マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

万引き家族

2018-06-27 11:58:00 | 映画ー劇場鑑賞

ー万引き家族ーSHOPLIFTERS

2018年 日本 120分

 

監督-是枝裕和 音楽=細野晴臣 キャスト=リリー・フランキー (治) 安藤サクラ (信代) 松岡茉優 (亜紀) 城桧吏(祥太) 佐々木みゆ(じゅり/りん) 樹木希林(初枝) 池松壮亮 緒方直人 森口瑤子 柄本明 高良健吾 池脇千鶴

 

【解説】

『誰も知らない』『そして父になる』などの是枝裕和監督による人間ドラマ。親の年金を不正に受給していた家族が逮捕された事件に着想を得たという物語が展開する。キャストには是枝監督と何度も組んできたリリー・フランキー、樹木希林をはじめ、『百円の恋』などの安藤サクラ、『勝手にふるえてろ』などの松岡茉優、オーディションで選出された子役の城桧吏、佐々木みゆらが名を連ねる。(シネマトゥデイ)

 

【あらすじ】

治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

カンヌ映画祭第72回(2018年)パルムドール賞受賞作品。

是枝裕和家督は以前にも「誰も知らない」で柳楽優弥が主演男優賞を、「そして父になる」で審査員賞を受賞していて、カンヌのお気に入りという感じです。

でも、「誰も知らない」は後味がすごく悪かったし、「そして父になる」もモヤモヤしたものが残りました。

最近、DVDで「三度目の殺人」を見て、私にはお手上げという感じがしていました。

 

この作品、そういうわけで「見たい」と思ってみたわけではなかったのですが、さすがにトップの賞を取った作品。

いろいろすごくて、うーんと唸ってしまいました。

 

日本だけではなく、世界のいろんな国が抱えている社会問題。

それを欲張り過ぎるほど抱え込んで、エンタメ作品として仕上げたもの。

これはすごいです。

 

是枝さんの追求する家族とは何かの問いかけ。

ますます鋭くなっていますね。

 

家族のふりをしているけど、自分のことしか考えない。

心配したり、愛したりしているふりをしているけど、嘘ばかり。

 

では、この家族はどうでしょう。

おばあちゃん(樹木希林)と、姉夫婦(安藤サクラ、リリー・フランキー)と、妹(松岡茉優)。

姉夫婦には、小学生(行っていないけど)の祥太(城桧吏)ともう一人妹(佐々木みゆ)ができました。

薄着で傷だらけで寒いのに家の外にいたりん。

どうやら親から虐待を受けている様子。

父と祥太についてきてしまった。

そして、帰りたがる気配がない。

お母さんが「身代金も要求していないから誘拐ではない」と言って家に置くことになりました。

 

物語は祥太の目を通じて語られます。

思春期を迎えつつある祥太は実に繊細。

りんに優しくする父に嫉妬してみたり、万引きや窃盗についても心が揺らぎます。

 

一家では唯一の年金という安定収入のあるおばあちゃんが亡くなりました。

あろうことか、一家はおばあちゃんの遺体を床下に埋めてしまいます。

そして年金横取り。

 

ある日、りんの万引きが見つかりそうになり、祥太が身代わりに捕まって、怪我までしてしまった。

一家のことを怪しんだ警察に捕まり、この一家の正体が暴かれることに。

 

この一家は血縁で繋がっていたのではなかった。

では、この家族は何で繋がっていたのか?

お金?

最初はお金だった。

 

でも、りんを引き取ったのは?

 

家族ってなんだろう。

人は家族に何を求めているのだろう。

 

父の治の本名は祥太だった。

自分の名前を拾ってきた子供につけたのだ。

治は祥太(自分)の父になりたかったのか?

 

信代は尋問する警察官に「なんと呼ばれたかったのか」と聞かれ、絶句し、涙が溢れます。

このシーンが一番心に焼き付けられるし、秀逸です。

カンヌ映画祭の審査員をしていたケイト・ブランシェットも絶賛していたシーンです。

 

もっとも心配なのはりんことじゅりちゃんです。

行方不明になっても捜索願も出されず、DVの夫に耐えている母親からは、これからも愛してもらえそうにはありませんから。

今日も一人ぼっちで団地の玄関の狭いスペースで遊ぶりんちゃん。

この子はどんな風に育つていくのでしょう。

 

治や信代のように、世の中に背を向けて生きていく道しかないように思いました。

 

それでも、人はつながり生きていきたいものなのです。

信代が出所したらこの家族、また集まって都会の片隅で暮らしていそうな気がします。

それが祥太やりんの幸せのような気もします。





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