マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ダークプレイス

2017-04-18 11:17:05 | 映画ーDVD

ーダークプレイスーDARK PLACES

2015年 イギリス,フランス,アメリカ 113分

監督=ジル・パケ=ブランネール キャスト=シャーリーズ・セロン (リビー・デイ) ニコラス・ホルト (ライル) クロエ・グレース・モレッツ (若き日のディオンドラ) タイ・シェリダン (若き日のベン) 

 

【解説】

『ゴーン・ガール』の原作者ギリアン・フリンによるミステリー小説「冥闇」を映画化。幼いころに一家惨殺事件から生き延びた女性が、家族を襲った事件の真相を追ううちに驚がくの真実にたどり着く姿を、『サラの鍵』などのジル・パケ=ブランネール監督が描く。血塗られた過去と向き合うヒロインには、『モンスター』などのオスカー女優シャーリーズ・セロン。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのニコラス・ホルト、『モールス』などのクロエ・グレース・モレッツらが共演。

 

【あらすじ】

8歳のときに起きた一家惨殺事件で生き残ったリビー(シャーリーズ・セロン)のもとに、有名事件の真相について話し合う「殺人クラブ」から招待状が届く。彼女が兄の犯行を目撃したと証言したことで、当時15歳だった長男ベンが終身刑を宣告された事件について話してくれれば謝礼を支払うという。生活費に困っていた彼女は申し出を受け、家族を襲った悲しい事件を振り返るが……。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

リビー(シャーリーズ・セロン)が8歳の時に起きた一家惨殺事件。

姉二人と母が惨殺され、リビーだけが家の外に逃げて生き延びた。

彼女の証言で実の兄のベンが犯人とされ、無期懲役の判決が下り、刑務所で服役中。

 

一家惨殺事件の生き残りとして有名になったリビーは、全国からの寄付金で優雅に暮らしてきた。

しかし28年も経ち、その基金は底をついてきた。

基金を管理している管財人から、そろそろ働くように言われる。

 

しかし、8歳から時計が動かないような生活をしているリビーには生活の手段がない。

 

迷宮入り事件や残酷な殺人事件などをテーマに活動している「殺人クラブ」のメンバー、ライル(ニコラス・ホルト )がリビーに興味を持ち、クラブで講演してくれたら講演料を出すという。

さらに真犯人を探す手伝いをすると、さらにお金をくれると申し出てきた。

 

犯人は兄のベン(コリー・ストール)だと信じているリビーだったが、当時のことを思い出すうちに、ベンの恋人ディオンドラ(クロエ・グレース・モレッツ)を思い出した。

 

当時、リビーの家は貧しいシングルマザーで、農業も行き詰まり、農地や家を追い出される寸前だった。

たまに現れる父親は、金の無心しかしない。

 

兄のベンにはディオンドラという恋人がいたが、他の女性のやっかみであらぬ噂をたてられ、ディオンドラと駆け落ちしようとしていた。

ディオンドラのお腹にベンの子供がいるというのだ。

 

母は、ベンの噂を打ち消そうと努力するが、生活苦もあり、絶望していた。

そして、母がとった行動が、事件の真相だったのだ。

 

ベンは生まれたであろう我が子のために口をつぐみ、刑務所生活に耐えていた。

事件の真相が明らかになった時、リビーもベンも過去の重荷から解き放たれる。

 

主演のシャーリーズ・セロン自身が、母親がDVの父を撃ち殺すという過去を持っていることを彷彿とさせるような、リビーの暗い表情がとても良かったと思いました。

28年はとても長いけれど、リビーもベンも自分の人生が取り戻せればいいなあ。

 

それにしても、8歳の子供の証言を鵜呑みにする警察って、どうよ?と思いました。


ベン・ハー

2017-04-18 11:05:15 | 映画ーDVD

ーベン・ハーーBEN-HUR

2016年 アメリカ

監督=ティムール・ベクマンベトフ キャスト=ジャック・ヒューストン (ジュダ・ベン・ハー) トビー・ケベル (メッサラ) ロドリゴ・サントロ (イエス) ナザニン・ボニアディ (エスター) モーガン・フリーマン(イルデリム)

 

【解説】

アカデミー賞で作品賞、監督賞ほか史上最多11部門を受賞したウィリアム・ワイラー監督、チャールトン・ヘストン主演の歴史的大作を、「ウォンテッド」「リンカーン 秘密の書」のティムール・ベクマンベトフ監督、「アメリカン・ハッスル」のジャック・ヒューストン主演でリメイク。エルサレムの名家に生まれたベン・ハーは、義兄弟であるメッサラの裏切りにより奴隷船送りとなった上、乗っていた船が転覆するが、謎の族長イルデリムに命を救われる。やがて数年ぶりに戻った故郷で戦車競争出場の機会をつかんだベン・ハーは、復讐心を内に秘め、競技場でメッサラとの宿命の対決に挑む。主人公ベン・ハーをヒューストンが演じ、トビー・ケベルが宿敵メッサラに扮した。そのほかモーガン・フリーマン、ロドリゴ・サントロらが脇を固める。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

私はウィリアム・ワイラー監督、チャールトン・ヘストン主演の「ベン・ハー」に思い入れがないので、この作品はとても楽しく見られました。

 

ユダヤ人の名家出身のジュダ・ベン・ハー(ジャック・ヒューストン)と、ベン・ハー家の養子でローマ人のメツサラ(トビー・ケベル )。

二人は両親愛情を受けて分け隔てなく育ち、とても仲が良かった。

メッサラとジュダの妹は淡く思い合っていた。

 

ある日、二人が馬に乗って競争していた時、ジュダは落馬し、大怪我を負う。

ここにいることはできないと悟ったメッサラはベン・ハー家を去り、ローマ軍に入る。

 

ジュダは奴隷のエスターと結婚し、イエス(ロドリゴ・サントロ)とも知り合う。

 

ローマは勢力を拡大し続け、とうとうジュダの国にも入ってきた。

入城するローマ軍に歯向かっていけないとメッサラはジュダに助言するが、ジュダの家に匿われていた反乱派の少年がローマ軍の司令官に向かって矢を射った。

ジュダと家族は囚われ、ジュダは船の漕ぎ手の奴隷となる。

3年の年月が流れ、ジュダが乗っている船が敵の砲弾にやられ沈没した時に、ジュダは運良く逃げ出し、海を漂流したのち、隊商を率いるイルデリム(モーガン・フリーマン)に助けられる。

優れた馬の使い手であることを認められ、メツサラと馬車競争するために、イルデリムとともに生まれた町に戻ってきた。

 

妻のエスターはイエスのもとで手伝いをしていた。

母と妹は囚人となり、重いらい病を患い、牢屋の奥に閉じ込められていた。

ジュダはメッサラへの復讐に燃える。


イエスが囚われ、十字架を背負って歩く時、ジュダはイエスに水を差し出した。

それはかなえられなかったが、イエスの行動に強く打たれたジュダはイエスの処刑に立ち会い、慈悲の雨を受ける。

 

母と妹も、その雨を受け健康を取り戻した。

 

馬車競争の日が来た。

ジュダは妨害に遭いながらも、最後はメッサラを蹴散らし優勝する。

 

メッサラとも和解し、かつての友情も取り戻した。

 

ベン・ハーの波乱に満ちた人生が描かれていました。

でも、若者らしい純粋さを貫いた彼に清々しい思いを持ちました。

メッサラも、真に悪人ではなく、彼の生きる道だった。

立場が違えば、厳しい選択にもなると思います。

 

最後は和解できてよかったです。

最初に、メッサラの無償の友情が描かれていたので、ほっと一安心でした。


ミモザの島に消えた母

2017-04-18 11:01:34 | 映画ーDVD

ーミモザの島に消えた母ーBOOMERANG

2015年 フランス 104分

監督=フランソワ・ファブラ 原作=タチアナ・ド・ロネ キャスト=ロラン・ラフィット (アントワン) メラニー・ロラン (アガット) オドレイ・ダナ (アンジェル) ウラディミール・ヨルダノフ

 

【解説】

『サラの鍵』の原作者タチアナ・ド・ロネの著書を基に、ある男性が幼いころに経験した母の死の真相と家族の秘密にたどり着くまでを丁寧につづるヒューマンサスペンス。30年前の母の死の謎を探る主人公が、家族の悲しい秘密に触れ、再生していくさまを映し出す。主演は、『ムード・インディゴ うたかたの日々』などのロラン・ラフィット。『オーケストラ!』などのメラニー・ロランが共演。登場人物の心理をつぶさに捉える緊張感たっぷりの展開に引き込まれる。

 

【あらすじ】

30年前に「ミモザの島」という島の海で溺死した母親の事件を、40歳になっても引きずっていたアントワン(ロラン・ラフィット)。アントワンは母の死の真実を調べようとするが、家族は口を閉ざしたままだった。アントワンはミモザの島を訪れ、母のもう一つの顔と家族が封印した、思いも寄らない真実にたどり着く。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

予告編はとてもミステリアスで魅力的でしたが、ちょっと物足りない感じでした。

ミモザの島で繰り広げられる母の謎の死をめぐるミステリー。

 

幼い時に母が溺死をしたアントワン(ロラン・ラフィット)。

40歳になって、妻とも離婚、仕事もうまくいかず、思春期の娘ともうまくいかない。

セラピーにもかかっているが、アントワンにはどうしても釈然としない思いがあった。

母はなぜ死んだのか?

父や祖母は何か隠している。

 

母が亡くなったノワールムティエ島=ミモザの島を妹のアガット(メラニー・ロラン)と訪れた。

その帰り、車の中で口論となり、運転を誤って横転させてしまい、妹が大怪我を負ってしまった。

前半はアントワンの悶々とした日常が描かれ、うじうじぶりが嫌な感じです。

でも、後半になると美しいミモザ島と、干潮時にだけ現れる一本の道と母の死の真相が描かれ、心が奪われていきます。

 

後半の展開はスピーディで、面白いですが、とにかくアントワンの母恋物語にがハナにつく感じです。

残念です。

 

でも、美しい島と美しい母の悲恋(女性同士の恋)は心に残りましたよ。

母の恋を目撃したのが、幼いアガットだったというのも、胸がキュッとしました。

 


瞳の中の秘密

2017-03-25 16:05:41 | 映画ーDVD

ー瞳の奥の秘密ーEL SECRETO DE SUS OJOS/THE SECRET IN THEIR EYES

2009年 スペイン、アルゼンチン 129分

監督・脚本=フアン・ホセ・カンパネラ 原作・脚本=エドゥアルド・サチェリ キャスト=リカルド・ダリン (ベンハミン・エスポシト) ソレダ・ビジャミル (イレーネ・メネンデス・ヘイスティングス) パブロ・ラゴ (リカルド・モラレス) ハビエル・ゴディーノ (イシドロ・ゴメス)

 

【解説】

長年勤めた刑事裁判所を退職した男が、25年前の未解決殺人事件をモチーフに小説を書き出すものの、過去の思い出に支配され苦悩するサスペンス・ドラマ。アルゼンチンを代表する名監督ファン・J・カンパネラが1970年代の祖国の姿を背景に、過去と現在を巧みに交差させ、一人の人間の罪と罰や祖国の軌跡を浮き彫りにする。また、本作は第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞。主演は、カンパネラ監督作品の常連リカルド・ダリン。衝撃的な秘密が暴かれるラストに言葉も出ない。

 

【あらすじ】

刑事裁判所で働いていたベンハミン(リカルド・ダリン)は、定年を迎え、25年前に起きた忘れ難い事件をテーマに小説を書くことにする。それは1974年、新婚生活を満喫していた女性が自宅で殺害された事件で、担当することになったベンハミンが捜査を始めてまもなく、テラスを修理していた二人の職人が逮捕され……。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

先日見た「シークレット・アイズ」のオリジナル、2009年のアカデミー賞外国語映画賞に輝いたアルゼンチン映画「瞳の中の秘密」を見ました。

だいぶ趣が違っていましたよ。

こちらはラブストーリーの要素が強いです。

 

定年を迎えて独身のベンハミン(リカルド・ダリン)は、25年前の未解決事件のことを小説に書き始めた。

それは新婚生活を満喫していた新婚の妻が、自宅で暴漢に襲われ亡くなったレイプ殺人。

すぐにテラスを修理していた職人二人が逮捕され、犯人とされた。

しかし、ベンハミンが調べたところ、それは拷問による自白の強要で無実だった。

 

ベンハミンがようやく捕まえた真犯人はイシドロ・ゴメス(ハビエル・ゴディーノ)。

上司のイレーネ(ソレダ・ビジャミル)と尋問するうちに、ゴメスは自白した。

しかし、ゴメスは軍事政権には役に立つ男だった。

政権からの圧力でゴメスは釈放され、その後行方不明になったいた。

 

イレーネとベンハミン。

 

ベンハミンにはどうしても忘れられない別れがあった。

ベンハミンにとってその頃のイレーネは高嶺の花。

どうしても愛を打ち明けられない。

そうこうしているうちにイレーネは結婚してしまう。

その結婚写真に写った自分の瞳が、イレーネを慕っているのが見える。

 

ゴメスもまた、亡くなった花嫁の幼馴染で、写真には思慕の眼差しが残っていたのだ。

 

しかし、犯人を追うことで何者からか命を狙われる。

間違って相棒が身代わりになって死んでしまった。

 

この一件で、追われるようにブエノスアイレスから去ったのだった。

イレーネとの辛い別れ。

彼女の瞳に浮かんだ涙は…。

 

25年経って、新婚の妻を殺されたモラレス(パブロ・ラゴ )の裁きを知ったベンハミンの心は!!

 

結局、ベンハミンとイレーネがどうなるかは映画では示されませんでした。

いい余韻が残りました。

 

この辺がハリウッド版とはずいぶん違いました。

 

25年って、長いですよね。

小説に書いて、それを愛した人に見せるなんて、まるでラブレターです。

とても照れくさいと思いますが、それも素敵ですよね。

 

素晴らしい作品でした。


シークレット・アイズ

2017-03-25 15:54:44 | 映画ーDVD

ーシークレット・アイズーSECRET IN THEIR EYES

2015年 アメリカ 111分

監督・脚本=ビリー・レイ キャスト=キウェテル・イジョフォー (レイ・カステン) ニコール・キッドマン (クレア・スローン) ジュリア・ロバーツ (ジェシカ・“ジェス”・コブ) アルフレッド・モリナ (マーティン・モラレス) 

 

【解説】

第82回アカデミー賞外国語映画賞に輝いた『瞳の奥の秘密』を基にしたサスペンス。13年前の未解決殺人事件を解決すべく、捜査員たちが再会し、その後思わぬ真相にたどり着く姿を描く。監督は『ニュースの天才』などのビリー・レイ。『それでも夜は明ける』のキウェテル・イジョフォー、『エリン・ブロコビッチ』などのジュリア・ロバーツ、『めぐりあう時間たち』などのニコール・キッドマンら豪華キャスト陣が共演する。

 

【あらすじ】

2002年のロサンゼルス。FBI捜査官レイ(キウェテル・イジョフォー)は、ある殺人現場へと急行する。そこで彼は、被害者がテロ対策合同捜査班での相棒で良き友人のジェス(ジュリア・ロバーツ)のまな娘であることを知ってがく然とする。エリート検事補のクレア(ニコール・キッドマン)と捜査にあたるレイは、容疑者の特定に成功。しかし、FBIの内部事情が絡んだことから真相は葬り去られて未解決に終わってしまう。そして13年後……。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

第82回アカデミー賞外国語映画賞に輝いたアルゼンチン映画『瞳の奥の秘密』を基にした作品だそうです。

私はオリジナルを見ていないので比べることはできませんが、わかりやすく面白かったです。

 

元FBI捜査官レイ(キウェテル・イジョフォー)、1枚の写真を握りしめ、パソコンの画面に現れる前科者の写真とにらめっこをしている。

一人の写真が目に止まり、それを持ってかつての職場へ乗り込んだ。

 

そこは13年前に去った職場。

同僚のジェス(ジュリア・ロバーツ)や上司のクレア(ニコール・キッドマン)がいた。

当時検事補だったクレアは、堂々とした検事になっていた。

 

13年前、クレアはFBIに赴任して、当時捜査員だったレイの上司ととて赴任してきた。

緊急出動がかかり、殺人現場に乗り込んだレイのチーム。

ゴミ箱の中に無残な死体で横たわったいたのは、同僚のジェスの愛娘だった。

 

犯人は分からない。

捜査を進めるにもかかわらず、ことごとく妨害が入る。

上からも捜査打ち切りという方針になった。

命令を無視する形で犯人を追い続けるレイ。

とうとう犯人を見つけ、任意同行し、クレアとともに尋問して自白に導いたが、その犯人がテロ組織の情報屋ということで釈放された。

そのことが原因で、FBIをやめて民間人となったレイ。

それでもあきらめず、釈放された犯人を追っていたのだ。

 

犯人の写真を見たジェスからは意外な答え。

ジェスは釈放から間もなく犯人を見つけ、射殺して庭の片隅に埋めたというのだ。

 

☆ネタバレ

ジェス親子の愛情と、レイのクレアに対する秘めた愛がこの殺伐とした殺人事件の重要なモチーフになっています。

クレアは当時婚約中で、レイはいろんな劣等感から告白できなかったのです。

その二つの愛が13年経ってどうなっているのか、というのが見どころになっています。


ジェスは、犯人を殺さずに自分の家の納屋の中に閉じ込めて、終身刑を受けさせていたのでした。

そして、この後衝撃の結末となるのですが、この結末は少し疑問に思いました。

でも、愛する娘を殺された母親にとって、あるいは、恋しい思いを封じ込めた男にとって、13年が長いか短いか、見終わった後の余韻も楽しめると思います。


太陽のめざめ

2017-03-25 15:38:53 | 映画ーDVD

ー太陽のめざめーLA TETE HAUTE/STANDING TALL

2015年 119分 フランス

監督・脚本=エマニュエル・ベルコ キャスト=カトリーヌ・ドヌーヴ (判事) ロッド・パラド (フェランド・マロニー) ブノワ・マジメル (ヤン) サラ・フォレスティエ (マロニーの母)

 

【解説】

第68回カンヌ国際映画祭のオープニングで上映された、名優カトリーヌ・ドヌーヴが主演を務めたドラマ。母親に捨てられた過去を持つ少年、補導された彼を担当する女性判事、少年の教育係を任された男性の姿を追う。メガホンを取るのは、『ミス・ブルターニュの恋』などのエマニュエル・ベルコ。『最後のマイ・ウェイ』などのブノワ・マジメル、『漆黒の闇で、パリに踊れ』などのサラ・フォレスティエらが顔をそろえる。希望に満ちた物語や、少年を演じるロッド・パラドが放つ存在感に注目。

 

【あらすじ】

育児放棄が疑われる母親(サラ・フォレスティエ)と一緒に裁判所に呼び出された16歳のマロニー(ロッド・パラド)は、判事フローランス(カトリーヌ・ドヌーヴ)の目の前で置き去りにされた過去を持つ。問題を起こしてばかりの彼は裁判所へと送られ、10年ぶりにフローランスと再会する。反省を促すも再び事件を起こしたマロニーに対し、彼女は矯正施設への送致を決める。教育係ヤン(ブノワ・マジメル)とフローランスの支え、指導員の娘テス(ディアーヌ・ルーセル)との恋を経て、更生への道を歩んでいくマロニーだったが……。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

少年の非行や犯罪に、大人はどう向き合うべきなのがというのがテーマ。

日本のシステムはよく知らないけど、この映画に描かれているようなフランスのシステムとは、ずいぶん違うんじゃないかと思いました。

特に、判事フローランス(カトリーヌ・ドヌーヴ)は忍耐強い。

そして、問題の少年に着く教育係の存在。

手厚いと感じました。

 

シングルマザーの母親(サラ・フォレスティエ)は、育児放棄を疑われて6歳の長男のマロニーと赤ちゃんの次男を連れて判事のフローランスと面談に呼び出された。

育児のやり方を注意されると、逆切れしてマロニーを残して去って行った。

マロニーは施設に送られることとなった。

 

16歳になったマロニー(ロッド・パラド)。

盗んだ車を乱暴に運転して、事故を起こし、再びフローランスの前に現れた。

マロニーに付いていた教育係は愛想尽かししてやめてしまった。

担当の検事はマロニーに対し、更生が期待できないとして少年刑務所へ入れるように意見を述べた。

しかし、フローランスは教育係にヤン(ブノワ・マジメル)をつけ、矯正施設へ入れることを決めた。

 

マロニーは心が弱く、一人になると母を求めて泣いているのに、いつも粗野で暴力的。

精神も不安定。

学校や学びへの興味も薄い。

いつもひとりぼっちでイライラしている。

 

そんなマロニーにも親しい女友達ができた。

施設の教員の娘のテス(ディアーヌ・ルーセル)。

 

次第に心の安定を得て、更生に向かうと思われたが、やはり些細なことで激高、あろうことか身重の施設長の先生に暴力を振るってしまった。

この件で少年刑務所送りに。

でも、テスはマロニーの子供を身ごもっていた。

 

テスは中絶を決心して手術を受けようとするが、マロニーは刑務所を脱走してテスの元にやってきた。

 

この件から、マロニーは刑務所でも模範生となり、出所。

赤ちゃんを抱いて、フローランスを訪れる。

 

いろいろ考えさせられる映画でした。

母親の愛情を感じずに育った子供は、こんなにも情緒不安定なのか。

でも、それは生育歴だけが問題なのか、本人の資質には問題はないのか。

教育係のヤンも過去にはマロニーのような経験をしているようでしたが、ヤンは結局離婚し、子供も作れなかったようでした。

このように、問題のある育ち方をした人は、大人になっても問題を抱えているのか。

 

それでも、「悪い子」と決めつけないで、更生の余地を探る社会のシステムは大切だと思いました。

人って弱いなあ、とも思いました。

だから支える人、支える社会のシステムが大切なんですね。

どんなに辛くても、希望を見出して生きていく、生き続けることが一番大切ですものね。

 

子供を授かったので更生したというストリーには、少し安易すぎる気もするのですが、マロニーとテスのまっすぐな眼差しを信じたいと思いました。

ブノワ・マジメル、スクリーンで久しぶりに拝見しました。

うだつの上がらない中年男性の役があまりにぴったりで、びつくりしました。




シングストリート 未来への歌

2017-03-08 10:34:09 | 映画ーDVD

ーシングストリート 未来への歌ーSING STREET

2015年 アイルランド、イギリス 106分

 

監督・脚本=ジョン・カーニー キャスト=フェルディア・ウォルシュ=ピーロ (コナー) ルーシー・ボーイントン (ラフィーナ) マリア・ドイル・ケネディ (ペニー) エイダン・ギレン (ロバート) ジャック・レイナー(ブレンダン)

 

【解説】

『ONCE ダブリンの街角で』などで知られるジョン・カーニー監督の半自伝的青春ドラマ。1980年代のアイルランド・ダブリンを舞台に、さえない日々を送る14歳の少年が一目ぼれした少女を振り向かせるためバンドを組み、音楽活動に没頭する姿を描く。主題歌を、カーニー監督作『はじまりのうた』に出演したマルーン5のアダム・レヴィーンが担当。音楽がつなぐ出会いや少年たちの青春を、デュラン・デュラン、ザ・クラッシュ、ザ・ジャムなど当時のヒット曲が彩る。

 

【あらすじ】

1985年、ダブリン。両親の離婚やいじめで暗い日々を過ごすコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は、音楽好きな兄と一緒にロンドンのミュージックビデオを見ることが唯一の楽しみという14歳。ある日、ラフィナ(ルーシー・ボーイントン)を見掛け瞬く間に恋に落ちた彼は、思わず「僕のバンドのPVに出ない?」と口走ってしまう。慌ててバンドを組んだコナーは彼女を振り向かせようと、クールなPVを撮るため音楽活動に奔走する。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

女の子に振り向いてもらいたくて音楽を始めた、というのはよく聞く話。

この作品の主人公コナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)もそうでした。

学校の前の家のステップに佇む一人の少女ラフィナ(ルーシー・ボーイントン)。

ラフィナを見たその時、コナーの脳にはビビッと電流が走ったのでしょう。

次の瞬間、コナーは彼女に近寄り「僕のバンドのMV(ミュージックビデオ)に出てくれない?」と言っていました。

自分のバンドなんてないし、自分は細々と曲を作っているだけで、演奏経験もないのに!!

 

コナーは1985年のダブリンに暮らす中学生。

兄と姉、両親の5人暮らしだが、不況で父は失業中、母のパートの収入が一家の収入源だった。

兄ブレンダン(ジャック・レイナー)は大学をやめてニートになっているし、両親は不仲で離婚へ向けての協議中。

コナーは、今の私立中学をやめて、授業料の安い中学に転校するように言われた。

転校した中学の名前が「シングストリート」。

はっきり言って、荒れた中学。

おまけに校長が独善的で暴力的という、最悪の中学だった。

 

ラフィナは、シングストリート中学の向かえにある孤児院に暮らしていて、モデルになることを夢見ている。

ラフィナには年のずっと上の恋人がいたが、コナーは気にしない。

 

急遽、友達とバンド仲間集めをして「シングストリート」というバンドを結成。

どうにかMVの作成というところまでこぎつけた。

ラフィナも約束の場所に現れ、MVを取り始める。

 

個性的なバンド仲間が集まり、音楽への増資も深まり、オリジナル曲も増えていった。

その指導的な役割を果たしたのが、引きこもりニートの兄ブレンダン。

貧しさのために、自分の夢を諦めてしまったブレンダンが、コナーに教示するところがとても素敵です。

ここが見所という感じです。

 

ラフィナは恋人とロンドンへ行くが、失敗してまた帰ってきた。

コナーは学校での演奏し、校長の非難をする歌を披露して演奏会は大混乱に。

 

そしてコナーとラフィナはブレンダンに手伝ってもらって、おじいちゃんが残した船に乗ってロンドンを目指す。

 

10代の初々しい船出のラストです。

 

とても希望のもてる力強いラストでした。

ジョン・カーニー監督は「ONCE ダブリンの街角で」も「はじまりのうた」もハッピーエンドにはならなかったけど、この作品は爽やかなラストで、とても良かったと思いました。


ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出

2017-03-08 10:27:48 | 映画ーDVD

ーロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 ーA ROYAL NIGHT OUT

2015年 イギリス 97分

 

監督=ジュリアン・ジャロルド キャスト=サラ・ガドン (エリザベス王女) ベル・パウリー (マーガレット王女) ジャック・レイナー (ジャック) ルパート・エヴェレット (国王ジョージ6世)

 

【解説】

19歳のエリザベス女王が非公式に外出を許可された実話をベースに、お忍びで自由を満喫した一夜限りの冒険を描くドラマ。戦勝記念日に沸く街中で、庶民の生活に初めて接した王女が数々の出会いを通じて統治者として果たすべき責任を自覚していく姿を映し出す。王女を演じるのは『アンチヴァイラル』などのサラ・ガドン。史実を織り交ぜつつ語られる、王女の最初で最後の心躍る体験に笑みがこぼれる。

 

【あらすじ】

1945年5月8日、ドイツとの戦争に終止符が打たれたロンドンでは、人々が戦勝記念日を祝っていた。この機会を逃せば二度とチャンスはないと察した19歳のエリザベス王女(サラ・ガドン)は、父親の国王ジョージ6世(ルパート・エヴェレット)に対して宮殿の外に出たいと懇願する。何とか許可をもらえた彼女は、妹マーガレット(ベル・パウリー)と共にオシャレしてお忍びでホテルに向かうと……。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

1945年の戦勝記念日にエリザベス女王と妹のマーガレット王女が非公式に外出したという事実はあるようですが、この映画のような大冒険はフィクションです。

そりゃあそうでしょうね。

 

この夜のマーガレット王女をモデルに「ローマの休日」ができたとか。

確かに、作り手の想像力が掻き立てられる出来事ですね。

 

このお話もとても素敵です。

 

戦勝記念日を国民たちと祝いたいと、エリザベス(サラ・ガドン)とマーガレット(ベル・パウリー)は、国王夫妻にお願いして、外出の許可をもらった。

マーガレットはお付の軍人たちが浮かれて目を離したすきに、舞踏会の開示ようを抜け出した。マーガレットとはぐれたエリザベスは、妹を追いかけてバスに乗る。

でも、バス代もなくて、海軍兵のジャック(ジャック・レイナー)に助けてもらう。

 

ピカデリーサーカスで妹を見かけるが、雑踏に紛れ、見失う。

人々は戦争の常圧から解放されて、熱狂していた。

ジャックと一緒に、バッキンガム宮殿のバルコニーから手を振る父国王ジョージ6世(ルパート・エヴェレット)の姿を見て、国王が愛されているのを感じた。

さらに妹を探して、王女の身では絶対にいけない娼館や、海兵隊の宿舎のパーティなどを回り、ドタバタ劇が続く。

 

そして明け方、マーガレットだけを宮殿に帰し、ジャックの家を訪れて彼の母に会い、人々の苦労を身にしみて感じたエリザベス。

戦争に対する考えも変わっていく。

ジャックを宮殿の朝食に誘い、両親に会わせて、もう一度海兵隊へ戻るように促した。

ジャックは、無断で海軍から抜け出していて、点呼に戻らなければ脱走兵となるからだ。

 

こうしてエリザベスの一夜の大冒険が終わりました。

ありえない話ですが、御年90歳を過ぎてなお、国民から愛され続けているエリザベス女王なら、溌剌とされていた青春時代を想像するのも楽しい感じがします。

 

イギリス王室をテーマにした作品って、多いですね。

2006年の「クイーン」とか、2011年の「ウォリスとエドワード英国王冠をかけた恋」。

2010年の「英国王のスピーチ」はまさにエリザベスの父ジョージ6世を描いたものでした。

なんだか、シリーズものを見ている気分ですね。


海難1890

2017-03-01 12:25:39 | 映画ーDVD

ー海難1890ー

2015年 日本、トルコ 132分

 

監督=田中光敏 キャスト=内野聖陽 (田村元貞) ケナン・エジェ (ムスタファ/ムラト) 忽那汐里 (ハル/春海) アリジャン・ユジェソイ (ベキール) 小澤征悦(藤本源太郎) 夏川結衣(お雪) 竹中直人(工藤)

 

【解説】

日本とトルコの長年にわたる友好関係をテーマにしたドラマ。海難事故に遭ったトルコ軍艦エルトゥールル号への日本人による救援と、トルコ人によるイラン・イラク戦争時の在イラン日本人救出という、両国の絆を象徴する二つの出来事を見つめる。監督は『精霊流し』『サクラサク』などの田中光敏。『臨場』シリーズなどの内野聖陽、『許されざる者』などの忽那汐里、『孤高のメス』などの夏川結衣らが出演する。約100年という歴史をまたいだ展開はもちろん、日本とトルコの知られざる物語にも胸を打たれる。

 

【あらすじ】

1890年、和歌山県串本町沖。後のトルコであるオスマン帝国の親善使節団を乗せた軍艦エルトゥールルが座礁して大破、海に投げ出された乗組員500名以上が暴風雨で命を落とす。そうした過酷な状況下で、元紀州藩士の医師・田村元貞(内野聖陽)やその助手を務めるハル(忽那汐里)ら、地元住民が懸命の救援活動に乗り出す。イラン・イラク戦争中の1985年、日本政府は危機的状況を理由に在イラン日本人の救出を断念。そんな中、トルコ政府は彼らのためにある行動を取る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

2010年2月にトルコを旅行しました。

このブログにも詳しく旅行記を載せていますが、本当に知らないことばかりで驚き、感動の旅行となりました。

何より驚いたのが、トルコの人たちが私たちが日本人だというだけで親しみを示してくれたことです。

中にはハリウッドスターになったのかと戸惑うくらい、一緒に写真を撮り、握手を求めてくる人たちもいました。

トルコと日本は地理的には遠い国でずが、こんなに絆があったんだと、トルコに行って気付かされました。

そのきっかけとなったのがこの作品で描かれている海難事故です。

 

劇場公開に行けなくて、DVD鑑賞になったのは残念です。

 

1890年の事故は映画でしっかりと描かれていました。

小さな村の人たちが総出で救出を行う様子には、本当に感動しました。

これこそ、なんの見返りも求めず、ただ人道的に行動した尊いものだと思います。

だから、100年以上を経た1985年に起こったイラン・イラク戦争で、空港が閉鎖をされるという時、取り残された日本人のためにトルコが救援機を出して、しかもトルコ人達は自分達の席を譲ってまで、助けてくれたということにつながる絆が築けたのでしょう。

 

日本人にはこの作品をよく見て、トルコの人たちとの絆をしっかりと確認して欲しいと思うのですが、でも、1985年の時、なぜトルコに頼らなければならなかったのか、なぜ日本が日本人を助けられなかったのかという事実に関しては、日本国に反省してもらいたいなあという思いが湧き上がりました。

それはいろいろ理由があったでしょう。

でも、トルコの人を犠牲にしていい話ではありません。

 

この話は、1985年3月17日、48時間の猶予期限以降にイラン上空を飛ぶ航空機は、無差別に攻撃するとサッダーム・フセイン大統領が突如宣言したことに始まります。

「この宣言後、イランに住む日本人以外の外国人はおのおの自らの国の航空会社や軍の輸送機によって順次イランから脱出していった。ところが、日本においてはそうではなかった。ただちに日本航空にチャーター便の派遣を依頼したのだが、同社のパイロットと客室乗務員が組織する労働組合は、組合員の安全が保障されないことを理由にいずれもこの要請を拒絶した。その間、在イラン日本大使館では手を尽くして救援機を派遣した各国と交渉したものの、いずれの国家も自国民救出に手一杯であり、希望者全てを乗せてもらうことは到底かなわず、いまだ200名を超えるイラン在外日本人が全く脱出方法が見つからずに、生命の危機に瀕する状況にあった」(ウィキペディアより)

さらに、「当時の自衛隊法は、自衛隊の外国における活動を人道目的を含めて想定しておらず、また、イランまでノンストップで飛行できる航空機が配備されていなかったため、自衛隊を派遣するのは事実上不可能だった」(ウィキペデイァより)そうです。

 

取り残されてしまった人の中には、日本人学校の人たちもいたし、女性や子供達もいました。

それなのに救援機を送らないなんて、日本国への信頼が揺らいだ感じがしました。

 

トルコとの友好万歳、では終われない後味の悪さを感じました。

 

今では法律が改正され、自衛隊が邦人救出できるようになっているそうです。

でも、何がどうあれ、命の危機に瀕している人があれば、能力があるなら助けに行くのが人道的ではないかなあ。

ましてそれが日本人なら、日本国は何が何でも助けるべきじゃないのかなあ。


団地

2017-03-01 12:21:04 | 映画ーDVD

ー団地ー

2015年 日本 103分

監督=阪本順治 キャスト=藤山直美 (山下ヒナ子) 岸部一徳 (山下清治) 大楠道代 (行徳君子) 石橋蓮司 (行徳正三) 斎藤工(真城) 

 

【解説】

日本アカデミー賞監督賞やブルーリボン賞監督賞などに輝いた『顔』の藤山直美と阪本順治の主演、監督のコンビが、およそ15年ぶりに再び組んだ異色ドラマ。とある団地に引っ越してきたいわくありげな夫婦と、彼らが抱える秘密を暴こうとする住人たちが騒動を巻き起こす。『正しく生きる』などの岸部一徳をはじめ、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工らが結集する。先の読めない展開はもちろんのこと、クセあるキャラたちにふんしたキャストが織り成すストーリー展開も見どころ。

 

【あらすじ】

商店街の一角で営んでいた漢方薬店を閉め、その住居兼店舗を売却し団地に移り住んだヒナ子(藤山直美)と清治(岸部一徳)の夫婦。パートに出るヒナ子と散歩ばかりしている清治だったが、ふいに清治の姿が見えなくなってしまう。さらに、彼らの部屋にスーツ姿で日傘を差す謎めいた男が出入りするように。やがて、ヒナ子が清治を殺して死体を隠しているといううわさが流れ、それを聞き付けたテレビ局が取材に訪れる。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

藤山直美さんが乳がん治療専念のため、舞台が中止になったというニュースが届きました。

1日も早い回復をお祈りしています。

 

この映画は森山直美が出演するなら間違い無いだろうと思って見た作品です。

さらに共演陣が大御所で面白そう。

 

ヒナ子(藤山直美)と清治(岸部一徳)の夫婦は、商店街で漢方薬局を営んでいましたが、一人息子の死によって、店をたたみ、団地に引っ越してきました。

ヒナ子はスーパーにパートに出ています。

でも、慣れない仕事で、店長に叱られてばかり。

清治は毎日裏山に登って散歩三昧。

 

彼らの部屋を訪ねるのはただ一人、漢方薬を注文しに来る青年(斎藤工)と、漢方薬を受け取りに来る宅配の人だけ。

この宅配の人も、いつも下痢をしていて怪しい。

 

団地の人達は、この不思議な新入り夫婦に興味津々。

町内会長の行徳夫妻(石橋蓮司、大楠道代)は清治夫婦に近づき、町会長選挙に出馬するように進める。

 

しかし、町会選挙では行徳が勝ち、ショックを受けた清治は家に引きこもってしまう。

誰が来ても姿を現さず、やがてヒナ子が清治を殺したと噂が立つ。

一方で、正体不明の青年が、自分は宇宙人で、虚弱体質の自分たちに合った薬は清治が作ったものであると打ち明けた。

もうすぐ地球を去るので5000人分の薬が欲しいという。

 

清治たちは薬を作る代わりに、自分たちも宇宙に連れて行くようにお願いをする。

薬を作り上げ、清治夫婦は宇宙船に乗り込むが、大切なものを忘れてきたことを思い出して…。

 

ラストは時空が歪んで、息子も死なず元気な姿で日常を過ごしているというハッピーエンドでした。

息子を亡くしたという思いを抱えているので、直美さんも一徳さんもいつものおかしさは抑え気味でした。

そこが少し物足りなかったかなあ。

 

斎藤工さんが宇宙人というのは、よく考えたなあと感心するくらいぴったりでした。