マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ベガーズオペラー大阪公演ー

2008-02-28 11:00:55 | 舞台
ーベガーズオペラー
■原作ジョン・ゲイ■音楽イローナ・セカッチ■脚色・演出ジョン・ケアード■翻訳吉田美枝■訳詞松田直行■出演=内野聖陽 / 高嶋政宏 / 村井国夫 / 橋本さとし / 近藤洋介 / 島田歌穂 / 笹本玲奈 / 森公美子 ほか

【解説】
 ジョン・ゲイが「ベガーズ・オペラ」を書いたのは、1727年。当時ロンドンの演劇界はイタリア風オペラが主流で、ギリシャ神話の物語をベースに した、ロマンティックで現実味のない筋が大半でした。普通の観客の日常生活とは遠く離 れていたのです。まして国民の大半を占める貧困な人々の生活とは無関係でした。
 「ベガーズ・オペラ」を書く際のゲイの着想は、まさに天才のひらめきでした。彼は、 一般の人々のために、一般の人々についてのオペラを書くと決めたのです。社会のどんな 階層の人でも理解でき、夢中になれるオペラです。そして観客を驚かせた彼の工夫は、そ のオペラを若い乞食が書き、エリート作品しか上演されないドルリー・レーン劇場で一回 だけ上演する設定にしたことでした(私のバージョンでは、その乞食をトムと呼んでいま す)。しかし、最も大きな驚きは、作品の中身でした。ゲイは、マクヒースという犯罪人を 主人公にし、ヒロインは二人の娘、ポリー・ピーチャムとルーシー・ロキットとしたので す。マクヒースは、追いはぎではあっても、ロマンティックな人物で、ポリーとルーシー は、両方ともどうしようもなくマクヒースを愛しているライバル同士です。物語の舞台も やはり当時の観客には予想外の場所で、盗人の巣窟、監獄、娼家、居酒屋まで出てきます。 「ベガーズ・オペラ」は何もかも異例な作品でした。音楽も例外ではありません。ゲイは、 オペラ風の曲を新しく作曲させるのではなく、だれもが知っている曲に歌詞をつけたので す。その結果、「ベガーズ・オペラ」の音楽は、だれでも親しめる音楽となりました。いま、 「ベガーズ・オペラ」は世界最初のミュージカルと言われています。(後略) 演出家・ジョン・ケアード(HPより)

【あらすじ】
ある時、若い詩人のベガー(=乞食)が「オペラ」を書いた。
そして老役者の好意で一回だけ本物の劇場で上演できることになった。
これが「ベガーズ・オペラ」の発端です。

その主人公は、男も女もうっとりするほどすてきで、勇敢な男。
ただし困ったことに、その男の仕事は、街道で馬車を待ち伏せて襲う追いはぎ。
もう一つ困ったことに、この男、女の魅力とギャンブルの面白さには絶対勝てない。

彼を取り巻くのは――
追いはぎたち、すり、盗人、盗品買い取り屋とその女房と娘のポリー、若くきれいな娼婦たち、若くもきれいでもない娼婦たち、監獄の看守長、その娘ルーシー。それぞれが巻き込まれる大騒ぎ。

あなただったらどうします?
一人娘が愛した男が追いはぎだったら?
愛した追いはぎの命を、あなたの両親が40ポンドの密告料が欲しくて狙っていたら?
ポリーと結婚したのに、ルーシーのお腹も大きくなっていたら?
愛する人が入れられた牢屋の鍵が手近にあったら?
愛する人の妻と称する若い女がやってきて、手近にネコイラズがあったら?
せっかく捕らえた追いはぎを、娘が逃がしてしまったら?
命からがら逃げたのに、またまた牢屋へ逆戻りとなったら?(後略)(HPより)

【感想】
幸運なことに、今回の大阪公演に、初日(2月6日)と千秋楽(2月26日)に行くことができました。
しかも、両日とも、とてもいい席でした。
席を確保してくれたA子さんに感謝です。

この作品はまず、一昨年WOWOWのオンエアーで見ました。
なにげなく録画していたのですが、私の目は内野聖陽さんの演じるセクシーなマクヒールにくぎ付けになりました。
「なんじゃ、こりゃー!!」って感じでした。

 マクヒース(内野聖陽)

この作品の公演が大阪であるとわかったとき、とてもうれしかったです。

この作品は、乞食たちがたった1回の公演のためにオペラを演じるという2重構造になっています。

それで、乞食たちも演じながら観客になったり、観客を相づちを求めたり、舞台に上げたりと、客席と近いのも特徴です。
劇中劇の合間で、乞食たちが素に戻ると、役とは違う性格が表れるのも面白いところです。
舞台の上に、客席を作ってあることでも、演出の意図が分かるようになっています。

この劇中劇のエンディングは悲劇ですが、劇場を世話した老役者の意向により、ハッピーエンドになってしまいます。
作者のトム(橋本さとし)はもちろん、すごく不満ですが、「♪最後は悲劇の人生なら~♪」とみんなに諭され、楽しい踊りで大団円を迎えるという趣向です。

トム(橋本さとし)

渡る世間も金次第、神も仏もない世界を登場人物たちは渡って行きます。
バカバカしいお色気話の間に秘められたエピソードの中に、世の中の矛盾を問い、生きる意味を問うています。
それは、現代にも通じていて、観客の思いも巻き込んで行きます。
生きるエネルギーに満ちている、とても楽しいステージです。

3月5日~30日まで東京・日生劇場。

大阪で再演があれば、また見に行きたいです。