋の中へー!!

 

もうこれ以上は書けない。

ブルーノの不在に気づいた両親は、気が狂ったように探しまわりますが、父の「ブルーノ!!」という絶叫を聞いて、母は号泣しました。

 

「いままでの3倍の処理能力のある新しい焼却炉です」といいながら、平然と図面を見ていた父。

親の因果が子に報いーという悲劇なのでしょうか?

ひどい結末でした。

 

ブルーノの大きく見開いた無垢なブルーの瞳が、残像となって脳裏にこびりついています。

 

特典で語られていましたが、全員を殺してしまうという収容所のことは、収容所の所長の家族にも知らされていなかったようで、ここに描かれていた母のショックもリアルな感じでした。

プロパガンダフィルムを作ったり、家族には内緒にしたり、やはり良心は痛んだのでしょうね。

 

それにしても、何をどう間違うと、人間が人間に見えなくなるのでしょう。

人間に見えたら、さすがにこんな仕打ちはできないでしょう。

 

「ユダヤ人はみんな悪人なのか?」

ブルーノの疑問はまっとうです。

シュムールは友達。

自分の裏切りで傷つけても、許してくれた、大切な友達。

 

最後は二人が手を握ってー。

それだけが、救いでした。

 

制作者たちは「これは道徳の映画だ」と言っていました。

人間には、教育や洗脳や組織の論理によって、ホローコーストを実行してしまう弱さがあるということを、気づかせてもらえる作品でした。

子供とともに、この作品を見ることも大切かもしれません。

 

辛いけど。

ああ、辛い。

 


水曜日のエミリア

2011-11-28 11:39:12 | 映画ーDVD

 

ー水曜日のエミリアーLOVE AND OTHER IMPOSSIBLE PURSUITS/THE OTHER WOMAN

2009年 アメリカ

ドン・ルース監督  ナタリー・ポートマン(エミリア)スコット・コーエン(ジャック)チャーリー・ターハン(ウィリアム)ローレン・アンブローズ(ミンディ)リサ・クドロー(キャロリン)

 

【解説】

『ブラック・スワン』でアカデミー賞主演女優賞に輝いたナタリー・ポートマンが、不倫相手と略奪婚するものの、さまざまな困難に見舞われる女性を演じたヒューマンドラマ。監督は、『偶然の恋人』のドン・ルース。『きみがくれた未来』のチャーリー・ターハンが、夫の連れ子で、ナタリー演じるエミリアと微妙な関係を繰り広げる少年ウィリアムを演じる。愛と人生に迷うヒロインを等身大で演じたナタリーの熱演に注目だ。

 

【あらすじ】

ニューヨークで弁護士として働いていたエミリア(ナタリー・ポートマン)は、既婚者の上司ジャック(スコット・コーエン)と恋に落ち、ジャックの妻で医師のキャロリン(リサ・クドロー)から奪って結婚。しかし、生まれたばかりの娘が突然死してしまった上、一緒に暮らす夫の息子ウィリアム(チャーリー・ターハン)は心を開かず……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

引き続きナタリー・ポートマン主演映画ですが、これは2009年の作品です。

日本公開が遅かったのですね。

私も、劇場で見ることはできなかったので、DVD鑑賞となりました。

 

不倫の後の夫婦の物語です。

 

「水曜日のエミリア」という邦題は、エミリアが、義理の息子ウィリアム(チャーリー・ターハン)を学校まで迎えに行くのが水曜日ということから、このタイトルがつきました。

水曜日は、産婦人科医師をしているウィリアムの実母のキャロライン(リサ・クドロー)の従業員が休みなので、エミリアが迎えに行くのです。

 

ウィリアムは8歳。

まだまだ母親が恋しいときです。

エミリアにはなかなかなつきません。

エミリアは、キャロラインから禁じられているアイスクリームでつったりして、ウィリアムの関心を引こうとしますが、うまくいきません。

 

エミリアは弁護士で、勤めた弁護士事務所の上司ジャック(スコット・コーエン)と恋に落ちました。

「妻とはもう冷えきっている」という言葉は浮気の男の常套句ですけどね。

 

エミリアの妊娠を期にジャックはキャロラインと離婚、エミリアと結婚しました。

 

☆ネタバレ

エミリアが授かった命、イザベルは生後3日で死んでしまいました。

イザベルの死について、エミリアには秘密がありました。

ジャックには「ゆりかごで死んでいた」と告げたのですが、本当はエミリアが授乳中に眠ってしまって起こった事故でした。

 

エミリアは深い罪悪感を誰にも言うことができず、苦しんでいたのでした。

 

辛い真実をジャックに告げて、彼の元を去ってしまいます。

しかし、その真相がやはり乳幼児突然死症候群SIDSだということがキャロラインによって告げられて安堵します。

 

別れたジャックとエミリアを、結びつけそうなのがウィリアムの存在です。

父とエミリアが別れたら、両親が戻るのかと期待したのに、母は新しい夫を迎え、新しい兄弟ができそうです。

そこで、ウィリアムはその現実を受け入れ、エミリアと父の仲立ちも引き受ける覚悟のようでした。

子供の柔軟性って、素晴らしいですね。

 

エミリアの心の重荷も軽くなったようだし、この家族にもまた、希望が持てそうなエンディングでした。

 

夫婦仲が冷えきって、不倫、離婚、再婚って、ありそうなお話です。

一番の被害者は、子供です。

両親の間で揺れ動くけれども、ウィリアムのように乗り切っていく子供は素晴らしいと思いました。

ウィリアムの描いた家族の絵が、なにより物語っていました。

 

それにしても、エミリアとジャックの行動は、社会的に見てどうなんだろう、と思いました。

ジャックとキャロラインが離婚してから、結婚、妊娠ならよかったのになあ。

その心の重荷が、何かひとつ不幸があったときに、弱みとなってしまうのが嫌だなあと思いました。

 

世の中の浮気者たち、そこ順番を間違えないようにお願いしますよ。

 

 


抱きたいカンケイ

2011-11-28 11:30:38 | 映画ー劇場鑑賞

 

ー抱きたいカンケイーNO STRINGS ATTACHED

2011年 アメリカ

アイヴァン・ライトマン監督  ナタリー・ポートマン(エマ)アシュトン・カッチャー(アダム)ケイリー・エルウィズ(メツナー医師)ケヴィン・クライン(アルヴィン)

 

【解説】

『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンが主演、製作総指揮を務めたラブストーリー。自由なセックスフレンドの関係から始まる男女の恋の行方を描く。監督は『Gガール 破壊的な彼女』のアイヴァン・ライトマン。ヒロインとセックスのみの関係で結ばれる男友達を『ベガスの恋に勝つルール』のアシュトン・カッチャーが演じる。刺激的かつ予測不能なストーリーの行方に注目だ。

 

【あらすじ】

80時間も働いていて、恋をしている余裕もない医師のエマ(ナタリー・ポートマン)。ある日、その場の勢いで男友達のアダム(アシュトン・カッチャー)と一線を越えたエマは、その気になったアダムにセックスだけの関係を持ちかける。ハードな仕事の合間を縫い、抱きたいときだけアダムをメールで呼び出すエマだったが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

セックスしたいときだけに会うセックスフレンド。

こういうカンケイが成り立つのかどうか、興味津々でしたが、答えはこうなるのね?

 

エマ(ナタリー・ポートマン)とアダム(アシュトン・カッチャー)は、サマーキャンプで最初に出会い、大学生でも再会、社会人になってからも偶然出会い、そして、アダムが最悪に落ち込んだときに、再々会しました。

 

そして、二人のセックスの相性がいいことを発見。

抱き合って眠らない、嫉妬しない、デートもしない、などのルールを作って、二人はセックスを楽しんでいました。

 

アダムは男友達に「男の夢だ!!」と激励されます。

そりゃそうでしょうね。

 

果たしてこの関係はどうなっていくのでしょうか???

 

結論から言えば、失って知る人の大切さを二人は十分味わって、恋人同士となります。

セックスも大切だけど、人と人の心のつながりの方が一番大事というのがこの作品のテーマでした。

落としどころは平凡でしたが、意地っ張りのエマが女らしくなり、アダムとのキスシーンはステキでした。

 

アダムの父のアルヴィン(ケヴィン・クライン)が、元スターで、どうしようもない人間なんだけど、彼は彼なりの息子への愛情を示して憎まれない人柄でした。

 

ナタリー・ポートマンのラブコメ、初めて見た気がしましたが、なかなか面白かったです。

 

そして、今やラブコメの王子様となったアシュトン・カッチャー。

この作品でも、繊細なやんちゃ坊主みたいな感じでとてもよかったのですが、折しも飛び込んできたデミ・ムーアとの離婚話。

やっぱり、という思いと、残念だなあ、という思いが交錯します。

 

デミ・ムーアといえば、ブルー・ウィリスの元奥さん、3人の娘がいたのにブルースと離婚、16歳年下のアシュトンと2005年に結婚しました。

二人で仲良く来日していたのも記憶に新しいところです。

 

熟女の希望みたいな結婚だったのになあ。

人生は、映画のようにはうまくいかないということですね。

 


ラブ・アゲイン

2011-11-25 10:24:29 | 映画ー劇場鑑賞

ーラブ・アゲインーCRAZY, STUPID, LOVE.

2011年 アメリカ

グレン・フィカーラ 、ジョン・レクア監督 スティーヴ・カレル(キャル・ウィーバー)ライアン・ゴズリング(ジェイコブ・パーマー)ジュリアン・ムーア(エミリー・ウィーバー)エマ・ストーン(ハンナ)ジョン・キャロル・リンチ(バーニー)マリサ・トメイ(ケイト)ケヴィン・ベーコン(デイヴィッド)ジョナ・ボボ(ロビー・ウィーバー)アナリー・ティプトン(ジェシカ)ジョシュ・グローバン(リチャード)ライザ・ラピラ(リズ)ジョーイ・キング(モリー・ウィーバー)ベス・リトルフォード(クレア)

 

【解説】

幸せな人生を謳歌(おうか)してきた中年男が、愛妻から何の前触れもなく離婚の話をされたことから巻き起こる騒動を描くラブ・コメディー。監督は、『フィリップ、きみを愛してる!』のグレン・フィカーラとジョン・レクアが再びタッグを組み、脚本を『塔の上のラプンツェル』のダン・フォーゲルマンが手掛ける。『40歳の童貞男』などハリウッドきってのコメディー俳優スティーヴ・カレルを主演に、ライアン・ゴズリング、ジュリアン・ムーアらが共演。愛の本質を突いた、おかしくもほろ苦いストーリーが共感を誘う。

 

【あらすじ】

仕事も家庭も順調で文句なしの生活を過ごしてきた40代のキャル(スティーヴ・カレル)は、愛妻エミリー(ジュリアン・ムーア)が浮気をし、離婚したいと打ち明けられたことで人生が一変。さえない日々を一人で過ごしていた彼はある夜、バーで遊び人のジェイコブ(ライアン・ゴズリング)と知り合う。妻を忘れられないキャルに新たな人生を歩ませようと、ジェイコブは女性を紹介したり、ファッションの磨き方などさまざま助言を与えるが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

なんで妻のエミリー(ジュリアン・ムーア)が、ディビッド(ケヴィン・ベーコン)なんかと浮気したのかがわからないんだけど、とにかく、キャル(スティーヴ・カレル)には寝耳に水。

ショックで自宅を出てしまう。

 

キャルはその告白を聞いてからというもの、人が変わってしまった。

行きなれないバーへ夜ごと通って、誰がかまわず「妻がデイビッド・リンダーゲンと浮気した」とわめきながら飲んでいた。

 

それを聞いたバーの常連で遊び人のジェイコブ(ライアン・ゴズリング)は、おもしろ半分にキャルの改造を試みる。

その思惑は的中、キャルは見事な遊び人に変身した。

 

☆ネタバレ

ある夜、初めてキャルの一夜の火遊びのお相手となったのがケイト(マリサ・トメイ)。

二人は意気投合し、ケイトはキャルに「電話してね」と別れた。

 

でも、キャルは相変わらずエミリーが忘れられない。

息子のロビー(ジョナ・ボボ)の両親懇談で、久しぶりにエミリーと会い、いい雰囲気になるんだけど、ロビーの担任がなんと、ケイト。

二人の浮気や、他に9人の女性と浮気したことがばれ、エミリーとは修復不可能に。

 

一方、ジェイコブは一人の女性(エマ・ストーン)にバーから誘い出された。

かつてナンパして断られたハンナだった。

 

ハンナと夜を過ごすうちに、ジェイコブは素直な気持ちになり、いつか自分の生い立ちを打ち明け、安らかな眠りに落ちていった。

この夜から、遊び人ジェイコブはいなくなり、ハンナの恋人となった。

 

しかし、ハンナはエミリーとキャルの娘だったから、さあ大変!!

キャルはこの恋を認められません!!

 

この関係をさらに複雑にするのが、ロビーのベビーシッターへの片思い。

そして、そのベビーシッターが慕うキャルとの三角関係。

ベビーシッターの両親がキャルたち夫婦の親友というのも、問題を複雑にしていきます。

 

ロビーとベビーシッター

 

メインのストーリーでは、キャルとジェイコブの心の動きにしぼって、余計な説明を省いたところが成功ではないかな?

キャルの純粋な気持ちに、泣かされたり、笑わせられたり、面白かったです。

スティーブ・カレルの独壇場でした。

その魅力を引き出していくのが、ライアン・ゴスリング。

「ラースと、その彼女」では、痛々しいくらい純真な青年を演じていたのに、今回はビューティフルボディのプレーボーイ。

でも、心に傷を持っているというところが、ハンナならずとも、ぐっと来ました。

 

ジェイコブ(ライアン・ゴスリング)とハンナ(エマ・ストーン)

 

キャルとエミリーはともに44歳。

もう一度、あの日あの頃を思い出して、夫婦の関係を修復するのにちょうどいい年齢かもしれませんね。

夫婦で見るのに最適な映画ですよ。


コンテイジョン

2011-11-21 09:50:17 | 映画ー劇場鑑賞

ーコンテイジョンーCONTAGION

2011年 アメリカ

スティーヴン・ソダーバーグ監督  マリオン・コティヤール(ドクター・レオノーラ・オランテス)マット・デイモン(ミッチ・エムホフ)ローレンス・フィッシュバーン(エリス・チーヴァー博士)ジュード・ロウ(アラン・クラムウィディ)グウィネス・パルトロー(ベス・エムホフ)ケイト・ウィンスレット(ドクター・エリン・ミアーズ)ブライアン・クランストン(ライル・ハガティ海軍少将)ジェニファー・イーリー(ドクター・アリー・ヘクストール)サナ・レイサン(オーブリー・チーヴァー)

 

【解説】

『オーシャンズ』シリーズや『トラフィック』のスティーヴン・ソダーバーグ監督が、地球全体を恐怖に陥れるウィルスの恐怖を豪華俳優陣で描くサスペンス大作。接触によって感染する強力な新種のウイルスが世界各地に拡大していく中で、社会が混乱し人々が異常なパニック状態に陥っていく様子を映し出す。キャストには、マリオン・コティヤールやマット・デイモン、ケイト・ウィンスレットなど実力派スターが集結。ソダーバーグ監督だけに、一筋縄ではいかないパニック・ムービーに仕上がっている。

 

【あらすじ】

ミッチ(マット・デイモン)の妻・ベス(グウィネス・パルトロー)は、香港への出張後にシカゴで元恋人と密会していたが、せきと熱の症状が出始める。同じころ香港、ロンドン、東京で似たような症状で亡くなる人が続出。フリージャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)は、伝染病ではないかと考え始め……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

コンテイジョンCONTAGIONとは、接触伝染病という意味らしいです。

 

「アウトブレイク」みたいな映画かなあ、と思って見に行きましたが、パニック映画というより、ドキュメンタリー映画みたいでした。

 

DAY2から始まりますが、ラストに示されるDAY1は、この映画の謎解きのような構成になっています。

 

まず驚くのが豪華キャスト!

いきなりベス(グウィネス・パルトロー)が咳をしながら愛人と電話で話していました。

 

ベス(グウィネス・パルトロー)

 

出張で香港へ行った帰りに、シカゴの愛人とつかの間デートを楽しんでいたのです。

自宅へ戻ると夫ミッチ(マット・デイモン)と愛息子が出迎えます。

 

ミッチ(マット・デイモン)

 

そして、次の朝、ベスはキッチンで倒れます。

不気味なけいれん。

病院へ運ぶとすぐに息を引き取って、家では幼い息子も亡くなっていました。

 

東京でもウクライナでも香港でもシカゴでも、同じような症状で亡くなる人があり、病人の数は倍々ゲームのように増えていきました。

 

アメリカの疫病予防センター(CDC)のエリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)は、エリン・ミアーズ医師(ケイト・ウィンスレット)にベスの調査を命令します。

 

エリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)

 

エリン・ミアーズ医師(ケイト・ウィンスレット)

 

また、一方でアリー・ヘクストール(ジェニファー・イーリー)にはワクチンの開発を命じました。

 

スイスのWTOも動き始めました。

レオノーラ・オランテス医師(マリオン・コティヤール)が香港に派遣されました。

 

レオノーラ・オランテス医師(マリオン・コティヤール)

 

☆ネタバレ

CDCから依頼されたカリフォルニアの研究者が、コウモリとブタのウィルスが変異したものだと突き止めるが、ワクチン開発までほど遠い。

危機は世界規模に広がった。

パンデミックだ。

 

さらに、ネットではフリージャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)が、「ワクチンはあるのに隠している」と国家の陰謀だという風評を流し、レンギョウが効くというデマが飛び、町は大混乱となる。

薬局、商店、スーパーマーケットが襲われ、強盗、殺人まで起こってしまった。

 

アラン(ジュード・ロウ)

 

なぜかワクチンの抗体を持ち感染しないミッチは娘と家に閉じこもる。

エリン・ミアーズは感染して、人々と一緒に隔離施設に入れられた。

 

チーヴァー博士、エリン・ミアーズ医師、レオノーラ・オランテス医師の、それぞれ職務と個人の狭間でどいうい行動をとるのかというところも、見所の一つでした。

 

2003年のSARS騒動からインスパイアされたのでしょうか?

すごくリアルで深刻な作品でした。

 

いちばん最後に明かされる感染経路。

 

手洗い、うがいを励行しようと、固く心に誓って映画館を出ました。

 


ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ

2011-11-21 08:58:13 | 映画ーDVD

ーナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブターNANNY McPHEE RETURNS/NANNY McPHEE & THE BIG BANG

2010年 イギリス/フランス/アメリカ

スザンナ・ホワイト監督 エマ・トンプソン脚本  エマ・トンプソン(ナニー・マクフィー)マギー・ギレンホール(イザベル・グリーン)リス・エヴァンス(フィル)ビル・ベイリー(マクリーディー)マギー・スミス(ドカティー夫人)エイサ・バターフィールド(ノーマン)リル・ウッズ(メグシー)オスカー・スティア(ビンセント)ロージー・テイラー=リットソン(セリア)エロス・ヴラホス(シリル)

 

【解説】

不思議な魔法使い、ナニー・マクフィーが活躍するファンタジー・シリーズの第2作。戦時下のイギリスを舞台に、5人のわんぱくな子どもたちに助け合いと思いやりの気持ちをナニー・マクフィーが教える。ナニー・マクフィーを演じるオスカー女優エマ・トンプソンが、前作に続き脚本も担当。『クレイジー・ハート』のマギー・ギレンホールら、演技派スターたちが脇を固めている。ファンタジーならではの奇想天外なビジュアルと感動のラストに注目だ。

 

【あらすじ】

農場を切り盛りするママ(マギー・ギレンホール)を手伝いながら、戦争に行って音信不通のパパの帰りを心待ちにするグリーン家の子どもたち3人。そんな中、戦火のロンドンからいとこ2人がグリーン家にやって来る。田舎育ちと都会育ちの違いから反発し合う3人と2人だったが、そこへナニー・マクフィー(エマ・トンプソン)が現れ……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、公開中字幕版が少なかったし、期間も短かったのでDVD鑑賞となりました。

このシリーズ、好きなんだけどなあ。

 

原作はあるようですが、この作品はほとんどエマ・トンプソンのオリジナルストーリーだそうです。

エマはすごい才女ですね。

 

第二次世界大戦中のイギリスの農家グリーン家。

パパ(ユアン・マクレガー)が戦争に行ってしまって、ママ(マギー・ギレンホール)とノーマン(エイサ・バターフィールド)とメジャー(リル・ウッズ)ビンセント(オスカー・スティア)の3兄弟が、農場を守っていました。

 

ママはドカティー夫人(マギー・スミス)が経営する食料品店で働いているので、農場の仕事はほとんど子供たちがしていました。

 

扁平足で兵役を免れたパパの兄のフィルおじさん(リス・エヴァンス)は、博打で借金を作ってしまい、自分も半分の権利がある農場を売ろうとママに頼み込んでいましたが、パパの留守中にそんなことはできないと、ママはきっぱりと断りました。

 

そこへ、ロンドンから疎開していとこたちがやってきました。

シリル(エロス・ヴラホス)とセリア(ロージー・テイラー=リットソン)です。

 

お抱え運転手が運転する高級車に乗ってやってきた生意気なシリルと、高慢ちきなセリア。

最初から、グリーン家の子供たちとうまくいくはずがありません。

出会ったとたんから大騒動、シリルはパパのためにとってあったジャムのビンを割ってしまいました。

 

ここでナニーマクフィー(エマ・トンプソン)の登場です。

 

前回同様、その顔は異様です。

醜いイボに毛まで生えているし、眉毛は一直線、歯も一本が長い。

 

 

でも、このナニー(ベビーシッター)は強力です。

持っているごつごつした杖を地面に突くと不思議なことが起こります。

ナニーマクフィーには、子供たちを教育するための独特の目的があって、完了するごとに美しく変身していきます。

 

今回も、動物たちがすごくかわいいし、タイトルになっている子ブタちゃんはめちゃめちゃかわいいです。

子ブタちゃんたちにブラシ掛けをする機械はとてもすてきでした。

子ブタちゃんたちのシンクロナイズドスイミングも癒されますよ。

 

子供たちもしっかりしているし、かわいいし、ママを助けて大活躍です。

ちょい役にも、レイフ・ファィンズやユアンのような大物が登場して驚かされます。

 

家も衣装もかわいいし、大麦畑も農場も素晴らしかった。

 

最後に、ドカティー夫人が前作の赤ちゃんだったということが明かされて、これもびっくりでした。

 

大人も子供も一緒に楽しめる、とってもステキな作品でした。

 


ER緊急救命室シリーズ

2011-11-19 09:06:26 | 映画ーDVD

ER緊急救命室シリーズー

1994年~2009年全第15シーズン

ようやく、DVD鑑賞終わりました。

 

私は1950年代生まれなので、アメリカTVドラマ全盛期に育ったと言って過言ではないでしょう。

「ローハイド」「ララミー牧場」「ベン・ケーシー」などは主題歌を聞いたら寝床に追いやられるという悔しい思いをしました。

「サンセット77」はときどき親の目を盗んでどきどきしながら見たように思います。

クーキーが櫛で髪をとかすタイトルバックに胸をときめかせたものです。

私の映画に対する憧れの原点かもしれないなあ。

 

「スーバーマン」「奥様は魔女」「かわいい魔女ジニー」などは、1週間が待ち遠しかったなあ。

「逃亡者」「刑事コロンボ」「刑事小コジャック」「鬼警部アイアンサイド」懐かしいでしょう?

「スタートレック」は夜中の再放送でファンになりました。

 

ラブロマンスでは「こちらブルームーン探偵社」「アリー・マイ・ラブ」が大好きでした。

 

でも、こういうドラマにハマってしまったら、大変。

シリーズが続く限り、見ないと気がすみません。

その代表が「ER」です。

追いかけていたらとうとう15シーズンまで付き合うはめになりました。

 

アメリカのテレビドラマのどんどん見たくなってしまう面白さ。

なんなのでしょうね。

 

「ER」の15シーズンは、集大成という感じでしても面白かったです。

懐かしい出演者がどんどん出てきました。

 

まず、ジョン・カーター(ノア・ワイリー)がカウンティ総合病院に帰ってきました。

腎臓移植を受けたり、念願の貧しい人たちのための医療施設を建設したり、主役級の活躍でした。

ただ、妻のケム(ダンディ・ニュートン)とうまくいっていないのが、残念でした。

 

ジョン・カーター

 

ダグ・ロス(ジョージ・クルーニー)とキャロル・ハサウェイ(ジュリアナ・マルクリーズ)のカップルも元気で幸せな消息を聞かせてくれました。

 

ダグとキャロル

 

マーク・グリーン(アンソニー・エドワーズ)は回想の中で登場。彼の愛娘のレイチェルは医学部志望の学生として登場して、在りし日を偲べるというおしゃれな設定となっていました。

ERでは、たくさんの医者が亡くなったり去ったりしましたが、「グリーン先生」とつぶやくだけで胸が痛くなるほど、身近に感じるキャラクターです。

 

マーク・グリーン

 

スーザン・ルイスとケリー・ウィーバーはカーターの医療施設のオープニングゲストとして登場しました。

 

ベントン(エリク・ラ・サル)は、カーターの腎移植に立ち会いました。

ベントン先生とカーターの言葉にならない思いも、ぐっときました。

 

エリザベス・コーディ(アレックス・キングストン)は、ニーラ(パーミンダ・ナーグラ)の面接をするデューク大学外科部長として登場。

グリーン先生との間の愛娘、エラも9歳になったそうです。

 

問題の多かったアビー(モーラ・ティアニー)もコバチュ(ゴラン・ヴィシュニック)とともにボストンへ旅立ったし、ニーラはブレナー(デビット・ライオンズ)の元を去り、レイ(シェーン・ウエスト)が勤める病院に新天地を求めました。

 

アーチー・モリス(スコット・グライムス)は、信頼されるスタッフドクターへと成長して、潜入捜査官のディアスと恋愛中。

 

バンフィールドER部長(アンジェラ・バセット)は人工授精を諦め、自分で子供を育てられないシングルマザーの子供を養育する手続きをした。

 

その他にも、ウィリアム・H・メイシー、スーザン・サランドン、アーネスト・ボークナインなどが大物俳優がゲスト出演していました。

 

ERはもっとも人間の極限状態が現れる場所。

そこで働く医師も、看護婦も神や天使ではありません。

ぎりぎりの人間性を日々試されているようです。

そんな熾烈な日々を、超人ではない若い医師が苦悩しながらも乗り越えていくところが魅力的なドラマでした。

 

スタッフ、キャストの皆さん、お疲れさまでした。

素晴らしい作品をありがとうと言いたい気持ちです。

 

感動のラストシーン

 


マネーボール

2011-11-18 09:56:02 | 映画ー劇場鑑賞

ーマネーボールーMONEYBALL

2011年 アメリカ

ベネット・ミラー監督 ブラッド・ピット(ビリー・ビーン)ジョナ・ヒル(ピーター・ブランド)フィリップ・シーモア・ホフマン(アート・ハウ監督)ロビン・ライト(シャロン)クリス・プラット(スコット・ハッテバーグ)ケリス・ドーシー(ケイシー・ビーン)スティーヴン・ビショップ[俳優](デヴィッド・ジャスティス)ニック・ポラッツォ(ジェレミー・ジアンビ)

 

【解説】

アメリカのプロ野球、メジャーリーグの貧乏球団を独自の理論で常勝球団に育て上げた実在の男の半生を、ブラッド・ピットが演じる感動的なヒューマンドラマ。球団のゼネラルマネージャーが独自の理論である「マネーボール理論」を推し進め、貧乏球団を常勝集団に生まれ変わらせていく過程を描く。監督を、『カポーティ』のベネット・ミラーが務め、『ソーシャル・ネットワーク』のアーロン・ソーキンが脚本を担当。ブラッドとフィリップ・シーモア・ホフマンやロビン・ライトなど実力派キャストによる演技合戦に期待。

 

【あらすじ】

元プロ野球選手で短気な性格のビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、アスレチックスのゼネラルマネージャーに就任する。チームはワールド・チャンピオンになるには程遠い状態で、優秀な選手は雇えない貧乏球団だった。あるとき、ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)というデータ分析にたけた人物との出会いをきっかけに、「マネーボール理論」を作り上げる。しかし、「マネーボール理論」に対し選手や監督からは反発を受けてしまい……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

日本では折しも巨人軍のお家騒動が世間を騒がせています。

ゼネラルマネージャー対親会社のドンという図式です。

始まりは大きなニュースでしたが、結局はうやむやに終わってしまうのではないかなあ?

何が問題か、よくわかりませんよね。

名前が挙がった人たちが大迷惑でしょう。

野球に関わる人たちは、ファンの皆さんによいパフォーマンスを見せることが一番のお仕事でしょう?

日本シリーズの最中に、ちょっと失礼な話でしたね。

しかも、日本シリーズは熱く盛り上がっています。

こうでなくっちゃね!!

ドラゴンズもホークスも頑張って!!

 

さて、この作品。

ワールドシリーズ一歩手前までは行くのに、ヤンキーズには勝てない、アスレチックスというチームのお話です。

なぜ勝てないか?

お金がなく、いい選手を育ててもオフにはよそのチームに取られてしまう。

オーナーは「お金がない。この予算で取れる選手で」と明快だ。

「じゃあ、誰を補強する?」スカウト会議では侃々諤々、帯びたすきの選手の値定めに会議も白熱する。

 

ゼネラルマネジャーのビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、それではワールドシリーズで優勝できるチームは作れないと苛立っていた。

 

選手獲得の交渉に行ったインディアンズで分析が専門のジョナ・ヒル(ピーター・ブランド)と運命的な出会いをする。

彼を引き抜き、「マネーボール理論」によるチーム作りを始め、反対する人間は容赦なく斬り捨てていった。

 

しかし、監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)には理解されず、なかなか結果は出ない。

 

☆ネタバレ

ビリーは高校のときに、有名大学の奨学金を獲って進学を決めていたが、メッツのスカウトの目に留まり、猛烈な勧誘と破格の契約金に心を動かされて、プロ選手への道を選んだ。

しかし、結果を出すことができず、夢破れフロントに。

そしてその手腕を買われて、アスレチックスのゼネラルマネージャーの地位にまで上り詰めた。

 

がむしゃらに働いたせいで妻と愛する娘とも別れることになってしまった。

彼ののぞみは、娘を大学に行かせること。

そのためにもお金が必要だった。

 

でも、それだけではない。

彼は、自分が成し遂げられなかった野球界での成功を、違う形ででも成功させたかったのだと思いました。

自分も含めて、中途半端な選手たちに、夢は実現できるんだということを証明したかったのだと思いました。

 

だから、結果を出してオフシーズンに、ヤンキーズからオファーがあったときも清く断ってしまったのでしょう。

データ野球は、中途半端な選手たちが集まっている貧乏球団によって成し遂げられるべきだ、という信念みたいなものを感じました。

本人は「二度と金によって人生を左右されまいと心に決めたから」と語っています。

 

彼の、ワールドシリーズへの挑戦はまだ続いているようですね。

 

ブラピが落ち着いた演技で、観客の共感をうまく引き出していました。

野球好きには、普段見られないスタジアムの裏側や選手の素顔、裏方の話も面白かったです。


GONZO~ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて~

2011-11-15 10:42:23 | 映画ーDVD

GONZO~ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて~ーGONZO: THE LIFE AND WORK OF DR. HUNTER S. THOMPSON

 

2008年 アメリカ

監督=アレックス・ギブニー ナレーター=ジョニー・デップ

 

【解説】

独自の取材スタイル「ゴンゾー・ジャーナリズム」を生み出した伝説のジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンの生涯を追ったドキュメンタリー。激動の1960年代から1970年代に活躍し、今も多くの人々から支持される彼の実像を、『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』のアレックス・ギブニー監督が解き明かす。『ラスベガスをやっつけろ』でハンターをモデルにしたラウルを演じたジョニー・デップがナレーションを担当。インタビューに登場する人々や、ハンター自身の言葉から浮かび上がる破天荒な生きざまに圧倒される。

 

【あらすじ】

激動の1960年代から1970年代に活躍し、その過激な言動が今もさまざまな表現で語り継がれるアメリカの伝説的ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソン。取材対象の中に入り込みその本質を伝える独自の手法で、従来のジャーナリズムを根底から覆した彼は時代の寵児(ちょうじ)となった。ハンター自身の言葉や遺族、友人らへのインタビュー、貴重な記録映像などから彼の実像に迫る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ハンター・S・トンプソンといっても、日本ではあまり知られていません。

テリー・ギリアム監督の1998年制作の映画「ラスベガスをやっつけろ」の原作者で、自分がモデルとなっているラウル・デューク役をジョニー・デップが演じました。

 

ジョニーは役作りのためにトンプソンとしばらく一緒に行動し、映画が終わってからも親交がありました。

 

トンプソンは、1937年にケンタッキー州で生まれ、ヘルス・エンジェルスを取材した記事で有名になります。

その後、自分の住む町のシェリフに立候補して破れたり、大統領候補のマクガバン候補を応援して、世論を動かすほどの影響力がありました。

しかし、マクガバンはニクソンに破れてしまいます。

そののち、ジミー・カーターの演説を聴いて感銘を受け、彼についての記事を書くが、そのころから、勢いは失われていき、酒に溺れる生活となりました。

そして、2005年に拳銃で自殺しています。

 

この作品は、トンプソンを知る人たちの証言と遺された映像によってトンプソンの生き様を探るドキュメンタリーです。

 

彼は、アメリカニュージャーナリズムの旗手と呼ばれ、1960年代から870年代にかけて、客観性よりも自らその取材対象に身を投じて本質を伝えることを重視する取材スタイルで、GONZO(ならず者)ジャーナリズムと呼ばれました。

 

私は「ラスベガスをやっつけろ」で、ジョニーが演じたラウルに驚いたのですが、トンプソン自身はいつも時代の本質を伝えたかったということが、このドキュメンタリーでわかったような気がしました。

 

彼の暴こうとした「アメリカンドリーム」やニクソン批判、私もその時代を生きて来たので、少しはわかる感じがしました。

時代の寵児ともてはやされ、自分を見失っていったのでしょう。

しだいに文章が書けなくなり、酒に溺れ、妻と別れ、2度目の妻を娶ったけれど、悲しい結末となりました。

 

遺言で企画した巨大なモニュメント。

あんなことは、彼しか考えつかないでしょうね。

 

この作品を彩る時代を表現する音楽の数々、素敵でした。

 


ジーンワルツ

2011-11-15 10:36:12 | 映画ーDVD

ージーンワルツー

2011年 日本

監督=大谷健太郎 原作=海堂尊 キャスト=菅野美穂(曽根崎理恵)田辺誠一(清川吾郎)大森南朋(三枝久広)南果歩(荒木浩子)白石美帆(甘利みね子)桐谷美玲(蒼井ユミ)濱田マリ(妙高みすず)大杉漣(荒木浩子の夫)西村雅彦(屋敷教授)風吹ジュン(山咲みどり)浅丘ルリ子(マリア先生)

 

【解説】

『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』の原作者で、現役医師でもある海堂尊のベストセラー小説を映画化した医療ミステリー。産科や地方の医師不足といった医療現場が抱える問題を背景に、禁断の治療をする医師の姿を描く。監督は『NANA』シリーズの大谷健太郎。ある疑惑の医師に、『パーマネント野ばら』の菅野美穂がふんするほか、共演には田辺誠一、南果歩、浅丘ルリ子ら実力派がそろう。

 

【あらすじ】

不妊治療のエキスパートとして帝華大学病院で働きながら、廃院寸前の小さな産婦人科医院で院長代理を務める曾根崎理恵(菅野美穂)。そんな彼女が、禁断の治療をしているという。うわさを聞きつけた上司のエリート医師・清川吾郎(田辺誠一)は、理恵の周辺を探り始めるが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

海堂尊原作の映画『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』が面白かったので、この作品も期待してみました。

 

が…。

 

冒頭にいろんな問題が提示されます。

まず、テーマが遺伝子なのかなあ?と思わせるタイトルバック。

そしていきなり始まる医療過誤による医師の逮捕。

 

帝華大学病院の教授の椅子を巡る医局内闘争を示唆するような会話。

 

妊婦のたらい回しによる死亡を扱ったメディアの報道。

 

廃院間近な個人の産婦人科医院。

そして、その医院の最後の患者となる4人の妊婦。

 

一人は望まない妊娠をして堕胎希望のユミ(桐谷美玲)。

無脳症の胎児を持つみね子(白石美帆)。

不妊治療の末やっと授かった高齢出産の浩子(南果歩)。

最後に55歳で人工授精で双子を妊娠している山咲みどり(風吹ジュン)。

 

そして、ストーリーに入っていくとー

帝華大学で教鞭をとり、産婦人科医としても優秀な曾根崎理恵(菅野美穂)は、7ヶ月後に廃院が決まっているマリアクリニックでも毎週水曜日外来を行っている。

このクリニックは院長のマリア先生(浅丘ルリ子)が肺ガンを患っていて、自宅療養中だが、おそらく廃院予定の7ヶ月は持つまいと思われていた。

 

そんな折りに発生した産婦人科医逮捕事件。

逮捕された産婦人科医はマリア先生の息子の久広だった。

 

久広と理恵は、今や帝華大学産婦人科教室の教授候補となっている清川吾郎(田辺誠一)とともに研修時代に学んだ医院だった。

 

理恵は、大学病院の産婦人科のあり方に疑問を感じ、マリアクリニックで理想の産婦人科を実現させようとしていたが、屋敷教授は清川にその動きを阻止することを命じた。

 

しかも、理恵には大きな秘密があった。

 

☆ネタバレ

サスペンスを歌っているから、このネタバレも見る予定のある人は読まないでくださいね。

 

4番目の患者山咲みどりは、理恵の実母だった。

しかも、お腹の子は理恵の卵子を使った受精卵。

つまり、代理母だったのです。

 

清川は理恵を愛しているんだけれども、教授になるためには理恵のスキャンダルは御法度。

それで理恵を亡き者にするのかなあ?

と見ていたら、理恵がさっさと辞表を提出してしまったので、そういうサスペンスへとは発展しませんでした。

 

この作品のクライマックスは、命の尊さを知ったユミが出産を決意したので、10月、台風に見舞われた日、マリアクリニックでは3人の問題のある妊婦が一度に産気づきます。

 

たまたま清川が来ていたんだけど、たった一人の看護婦のみすず(濱田マリ)は台風で交通機関が止まってしまい、来られない。

さらに、庭の立ち木が倒れて診察室は大破、おまけに停電。

 

停電は、自家発電でなんとかなったものの、二人だけでは帝王切開の手術を2つと初産の処置は無理、となったところで、死にかけていたマリア先生が登場。

ユミのお産を担当する。

 

そして二人は帝王切開を2つこなして、無事赤ちゃんが誕生したという結末でした。

 

「生命の誕生は奇跡」というセリフが何度も出てきて、その度に感動はするんだけど、最後のシーンは奇跡の安売りみたいで、ちょっと興ざめしました。

 

「産みたい人が産める」というスローガンはステキだけど、20歳のシングルマザーユミのケースは、子供の身になればそれでいいのか?という気もしました。

経済的な裏付けも語られていなかったし、実母も乗り気ではないとか、出産にも助けに来ないとか、なんか、二人の将来が不安でした。

子供は社会の宝物。

一人では育てられないよ。

いろんな支えが無くちゃ、大変です。

 

代理母問題も、なんかうやむやだし。

精子提供者はほのめかされるものの、ということは、無断で勝手に使ったのかなあと疑問も残り、後味すっきりとはいきませんでした。

 

中絶で子供を産めなくなった理恵自身の双子の赤ちゃん。

産みたいからという理由で、実母を代理母にしてもいいのかどうかは、倫理観で意見の分かれるところでしょう。

私自身を考えて、娘の仮腹になれるか?

うーん、無理かも。

 

なぜなら、出産って本当にリスクのあるものです。

無事に産まれて当たり前のように捉えられがちですが、母体には10ヶ月近くに及ぶ妊娠期間を含めて、命に関わる問題の連続です。

母親は妊娠したそのときから、命の危険にさらされていると言って過言ではありません。

しかも、最終的には帝王切開。

健康であるはずの体にメスを入れるということです。

人生を半ば過ぎた女性には、荷が重過ぎる行為です。

 

しかも前述したように、精子提供者の承諾が無いし。

後に子供が「お父さん!」と会いに行っても、問題だよね。

子供には父親が必要なのは言うまでもないことだし。

 

なんか、どの話も女性が子供が欲しいという点に焦点をしぼり過ぎているように思えて、父親のこととか、社会事情とか、子供を取り巻く問題点を考えたら楽しめなくなりました。

 

特典に付いていたスピンオフ作品「空にいちばん近い幸せ」は、死産した夫婦がその悲しみを乗り越える作品で、とてもよかったです。

久しぶりに矢田亜希子さんがステキな母親役で見られて、そちらの方もなんか安心しました。