ージャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編ーMESRINE: L'INSTINCT DE MORT/MESRINE: PART 1 - DEATH INSTINCT
2008年 フランス
ジャン=フランソワ・リシェ監督 ヴァンサン・カッセル(ジャック・メスリーヌ)セシル・ドゥ・フランス(ジャンヌ・シュネデール)ジェラール・ドパルデュー(ギド)エレナ・アナヤ(ソフィア)ロイ・デュプイ(ジャン=ポール・メルシエ)ジル・ルルーシュ(ポール)ミシェル・デュショーソワ ミリアム・ボワイエ フローレンス・トマシン ディアノ・クラヴェ リュディヴィーヌ・サニエ【解説】
フランスに実在した伝説のギャングスター、ジャック・メスリーヌの若き日の姿を描いたフィルム・ノワール。Part 1ではごく平凡な男が次第に悪事に手を染め、海外逃亡の末にカナダで投獄され、やがて脱獄するまでをスリリングに活写する。監督は『アサルト13 要塞警察』のジャン=フランソワ・リシェ。主人公を『イースタン・プロミス』のヴァンサン・カッセルが熱演する。自分なりのおきてに従い、罪を重ねる男の華麗な犯罪人生に熱狂する。
【あらすじ】
1959年、ジャック・メスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)はアルジェリア戦線に参加した後、パリに帰還する。彼は父親(ミシェル・デュショーソワ)のつてで仕事を紹介されるが、結局は友人(ジル・ルルーシュ)の闇商売を手伝うことになる。やがて彼はボス(ジェラール・ドパルデュー)にも紹介され、本格的に悪事に手を染めることになる。
ージャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編ーMESRINE: L'ENNEMI PUBLIC N°1/MESRINE: PART 2 - PUBLIC ENEMY #1
2008年フランス
ジャン=フランソワ・リシェ監督 ヴァンサン・カッセル(ジャック・メスリーヌ)リュディヴィーヌ・サニエ(シルヴィア・ジャンジャコ)マチュー・アマルリック(フランソワ・ベス)オリヴィエ・グルメ(ブルサール警視)ジェラール・ランヴァン(チャーリー・ボーエル)サミュエル・ル・ビアン(ミシェル・アルドワン)
【解説】
海外でも悪名をはせたフランスの犯罪王、ジャック・メスリーヌがフランスに帰国し、大胆な手口で銀行強盗と脱獄を繰り返す様子を追ったギャング映画。Part 2では絶頂期を迎え、やがて壮絶な最期を迎えることになるアンチヒーローの輝ける軌跡をたどる。主演は前作に引き続きヴァンサン・カッセルが演じ、20キロも体重を増やして鬼気迫る演技を見せる。常に冷静だった男がマスコミに踊らされ、次第に自らを窮地に追い込んでいく様が切ない。
【あらすじ】
ジャック(ヴァンサン・カッセル)はカナダの特別刑罰刑務所から見事脱出し、1973年にフランスに舞い戻る。彼は旧友のミシェル(サミュエル・ル・ビアン)とともに銀行強盗を繰り返すが逮捕される。法廷に出廷した彼は何と判事を人質にして、まんまと逃亡に成功し、海外同様フランスでも“社会の敵No.1”の名称で呼ばれるようになり……。
【感想】
普通の日に普通の料金で2作続けて見ましたが、これは後悔しませんでした。
あっという間の4時間、すごく面白かったです。
監督は「アサルト13 要塞警察」のジャン=フランソワ・リシェ監督。
「アサルト~」も面白かったし、バイオレンスを描くのがうまい監督なんですね。
フランスでパブリックエネミー(社会の敵)ナンバー1と言われた男、ジャック・メスリーヌ。
各パートの冒頭で、「映画はフィクションなので、実在の人物を描くには限界がある」と言いながら、まるで映画の主人公のように生きたメスリーヌという実在の人物の半生を、生き生きと描き切っています。
主人公を演じたのは、ヴァンサン・カッセル。
変装の名人で、大胆不敵なこの人物を、繊細に、だけど愉快に演じていました。
女にはもてまくり、男たちもまた、彼のカリスマ的な悪の魅力に引きずられていくようでした。
とても興味深いこの人物、ヴァンサンもやりがいがあったのではないでしょうか。
途中、自分のことを「メリーヌ」と呼ばせているシーンがありましたが、家族は「メリーヌ」と呼んでいたけど、メディアは「メスリーヌ」と言うそうです。(ウィキペディアより)
☆ネタバレ
冒頭で、メスリーヌ射殺のシーンを観客に見せておいて、物語は、フランス軍のアルジェリア戦線、捕虜の拷問シーンから始まります。
若きメスリーヌが、捕虜の妹を目の前で射殺するように命令されるが、結局捕虜自身を撃つというエピソードが語られます。
メスリーヌの人格破綻の原因の一端となる経験かもしれないと予感させます。
フランスへ戻り、気丈な母と気弱な父に迎えられるが、第二次世界大戦中はナチスのスパイだったようで、威厳がなく、メスリーヌの理想ではなかった父の存在。
彼は家を出て、闇の社会に身を沈めていきます。
そして、ギャングのボス・ギド(ジェラール・ドパルデュー)に出会い、数々の犯罪に手を染めていく。
フランスを追われたメスリーヌは、名前を変えてカナダへ。
でも、ここでもやることは同じ銀行強盗。
逮捕され送り込まれたカナダの特別懲罰刑務所、その待遇は凄まじいものでした。
なんとか隔離期間の拷問を終えて一般収容所に出てきたメスリーヌ。
普通は、懲りておとなしくなるか、廃人になってしまうのでしょうが、メスリーヌに芽生えたものは激しい復讐心。
まんまと脱獄に成功した彼は、驚くべきことに武装して手助けしてくれた囚人仲間を救い出そうとするのです。
警官たちとの激しい銃撃戦。
結局は、自分たちも傷つき、仲間も射殺されてしまうけど、伝説になるには十分なエピソードでした。
「弱きを助け強きをくじく」
メスリーヌについた大衆のイメージはこれでした。
そして、何度も言うけど、本当によく女にもてる。
パート1では、娼婦のサラ、スペイン旅行で知り合って、結婚、3児をもうけることになるソフィア。
一番魅力的なのは、お互いに一目惚れでともに強盗をするジャンヌ(セシル・ドゥ・フランス)です。
ジャンヌ
パート1は、詩情を交えず、実に淡々と血みどろのシーン、残酷シーンが連なっていきます。
ジャック・メスリーヌが歩んだ事実だけが、アップテンポで語られると言う展開でした。
ところが、パート2では雰囲気が変わります。
ここでも始めにメスリーヌ銃殺のシーンから始まり、宿敵ブルサール警視が登場します。
街の真ん中での警察による銃殺。
日本では考えられないことですね。
こわー。
カナダからパリに戻ったメスリーヌ、早速仲間をみつけて銀行を襲います。
舞台もパリに変わったこともあり、背景に色が登場し、メスリーヌにも表情が出てきます。
人間メスリーヌの描写と言った感じです。
相変わらず、銀行強盗と脱獄の繰り返しですが。
次の相棒は脱獄の天才フランソワ(マチュー・アマルリック)。
マチュー・アマルリックといえば「潜水服は蝶の夢を見る」の名優。
恋人は娼婦のシルヴィア(リュディヴィーヌ・サニエ)、結局彼女がメスリーヌの最後に立ち会う結果となります。
シルヴィア
パート2のメスリーヌは、マスコミのインタビューに答え、革命の思想や監獄の解放など知的で、政治的なことをちらつかせて、大衆の心を掴む術も知っています。
銀行強盗や誘拐で得たお金で、セレブな生活をし、恋人も宝石で飾らせます。
しかし一方では、自分のことを批判した記者をおびき出して、リンチのあげく殺してしまう残忍で粗暴な本性も見せます。
革命家と犯罪者の違いの議論、自分は長生きできない撃たれて死ぬなど、本当に自分自身を良くわかっている人だなあと思いました。
最後には、誰も信じられず、誰からも見放され、孤独を感じながらの逃走劇。
恋人がそばにいたのがせめてもの慰めでしょうか?
彼を、ここまでの犯罪に駆り立てたものは、なんだったのでしょう。
銃が身近にある社会の怖さも感じました。
戦争体験も自暴自棄になる原因にもなったのでしょう。
そういうものが、人の心を蝕み、殺伐とした気持ちにさせ、社会への恨みとなり、復讐心の固まりとなって、牙をむく…かな?
この映画を見て、誰もメスリーヌに憧れたりはしないと思うけど、ちょっと怖くなって、映画館からの帰り道、年の瀬ということもあるけど、コートの襟を立てて、うつむき加減で、足早に家路を急ぎました。
「パブリック・エネミーズ」と比較してしまう?
してしまうよねー。
ジョニー、ごめんなさい。
ヴァンサン・カッセルの勝ちです…。
「ブロウ」みたいだなあ、と思った。
最後太っているし…
フォローになっていないかなあ…。
年末にえらい映画を見てしまったなあ。
今年のナンバー1にしてしまいそうです。
でも、もう少し考えます。
うーん。
2008年 フランス
ジャン=フランソワ・リシェ監督 ヴァンサン・カッセル(ジャック・メスリーヌ)セシル・ドゥ・フランス(ジャンヌ・シュネデール)ジェラール・ドパルデュー(ギド)エレナ・アナヤ(ソフィア)ロイ・デュプイ(ジャン=ポール・メルシエ)ジル・ルルーシュ(ポール)ミシェル・デュショーソワ ミリアム・ボワイエ フローレンス・トマシン ディアノ・クラヴェ リュディヴィーヌ・サニエ【解説】
フランスに実在した伝説のギャングスター、ジャック・メスリーヌの若き日の姿を描いたフィルム・ノワール。Part 1ではごく平凡な男が次第に悪事に手を染め、海外逃亡の末にカナダで投獄され、やがて脱獄するまでをスリリングに活写する。監督は『アサルト13 要塞警察』のジャン=フランソワ・リシェ。主人公を『イースタン・プロミス』のヴァンサン・カッセルが熱演する。自分なりのおきてに従い、罪を重ねる男の華麗な犯罪人生に熱狂する。
【あらすじ】
1959年、ジャック・メスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)はアルジェリア戦線に参加した後、パリに帰還する。彼は父親(ミシェル・デュショーソワ)のつてで仕事を紹介されるが、結局は友人(ジル・ルルーシュ)の闇商売を手伝うことになる。やがて彼はボス(ジェラール・ドパルデュー)にも紹介され、本格的に悪事に手を染めることになる。
ージャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編ーMESRINE: L'ENNEMI PUBLIC N°1/MESRINE: PART 2 - PUBLIC ENEMY #1
2008年フランス
ジャン=フランソワ・リシェ監督 ヴァンサン・カッセル(ジャック・メスリーヌ)リュディヴィーヌ・サニエ(シルヴィア・ジャンジャコ)マチュー・アマルリック(フランソワ・ベス)オリヴィエ・グルメ(ブルサール警視)ジェラール・ランヴァン(チャーリー・ボーエル)サミュエル・ル・ビアン(ミシェル・アルドワン)
【解説】
海外でも悪名をはせたフランスの犯罪王、ジャック・メスリーヌがフランスに帰国し、大胆な手口で銀行強盗と脱獄を繰り返す様子を追ったギャング映画。Part 2では絶頂期を迎え、やがて壮絶な最期を迎えることになるアンチヒーローの輝ける軌跡をたどる。主演は前作に引き続きヴァンサン・カッセルが演じ、20キロも体重を増やして鬼気迫る演技を見せる。常に冷静だった男がマスコミに踊らされ、次第に自らを窮地に追い込んでいく様が切ない。
【あらすじ】
ジャック(ヴァンサン・カッセル)はカナダの特別刑罰刑務所から見事脱出し、1973年にフランスに舞い戻る。彼は旧友のミシェル(サミュエル・ル・ビアン)とともに銀行強盗を繰り返すが逮捕される。法廷に出廷した彼は何と判事を人質にして、まんまと逃亡に成功し、海外同様フランスでも“社会の敵No.1”の名称で呼ばれるようになり……。
【感想】
普通の日に普通の料金で2作続けて見ましたが、これは後悔しませんでした。
あっという間の4時間、すごく面白かったです。
監督は「アサルト13 要塞警察」のジャン=フランソワ・リシェ監督。
「アサルト~」も面白かったし、バイオレンスを描くのがうまい監督なんですね。
フランスでパブリックエネミー(社会の敵)ナンバー1と言われた男、ジャック・メスリーヌ。
各パートの冒頭で、「映画はフィクションなので、実在の人物を描くには限界がある」と言いながら、まるで映画の主人公のように生きたメスリーヌという実在の人物の半生を、生き生きと描き切っています。
主人公を演じたのは、ヴァンサン・カッセル。
変装の名人で、大胆不敵なこの人物を、繊細に、だけど愉快に演じていました。
女にはもてまくり、男たちもまた、彼のカリスマ的な悪の魅力に引きずられていくようでした。
とても興味深いこの人物、ヴァンサンもやりがいがあったのではないでしょうか。
途中、自分のことを「メリーヌ」と呼ばせているシーンがありましたが、家族は「メリーヌ」と呼んでいたけど、メディアは「メスリーヌ」と言うそうです。(ウィキペディアより)
☆ネタバレ
冒頭で、メスリーヌ射殺のシーンを観客に見せておいて、物語は、フランス軍のアルジェリア戦線、捕虜の拷問シーンから始まります。
若きメスリーヌが、捕虜の妹を目の前で射殺するように命令されるが、結局捕虜自身を撃つというエピソードが語られます。
メスリーヌの人格破綻の原因の一端となる経験かもしれないと予感させます。
フランスへ戻り、気丈な母と気弱な父に迎えられるが、第二次世界大戦中はナチスのスパイだったようで、威厳がなく、メスリーヌの理想ではなかった父の存在。
彼は家を出て、闇の社会に身を沈めていきます。
そして、ギャングのボス・ギド(ジェラール・ドパルデュー)に出会い、数々の犯罪に手を染めていく。
フランスを追われたメスリーヌは、名前を変えてカナダへ。
でも、ここでもやることは同じ銀行強盗。
逮捕され送り込まれたカナダの特別懲罰刑務所、その待遇は凄まじいものでした。
なんとか隔離期間の拷問を終えて一般収容所に出てきたメスリーヌ。
普通は、懲りておとなしくなるか、廃人になってしまうのでしょうが、メスリーヌに芽生えたものは激しい復讐心。
まんまと脱獄に成功した彼は、驚くべきことに武装して手助けしてくれた囚人仲間を救い出そうとするのです。
警官たちとの激しい銃撃戦。
結局は、自分たちも傷つき、仲間も射殺されてしまうけど、伝説になるには十分なエピソードでした。
「弱きを助け強きをくじく」
メスリーヌについた大衆のイメージはこれでした。
そして、何度も言うけど、本当によく女にもてる。
パート1では、娼婦のサラ、スペイン旅行で知り合って、結婚、3児をもうけることになるソフィア。
一番魅力的なのは、お互いに一目惚れでともに強盗をするジャンヌ(セシル・ドゥ・フランス)です。
ジャンヌ
パート1は、詩情を交えず、実に淡々と血みどろのシーン、残酷シーンが連なっていきます。
ジャック・メスリーヌが歩んだ事実だけが、アップテンポで語られると言う展開でした。
ところが、パート2では雰囲気が変わります。
ここでも始めにメスリーヌ銃殺のシーンから始まり、宿敵ブルサール警視が登場します。
街の真ん中での警察による銃殺。
日本では考えられないことですね。
こわー。
カナダからパリに戻ったメスリーヌ、早速仲間をみつけて銀行を襲います。
舞台もパリに変わったこともあり、背景に色が登場し、メスリーヌにも表情が出てきます。
人間メスリーヌの描写と言った感じです。
相変わらず、銀行強盗と脱獄の繰り返しですが。
次の相棒は脱獄の天才フランソワ(マチュー・アマルリック)。
マチュー・アマルリックといえば「潜水服は蝶の夢を見る」の名優。
恋人は娼婦のシルヴィア(リュディヴィーヌ・サニエ)、結局彼女がメスリーヌの最後に立ち会う結果となります。
シルヴィア
パート2のメスリーヌは、マスコミのインタビューに答え、革命の思想や監獄の解放など知的で、政治的なことをちらつかせて、大衆の心を掴む術も知っています。
銀行強盗や誘拐で得たお金で、セレブな生活をし、恋人も宝石で飾らせます。
しかし一方では、自分のことを批判した記者をおびき出して、リンチのあげく殺してしまう残忍で粗暴な本性も見せます。
革命家と犯罪者の違いの議論、自分は長生きできない撃たれて死ぬなど、本当に自分自身を良くわかっている人だなあと思いました。
最後には、誰も信じられず、誰からも見放され、孤独を感じながらの逃走劇。
恋人がそばにいたのがせめてもの慰めでしょうか?
彼を、ここまでの犯罪に駆り立てたものは、なんだったのでしょう。
銃が身近にある社会の怖さも感じました。
戦争体験も自暴自棄になる原因にもなったのでしょう。
そういうものが、人の心を蝕み、殺伐とした気持ちにさせ、社会への恨みとなり、復讐心の固まりとなって、牙をむく…かな?
この映画を見て、誰もメスリーヌに憧れたりはしないと思うけど、ちょっと怖くなって、映画館からの帰り道、年の瀬ということもあるけど、コートの襟を立てて、うつむき加減で、足早に家路を急ぎました。
「パブリック・エネミーズ」と比較してしまう?
してしまうよねー。
ジョニー、ごめんなさい。
ヴァンサン・カッセルの勝ちです…。
「ブロウ」みたいだなあ、と思った。
最後太っているし…
フォローになっていないかなあ…。
年末にえらい映画を見てしまったなあ。
今年のナンバー1にしてしまいそうです。
でも、もう少し考えます。
うーん。