マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

「ジャック・メスリーヌ Part 1 ノワール編」「ジャック・メスリーヌ Part2ルージュ編」

2009-12-26 12:18:33 | 映画ー劇場鑑賞
ージャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編ーMESRINE: L'INSTINCT DE MORT/MESRINE: PART 1 - DEATH INSTINCT
2008年 フランス
ジャン=フランソワ・リシェ監督 ヴァンサン・カッセル(ジャック・メスリーヌ)セシル・ドゥ・フランス(ジャンヌ・シュネデール)ジェラール・ドパルデュー(ギド)エレナ・アナヤ(ソフィア)ロイ・デュプイ(ジャン=ポール・メルシエ)ジル・ルルーシュ(ポール)ミシェル・デュショーソワ ミリアム・ボワイエ フローレンス・トマシン ディアノ・クラヴェ リュディヴィーヌ・サニエ【解説】
フランスに実在した伝説のギャングスター、ジャック・メスリーヌの若き日の姿を描いたフィルム・ノワール。Part 1ではごく平凡な男が次第に悪事に手を染め、海外逃亡の末にカナダで投獄され、やがて脱獄するまでをスリリングに活写する。監督は『アサルト13 要塞警察』のジャン=フランソワ・リシェ。主人公を『イースタン・プロミス』のヴァンサン・カッセルが熱演する。自分なりのおきてに従い、罪を重ねる男の華麗な犯罪人生に熱狂する。

【あらすじ】
1959年、ジャック・メスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)はアルジェリア戦線に参加した後、パリに帰還する。彼は父親(ミシェル・デュショーソワ)のつてで仕事を紹介されるが、結局は友人(ジル・ルルーシュ)の闇商売を手伝うことになる。やがて彼はボス(ジェラール・ドパルデュー)にも紹介され、本格的に悪事に手を染めることになる。

ージャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編ーMESRINE: L'ENNEMI PUBLIC N°1/MESRINE: PART 2 - PUBLIC ENEMY #1
2008年フランス
ジャン=フランソワ・リシェ監督  ヴァンサン・カッセル(ジャック・メスリーヌ)リュディヴィーヌ・サニエ(シルヴィア・ジャンジャコ)マチュー・アマルリック(フランソワ・ベス)オリヴィエ・グルメ(ブルサール警視)ジェラール・ランヴァン(チャーリー・ボーエル)サミュエル・ル・ビアン(ミシェル・アルドワン)

【解説】
海外でも悪名をはせたフランスの犯罪王、ジャック・メスリーヌがフランスに帰国し、大胆な手口で銀行強盗と脱獄を繰り返す様子を追ったギャング映画。Part 2では絶頂期を迎え、やがて壮絶な最期を迎えることになるアンチヒーローの輝ける軌跡をたどる。主演は前作に引き続きヴァンサン・カッセルが演じ、20キロも体重を増やして鬼気迫る演技を見せる。常に冷静だった男がマスコミに踊らされ、次第に自らを窮地に追い込んでいく様が切ない。

【あらすじ】
ジャック(ヴァンサン・カッセル)はカナダの特別刑罰刑務所から見事脱出し、1973年にフランスに舞い戻る。彼は旧友のミシェル(サミュエル・ル・ビアン)とともに銀行強盗を繰り返すが逮捕される。法廷に出廷した彼は何と判事を人質にして、まんまと逃亡に成功し、海外同様フランスでも“社会の敵No.1”の名称で呼ばれるようになり……。

【感想】
普通の日に普通の料金で2作続けて見ましたが、これは後悔しませんでした。
あっという間の4時間、すごく面白かったです。

監督は「アサルト13 要塞警察」のジャン=フランソワ・リシェ監督。
「アサルト~」も面白かったし、バイオレンスを描くのがうまい監督なんですね。

フランスでパブリックエネミー(社会の敵)ナンバー1と言われた男、ジャック・メスリーヌ。
各パートの冒頭で、「映画はフィクションなので、実在の人物を描くには限界がある」と言いながら、まるで映画の主人公のように生きたメスリーヌという実在の人物の半生を、生き生きと描き切っています。


主人公を演じたのは、ヴァンサン・カッセル。
変装の名人で、大胆不敵なこの人物を、繊細に、だけど愉快に演じていました。
女にはもてまくり、男たちもまた、彼のカリスマ的な悪の魅力に引きずられていくようでした。
とても興味深いこの人物、ヴァンサンもやりがいがあったのではないでしょうか。

途中、自分のことを「メリーヌ」と呼ばせているシーンがありましたが、家族は「メリーヌ」と呼んでいたけど、メディアは「メスリーヌ」と言うそうです。(ウィキペディアより)

☆ネタバレ
冒頭で、メスリーヌ射殺のシーンを観客に見せておいて、物語は、フランス軍のアルジェリア戦線、捕虜の拷問シーンから始まります。
若きメスリーヌが、捕虜の妹を目の前で射殺するように命令されるが、結局捕虜自身を撃つというエピソードが語られます。

メスリーヌの人格破綻の原因の一端となる経験かもしれないと予感させます。

フランスへ戻り、気丈な母と気弱な父に迎えられるが、第二次世界大戦中はナチスのスパイだったようで、威厳がなく、メスリーヌの理想ではなかった父の存在。
彼は家を出て、闇の社会に身を沈めていきます。

そして、ギャングのボス・ギド(ジェラール・ドパルデュー)に出会い、数々の犯罪に手を染めていく。
フランスを追われたメスリーヌは、名前を変えてカナダへ。
でも、ここでもやることは同じ銀行強盗。

逮捕され送り込まれたカナダの特別懲罰刑務所、その待遇は凄まじいものでした。
なんとか隔離期間の拷問を終えて一般収容所に出てきたメスリーヌ。
普通は、懲りておとなしくなるか、廃人になってしまうのでしょうが、メスリーヌに芽生えたものは激しい復讐心。
まんまと脱獄に成功した彼は、驚くべきことに武装して手助けしてくれた囚人仲間を救い出そうとするのです。
警官たちとの激しい銃撃戦。
結局は、自分たちも傷つき、仲間も射殺されてしまうけど、伝説になるには十分なエピソードでした。
「弱きを助け強きをくじく」
メスリーヌについた大衆のイメージはこれでした。

そして、何度も言うけど、本当によく女にもてる。
パート1では、娼婦のサラ、スペイン旅行で知り合って、結婚、3児をもうけることになるソフィア。
一番魅力的なのは、お互いに一目惚れでともに強盗をするジャンヌ(セシル・ドゥ・フランス)です。

 ジャンヌ

パート1は、詩情を交えず、実に淡々と血みどろのシーン、残酷シーンが連なっていきます。
ジャック・メスリーヌが歩んだ事実だけが、アップテンポで語られると言う展開でした。

ところが、パート2では雰囲気が変わります。

ここでも始めにメスリーヌ銃殺のシーンから始まり、宿敵ブルサール警視が登場します。
街の真ん中での警察による銃殺。
日本では考えられないことですね。
こわー。

カナダからパリに戻ったメスリーヌ、早速仲間をみつけて銀行を襲います。
舞台もパリに変わったこともあり、背景に色が登場し、メスリーヌにも表情が出てきます。
人間メスリーヌの描写と言った感じです。
相変わらず、銀行強盗と脱獄の繰り返しですが。

次の相棒は脱獄の天才フランソワ(マチュー・アマルリック)。
マチュー・アマルリックといえば「潜水服は蝶の夢を見る」の名優。
恋人は娼婦のシルヴィア(リュディヴィーヌ・サニエ)、結局彼女がメスリーヌの最後に立ち会う結果となります。

 シルヴィア

パート2のメスリーヌは、マスコミのインタビューに答え、革命の思想や監獄の解放など知的で、政治的なことをちらつかせて、大衆の心を掴む術も知っています。
銀行強盗や誘拐で得たお金で、セレブな生活をし、恋人も宝石で飾らせます。

しかし一方では、自分のことを批判した記者をおびき出して、リンチのあげく殺してしまう残忍で粗暴な本性も見せます。

革命家と犯罪者の違いの議論、自分は長生きできない撃たれて死ぬなど、本当に自分自身を良くわかっている人だなあと思いました。
最後には、誰も信じられず、誰からも見放され、孤独を感じながらの逃走劇。
恋人がそばにいたのがせめてもの慰めでしょうか?
彼を、ここまでの犯罪に駆り立てたものは、なんだったのでしょう。

銃が身近にある社会の怖さも感じました。
戦争体験も自暴自棄になる原因にもなったのでしょう。
そういうものが、人の心を蝕み、殺伐とした気持ちにさせ、社会への恨みとなり、復讐心の固まりとなって、牙をむく…かな?

この映画を見て、誰もメスリーヌに憧れたりはしないと思うけど、ちょっと怖くなって、映画館からの帰り道、年の瀬ということもあるけど、コートの襟を立てて、うつむき加減で、足早に家路を急ぎました。

「パブリック・エネミーズ」と比較してしまう?
してしまうよねー。
ジョニー、ごめんなさい。
ヴァンサン・カッセルの勝ちです…。

「ブロウ」みたいだなあ、と思った。
最後太っているし…
フォローになっていないかなあ…。

年末にえらい映画を見てしまったなあ。
今年のナンバー1にしてしまいそうです。

でも、もう少し考えます。
うーん。

カールじいさんの空飛ぶ家

2009-12-24 18:25:46 | 映画ー劇場鑑賞
ーカールじいさんの空飛ぶ家ーUP
2009年 アメリカ
監督=ピート・ドクター
製作総指揮=ジョン・ラセター 、アンドリュー・スタントン

【解説】
『モンスターズ・インク』のピート・ドクターと『ファインディング・ニモ』の脚本家ボブ・ピーターソンが共同で監督を務める3Dアニメ。冒険家への夢をあきらめ切れずにいる78歳の老人に、驚きの出来事が巻き起こる冒険ロード・ムービー。カールじいさんの声を『アパッチ砦・ブロンクス』のエドワード・アズナーが、カールの相棒となる少年ラッセルの声を新人のジョーダン・ナガイが担当する。ピクサー初となる3Dデジタルでの作品に期待が高まる。
【あらすじ】
いつか世界を旅して回りたいと思っていたカールも、今や78歳。最愛の妻は亡くなってしまい、夢をかなえるには年を取り過ぎている。しかし、何と数千の風船を家に結びつけ、空高く飛び立つことに成功。カールは8歳の少年ラッセルとともに冒険の旅へと出発する。(シネマトゥデイ)

【感想】
3Dで見たいと思ったら、ちょうどいい時間のが吹き替え版でした。
子供なんて、ちっとも来てなかったよ。
ほとんどが若いカップル。
平日の午後でしたが、なかなかの入りでした。

主人公はおじいさん。
ピクサーの主人公にしては変わっています。

でも、さすが、そう来たか!という内容。

最初に、カールとエリーの出会いがあり、このエリーがとても素敵な女の子です。
その後、結婚から別れまでを無声で一気に見せてしまい、これだけで泣いてしまいます。
うまい!!

でも、人間の一生は、愛するパートナーが居なくなったからといって終わるわけではありません。
それが人生最大の悲劇です。

カールは、都市開発に取り残され、頑固でかたくなな老人となってしまいます。
本来、風船職人であったカール。
エリーとの約束の地へむけて、自宅に風船を取り付けて空へ舞い上がりました。

ところが、ラッセルという少年が付いてきてしまいました。
最初は迷惑に思うカールでしたが、二人の間にはやがて友情が生まれます。

後半は予告編でも出て来なかった楽しいキャラクターたちがたくさん登場します。
別に3Dでなくてもよかったんじゃないかなあ、という感じです。
心が潤いたい人にはお薦めのアニメですよ。

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版

2009-12-24 18:20:23 | 映画ーDVD
ーニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版ーNUOVO CINEMA PARADISO/CINEMA PARADISO
1989年 イタリア/フランス
ジュゼッペ・トルナトーレ監督 フィリップ・ノワレ(アルフレード)ジャック・ペラン(サルヴァトーレ)サルヴァトーレ・カシオ(トト(サルヴァトーレ・少年時代))マルコ・レオナルディ(サルヴァトーレ(青年時代))アニェーゼ・ナーノ(エレナ)プペラ・マッジオ(サルヴァトーレの母)レオポルド・トリエステ(司祭)アントネラ・アッティーリ(若き日のサルヴァトーレの母)エンツォ・カナヴァレ(パラダイス座支配人)イサ・ダニエリ(アンナおばさん)レオ・グロッタ(劇場の案内人) タノ・チマローサ(鍛冶屋)ニコラ・ディ・ピント(広場をうろつく男)

【解説】
シチリアの小さな村にある映画館パラダイス座。そこで青春時代を過ごした映画監督サルヴァトーレが、当時、慕っていた映写技師アルフレードの訃報を聞き、故郷に帰ってくる。そして、少年時代、青年時代の思い出に浸っていたサルヴァトーレが受け取ったアルフレードの形見には、映画への愛とアルフレードの想いがぎっしり詰まっていた……。“映画をこよなく愛する人たち”にとって、これほどまでの感動を与えてくれた映画は過去にあっただろうか?と思えるほど、映画ファンにはたまらなかった秀作に、51分・約60カットの未公開シーンを追加した感動作品の完全版。(allcinema ONLINE)

【感想】
私は月に一度、友達を集めて映画会をやっているんですが、今年最後の映画会に選んだ作品がこれです。

思った通り、とても喜んでいただけたようです。
年末にふさわしい感動でした。

物語は映画監督としてローマで成功しているサルヴァトーレ(ジャック・ペラン)の元に、30年も帰っていない故郷の母からアルフレードが亡くなったという訃報が届いた。
アルフレードは故郷の映画館「パラダイス」の映写技師だった。

そこから、幼い頃のサルヴァトーレ(トト)とアルフレードのやりとり、パラダイスや映画をこよなく愛する街の人々などを思い出します。
貧しかったけど、映画を見ているだけで幸せだった幼い日々。

この映画が公開された当時は、前評判は良かったけれど、興行的にふるわず、2時間余りに削って公開することになったそうです。
でも、それがカンヌ映画祭で絶賛され、日本でも公開当時、単館系の動員数や興行成績で記録を残すほどだったそうです。

そのバージョンでは、ほとんどがアルフレードとトトのエピソードだけでしたが、この3時間完全版では、サルヴァトーレの初恋と、30年後の顛末に付いて描かれています。
今回、見たくださった皆さんも、エレナとのエピソードをすごく気に入って、3時間も長く感じなかったようでした。

アルフレードが最終的には嘘をついて、二人の仲を裂いたわけですが、アルフレードのしたことは、みなさんの議論の別れるところだと思います。
あのとき、アルフレードが二人を取り持ったなら、トトはどうなっていたのでしょう。
エレナはどうなっていたのでしょう。

私は、アルフレードが結果的に二人を引き裂いたとしても、アルフレードの行いは、トトに対する無償の愛から出た行動なので、アルフレードを責めることはできないと思いました。

それは、アルフレードにとっても大好きなトトを封印すると言うことだったし、自分に罰を与えるように「自分が死んでもトトに言うな」と遺言していたくらいです。
アルフレードにとってトトは、希望の星だったんですね。
その心のうちを思うと、とてもせつなくなりました。

こういう真の理解者を得たことで、サルヴァトーレはすばらしい映画監督としての才能を開花させることができたのです。

劇場バージョンを見た人にも、このロングバージョンを見ていただきたいと思います。

ハンサム★スーツ

2009-12-24 18:17:07 | 映画ーDVD
ーハンサム★スーツー
2008年 日本
監督=英勉 脚本=鈴木おさむ キャスト=谷原章介(光山杏仁)塚地武雅(大木琢郎)北川景子(星野寛子)佐田真由美(來香)池内博之(狭間真介)大島美幸(橋野本江)本上まなみ(谷山久恵)佐々木希(玲美)山本裕典(大沢勇気)伊藤明賢(沢田)住田隆(山田隆夫)ブラザー・トム(米沢明)温水洋一 中条きよし(白木)伊武雅刀(神山晃)

【解説】ブサイクゆえにモテない人生を歩みながら、偶然出会った“ハンサム・スーツ”を着てハンサム男に変身した主人公の姿を描くラブコメディー。「ブスの瞳に恋してる」の人気放送作家・鈴木おさむがオリジナル脚本を手掛け、CMディレクター英勉が長編初監督を果たす。ハンサム男・杏仁役に谷原章介、ブサイク男・琢郎役をドランクドラゴンの塚地武雅が演じる。そのほか北川景子、佐田真由美、大島美幸ら多彩な顔ぶれがそろい、ドラマを盛り上げる。

【あらすじ】
定食屋を営む大木琢郎(塚地武雅)は優しくて料理上手にもかかわらず、ブサイクでメタボリックな体型が災いし、33年間彼女がいない。ある日、紳士服店を訪れた彼は店長から1着のスーツを勧められる。言われるままに袖を通してみると、琢郎は顔も体型も見違えるようなハンサム男・光山杏仁(谷原章介)に変身していた……。(シネマトゥデイ)

【感想】
不細工な大木琢郎(塚地武雅)が、謎の洋服屋(洋服の青山)の白木(中条きよし)からハンサムスーツをもらってハンサムな光山杏仁(谷原章介)に変身して、トップモデルになるというストーリー。

ま、そのまんまですから、あまり疑問を持たずに、お気楽に楽しむ映画です。
発想は面白いけど、中身はとても古典的なコメディーでした。

登場人物が魅力的です。
でも、本江さん(大島美幸)のからくりは途中で気がついてしまいましたが。
脚本が大島さんの夫の鈴木おさむというだけあって、大島さんがすごくチャーミングです。

塚地さんの演技力はよく知っていましたが、谷原章介さんもか良かったともいました。

ただ、イケメンで障害があっても美人と結婚できるという設定は、なんかヘンじゃない?
「イケメン」と「障害がある人」と「美人と結婚できる人」どれもひとつひとつ独立している存在で、そんな風に組み合わせと、どの存在に対しても失礼じゃないかなあ。
ちょっとデリカシーに欠けると思いました。

不細工な琢郎だけど、あんなに友達の多い人気者なんだから、ハンサムになんてならなくても十分幸せだと思いましたが、人は無い物ねだりですね。

ナイル殺人事件

2009-12-24 18:14:59 | 映画ーDVD
ーナイル殺人事件ーDEATH ON THE NILE
1978年 イギリス
ジョン・ギラーミン監督 ピーター・ユスティノフ ベティ・デイヴィス マギー・スミス ミア・ファロー アンジェラ・ランズベリー ジョージ・ケネディ オリヴィア・ハッセー  ジョン・フィンチ  デヴィッド・ニーヴン ジャック・ウォーデン ロイス・チャイルズ サイモン・マッコーキンデールジェーン・バーキン ハリー・アンドリュース

【解説】
「オリエント急行殺人事件」に続きオールスター・キャストで映画化されたアガサ・クリスティのミステリ。原作は『ナイルに死す』。美貌と聡明さを兼ね備えた上、つい最近莫大な遺産を相続したリネット・リッジウェイは、親友ジャクリーンの婚約者と突然婚約をし、人目を避けてエジプトへハネムーンに旅立った。しかし豪華客船カルナーク号には、彼女に何らかの利害関係や遺恨、ないし敵意を抱いている者たちが勢揃いしていた……。(allcinema ONLINE)

【感想】
年が明けたら、ナイルクルーズに行くつもりです。
それで、お勉強のために見ました。

殺人未遂のあったあの神殿を見に行けるんだ、あのピラミッドのふもとに立てるんだわーという視点でしたので、映画の中身は後回しです。

ミア・ファロー、ジェーン・バーキン、オリビア・ハッセー、ベティ・デイビスと、当時の大御所が一同に会して、豪華絢爛のナイルクルーズ。
殺人事件に関しては、途中で犯人がわかってしまいましたが、それもご愛嬌で楽しみました。

京の年中行事 當る寅歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎

2009-12-21 11:49:56 | 舞台
ー京の年中行事 當る寅歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎ー

今年も「吉例顔見世興行」を見に行くことができました。
ぐっと冷え込んだこの日、京都南座の前だけは、華やいでいました。
今回は夜の部だけの鑑賞となりましたが、それでも、浮き世を忘れさせてくれる夢のようなお芝居で、「さあ、師走を乗り切って新しい歳を迎えよう」という新鮮な気持ちになりました。



第一 天満宮菜種御供(てんまんぐうなたねのごくう)
   時平の七笑
右大臣の菅原道真が、見に覚えのない謀反の疑いをかけられ、太宰府に流されることが決定したときの様子を表しています。
道真の前では弁護する様子をみせる左大臣藤原時平、実はこの人こそが、道真を無実の罪に陥れた張本人だったのです。
みんなが去って、一人になった時平の七笑いが見所です。

第ニ 新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)
菊五郎家に伝わる演目のひとつだそうで、能舞台を模した展開なので、とても様式化されています。
源頼光の土蜘蛛退治のお話でした。

第三 助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら)
三浦屋格子先の場



江戸随一の男伊達といえば、この人!!花川戸助六でしょう。
大江戸博物館にも、このシーンがディスプレイされていました。(写真はこの夏「大江戸博物館」で撮影したものです。このシーンは市川団十郎さんが演じた時の再現です。この日の舞台はもっとたくさんの花魁が並んで、華やかでした)

「江戸の古典歌舞伎を代表する演目のひとつ。「粋」を具現化した洗練された江戸文化の極致として後々まで日本文化に決定的な影響を与えた。歌舞伎宗家市川團十郎家のお家芸である歌舞伎十八番の一つで、その中でも特に上演回数が多く、また上演すれば必ず大入りになるという人気演目である。」(ウィキペディアより)

吉原三浦屋の傾城揚巻が、自分の間夫といってはばからないいい男。
ぱっと見は軽薄そのものの遊び人ですが、本性は、親の仇を追う曽我兄弟の弟五郎でした。
花魁たちの華やかな衣装にも負けない男っぷり。
片岡仁左衛門さんが演じる助六は、文字通り、水も滴るいい男!!
客席のすべての女性の心をぎゅっと掴んでしまうようなセクシーまなざしと身のこなし、立ち姿でした。
私たち世代には「孝夫さん」の方が親しみがありますが、えーっ、おいくつ?と聞きたくなるほどの艶っぽさ。
いつまでも女性ファンの心を掴んで離さない役者さんです。
ステキ!!

傾城揚巻には坂東玉三郎さん。
その衣装のあでやかさには、息をのんでしまいました。

花魁白玉に菊之助さん。
こちらも、負けず劣らず美しかったです。

第四 石橋(しゃっきょう)
これは、獅子の舞踊。
中村翫雀さんと片岡愛之助さんが、それぞれ白と赤の獅子のカツラをつけて、景気よく頭を振りながら踊り狂いました。
その激しさに圧倒され「来年も頑張ろう!」という元気をもらって、みなさんいいお顔で家路につかれていました。

これぞ、顔見世の醍醐味だと思いました。

来年こそ、いい年になりますように!!

かいじゅうたちのいるところ

2009-12-18 10:26:11 | 映画ー劇場鑑賞
ーかいじゅうたちのいるところーWHERE THE WILD THINGS ARE
2009年 アメリカ
スパイク・ジョーンズ監督 マックス・レコーズ(マックス)キャサリン・キーナー(ママ)マーク・ラファロ(ママの恋人)ローレン・アンブローズ(KW)クリス・クーパー(ダグラス)ジェームズ・ガンドルフィーニ(キャロル)キャサリン・オハラ(ジュディス)フォレスト・ウィッテカー(アイラ)ポール・ダノ(アレクサンダー)

【解説】
世界中で愛されている絵本「かいじゅうたちのいるところ」を実写化したファンタジー・アドベンチャー。原作者モーリス・センダックたっての希望により、『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』のスパイク・ジョーンズがメガホンを取る。冒険の旅に出る少年には、子役のマックス・レコーズを抜てき。マックスの母親を『カポーティ』のキャサリン・キーナーが演じる。スパイク・ジョーンズ監督ならではのセンスが光る怪獣たちのビジュアルを堪能したい。

【あらすじ】
いたずら好きなマックス(マックス・レコーズ)はいつものようにママ(キャサリン・キーナー)とケンカして、外に飛び出してしまう。ふと気付くとボートに乗っていたマックスは、海を渡り、ある島にたどり着いていた。島に住んでいる怪獣たちはマックスを見つけ、王様に仕立て上げるが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
久しぶりに試写会が当たって、見てきました。
子供たちがまだ小さかった頃、絵本の読み聞かせをやっていたこともあり、この名作絵本も覚えていました。
親しみやすい特徴的なセンダックの作品。
最近では、オバマ大統領もご推薦とか。
子供の絵本なのに、あまりドラマチックではありません。

映画は、ママと息子のお話でした。
はじめから、自分の子供時代や、自分の息子の子供時代を思い出しながら見ることでしょう。

私は夫と見たのですが、彼は、最初からマックス(マックス・レコーズ)のことが理解できず、すやすや眠ってしまいました。
彼は、はじめから大人なんてあてにしない、自立した子供時代を送ったようです。

マックスに共感できる人は、子供時代に寂しい思いをした人ではないかな?
愛されたくて、かまって欲しくて、叱られてもいいから大人に振り向いてもらいたい一心で、いろんな悪さをしてくれます。
その渇望は、大人の想像を超えているようです。
頭もいいし、感受性が豊かな子供なんですね。

うちの二男を思い出しました。
「手に負えない」
私は極力そう考えないように努力したけど、学校の先生には言われたなあ。
傷ついたわあ。
でも!!そういう子供ほど、周囲の軋轢にもまれて成長するものです。
うちの二男も立派な社会人になりましたよ。
「手に負えない子供」を育てているお母さん、希望を持って育ててくださいね。

そのマックスの心の風景でもあるかいじゅうたちのいるところ。
ママと喧嘩をして飛び出したところから、マックスの心の冒険が始まったのです。
喧嘩しているマックスの心の風景は、寂しく殺伐としています。
色のあまりない、枯れ草や砂漠でできている世界。
それだけでも、かわいそうな感じです。

キャロルはかんしゃく持ちで乱暴者だけど、それは寂しいから。
ほんとうは、みんなに優しくしてもらいたい。
一番マックスに似ていて、二人は友情で結ばれる。
KWが好きなのに、ふたりはいつもうまくいかない。
ダグラスはそんなキャロルに寛大だ。

ジュディスはマックスが傷つくことをずばずば、言いたいことを言う。
それをだまって受け入れる恋人のアイラなど、かいじゅうたちの個性が際立っていて面白い。

子供たちで暮らすのは、ピーターパンのネバーランドみたい。
なかなかまとまらないし、楽しい遊びも最後には悲惨なことになってしまうし、キャロルはどんどん荒んで行く。
マックスはお母さんがいてくれたらいいなあと思う。

おかあさんて、わからずやで自分勝手だけど、やはり子供には帰る場所なんだなあ。

かいじゅうたちのいるところから、帰ってきたマックス。
ひとまわり成長して帰ってきたね。

私も、ほっこりと幸せな気分になりました。

かわいい子には旅をさせよ。
心の旅でも、子供は成長するんだね。
子供は偉大です。

パブリック・エネミーズ

2009-12-15 13:56:01 | 映画ー劇場鑑賞
ーパブリック・エネミーズーPUBLIC ENEMIES
2009年 アメリカ
マイケル・マン監督 ジョニー・デップ(ジョン・デリンジャー)クリスチャン・ベイル(メルヴィン・パーヴィス)マリオン・コティヤール(ビリー・フレシェット)ビリー・クラダップ(J・エドガー・フーバー)スティーヴン・ドーフ(ホーマー・ヴァン・メーター)スティーヴン・ラング(チャールズ・ウィンステッド)

【解説】
大恐慌時代のアメリカに実在した伝説のアウトロー、ジョン・デリンジャーと彼の恋人との逃亡劇を描いたラブストーリー。無法者として生きる男とFBIの攻防を軸に、運命の恋人との純粋な愛もスクリーンに焼き付ける。主演は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジョニー・デップ。その恋人に『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』でアカデミー賞に輝いたマリオン・コティヤール。美男美女による愛の逸話と、手に汗握るアクションが同時に楽しめる。

【あらすじ】
1933年、大恐慌時代のアメリカで、ジョン(ジョニー・デップ)は紳士的な態度と鮮やかな手腕の銀行強盗として注目を集めていた。ある日、彼はクラブのクローク係として働く美しいビリー(マリオン・コティヤール)に目を奪われる。二人はダンスを楽しみ、共に食事を堪能するが、いつの間にかビリーは彼の前から姿を消す。(シネマトゥデイ)

【感想】
「2009年度もっともセクシーな俳優」に選ばれたジョニー・デップ。
2度目の受賞、おめでとう!
そして、8日から10日のプレミアのために来日しましたね。
私は、残念ながらお迎えもプレミアにも参加できませんでしたが、ジョニー友達から奮闘記が届いています。
みんながんばって、いい成果が得られたようです。
よかったですねー。

さて、公開初日行って参りました。

あまり喜びすぎたのか、途中眠ってしまって、友達に笑われました。
とにかく、撃ち合いはあるんだけど、淡々としたストーリー運びでした。

当時義賊として、ロックスターのように人気のあったジョン・デリンジャー。
愛称もジョニーだし、連行されるシーンは本物のジョニーのプレミアを思い出させるようなシーンでした。

敵役、捜査員メルヴィン・パーヴィス(クリスチャン・ベイル)の影が薄かったような気がします。
これがもっと憎々しかったら、もっとメリハリがついて、インパクトもあったんじゃないかな?

デリンジャーにするりするりと逃げられて、「腕利きの捜査員を呼んでくれ」とか泣きが入って、頼りないわあ。

そして呼ばれて来たのがチャールズ・ウィンステッド捜査官(スティーヴン・ラング)。
とうとうこの人に、ラストの一番いいところを持って行かれてしまいました。
これでいいんか?

とにかく、ジョニーがめちゃかっこいい映画。
久しぶりにジョニーの素顔が堪能できます。

マイケル・マン監督の映画は、いつも夜のシーンが特別きれいなんだけど、それ以上の感想はないんだなあ。

この作品も、映画として面白いかどうかは、うーん。

もう一回見に行こうっと。

脳内ニューヨーク

2009-12-15 13:53:25 | 映画ー劇場鑑賞
ー脳内ニューヨークーSYNECDOCHE, NEW YORK
2009年 アメリカ
チャーリー・カウフマン監督 フィリップ・シーモア・ホフマン(ケイデン・コタード) サマンサ・モートン(ヘイゼル)ミシェル・ウィリアムズ(クレア・キーン)キャサリン・キーナー(アデル・ラック)エミリー・ワトソン(タミー)ダイアン・ウィースト(ミリセント・ウィームズ)ジェニファー・ジェイソン・リー(マリア)ロビン・ワイガート(オリーヴ)セイディー・ゴールドスタイン(オリーヴ)ホープ・デイヴィス(マドレーヌ・グラヴィス)トム・ヌーナン(サミー・バーナサン)

【解説】
『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』の脚本家、チャーリー・カウフマンが監督デビューを果たすエンターテインメント・ムービー。人生に行き詰った人気劇作家が、自分の人生を再生するため、壮大な芸術プロジェクトの構想を思いつく。主人公をオスカー俳優フィリップ・シーモア・ホフマンが好演する。無限の想像力をかき立てられる予測不能な脚本や、斬新な映像などチャーリー監督の非凡なセンスと独創性に着目だ。

【あらすじ】
人気劇作家ケイデン・コタード(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、ある日突然、妻と娘に家を出て行かれてしまう。そんなとき、マッカーサー・フェロー賞受賞の知らせが舞い込む。行き詰った彼はその賞金を使い、自分の頭の中のニューヨークを実際のニューヨークに作り出すという壮大な芸術プロジェクトの構想を思いつく。(シネマトゥデイ)

【感想】
『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』の脚本家、チャーリー・カウフマンの初監督作品です。
いつもシュールなテーマですよね。

でも、この作品、難しくて途中眠ってしまいました。
だから偉そうな感想は書けません。
印象に残った言葉は、「みんなそれぞれの人生で自分が主役」。
あたりまえだけど、ケイデンは妻と子供に去られるまで、それに気がついていなかったのです。

ケイデンは、自分の脳のなかにある自分の人生を劇化しようとします。
オーディションをして、自分の役の俳優を選んで。
現実と劇中が交錯し、とても複雑な作品になって行きます。

ケイデン自身の変化が見所です。
この作品、もう一度心して鑑賞したいと思います。

ミスター・ロンリー

2009-12-15 13:49:32 | 映画ーTV
ーミスター・ロンリーーMISTER LONELY
2007年 イギリス/フランス
ハーモニー・コリン監督 ディエゴ・ルナ(マイケル)サマンサ・モートン(マリリン)ドニ・ラヴァン(チャップリン)ヴェルナー・ヘルツォーク(神父)レオス・カラックス(レナード)

【解説】
マイケル・ジャクソンのものまねパフォーマンスで生計を立てている青年が、マリリン・モンローとして生きる美女に恋をするラブストーリー。監督は『ガンモ』などが大絶賛された若き鬼才ハーモニー・コリン。主人公の“マイケル・ジャクソン”を『天国の口、終りの楽園。』のディエゴ・ルナが、“マリリン・モンロー”を『CODE46』のサマンサ・モートンが演じている。コリンならではの独特の世界観と衝撃の結末に注目だ。

【あらすじ】
“マイケル・ジャクソン”としてしか生きられない男“マイケル”(ディエゴ・ルナ)。ある日、老人ホームでパフォーマンスをすることになった彼は、会場で“マリリン・モンロー”(サマンサ・モートン)に遭遇。“マリリン”は意気投合した“マイケル”をものまねアーティストたちが集うスコットランドのコミューンへと誘う。(シネマトゥデイ)

【感想】
不思議な映画でした。

マイケル・ジャクソンになりきることで自分を保ち、生計を立てている若者(ディエルゴ・ルナ)が、老人ホームの慰問でマリリン・モンローのそっくりさん(サマンサ・モートン)と出会い、モノマネ芸人たちが共同生活ししている古いお城に入り込む。
でも、ここでの生活はパラダイスとはほど遠い、エゴや孤独と背中合わせの生活でした。
見たくない、残酷な出来事もあります。

また、一方で、南米の村で布教活動をしている尼僧たちのお話。
あるとき、一人の尼僧が生活物資を空から投下する作業の最中、誤って飛行機から落ちてしまうが、奇跡的に無傷で助かる。
これは、日頃の信仰の賜物と、同僚の尼僧にもパラシュートなしのスカイダイビングを提案し、それも成功させる。

喜んだ尼僧と神父はヴァチカンに報告するために小さな飛行機で飛び立つのですがー。

このふたつのストーリーが、どちらも悲劇的な結果で終わります。
ファンタジーみたいなんだけど、暗い結末です。
現代人の心の風景を著しているようですが、悲惨です。

マイケルを演じていた青年は、普通に、自分として生きていく決心をしますが、前途に希望のない映画でした。

今の時勢に合っていると言えば、そうだけど、悲しい!