ーシェイプ・オブ・ウォーターーTHE SHAPE OF WATER
2017年 アメリカ 124分
監督・脚本=ギルレモ・デル・トロ キャスト=サリー・ホーキンス (イライザ) マイケル・シャノン (ストリックランド) リチャード・ジェンキンス (ジャイルズ) ダグ・ジョーンズ (不思議な生きもの) マイケル・スタークバーグ(ホルステトラー博士) ゼルダ(オクタヴィア・スペンサー) フレミング(デヴィド・ヒューレット) ホイト元帥(ニック・サーシー)
【解説】
『パンズ・ラビリンス』などのギレルモ・デル・トロ監督が異種間の愛を描き、第74回ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いたファンタジー。米ソ冷戦下のアメリカを舞台に、声を出せない女性が不思議な生き物と心を通わせる。『ハッピー・ゴー・ラッキー』などのサリー・ホーキンスが主演し、『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』などのオクタヴィア・スペンサー、『扉をたたく人』などのリチャード・ジェンキンス、『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』などのマイケル・シャノンらが共演。(シネマトゥデイ)
【あらすじ】
1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)と共に秘密の実験を目撃する。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹(ひ)かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところが“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっており……。(シネマトゥデイ )
【感想】
2007年の「パンズ・ラビリンス」良かったです。
大好きな作品。
そのギレルモ・デル・トロ監督の作品。
今年のアカデミー賞の作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞も取りました。
すごい!!
初めのシーンから水の中。
そして眠っているプリンセス。
と言っても、この女性は声を持たないイライザ(サリー・ホーキンス)で、映画館の上に一人で住んでいる。
隣に住んでいるジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)の世話も焼いて、夜にパスに乗って仕事に行く。
政府系の研究機関の掃除夫をしている。
仲良しのゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)が、上司とのコミュニケーションをとったり、いろいろよくしてくれる。
ある時、警備担当のストリックランド(マイケル・シャノン)が、アマゾンの原住民に神と崇められている秘密の生き物を研究所に持ち込んだ。
ホルステトラー博士(マイケル・スタークバーグ)が、研究にあたる。
☆ネタバレ
イライザが秘密の部屋を掃除している時、その生き物が姿を現し、イライザはその美しい姿にすっかり虜になってしまう。
みんなに隠れて、その生き物にゆで卵をあげたり、音楽を聴かせたりして交流を始める。
そう、イライザはすっかり「彼」に恋をしたのだ。
しかし、ストリックランドは苦痛を与えて従わせようとしたため、生き物は反抗し、危険なものに認定されてしまう。
そして、解剖して研究するという方針に決まった。
ストリックランド(左)とホルステトラー博士
ホルステトラー博士は反対するが、ホイト元帥(ニック・サーシー)の決定には従うしかなかった。
ホルステトラー博士の正体は、ソ連のスパイで、謎の生物を盗んでソ連に持ち帰るよう、命令を受けていた。
大好きな「彼」が殺されると知ったイライザは、ゼルダとジャイルズに応援を頼んで、「彼」を逃がそうと計画を立てた。
その計画は、思いがけなくもホルステトラー博士の協力を得て成功し、「彼」を自分のアパートに連れてくることに成功、バスルームに匿った。
しかし、「彼」はかなり衰弱していて、雨が降るとの予報がある日に、水位の上がった川に放して逃がすことを決める。
一方、研究生物が逃げたことの責任を追及されたストリックランドは犯人捜しに躍起だが、イライザのような掃除人がそんな大それたことができるとは考えられなかった。
しかし、執拗な追跡の結果、ホルステトラー博士を殺害し、その魔の手はイライザと彼にも及んだ。
米ソの対立をうまく利用し、権力におもねる軍人気質や出世欲、人種差別や女性蔑視などをうまく絡めて悪を作り上げていました。
対するイライザは、口もきけない貧しい掃除人。
社会の底辺で生きている人です。
でも、心は無垢で、真実の愛を見抜く心を持っている。
巨悪対イライザ。
勝敗は目に見えているけど、最後は水の中のハッピーエンド。
観客はこのハッピーエンドにどれだけ救われことでしょう。
本当に良かったです。
始まりの水の中のシーンも、美しく蘇り、とてもうまく繋がっています。
この半魚人の目も、今回「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でアカデミー賞ヘアメイキング&メークアップ賞に輝いた辻一弘さんのお仕事だそうです。
本当に綺麗な目なので、ぜひ注目していただきたいです。
「パンズ・ラビリンス」と比べれば、ずいぶんアダルトものです。
キワモノ感も感じます。
ただ、マイノリティたちを主人公にして、悪に立ち向かわせた構成はかなり面白かったです。
猫好きは、ちょっと注意が必要です。
ショツクを受けられませんように。