マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

青いドレスの女

2008-02-15 19:06:14 | 映画ーTV
ー青いドレスの女ーDEVIL IN A BLUE DRESS
1995年 アメリカ カール・フランクリン監督 デンゼル・ワシントン トム・サイズモア ジェニファー・ビールス ドン・チードル モーリー・チェイキン テリー・キニー メル・ウィンクラー リサ・ニコル・カーソン レニー・ハンフリー

【解説】
市長選に立候補中の大富豪カーターの愛人で、3万ドルの大金を持ち逃げしたダフネを捜すという仕事を引き受けた黒人労働者イージー。彼はダフネの前の愛人である黒人ギャングの情報を得た後、警官に逮捕されてしまうが、かつてカーターと市長選で争った資産家テレルも接触してきた。やがてイージーの元に、ダフネ本人からの連絡が入る。青いドレスに身を包んだダフネの美しさに息をのむイージー。だが彼女の頼みで同行した場所には死体が転がっていた……。40年代のロスを舞台にしたW・モズレイの『ブルー・ドレスの女』の映画化。(allcinema ONLINE)

【感想】
まるでレイモンド・チャンドラーの小説のようなハードボイルドな映画でした。
アメリカのギャング時代の失業中の黒人イージー(デンゼル・ワシントン)が主人公。

イージーが行きつけの飲み屋で求人広告を見ていると、大統領候補カーターの元婚約者ダフネ(ジェニファー・ビール)を探してくれと依頼があった。

渋々ながらも引き受けて、ダフネのいるといわれる秘密バーに行き、彼女の女友達と出会う。
彼女の誘惑に乗り、朝まで関わっていたら、その後彼女は死体となって発見される。

ダフネに会い、彼女が生きたいという場所に行くと、ここにも死体が!!

手を引こうにも、ふたつの殺人事件の容疑者となり、カーターのライバルテレルもイージーに接触してくるし、謎は深まるばかり。

手に負えないと助っ人を求めたのが、幼なじみのマウス(ドン・チードル)。

彼の登場で、映画の雰囲気は一変しました。
このころからすごい人だったんですね。

このマウスって人物、いわゆる切れた人で、その人が2丁拳銃を振り回すからアブナくてしょうがないんだけど、彼のキャラクターの良さで笑えます。

惜しいのは、ダフネの存在感のなさ。
ジェニフアー・ビールは「フラッシュダンス」であんなに輝いていたのになあ。
なぜか、魅力が足りなかったです。

もっとも、出生に秘密を持つ薄幸な美女という役どころなので、これでいいのかもしれませんが。


「シャンハイ・ヌーン」「シャンハイ・ナイト」

2008-02-15 19:04:33 | 映画ーDVD


ーシャンハイ・ヌーンー
200年 アメリカ トム・デイ監督 ジャッキー・チェン オーウェン・ウィルソン ルーシー・リュー ブランドン・メリル ロジャー・ユアン ザンダー・バークレイ ユー・ロングァン

【解説】
1881年、中国・紫禁城からペペ姫が誘拐された。犯人は身代金として金貨10万枚、人質との交換場所をアメリカ・ネヴァダ州カーソン・シティと要求してきた。だが身代金を運ぶためアメリカへ渡った一行は、列車強盗に遭遇。カバン持ちチョン・ウェンは仲間とはぐれるが、荒野の果てで出会ったのは仲間から見放され砂漠に埋められていた列車強盗団のボス、ロイ・オバノンだった。やがて意気投合した二人は、協力してペペ姫を救出しようとする。(allcinema ONLINE)

【感想】
この映画は、カンフーとウエスタン、発想の新鮮さが売りなんでしょうね。

ジャッキー・チェンのアクションとオーウェン・ウィルソンのおとぼけ。
うまくかみ合っているのかな?
私には少し謎でした。

ルーシー・リューのお姫様、もう少しはちゃめちゃでもよかったんじゃないかなあ。
わりと、型通りの作りでした。

ジャッキーのインディァンメイクとか、おすわりする馬だとか、かわいい仕掛けはいっぱいありました。



ーシャンハイ・ナイトー
2003年 アメリカ デヴィッド・ドブキン監督 ジャッキー・チェン(チョン・ウェン)オーウェン・ウィルソン(ロイ・オバノン)ドニー・イェン(ウー・チョウ)アイダン・ギレン(ラスボーン卿)ファン・ウォン(リン・ウェン)

【解説】
 1880年代、アメリカ西部の町。ここで保安官をしていたチョンのもとに中国にいる父親が殺され、皇帝の印が盗まれたとの報せが届く。その報せを寄こしたチョンの妹リンは、そのまま犯人を追ってロンドンに向かった。父の復讐と妹の身を守るためチョンもまたロンドンへ向かう決意をする。彼はロンドンまでの旅費を受け取るためニューヨークにいたかつての相棒のロンのもとを訪ねる。お調子者のロンも、チョンの話を聞き一緒にロンドンまで同行することに。船に乗り無事ロンドンに到着した2人は、さっそくリンの行方を捜すのだったが…。(allcinema ONLINE)

【感想】
「シャンハイ・ヌーン」の続編ですが、監督も違うし、主演の二人以外はキャストも全然違いました。
お座りする馬だとか、ロイの妄想だとか、前作踏襲のセオリーは見られましたが。

オーウェンのキャラが際立って、こっちの方が面白かったです。

ロンドンが舞台なだけに、シャーロック・ホームズやチャーリー・チャップリンなんかの名前で笑えました。

恭蔵さんのお墓参り

2008-02-14 10:32:21 | 旅行
11日の朝、恭蔵さんのお墓参りに行くというので、私たちも同行させてもらうことにしました。
お墓には、恭蔵さんのお父さん、所縁の人たち、ファンが大勢集まりました。
お坊さんの読経の中、ひとりひとりお墓にお線香をお供えして、冥福を祈りました。

 在りし日の恭蔵さんを偲び、大勢の人がお参りした。

 恭蔵さんのお父さんと談笑する大塚まさじさん。うしろには「プカプカ志摩実行委員会」実行委員長の浜口さん、舞台監督の福岡風太さん、加川良さんの顔も少し見える。


伊良湖から志摩へー「恭蔵とKUROの音楽まつり」

2008-02-14 10:23:32 | ライブ
10日、伊勢志摩に行く予定なのに、名古屋はまだ高速が使えなくて、焦りました。
「どうやって行く?」
結局伊良湖まで行って、フェリーで鳥羽に渡ることにしました。
いいお天気だったし、それは大正解でした。

伊良湖から鳥羽まで55分、あっという間の船旅でした。

 志摩文化会館の入り口、コンサートのために飾り付けられていました。

志摩に行くのは「恭蔵とKUROの音楽まつり」というイベントに参加するためです。

西岡恭蔵さんは志摩町和具の出身で、先に奥さんで作詞家のKUROちゃんを亡くして、ご自身は9年前に亡くなられました。
この音楽まつりは、西岡さんのことを多くの人に知ってもらい、音楽で町を活性化しようと活動する、同級生の浜口三代和さんたちでつくる「プカプカ志摩実行委員会」(20人)が主催した、ということです。
こちら

 高く掲げられたモロちゃん作のラブ&ピースの旗

立派な町立会館「志摩文化会館」。
会館の前に特設ステージを作って、お昼からアマチュアバンドの人が演奏して、屋台も出て、とてもにぎわっていました。

 
野外ステージで熱演する人と、観客の人たち。

私たちは3時頃から加わって、ビールを飲み始めて、やっとほっとしました。
昨日の雪がウソのような、ぽかぽかと温かい太陽の恵み。
悪夢は昨日でよかったよね。

4時20分くらいから開場して、5時開演の頃には、通路にまで立ち見客が溢れていました。
結局、700人くらいは入ったのではないかな?



入場の時にはおみやげとしてパールのストラップをいただきました。
本物ですよ!!

 コンサートは大塚まさじさんの司会で始まりました。

出演はまさじさんの他に、モーガンズバー、安宅浩司、金子マリ、加川良、ジャンピングバンビでした。

 モーガンズバー

 金子マリ

 加川良

市長のご挨拶もあり、この会にかける地元の熱気を感じました。

途中で、写真家糸川燿史さんと音楽評論家田川律さんを交えての、恭蔵さんに関する思いで話とスライド上映もありました。

糸川さんが、恭蔵さんの思いでに声を詰まらせるシーンもあり、ジーンと来ました。



ラストは出演者全員による「プカプカ」の合唱。
スタッの人たちも加わっての大合唱でした。
すごく、楽しかった!!

近所の料理屋さんで飲んでいたら、私たちの席の後ろで、スタッフの皆さんの打ち上げが始まりました。
こういうところも、地方ならではのお楽しみです。

ここのお店の女将さんも恭蔵さんの遠い親戚だそうで、懐かしそうに恭蔵さんとの思い出話をしてくださいました。
在りし日の写真も見せていただきました。
女将さん、若くてかわいい!!
いまも、とても素敵ですが。

ここのお料理もおいしかったし、無理をいってつけてもらった地元の純米酒の熱燗も美味しかったです。
ねこざめのお造り、ミル添えをいただきました。
こんなの初めての食感でした。

でも、一番は的矢牡蠣のフライ。
これは絶品。
牡蠣がジューシーで美味しい。
まだまだ食べたい珍しいものがいっぱいありました。

このコンサート、来年もあるそうだから、また来たいなあ。

泊めていただいた和州閣の女将さんのプログにも、このイベントの記事が載っていました。
こちら


雪の中のドライブ旅行ー目的地にたどり着けず

2008-02-13 12:16:24 | 旅行
 大雪から一夜明け、一面に雪が残る名古屋駅周辺=10日午前、名古屋市中村区で、本社ヘリ「あさづる」から(中日新聞) 

2月9日からの連休、ちょっと足を伸ばして伊良湖までドライブ旅行と決めていました。

9日朝、「雪で大変そうだ」と私が騒いでいるのに、夫は足のリハビリに出かけちゃって、出発がお昼頃になってしまいました。
大阪でも、11時頃から雪は降り始めていました。
阪神高速から名神へ、早くも京都東から大津間で渋滞が始まり、路面が凍りだしてすごいのろのろ運転。
まるで吹雪。

雪の名所の関ヶ原とか大垣付近の方がまだスムーズに走れたくらいでした。

雪は激しくなる一方。
東名三好から音羽蒲郡間が4時過ぎに通行止めになって、名古屋市内の高速道路も閉鎖されて、一般道に出るとそこは車で溢れていました。
まるで、道路が駐車場になったように、豊田市から岡崎市まで、ちっとも進みません。
時間は虚しく過ぎて行きます。

伊良湖の旅館には、高速を下りるところから連絡を入れ続けていました。
旅館の人も困惑の様子。
岡崎へ入ったところで、これまで2車線でのろのろ進んでいたけど、隣のトラックが滑ってゆらゆらしだして、うちの車も滑り出して、もう、怖いからここでギブアップ。
宿に電話したら、無理して来なくてもいいようなニュアンス。
「食事は無理ですね、お風呂も12時半で終わります」と。

近くのファミレス「ガスト」で対策を練ることにしました。
夫はあくまで行きたがったけど、宿もキャンセル料なしでいいというし、思い切ってキャンセルしました。

「ガスト」の店員さんに教えてもらって、近くのビジネスホテルに電話したけど、「満室で、今日は高速が止まっているし、どこも無理じゃないですか」という返事。
携帯のヤフーで調べて、なんとか1軒見つけて泊めてもらえることになって、すごくほっとしました。

「ガスト」の店員さんが、道順を丁寧に教えてくれて、また凍った道を走り出しました。
曲がったらホテルというところが結構な上り坂。
上がったものの、駐車場に入れようとしたところでスリップ。
ホテルの人を呼んで来て、雪を掃いたり、タイヤになにかを噛ませたりして、大変な思いをして駐車しました。

駅前の居酒屋で1杯やって、やっとほっとしました。
うー、熱燗がしみるよー。

「ホタルイカの酢みそあえ」が、八丁味噌だったので、ちょっとびっくり。
大阪は白みそですからね。
しかし、ご当地の味、なかなか美味しかったです。

泊めたいただいた「岡崎グリーンリッチホテル徳川園」のお部屋。
飾り物が豪華で驚きました。

地獄に仏、お世話になった方々、ありがとうございました。

歓喜の歌

2008-02-12 11:36:24 | 映画ー劇場鑑賞
ー歓喜の歌ー
松岡錠司=監督 立川志の輔=原作
小林薫(飯塚正)安田成美(五十嵐純子)伊藤淳史(加藤俊輔)由紀さおり(松尾みすず)浅田美代子(飯塚さえ子)田中哲司(北澤直樹)藤田弓子(大田登紀子)根岸季衣(塚田真由美)光石研(五十嵐恒夫)筒井道隆(「リフォーム大田」の客)笹野高史(伊藤茂)塩見三省(大河原勇)渡辺美佐子(大河原フク)斎藤洋介 片桐はいり でんでん 
猫背椿 平澤由美 江本純子 吉本菜穂子 土屋久美子 峯村リエ 於保佐代子 
宮本裕子 波岡一喜 山本浩司 野嵜好美 安田祥子 立川志の輔 立川談志 
リリー・フランキー

【解説】
人気落語家、立川志の輔の同名落語を、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の松岡錠司監督が映画化したヒューマンドラマ。大晦日の市民ホールを舞台に、紛らわしい名前のママさんコーラスグループをダブルブッキングしてしまったことから起こる騒動を描く。“事なかれ主義”の主人公に実力派の小林薫がふんするほか、本作が6年ぶりの映画出演となる安田成美、“日本の歌唱”の第一人者、由紀さおりらが出演。クライマックスの大合唱シーンは圧巻。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
文化会館で働く飯塚主任(小林薫)は、似た名前の2つのコーラスグループを聞き違え、大晦日のコンサートホールをダブルブッキングしてしまう。双方に掛け合うものの、どちらも一歩も譲らず大問題に発展。“事なかれ主義”で生きてきた飯塚だったが、2つのグループの板ばさみとなってしまい途方に暮れる。(シネマトゥデイ)

【感想】
よかったです。
お薦めです。

「邦画が見たい」という夫のご要望にお応えして、見に行きました。

 安田成美さん率いる「みたま町コーラスガールズ」

 由紀さおりさん率いる「みたまレディースコーラス」

みたま町文化会館の主任の飯塚さん(小林薫)は、ことなかれ主義の公務員根性丸出して生きて来た人物。
ガイジンホステスに入れあげて、職場も左遷され、家族とも別居状態。
それでも、懲りない男。
その彼が、こともあろうに12月31日のママさんコーラスのイベントを2つ同時間に受けてしまったことが、前日になって発覚した。
「みたま町コーラスガールズ」と「みたまレディースコーラス」。
名前は似ているけど、全然違うグループです。
「これって、ダブルブッキングっぽくないですか?」と、部下の加藤君(伊藤淳史)。

たかがママさんコーラスだろう、とタカをくくっていたら、それぞれに事情があって前日から予定は変更できない。
「私たちに非があるとおっしゃるの?」と詰め寄る松尾さん(由紀さおり)さんと塚田さん(根岸季衣)さん。
「悪いのは当方です」と引き下がる飯塚さん。
それでも、ちゃらんぽらんやってきた根性はなかなか直りません。

けれども、なんとかしようと努力しているうちに、天然キャラの五十嵐純子(安田成美)はじめ、いろんな人と出会い、いよいよ本気になっていきます。
いくつになっても、生き甲斐を見いだすきっかけってあるもんです。

ラーメン屋の娘さんが語る、おばちゃんのエピソードから涙を拭きだす我が夫。
なんで?これコメディですけど…。

ても、彼も公務員のはしくれ、日頃いろいろ苦労があるのかもしれません。
見終わった後で、「僕の仕事は『ギョーザ』ばかりや」と嘆いていました。
(『ギョーザ』の意味は映画を見たら解りますよ)

最後は小林薫さんの熱演に、私も思いっきり笑っているのに、ああ涙が…

ややっ、前の席のはげ頭に刺繍のジャンバーを着ている怪しいおっちゃんまで泣いているようです。

まるで、中年女性のための映画みたいなのに、おっちゃんも泣く映画みたいでした。
(私には謎ですが)

私はコーラスが好きだし、ママさんコーラスの懐かしい歌を聞いているのも心地よくて、この映画はお気に入りです。
ドラマチックじゃないという意見もあるようですが、私は「フラガール」よりよかったと思いました。

小林薫さんを最初に見たのは伊丹十三監督の「お葬式」の焼き場の人の役で、ちょい役でしたが、あれも存在感があって光っていました。
いい役者さんです。

志の輔さんの落語も聞いてみたいなあ。

アンジェラの灰

2008-02-12 11:32:40 | 映画ーDVD
ーアンジェラの灰ーANGELA'S ASHES
1999年 アメリカ/アイルランド アラン・パーカー監督 フランク・マッコート=原作 エミリー・ワトソン ロバート・カーライル ジョー・ブリーン キアラン・オーウェンズ マイケル・レッグ ロニー・マスターソン ポーリン・マクリン リーアム・カーニー エアンナ・マクリアム 

【解説】
大恐慌に陥った1930年代。アイルランドからニューヨークに渡ったマラキとアンジェラはそこで出会い結婚する。やがてふたりは5人の子どもに恵まれるが、マラキは仕事もなく、失業手当すら酒代に消えてしまう。末娘を亡くした一家は結局故郷のアイルランドに戻ることに。しかし、アンジェラの実家のある街リムリックも決して一家を優しく迎えてはくれなかった……。フランク・マッコートの小説を「ザ・コミットメンツ」のA・パーカーが再びアイルランドを舞台に映画化。(allcinema ONLINE)

【感想】
アイルランドの独立戦争に参加し、国を追われ、アメリカで暮らす一家。
しかし、職はなく貧しく、待望の女の赤ちゃんは死んでしまった。

一家は失意のまま、アイルランドの妻の実家を頼って帰郷するが、そこに待っていたのも、貧しさだけだった。
愛する子供たちが次々と亡くなり、そしてまた新しい命が生まれる。

夫マラキ(ロバート・カーライル)、妻アンジェラ(エミリー・ワトソン)。
そして、この小説の原作者であり主人公であるフランクを3人の子役が演じていました。

時代的には「麦の穂を揺らす風」の次の時代でしょうか。

フランクのお父さんはもとIRAの戦士、プライドばかり高くて、貧乏には向かない男だったのでしょう。
仕事は続かず、稼いだ日銭もお酒に消える。
出稼ぎに行っても、仕送りはなく、無一文で帰って来て、なじられると「出稼ぎに行く」と言ったまま、二度と帰ってはきませんでした。

父を演じていたロバート・カーライルはよかったです。
酒に溺れ、自己愛に満ちたダメ男なんだけど、彼だったら許せると思いました。
教養とかわいげのある男でした。

母を演じたエミリー・ワトソンも素晴らしい。
貧しくて、家の壁を壊して薪にするしかないほどの極貧を、笑い飛ばしてしまう母の強さを、説得力を持って演じていました。

貧しい話でも、辛さがないのは監督アラン・パーカーの力量でしょう。
監督が何度見ても泣くという、フランクにおばさんが就職祝いにと服を買ってくれるシーン、私も涙があふれました。
監督と一緒で、うれしいなあ。

日本の戦後もこのように貧しかったのでしょうね。
でもアイルランドは雨ばかり。
裏町の石畳の道はでこぼこしていて、いつも水たまりができているようでした。
フランクの家はその坂の下にあり、隣はこの街に1カ所の共同トイレ。
1階はいつも水浸しで、冬は二階に避難する。
すざましい、貧しさです。

今のアイルランドは豊かになって、再開発が進み、こういう街が残っていなくて、映画のために作ったセットだそうですが、原作者のフランク・マッコートは、そのままに再現されていたと言っていました。

冷たくて美しささえ感じる街ですが、こんな中で暮らす人々は、心も凍える思いだったでしょう。

フランクがいよいよアメリカに渡るという前の晩、家族揃って月食を見るシーンは、一編の詩のように美しいです。

メイキングで作家のフランク・マッコートが語っていましたが、この話は実話だそうです。
もしそうだとしたら、お母さんは過去が公表されるのはいやだったでしようね。
貧乏は美談ではないですもの。
貧乏から我が子と自分の生命を守るためには、何でもしてきたでしょう。
そう思うと、とても痛い気持ちになりました。

ショート・カッツ

2008-02-12 11:22:48 | 映画ーTV
ーショート・カッツー
1994年 アメリカ ロバート・アルトマン監督 アンディ・マクダウェル ブルース・デイヴィソン ジャック・レモン ジュリアン・ムーア マシュー・モディーン アン・アーチャー フレッド・ウォー ジェニファー・ジェイソン・リー クリス・ペン リリ・テイラー ロバート・ダウニー・Jr マデリーン・ストー ティム・ロビンス ロリ・シンガー ライル・ラヴェット バック・ヘンリー ヒューイ・ルイス リリー・トムリン フランシス・マクドーマンド マイケル・ビーチ

【解説】
メド・フライと呼ばれる害虫を駆除するため、農薬散布のヘリコプターが市街地を飛び回る。都市の上にばらまかれた農薬によって、人々は次第に狂気に陥っていくのか……。ハリウッドを徹底的に皮肉った傑作「ザ・プレイヤー」に続いて、R・アルトマンが豪華キャストで完成させた、3時間を越すユニークな群像劇。レイモンド・カーヴァーのいくつかの短編を基に、10組の人々の日常の中にひそむ非日常を鮮やかに描いている。(allcinema ONLINE)

【感想】
「今宵フィッツジェラルド劇場で」で、興味を持ったアルトマン監督。
この作品は、ご覧下さい、キャストが豪華でしょう?

この作品は、ロサンゼルスにメド・フライと呼ばれる害虫を駆除するため、ヘリコプターから農薬散布された夜から、大地震に教われる夜までの、様々な人たちの生活が描かれています。
だから、あまりドラマティックとは言えない、平凡な日常生活です。

でも、それはそれで、ひとりひとりにとっては大問題。

たとえば、人気ニュースキャスターの一家(夫ブルース・デイヴィソン、妻アンディ・マクダウェル)。
ある日、一人息子が車に轢かれた!!
事故現場からは歩いて帰って来たのに、脳に血腫ができて意識不明が続いたあげく、とうとう死んでしまった。
死の床にある孫の元へ、祖父(ジャック・レモン)が訪ねて来た。
父が幼い時に別れたその父。
そして、懺悔にも似た打ち明け話をする、母の妹との情事。
いまさら、言われても、このじいさん何しに来たの?息子は呆れて病室にも乗ってしまう。

この子供を車で轢いたのはウエイトレス(リリー・トムリン)。
彼女の夫はリムジンの運転手(トム・ウェィツ)。
彼は飲んだくれで、ふたりはくっついたり離れたりを繰り返している。
腐れ縁とでも言うのでしょうか?
これはこれで、二人は仲がいいようです。

その娘(リリ・テイラー)とメイクアップ・アーティストの夫(ロバート・ダウニー・Jr)。
お金持ちの人の留守番に行って、肉食魚に生き餌をやったり、妻に暴力を受けた後死んだようなメイクをして、それを写真に撮って楽しんだりしている。

この二人の友人でプール掃除屋(クリス・ペン)とテレフォンセックスのアルバイトをしている妻(ジェニファー・ジェイソン・リー)。
子供のおしめを替えながら、変態の相手。
夫はニュースキャスターの家のプール掃除もしている。

この2組の夫婦はしょっちゅう一緒に遊んでいて、ある日、ピクニックに行って女房どもに内緒でおねえちゃんをナンパしようと思ったまではよかったが、なぜかプールの掃除屋が女の子を石で殴り倒してしまった!!

この夫婦がよく通っている場末のパプでは、かつてスターの頂点にいた女性ジャズシンガー(アニー・ロス)がライブをしている。
彼女にはチェロを弾いている娘(ロリ・シンガー)がいるが、最近彼女が精神的に不安定。
家はニュースキャスターの隣。
隣の男の子が事故で死んだことにショックを受け、自分も自殺してしまう。

このチェリストのアンサンブルを、ニュースキャスターの息子の主治医(マシュー・モディーン)とその妻(ジュリアン・ムーア)が聞きに来ていた。
妻が有名人を見つけ、その事が縁で隣に座っていたの夫婦と仲良くなり、彼らを家に招くことになった。

仲良くなった夫婦は、失業中の夫と、ピエロのパフォーマーの妻。
夫は、招かれた手みやげに魚釣りに出かける。
そこで、川に沈んでいる若い女性の全裸の死体を発見する。
でも、それを放置したまま魚釣りに3日間興じ、その後に通報した。
それを聞いた妻は、なんと非人間的な好意と憤り、密かに被害者の葬式に参列した。

医師の妻は絵描きで、妹(マデリーン・ストー)をヌードモデルにして大きな絵を描いている。
この二人は理想のカップルを演じているが、夫は妻が3年前のパーティで浮気をしたのではないかと疑っている。
問いつめられた妻は、ものの弾みでといいながら告白を始めた。

医者はがっかりするが、レイの夫婦が、釣った魚を手みやげに来たので気を取り直し、バーベキューでもてなした。
その後、ピエロの格好をさせてもらって一晩中、乱痴気騒ぎをする。

医師の妻の妹は警官(ティム・ロビンス)の妻だが、夫は不倫している。
ウソはすぐばれるので、夫をいたぶっては楽しんでいる。

警官の不倫の相手(フランシス・マクドーマンド)の夫は、農薬散布のヘリコプターの操縦士だが、この夫婦は破綻している。

妻は一人息子を連れ、別の愛人と旅行している間に、夫がチェーンソーを使って家をめちゃめちゃにしてしまった。
恋人に送ってもらって、家に入った彼女はびっくり。

こういう中に大地震が起こる。
それぞれの持ち場で仕事をこなし、また日常に戻っていくー

死体と死と疑似死が出て来て、やはり死がテーマかなあと思わせますが、登場人物がみんな深刻そうな顔をしながら、軽薄です。
その方がよっぽど問題があるのではないかなあ。

でも、こういうところがアルトマンの天才的なところなのではないでしょうか。
軽薄なりに調和がとれているのです。
たくさんのエピソードを追いかけながら、矛盾がない。
ただただ、恐れ入った映画でした。

から騒ぎ

2008-02-03 10:49:40 | 映画ーTV
ーから騒ぎー
原題: MUCH ADO ABOUT NOTHING
1993年 アメリカ ケネス・ブラナー監督 ウィリアム・シェイクスピア原作
ケネス・ブラナー エマ・トンプソン デンゼル・ワシントン ロバート・ショーン・レナード キアヌ・リーヴス ケイト・ベッキンセイル マイケル・キートン

【解説】
戦いから戻ったドン・ペドロ(ワシントン)一行を民は歓喜の声で迎える。その夜の宴でドン・ペドロは、クローディオ(レナード)の気持ちをヒーロー(ベッキンセイル)に伝え二人の婚礼が決まった。ドン・ペドロと仲の悪い異母弟のドン・ジョン(リーヴス)は二人の結婚を妨害しようと策をめぐらす。一方、そんなことは知らない皆は、顔を合わせれば喧嘩ばかりしているベネディック(ブラナー)とベアトリス(トンプソン)の仲を何とかしようと作戦を練っていた……。(allcinema ONLINE)

【感想】

 監督・出演のケネス・プラナー

以前、TV放送されていたのを録画したものです。
DVDは発売されていないようです。
従って、画像もありませんでした。

すごく楽しい作品でした。

シェイクスピアの長セリフが、とても詩的で耳に心地よいです。

この作品を見ていたら、恋をしたいなあ、恋って素敵だなあ、という気持ちになります。
恋人の一言一言に喜んだり、傷ついたり。
ベネディック(ブラナー)が愛する人のために決闘を申し込みに行ったところは、感動ものでした。

 エマ・トンプソン

この当時、ケネス・プラナーとエマ・トンプソンは夫婦だったとか。
早口の掛け合いも、ぴったり息があっていました。

夜警たちが面白い。
敬語を使っているつもりが、正反対の軽蔑する言葉になっているんだけど、登場人物たちはみんなそれを知っているから、間違いを指摘することなく、尊敬語として受け入れるの。
そういうおおらかさも、この作品によく合っていました。

明るく、さわやかな恋のから騒ぎ。

 ドン・ジョン(キアヌ・リーブス)だけが、最初から最後までふてくされた役で、かわいそうみたいでした。

ヘイヴン 堕ちた楽園

2008-02-03 10:42:24 | 映画ーTV
ーヘイヴン 堕ちた楽園ー原題=HAVEN
2004年 アメリカ/イギリス/ドイツ/スペイン フランク・E・フラワーズ監督 オーランド・ブルーム(シャイ)ビル・パクストン(カール・リドリー)スティーヴン・ディレイン(アレン氏)ゾーイ・サルダナ(アンドレア)ラズ・アドティ(リッチー・リッチ)アグネス・ブルックナー(ピッパ・リドリー)ヴィクター・ラサック(フリッツ)リー・イングルビー(パトリック)アンソニー・マッキー(ハンマー)

【解説】
カリブ海のケイマン諸島を舞台に、裕福な家の娘と恋に落ちた青年、脱税の罪でFBIに追われて島にやって来たビジネスマンとその娘らの運命が交錯するスリリングな人間ドラマ。監督はケイマン諸島出身で本作が長編デビューとなるフランク・E・フラワーズ。出演は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのオーランド・ブルーム。何人ものキャラクターの物語が絡み合う構成と、製作にも名を連ねたオーランドの熱演に注目。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
ビジネスマンのカール(ビル・パクストン)は脱税の容疑でFBIに家宅捜査されることを知り、愛娘のピッパ(アグネス・ブルックナー)を連れてケイマン諸島へ逃亡した。一方、島の青年シャイ(オーランド・ブルーム)は、裕福な家の娘アンドレア(ゾーイ・サルダナ)と結ばれるが、一転して暴行容疑をかけられてしまう。(シネマトゥデイ)

【感想】
マイアミから、脱税容疑をかけられて、ケイマン諸島へ逃げてきたリドリー(ビル・パクストン)とピッパ(アグネス・ブルックナー)親子。
一方、シマ育ちで不幸な過去を持つシャイ(オーランド・ブルーム)とアンドレア(ゾーイ・サルダナ)の若いカップルの悲恋。
この二つのお話が、美しいケイマン諸島の自然を背景にして描かれていきます。

ケイマン諸島は、映画によく登場しますね。
マネーロンダリングが行われているところみたいですね。
今回のこの映画では、「昔ある船が難破して、この地にたどりついた。島の人たちは、一生懸命救助した。乗組員の中にイギリス王の息子がいて、感謝した王様は、この地の住人からは未来永劫税金をとらないと約束した」と言っていました。

とにかく、島の自然の美しいところと、外国から観光客や犯罪に絡んだ汚い人たちが入り込んで島をめちゃくちゃにしている現実と、それがこの映画のテーマだと思いました。
監督もこの島出身らしいですね。
島の現状を嘆いているのでしょう。

さて、シャイとアンドレアの悲恋は、まるロミオとジュリエットのようでした。
わりと単純で、新鮮さにかけるような気もしました。

リドリーのストーリーは、ピッパの一夜のお話へと発展していって、登場人物も複雑で裏切りの連続だし、わかりにくいものでした。

シャイの物語とは、直接関係がないし、なんかまとまりがなかったと思いました。
観客が何が重要な情報で、何が必要ないのか、迷ってしまいます。

あとで、がーっと説明していくのですが、説明するくらいなら、最初から時系列をずらす必要はなかったのにと思いました。

オーランド・ブルームは、こういうシリアスな映画でも妙に明るくて、浮いている感じがするのは私だけでしょうか。
「ケリー・ザ・ギャング」の時もそう思いました。
「エリザベスタウン」みたいな映画なら、とても感じがいいと思ったんだけど。

彼の人柄のよさが、にじみ出てしまうのか、私がそう見てしまうのか?