マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

「月のまつり in 基山'09」

2009-09-28 13:32:27 | ライブ


大塚まさじの追っかけである私たち夫婦は、大塚さんから何度も「月のまつり」のお話を伺って、ぜひ機会があれば参加してみたいと思っていました。
今年は9回目で、当初の予定で10年で終わるということなので、今年こそ、と思い立ち、夫婦そろって参加しました。
大塚さんのお話から、「場所は、山全体がお寺というところで、そこの敷地のいろんな場所で月のまつりを開催して来たけれど、集まってくる人たちがとても温かく、また、主宰している人が完全手作りでやっている」という理解でしたので、どんな田舎かな、と想像していました。

住所を見ると、博多から行くというのに佐賀県基山町宮浦!!
さらに田舎という先入観が深まりましたが、着いてみると在来線で30分、博多のベッドタウンという感じの町でした。
そこからタクシーで10分ほどの、因通寺のたけのこ広場でおまつりは行われていました。

夫の仕事を半日終えてからの出発となったので、着いたのは4時半くらい、1部は終わっていて、5時から2部が始まるという休憩時間でした。

このおまつりは、因通寺内にある児童施設「洗心寮」の調さんとドラゴンバザールの東さんが、文字通りの手作りで作られているおまつりです。
9年前から始まっていますが、きっかけは徳島で続いている「月のまつり」に調さんが触発されて、自分でもこんなまつりがやりたいと思い、大塚さんに相談したそうです。
大塚さんは、「焦ってもあかん、機が熟したらやろう」と、一時保留になりました。

調さん(右)と徳島の「月のまつり」主催者の伊勢達郎さん

その数年後、調さんから「準備が整いました」と連絡があり、西岡恭蔵さんと大塚さんを巻き込む形で始まったと言うことです。
ドラゴンバザールの東さんは、いろんな地域で「月のまつり」を企画して来た人で、その二人が結びつき、文字通りの手作りで作られているおまつりです。

 東さん

恭蔵さんは亡くなりましたが、大塚さん初めミュージシャンもスタッフも、手弁当で熱い思いを持って続けていることが伝わって来るようなイベントでした。

お彼岸も過ぎたと言うのに、日中はとても暑い日でしたが、2部が始まる頃には涼しい風が吹いて、歌声も心地よく通り抜けるようでした。
半月でしたが月もきれいに顔を出していました。
驚くべきことに「月のまつり」というのに、月が出たのは初めてとのこと。
スタッフの皆さんもとても喜んでテンションが上がっていました。



屋台では、飲み物はもちろん、手作りのカレー、おでん、焼き鳥やお好み焼きなどが豊富に売られ、とても美味しかったです。
バーベキューセットを持ち込んでバーベキューをしているグループもあって、ほんとうに自由に楽しんでいるという感じでした。

夜空には月が…

小さい子供から、お年寄りまでが、それぞれの楽しみ方でコンサートを満喫していました。

 たき火も燃え上がり…

夫が狂喜乱舞したのは「フライングエレファント」の登場。



知る人ぞ知るビートルズのコピーバンドで、「筑豊の宝」呼ぶファンもいるそうです。
1973年ごろから活動しているサラリーマンや自営業者ら四人のグループ。
メンバーは安部米央さん、木村康治さん、手島武文さん、林徳夫さん。
1992年には、ニューヨーク市のカーネギーホールでの公演を成功させ、音楽関係者から高い評価を受けています。
その後も地元九州を中心に活躍しておられて、この前日はホールのコンサートを成功されたとのこと。
こんな小さなステージでも手を抜かず、楽しい演奏を聴かせてくださり、アンコールにも応えてくださっていました。



そんな大盛り上がりのステージの後でしたが、「大塚まさじ」は別格で、熱い声援に迎えられ、歌い終わってもアンコールの後も、ファンの名残惜しい声が飛んでいました。
サポートは長田TAKO和承。

何度も大塚さんのライブには行きましたが、お客さんが踊っているのを見るのは初めてで、「これはすごい!」と、変な感動で胸がいっぱいになりました。
この一体感は何なのでしょう!?



この日のトリは「モーガンズバー」。
一昨年は秋本節と井山あきのりだけで参加したそうですが、今回はフルメンバー岡島善文も加えての、楽しいライブとなりました。

フィナーレは、出演者全員の「プカプカ」と「月のまつり」。
調さんや東さんもステージに上がって、コーラスに参加されていました。



あとの打ち上げで小耳に挟んだのですが、フライングエレファンツの人たちは、大塚さんとは初共演で、「プカプカ」も「月のまつり」も全くの初演奏だったそうです。
それなのになぜ、ぴたりとはまったかというと、モーガンズバーの岡島ぶんさんが、アイコンタクトで指示を送っていたそうです。
ベテランのミュージシャンて、すごいなあと思いました。

また、ぶんさんは「KYOZO&BUN」の結成秘話や、今後のモーガンズバーの活動に関する夢なんかを、楽しくお話ししてくださいました。
気さくなお人柄に大感激しました。

この日は、洗心寮のゲストルームに泊めていただいきました。
朝ご飯のときに、10月3日に徳島で行われる「月のまつり」を主催している伊勢達郎さんとお話しさせていただいて、そちらもまた違った感じで楽しそうでした。
来年はぜひ、徳島にも行かせていただきたいと強く思いました。
伊勢さんは、徳島でフリースクールを主宰されています。
徳島フリースクールのホームページ

心温まるイベントを開いてくださったスタッフの皆様、本当にご苦労様、お疲れ様でございました。
また、来年の最終回も参加しそうです。
そのときは、よろしくお願いします。


ジョン・レノン・ミュージアムへ

2009-09-28 13:28:38 | 展覧会
ージョン・レノン・ミュージアムへー

ジョン・レノンファンの夫の念願だった、ジョン・レノンミュージアムを見学してきました。公式ホームページ

2000年にジョンの生誕60年を記念して、妻のオノヨーコさんの許諾を受けて作られたミュージアムです。

ジョンの生涯を紹介する短いフィルムを見た後、年代順に充実した展示があり、最後の真っ白なファイナルルームまで常設展示がありました。

12月28日までは「ジョンとヨーコが創りだした〝LOVE〟の世界」という特別展があり、カップルで行くと割引サービスがありました。

私にもなかなか興味深い内容でしたが、夫はさらに熱心で、なんと、ショップやラウンジも含めて4時間近くも遊んでいました。

カムイ外伝

2009-09-26 12:19:23 | 映画ー劇場鑑賞
ーカムイ外伝ー
2009年 日本
監督=崔洋一 原作=白土三平 キャスト=松山ケンイチ(カムイ)小雪(スガル(お鹿))伊藤英明(不動)大後寿々花(サヤカ)イーキン・チェン(大頭)金井勇太(吉人)芦名星(ミクモ)土屋アンナ(アユ)イ・ハソン(カムイ(少年時代))山本浩司(-)PANTA(絵師)佐藤浩市(水谷軍兵衛)小林薫(半兵衛)

【解説】
白土三平原作の傑作コミックを『血と骨』の崔洋一が実写化したアクション娯楽大作。忍びのおきてに背き、たった一人で追っ手から身をかわす不屈の主人公の苦悩と孤独を浮きぼりにする。孤高のヒーローをその抜群のセンスで演じるのは、『L change the WorLd』の松山ケンイチ。ヒロインを『ラスト・ブラッド』の小雪が演じている。人気脚本家、宮藤官九郎と監督が共同で手掛けた脚本からあふれ出す人間味に満ちた物語に圧倒される。


【あらすじ】
鉄の意志を持ち、見事な剣の腕前を持つ忍者カムイ(松山ケンイチ)は、おきてにがんじがらめにされた忍びの世界に閉口してそこから抜け出す。かつての仲間、大頭(イーキン・チェン)やミクモ(芦名星)はそんな彼を裏切り者とみなし、執拗(しつよう)にその後を追う。ある日、漁師の半兵衛(小林薫)を助けたことでカムイはその家族に歓迎されるが……。

【感想】
「カムイ伝」は私の青春の書のひとつで、ゴールデンコミックスの13巻から21巻を持っています。
いつか全巻揃えるのが夢だったんだけど、最近になって、「カムイ伝2部」もあることを知りました。
第3部も構想中とか。
ちょっと、気持ちが萎えてしまいました。

とにかく、カムイ伝は難しい。
登場人物もたくさんいて、話も複雑。
第一、肝心のカムイが初めの3巻くらいでほとんど登場しなくなります。

そこで、カムイファンはカムイが主人公のスピンオフ「カムイ外伝」に救いを求めたのでした。
これも、3巻持っていて、これだけだと思っていたら、とんでもないねー。
ウィキで調べたら、第2部もあったんだ!!
映画になっているのはこの第2部の「スガルの島」のようですね。
従って、この話は私の知らない話でした。

「L」の松山ケンイチがカムイを演じると聞いた時から、とても楽しみにしていました。
今、なぜカムイなんだろう、とも思ったし、2004年の「デビルマン」の悪夢もよみがえってきました。
(この作品はいまでも私のワースト1です)
こんなふうに、期待と不安の中で見に行ったわけです。



当時の劇画って、一種独特の時代の雰囲気を映していたし、今とは全然違う、混沌とした感じの中にも、単純な明るさがあった時代だと思います。
いろんな考え方の人がいたにしても、認識は同じ、時代としてのコンセンサスがはっきりしていたと思う。
これが、現在とは大きな違いだと思います。

話は変わるけど、カムイは美形です。(ここが大切!)
いわゆるイケメン。
そして、すごーく強い、意思が硬い、頭がいい。
今で言ったらイチローのようなストイックなヒーローです。

「カムイ外伝」はカムイが抜け忍となって、忍びの世界から追われているというシチュエーションですが、カムイ自身は自らの自由と魂の平和を求めて逃走を続けています。
ただ、自分が生き延びるために人を殺しているのではありません。

なぜ、それほどまでにカムイが自由と魂の平和を得ようとするのか、それが「カムイ伝」の大きなテーマでもあります。
「カムイ伝」のほかの主人公たちも、自分たちの生まれた状況をよりよくするために戦っている大叙事詩です。

カムイは、江戸時代の最下層である、ので生まれ、読んで字のごとく、人とは扱われない暮らしを強いられています。
とても貧しく、嫌われる仕事しか与えられず、百姓から差別されて育ちます。
子供心に、差別されないためにはどうすればいいかを考えて、強くなりたい一心で忍びの組織に入るのです。

カムイが大人になってわかったこと、この社会のしくみそのものが、自分をがんじがらめにしているということ。
誰かを差別して優位に立つことによって、階級社会を作り、権力に歯向かう気力まで萎えさせている世の中。
巧みな権力構造です。

しかも、闇の組織である忍びには、もっと厳しい掟がありました。
そこには、カムイの望む自由や幸福なんて皆無だったのです。
絶望したカムイは組織を抜けます。
きっと、自分の納得のいく生き方がどこかにあると信じて、なにがなんでも生き抜くという強い意志に、共感を覚えたものでした。

学生運動華やかなりし時代、学生たちの鬱屈した閉塞感を代弁しているかのような物語。
「カムイ伝」のもう一方の主人公正助は、仲間と連帯して自由な社会を目指しますが、カムイはドロップアウトしてアウトローの生き方を選んだのでした。
それが「カムイ外伝」!!

さて、もちろん映画はそんな深い共感は望めないとは思っていました。
感動と共感のある劇画ですが、そうはいっても劇画なので、辻褄の合わせ方やリアルという点からは、実写では難しい問題もたくさんあると思いました。

びっくりするくらい前置きが長くなってしまいましたが、ネットでレビューを探して読んでみると、評判がいいとはいえないのです。
一緒に行く夫や娘にも「期待したらあかんみたいよ」と前もっていいました。
私も、すごく覚悟して見ていました。

☆ネタバレ
でも、前半はよかったんではないかな?
「変移抜刀霞斬り(へんいばっとうかすみぎり)」や「飯綱落し(いづなおとし)」など、カムイの得意技が丁寧に描かれていたし、疾走感もよかったと思いました。

伊藤英明の不動もよかったと思うし、サメのCGもありえないけど、べつに問題ないと思いました。

ただ、大頭があまりすごみがなかったことと、謎の絵師が最後まで謎だった!!
それから、佐藤浩市の領主とその妻土屋アンナがストーリーからも浮いていたように思いました。
それから、唐突な毒殺!!
あそこでテンションがぐっと下がってしまって、あとの対決が際立たなかったのが、残念。



原作のエロティシズムや残酷さなどのニュアンスは確かに足りないなあ。
映像はすごく残酷なんだけど、マンガチックで、逆に漫画が原作ということを強調している感じがしました。
でも、これは年寄りの知ったかぶりかもしれないので、今の人の感性にはよかったのでしょうか、どうでしょうか?

夫は酷評していましたが、娘は「面白かった」と言ってくれたので、カムイファンの母としては、ほっとしました。


庭から昇ったロケット雲

2009-09-26 12:17:46 | 映画ーDVD
ー庭から昇ったロケット雲ーTHE ASTRONAUT FARMER
マイケル・ポーリッシュ監督 ビリー・ボブ・ソーントン(チャーリー・ファーマー)ヴァージニア・マドセン(オードリー・“オーディ”・ファーマー)ブルース・ダーン(ハル)ティム・ブレイク・ネルソン(ケヴィン・マンチャク)マックス・シエリオット(シェパード・ファーマー)ジャスパー・ポーリッシュ(スタンリー・ファーマー)ローガン・ポーリッシュ(サンシャイン・ファーマー)マーク・ポーリッシュ(FBI捜査官マチス)ジョン・グライス(FBI捜査官キルボーン)

【解説】
父の死という事情から宇宙飛行士の夢をあきらめ、実家の農場を継いだ男が、自作のロケットで宇宙へ飛び立とうとする感動の家族ドラマ。監督は『ツイン・フォールズ・アイダホ』のマイケル・ポーリッシュ。主人公の農夫を『チョコレート』のビリー・ボブ・ソーントン、その妻を『サイドウェイ』のヴァージニア・マドセンが演じている。奇想天外なストーリーではあるが、夢を信じ続けることの大切さを問うハートフルな作品。

【あらすじ】
空軍パイロットを経てNASAの宇宙飛行士訓練プログラムに参加したチャーリー(ビリー・ボブ・ソーントン)。しかし、父の急死により、彼は実家の農場を継がざるを得なくなる。夢をあきらめたかに見えたチャーリーだったが、帰郷から10年、彼は自分で作ったロケットでの宇宙行きを計画。そんな彼を妻と3人の子どもたちが支える。

【感想】
この映画、なかなか評判がいいんですが、私はちょっと不思議でした。

宇宙飛行士の夢を諦められない主人公チャーリー(ビリー・ボブ・ソーントン)が、自分の農場でロケットを組み立て、打ち上げようというもの。
それを支える、妻と息子。

飛行機じゃなく、ロケット!!

途中では、無謀にも準備が整わないままに打ち上げて、みんなに大迷惑をかけ、自分も大けがをしても、夢を貫いて打ち上げに成功したと言う物語。

支えた家族は、ほんと偉いと思うけど、これって、男のロマンというより、わがままじゃないかなあ、と思いました。

初雷

2009-09-15 13:33:19 | 舞台
ー初雷ー
文学座公演 ピッコロシアター
作=川凬照代 演出=藤原新平 出演=八木昌子、倉野章子、つかもと景子、上田桃子、早坂直家、石川武、反田孝幸

【あらすじ】
津田理子(倉野章子)は兄嫁亡き後、兄・篤志(石川武)の子供たちを育てるために、実家で兄一家と暮らして15年。ようやく、兄の長女・智子(上田桃子)は就職し、長男・潤一(反田孝幸)は2浪して希望の大学に進学した。自分の役目が終わったことを実感し、第二の人生の幕が空いたことを自覚した理子だったが、50歳を過ぎた自分に何ができるのかを自問する。そして、兄の同級生の山岡(早坂直家)と再会。彼が独立して起こした会社へ誘われて、心が揺れる。また、かつての同僚からも社会復帰の難しさ、厳しさも知らされる。その上、智子の秘めたる思いが明かされる日が来て、異形家族のひずみが暴かれていく…。

【感想】
作者の川凬照代さんとは、先月「勝部月子さんの出版を祝う会」で東京でお会いしたばかりです。
勝部さんのK女子大の先輩で、私も鳥越文蔵先生を囲んで、ここ数年おつきあいをさせていただいています。
主に、美味しいものを飲んだり食べたりする会でです。

川凬さんが劇作家さんということは聞いていたのですが、たいてい和服で小柄でかわいい声でかわいくお話ししてくださる川凬さんからは、一人で家にこもって創作していらっしゃる姿は想像ができませんでした。

今回、大阪で公演されるというお誘いを頂いて、楽しみに見せていただきました。
川凬さんにはお会いできませんでしたが、いろいろ考えさせられるお芝居でした。

まず、感じたのは、こういう地味な家庭劇のテーマを、地道に演劇で表現している劇団があると言うこと。
そして、今、日本の家族が直面している問題点を、いくつも盛り込んで、笑いあり涙ありのドラマに仕立てられた川凬さんの力量に感心したことでした。

「これは、私の話かしら?私、川凬さんに取材されたかしら?」と思ってしまいました。
舞台は2002年と言っていましたから、そんなはずはないのですが、それほどまでに身近なテーマでした。

キーワードも、「クレーマークレーマー」だとか、頑固で家族と打ち解けない親父とか、お茶もいれられない中年男性とか、音信不通だった昔の男友達が離婚したとか、思わず、自分に置き換えてしまいそうな素材の数々。

そして、テーマは普遍的な、家族のために何ができるか、あるいは、自己犠牲だと思っていたことが、本当に愛する人のためだったのか、など。

背景は現代的な異形の家族。

それらをうまく盛り込んで、観賞後もさわやかな気持ちになる娯楽作品に仕上げてありました。

核家族からさらに進んだ現代では、もう完璧な家族の形なんて求められないけれど、でも、人は家族なしでは生きてはいけない。
家族となれば、よかれとおもってしたことが報われないこともあり、自己犠牲もあるし、それがまた喜びに変わることもあるでしょう。
この作品は、そんな人生の機微を感じさせ、共感できるお芝居でした。

理子はこのあと、どうするのでしょう?
自立なんて、もうとっくの昔に忘れて、主婦というぬくぬくのお座布団に沈み込んでしまった私も、ちょっとは重たいお尻を浮かせてみようかなあ、と思いました。

川凬照代さんのプロフィール
鹿児島県枕崎市生まれ。港町に生きる家族を描いた『塩祝申そう』で第一回文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。同作品は『鰹群』『港の風』との三部作となり、ぐるーぷえいとにて藤原新平演出で上演。1988年『二人で乾杯』(劇団東演)、1989年『盛装』(ぐるーぷえいと)など正統的なリアリズム演劇を多数執筆。
文学座では1995年『野分立つ』(主に全国演鑑連加盟団体での上演により2002年まで再演を重ねるヒット作となる)、1997年『盛装』〔改訂〕を上演している。現実感のある会話を紡ぎ、登場人物たちの心の動きを緻密かつ的確に表現することには高い評価を得ている。

エレジー

2009-09-15 13:25:50 | 映画ーDVD
ーエレジーーELEGY
2008年 アメリカ
イザベル・コイシェ監督 ペネロペ・クルス(コンスエラ・カスティーリョ)
ベン・キングズレー(デヴィッド・ケペシュ)パトリシア・クラークソン(キャロライン)デニス・ホッパー(ジョージ・オハーン)ピーター・サースガード(ドクター・ケニー・ケペシュ)デボラ・ハリー(エイミー・オハーン)

【解説】
現代アメリカ文学の巨匠、フィリップ・ロスの短編小説「ダイング・アニマル」を映画化した大人の愛の物語。セックスから関係をスタートさせた男女が、真の愛に目覚めるまでをしっとりと描く。身勝手な大学教授役に『砂と霧の家』のベン・キングズレー。美ぼうのヒロインをスペインを代表する若手女優、ペネロペ・クルスが体当たりで演じている。男女の間に横たわる深くて暗い溝にため息をつきながらも、愛への希望を抱かせてくれる。

【あらすじ】
大学教授のデヴィッド(ベン・キングズレー)は、教え子のコンスエラ(ペネロペ・クルス)と一夜を共にする。彼は30歳も年の離れた若く美しい女性との情事に有頂天になり、親友ジョージ(デニス・ホッパー)にも彼女のことを打ち明ける。やがて二人はお互いをかけがえのない存在だと認識するようになるが、デヴィッドの態度は煮え切らず……。


【感想】
初老の大学教授と教え子の女子大生。
一歩間違えば、エロ映画になりそう。
実にきわどいんだけど、映像はとてもきれいでした。

大学教授のデヴィッド(ベン・キングズレー)は独身主義者。
一度は結婚して、今は医者になっている息子がいる。
20年前の教え子だったキャロライン(パトリシア・クラークソン)とはセックスフレンドとして長年の付き合いがある。

あるとき、授業に遅れて来たコンスエラ(ペネロペ・クルス)を見初め、ゴヤの着衣のマハを見せ、デートに誘い、その後ベッドインとなる。

デヴィッドはかつてない激しい恋心を抱き、独占欲に苦しみ、嫉妬心もむき出しにする。
コンスエラは駆け引きのない愛を求め、まっすぐにデヴィッドを愛するが、デヴィッドはそこからの一歩を踏み出せず、結局二人は別れてしまいます。

そして、2年後に鳴った電話の主は、コンスエラでした。
「私は今、あなたが必要なの」

この作品では、デヴィッドの長い間の愛人の存在や、息子の不倫など、快楽主義者であるはずのデヴィッドにも浮き世のしがらみがあり、その人たちのセリフもいちいち味わいがありました。

その一瞬の輝きとしての性や愛を求める男と、永遠の愛を求める女。
いつまでたっても平行線の男と女のラブストーリーでした。

「あなたになら言える秘密のこと」のイザベル・コイシェ監督、男性が作る映画とはひと味違っている感じがしました。


マンデラの名もなき看守

2009-09-08 10:51:00 | 映画ーDVD
ーマンデラの名もなき看守ーGOODBYE BAFANA
2007年 フランス/ドイツ/ベルギー/南アフリカ
ビレ・アウグスト監督 ジョセフ・ファインズ(ジェームズ・グレゴリー)デニス・ヘイスバート(ネルソン・マンデラ)ダイアン・クルーガー(グロリア・グレゴリー)パトリック・リスター(ジョルダン少佐)

【解説】
南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラの“囚われの27年間”にスポットを当てた感動作。政治活動家として刑務所生活を強いられたマンデラと、彼との出会いによって社会を見つめ直す白人看守グレゴリーの交流が描かれる。監督は『ペレ』のビレ・アウグスト。マンデラを人気ドラマ「24」のデニス・ヘイスバートが、グレゴリーをジョセフ・ファインズが演じる。存命中の人物を魂を込めて演じたデニスの熱演と、知られざる感動秘話が堪能できる。

【あらすじ】
アパルトヘイト政策により、黒人が差別されている1968年の南アフリカ。白人看守のグレゴリー(ジョセフ・ファインズ)は、マンデラ(デニス・ヘイスバート)が収監されているロベン島の刑務所に赴任。マンデラの故郷の言葉であるコーサ語を操ることができるグレゴリーは、マンデラらの秘密の会話をスパイするよう命じられる。

【感想】
以前「遠い夜明け」を見て、アパルトヘイト(人種隔離政策)の存在を知りました。
それから何年かして、ネルソン・マンデラ氏の解放とその後の選挙で彼が大統領に就任したことを知り、当時のデクラーク大統領とともにノーベル平和賞を受賞されたことも知っていました。
なぜか、夫人と離婚したニュースも知っていました。

だから、この映画ではマンデラ夫妻の感動的なシーンも数々あるのですが、ちょっと不思議な感じがしていました。

それはともかく、この作品は邦題通り「名もなき看守」の視点か描かれていました。
いつもけなしてしまう邦題ですが、このタイトルはいいと思いました。
「GOODBYE BAFANA」のバファナは、主人公の看守グレゴリー(ジョセフ・ファインズ)の幼なじみの黒人少年の名前です。
いまひとつ、ピンと来ませんよね。

でも、やはり邦題は固い感じです。
穏やかで真面目な映画ですが、気楽に見られる娯楽作品でした。

看守のグレゴリーは妻子を連れてロベン島刑務所に赴任した。
黒人の言葉がわかるという理由からマンデラ(デニス・ヘイスバート)の担当になり、手紙の検閲や家族との面会の立ち会いをする。
なぜ彼が黒人の言葉ができるかと言えば、幼なじみのバファナといつも遊んでいたからだった。

グレゴリーはあまり社会的地位の高くない看守という仕事に就き、仕事柄、黒人囚人にはきつく接していました。
妻のグロリア(ダイアン・クルーガー)は上昇志向の強い女性で、がちがちの人種差別主義者でした。

グレゴリーは任務に励みます。
自分の知ったマンデラの秘密を上司に報告。
その結果が、ニュースで人々の死亡記事となって知らされます。
平凡な人間であるグレゴリーには堪え難い、マンデラの息子の死というニュースもありました。

マンデラの人間性に触れるうちに、彼に引かれ、心の交流も生まれていきました。
それと反比例するように、彼は黒人擁護者として、看守仲間から疎まれていきます。
ここで、よかったことは妻がいつでも夫の味方をして励ましたくれたこと。
人種差別の激しい人なのに。
つまり、偏見が強いということも、彼女がこれまで受けた教育や社会の風潮に流されていただけなのですね。
最後には、「マンデラを見たことがないわ」といい、釈放されたマンデラに手を振ります。

この作品、あくまで普通の人が普通の行動をとることが、歴史に風穴を開けるきっかけにもなりうるのだ、ということが言いたいように思いました。

マンデラは歴史に残るとても偉大な人ですが、彼を支えた人はグレゴリーや妻のグロリア(ダイアン・クルーガー)のような名もなき普通の人だったに違いありません。

マンデラとグレゴリーの心の交流がこの作品のクライマックスです。
ジーンと来ます。
感動しました。


ホームレス中学生

2009-09-07 09:08:47 | 映画ーDVD
ーホームレス中学生ー
2008年 日本
監督=古厩智之 キャスト=小池徹平(田村裕)西野亮廣(田村研一)池脇千鶴(田村幸子)イッセー尾形(田村一朗)古手川祐子(田村京子)黒谷友香(工藤夏美)宇崎竜童(川井正光)いしだあゆみ(西村スミ子)田中裕子(川井道代)

【解説】
人気お笑いコンビ、麒麟の田村裕が著し、220万部を突破したベストセラー自叙伝を映画化。ある日突然、ホームレス生活を送ることになった中学生の青春が、ハートウォーミングなタッチでつづられる。監督は『ロボコン』の古厩智之。主人公のたむちんこと田村裕を『ラブ★コン』の小池徹平、彼の兄と姉をキングコングの西野亮廣と池脇千鶴がそれぞれ演じる。家族離散のシリアスな設定でありながら、笑えて泣けて感動できる爽快(そうかい)な一作。

【あらすじ】
1学期の終業式を終え、帰宅した中学2年生の裕(小池徹平)は、家の玄関に差し押さえの札が貼られ、自分たちの荷物が外に出された自宅の信じられない光景を目にすることに。帰ってきた兄(西野亮廣)や姉(池脇千鶴)とともに途方に暮れる裕だったが、そこに現れた父(イッセー尾形)は「解散!」の一言を言い残し、立ち去ってしまう。

【感想】
私が知りたかったのは、なぜ突然家族が「解散!!」になったのかーだけど、結局それは語られませんでした。

母を病気で失い、父は3人の子供を抱えた父親という自覚、さらには生活者としての自覚をもなくしてしまったわけです。
そこが、一番現代的なテーマだと思ったんですが、その視点が抜けていました。
たむちんの父親の個人的な反応なのか、誰でも陥ってしまう心の変化なのか、知りたかったです。
今、お父さんはどうしておられるのかなあ?

「母が亡くなった時から、僕はホームレスだったんだ」とたむちん(小池徹平)は独白しますが、母を亡くした子供たちはたくさんいるし、みんなそれを乗り越えて生きていると思いますが。

それにしても、大学生の兄、高校生の姉、中学生の主人公がいきなりホームレスになる悲劇は、あんまり唐突でびっくりします。
そののち、友達の両親に知れ、民生委員たちの努力もあって、三人は借家で生活できるようになるのですが、日本が平和だと言う証のような気もしました。

池脇千鶴が高校生役でしたが、違和感なく演じていて、田中裕子さんとともにこの作品を引き締めていました。

兄役のキングコングの西野亮廣は、コントは面白いのに、演技は下手でした。
でも、見せ場のあるいい役だったので、欠点はあまり気にはなりませんでした。

問題は主演の小池徹平が中学生に見えるか見えないかーだね。
私は問題なかったです。


旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

2009-09-07 09:05:13 | 映画ーDVD
ー旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶー
2009年 日本
監督=マキノ雅彦 キャスト=西田敏行(滝沢寛治(園長))中村靖日(吉田強(獣医・飼育係))前田愛(小川真琴(獣医・飼育係))堀内敬子(池内早苗(動物園管理係))笹野高史(磯貝三郎/商工部長)梶原善(三田村篤哉(市議会議員))吹越満(動物愛護団体のリーダー)萬田久子(平賀鳩子(新市長)長門裕之(韮崎啓介(飼育係))平泉成(上杉甚兵衛(市長))六平直政(三谷照男(飼育係))塩見三省(砥部源太(飼育係))岸部一徳(柳原清之輔(飼育係))柄本明(臼井逸郎(飼育係・絵本作家))

【解説】
動物の生態をそのまま見せる“行動展示”で一躍話題となり、今や日本一の入園者数を誇る北海道・旭山動物園の奇跡と感動の物語を映画化。閉園の危機に追い込まれながらも、全国有数の人気動物園へと復活させた園長と飼育係たちの奮闘を描く。テレビドラマ「奇跡の動物園 旭山動物園物語」で園長を演じた津川雅彦が、監督マキノ雅彦としてメガホンをとる。ベテラン西田敏行を主演に、長門裕之、岸部一徳、柄本明といった実力派が脇を固める。

【あらすじ】
1992年、入園者数が減り続け閉園を迫られていた旭山動物園に新人飼育係の吉田(中村靖日)がやってくる。赤字財政を抱える中、園長の滝沢(西田敏行)は動物園を建て直そうと日々奔走していた。動物たちの習性や特徴を飼育係が直接入園者に説明するなど、自分たちでさまざまな試みを工夫するうちに、市民の支持を取り戻していくが……。


【感想】
今年4月に北海道へ行ったときに、旭山動物園に行きたかったのですが、休園中でした。
来年はぜひ行きたいです。

この映画も、そんなアイデアが出るまでの映画かと思ったら、もっと深刻な動物園が存続するかどうかの瀬戸際からのお話でした。
どこの動物園や植物園や美術館なんかでも直面しているテーマだと思いました。
だから、思ったより重たい映画でした。

いろいろ人間のストーリーはあるけど、やはり動物園が再生されてからの、生き生きとした動物たちの様子には、素直に感動しました。
やはり、本物を見に行きたいです。

昔、子供と一緒に須磨水族館でペンギンが泳ぐ様子を大きな水槽で見ました。
陸ではよちよち歩きのペンギンが、水槽の中では機敏に泳ぎ回っているのを見て、すごく感動したのを覚えています。
これが本来のペンギンの姿なんだと思いました。
ただ檻に入れて見せるだけでなく、生態を想像させてくれる見せ方は、その動物を理解し、自然について考えを深くしていくためにも大切なことですね。

旭山動物園に行くのが、ますます楽しみになりました。

BALLAD 名もなき恋のうた

2009-09-06 13:23:52 | 映画ー劇場鑑賞
ーBALLAD 名もなき恋のうたー
2009年 日本
監督=山崎貴 キャスト= 草なぎ剛(井尻又兵衛)新垣結衣(廉姫)大沢たかお(大倉井高虎)夏川結衣(川上美佐子)筒井道隆(川上暁)武井証(川上真一)吹越満(仁右衛門)斉藤由貴(お里)吉武怜朗(文四郎)波岡一喜(彦蔵)菅田俊(儀助)香川京子(吉乃)小澤征悦(安長)中村敦夫(康綱)

【解説】
「クレヨンしんちゃん」の劇場版シリーズ第10作で、名作と誉れ高い『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』を原案にした時代劇エンターテインメント。戦国時代にタイムスリップした小学生の主人公が小国の戦国武将や姫君と出会い、深いきずなで結ばれていく姿を描く。監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの山崎貴。武将・又兵衛を草なぎ剛、小国の姫・廉姫を新垣結衣が好演。実写でよみがえる悲恋のドラマに期待が集まる。

【あらすじ】
時は1574年の戦国時代、春日という小国で“鬼の井尻”と恐れられ無敵を誇る侍・井尻又兵衛(草なぎ剛)は、春日の国の姫君・廉姫(新垣結衣)を命懸けで守り続けていた。ある日の戦中、無敵の又兵衛に一瞬のスキが生まれてしまい、足軽の鉄砲が又兵衛に狙いを定めたその瞬間、川上真一(武井証)という少年が突然現われる。

【感想】
残念ながら、原作の「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」もオリジナル映画も見たことがありません。
でも「子供の映画でも、大人が泣かされる」という噂は聞いたことがありました。
それがこのオリジナル映画だったんですね。

この映画も、泣かされるほどではありませんが、よくできていたと思いました。

タイムトラベルを、なにも説明なしに一気にやってしまったところがよかったのかもしれません。
なんと言っても嘘っぽくなりますから。

そして、廉姫(新垣結衣)と井尻又兵衛(草なぎ剛)の純愛を照れずに描ききったところもよかったと思いました。