マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

パリ、ジュテーム

2007-03-30 15:05:37 | 映画ー劇場鑑賞
  ーパリ、ジュテームー
2006年 フランス/ドイツ/リヒテンシュタイン/スイス 
監督=ブリュノ・ポダリデス 、グリンダ・チャーダ 、ガス・ヴァン・サント 、ジョエル・コーエン 、イーサン・コーエン 、ウォルター・サレス 、ダニエラ・トマス 、クリストファー・ドイル 、イザベル・コイシェ 、諏訪敦彦 、シルヴァン・ショメ 、アルフォンソ・キュアロン 、オリヴィエ・アサイヤス 、オリヴァー・シュミッツ 、リチャード・ラグラヴェネーズ 、ヴィンチェンゾ・ナタリ 、ウェス・クレイヴン 、トム・ティクヴァ 、フレデリック・オービュルタン 、ジェラール・ドパルデュー 、アレクサンダー・ペイン
出演=ブリュノ・ポダリデス 、フロランス・ミューレル 、レイラ・ベクティ 、シリル・デクール 、マリアンヌ・フェイスフル 、イライアス・マッコネル 、ギャスパー・ウリエル 、スティーヴ・ブシェミ 、ジュリー・バタイユ 、カタリーナ・サンディノ・モレノ 、バーベット・シュローダー 、セルジオ・カステリット 、ミランダ・リチャードソン 、レオノール・ワトリング 、ジュリエット・ビノシュ 、ウィレム・デフォー 、イポリット・ジラルド 、ヨランド・モロー 、ポール・パトナー 、ニック・ノルティ 、リュディヴィーヌ・サニエ 、マギー・ギレンホール 、リオネル・ドレー 、ジョアンナ・プレイス 、セイドゥ・ボロ 、アイサ・マイガ 、ファニー・アルダン 、ボブ・ホスキンス 、イライジャ・ウッド 、オルガ・キュリレンコ 、ウェス・クレイヴン 、エミリー・モーティマー 、ルーファス・シーウェル 、アレクサンダー・ペイン 、ナタリー・ポートマン 、メルキオール・ベスロン 、ジーナ・ローランズ 、ベン・ギャザラ 、ジェラール・ドパルデュー 、マーゴ・マーティンデイル

【解説】
パリの各地区を舞台にした人間ドラマの数々を、1話約5分間全18話の構成で見せる珠玉の短編集。ドイツのトム・ティクヴァ、メキシコのアルフォンソ・キュアロン、イギリスのグリンダ・チャーダ、アメリカのガス・ヴァン・サントら、世界中の名匠が集まり、それぞれが撮った作品を披露する。ナタリー・ポートマン、イライジャ・ウッドら、出演陣も豪華。多くの映画で描かれる芸術の都パリではなく、等身大のパリの姿が堪能できる。(シネマトゥデイ)

【感想】
ものすごく面白かったです。
たった5分の話だから、ひとことであらすじが言えてしまうけど、そこは、実力派の監督、脚本家揃い、ひとつひとつが無駄なく、素晴らしかった。
バランスも良かったと思う。
企画した人が抜群なんだろうなあ。
それにしても、すごいプロジェクト、そのエネルギーにまず感心しちゃいます。

この映画を見て、今パリって、すごく国際都市だなとも思いました。
この作品には、いろんな人種の人が出てきました。
監督も国際色豊かですが。

全18話がどれもとてもいい出来です。
たった5分の話なのに泣いた作品もありました。
私には、これが一番かなあ。

第12話「お祭り広場」

広場の真ん中で刺された黒人男性が横たわっている。
医学生のソフィが懸命に手当をしている。
彼女も黒人。
救急車はまだ来ていない。
男性は苦しい息の中から彼女に呼びかける「コーヒーを一緒にどう?」
実は、彼、お祭り広場の地下駐車場で働いていた。
あるとき、ソフィが車を逆走して入ってきたのを誘導してあげたことがある。
一目でソフィを気に入った彼は、懐かしい歌を口ずさみソフィに言ったのだ。
「コーヒーを一緒にどう?」
彼はその後、駐車場をクビになり、ホームレスとなった。
ギターをつま弾いてお金をもらう生活。
また、ソフィを見かけた、と思って声をかけたら別人だった。
連れの男たちと口論になり、あげくに刃物で刺されてしまったのだった。
苦しい息で彼はソフィに歌う。
ソフィは「コーヒーを持ってきて」と頼むが、コーヒーがふたつ運ばれてきた時には、彼は救急車で行ってしまったあとだった。

ここのところ、アフリカの映画を見ているせいで、彼も故郷を離れざるを得なくなった一人なんだなあ、と思ったら、泣いてしまいました。

次に良かったのは第13話「ピガール」
 

バーに中年の男性(ボブ・ホスキンス)が入ってくる。
すでに女(ファニー・アルダン )がカウンターにいて、曲をリクエストする。

男は出て行き、ストリップ小屋へ。
そこへ女が入ってきて、いいムードになる。
男が「ここにキスしろ」といったとたん、女は怒りだし、ぱちんと頬を打つ。
怒って出て行った女を追っていくと、そこでは彼女がバーでリクエストした曲をバンドマンが奏でていた。
男が手配したのだった。
それで機嫌を直した女が男と踊りだしていうセリフ「あなたには辛い過去だったでしょうが、私には幸せだった」
かっこいいです。
しびれました。
私も、誰かに言ってみたい!!
大柄なファニーと小柄なボブ、ファニーのフランス語とボブの英語、合っていないようで二人は息がぴったりのパートナーなのです。

二人は長年二人芝居をしてきた役者という設定らしいけど、夫婦漫才のようなかけあいで、とても粋でした。

その次は第5話「16区から遠く離れて」
 「そしてひと粒の光」のカタリーナ・サンディノ・モレノ 主演。
16区は高級マンションが建ち並ぶお金持ちの町だそうです。
そこから遠く離れた郊外の団地に住む移民のアナは朝早く、生まれたばかりの我が子を保育園に預けて、いろんな乗り物を乗り継いで16区にあるマンションの一室で子守りをしている。
と、これだけのお話。
それなのに、彼女の目、指先、子守唄が、母の愛を語るのよ。
監督は「モーターサイクルダイアリーズ」のウォーター・サレス。
すごいなあ。

あんまり気に入ったから、各エピソードも少しずつご紹介しておきます。

第1話の「モンマルトル」


モンマルトル界隈で、男がいらいらしながら運転している。
駐車したいのに、道幅が狭く混んでいて、なかなかみつからない。
やっと駐車スペースをみつけて、ほっとするかと思えば、まださらに車の中で孤独な自分の人生に毒づいている。
その目の前で、女性が倒れた。
救命救急の資格を持っている彼は、通りかかった医者の冷たい言い方を聞きながら、彼女を自分の車の中で休ませる。
彼女は彼を手を取り、「手が気持ちよかったわ」と感謝の言葉を述べる。
映画の最後の小さく別れたコマのひとつで、彼らが橋の上で楽しそうにおしゃべりしている場面が見られます。
なんか、ほっとしました。

第2話の「セーヌ河岸」もいい出会いの描き方でした。
セーヌの岸辺で、通る女の子に声をかけているアホ学生3人。
でも、フランソワは違和感を感じていた。
アラブの女学生ザルカが転ぶのを見て、助けます。
2、3言言葉を交わして、二人は別れるが、フランソワは彼女のことが気になって…。
「ベッカムに恋して」のグリンダ・チャーダ監督・脚本。
さわやかな恋の始まり。

第3話の「マレ地区」のキャスパー・ウリエル君もよかった。

顔がもっとよく見える髪型だと、もっと良かったんだけどなあ。
ガス・ヴァン・サント監督作品。

第4話の「チュイルリー」
この駅知っています!
パリに滞在したとき、この駅を使ったわ。
こんなふうに駅にミュージシャンがいて、美しい音色を聞かせてくれていました。
 異邦人のステイーヴ・ブシェミが最高。
フランス語がまるでわからなくて、どぎまぎする観光客の無様な姿。
おかしかった。
さすが、コーエン兄弟の作品。
素直には撮りませんね。

第6話「ジョワジー門」
チャイニーズの乱暴なお姉さんと美容関係のセールスマンのおじさんのお話。
よくわからなけど、滑稽でした。

第7話「バスティーユ」
別れ話をするために妻(ミランダ・リチャードソン)をカフェに呼び出した夫。
妻は、自分は癌で余命幾ばくもないと告げ、夫は妻との人生を選ぶ。
最初は妻に恋する男を演じているつもりだったが、やがて再び妻に恋して、妻を看取る。
「死ぬまでにしたい10のこと」などで知られるイザベル・コイシェ監督らしい皮肉な作品でした。

第8話「ヴィクトワール広場」


これは日本人監督、諏訪敦彦の脚本・監督によるもの。
子供を亡くした母(ジュリエット・ビノシュ )が悲しみに暮れていると、ヴイクトール広場にカウボーイ(ウィレム・デフォー)が現れ、息子に会わせてやるという奇想天外なシチュエーション。
奇抜な取り合わせが面白いし、母の悲しみの深さもよく表現できていました。
 カウボーイ姿が素敵なウィレム・デフォー

第9話「エッフェル塔」
これは、よくわからなかったなあ。
パントマイマーの夫婦の話。

第10話「モンソー公演」
若い娘(リュディヴィーヌ・サニエ)と老人(ニック・ノルティ )が会って、いきなり会話をはじめるけど、娘はフランス語、老人はフランス語まじりの英語で、何かから逃れたいような会話。
老人がフランス語を間違うたびに娘が直すところがおかしい。
これはセリフを楽しむ作品でしょうね。
日本人には少しわかりにくい。
アルフォンソ・キュアロン監督。

第11話「デ・ザンファン・ルージュ地区」
マギー・ギレンホールがパリで撮影している女優という設定。
怪しいヤクの売人からドラッグを買い、撮影を見せて欲しいと言う彼に電話番号を聞き、ドラッグのデリバリーを頼むが…

第14話「マドレーヌ広場」


これだけがファンタジー。吸血鬼もの。
イライシャ・ウッドとオルガ・キュリレンコ、吸血鬼のラブ・ストーリー???

第15話「ペール・ラシェーズ墓地」
 

ウェス・クレイブン監督で墓地が舞台なのに、ホラーじゃないって、面白いです。
結婚間近な二人(エミリー・モーティマー とルーファス・シーウェル)。
「あなたには、ユーモアも笑いもない」と批判する彼女。
彼が、オスカー・ワイルドの墓石に口づけする彼女を見て不潔だと言うと、彼女は「結婚できない」とわめいて去ってしまった。
そこにオスカー・ワイルドが現れ、恋の手ほどきをしてくれ、二人は無事に仲直り。

 このオスカー・ワイルドを演じているのがアレキサンダー・ペイン(サイド・ウェイの監督)です。
彼は、役者よりハンサムだと常々思っていたけど、素敵でした。
この作品では最後の「14区」を手がけています。

第16話「フォブール・サン・ドニ」

これも好きなお話。
盲目の青年と、女優の卵(ナタリー・ポートマン)の小さな恋の物語。
とてもかわいいお話でした。
トム・テクヴァ監督(「パフューム」)作品。

第17話「カルチェラタン」
 

これも味わいのある夫婦のお話。
もう孫もいるお金持ちの夫婦(ジーナ・ローランズ 、ベン・ギャザラ)。
別居して長いようです。
妻はパリに住み、愛人もいる。
夫はアメリカにいいて、長い間それで不都合がなかったのに、今回夫から離婚話が切り出されたようです。
離婚のための調停は明日。
でもなぜ?
実は夫の若い恋人が妊娠したのです。
離婚が成立したら彼女と結婚すると、夫が言いました。
「孫もたくさんいるのに…あら、ごめんなさい、いまの言葉、忘れて」
「君が毒舌を押さえてくれていたら、ボクは家を出ることはなかったのに…いやいや、やめておこう」
「では、またあした…」と妻は店を出て行く。
その会話を聞いていたレストランのオーナー(ジェラール・ドパルデュー)が、慰めるように残った主人に声をかけました。
二人で夢見た将来もあっただろうに、いまでは喧嘩さえできない間柄。
いまは昔ということなのでしょうか。
 監督・出演のジェラール・ドパルデュー

第18話「14区」

アレキサンダー・ペインの作品。
デンバーで郵便配達をしているキャロルが、一人でパリにやってきて、14区の公園に座っている時、ある出来事が起きる。それは、悲しさを含んでいるけれど、素晴らしい感情だった。
アメリカではなく、パリで人生の意味を知ったキャロル。
それが、典型的アメリカ女性といえるキャロルの、とつとつとしたフランス語で語られるところがミソ!
この映画を締めくくるのにふさわしい作品でした。

音楽も素敵。
大人のための映画って、いえるんじゃないでしょうか。

グロリア

2007-03-30 14:32:17 | 映画ーTV
ーグロリアー
1980年 アメリカ ジョン・カサヴェテス監督 ジーナ・ローランズ 、ジョン・アダムス 、バック・ヘンリー 、ジュリー・カーメン

【解説】
マフィアの重大な秘密を売ろうとして惨殺された一家から男の子フィルを助けた中年女グロリア。しかし問題の秘密はフィルが持ち出していたことを知ったマフィアは少年をかくまったグロリアをも狙い始める。子供嫌いなグロリアは生意気なフィルを見捨てようとするが、次第に母性本能が芽生え必死になってニューヨークを逃げまわるが……。リュック・ベッソン監督作「レオン」の原形とも思えるハード・ボイルド映画。(yahoo映画)

【感想】
1999年にシドニー・ルメット監督、シャロン・ストーンの主演でリメイクされています。
リメイク版は見たことがあるので、なかなか興味深く見ました。

タイトルからすごくかっこいい。
音楽も、ニューヨークの遠景も、主人公の服装(エマニュエル・ウンガロ)も、スタイリッシュという言葉がぴったり。

そしていきなり始まる緊張感溢れるマフィアによる一家皆殺しのシーン。
そして、子連れの逃走劇。

ストーリーはほとんどない。
ただ、グロリアが6歳の生意気盛りのプエルトリコ系の男の子を連れて、ニューヨーク中を逃げ回るお話。
タクシー、地下鉄、バス、一流ホテル、安宿、高級マンション、安アパート、ニューヨークのいろいろなところが出てきます。
いまのニューヨークはもっときれいでしょうが。

犯罪歴のある落ちぶれたあばずれを演じるジーナ・ローランズが素敵です。
「私は太って、年をとっている」と居直りのセリフをしょっしゅういうわりには、しぶとくかっこいい。

よくわからないシーンや、アクションものにしては展開が遅いなど、いろいろ感じるところはああったけど、でも、いろんな映画の原型になっているような作品でした。
私も「レオン」に似ていると思いました。

ブラッド・ダイヤモンド

2007-03-28 00:18:17 | 映画ー劇場鑑賞
ーブラッド・ダイヤモンドー
2006年 アメリカ エドワード・ズウィック監督 レオナルド・ディカプリオ 、ジェニファー・コネリー 、ジャイモン・フンスー 、マイケル・シーン 、アーノルド・ヴォスルー 、カギソ・クイパーズ 、デヴィッド・ヘアウッド 、ベイジル・ウォレス 、ンタレ・ムワイン 、スティーヴン・コリンズ

【解説】
1990年代後半のアフリカ、シエラレオネでの激しい内戦を描いた社会派アクション映画。“ブラッド・ダイヤモンド”というダイヤモンドの不正な取引をめぐって起きる不毛な争いをサスペンスフルに描く。元傭兵の密売人にレオナルド・ディカプリオ、やり手の女記者にジェニファー・コネリー、家族を愛する漁師役には実際にアフリカ出身のジャイモン・フンスーがふんし、緊迫感あふれる迫真の演技でみせる。地域紛争が激化する“ブラッド・ダイヤモンド”の現実問題に言及した内容について、米国務省が批判したことでも話題となった問題作。

【あらすじ】
ダイヤの密売人であるダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、巨大なピンク・ダイヤを隠し持つソロモン(ジャイモン・フンスー)という男の存在を知る。一方、ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリ)は、反政府組織“RUF”の資金源となっている“ブラッド・ダイヤモンド”の真相を探っていた……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
またまたアフリカもの。
試写会が当たって行ってきました。

 このレオナルド・ディカプリオ、うまい!!
なんで主演男優賞が獲れなかったんだろう。

ダイヤの密売人であるダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、留置場の中でソロモン(ジャイモン・フンスー)がピンクダイヤモンドを隠し持っているという噂を聞き、それが本当だと直感する。
一方、ダイヤ密売の裏ルートを追うジャーナリスト・マディー(ジェニファー・コネリ)とも出会う。

ダイヤの利権を巡る同じ民族同士の血も涙もない争い、それを利用して儲ける先進国の人々、暴力と恐怖と薬で支配される少年兵の実態など、これでもかというくらい、人間の醜さを見せてくれました。

そのなかで、育まれるアーチャーとソロモンの友情にも似た連帯感。
アーチャーが初めて知ったマディーとの恋。
それがプラトニックのままだだけに、より美しいと感じてしまいました。
そういう、切っても切れない人としての絆から目を話さずに物語は進んで行きました。

これは、人間アーチャーの魂の浄化の物語だと感じ、私もマディーと同じ場面で一筋の涙がこぼれ落ちました。

 ジャイモン・フンスーが久しぶりにかっこいいです。
彼の後ろ姿って本当にかっこいいし、お目目は優しくて、頼れるお父さん、素敵でした。

今日は夫と見に行って、夫が「だからダイヤなんか欲しがったらダメなんや」と言いました。
それはわかるけど、やっぱり愛情の証として、ダイヤモンドは欲しいなあ。
あんな大きなピンクのはいりませんが。
こう思う私は不謹慎なのでしょうか?


イン・ザ・ベッドルーム

2007-03-28 00:12:12 | 映画ーTV
ーイン・ザ・ベッドルームー
2001年 アメリカ トッド・フィールド監督 トム・ウィルキンソン 、シシー・スペイセク 、ニック・スタール 、マリサ・トメイ 、ウィリアム・メイポーザー 、ウィリアム・ワイズ 、セリア・ウェストン 、カレン・アレン

【解説】
 ニューイングランド、メイン州の小さな町カムデンで開業医をしているマット・ファウラーと妻ルースのもとに夏休みを利用して一人息子フランクが帰ってくる。彼はバイトに励む傍ら、近所に住む年上の女性ナタリーと恋に落ちる。彼女は二児の母で暴力夫のリチャードとは現在別居中。しかし、リチャードは離婚に応じず、ナタリーの家にしばしばやって来ては暴力を振るっていた。ある日、フランクはナタリーの家で興奮したリチャードと遭遇、言い争いの末リチャードに拳銃で撃たれ命を落としてしまう。突然の悲劇に見舞われたマットとルースはどう対処すべきかわからず途方に暮れる。

【感想】
一人息子を亡くす、なんて考えてもいないこと、考えられないことがファウラー夫婦(トム・ウィルキンソン 、シシー・スペイセク)を襲います。
受け入れがたい事実ー息子の死。

残酷にも、日は昇り、朝はやってきます。
この世のすべてだった、宝物のような息子がいなくなったにもかかわらず、日常が始まり、何もなかったかのように、人々の営みが続きます。
傷は癒えるどころか、心の奥深くで膿んでいきます。

小さな出来事が、心を痛めます。
針でつつくようにちくちくと。
夫婦は同じ悲しみを抱えながら、いたわりの言葉を掛け合うどころか、思ってもいない不満が口をついて出て、あろうことか最愛の夫、妻を攻撃してしまうのです。
そのことにさらに傷つき、深い悲しみの中を彷徨っていると、答えはこれしか見つからなくなってしまったのです。

復讐ー。

成し遂げて我が家の寝室で横になって、ふと我に返る。
どうしようもない徒労感。
決して埋められない喪失感。
これから、彼は眠れない夜を幾晩重ねるのでしょう、イン・ザ・ベッドルーム。

この作品はずしーんと重いテーマを投げかけています。
もし、アメリカに銃が身近になければ、この悲劇も避けられたかもしれない。
不倫や暴力夫など、よくある話ですもの。

演出も良かったし、トム・ウィルキンソン とシシー・スペイセクの演技もすごくよかった。
いい映画です。

頭文字[イニシャル]D THE MOVIE

2007-03-26 17:30:36 | 映画ーDVD
ー頭文字[イニシャル]D THE MOVIEー
2005年 香港/中国 アンドリュー・ラウ 、アラン・マック監督 しげの秀一原作 ジェイ・チョウ 、鈴木杏 、エディソン・チャン 、ショーン・ユー 、アンソニー・ウォン 、チャップマン・トー 、ケニー・ビー 、ジョーダン・チャン 、リュウ・ケンホン

【解説】
レーシングコミックの金字塔「頭文字D」を『インファナル・アフェア』シリーズのアンドリュー・ラウとアラン・マック監督が映画化。台湾、香港の若手トップ・スターが集結し、ヒロインを日本の鈴木杏が演じている。何台もの車を壊してまで実写にこだわり撮影されたドライビングシーンや高橋レーシングチームのスタントによるテクニックの数々は必見。

【感想】
藤原拓海(ジェイ・チョウ)はとうふ屋を営む父(アンソニー・ウォン)と2人で暮らす一見平凡な高校生。しかし、実は拓海はかつて伝説の走り屋といわれた父親からとうふの配達を通じて見えざる英才教育を受けていたのだ。 (シネマトゥデイ)

【感想】
面白かった!!
日本の劇画を、日本の設定のまま作った香港映画。
いやあ、香港テイスト満載で、おもろかったです。

日本で撮影したらしいけど、家の中のポスターとか、扇風機とか、いろいろおかしかったです。
看板の文字や町並みも、なんだか違っていました。
言葉の違いや小道具なとが、別の世界のお話みたいに思えて、よけい楽しかったのかもしれません。

飲んだくれのお父さん(アンソニー・ウォン)が、星飛雄馬のお父さんばりにデフォルメしてあるところも笑えました。
息子への愛情に溢れていました。
友達のイツキとは、すべてわかりやすい対照的な設定にしてありました。
お金持ちと貧乏、過保護とスパルタ式など。
ややこしくないところがいいなあ。

主人公の藤原拓海を演じているのはジェイ・チョウ、香港の人気ナンバーワン歌手だそうです。
知りませんでした。

エディソン・チャン とショーン・ユーがしっかり脇役に回って、主人公を引き立てていました。

ドライブテクニックは全然わかりませんが、手に汗にぎって楽しめました。
拓海が恋や別れを経験するシーンは、まるでミュージックビデオの様に美しかったです。

拓海の恋人役に鈴木杏、上手に中国語をしゃべっていたし、プロポーションも抜群でした。

安来節の女ーあらえっさっさ物語

2007-03-26 10:08:17 | 映画ー劇場鑑賞
「安来節の女ーあらえっさっさ物語」2幕10場
平成19年3月25日午後2時開演
川西文化会館コスモホール(奈良県磯城郡川西町・結崎)

高校のときの恩師M先生が、町民劇団に関わっていて、「興味があるなら」とお手紙をいただいたので、雨上がりの午後、「結崎」まで行ってきました。

余談ですが、結崎はかつて観阿弥世阿弥親子が作った結崎座があったところです。結崎座は大和四座のひとつで、人気の座でした。
世阿弥が時の将軍義政の寵愛を受けて、時のスーパースターになる前。
結崎座は観世座と名前を変えて、現在に至っています。
お芝居の発祥地としての、プライドがある土地柄です。

 舞台からご挨拶の様子

この演目は、オリジナル脚本で、なんと上演時間が3時間半。
お客さんもホールいっぱい、補助椅子が用意されるほどで、最後まで帰る人はいませんでした。
M先生は美術担当なので、うしろの背景とかにも注意してみていましたが、すごくよくできていました。
昔からなじんできた松竹新喜劇の様な、笑いあり、笑いあり、涙ありの大作でした。

役者さんもスタッフも町民とのこと。
応援団もたくさんいて、しろうと芝居の良さがたっぷり出ていました。
ここまであわせるの、ほんと、大変だったと思いました。
見る方も見られる方も、一緒に舞台を盛り上げていこうという、町民皆さんの熱意が伝わってきました。

終わってから、先生が私を探してくださって、二人で2回も抱き合って喜びました。
先生の若さに、驚きました。
高校の時に教室でお会いしていたときより、生き生きして若く感じました。(ちょっと言い過ぎかな?)
黒づくめの裏方の出で立ち、すごくお似合いでした!!
かっこいいです。

大成功おめでとうございました。

 劇場出口で出演者がお見送り

ユー・キャン・カウント・オン・ミー

2007-03-25 09:23:53 | 映画ーDVD
ーユー・キャン・カウント・オン・ミーー
2000年 ケネス・ローガン監督 ローラ・リニー 、マーク・ラファロ 、マシュー・ブロデリック 、ジョン・テニー 、ロリー・カルキン 、ジョシュ・ルーカス

【感想】
幼い時に両親を交通事故でなくして、施設で育った姉弟。
同じ不幸な生い立ちでも、二人の人生観はこうも違うのですね。
姉は未婚のまま子供を持って、シングルマザーでがんばってている。
弟は、生きている実感に乏しく、なりゆきのまま自然体で世間の荒波にもまれている。
そんな二人が再会した喜びもつかの間、いいろいろ問題が姉のサミーを悩ませる。

これも日本未公開作品だそうです。
ローラ・リニーって、おねえさんキャラだと思いました。
「ラブ・アクチュアリー」でもそうでした。
また、アメリカ版寅さんだとも思いました。
寅さんが帰ってきたときの、うれしさとややこしさ。

マーク・ラファロが純粋すぎて、世の中からはみ出してしまう弟を好演していました。

特典で監督も言っていましたが、生き方のモデルとなるべき親がいない子供は、この姉弟のように大人になれないと思いました。
ほんと、大人の生き方を学ぶって難しいです。
サミーは、とっても真面目に生きようとしているのに、ろくでもない男の子供を産んでシングルマザーになったり、どうみてもまともではない上司と不倫に陥ったり、とてもバランスが悪い。
このまともでない上司にマシュー・ブロデリック。
真面目な顔しているのに、変人なのでそのギャップがおかしかった。

姉と弟、お互いに思い合っていてもなかなか思いが通じない、切ないラストでした。

ロリー・カルキンが、繊細な子供をうまく演じてました。かわいかった。

ロング・エンゲージメント

2007-03-25 09:17:24 | 映画ーTV
ーロングエンゲージメントー
2004年 フランス ジャン=ピエール・ジュネ監督 オドレイ・トトゥ 、ギャスパー・ウリエル 、ジャン=ピエール・ベッケル 、ドミニク・ベテンフェルド 、クロヴィス・コルニアック 、マリオン・コティヤール 、ジャン=ピエール・ダルッサン 、ジュリー・ドパルデュー 、アンドレ・デュソリエ 、ティッキー・オルガド 、ジェローム・キルシャー 、ドニ・ラヴァン 、シャンタル・ヌーヴィル 、ドミニク・ピノン 、ジャン=ポール・ルーヴ 、ミシェル・ヴュイエルモーズ 、ジョディ・フォスター 、チェッキー・カリョ 、リュファス 、アルベール・デュポンテル

【解説】
『アメリ』のオドレイ・トトゥ&ジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作。フランス版「はいからさんが通る」のような本作で、オドレイ演じるマチルダが探す恋人・マネクを演じるのは、若手人気俳優のギャスパー・ウリエル。物語の鍵を握る人物の一人として登場し、フランス語をなんなく操るオスカー女優、ジョディ・フォスターにも注目。

【あらすじ】
軍法会議で死刑を宣告された5人の兵士は、敵との中間地帯に放り出される。その兵士の1人にマチルダ(オドレイ・トトゥ)が愛する恋人・マネク(ギャスパー・ウリエル)が含まれていた。5人の兵士は死んだとされているが、マチルダはマネクの消息を追う。 (シネマトゥデイ)

【感想】
映画が始まってすぐに、重要な情報が一度に提示されて、人名が難しいので、あとで大変でした。
ストーリーの流れもゆっくりで、ちょっと退屈もしました。

「アメリ」が好きではないので、これも敬遠気味でした。
しかも、苦手な戦争映画だし。

時代は第一次世界大戦、ドイツとの最前線の塹壕に死刑判決を受けた5人の囚人が送られてくる。
その中に、マチルダ(オドレイ・トトゥ)の恋人、マネク(ギャスパー・ウリエル)もいた。みな、自傷行為として死刑を宣告されたものばかり。
彼らには恩赦の通知があったが、司令官がその書類を破棄し、隊の責任者が彼らを仏軍と独軍の中間地点に遺棄した。

マチルダは彼の戦士の報せを聞き、直感的に生きていることを信じ、親の残してくれた遺産を使って、探偵を雇い調査する。
彼女の動きとは別に、復讐を果たしている人間がいた…

マチルダはいろんな人に助けられて、結局恋人を探し当てるのだけれど、それだけの感じがしました。
オドレイ・トトゥって愛想がないと思うのは私だけかなあ。
笑ったら、ほんとかわいいのにね。

こんなふうな、感情のこもらない戦争の描き方もあるんだなあ、と思いました。

ジョデイ・フォスターが出ていて、しかもフランス語がうまい。
すごいひとだなあ、と変なところで感心ししました。

ウリエル君はもうすぐ公開の「ハンニバル・ライジング」でレクター博士の若い頃を演じています。
この作品では、とても繊細な若者を演じていましたが、ハンニバルではどんな表情を見せてくれるのでしょう。
楽しみです。

ライアンの娘

2007-03-25 09:11:09 | 映画ーTV
ーライアンの娘ー
1970年 イギリス デヴィッド・リーン監督 ロバート・ミッチャム 、サラ・マイルズ 、トレヴァー・ハワード 、ジョン・ミルズ 、レオ・マッカーン 、クリストファー・ジョーンズ 、バリー・フォスター 、エヴィン・クローリー 、マリー・キーン 、ジェラルド・シム 、ニオール・トイビン

【解説】
 独立運動が秘かに行なわれているアイルランドの港町。古い慣習を嫌う娘ロージーは、教師のチャールズと結婚している身でありながら、駐在英軍のランドルフと不倫をしていた。そんなおり、何者かの密告によって、武器を陸揚げしていた男たちが逮捕されるという事件が起こる。疑惑の目はロージーに向けられ、彼女は村の男たちにリンチされてしまう。やがて真相が判明したとき、ロージーはチャールズとの新たな生活を求めて旅立っていく……。

【感想】
アイルランドの独立運動を背景に、ひとりの娘の運命が描かれます。

古い因習に縛られている村人から疎まれているロージー。
知恵おくれのマイケルだけがロージーを慕っているが、彼女は冷たくする。

年上の教師のチャールズに、自分から愛を告白して結婚した。
ロージーは自我に目覚めた女性ということでしょう。
まだ若く、夢もあった。
非の打ち所のない夫、でも、退屈。
幸せだと思えば思うほど、涙があふれる。
そんな時に出会った、傷ついた英国将校。
ロージーは新しい恋にのめり込んでしまいます。

嵐の夜に、独立運動の活動家たちがロージーの父親を頼って、船でやってきた。
しかし、船は難破し、たくさんの武器が嵐の海に漂っていた。
牧師が村人を集め、みんなで武器を広い集め、活動家たちを見送ろうとすると、英国軍が待ち伏せていた。
実はロージーの父親はスパイで英国軍に通じていたのだ。
活動家のリーダーは群衆にまぎれて逃げようとするが、将校に撃たれる。
活動家は捕らえられ、絞首刑になると言う。

一方、ロージーは、自分の不倫を夫が知っていたことを知り、ショックを受ける。
夜中、寝室から抜け出したロージーがもどってみると、夫はいなくなっていた。
一昼夜して戻ってきた夫に別れ話を切り出されるが、どこまでも優しい夫の姿にロージーはうたれる。

そこへ、村人たちが押し寄せてきた。
ロージーが活動家を英国軍に売った犯人だと言うのだ。
男なら銃殺だ!といいながらロージーの衣服をはぎ、髪の毛をずたずたに切る。
夫が抵抗するのを押さえつけて。
牧師が仲裁するまで、リンチは続いた。

将校はマイケルが集めた武器弾薬を爆発させて死んでしまう。
彼は戦争で傷ついて、生きる気力をなくしていたのでした。

ロージー夫婦は村を出た後、別れる約束をして、村を出て行く。
村の人たちは冷たい視線を二人に投げかける。
牧師とマイケルだけが、二人を見送る。
牧師はチャールズに「別れることは考え直せ」とはなむけの言葉を贈った。

いろいろなテーマを持った真面目な大作でした。
美しい映像で綴られています。

イントゥ・ザ・ブルー

2007-03-19 09:42:55 | 映画ーTV
ーイントゥ・ザ・ブルーー
2005年 アメリカ ジョン・ストックウェル監督 ポール・ウォーカー 、ジェシカ・アルバ 、スコット・カーン 、アシュレイ・スコット 、ジョシュ・ブローリン 、ジェームズ・フレイン 、タイソン・ベックフォード

【解説】
カリブ海を舞台に繰り広げられる、海底に沈んだ金塊の争奪戦を描いたサスペンス・アドベンチャー。監督は『ブルー・クラッシュ』のジョン・ストックウェルが務め、『ワイルド・スピード』のポール・ウォーカーと『シン・シティ』のジェシカ・アルバという、美男美女カップルが水中アクションに体当たりで挑む。女性陣のセクシーな水着姿もさることながら、男性陣の肉体美も見逃せない。

【あらすじ】
ダイビング中に伝説の沈没船を発見したジャレット(ポール・ウォーカー)は、恋人のサム(ジェシカ・アルバ)とともに船の中にあるとされる金塊を手に入れようと計画を立てる。 (シネマトゥデイ)

【感想】
公開当時は評判が良くなかったので、全然忘れていましたが、WOWOWで放映してくれたので見ました。

こんな気持ちで見たからか、悪くないやん!!
ポール・ウオーカーはいい男だし、ジェシカ・アルバももちろんかわいい。
前半に見せてくれる、カリブの海の美しさ。
素潜りで、深く長く、すごい。

そして見つけるお宝を積んだ難破船。
それなのに、麻薬を積んで墜落した飛行機までからんで。
友達のはずなのに、トラブルばかり運んでくるスコット・カーンとアシュレイ・スコット。
私だったら、こんな友達いらんけどね。

最後は裏切りの連続で、イマイチよく分からないままラスト。

お金払って見たら、「怒!」だったかもしれないけど、お茶の間でリゾート気分、けっこうでございました。