ーエヴァの告白ーTHE IMMIGRANT
2013年 アメリカ/フランス 118分
ジェームズ・グレイ監督 マリオン・コティヤール(エヴァ・シブルスカ)ホアキン・フェニックス(ブルーノ・ワイス)ジェレミー・レナー(オーランド)
【解説】
マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナーらが豪華共演を果たした人間ドラマ。より良い人生を求めてアメリカに移住してきた女性が、さまざまな出来事に振り回されながらもたくましく生き抜く姿を映し出す。監督は『アンダーカヴァー』でホアキンと組んだジェームズ・グレイ。社会の裏側で、決して諦めることなく前進するヒロインのりんとした強さが胸を打つ。
【あらすじ】
1921年、エヴァ(マリオン・コティヤール)と妹マグダ(アンジェラ・サラフィアン)は戦争の影響で情勢が不安定な祖国ポーランドを離れ、ニューヨークに到着する。だが、入国審査で医師に肺病と診断されたマグダは隔離され、二人は離れ離れに。入国を拒否されたエヴァは、ブルーノ(ホアキン・フェニックス)という見知らぬ男性のおかげで強制送還を免れる。
【感想】
確かに、マリオン・コティヤールが演じるエヴァが主人公なのですが、原題は「THE IMMIGRANT(移民)」です。
日本は移民に厳しい国ですが、アメリカは移民で成り立っているので寛容だと考えていました。
でも、こんな辛い移民の現実もあった、ということですね。
歴史の裏側、まるで中世の出来事のような、国と国の狭間に落ち込んでしまった人権のない人々のお話。
1921年、ポーランドで両親を兵隊に殺されたエヴァ(マリオン・コティヤール)と妹マグダ(アンジェラ・サラフィアン)は、政情不安なポーランドから移民船に乗って自由の国アメリカへやって来た。
姉妹はニューヨークのエリス島にある移民管理局の手続きに並んでいたが、マグダは病気だとされ、島内の収容施設に連れて行かれた。
エヴァも受け入れ人である叔母夫婦が来ていなくて、申請した住所も不確かで、来る途中の船内でも品行を欠く問題があったとして入国を認められず、強制送還されそうになった。
ブルーノとエヴァ
そこに、ブルーノ(ホアキン・フェニックス)という旅行人を世話するとと称する男が現れ、エヴァを助けてくれた。
連れて行かれた先は、母親と子供が暮らす安アパート。
ブルーノは自分では劇場で働いていると言うが、どうみてもポン引き。
しかし、母国にも帰るところがなく、妹もエリス島に囚われているエヴァには、ブルーノの元で働くしか選択肢がなかった。
☆ネタバレ
見所は、この最低のポン引き野郎ブルーノのエヴァへの純愛です。
ブルーノのいとこのオーランド(ジェレミー・レナー)がエヴァに思いを寄せるのも、醜い嫉妬で攻撃します。
エヴァはただひたすら、妹への思いを貫き通す強い意志の持ち主ですが、男たちは悲劇を生み出します。
オーランドから一緒に行かないかと誘われるエヴァだったが、妹を残しては行けなかった。
最後、ブルーノが自分の非を詫び、エヴァとマグダを逃がしますが、この演出はなかなかのものでした。
ホアキン、うまい!
と思わず唸る、演技力でした。
こんなダメダメ男なのに、最後の最後で哀愁を漂わせられるってすごいなあ。
ブルーノ自身も、自由の国アメリカで苦戦を強いられている人間だということ。
「大統領の執事の涙」でも描かれていた裏の顔のアメリカの厳しさ、この作品でも認識させられました。
自由の国で生き抜くことも、容易ではありません。