マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

キングダム/見えざる敵

2008-04-30 10:34:47 | 映画ーDVD
ーキングダム/見えざる敵ーTHE KINGDOM
2007年 アメリカ ピーター・バーグ監督 ジェイミー・フォックス(ロナルド・フルーリー)クリス・クーパー(グラント・サイクス)ジェニファー・ガーナー(ジャネット・メイズ)ジェイソン・ベイトマン(アダム・レビット)アシュラフ・バルフム(アル・ガージー大佐)アリ・スリマン(ハイサム軍曹)ジェレミー・ピヴェン(デーモン・シュミット米大使館首席公使)ダニー・ヒューストン(ギデオン・ヤング司法長官)リチャード・ジェンキンス(ロバート・グレイスFBI長官)カイル・チャンドラー(フラン)フランシス・フィッシャー(エレイン)

【解説】
4人のFBI捜査官が自爆テロ事件捜査のため、サウジアラビアに乗り込んで行く社会派アクション。FBIのスペシャリストたちがタイムリミットは5日という極限状態の中、地元警察と激しい攻防を繰り広げる。主演はオスカー俳優のジェイミー・フォックス。共演者も『カポーティ』のクリス・クーパーや『エレクトラ』のジェニファー・ガーナーら実力派ぞろい。手持ちカメラを駆使したドキュメンタリータッチの映像は必見。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
父母参観日に出席中のFBI捜査官ロナルド(ジェイミー・フォックス)の元に、サウジアラビアで自爆テロ事件が発生したと知らせが入る。彼は法医学調査官のジャネット(ジェニファー・ガーナー)や、爆発物専門家のグラント(クリス・クーパー)らとともに事件の調査を開始。しかし、FBIの捜査を拒むサウジ政府との交渉は難航し……。(シネマトゥデイ)

【感想】
けっこう、すごい作品だった。
硬派のいい作品だといえるのではないかな?

冒頭から、サウジアラビアのアメリカ人居住区で起きた大規模なテロ事件。
まず、テロリスが警察官に変装して、侵入、銃を乱射して人々に恐怖を与える。
「こっちですよ」と誘導する警官が自爆テロ。
さらにFBIが駆けつけ、現場検証を始めたところに車両が爆発、さらに犠牲者が増えた、と言う最悪の事態。

その様子を犯人たちはインターネットで世界に配信。
仲間を失ったアメリカ本国にいるFBI捜査官たちは、憤りを強くするが、国のトップは「それこそが彼らの狙いだ」と派遣を認めない。
捜査官が敵の手中に落ちることが恐ろしいのだ。

捜査官のロナルド(ジェイミー・フォックス)は、手を尽くして精鋭4人のメンバーとともにサウジアラビアに入国する許可を取る。

☆ネタバレ
サウジではアル・ガージー大佐(アシュラフ・バルフム)が、世話係としてついてくれる。
始めは反目していた二人だが、やがて、テロリストを憎み、正義を愛するもの同士、捜査にのめり込み、やがて、同じ父親として、人間的な交流も生まれる。

過激派のアジトを急襲し、後一歩でテロリストにたどり着くというところで、帰国命令が下る。
しかし、その車両に爆弾を積んだ車が暴走してきて、仲間のレビット(ジェイソン・ベイトマン)が拉致される。
国が一番怖れていたことが起こったのだ。
敵は、レビットをビデオカメラの前で処刑しようとしていた。

レビット奪還に向かった主人公たち。
過激派の住む町での激しい銃撃戦。
ここが、市街地だなんて信じられないような光景でした。
これは、アクション映画を越えていました。
戦争だー。

無事、レビット奪還に成功するのですが、最終的にみつけた犯人とは…。

老人と、女子供が住む、普通の家庭にテロリストの元締めはいて、ガージーは子供に背後から撃たれて息を引き取りました。

テロリストのおじいちゃんは亡くなる時に孫に耳打ちします。
「心配しないでいい。仲間が奴らを皆殺しにするから」

この言葉は、サウジに向かう時にロナルドがジャネット(ジェニファー・ガーナー)に囁いた言葉と同じでした。

正義とは何か、この作品は深く問いかけていたような気がしました。

報復の連鎖は広がるばかりで、止むということはないのでしょうか?


ギター弾きの恋

2008-04-30 10:31:49 | 映画ーDVD
ーギター弾きの恋ーSWEET AND LOWDOWN
1999年 ウディ・アレン監督 ショーン・ペン サマンサ・モートン ユマ・サーマン ウディ・アレン グレッチェン・モル アンソニー・ラパリア ブライアン・マーキンソン ジョン・ウォーターズ

【解説】
1930年代、シカゴ。派手で目立ちたがり屋のエメットは、才能に恵まれたジプシージャズのギタリスト。演奏が始まると誰もがうっとりとその美しい音色に聞きほれる。しかし、一方で彼は娼婦の元締めという顔をもち、女遊びにも目がなく、芸術家にありがちな破滅的な生活を送っていた。そんなある日、エメットはひょんなことから口のきけない娘ハッティと出会い、次第に愛するようになるのだが……。W・アレン監督、S・ペン主演。ジャズをふんだんに取り入れたラブ・ストーリー。(allcinema ONLINE)

【感想】
ウッディ・アレン監督作品。

短い間だったけど、一世を風靡して突然姿を消した伝説のギタリスト・エメット。
その生き様を、関係者の証言により綴った作品。

主人公のエメットをショーン・ペンが演じています。

不幸な生い立ちに加えて、盗癖、虚言癖、酒好き、派手好きという困った人物のエメットだが、ひとたびステージに上がり、ギターを弾き出すと、観客はうっとり夢見心地になってしまうという、天才ギターリスト。

自信家だけど、フランスのギターリストだけは敬愛して止まないという純粋なところもある。

ナンパにいって、口のきけないハッティ(サマンサ・モートン)と知り合う。

☆ネタバレ
このサマンサ・モートンがとてもかわいい。
いつもなんかをぱくぱく食べているけど、とてもけなげ。
エメットに邪険にされながらも、けなげに耐えて、彼を愛している。

でも、エメットはブランチ(ユマ・サーマン)という上流階級のゴージャスな女性と結婚してしまう。

でも、そんな結婚は長くは続かない。
エメットは傷心でハッティを訪ねるが、彼女はすでに結婚していた。

後悔先に立たず、失ったものの大きさに、彼はギターを叩き割って嘆くのだった。

美しいギターの音色に乗って、ウディの見せてくれた夢を楽しんだような作品でした。

神経衰弱ぎりぎりの女たち

2008-04-28 12:03:36 | 映画ーDVD
ー神経衰弱ぎりぎりの女たちーWOMEN ON THE VERGE OF A NERVOUS BREAKDOWN
1987年 スペイン ペドロ・アルモドバル監督 カルメン・マウラ フェルナンド・ギリェン フリエタ・セラーノ アントニオ・バンデラス ロッシ・デ・パルマ マリア・バランコ

【解説】
夜のマドリードの一角。そこのベンチにある一人の女性が腰を下ろした。彼女、ペパ・マルコスは不眠症に加え、妊娠の可能性にいらだっている上、何年も一緒に暮らしてきた男から突然別れ話を留守電に録音され、もうキレる寸前の状態だった。そんな訳で、彼女は男が20年以上も昔に付き合っていた中年女、ルシアのアパートの前までやって来て、窓からライバルの様子を覗き見しようというのだが……。(allcinema ONLINE)

【感想】
「オール・アバウト・マイ・マザー」「望郷<ボルベール>」のペドロ・アルモドバル監督の初期の作品。

いらつき女の話。

ペパ(カルメン・マウラ)は、10年来の恋人イバン(フェルナンド・ギリェン)からの別れ話を留守電で聞く。
一生懸命連絡を取ろうとするけど、居所がつかめず、怒りの頂点にあった。
あとで、わかるんだけど、ペパは妊娠していたのです。
まだ、打ち明ける前だったのに。
話をしなくちゃ!!

元妻ルシアのところだろうと当たりを付け、ルシアのマンションを一晩中見張る。

ルシアは、イバンに捨てられ、精神を病んで長年精神病院に入院していたが、最近出てきたばかり。
一人息子カルロスは(アントニオ・バンデラス)は、祖父母に育てられていた。

ルシアもまた、イバンの居所がわからず、ペパに嫉妬していらついていた。

ペパの友人カンデリャ(マリア・バランコ)は、テロリストと恋に落ち、航空機ハイジャックの共犯にされかかっていた。
ペパに助けを求めにやってくるが、ペパはそれどころではない。

ペパが、二人の思い出が詰まったこの部屋にはもう住めないと、貸しに出したのを聞きつけて、見学に来たのがカルロスとその恋人。

ペパは、カンデリャのために弁護士に会いに行くが、その弁護士こそ、イバンの逃避行の相手だった(というのが、後ほどわかる)。

ペパの部屋には、電話の修理人、テロリストを追いかけている刑事など次々に人が集まってきて、大混乱に。
とうとう嫉妬に狂ったルシアも乱入。
事の真相を知ったルシアは、刑事からピストルを奪い、「決着を付ける」とイバンのいる空港へ。

誰も、笑っていないけど、見ている方は大笑いです。

いらつき女たちと、振り回されて右往左往する男たちの大騒動。

色彩も独特で、とてもきれい。
舞台になっているペントハウスもとてもおしゃれ。
面白かったー。

ショーシャンクの空に

2008-04-28 11:41:33 | 映画ーDVD
ーショーシャンクの空にーTHE SHAWSHANK REDEMPTION
1994年 アメリカ フランク・ダラボン監督 スティーヴン・キング原作 ティム・ロビンス(アンディ)モーガン・フリーマン(レッド (エリス・ボイド))ウィリアム・サドラー(ヘイウッド)ボブ・ガントン(ウォーデン・サミュエル・ノートン)ジェームズ・ホイットモア(ブルックス・ヘイトレン)クランシー・ブラウン(バイロン・ハドリー)ギル・ベローズ(トミー・ウィリアムズ)マーク・ロルストン(ボッグス・ダイアモンド)

【解説】
妻とその愛人を射殺したかどでショーシャンク刑務所送りとなった銀行家アンディ。初めは戸惑っていたが、やがて彼は自ら持つ不思議な魅力ですさんだ受刑者達の心を掴んでゆく。そして20年の歳月が流れた時、彼は冤罪を晴らす重要な証拠をつかむのだが……。(allcinema ONLINE)

【感想】
もちろん、見たことがありました。
今回、また、貸してくださる人があり、何回目かの鑑賞になりました。

何回見ても、いい映画だなあ。
今回は、監督のコメンタリーまで、しっかり見ました。
コメンタリーは2004年のDVD発売を記念してつけられたもののようでした。
スタッフやキャストへの感謝の言葉で溢れていました。

この作品は、アカデミー賞にノミネートされたものの、受賞は逃しているのですね。
この年の受賞は『フォレスト・ガンプ/一期一会』。

コメンタリーの中でも、監督はCGの技術的なことに触れ、自分たちは予算もなく、これで精一杯だったのに、『フォレスト・ガンプ/一期一会』では、ゲイリー・シニーズの足をきれいに消していたことに感嘆していました。

『フォレスト・ガンプ/一期一会』もすばらしい作品だと思いますが、この作品は、じわじわと人の心に残っているところがすごいです。

アンディ(ティム・ロビンス)の生き方と、それを見守るレッド(モーガン・フリーマン)の友情が、より深い絆となって行く様子が、すごく自然に描かれています。

魅力は、なんといってもアンディの不屈の精神の美しさ。
一度は諦めた人生でも、気持ちを強く持って、どんな極限の状態でも、希望を失わず、ユーモアを持って行き抜く姿勢。
彼によって変わっていく囚人たち。
レッドは、自分の人生まで変えることができたのです。
真の更正とは、こういうことをいうのですね。

それを、体現したティム・ロビンスの演技力と、モーガン・フリーマンの包容力。
ティムの、気弱そうなひょうひょうとしたところが、悲壮さを強調しすぎず、成功していました。

胸のすくようなどんでん返し。
感動のラストは、ほんとうに素敵。
レッドとともに、笑みがこぼれます。

これは、名作だー。


最高の人生の見つけ方

2008-04-26 12:59:21 | 映画ー劇場鑑賞
ー最高の人生の見つけ方ーTHE BUCKET LIST
2007年 アメリカ ロブ・ライナー監督 ジャック・ニコルソン(エドワード・コール)モーガン・フリーマン(カーター・チェンバーズ)ショーン・ヘイズ(トマス)ビヴァリー・トッド(バージニア)ロブ・モロー(ホリンズ医師)

【解説】
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演で描く、死を意識した初老男性2人の希望に満ちた余生を描く人間讃歌。病室で知り合った2人が意気投合し、“やりたいことリスト”に基づき、残りの人生を生き生きと駆け抜ける。感動ストーリーをさわやかなユーモアで描き切ったのは、『スタンド・バイ・ミー』の名匠ロブ・ライナー。いぶし銀の演技を見せる2人の名優の友情とすがすがしい笑顔に、思わずほろっとさせられる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
仕事に人生をささげた大富豪エドワード(ジャック・ニコルソン)と、家族のために地道に働いてきたカーター(モーガン・フリーマン)は、入院先の病室で知りあった。共に余命は6か月。やりたいことをすべてやり尽くそうと決意し、無謀にも病院を脱出。“やりたいことリスト”を手に、さまざまなことに挑戦する。(シネマトゥデイ)

【感想】
試写会のチケットを友達から譲ってもらって行ってきました。

ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンで、この二人が最高の人生の見つけ方を教えてあげようと言うんだから、見て間違いのない映画でしょう。
太鼓判です!!

余命6ヶ月と宣告されたエドワード(ジャック・ニコルソン)とカーター(モーガン・フリーマン)が病院で同室になった。
ここは、大富豪エドワード所有の病院。
彼の「病院はリゾート施設ではない。1室2ベッド、例外はない」というモットーの、皮肉な結果でした。

いくら大富豪であろうと、労働者階級であろうと、病気と死はあまねく平等。

この悲劇を乗り切るべく、二人はやりたいことを箇条書きにした「棺おけリスト」を作成。
これをやりとげることを目的に狭い病室から、旅立ちました。

☆ネタバレ
まず、始めにスカイダイビング。
ほんとうに、この2大スターが空を飛んだのかなあ。
なかなか臨場感溢れる楽しいシーンでした。

次はレース場を借り切っての自動車レース。
二人の子供みたいな表情が楽しい。

この旅を通じて、二人は無二の親友となり、心を通わして行くのですが、とうとう旅の終わりにけんか別れをしてしまいます。

家族に迎えられ、温かい家庭で幸せをかみしめるカーターとは反対に、豪華だけど、ひとりぼっちの家に帰って孤独を思い知らされるエドワード。

そこからは、エドワードに宛てたカーターの手紙で、エンディングへと導かれて行き、この映画のエッセンスが凝縮されていて珠玉です。

場内からもすすり泣きが聞かれ、私もあわや落涙というところで、エドワードのユーモアに助けられました。

人は、やってきたこと以上のものは、得られないんだよね。
だから、今を大切に、やるべきことをやろう。
こんな当たり前のことを、しみじみ考えさせられました。

エドワードの秘書のトマス(ショーン・ヘイズ)。
とても、いい感じです。
濃ーい二人の間で、自然体でサポートしてくれて、こういう秘書がいるエドワードは、本質的に魅力ある人物なんだなあと思いました。

カーターの妻(ビヴァリー・トッド)も、心配しながらも見守っていて、寂しかったでしょうが、よく耐えてあげたと思いました。

見てね!!

ファクトリー・ガール

2008-04-26 12:55:26 | 映画ー劇場鑑賞
ーファクトリー・ガールー FACTORY GIRL
2006年 アメリカ 
ジョージ・ヒッケンルーパー監督 シエナ・ミラー(イーディ・セジウィック)ガイ・ピアース(アンディ・ウォーホル)ヘイデン・クリステンセン(ロック・スター)ジミー・ファロン(チャック・ウェイン)ショーン・ハトシー(シド・ペパーマン)ミーナ・スヴァーリ(リッチー・バーリン)ベス・グラント(ジュリア・ウォーホル)イレーナ・ダグラス(ダイアナ・ヴリーランド)エドワード・ハーマン(ジェイムズ・タウンゼント)ジャック・ヒューストン(ジェラード・マランガ)アーミン・アミリ(オンディーヌ)タラ・サマーズ(ブリジット・ポーク)メレディス・オストロム(ニコ)

【解説】
ポップ・アートの旗手アンディ・ウォーホルのミューズとして知られ、今もファッションやカルチャーに影響を与えるイーディ・セジウィックの波乱の人生を描く伝記映画。1960年代のポップ・アイコンとなり時代の光と影を体現した彼女を、『カサノバ』のシエナ・ミラーが熱演する。ウォーホルにガイ・ピアース、イーディの心を動かしたロックスターにヘイデン・クリステンセンがふんする。1960年代モードの頂点にあったイーディのファッションも見どころだ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
1965年、名門令嬢のイーディ・セジウィック(シエナ・ミラー)は、ポップ・アートの旗手アンディ・ウォーホル(ガイ・ピアース)と出会う。瞬く間にウォーホルを魅了した彼女は、彼の“ファクトリー”でも中心的存在になってゆく。その美ぼうと圧倒的存在感でメディアの注目を浴びるようになったイーディは、時代のミューズとなる。(シネマトゥデイ)

【感想】
 アンディ・ウォーホル(ガイ・ピアース)

アンディ・ウォホール、作品はいろいろ目にしたこともありますが、その人となりは知らなかったので、興味がありました。
アンディ・ウォーホールのファクトリーで、時代のミューズとなったモデルのイーディ・セジウィックの短い生涯の物語。

 アンディ・ウォーホールのファクトリーの仲間たち

物語は、名門出身の画家志望のモデルイーディ・セジウィック(シエナ・ミラー)が、アンディ・ウォーホル(ガイ・ピアース)のファクトリーと呼ばれるアトリエに出入りし、マスコミにセンセーショナルに取り上げられ、当時のアイコンとして華々しくスキャンダラスな存在となって行く様子を、ドキュメンタリー風に描いて行きます。

 運命の人ビリー(ヘイデン・クリステンセン)と出会う

クスリを覚えて、アンディの言うなりに映画に出演し、傷ついたり、人気フォーク歌手ビリー(ヘイデン・クリステンセン=どうみてもボブ・ディランでした)との恋愛にも破れ、どんどん病んで行く様子が克明に描いているのですが、彼女に感情移入するところまではいきませんでした。

旧家・名門と歌われた名家の出身だけど、父親の個性に押しつぶされそうな兄弟たち。
それを、まったくかばってくれない母親。
そんな、仮面家族の元を離れ、アートに生きようとしたイーディ。

アンディは時代の寵児だけど、孤独僻の変人で、マザコン。
イーディは彼のアート性、進歩性だけを盲目的に支持し、ひちすらついて行こうとする。
運命の恋人にもめぐり会うんだけど、結局アンディを捨てきれず、アンディに捨てられて、クスリで身を滅ぼして行く。
イーディの生き方が、お利口ではなかったと言ってしまえばそれまでの話でした。

でも、この映画の作り方が薄っぺらなだけで、アンディやボブ・ディラン、ミック・ジャガーに愛されたイーディは、魅力的な女性だったと思うのですが。

華やかな世界から身を引き、施設で治療した後、退院して結婚もしたそうですが、最終的にはクスリの過剰摂取で、28歳の若さで亡くなったそうです。

アメリカ社会を蝕むクスリの悲劇。
ここのところ、こういう映画が多いなあ。

地上5センチの恋心

2008-04-26 12:46:22 | 映画ー劇場鑑賞
ー地上5センチの恋心ーODETTE TOULEMONDE
2006年 フランス/ベルギー エリック・=エマニュエル・シュミット監督 カトリーヌ・フロ(オデット・トゥールモンド)アルベール・デュポンテル(バルタザール・バルザン)ジャック・ウェベール(オラフ)ファブリス・ミュルジア(ルディ)

【解説】
『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』の原作者エリック・エマニュエル・シュミットが初監督した大人向けラブ・コメディー。平凡な主婦に訪れる夢のような出来事を小粋にみせる。前向きな主人公を演じるのは『女はみんな生きている』のカトリーヌ・フロ。彼女のあこがれの小説家を『ロング・エンゲージメント』の名優アルベール・デュポンテルが演じている。ある女性の“慎み深さ”が起こす小さな奇跡に息をのむ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
10年前に夫を亡くしたオデット(カトリーヌ・フロ)は、女手一つで息子(ファブリス・ミュルジア)と娘(ニナ・ドレック)を育ててきた。昼間は百貨店勤務、夜は羽飾りの内職で忙しい彼女の唯一の楽しみは大ファンの作家バルタザール(アルベール・デュポンテル)の小説を読むこと。ある日、彼女はあこがれの作家のサイン会に出かけるが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
ちょっともたもたした感じはあったけど、中年女性のかわいさとけなげさが、ちょうどいい感じの作品でした。

原題はオデット・トゥールモンド(次の朝)という変わった名前の主人公。
ゲイで美容師の息子のルディ、いつも仏頂面で、役立たずの恋人まで連れ込んでいる娘と同居。
10年前に夫を亡くし、デパートの化粧品売り場で働いている。

決して裕福でもないし、子供たちも問題を抱えているのに、オデットは満ち足りた気持ちで暮らしていました。
それは、流行作家のバルタザールが書く小説にはまり込んでいたから。

その憧れのバルタザール様が、彼女の住む町の近くまでサイン会にやってきた!!
仕事を半日休んで、おしゃれをして、心ときめかしていそいそ出かけるオデット。

でも、いざ彼の前に立つと、手は勝手に動くし、名前を聞かれても口が動かない。
オデットが言えなくて「デット(借金)」とサインしてもらう始末。

落ち込むオデット。
息子が優しく「手紙を書いたら?」と薦めてくれた。

ここから、ほとんどファンタジーのような出来事。
私生活では最悪の状態にあるバルタザールが、彼女の手紙に感動して、彼女の家にやってきて、しかも住み着いてしまうのです。

この顛末や如何に?

というのは、是非、見ていただきたいのですが…

それにしても、女性ってかわいいですよね。
私も、オデット気持ちは痛いほどわかります。
憧れのバルタザール。
辛い時に心の支えとなってくれて、彼のお陰で生き延びてきた、本当に大切な存在。

でも、現実に現れたら、ただの男。
心は月へも届く思いですが、受け入れるかどうかと言えば、そんなに簡単ではありません。

オデットの生き方は素敵です。
決して頑張らないんだけど、人生で幸せになるための術を知っているんですね。
幸せは、お金でもモノでもない、歌と踊りと前を向く勇気だよねー。

ジョセフィン・ベイカーの歌に乗って、かってに動き出すオデット。
それに子供たちも合わせて踊る姿は、おかしいんだけど、泣けてきました。
ああ、こうやってオデットは辛い時期を、幼かった子供たちとともに乗り越えてきたんだなあって。

それとは別に、ルディーのバナナの腰巻き、涙が出るほどおかしいです。

でも、これ、ジョセフィン・ベイカーの逸話から来ているようです。
「黒いヴィーナス」の異名を取るジョセフィン・ベイカーはフランス国籍をとり、フランス軍にも在籍、その功労により、レジオン・ドヌール勲章も貰っている人だそうです。
オデットが心酔している理由もわかりますね。

謎の人物ーイエスさん。
彼は、たぶんオデットの心の中を暗示しているものだと思うのですが、ちょっと中途半端な感じでした。

まあ、ラストは賛否両論があるでしょうが、ハッピーエンドでよかったんじゃないでしょうか?

大いなる陰謀

2008-04-24 10:40:29 | 映画ー劇場鑑賞
ー大いなる陰謀ーLIONS FOR LAMBS
アメリカ
ロバート・レッドフォード監督 ロバート・レッドフォード(マレー教授)メリル・ストリープ(ジャニーン・ロス記者)トム・クルーズ(アーヴィング上院議員)マイケル・ペーニャ(アーネスト)デレク・ルーク(アリアン・フィンチ)アンドリュー・ガーフィールド(トッド・ヘイズ)ピーター・バーグ(ファルコ中佐)

【解説】
ロバート・レッドフォードが7年振りにメガホンをとり、レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズとオールスターキャストが勢ぞろいし、アメリカの対テロ政策の裏を描く感動的な群像ドラマ。政治家とジャーナリストの間で繰り広げられるサスペンスフルな展開に、戦場でのドラマ、大学教授と無気力な生徒のやりとりが複雑に絡み合う。戦争や生死の意味という根源的な問題への、レッドフォードのアプローチに注目したい。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
未来の大統領とも目される上院議員のアーヴィング(トム・クルーズ)は、テレビジャーナリストのロス(メリル・ストリープ)に最新の戦略についての情報をリークする。そのころ、大学教授マレー(ロバート・レッドフォード)の教え子(デレク・ルーク、マイケル・ペーニャ)は、兵士としてアフガニスタンの雪山でその戦略のひとつに携わっていた。(シネマトゥデイ)

【感想】
陰謀と言うから、もっと裏で行われる権力闘争のことかと思いました。
全然違っていました。
だから、原題の「LIONS FOR LAMBS」の方がいいと思うけど、この言葉の言わんとするところがわかりません。

未来の大統領をめざす野心家の上院議員のアーヴィング(トム・クルーズ)がテレビジャーナリストのロス(メリル・ストリープ)に持ちかけた大スクープ。
それは、かつて、アーヴィングを若手の政治家として誉めた、ロスの記事の苦い思い出にもつながっている。
今回のこの大スクープ、言いなりに書くべきなのか、自分の考えを加えて批判すべきなのか。

大学教授マレー(ロバート・レッドフォード)は、優秀だが最近はとみにやる気が失せてしまった無気力な学生トッド(アンドリュー・ガーフィールド)と面談をしていた。
彼に、ある学生がやり残したプランを継続してみないかと持ちかける。
志願兵としてアフガニスタンの作戦に加わったアーニーとアーリアン(デレク・ルーク、マイケル・ペーニャ)の話をするために。

記者のロスといい、マレーといい、かつてはベトナム戦争反対と、若い時には威勢良く体制批判をした世代です。
それが、とくに9.11以来、アフガニスタン侵攻、イラク戦争という流れを止められずにいる。
そして、自分たちの無力感を、もういい加減にどこかで何かをしないいけない、という危機感を感じている人たちの代表ではないでしょうか。

報道と教育、たぶん、この作品をつくった人たちはそれがキーポイントだと考えているのでしょう。
まさに、レッドフォードその人。



志願兵してい戦地に赴いた青年は、アフリカ系とメキシコ系。
とても優秀で、自力で大学や大学院へ進む力があっても、経済的な心配はつきまとうし、さらに上を目指すには英雄的な行いも必要になってくる。
マイケル・ムーアの「華氏911」を思い出しました。
貧しい街の青年が志願兵としてイラクへおくられていました。
そして、上院議員の息子はもちろん戦場へは行かないのです。

上院議員のアーヴィングはいみじくも、「僕は歩兵経験はない、幹部候補生だったからね、僕の優秀さを恥じろというの?」という。
そして、机の上で作戦を立て、実行するのは志願兵という構図。

教授とアーニーたちが会話しているのを聞いていて、涙が出ました。
青年らしい、まっすぐな主張を貫く青年たち。
困惑し、引き止める教授。

そして、この悲しすぎる結末ー

さて、この映画をどう見るか?

いっこうに出口の見えないイラク情勢。
折しも、大統領選挙が近づいて、日本にもそのニュースがたくさん入ってきます。
ヒラリーさん、ペンシルベニアでは大勝利。
でも、民主党が激しく争って、内部に亀裂を残したら、案外共和党の勝利ということになるかもしれないしね。

多くの人は教授の面談を受けているトッドの立場でしょう。

問題があることはわかっているけど、自分たちの手は汚したくない。

トッドは変われるのかー。
国民は変われるのかー。

そして、世界のことはなにもかもアメリカに丸投げの日本は、傍観者の顔で、まだまだどこまでもついて行くのでしょうかね?

モンゴル

2008-04-24 10:30:27 | 映画ー劇場鑑賞
ーモンゴルーMONGOL
2007年 ドイツ/カザフスタン/ロシア/モンゴル セルゲイ・ボドロフ監督 浅野忠信 スン・ホンレイ アマデュ・ママダコフ クーラン・チュラン

【解説】
『ベアーズ・キス』のセルゲイ・ボドロフ監督が、モンゴルを統一したチンギス・ハーンの人生を壮大なスケールで描いたエンターテインメント超大作。カザフスタン、ロシア、ドイツ、モンゴルの4か国による合作で、主演のチンギス・ハーンに抜てきされた浅野忠信は、全編モンゴル語での撮影や乗馬による合戦シーンなどに挑戦した。全世界規模での公開や第80回アカデミー賞外国語映画部門にノミネートされたことで話題を呼んでいる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
モンゴル遊牧民族の長イェスゲイの長男として生まれたテムジン(浅野忠信)は、妻ボルテとの出会いやライバルであり戦友のジャムハとの友情を通し、王と呼ばれるにふさわしい一人前の男に成長する。父の死後部族の長となったテムジンは、モンゴルを統一すべく、部族間の激しい戦いに身を投じていく。(シネマトゥデイ)

【感想】
アカデミー賞の外国語映画部門のノミネートされた作品。
惜しくも受賞は逃しましたが。

なんで、全編モンゴル語の映画に浅野忠信なのか?という大きな疑問がありました。
でも、彼のカリスマ性が、その理由だったんですね。

時は12世紀中頃から13世紀頃です。
日本では、同世代の義経の運命と重ねて見るのも一興ではないでしょうか?

どこまでも続く砂漠や、ゴロゴロした岩だらけの山。
冬には、雪で覆われる大地。
カメラは大自然を捉え、そのなかで人間はとてもちっぽけな存在です。

モンゴルの厳しい自然の中で、まるで奇跡のようにテムジン(浅野忠信)は生き延びるのです。

9歳の時に選んだ妻、たとえ敵に略奪され、敵の子供を身ごもっていようと、テムジンとポルテは信頼しあい、慈しみあう、運命の夫婦として描かれていました。

村が小さかったり、生活感が乏しかったり、急にたくさんの兵士が現れたりと、少し不自然な感じがするし、テムジンも急に大きくなったり、突然いい人に助けられたり、牢屋から脱走してすぐに大兵団を組織して闘って勝ったり、物語の展開が唐突で甘い感じもします。

だから、史実としてみるよりも、部族争いに明け暮れていたモンゴル族に誇りを与え、心をひとつにして、元という大帝国を築き上げた、偉大なる王チンギス・ハーンの、神格化された物語としてみるのが正解だなあと思いました。

牢屋に閉じ込められているテムジン=浅野さんの、幽鬼のような顔は一見です。

ご本人もインタビューで答えていましたが、本当に、大変な撮影だったと思います。
役者魂を感じました。

音楽も印象的でした。

火を囲んでみんなで口づさんでいたメロディ、お経に似ていました。

ぼくたちと駐在さんの700日戦争

2008-04-23 09:10:05 | 映画ー劇場鑑賞
ーぼくたちと駐在さんの700日戦争ー
2008年 日本 監督=塚本連平 原作=ママチャリ 市原隼人(ママチャリ)佐々木蔵之介(駐在さん)麻生久美子(加奈子)石田卓也(西条)加冶将樹(孝昭)賀来賢人(グレート井上)脇知弘(千葉くん)冨浦智嗣(ジェミニー)小柳友(辻村さん)豊田エリー(美奈子さん)成嶋こと里(前園ミカ)倉科カナ(和美)水沢奈子(井上夕子)宇田学(-)森崎博之(寺島先生)坂井真紀(白井恭子先生)根岸季衣(バーバー吉田のばばあ)志賀廣太郎(神主)ガッツ石松(孝明の父)安藤玉恵(孝昭の姉)片桐はいり(みどり屋のおばちゃん)酒井敏也(電気屋のおじさん)宮地雅子(看護婦さん)掟ポルシェ(花火師)石野真子(たみ子)竹中直人(親方)

【解説】
1970年代の田舎町を舞台に、7人の高校生と地元の駐在さんが繰り広げるイタズラ戦争を描く青春コメディー。実話を基にした“半”フィクションのブログ小説を、「時効警察」で演出と脚本を担当した塚本連平がスピード感あふれる演出で映像化した。主人公のママチャリを『チェケラッチョ!!』の市原隼人、彼らと対峙(たいじ)する駐在さんを『間宮兄弟』の佐々木蔵之介が演じる。イタズラをテーマにした奇想天外な発想、熱い青春の情熱に笑って泣けるそう快作。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
ある田舎町に、平凡だが発想はピカイチのママチャリ(市原隼人)、女の子みたいな外見のジェミー(冨浦智嗣)、武闘派でエロ担当の不良リーゼントの西条くん(石田卓也)、開業医の長男で恋愛担当のグレート井上(賀来賢人)たち7人の高校生がいた。彼らは近所の駐在さん(佐々木蔵之介)とイタズラ戦争に明け暮れ、青春を謳歌していた。(シネマトゥデイ)

【感想】
面白かったー!!
劇場内は、笑いっぱなし。
こんな映画も珍しいわ。
そして、最後はしんみり。
いい映画でした!!



高校生にもなって、イタズラばかりしている集団(市原隼人・石田卓也・加冶将樹・脇知弘・冨浦智嗣)は、どうかと思うけど、実に楽しい仲間です。
それにいちいち答えて反応する駐在さん(佐々木蔵之介)は、いい人だなあ。
彼らを取り巻く大人たちも個性派ぞろい。

イタズラだけど徹底的にやり遂げる彼らの無駄な努力と情熱と、うまく織り込まれるエピソード。
いつしか、育まれる駐在さんとの連帯感など、自然に展開していきました。

とにかく、頭を空っぽにして楽しめる映画でした。