マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

パリより愛をこめて

2010-05-31 12:03:44 | 映画ー劇場鑑賞
ーパリより愛をこめてーFROM PARIS WITH LOVE
2010年 フランス
ピエール・モレル監督 リュック・ベンソン原案 ジョン・トラヴォルタ(チャーリー・ワックス)ジョナサン・リス・マイヤーズ(ジェームズ・リース)カシア・スムートニアック(キャロリン)

【解説】
ジョン・トラヴォルタとジョナサン・リス・マイヤーズ演じる諜報(ちょうほう)員が、爆弾テロリストと戦うスタイリッシュなアクションムービー。アメリカ政府の要人を狙う暗殺計画を知った二人が、フランス・パリを舞台に激しい銃撃戦やカー・アクションを繰り広げる。監督は、『96時間』がスマッシュ・ヒットを飛ばしたピエール・モレル。すべてのスタントをこなしたジョンの、50代とは思えないキレのあるアクションに注目。

【あらすじ】
CIAの異端児諜報(ちょうほう)員ワックス(ジョン・トラヴォルタ)とコンビを組んだことから、地味な諜報(ちょうほう)活動の日々が一転、危険な麻薬捜査に乗り出すこととなった駐仏アメリカ大使館員のリース(ジョナサン・リス・マイヤーズ)。捜査を続けるうちに、二人は爆弾テロリストによるアメリカ政府要人暗殺計画を突きとめる。(シネマトゥデイ)

【感想】
駐仏アメリカ大使館員のリース(ジョナサン・リス・マイヤーズ)は頭脳明晰のエリートだが、いつかCIAの諜報部員になって活躍したいという野望をいだいていた。

いくつかの課題をパスしたリースは、ガールフレンドのキャロリン(カシア・スムトゥ二アク)にプロポーズした夜に重大任務を命じられた。



リースのパートナーがCIAの異端児諜報員ワックス(ジョン・トラヴォルタ)。

このトラヴォルタが素晴らしい。
私は「パルプフィクション」を思い出しました。
あそこまでの会話ではないけど、ワックスとリースの会話もなかなかよかったです。
さすが、皮肉の国フランスというセリフもありました。

そして、アクション。
これはリュック・ベンソンのお家芸。
文句なしに楽しめました。

見逃しているリュック・ベッソン×ピエール・モレルのコンビの「96時間」も早く見たくなりました。


ノーボーイズ ノークライ

2010-05-31 11:59:45 | 映画ーDVD
ーノーボーイズ ノークライーTHE BOAT/NO BOYS, NO CRY
2009年 日本/韓国
監督=キム・ヨンナム キャスト=妻夫木聡(亨)ハ・ジョンウ(ヒョング)貫地谷しほり

【解説】
裏稼業で知り合った日本と韓国の二人の青年が、孤独や絶望の中で人間の温もりを知り、静かにきずなを深め合う過程を描く人間ドラマ。『ジョゼと虎と魚たち』をはじめ繊細(せんさい)なストーリーを編み出す渡辺あやが脚本を担当し、韓国の新鋭・キム・ヨンナムがメガホンを取る。キャストには家族への複雑な感情を抱える青年に妻夫木聡、孤独だが純粋な運び屋に『チェイサー』のハ・ジョンウがふんする。美しく切ないタッチでつづられた若者たちの心の軌跡を前に、深い余韻が胸に迫る。

【あらすじ】
古いボートで海を渡り荷物を運ぶ韓国人のヒョング(ハ・ジョンウ)と、海岸で荷物を受け取る亨(妻夫木聡)。ヒョングは親に捨てられた孤児、亨は家族についての鬱屈した思いを抱えていた。ある日、いつも運ぶキムチのつぼではなく少女・チス(チャ・スヨン)を運ぶ依頼を受けたヒョングと亨は、失踪(しっそう)したチスの父親探しに巻き込まれるが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
「チェイサー」の犯人役で脚光を浴びたハ・ジョンウが主演と聞いていたので、とても興味がありましたが、劇場では見に行けず、DVD鑑賞となりました。

最初からヒョング(ハ・ジョンウ)が小舟の上でお昼寝しているシーン。
もう、これだけで彼がすごい演技をする人というのがわかります。
もう、これだけで、わくわく。
(イケメンではないよ、念のため)

子供の頃に、ストリッパーだった母が弟だけを連れて失踪したというトラウマを持つヒョングは、拾って育ててくれた日本人実業家の密輸の手伝いをしている。
韓国側で用意された品物を、小舟で日本へ運ぶ運び屋だ。

日本の海岸で待っているのが亨(妻夫木聡)。
亨の妹が実業家の息子の嫁という関係。

そのうちに、ヒョングは自分の運んでいる物が麻薬だということを知るが、それでもどうしようもなかった。

ある日、依頼された荷物は生きている女だった。
生命保険会社の社長の娘チス(チャ・スヨン)が、大金を持って行方をくらました社長を捜し出すための人質として誘拐されたのだった。

ヒョングは、亨に引き渡して帰りたかったが、アパートの1室で待つように命じられた。
そこへ怪しい男たちがやってきて、ヒョングは女を担いで逃げ出した。

亨はお金に困っていた。
妹は3人の子供を抱えていて、一番小さい子は病気、社長の息子の嫁といっても、別居状態だった。
おまけに、地方の祖母までいた。
家族に縛られている亨。

チスを使って、大金をせしめようとしていた。

チスは「父親を捜してくれたら一人に5千万やる」と持ちかけてきた。

そして、ヒョングと亨とチスの奇妙な逃亡生活が始まった。

残酷な話ですが、妙にファンタスティックなところもあり、『ジョゼと虎と魚たち』や「天然コケコッコー」や「メゾン・ド・ヒミコ」の渡辺あやさんが脚本を書いたと聞けば、納得するところもあります。

「泣かない男はいない」という意味のタイトル。
亨が号泣するシーンはかなりせつないです。

いい作品だっただけに、もうひとつ描き方が薄っぺらく感じました。
なぜかなあ?


オックスフォード連続殺人事件

2010-05-31 11:57:43 | 映画ーDVD
ーオックスフォード連続殺人ーTHE OXFORD MURDERS/Los crimenes de Oxford
2008年 
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督 イライジャ・ウッド(マーティン)ジョン・ハート(アーサー・セルダム)レオノール・ワトリング(ローナ)ジム・カーター(ピーターセン警部)ジュリー・コックス(ベス)アレックス・コックス(カルマン)バーン・ゴーマン(ユーリ・ポドロフ)ドミニク・ピノン(フランク)アンナ・マッセイ(イーグルトン夫人)ダニー・スパーニ(スコット)アラン・デヴィッド(ヒギンズ)トム・フレデリック(ウィトゲンシュタイン)

【解説】
イライジャ・ウッドとジョン・ハート共演、ギジェルモ・マルティネス原作による本格サスペンス。オックスフォード大学に留学早々、マーティンは下宿先の未亡人の他殺死体を発見してしまう。彼は憧れの数学者・セルダム教授と共に真相究明に乗り出す。(TSUTAYA DISCAS)

【感想】
難しい数式を使った連続殺人事件に、数学教授のセルダム教授(ジョン・ハート)と、彼を慕ってオックスフォードへやってきたマーティン(イライジャ・ウッド)が挑む。

「地球の裏側で起こった蝶の羽ばたきが、嵐を起こす」
「バタフライ・エフェクト」(2004年アメリカ映画)で知った言葉ですが、これも出てきます。

難解な映画のようですが、イライジャ・ウッドとジョン・ハートのコンビが面白く、さらに、レオノール・ワトリングのお色気がなかなかよくて、飽きずに見ることができました。

謎解きが好きな方は、ご覧下さい。


北海道旅行

2010-05-28 10:32:15 | 旅行
ー北海道旅行ー
今年も妹と北海道に行ってきました。

今回は、甥のキヨちゃんと旭山動物園へ行くのが楽しみです。
でも、キヨちゃんの勉強も忙しくなってきたようで、スケジュールを合わせるのが大変です。

着いた日は雨でしたが、翌朝はいいお天気。
北海道大学のすぐ近くのホテルだったので、散策にでかけました。



大学の中は、車も走っていて、小さな町のようでした。
新緑の緑が美しく、小川も流れていて、桜も咲いていました。

クラーク博士像

桜と歴史を感じさせる建物

新渡戸稲造博士像

クロユリ群生地。「♪クロユリは恋の花♪」って古い?昔は大学の敷地一杯に咲いていたそうです。

新緑のポプラ並木、素晴らしい生命力。元気をいただけたような気がしました。

それから、地下鉄で円山動物園へ。

有名な双子のシロクマちゃんは、今は帯広動物園だそうです。



まず、鳶の飛行を見せてもらいました。
子供の頃にこの動物園に保護された鳶だそうで、よく訓練されていました。
大きな鳥で、飛んだり舞い降りたりする姿は、とても迫力がありました。



調教師の手からお客さんの手に渡る芸も披露してくれました。

それから、シロクマや狼やヒグマを見ながら、ゆっくり園内を見学しました。

双子のシロクマの姉のピリカちゃんがいました。才色兼備の女の子だそうです。

チンパンジーは親子で暮らしていました。
餌を窓際に並べて、ガラス越しにすぐ近くで観察できます。



小さな観覧車にも乗りました。

4時過ぎに、猛獣たちの餌やりを見学しました。
猛獣舎の中は強烈な臭いでしたが、出たり行ったりしている間にその臭いにも慣れて、間近で食べている虎やライオンやユキヒョウの表情を観察することができました。
すごく面白かったです。

虎の食事。

ユキヒョウの食事。

ライオンの食事。

食後のライオン。

円山公園の中は静かで、きれいに整備された花壇が見事でした。


次の日は、いよいよ旭山動物園

中央観光の1日ツアーに参加しました。

こんなバスです。

バスの中から。北海道の春の山はとてもきれい。お花もあるけど、葉っぱも秋のように紅葉していました。春紅葉というそうです。

北海道は広い、往路3時間の長旅です。
旭山動物園見学の時間は約3時間。

旭山動物園は小高い山の斜面にあって、旭川の町を一望できます。

とても日差しが強く、あまり日陰がないので、きっと焼けたと思います。

動物たちも、お昼寝中のが多かったです。
でも、映画の題名にもなった「ペンギンが空を飛ぶ」も見たし、シロクマの水泳、アザラシのトンネルくぐりも見ました。

ペンギンが空を飛ぶ!!

ペンギンのもぐもぐタイム。

アザラシのトンネルくぐり

シロクマの水泳

威風堂々の虎

りりしいお顔のライオン

お人好しそうだけど、迫力満点のヒグマ

木の上でお昼寝中のレッサーパンダ

かわいいキョン

見ているだけで癒されるカピパラ

再び札幌駅に戻ってきたので、ガイドさんオススメの花まる寿司JRタワーステラプレイス店へ行きましたが、1時間待ち。
ホテルで一休みして、いよいよお寿司をいただきました。

珍しいお寿司がたくさんあって、あれもこれもとがつがつ食べましたが、お値段はびっくりするほどお手頃でした。

ただ、茶碗蒸しは思っていたのと違いましたが…。

最後の日は、サッポロビール園に行きました。



まずは、サッポロビール博物館の見学。
ガイドさんが丁寧に説明してくださって、ビール好きの私たち姉妹はとても満足しました。

飲み比べ。
左から「開拓使ビール」「エビスプレミアムザ・ブラック」「サッポロプレミアムビール」どれも美味しい!!
特に、黒ビールは驚くほど美味しかったです。



ランチはサッポロビール園内のガーデングリルで、「まるごとジンギスカンランチ」をいただきました。
ラムのいろんな部位が食べられて、それぞれにとても美味しかったです。

今年も大満足の北海道旅行となりました。

オーケストラ!

2010-05-24 13:45:55 | 映画ー劇場鑑賞
ーオーケストラ!ーLE CONCERT
2009年 フランス

ラデュ・ミヘイレアニュ監督 アレクセイ・グシュコフ(アンドレイ・フィリポフ) メラニー・ロラン(アンウ=マリー・ジャケ)フランソワ・ベルレアン(オリヴィエ・デュプレシス)ミュウ=ミュウ(ギレーヌ・ドゥ・ラ・リヴィエール)ドミトリー・ナザロフ(サシャ・グロスマン)ヴァレリー・バリノフ(イヴァン・ガヴリーロフ)アンナ・カメンコヴァ(イリーナ・フィリポヴナ)リオネル・アベランスキ(ジャン=ポール・カレル)アレクサンドル・コミサロフ(ヴィクトール・ヴィキッチ)ラムジー・ベディア(“トゥル・ノルマン”のオーナー)

【解説】
かつては一流オーケストラの天才指揮者だった中年清掃員が、急きょ出演できなくなった楽団の代わりに、昔の楽団仲間を集めてコンサートに出場しようと奮闘する感動作。寄せ集めオーケストラが巻き起こす奇跡を、『約束の旅路』のラデュ・ミヘイレアニュ監督が笑いと涙とともに描き出す。『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロラン、『トランスポーター』シリーズのフランソワ・ベルレアンらが出演。逆境にめげず、コンサート出場を目指す元楽団員たちの姿に勇気づけられる。

【あらすじ】
かつてボリショイ交響楽団の天才指揮者だったアンドレ(アレクセイ・グシュコフ)は、今はさえない劇場清掃員として働いていた。ある日、出演できなくなった楽団の代わりのオーケストラを探しているというFAXを目にした彼は、とんでもないことを思いつく。それは、いまや落ちぶれてしまったかつての仲間を集めて楽団を結成し、コンサートに出場するというものだった。(シネマトゥデイ)

【感想】
この作品を見終わって、私は思わず心の中で叫んでいました。
「音楽映画に、ハズレはないのか!!」
この作品も素晴らしいです。
(今年1番になるかも!!)
ぜひ見てくださいね。

チャイコフスキーのバイオリン協奏曲の演奏途中に、ブレジネフによって中断させられたコンサート。
それを指揮していたボリショイ交響楽団の天才指揮者として名声の高いアンドレ(アレクセイ・グシュコフ)は、共産主義時代「ユダヤ主義者と人民の敵」と称されたユダヤ系の演奏家たち全員の排斥を拒絶し、絶頂期に解雇された。

☆ネタバレ
それから30年、ボリショイ交響楽団の清掃員として働いていたが、アンドレは希望を失ったわけではなかった。
そんなある日、清掃中に見つけたパリのシャトレ座からの出演依頼のファックス。



アンドレの頭に、ありえない計画がひらめいた。
ボリショイ交響楽団の代わりに、自分たちの楽団を再結成してシャトレ座に出演する!!


楽団員は30年の間、さまざまな職業に就いて、細々と生計を立てている者ばかりだった。
救急車の運転手、タクシーの運転手、蚤の市の業者、ポルノ映画の音楽担当などなど。

誰の目にも無謀なこの計画が、しだいしだいに現実味を帯びていき、とうとう楽団員全員でパリへ乗り込むことに成功した。

ところが、楽団員たちはパリに着くなり、バラバラになって自由を謳歌して、リハーサルにも戻って来ない。

でもそんなことより、アンドレにはもっと大切な目的があった。
それは、パリで活躍している若手のヴァイオリニスト、アンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)をソリストに指名して、競演することだったー。


アンヌ=マリー・ジャケ

この映画の素晴らしい点は、ユーモアに満ちていることです。
失意の中で30年も暮らしてきたアンドレにも、妻のイリーナも、巨漢のチェリストサーシャも、ガリガリの共産主義者でマネージャのイワンにも、心にはいつも音楽を愛する精神があり、それが苦しいときにもユーモアを忘れない人間性の豊かさにつながっているような気がしました。

また、ロシアのジプシー音楽をヴァイオリンで弾いている人が、突如クラッシックの名曲を奏で始める時は、鳥肌物でした。
これは、映画の中で2度楽しめます。

演奏会当日、アンヌがソリストで参加するということがわかり、楽団員も揃いますが、リハーサルもなし、しかも30年ぶりで1発勝負で合わすなんて、どんな一流オーケストラでも無理ー!!と思っていたら、案の定ちぐはぐな始まり。

やっぱりね、と思ったとたん、アンヌの奏でるヴァイオリンの音色が楽団の心を一つにまとめ、音楽は翼を持って空の高見に上っていきました。
その音楽は、観客の心を魅了し、劇場の中に素晴らしい奇跡が起きます。

そして、その激しい旋律とともに語られる、アンヌの生い立ちとアンドレの真の思い。
悲しい過去も、亡くなった人の魂も、すべて浄化していくような演奏でした。

ああ、絶対見て欲しいです。
感動の涙に酔いしれますよ。

そして、ラスト。
有名になった楽団員たちが世界中を演奏して回る姿、とても楽しい気持ちになります。

音楽っていいなあ。
超オススメの作品です。


17歳の肖像

2010-05-24 13:29:46 | 映画ー劇場鑑賞
ー17歳の肖像ーAN EDUCATION
2009年 イギリス
ロネ・シェルフィグ監督 キャリー・マリガン(ジェニー)ピーター・サースガード(デイヴィッド)ドミニク・クーパー(ダニー)ロザムンド・パイク(ヘレン)アルフレッド・モリナ(ジャック)カーラ・セイモア(マージョリー)エマ・トンプソン(校長)オリヴィア・ウィリアムズ(スタッブス先生)サリー・ホーキンス(セイラ)マシュー・ビアード(グラハム)アマンダ・フェアバンク=ハインズ(ヘイティ)エリー・ケンドリック(ティナ)

【解説】
イギリスの人気記者リン・バーバーの回想録を基に、ベストセラー作家のニック・ホーンビィが脚本を手掛けた注目の青春ムービー。年上の男性と劇的な恋に落ち、それまでの人生が一転する少女の変化と成長を描く。賢くキュートなヒロインを演じるのは『プライドと偏見』のキャリー・マリガン。その幸運な相手役に『エスター』のピーター・サースガード。傷ついてもしっかりと前を見つめて進んで行く主人公の凛(りん)とした姿がすがすがしい。

【あらすじ】
1961年、16歳のジェニー(キャリー・マリガン)は、ロンドン郊外の街で平凡で退屈な日々を送っていた。父(アルフレッド・モリナ)は成績優秀な娘をオックスフォード大学に進学させようと躍起になり、彼女はそのことに反発を覚えていた。そんなある日、彼女はデイヴィッド(ピーター・サースガード)という年上の男性と出会い……。(シネマトゥデイ)

【感想】
時代背景は1960年代のイギリス。
早熟で優秀で美人、16歳のジェニー(キャリー・マリガン)はオールドミスの先生のお気に入り。
学歴のない中産階級のパパ(アルフレッド・モリナ)は、優秀な娘をオックスフォードに入学させるのが夢でした。


高校生のジェニーは、ジュリエット・グレコの「パリの空の下」を聞いているような女の子でした。

このシチュエーション、私にぴつたりという感じじゃないけど、私の2・3歳先輩にいたようで、とても身近な気持ちで見ていました。
私は、想像もつかないでしょうが、いわゆるお嬢さん学校の出身なんです。

サルトルやヴォーウォアールに憧れ、フランスに憧れ、実存主義なんて全然わからないのに傾倒し、親を俗物とののしり、煙草を覚え、やがて学生運動にのめり込んでいく。
時代でしたねえ。

そういう彼女たちが、大人のオトコに出会ってどうなったか?
結構具体的に絵が浮かんできました。

大人のオトコ、デイヴィッド(ピーター・サースガード)は、ティーンエージャーのボーイフレンドとは、会話の内容が全然違います。
また、親までコロリと騙してしまう手練手管の持ち主。
チェロを弾いているジェニーとその親に、オーケストラで誘って、その後は生バンドが流れ、けだるい女性ジャズヴォーカルが辛い恋を歌うクラブ。
お次は、絵画のオークション。
お金持ちの友達(ドミニク・クーパー)と、とてもおしゃれで美人のその恋人(ロザムンド・パイク)。
大人の服を着て、お化粧して、髪型もアップに…。
大人の世界にどんどんのめり込んでいくジェニー。

そして、付き合いが深まるうちに、自分の正体を証し、ジェニーの心を揺さぶります。
ジェニーの気持ちをじっくり待って、引き寄せます。
うまいねえ!!
それでも、肝心なことは秘密…。

デイビッドはユダヤ人で学歴もなく、社会の裏側か、ギリギリのところで生きている人物です。
ワルの臭いが少しして、無垢で好奇心おう盛な女子高生のジェーンにはとびきり魅力的に見えたのでしょう。
ジェニーの通う学校の名門高校の校長(エマ・トンプソン)があからさまにユダヤ人批判をするセリフがあって、びっくりしました。
人種問題に加えて、階級制も厳しいイギリスの社会事情も垣間見えました。

父親は、あれほど一人娘を一流大学に行かせたがっていたのに、金持ちのオトコとの結婚が決まると「これで親の役目も終わり!!」とばかり、あっさり承諾するところが面白かった。
これも、親の本音だと思うけど、かなりあからさまでした。


ジェニーの家族と両親とデイビッド

原題は「AN EDUCATION」。
これも、ひとつの人生教育という意味でしょうか?

観客が期待するような(?)、どろどろの結末ではありません。
ジェニーはこれを教訓とし、自分の人生を着実に生きていく道を選びました。
そこがエンタテイメントとして地味な感じもしますが、私はジェニーを身近に感じていたので、この結末を支持します。

オンナはこういうふうに成長しなくちゃ!!という思いを強くした作品でした。



マイ・レフトフット

2010-05-24 13:27:22 | 映画ーDVD
ーマイ・レフトフットーMY LEFT FOOT
1989年 アメリカ
ジム・シェリダン監督 ダニエル・デイ=ルイス(クリスティ・ブラウン)ブレンダ・フリッカー(ミセス・ブラウン)フィオナ・ショウ(アイリーン)

【解説】
原作者C・ブラウンの実話を映画化した作品。生まれながらの重度の脳性小児麻痺により、左足が少し動かせるだけで、後は植物人間同様の生活を余儀なくされている不遇の主人公が、その絶え間ざる努力の末、やがて言語能力を取り戻し、わずかに動く左足を使い絵を描けるようになるまで成長していく姿を描く。(allcinema ONLINE)

【感想】
クリスティ・ブラウンの実話を映画化した作品。
1990年のアカデミー賞主演男優賞をダニエル・デイ=ルイスが、助演女優賞を母親役のブレンダ・フリッカー受賞しています。
ダニエルの名演技に尽きる作品でした。
クリスティの子供時代を演じた少年も素晴らしい演技でした。

クリスティ(ダニエル・デイ=ルイス)は産まれた時から重症の小児まひで、ほとんど動くことができないと宣告されていた。
しかし彼は、自らの不屈の精神と、母親や兄弟の愛情に包まれて育ちます。
絵の才能を医者のアイリーン(フィオナ・ショウ)に見いだされて、社会に出て行きますが、それはさまざまな苦悩との出会いでもありました。

貧しくても子だくさんでも、みんながそれぞれを思い合っている家族。
いまでは、少ない大家族の中でこそ、彼の感性が育ったのだと思いました。

私には、おふくろ万歳の作品に思えました。

身近であった出来事

2010-05-18 10:28:48 | Weblog
ー身近であった出来事ー

私は、都会の高層マンションに住んでいます。

先々月、隣人であるQ氏が孤独死され、警察の手によって発見されました。
Q氏が60歳還暦のお誕生日を迎える少し前の出来事でした。

都会の一人暮らしの方が亡くなると、親戚知人も知らず、遺族の手によるお葬式にも出席できないものです。
私とQ氏が、いつ会っても親しく挨拶をする間柄だということさえ、遺族に伝えることができません。
Q氏が亡くなったとわかったその夜、せめてもと思い、Q氏の行きつけの居酒屋のマスターに報告して、夫と3人でささやかに献杯したのでした。

ところが、1月ほど経って、Q氏のご遺族は、ご丁寧に私のポストにお手紙と祖供養を入れておいてくださったのです。
住所がわかり、私はお返事を書きました。
電話番号も書いておきました。

そうしたら、先日ヨガのお稽古から帰ったとたん、電話のベルが鳴りました。
「私はQの娘です。弟と一緒に、夜行バスで早朝大阪に着いて、今父の部屋を片付けています」というのです。
「つきましては、父がよく通っていたと言う居酒屋さんを教えていただけませんか?」
「私も、昼食をその店で食べようと思っていたところです。ご一緒しましょう」と待ち合わせをしました。

エレベーターで下っていくと、Q氏の住まいのある階から若いご姉弟が乗り込んで来られ、一目でご遺族だということがわかりました。

居酒屋に連れて行くと、マスターもとても気にかけていたので、喜んでくれました。
Q氏はここ5年ほど、毎日のようにこの店で夕食を食べていたのでした。
(Q氏がこの店に行けない日は、電話で連絡して来ると、笑い話になっているほどでした)

死因はお風呂での心筋梗塞、ということでした。
みんなでQ氏の思い出を語り、ご姉弟も、お父上の晩年がそれほど孤独でも不幸でもなかったと知り、「寿命だったのですね」と言っておられました。

昨日も、その居酒屋に行きましたが、Q氏を知っている人たちで、ささやかな「忍ぶ会」をしようね、と言う話になりました。

私がご遺族をマスターにお引き合わせした形になりましたが、それは、まるでQ氏の意志によるもののような気がしてなりません。
ショックと悲しみの中にいる子供たちに、自分の生き様を伝えたかったのでしょう。

孤独死は不幸な出来事には違いありませんが、都心のマンションで自由を謳歌している者の、リスクの一つだとも言えるでしょう。
問題は、困ったときにヘルプが届くか、ということです。

私とQ氏は、マンションのアニバーサリーパティなどで知り合いました。
顔見知りにさえなれば、こうしてお役に立つこともできるのだなあ、と考えさせられる出来事でした。

ザ・バンク堕ちた巨像

2010-05-18 09:54:49 | 映画ーDVD
ーザ・バンク堕ちた巨像ーTHE INTERNATIONAL
2009年 アメリカ/ドイツ/イギリス
トム・ティクヴァ監督 クライヴ・オーウェン(ルイ・サリンジャー)ナオミ・ワッツ(エレノア・ホイットマン)アーミン・ミューラー=スタール ブライアン・F・オバーン

【解説】
巨大プライベート・バンクの陰謀を暴き、国際情勢の裏に潜む闇を描くクライム・サスペンス。クライヴ・オーウェン演じるインターポールの捜査官とナオミ・ワッツふんする検事が、世界を駆け巡り驚がくの真実を浮き彫りにしていく。『パフューム ある人殺しの物語』のトム・ティクヴァ監督が、骨太な作品に挑み改めて才能を発揮。実際の世界と重ね合わせて不安をかき立てられる一方、社会派エンターテインメントとして最後まで存分に楽しめる。

【あらすじ】
ルクセンブルクに拠点を置く国際銀行、IBBC。この銀行の不審な取引情報をつかんだインターポール捜査官のサリンジャー(クライヴ・オーウェン)とニューヨーク検事局のエラ(ナオミ・ワッツ)は本格的な捜査に乗り出すが、核心に迫ろうとするたびに関係者が消されてしまい……。(シネマトゥデイ)

【感想】
政界、財界、CIAや多国籍企業、海外の闇組織などを全部取り込んで巨額の富を取り込んで膨れ上がる、巨悪の根源のようなメガバンクの悪事に、たった一人で立ち向かうインターポールの捜査官サリンジャー(クライヴ・オーウェン)の話。

内容が複雑そうで敬遠していましたが、いやあ、なかなか硬派で骨太な作品でした!!

ここに登場するIBBCというメガバンク、実在したBCCIというメガバンクがモデルだそうです。

このバンクの極悪非道さと言ったら、今まで見てきた映画の悪人なんて、「お子ちゃま」と言えそうなくらいの極悪です。

武器商人と紛争地域を結びつけて、多額の融資で戦争を煽る。
利用価値のなくなった人間は、殺し屋に殺させる。
身内にも容赦はない。
頭取さえも使い捨て、あたかもバンク自身が意志を持った悪魔のような存在です。

それに立ち向かうサリンジャーは、ほとんど自分では武器も持たず、愚直なまでに、巨悪に挑み続けます。

そのストイックな彼の行動に心を打たれます。

「いまどき、こんな人、いてないよなあ」と思いながらも、正義がなくなったらこの世は終わりだーと言う気持ちで、彼を応援してしまいました。

今現在のリーマンショックなどを予見するかのような映画でした。
面白かった!!

ディファイアンス

2010-05-18 09:46:43 | 映画ーDVD
ーディファイアンスーDEFIANCE
2008年 アメリカ
エドワード・ズウィック監督 ダニエル・クレイグ(トゥヴィア・ビエルスキ)リーヴ・シュレイバー(ズシュ・ビエルスキ)ジェイミー・ベル(アザエル・ビエルスキ)アレクサ・ダヴァロス(リルカ)アラン・コーデュナー(ハレッツ)マーク・フォイアスタイン(イザック)トマス・アラナ(ベン・ジオン)ジョディ・メイ(タマラ)ケイト・フェイ(ロヴァ)イド・ゴールドバーグ(イザック・シュルマン)イーベン・ヤイレ(ベラ)マーティン・ハンコック(ペレツ)ラヴィル・イシアノフ(ヴィクトル・パンチェンコ)ジャセック・コーマン(コスチュク)ジョージ・マッケイ(アーロン・ビエルスキ)ジョンジョ・オニール(ラザール)サム・スプルエル(アルカディ)ミア・ワシコウスカ(ハイア)

【解説】
第二次世界大戦中、オスカー・シンドラーに匹敵する約1,200人のユダヤ人の生命を救ったユダヤ人のビエルスキ兄弟にスポットを当てた感動ストーリー。監督は『ブラッド・ダイヤモンド』のエドワード・ズウィック。ビエルスキ3兄弟の長男トゥヴィアを『007/慰めの報酬』のダニエル・クレイグが演じる。今まであまり語られることのなかった実話に基づく真実のストーリーとして、緊迫感あふれるサスペンスとして堪能できる一作。

【あらすじ】
ユダヤ人の大量虐殺が行われていた第二次世界大戦中の1941年。ベラルーシに住むユダヤ人の3兄弟、トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)は子どものころからの遊び場だった森に逃げ込む。だが、彼らの思惑とは裏腹に、逃げ惑うユダヤ人たちが次々と森に集まり始め……。

【感想】
第二次世界大戦中のユダヤ人をめぐるエピソードは、たくさんあるのでしょうね。
これは、ベラルーシでの出来事。
信じられないけど、実話だそうです。

「ディファィアンス」は抵抗という意味です。

☆ネタバレ
ビエルスキ家の長男トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)が不在のときに、村に警察がやってきて、家や牧場で働いていたユダヤ人たちを暴力で村から追い払った。
そのときに、両親は銃殺され、次男のズシュ(リーヴ・シュレイバー)とアザエル(ジェイミー・ベル)は森に逃げ込んだ。
警察が去った家の床下から末っ子のアーロン(ジョージ・マッケイ)を救出して、再び森の中を彷徨っていた。

一家の惨事を知って家族を捜していたトゥヴィアと合流した兄弟。
トゥビアは両親を殺した警察官に復讐することだけを考えていた。
復讐を終えたトゥビアだったが、問題は何も解決していない現実に直面する。
困ったユダヤ人難民たちが、トゥビアたちを頼って集まりだしたのだ。

でも、森の中では、食料はない、医薬品はないと、次々と難題が押し寄せる。
しかも、人はどんどん増え続けていく。
追っ手には拠点がすぐにばれて、追われ、そのつど森の中を転々とする生活。

武闘派のズシュはトゥビアに反発して、ロシア軍に入隊し、武力でドイツ軍に対抗しようとするが、共産主義には反ユダヤ主義がないはずなのに、差別は依然とあった。

一方、リーダーの資質があるかと悩むトゥビア。
もともと、アウトローだった人物。
有事のときにこそ現れるヒーローの典型のような人物です。
彼は学び続け、人々をまとめ、犠牲者を出しながらも、モーセの出エジプト記をなぞったような逃亡を続ける。

ラストの孤高の銃撃戦は本当に感動的で、そこに現れた救世主はなんと!!

反目し合う兄弟の機微も見所でした。

終戦時には1200人もの集団となっていて、病院や、学校もあったそうです。
人間の生きる能力の素晴らしさにも感動しました。