マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

パガニーニ愛と狂気のヴァイオリニスト

2014-07-22 10:02:51 | 映画ー劇場鑑賞

ーパガニーニ愛と狂気のヴァイオリニストーTHE DEVIL'S VIOLINIST

2013年 ドイツ 122

監督=バーナード・ローズ 製作総指揮=デヴィッド・ギャレット キャスト=デヴィド・ギャレット(ニコロ・パガニーニ)ジャレッド・ハリス(ウルバーニ)アンドレア・デック(シャーロット)ジョエリー・リチャードソン(エセル・ランガム)クリスチャン・マッケイ(ジョン・ワトソン) 

 

【解説】

超絶技巧で有名な伝説的バイオリニスト、ニコロ・パガニーニの破天荒な人生と、彼の人生を変えた2人の人物との出会いを描く伝記ドラマ。スキャンダルが絶えない異端児パガニーニを、欧米で圧倒的人気を誇る天才バイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットが演じる。監督は、『不滅の恋/ベートーヴェン』などのバーナード・ローズ。共演には『リンカーン』などのジャレッド・ハリス、『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』などのクリスチャン・マッケイらがそろう。

 

【あらすじ】

1830年のイタリア、並外れた才能を持ちながらも不遇の日々を送るバイオリニスト、パガニーニ(デイヴィッド・ギャレット)の前に突如現れたウルバーニ(ジャレッド・ハリス)は、彼を著名なバイオリニストにしてみせると約束。ウルバーニはさまざまな手段を用いて名門劇場での公演を成功に導き、パガニーニは一躍富と名声を手に入れる。成功後も放蕩(ほうとう)生活を送る彼のもとに、ロンドンデビューの話が舞い込む。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

21世紀のパガニーニ」とも評される天才バイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットがパガニーニを演じているこの作品、コスプレのコンサートを見ている気分でしたよ。

バイオリニストが主演なので、演奏シーンが迫力ありました。

オススメです。

  パガニーニとウルバーニ

パガニーニ(デイヴィッド・ギャレット)とウルバーニ(ジャレッド・ハリス)の出会いのシーンは「ファウスト」(2011年のソクーロフ監督作品)を思い出させるものでした。

悪魔のようなウルバーニと契約し、魂を売るようにして有名になったパガニーニですが、酒とギャンブルに身を持ち崩していきます。

 

そんなときに持ち上がったロンドンデビューの話。

企画したロンドン在住の音楽家ワトソン(クリスチャン・マッケイ)が、自宅の家財道具を差し押さえられるまでして作った前金も、湯水のようにギャンブルにつぎ込み、商売道具のヴァィオリンさえ賭けにつぎ込んでなくしてしまう。

すっからかんになってやってきたロンドンだが、パガニーニの自堕落は治らない。

  ワトソン父娘

しかし、ワトソンの娘のシャーロット(アンドレア・デック)の無垢な心に触れ、彼女の美声の才能を見いだしたパガニーニは、ロンドン公演を成功させる。

 

しかし、ウルバーニの奸計にハマって二人は辛い別れをする。

 

その後、シャーロットは歌手として成功を収めますが、パガニーニはウルバーニとも別れ、事業にも失敗し、さらに病気が悪化してニースで亡くなります。

「パガニーニの演奏技術は、悪魔に魂を売り渡した代償として手に入れたものだ」という噂を信じた当時の人たちが、パガニーニの埋葬を拒んだため、息子はパガニーニの遺体を防腐処理して各地を転々とし、今はジェノヴァの共同墓地に眠っているそうです。

 

見所はなんと言ってもギャレットによる超絶技巧の演奏です。

これは息をのみます。

他の弦が切れてしまってG線だけで演奏したと言う逸話も実現して見せてくれます。

パガニーニが当時のロックスターだったということが、とてもよくわかる作品でした。

ギャレット自身も元モデルのイケメンなので、見ているだけでうっとり。

名曲もたっぷり聞かせてもらって、満足しました。

素晴らしかったですよ。

 


エグザイル

2014-07-22 09:59:17 | 映画ーDVD

ーエグザイルーBEING FLYNN

2012年 アメリカ 103分 

 監督=ポール・ワイツ キャスト=ロパート・デ・ニーロ ポール・ダノ ジュリアン・ムーア オリヴィア・サールビー リリ・テイラー

 

【感想】

日本未公開だし、あまり資料がないのですが、そんなに悪い作品ではありません。

ロバート・デ・ニーロがタクシードライバーを演じているし、ポール・ダノもいいですよ。

 

自称作家のダメな父親と、彼に翻弄されるこちらも作家志望の息子のお話。

 

父と息子ー母親と違って、物心ついてからの子供にとっては、アイデンティティの基礎となる存在なんだなあ。

どんなダメ父でも、乗り越えることさえできたら、息子には大きな存在なのではないでしょうか。

 

父親は自信を持って大きな壁になったらいいんじゃないかなあ。

私はなかなか興味深い作品だと思いました。

 


ビフォア・ミッドナイト

2014-07-19 13:01:57 | 映画ーDVD

ービフォア・ミッドナイトーBEFORE MIDNIGHT

2013年 アメリカ 108

監督・脚本・キャラクター原案・プロデューサー=リチャード・リンクレイター

脚本=イーサン・ホーク / ジュリー・デルピー キャスト=イーサン・ホーク(ジェシー)ジュリー・デルピー(セリーヌ)シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック(ハンク)ジェニファー・プライアー(エラ)シャーロット・プライアー(ニナ)ゼニア・カロゲロプーロ(パトリック)ウォルター・ラサリー(ナタリア)アリアン・ラベド(アナ)ヤニス・パパドプーロス(アキレアス)アティーナ・レイチェル・トサンガリ(アリアド二)パノス・コロニス(ステファノス)

 

【解説】

イーサン・ホークとジュリー・デルピー主演の『恋人までの距離(ディスタンス)』『ビフォア・サンセット』に続くラブロマンスのその後を描く第3弾。風光明媚(めいび)なギリシャの海辺の街を舞台に、熱烈な恋に落ちて人生を共にするようになった男女のその後の現実を、小気味いい会話を通して映し出す。前2作同様リチャード・リンクレイターが監督を務め、再び主演の二人と強力タッグを組む。恋人から家族になった主人公たちの本音満載の内容が、観る者の共感を呼ぶ。

 

【あらすじ】

パリ在住の小説家ジェシー(イーサン・ホーク)と環境運動家のセリーヌ(ジュリー・デルピー)は、双子の娘を伴いギリシャでバカンスを過ごすことにする。同時にシカゴでジェシーの前妻と暮らす息子ハンク(シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック)も呼び寄せる。彼らは共に海辺の町で夏休みを過ごした後、ジェシーはハンクを空港まで見送るが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

私はこのシリーズが大好き。

1作は18年前の1995年、ウィーンの列車の中で偶然出会ったジェシーとセリーヌ。

なぜか別れがたくウィーンの町を歩き回って語り合い、結局そのまま別れてしまった二人が(ビフォア・サンライズ)、その9年後の2004年にニューヨークで再会した(ビフォア・サンセット)。

そして、また9年後の二人のお話です。

 

劇場に見に行きたかったけど、タイミングが合わず、DVDでの鑑賞となりました。

 

見始めると、ずいぶんおじんになってしょぼくれたイーサン・ホークが、息子らしい子供と空港にいる。

違う映画を見てるんじゃないかと、わが目を疑いましたが、間違いありませんでした。

 

息子を送って建物を出ると、ジュディー・デルビーが待っていました。

 

40代に入ったジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジュディ・デルビー)。

9年前の再会で、二人の恋心が再燃し、その結果として、双子の女の子を授かったのです。

 

でも、その前に障害が。

ジェシーはそれ以前にニューヨークで作家として成功し、結婚し、ハンクという息子がいました。

9年前のセリーヌは、ジェシーの本が出たのを知って、ニューヨークへ会いに行ったんだものね。

 

すったもんだの末、ジェシーは前妻と別れ、ハンクの親権も争いましたが、認められず、今はセリーヌと結婚して双子の娘と一緒にパリに住んでいます。

 

この夏休みは知人に招待されてギリシャで休暇を送っていて、ハンクも呼び寄せたのです。

一足先にハンクをニューヨークに帰すため、空港まで送り来たのでした。

思春期を迎えようとしている息子の複雑な胸の内を聞いて、ジェシーはなんとか近くにいてやれないものかと思い始めます。

父親の自覚というやつですね。

 

セリーヌは、環境保護団体のNPOで活躍していましたが、組織的にうまく運営できなくなったようで、ある政治家の事務所に所属して働く道も考え始めているところでした。

それには、パリ在住が不可欠。

 

いつものように会話の洪水で楽しませてくれますが、リアルで厳しい現実があり、やがて二人の会話も刺々しいものになって、最後にはバトルとなります。

「離婚」の二文字も出て、相当険悪です。

 

セリーヌは現実的で正論です。

ジェシーは甘い。

 

ジュディー・デルビーが半身裸で論戦するシーンは迫力がありますよ。

男性はたじたじでしょう。

 

でも、ハンクのことや元妻とのことは、セリーヌの言うことが正しい。と私は思う。

積年の恨みの部分は、女性としてとても胸のすく思いですが、言ってもしょうがない。

終わったことだからね。

 

この映画で素敵なのは、やはりジェシーだなあ。

怒りが治まらないセリーヌに、優しい言葉をかけにいきます。

謝るのではなく、本当にセリーヌが大切ということが伝わる感じです。

そして、セリーヌも折れて、二人はまた前を向いて生きていくのでしょうね。

 

一目惚れして、この人が一生の人と思い、結婚する。

それだけではおとぎ話です。

結婚は現実で、自分では解決できないことが押し寄せてきます。

それをどう乗り切るか。

 

この二人の人生を見せてもらって、最終的には、一番好きな人と結婚するのがやはり人生の幸せなのだなあと思いました。

一番好きな人だから、年を取ることも受け入れ、意見が合わないときも歩み寄る努力ができるんじゃないかなあ。

 

シビアな作品でしたが、ある意味、おとぎ話の一コマでもあると思いました。

ふつうは、ここまで行ったら乗り切れないよ。

ジェシー、偉い。

 

脚本が素晴らしい。

人生経験を積んだ女性にお勧め。

男性も見て、学んで欲しい。

 


私の男

2014-07-14 12:04:59 | 映画ー劇場鑑賞

ー私の男ー

2013年 日本 129

監督=熊切和嘉 音楽=ジム・オルーク 原作=桜庭一樹 キャスト=浅野忠信(腐野淳悟)二階堂ふみ(花)モロ師岡(田岡)河井青葉(大潮小町)山田望叶(花10歳)三浦貴大(大輔)高良健吾(尾崎美郎)藤竜也(大塩)

 

【解説】

直木賞作家・桜庭一樹によるベストセラー小説を、『海炭市叙景』などの熊切和嘉監督が映画化。流氷に閉ざされた北海道と東京を舞台に、孤児となった少女と彼女を引き取ることになった男の禁断の関係を描き出す。互いに秘密を抱え寄り添うように生きる父と娘には、浅野忠信と二階堂ふみがふんするほか、高良健吾、藤竜也らが共演。時代の移り変わりに合わせてフィルムとデジタルを駆使し、北海道の雄大な自然を捉えた映像にため息が出る。

 

【あらすじ】

奥尻島に猛威を振るった津波によって孤児となった10歳の花(山田望叶)は遠い親戚だという腐野淳悟(浅野忠信)に引き取られ、互いに寄り添うように暮らす。花(二階堂ふみ)が高校生になったころ、二人を見守ってきた地元の名士で遠縁でもある大塩(藤竜也)は、二人のゆがんだ関係を察知し、淳悟から離れるよう花を説得。やがて厳寒の海で大塩の遺体が発見され、淳悟と花は逃げるように紋別の町を去り……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

今年のモスクワ国際映画祭コンペティション部門で、最優秀作品賞と最優秀男優賞を獲得したというニュースを聞いて、見に行くことにしました。

 

私の苦手な近親相姦の話。

こういう話には、まず拒否反応が起きてしまいます。

 

この映画もやはり拒否反応の方が強かったです。

セックスシーンで血の雨が降ったり、見せ方も少し過剰のような気がしました。

コメディみたいな感じで真に迫った感じが薄れたみたい。

 

でも、心に残るシーンもたくさんありました。

 

☆ネタバレ

まず、冒頭で流氷から這い上がって来る花と、その表情。

引き込まれますね。

 

そして、畳み掛けるように奥尻島地震で、家族の中で一人生き残った10歳のずぶ濡れの花。

これを演じた山田望叶ちゃんは大変だったでしょうね。

その根性に拍手です。

 

そして、実の父である腐野淳悟(浅野忠信)との出会いのシーン。

淳悟は10代の頃、実の母親の首を絞めて、遠縁の竹原家に預けられた。

その竹原家の妻と間違いが起こり、花が生まれたのだ。

 

この親子の出会いが、静か過ぎてキミが悪いくらい。

でも、この静かな出会いが二人の感情の尾を引いていく出会いでもありました。

「自分の娘として育てる」と淳悟が言った時、事情を知る大塩(藤竜也)には不安がよぎりました。

 花と淳悟の出会い 

手をからませたり、手をなめたりするシーンが繰り返されて、あまり気持ちのいいものではありませんが、二人の関係を象徴している行為なので、がまんしましょう。

 

一番印象的なのが、大塩が花(二階堂ふみ)に殺されるシーン。

殺されるといっても、花は説得しようとする大塩を突き飛ばして流氷に乗せて海に押し出したのです。

「助かりたかったら泳ぎなさい」と花はつぶやき、自分は氷の海に飛び込んで冒頭のシーンとなるわけです。

 

大塩さんはいい人なのです。

花は大罪を犯したわけです。

  大塩さん(藤竜也)

花は自分のしたことを淳悟に打ち明けます。

大塩の葬儀の後、二人は出奔し、東京へ。

花の犯罪を隠すために、淳悟はさらなる殺人を犯し、転落の道を歩いていくことになります。

一方花は、本性を隠し、新しい男を絡めとっていきます。

 

最優秀男優賞をとった浅野忠信さんには悪いですが、私は二階堂ふみさんの演技がすごいと思いました。

声がかわいいのにドスが利いている感じ。

今後の活躍が期待されます。

  二階堂ふみさん

理性では理解できない感情の世界。

これをどう評価するか…。

私には愛のお話とは思えませんでしたが、どちらにとっても必要な相手だったのでしょうね。

花にとっては、6歳でひとりぼっちになったのですから、生きていくこと、そのもののために。

淳悟にとっては、過去の過ちを償うためから、花の一生を償うために。

 

こういう関係に首を突っ込むことになった、花の結婚相手、大輔(三浦貴大)さんがかわいそうと思いました。

 

これから二人はどうなっていくのでしょう?

私は、そのうち淳悟は捨てられると思うけどなあ。

 

でも…、あんな長屋みたいなところで、衝動的に田岡(モロ師岡)を殺して、しかも畳はたっぷりと血を吸っていて、どうやって死体や血の跡を隠したんだろう。

それがずっと気になっています。

 


マレフィセント

2014-07-14 10:48:11 | 映画ー劇場鑑賞

ーマレフィセントーMALEFICENT

2014年 アメリカ 97

ロバート・ストロンバーグ監督 アンジェリーナ・ジョリー(マレフィセント)エル・ファニング(オーロラ)サム・ライリー(ディアヴァル)シャールト・コプリー(ステファン)イメルダ・スタウントン(ノットグラス)ジュノー・テンプル(シスルウィット)レスリー・マンヴィル(フリットル)

 

【解説】

ディズニーアニメ『眠れる森の美女』ではオーロラ姫に呪いをかけた悪役だった、邪悪な妖精マレフィセントを主人公とするダークファンタジー。マレフィセントをアンジェリーナ・ジョリーが演じ、彼女の封印された過去とオーロラ姫を永遠の眠りにつかせる呪いをかけた理由が明かされる。監督は、『アバター』などのプロダクションデザインを手掛けたロバート・ストロンバーグ。エル・ファニングやアンジーの娘ヴィヴィアン・ジョリー=ピットが共演。おとぎの国のごとく幻想的で美しく、一方でダークな映像世界に期待できる。

 

【あらすじ】

とある王国のプリンセス、オーロラ姫(エル・ファニング)の誕生祝賀パーティー。幸せな雰囲気があふれるその会場に、招かれざる邪悪な妖精マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)が出現する。オーロラ姫に永遠の眠りにつく呪いをかけたマレフィセント。それは、なぜなのか。答えは、謎に包まれたマレフィセントの過去にあった。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ディズニーアニメ『眠れる森の美女』で、産まれたばかりのオーロラ姫に呪いをかけて16歳の誕生日に永遠の眠りに入るように呪いをかけた魔女マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)。

 

彼女には辛い過去があったと言うお話です。

 

あちこちに、オリジナルを彷彿とさせるシーンがあって、オリジナルを知る人には楽しい演出がいっぱい。

でも、大筋は違っていて、白馬に乗った王子様が火を吹く竜と闘い、茨の道を切り開いて眠れるお姫様を救出するという物語を期待していると裏切られますよ。

 

☆ネタバレ

手短かに言うと「アナと雪の女王」と似たような結末です。

ディズニーも、真実の愛を男女には求めなくなったのかなあ、と古い人間は寂しく思います。

 

このマレフィセントでは、よい教訓もあるような気もしました。

男の心変わり、野心のためなら愛をかわした女性も裏切り、恐怖に怯える男の弱い部分なども、これからの女性は知っておいた方が生きやすいかもしれませんね。

 

そして、救ってくれるのは白馬に乗った王子ではなく、身近な人物だということも。

 

マレフィセントの羽を盗んだステファン王、どこかで見たことのある人だと思ったら、「第9地区」の主人公のシャールト・コプリーでした。

ちょっと老け過ぎだし、魅力的には見えなかったところが残念。

 

マレフィセントの従者のカラス役はサム・ライリー。

私の見た映画の中では、「オン・ザ・ロード」でジャック・ケアルックの役をしていた人でした。

彼はかっこいいです。

 

なんと言ってもアンジェリーナ・ジョリーが圧巻。

素晴らしい魔女でした。

赤ちゃん役で自分の娘も出演しているそうです。

 


ピアノ・レッスン

2014-07-11 12:08:28 | 映画ーDVD

ーピアノ・レッスンーTHE PIANO

1993年 121分 オーストラリア

監督 ジェーン・カンピオン 音楽 マイケル・ナイマン ホリー・ハンター(エイダ)ハーベイ・カイテル(ベインズ)サム・ニール(スチュワート)アンナ・パキン(フローラ)

 

【解説】

19世紀半ばのニュージーランドを舞台に、ひとりの女と2人の男が一台のピアノを媒介にして展開する、三角関係の愛のドラマ。「スウィーティー」「エンジェル・アット・マイ・テーブル」に続くニュージーランド出身の女流監督ジェーン・カンピオンの長編第3作。製作はジェーン・チャップマン、撮影は「エンジェル・アット・マイ・テーブル」のスチュアート・ドライバー。音楽は「髪結いの亭主」のマイケル・ナイマンで、演奏はミュンヘン・フィルハーモニック(ピアノ・ソロはホリー・ハンター)。美術は「幸せの向う側」のアンドリュー・マッカルパイン、編集は監督の前2作も手がけたヴェロニカ・ジネット、衣装はジャネット・パターソンが担当。主演は「ザ・ファーム 法律事務所」のホリー・ハンター、「ライジング・サン」のハーヴェイ・カイテル、「ジュラシック・パーク」のサム・ニール。共演はオーディションで選ばれた子役のアンナ・パキンほか。93年度カンヌ映画祭パルムドール賞(オーストラリア映画として、また女性監督として初)、最優秀主演女優賞(ハンター)受賞作。93年度アカデミー賞脚本賞、主演女優賞(ハンター)、助演女優賞(パキン)受賞(映画.com)

 

【感想】

有名な作品です。

いまごろですが、これ、究極の女性映画じゃないでしょうか?

女はこんなふうに愛されたいかも…。

 

19世紀半ばのスコットランド。

6歳で話すことを止めてしまったエイダ(ホリー・ハンター)ですが、なぜ話すことを止めたか、なせシングルマザーなのか、映画の中では語られてはいません。

でも、大きなトラウマがあることは想像できます。

このころの女性は、自分で自分の人生を決めることができないんですものね。

しかし、エイダはピアノがあるので悲観的ではありません。

 

父が決めた縁談で、植民地だったニュージーランドの地主スチュワート(サム・ニール)のもとに、娘のフローラ(アンナ・パキン)と愛用のピアノと一緒に嫁ぎます。

おり悪く、荒天で岸に着いてもスチュワートからの迎えは無く、人夫たちも去ってしまいました。

娘とともに浜辺で野宿することになっても、エイダは気丈です。

 

そして次の日、ようやくスチュワートが人夫たちを連れて迎えに来ました。

しかし、ピアノは悪路を理由に置き去りにされます。

 

エイダはその仕打ちを許さず、夫に指も触れさせません。

 

エイダは、スチュワートの留守に、マオリ族と同化するように暮している近隣のイギリス人、ベインズ(ハーベイ・カイテル)に頼み込み、浜辺のピアノのあるところまで連れて行ってもらいました。

一心不乱にピアノを弾くエイダ。

それを飽きることなく見ていたベインズは、なにを感じたのでしょう。

スチュワートに自分の土地と引き換えにピアノを譲って欲しいともちかけました。

そして、エイダにピアノを教えて欲しいと。

 

エイダは、「字も読めない無教養な男に」と拒みますが、スチュワートは土地が手に入ったことを喜び、エイダに命令しました。

エイダはフローラを連れてベインズの元へ。

ベインズは、ただピアノを弾いてくれるだけでいいといました。

何日が経って、ベインズはエイダに欲望を覚え、黒鍵の数だけいうことを聞けば、ピアノは返すと言い出しました。

 

レッスンごとにベインズは服を脱ぐように要求し、その要求はどんどん激しくなり、とうとうピアノも弾かず、裸体でベインズのベッドに横たわるまでに。

 

フローラはその様子を壁の隙間からのぞき見ていました。

 

☆ネタバレ

ベインズは、エイダに対する行いが間違っていることに気が付き、良心の呵責に耐えかね、ピアノをスチュワートに返し、エイダにも来るなと言う。

しかし、エイダの恋心にも火がついていたのです。

エイダはベインズを訪ね、ベインズの辛い心のうちを聞きました。

そして、自分の激しい思いを伝えます。

二人は結ばれますが、その様子をスチュワートが盗み見していたのです。

 

会うことを禁じられ、ベインズも本国に帰るという朝、エイダはピアノの腱を抜き、ベインズへの愛をしたため、それをフローラに言付けました。

フローラは、ベインズのところへはいかず、スチューワートに密告します。

怒りに駆られたスチュワートがエイダを引きずり出し、斧でエイダの指を落としました。

その指をフローラに持たせ、ベインズのところまで届けさせます。

 

ベインズはフローラを保護しますが、その夜、銃を持ったスチュワートが現れ、エイダとフローラを連れて自分に見えないところへ連れて行くようにいいました。

 

ベインズ、エイダ、フローラは、上陸した浜辺から小舟に乗って船出しました。

途中、海にピアノを捨てようとエイダが言い出しました。

ピアノを捨てるときにロープがエイダの足に絡み付き、エイダも海に引き込まれていきます。

エイダは自分の意志で靴を脱ぎ、生きることを選びました。

 

そしてエイダは、イギリスの片隅で、ベインズとフローラと暮しています。

ベインズが作ってくれた義指でピアノを教えながら。

こっそり、発声の練習も始めました。

 

エイダって、すごく激しい気性の人間だと思う。

自分の意志でしゃべることを止めるって、すごい。

その気性が災いして、生きにくい環境を作って来たのでしょう。

父も、エイダをもてあましていたのでしょう。

でも、エイダには誰にも言えない辛い秘密があったのだと思う。

ピアノさえあれば、私は生きていけると思っていた…。

 

ところが、嫁ぎ先の夫は、ピアノにまるで理解が無い。

ピアノを弾くことさえ理解してくれたら、新生活を従順に始めるつもりだったと思う。

 

そこへ思いがけない人物、ベインズのような粗野で無教養な人間が、ピアノを弾くエイダを受け入れた。

二人は肉体だけではなく、心の結びつきも感じるようになって恋に落ちていくんですね。

そうなると、エイダ生来の激しい気性が抑えられなくなって、最後は指と引き換えの形で恋を手に入れてしまう。

代償は大きいけど、エイダはしあわせだったでしょう。

だから、依存していたピアノを捨てて、自分の意固地な過去も捨てて、新しい人生に踏み出す決心をしたんだと思う。

 

下手をしたら昼メロになるところ、女性監督の感性で、とても重厚な作品に仕上げていました。

荒れた海、どんよりしとした空。

泥道のジャングル。

泥だらけのドレスの裾。

素朴なマオリ族の人たちと対照的な顔の入れ墨。

印象に残るシーンが続きました。

 

気になるのはフローラの将来です。

母の不倫を許せなくて、母を裏切り、その結果が母を傷つけることになってしまって、彼女の心はどんなに傷ついたでしょう。

とても心配ですが、エイダとベインズが愛し合っていれば、その傷も乗り越えられるのではないかともいました。

フローラはエイダよりしたたかそうだし。

 

演じていたアンナ・パキンは第66回アカデミー賞の最年少助演女優賞を受賞しました。

 

ホリー・ハンターは、自分でこの役を取りに行ったらしく、自分でピアノを弾き、ラストの海に沈んでいくシーンも、スキューバーダイビングのトレーニングをしてのぞんだそうです。

ホリー・ハンターは同じく主演女優賞を獲得しています。

 

また、この作品はカンヌ映画祭のパルム・ドール、主演女優賞も受賞しています。

 

このピアノのテーマ曲、聞き覚えがあります。

いい曲ですね。

エイダの心の中を表しているような、美しいけど、さびしい曲です。

 

ハーベイ・カイテルが意外でした。

美女を寝取る役とは!!

これが、美男だとダメだったのでしょう。

配役の妙ですね。

 

女の情念を美しく描いた作品。

よかったです。

 

マラヴィータ

2014-07-11 12:04:37 | 映画ーDVD

ーマラヴィーターTHE FAMILY/MALAVITA

2013年 アメリカ/フランス 111

 

リュック・ベンソン監督 マーティン・スコセッシ製作総指揮 ロバート・デ・ニーロ(フレッド・ブレイク/ジョヴァンニ・マンゾーニ)ミシェル・ファイファー(マギー)トミー・リー・ジョーンズ(スタンスフィールド)ディアナ・アグロン(ベル)ジョン・ディレオ(ウォーレン)

 

【解説】

ロバート・デ・ニーロ演じる元大物マフィア一家と現役マフィアとの対立を、製作総指揮マーティン・スコセッシ、監督リュック・ベッソンで描くクライムコメディー。FBIの証人保護プログラムのもとで偽名を使い、世界を転々とする元大物マフィアファミリーがマフィアの雇った殺し屋グループとの壮絶な戦いを繰り広げる。主人公の妻役にミシェル・ファイファー、一家を監視するFBI捜査官役でトミー・リー・ジョーンズが共演。一家が見せる豪快で息の合ったアクションはもちろん、スコセッシとデ・ニーロが組んだ『グッドフェローズ』をほうふつさせるシーンなども見どころだ。

 

【あらすじ】

フランスのノルマンディー地方の田舎町に引っ越してきたアメリカ人のブレイク一家。主人のフレッド・ブレイク(ロバート・デ・ニーロ)は元マフィアで、FBIの証人保護プログラムを適用されているため、一家は世界中を転々としながら暮らしている。そんなある日、フレッドに恨みを持つマフィアのドンが彼らの居場所を特定し、殺し屋軍団を送り込むが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

最初から派手な一家皆殺しのシーンで、どうなることかと思ったけど、リッック・ベンソン監督お得意のド派手なアクションと、個性豊かな俳優たちが織りなすコメディでした。

面白かったです。

 

FBIの証人保護プログラムのもとで偽名を使い、世界を転々とする元大物マフィアファミリー。

主人のフレッド・ブレイク(ロバート・デ・ニーロ)、本名ジョヴァンニ・マンゾーニ、妻のマギー(ミシェル・ファイファー)、娘のベル(ディアナ・アグロン)、息子のウォーレン(ジョン・ディレオ)。

 

保護するFBIのボスがスタンスフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)。

ジョヴァンニは、マフィアのボスやファミリーを壊滅状態になるほどの密告をしたらしい。

それで、マフィアの組織に追われていて、冒頭の一家皆殺しも間違った情報で殺し屋が起こした惨劇だった。

 

目立たないように市民にとけ込めと言われても、マフィアとして生きてきたジョヴァンニにはとても難しいこと。

先日もご近所トラブルで人を殺し、その町には住めなくなり、死体を持ったままでのノルマンディーの片田舎に引っ越して来たのだ。

 

古い家に落ち着いて、子供たちは学校へ、マギーはお買い物に出かけた。

彼らもまともに社会生活ができる人たちではない。

マギーは、気に入らないことがあるとスーパーを爆破してしまうというクセがあった。

 

それに引き換え、ウォーレンは策略家で、クラスメートを観察し、それぞれの弱みを握った。

ベルは、父親似にてかっとなったら暴力的、でも、素敵な非常勤講師に恋をしてしまった。

 

そんな一家が引き起こすひっちゃかめっちゃかの大騒動が面白い。

最後は居所がバレでマフィアの殺し屋がたくさん押しかけてきますが、この一家、ほとんどFBIの手を借りずにやっつけてしまいました。

 

そしてまた、さすらいの旅に。

こんな一家でも、家族愛は誰よりも強いのでした。

 

ロバート・デ・ニーロとトミー・リー・ジョーンズのやり取りは、まるで漫才みたいに面白いです。

 

おヒマなときに見てください。

 


円卓こっこ、ひと夏のイマジン

2014-07-08 12:28:38 | 映画ー劇場鑑賞

ー円卓こっこ、ひと夏のイマジンー

2014年 日本 1時間53

監督:行定勲 原作:西加奈子 キャスト=芦田愛菜(渦原琴子)伊藤秀優(ぽっさん)青山美郷(理子/真子/朋美)入江甚儀(森上)丸山隆平(ジビキ)八嶋智人(渦原寛太)羽野晶紀(渦原詩織)いしだあゆみ(渦原紙子)平幹二朗(渦原石太)

 

【解説】

大阪の団地で大家族と暮らすちょっぴり偏屈な小学3年生の少女のひと夏の成長を、ユーモラスに描いた感動作。「きいろいゾウ」などで知られる西加奈子の小説を、『世界の中心で、愛をさけぶ』など数々の話題作を放ってきた行定勲監督が映画化。人気子役の芦田愛菜が初めて映画で主演を務め、関西弁で毒づくなどこれまでのイメージを覆す新境地を開拓した。共演には八嶋智人、いしだあゆみ、平幹二朗、関ジャニの丸山隆平ら多彩な顔ぶれがそろう。

 

【あらすじ】

大阪の団地で祖父母と両親、そして三つ子の姉たちと暮らす小学3年生の渦原琴子、通称こっこ(芦田愛菜)は、大家族の温かな愛情に包まれながらいつも不満だらけで、孤独に憧れていた。家と学校という限定された世界の中でいろいろなことに悩み、考えるこっこは、祖父・石太(平幹二朗)が教えてくれたイマジンという言葉を胸に少しずつ成長していく。

 

【感想】

この作品を見て、こっこちゃんとそっくりな同級生がいたことを思い出しました。

小学生のあの子って、こんなんやったわー。

 

この作品はこの夏の一押しです。

オススメ!!

 

団地住まいの大家族の渦原家。

小学校3年生の琴子(通称こっこ)は、祖父・石太(平幹二朗)、祖母・紙子(いしだあゆみ)、父・寛太(八嶋智人)、母・詩織(羽野晶紀)、三つ子の姉・理子、真子、朋美(青山美郷)と暮しいてる。

リビングには大きな真っ赤な円卓が!!

円卓を囲んでみんなで食べる夕ご飯。

日本には少なくなってしまった風景ですね。

 

今の私たちには懐かしくても、こっこには当たり前なので、こっこは「こどく」に憧れている。

先生や友達が使う初めて聞いた言葉や、かっこ良く思う言葉をこっこはジャポニカの自由帳に書き込んで秘密にしていた。

 

吃音、めばちこ、在日韓国人、ボートピープル、みんなこっこには魅力的に思えます。

人と違うところがかっこいい。

マイノリティという発想がこっこにはないのです。

 

でも、ノートに「しね」と書いてはちぎって机に入れている同級生を見て、こっこは衝撃を受けます。

 

隣りに住む大親友のぽっさんの存在も素敵です。

そっと見守るおじいちゃんも。

そして英語好きのおじいちゃんが教えてくれた「イマジン」という言葉。

言葉に興味を持ち始めたこっこへの夏休みの宿題かな?

 

そして、みごとに「イマジン」を具現化したこっこの想像力、これは本物でしたね。

 

芦田茉奈ちゃんはいうまでもないことですが、他の子供たちも生き生きしているし、こっこの家族たちも温かい。

 

お子さんや家族で見るのもいいですが、昔子供だった大人の胸にもキュンと来る作品です。

 


her/世界でひとつの彼女

2014-07-08 11:56:21 | 映画ー劇場鑑賞

her/世界でひとつの彼女ーher

2013年 アメリカ 2時間6

監督・脚本:スパイク・ジョーンズ ホアキン・フェニックス(セオドア) エイミー・アダムス(エイミー) ルーニー・マーラ(キャサリン) オリヴィア・ワイルド(デートの相手)スカーレット・ヨハンソン(声の出演=サマンサ)

 

【解説】

『かいじゅうたちのいるところ』などの鬼才スパイク・ジョーンズが監督と脚本を手掛けたSFラブストーリー。人工知能型OSの声に惹(ひ)かれる主人公と、生身の女性よりも魅力的なシステムとの恋のてん末を描く。『ザ・マスター』などのホアキン・フェニックスが主演を務め、彼が恋心を抱く声の主を『マッチポイント』などの女優スカーレット・ヨハンソンが好演。近未来的な物語に息を吹き込む彼らの熱演が胸に響く。

 

【あらすじ】

近未来のロサンゼルスで、セオドア(ホアキン・フェニックス)は相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる代筆ライターをしていた。長きにわたり共に生活してきた妻キャサリン(ルーニー・マーラ)と別れ、悲嘆に暮れていた彼はある日、人工知能型OSサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会う。次第にセオドアは声だけで実態のない彼女の魅力のとりこになり……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

OSに恋する男の話と言ってしまえば、ちょっときもい感じがしますが、いろんなことを考えさせられる今風なお話でした。

 

幼なじみで結婚したセオドア(ホアキン・フェニックス)とキャサリン(ルーニー・マーラ)。

生き方の違いから、キャサリンは家を出て、離婚を申し出ていた。

セオドアはなんとなく承諾できず、ずるずると引き延ばしていた。

 

依頼主の思いを代筆するという仕事をしているセオドア。

でも、自分の思いは何一つ表現することができない。

自分の感情がなくなったのではないかとまで思う。

 

ある日、最新型のOS(声=スカーレット・ヨハンソン)を手に入れた。

OSはサマンサと名乗り、自分にカスタマイズして進化していくサマンサに引かれていき、恋にも似た感情を抱くようになる。

 

私はこの作品、現代人の心の空虚さと表現不足をよく表していると思いました。

隣人のエイミー(エイミー・アダムス)も、8年間連れ添った夫とささいなケンカで別れてしまいますが、こんなふうに人間と人間の結びつきが希薄なのです。

傷つきたくないから関係を切ってしまうのが、現代人のやり方。

子供も無く、経済的には自立しているので、困らないんですね。

 

でも、やはり一人では寂しい。

虚しい。

そこで自分にぴったりのOSの登場となるのです。

 

スカーレット・ヨハンソンのあのハスキーボイスじゃ、殿方はイチコロでしょうね。

ホアキン・フェニックスもいつもの濃いキャラクターを消して、普通の人を演じていました。

 

ラストはもちろん、ハッピーエンドとはいきませんが、グレードの高い作品になっていました。

 

渇き。

2014-07-08 11:19:05 | 映画ー劇場鑑賞

ー渇き。ー

2014年 日本 

監督=中嶋哲也 原作=深町秋生 キャスト=役所広司(藤島昭和)小松菜奈(加奈子)妻夫木聡(浅井)清水尋也(ボク)二階堂ふみ(遠藤那美)橋本愛(森下)國村隼(辻村医師)黒沢あすか(桐子)青木崇高(咲山)オダギリジョー(愛川)中谷美紀(東里恵)森川葵(長野)高杉真宙(松永)

 

【解説】

3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町秋生の小説「果てしなき渇き」を、『告白』などの中島哲也が実写化したサスペンスミステリー。謎の失踪(しっそう)を遂げた娘の行方を追う元刑事の父親が、いつしか思いも寄らなかった事態に引きずり込まれていく姿を活写する。名優・役所広司を筆頭に、『悪人』などの妻夫木聡、『ゆれる』などのオダギリジョーら、実力派が大挙して出演。中島監督ならではの鮮烈なタッチに加え、ヒロインに抜てきされた新人・小松菜奈の存在感にも注目。

 

【あらすじ】

品行方正だった娘・加奈子(小松菜奈)が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻から聞かされ、その行方を追い掛けることにした元刑事で父親の藤島昭和(役所広司)。自身の性格や言動で家族をバラバラにした彼は、そうした過去には目もくれずに自分が思い描く家族像を取り戻そうと躍起になって娘の足取りを調べていく。交友関係や行動を丹念にたどるに従って浮き上がる、加奈子の知られざる素顔に驚きを覚える藤島。やがて、ある手掛かりをつかむが、それと同時に思わぬ事件に直面することになる。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

このブログを楽しみにしてくださている方には、この映画はお勧めしません。

こういうふうに書いたのは初めてだと思いますが、この作品のいいところを発見することができませんでした。

 

私は中嶋哲也監督、結構見ています。

「下妻物語」は大好きだし、「嫌われ松子一生」なんて、衝撃的でした。

「パコと魔法の絵本」、「告白」も悪くないと思っています。

 

そして、この作品、スゴーク期待していました。

 

映画というものは、人間のある部分をドラマティックに見せるところが魅力だと思っています。

その映画の魅力に引かれて、こんなにもたくさんの映画を日々見ている私です。

でも、この作品に描かれていたのは人間ではなく、主人公の藤島(役所広司)はただのDVの中年男でした。

 

もっと違う結末があるかと最後まで希望を持っていたのですが…。

 

私の想像ですが、加奈子(小松菜奈)という娘をもっと前面に押し出していたら、この映画の見え方も変わったんじゃないかなあと、今は思っています。

加奈子は、ボーイフレンドがレイプされ自殺したことへの復讐のため、悪の組織に入り込んで、悪と闇を対立させて消し去ろうとしていたんですね。

これがこの映画の背骨です。

 

それにしても、いじめられていた少年はいじめられたまま死んでしまうし、加奈子に思いを寄せた人間はすべて死んでしまいます。

これでは、いくら社会悪にメスを入れても、犠牲者が気の毒過ぎて浮かばれないと思いました。

 

自分を慕ってくれた人の犠牲の変わりに、加奈子は何を得たのでしょうか?

加奈子の魅力がわからなかったし、浮き彫りになっているというわけでもないので、死んだ人が痛ましいです。

加奈子ってまるでドラッグのように描かれていただけ。

 

それに、誰の痛みもかまう事無く、ただ娘だけを追い続けている親父って、すごく残酷で身勝手じゃない?

そんなやり方で娘が救えると、彼は本気で考えていたのかしら?

 

妻夫木聡、オダギリジョー、中谷美紀など、豪華キャストですが、よくわからないまま終わってしまいました。

 

でもこれくらい世の中を騒がせるほどの賛否両論だと、中嶋監督は「してやったり」と思っているのかもしれませんね。