ーブリグズビー・ベアーBRIGSBY BEAR
2017年 アメリカ 97分
監督・脚本-デイヴ・マッカリー キャスト=カイル・ムーニー (ジェームス) クレア・デインズ (エミリー) マーク・ハミル (テッド) グレッグ・キニア (ヴォーゲル)
【解説】
アメリカのコメディー番組「Saturday Night Live」などで人気のコメディアン、カイル・ムーニーが脚本と主演を担当した個性派ヒューマンドラマ。25歳までシェルターで育った青年がいきなり外の世界に放り出され、思いもしなかった現実と向き合う姿を映し出す。『スター・ウォーズ』シリーズなどのマーク・ハミルが主人公の育ての親を好演している。共演は、グレッグ・キニア、マット・ウォルシュ、クレア・デインズら。
【あらすじ】
25歳のジェームスは、物心ついたときから外の世界を知らず、小さなシェルターで両親と一緒に生活してきた。毎週ポストに投函される教育ビデオ“ブリグズビー・ベア”を見て成長してきた彼は、映し出される世界の研究に没頭する。ある日、突然ジェームスは警察に保護され、衝撃的な事実を知ることになる。(シネマトゥデイ)
【感想】
この作品、よく知らなかったけど、マーク・ハミル、グレッグ・キニア、クレア・デインズという名前に惹かれて見に行きました。
そうしたら、お宝でした。
こういう出会いがあるから、映画はやめられませんね。
25歳のジェームズ(カイル・ムーニー)、物心つく前から両親と地下のシェルターで暮らしている。
お楽しみは毎週ポストに届く「ブリグズビー・ベア」のビデオ。
今ではブリグズビー・ベア研究に没頭している。
父親(マーク・ハミル)と地上に上がり、隔離された庭から外を眺め、たまに父親に内緒でシェルターの屋根に上る。
もちろん、地球は毒ガスに侵されているので、防毒マスクをつけて、用心深く。
ある日、突然、警察が大量にやってきて、シェルター内になだれ込み、両親を逮捕。
ジェームズはパトカーに乗せられた。
警官たちは防毒マスクもつけず、ジェームズもやがて空気は汚染されていないとわかる。
もうお分かりですね?
ジェームズは、両親を名乗る夫婦に赤ちゃんの時に拉致をされたのだ。
「ルーム」って衝撃の作品がありましたね。
でも、ジェームズは自分が拉致監禁されているとは知らなかったのです。
両親の愛情を一身に受けて成長したと思っていた…。
刑事のヴォーゲル(グレッグ・キニア)が長い間調査し、ようやくジェームズを見つけて、犯人の元から助け出しました。
本当の両親の元に連れて行き、犯人は裁かれ、事件は解決です。
でも、ジェームズは?
ジェームズの頭の中は「ブリグズビー・ベア」でいっぱい。
このビデオは偽父親が工夫を凝らして作っていたもので、VHSテープで25巻・全736話にも及ぶのだ。
もう新作が出ないと知ったジェームズは落胆する。
精神科医(クレア・デインズ)は、過去を切り離し、新しい生活に慣れるように指導するが、ジェームズはブリグズビー・ベアに固執している。
妹の友達たちを巻き込んで、新作ビデオを作ろうと思い立つ。
赤ちゃんを盗んで拉致監禁して育てるなんて、大罪です。
でも、ジェームズは本当に無菌培養で育てられた究極に性格のいい人なんです。
そこは功績と言っていいのかどうか、良心が痛みますが。
「ルーム」でも描かれていたけど、監禁されている狭い世界から抜け出してハッピーエンドではなく、それからの現実世界に入っていくのも、それはそれで大変な試練なのです。
この作品はコメディですが、セラピーの本質を表していると思いました。
優しいだけではダメだし、情だけでもダメ。
本当に理解するって何かが描かれてありました。
人の心って難しい。
でも、この家族なら乗り越えていけるかもしれないという希望がありました。