![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/0d/b64dc476ba936dff91a15e40cf784cae.jpg)
唐獅子図屏風
ー特別展覧会 狩野永徳ー
2007年10月16日(火)~11月18日(日)
京都国立博物館[東山七条] KYOTO NATIONAL MUSEUM
〒605-0931 京都市東山区茶屋町527
【見どころ】
絵画の黄金期・桃山時代の覇者として日本美術史に輝かしい足跡を残した狩野永徳(1543-1590)は、信長・秀吉ら、時の権力者に重用された絵師です。彼の創造した豪壮華麗な金碧障屏画は、戦国武将の覇気を余すところなく体現するものとして、安土城、大坂城、聚楽第{じゅらくだい}をはじめ数々の館を彩りました。しかし、天下一と評された彼の作品の多くは戦火の中で灰燼に帰し、これまで代表作を一カ所に集めた展覧会は開かれていません。
本展は史上初の大回顧展として旧御物3件、国宝5件を含む国内外の名品をはじめ、新発見、初公開の作品を網羅し、真の天才とうたわれた永徳芸術の神髄に迫ります。さらに父・松栄、弟・宗秀らの代表作も加え、桃山時代の狩野派の全貌を紹介します。
【狩野永徳について】
狩野永徳は天文12年(1543)、後に狩野派の棟梁となる松栄直信の長男として山城国(京都)に生まれました。はじめ、源四郎と称し、諱{いみな}は州信{くにのぶ}、重信など諸説あります。永徳は法号。天下画工の長と称えられた偉大な祖父元信の指導のもと、幼くして才能を開花させ、聚光院{じゅこういん}、安土城、大坂城、聚楽第{じゅらくだい}、御所など数々の寺社仏閣・公武の邸宅に筆を揮い、他の追随を許さない、圧倒的な才能で画壇の頂点に君臨しました。豪壮華麗、絢爛豪華なその画風は、まるで鶴が舞い、蛇がのたうつような激しい勢いを持ち、後世の画伝書には「怪々奇々{かいかいきき}」(『本朝画史{ほんちょうがし}』狩野永納著)と評され、その活躍ぶりはまさに怪物絵師そのものでした。対象物を近接拡大して描くダイナミックな“永徳スタイル”は時代を席巻し、天下人はもとより寺社仏閣・有力大名からひっきりなしの作画要請を受け、一説には過労のあまり若死にしたとも考えられています。事実、永徳自筆の書簡には、あまりに膨大な量の仕事をこなさねばならず、とても期日には間に合いそうもないので制作延期を願いたいという文面が残されており、その繁忙ぶりが伺われますし、没する直前まで東福寺法堂の天井画(蟠龍図{ばんりゅうず})を制作していたことが知られています。日本美術史上、最も爛熟した絵画の黄金期桃山時代に生を受け「時代を表現するために生まれ、時代は彼のために用意された」とまで評された永徳は、その卓越した才能ゆえに命を縮めてしまったのかもしれません。天正18年(1590)9月14日没。享年48歳。法名は実相院日竟法院永徳重信大居士。その遺骸は寺之内の妙覚寺(京都市上京区)に葬られました。
(特別展覧会 狩野永徳HPより)
【感想】
私はたぶん、絵画にはあまり興味のない方です。
一番好きな画家は葛飾北斎。
展覧会だってあまり数多く行っているわけでもなく、いままでで一番感動した展覧会は「フェルメール」。
こんな私ですが、今回、最初の展示、国宝「花鳥図襖」で、その筆のタッチにやられてしまいました。
肉筆のすごさ。筆致の強さ。緊張感溢れる線で描かれたその絵。
鳥肌が立ちました。
あとの鑑賞は、ずっとその筆のタッチばかりを見ていました。
お父さんの松栄の絵でも、弟の絵でも見られない力強い筆の跡。
創始者であるおじいさんの元信の洗練されたタッチとも違う。
すごいエネルギーに溢れている気がしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/cf/cc8af4480b53a82977ade7e7900c0d51.jpg)
「檜図屏風」
この「檜図屏風」もすごいけど、伝がついているけど「老松桜図屏風」もすごかった。
思わず感動で涙が出そうになって、必死でこらえました。
これは、絶対永徳が描いた!!と確信したのですが、どうでしょうか?
狩野派は永徳亡き後も、江戸幕府の御用絵師集団として隆盛を得ていくわけですが、永徳はそういう一族の流れとは別の、芸術家としての魂との葛藤で、数々の名画を書き上げたのではないかという思いが心を満たしました。
時の権力者から、豪華絢爛の大作ばかり数多くの依頼を受け、48歳という若さで過労死したのではないかと囁かれている永徳。
でも、その晩年の作品は「奇々怪々」とも言われているようですが、私は絵が叫んでいるように思いました。
この大木にも納まりきれない永徳の生命エネルギー。
私の頭の中は、永徳という偉大な芸術家のことでいっぱいになってしまいました。
こういう鑑賞の仕方がいいか悪いかわからないけど、墨筆の力強さに魂を揺すぶられるような思いをしたのは初めての経験でした。