マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ペルシャ猫を誰も知らない

2012-04-30 08:35:27 | 映画ーDVD

ーペルシャ猫を誰も知らないーNO ONE KNOWS ABOUT PERSIAN CATS

2009年 イラン

バフマン・ゴバディ監督 ネガル・シャガギ(ネガル)アシュカン・クーシャンネジャード(アシュカン)ハメッド・ベーダード(ナデル)

 

【解説】

『亀も空を飛ぶ』などのイランのクルド人監督、バフマン・ゴバディが初めて故郷クルドを離れ、大都市テヘランを舞台に描く青春音楽映画。ポップ音楽の規制の厳しいイランで、さまざまな苦労をしながら音楽活動に情熱を傾ける若者たちの日常をゲリラ撮影で切り取る。主演の二人をはじめ、出演者には実在のミュージシャンたちが名を連ねている。ロックやフォーク、ヘビーメタルにラップなどの素晴らしい才能が眠るイランの多様な音楽シーンに驚嘆する。

 

【あらすじ】

ネガル(ネガル・シャガギ)とボーイフレンドのアシュカン(アシュカン・クーシャンネジャード)は、テヘランでバンドを組んでいた。だが、音楽の自由のないイランでインディー・ロックを続けることに限界を感じていた二人は、ロンドンで演奏したいと夢見るようになる。何よりも国外に出るためにはアシュカンのパスポート取得が先決で……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「別離」のアスガー・ファルハディ監督の作品では、思ったより開けているイランの現状を見ましたが、この作品は思った通りって感じでした。

 

ドキュメンタリー風に描かれるテヘランの町。

最初にちらっと、救急車で運ばれる青年の姿。

これと、最後のシーンがつながって、映画らしく見せていますが、内容は起伏が少なく、ネガル(ネガル・シャガギ)とボーイフレンドのアシュカン(アシュカン・クーシャンネジャード)が、事情通のナデル(ハメッド・ベーダード)の世話で、バンドのメンバーを探す中で出会う、インディーズのミュージシャンの紹介のような作品です。

しかも、無許可でゲリラ撮影で行い、発表してからは監督と主役たちは本国に帰っていないそうです。

帰ったら、逮捕ですって。

 

イランでは、CD製作もライブ活動も当局の許可がいるようです。

でも、申請しても許可はおりない。

とにかく、西洋的なものはダメらしいです。

コンサート会場で400人もの逮捕者が出たと、最初に関係者がいいます。

でも、若者が音楽をやりたいという欲求は、止められるものではありません。

 

ネガルとアシュカンのカップルも音楽に熱意を持っています。

そして、紹介されるバンドもなかなかレベルが高いです。

ペルシャ・ラップには反体制の怒りも感じました。

民族音楽的なものもステキでした。

妙に心魅かれるダンスもありました。

これを世界に発信するのは、イラン政府から見たら、なぜかすごく困ることなんですね。

 

それにしても、たかが音楽くらいでこの騒ぎ、と思ってしまいます。

 

驚いたのは犬。

犬も家から連れて出たらいけないそうです。

ネガルが当局に取り上げられた犬、どうなったのか、その結果を言ってくれないので、いまだに心配です。

 

それよりなにより人間です。

怪我をしたのはアシュカン、ナデルも逮捕されたし、ネガルも謎の倒れ方。

もやもやとした終わり方でした。

 

イランって、今をときめくダルビッシュ有のお父さんの出身地ですね。

才能ある人たちが多い国なのでしょう。

ペルシャとも呼ばれ、世界でも早い時代に花開いた歴史ある都市。

なにが、イランの社会をこのように暗いものに変えたのでしょう。

 

イスラム文化って、かつては世界史や世界地理の主流であることを誇っていたのに、いつからか、なにか頑に、人を苦しめてばかりの印象になってしまっているのが残念です。

宗教も政治も、生きにくいこの世の中を正し、人々が共に生きることを大切にするためにあるのではないのかなあ。

それは、音楽の力にも共通することでしょう。

私はそう信じたいです。

そうでないと、人類に未来はないわ。

 


文楽「加賀美山旧錦絵」

2012-04-28 09:15:24 | 舞台

ー文楽「加賀美山旧錦絵」ー国立文楽劇場

 又助住家の段
 草履打の段
 廊下の段
 長局の段
 奥庭の段

 

☆主な出演者

竹本住大夫 竹本源大夫 鶴澤寛治 鶴澤清治 吉田簑助 吉田文雀 ほか

 

文楽は、我が国の重要無形文化財で、世界無形遺産に登録されていています。

音楽的な語りで物語が語られ、無表情な人形遣いが人形を動かして、その物語を表現するという演劇形態です。

その三位一体が、文楽の芸術性を高めています。

義太夫、三味線、人形遣い、そして人形たちが創りだす世界観は、他に類を見ない独特なものです。

 

それなのに、人形を使うため、子供から大人までとてもわかりやすく、ストーリーも日本的でシンプルです。

字幕で語りが紹介されていました。

ますますわかりやすかった。

 

今回の「加賀美山旧錦絵」は女忠臣蔵ともいわれている演目ですが、果たして…!!

 

「又助住家の段」は、長いお話の前半の結末でした。

でも、このお話そのものを知らないので、主人公だと思っていた鳥居又助やその子又吉、妻のお大までが悲劇の最期を遂げてしまうので、これからどうなるのかと不安に思いました。

この前の段では、又助が主人求馬(もとめ)のためと思い、政敵を殺したと思っていたのが、実は、その政敵の謀で、なんと主君を殺めていたのです。

そうとは知らない又助と求馬の元へ、その事実を知らせに家老がやってきて、この悲劇が起こるという筋書きです。

 

前の段から演じるには、時間が足りないのでしょうね。

江戸時代の文楽は、朝から晩まで上演されていたようです。

芝居茶屋があって、途中で休憩したり。

今の相撲見物を考えたら、想像しやすいでしょう。

興行期間が決まっていて、朝から取り組みがあるし、お茶屋さんが仕切って枡席なんかにお弁当を用意したり、それがもっと賑やかだったはずです。

 

次から続く「草履打の段」「廊下の段」「長局の段」「奥庭の段」が、国元のお屋敷で起きるお家騒動のお話でした。

 

この後半の主人公が桐竹勘十郎さんが操られる召使いのお初という人形です。

「廊下の段」から登場して、最後は髪振り乱しての大立回り。

女性ながら、忠君の功を上げるお話です。

義太夫さんの熱演、勘十郎さんの冷静な横顔、人形の感極まったような演技。

文楽の魅力を十分伝えて、あまりある出し物でした。

様式美として、完成された舞台だと思いました。

 

人形が本当に美しく、また、人間ではあり得ないような動きをするので、驚きに満ちています。

舞台装置も美しくて、情感たっぷりでした。

 

せっかく大阪に住んでいるんだから、もっと気軽に見に行きたいと思いました。


劇団☆新感線「シレンとラギ」

2012-04-27 11:00:04 | 舞台

ーシレンとラギー劇団☆新感線大阪公演初日

 

スタッフ&キャスト

作=中島かずき 演出=いのうえひでのり 企画・制作=劇団☆新感線・ヴィレッジ

藤原竜也(ラギ) 永作博美(シレン) 高橋克実(ゴダイ) 三宅弘城(ギセン) 北村有起哉(シンデン) 石橋杏奈(ミサギ) 橋本じゅん(ダイナン) 高田聖子(モンレイ) 粟根まこと(モロナオ) 古田新太(キョウゴク)

 

チケットを取ってくれたA子ちゃんに感謝。

よく、初日のしかも7列目、よく取れたよねー。感動!!ありがとう!

 

藤原竜也、劇団☆新感線に出演、初めてだって!

新鮮ですねー。

そして、ヒロインは永作博美。

期待度が高まります。

 

もちろん、時代も国も架空ですが、北の王国、通称幕府と南の王国のお話。

何やら、南北朝時代の香りも…。

いきなり、北の王国のギセン将軍(三宅弘城)の暗殺未遂から物語は始まりました。

 

ギセンは王と言えども、実権は執権のモロナオ(粟根まこと)とその一族が握っていた。

キョウゴク(古田新太)は侍所の官領として、息子で守護頭を勤めるラギ(藤原竜也)とともに、宮廷の警護に当たっていた。

曲者がギセンに襲いかかったそのとき、キョウゴクやラギとともに、曲者に向かって行った女性がいた。

暗殺専門族・狼蘭の毒使いシレン(永作博美)だった。

 

シレンが20年前、毒殺したはずの南の国王ゴダイ(高橋克実)が生きているというスパイからの報告に、キョウゴクはシレンとラギをゴダイ暗殺に差し向けた。

ゴダイは、かつてはキョウゴクやモロナオと手を組み、新しい世の中を模索していたのだが、そのカリスマ性から人々から宗教の教祖と崇められ、独裁者となり、キョウゴクやモロナオは北の王に仕えたのだ。

シレンはキョウゴクの命令で、ゴダイの愛妾となって入り込み、毒を盛って自然死に見せたのだが、20年経ち毒の威力が消えてゴダイは目覚めたのだ。

しかし、かつてのカリスマ性は失われ、ふぬけのような状態だった。

暗殺という、大きな任務を持っていても、ラギはシレンを慕うが、シレンは非情な人殺しの一族。

ミッション遂行のため非情な試練が二人を襲う。 

 

南の国のゴダイが唱える宗教は、神がなく、教義だけが存在する宗教。

ここが、この演劇のテーマ、肝だと思いました。

神無き国の物語。

でも、カリスマを求めている愚かな民衆。

今の日本ですよね。

 

私は、結局このゴダイだけが、人間としての筋を通して生き抜いた人物に見えました。

あと、ギセンもギャップのある人物として興味深く、権力者が一番権力を嫌っていたという設定が面白かったです。

 

シレンとラギの関係は、まるでギリシャ悲劇のように救いがなく、親子の情も、人と人との信頼感もどんどん裏切られ、人がばたばた倒れ、血に染まり、とても激しいストーリーでした。

 

いつもの新感線みたいな軽いノリはなく、最後までどろどろとしたままの内容でした。

踊りも音楽も少なかったと思いました。

 

前半の盛り上がりのようには、後半はいかなくて重いまま、終わってしまいました。

 

初日のせいか、もたもたしたシーンもあったし、セリフを噛んでいたのも残念だったなあ。

回想シーンがところどころに挿入されて、盛り上がった気分が沈静化されるのも、難しいところ。

これが、もっとスピーディーに流れて行ったら、いつもの躍動感が出てくるのでしょう。

 

神無き国で、信じられるものは何か?

愛もダメで、親子の情もダメ、となったら、何を信じて生きるのかなあ?

とりあえず、自分のできることをしましょう、ということかな?

辛いわあ。

愛だけは信じられるという結末では、今の世の中通らないのでしょうね。

 


ブルーバレンタイン

2012-04-26 08:46:40 | 映画ーDVD

ーブルーバレンタインーBLUE VALENTINE

2010年 アメリカ

デレク・シアンフランス監督 ライアン・ゴズリング(ディーン)ミシェル・ウィリアムズ(シンディ)フェイス・ワディッカ(フランキー)マイク・ヴォーゲル(ボビー)ジョン・ドーマン(ジェリー)

 

【解説】

あるカップルの出会いから結婚、そして破局までを描き、サンダンス映画祭やカンヌ国際映画祭など世界各地の映画祭で注目されたラブストーリー。壊れかけた夫婦には、『ラースと、その彼女』のライアン・ゴズリング、『ブロークバック・マウンテン』のミシェル・ウィリアムズがふんし、過激な性描写や体重増量も辞さない迫真の演技を披露。10年以上も脚本を練り上げたデレク・シアンフランス監督による、愛が終わる痛みを巧みな演出で紡いだ切ないストーリーが胸に迫る。

 

【あらすじ】

結婚7年目を迎え、娘と共に3人で暮らすディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)夫妻。努力の末に資格を取って忙しく働く妻シンディに対し、夫ディーンの仕事は順調ではない。お互い相手に不満を募らせながらも、平穏な家庭生活を何とか守ろうとする2人だったが、かつては夢中で愛し合った時期があった……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

結婚している人間にとって、結構きつい作品。

二人の人間の出会い、恋愛、結婚、子育て、破局、いろんな局面が現れます。

 

その、さまざまな人生の局面を演じ分けるライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズがすごい。

今をときめく、二人ですね。

 

ある日の早朝、犬がいないことに気づいた幼い娘が、ソファーで寝ている父親ディーン(ライアン・ゴズリング)を起こす。

このシーンで、この家庭は壊れかけていることがわかります。

娘がまず起こしに行くのは母親シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)ではなく、父親なんです。

 

そして、二人はシンディーを起こしに行って、シリアルの食事。

シンディーが学校へ娘を送り届け、自分は看護士として働きに行く。

ディーンはペンキ塗りの仕事。

 

いなくなった犬は道ばたで死んでいました。

これは、この物語の行く末の暗示でもあります。

 

夫婦の過去の映像が、脈絡なく挿入される。

わずかな時間しかたっていないのに、デイーンの髪は薄くなり、シンディーは不機嫌な表情。

あの頃は、あんなにも生き生きとしていたのに。

 

引っ越し業者として働いているディーンの一目惚れで、シンディーとの交際が始まった。

でも、シンディーには同じ大学のボーイフレンドがいた。

 

☆ネタバレ

ディーンは、二人の関係を修復しようと、ラブホテルを予約する。

シンディーも、気が乗らないが、娘を実の父に預けて従う。

 

そこで繰り広げられる、夫婦の終焉。

かなり、辛いです。

 

ディーンは壊れていきます。

泣いてすがっても、シンディーの気持ちは変わりません。

ただ涙が溢れています。

 

結婚式の二人の映像と重なります。

あのときのシンディーの涙とは、全く意味が違っています。

あのころ、幸せの絶頂にいた二人が、こんな涙を流すなんて、予想できたでしょうか?

これが、結婚。

ある意味残酷ですが、ここを乗り越えなければ、新しい人生は開けない。

 

ディーンの後追いをする幼い娘が不憫です。

 

☆ネタバレの考察

それにしてもこの二人は問題が多過ぎます。

高校中退のディーンと、大学を出て医学部を志していたシンディー。

格差結婚ともいえます。

その上、このかわいい娘は、ディーンの子供ではない。

激しい男遍歴の持ち主。

それを承知で結婚したディーン。

 

ディーンの人生は、高嶺の花のようなシンディーと結婚した時点で、ある意味完結してしまったのかもしれない。

一方、シンディーは自分の人生や将来について、希望や野心を持っていたということでしょう。

 

価値観も、人生観も違う二人が出会って、回避しきれなかった離婚を迎えたという作品です。

よく描き切ったね。

すごい。

 


アーティスト

2012-04-25 08:45:19 | 映画ー劇場鑑賞

ーアーティストーTHE ARTIST

2011年 フランス

ミシェル・アザナヴィシウス監督 ジャン・デュジャルダン(ジョージ・ヴァレンティン)ベレニス・ベジョ(ペピー・ミラー)ジョン・グッドマン(アル・ジマー)ジェームズ・クロムウェル(クリフトン)

 

【解説】

サイレントからトーキーへと移り変わるころのハリウッドを舞台に、スター俳優の葛藤(かっとう)と愛を美しいモノクロ映像でつづるサイレント映画。フランスのミシェル・アザナヴィシウス監督がメガホンを取り、ヨーロッパのみならずアメリカの映画賞をも席巻。芸術家(アーティスト)であることに誇りをもち、時代の変化の波に乗れずに凋落(ちょうらく)してしまうスターを演じるのは、『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』のジャン・デュジャルダン。ほかに、ジョン・グッドマンなどのハリウッドの名脇役が出演。サイレントの傑作の数々へのオマージュが映画ファンの心をくすぐり、シンプルでロマンチックなラブストーリーも感動を誘う。

 

【あらすじ】

1927年のハリウッドで、サイレント映画のスターとして君臨していたジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、新作の舞台あいさつで新人女優ペピー(ベレニス・ベジョ)と出会う。その後オーディションを経て、ジョージの何げないアドバイスをきっかけにヒロインを務めるほどになったペピーは、トーキー映画のスターへと駆け上がる。一方ジョージは、かたくなにサイレントにこだわっていたが、自身の監督・主演作がヒットせず……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

昨年度の映画賞レースの超目玉になって、とうとうアカデミー賞の作品賞など主要部門をたくさん獲得した作品です。

なかなか時間が合わずに見れませんでしたが、ようやく見てきました。

 

白黒フィルムと無声という状況に驚かされました。

でも、音楽がとてもいいのです。

そして、ストーリーも明確で感動的。

 

1927年、ハリウッド発の映画で大人気を博していたジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、充実した俳優人生を送っていた。

 

ファンとしてジョージとツーショットを撮られたペピー(ベレニス・ベジョ)は、ジョージの新作のスタジオで再びジョージと出会う。

エキストラでありながら、ジョージに助けてもらい、お礼に訪れた楽屋で、付けほくろを描くというアドバイスをもらう。

 

☆ネタバレ

ペピーは下積みからだんだん頭角を現していった。

そして、サイレントからトーキーに会社がシフトしたとき、ジョージは斬り捨てられ、ペピーは新時代のヒロインとなり時代に受け入れられた。

 

ジョージは自腹を切って新作を作るが、それはペピーの新作と同じ公開日で、ジョージの作品は大失敗だった。

おまけに、株が大暴落、ジョージは破産してしまった。

それと反比例するように、ペピーはスターへの階段を駆け上って行くのだった。

 

ラブストーリーともいえるけど、私は恩義の話だと思いました。

この古くさいテーマが、サイレント白黒という手法と相まって、いい効果を上げていました。

思わず落涙するところも数カ所ありました。

 

それから、エンドロールでも紹介されるThe Dogg=アギー。

この子が素晴らしいです。

犬が主役ではない映画で、これほどまでの存在感を示した犬は、そう多くないと思いました。

カンヌ国際映画祭で、パルム・ドッグ賞を獲得したのも納得でした。

 


Black & White/ブラック & ホワイト

2012-04-24 09:00:46 | 映画ー劇場鑑賞

Black & White/ブラック & ホワイトーTHIS MEANS WAR

2012年 アメリカ

マックG監督 リース・ウィザースプーン(ローレンス・スコット)クリス・パイン(FDR)トム・ハーディ(タック)ティル・シュヴァイガー(カール・ハインリッヒ)チェルシー・ハンドラー(トリッシュ)アンジェラ・バセット(コリンズ(CIA上官))

 

【解説】

CIAの腕利きエージェント・コンビが挑むミッションと、CIAの人脈とハイテクを駆使して繰り広げる恋のさや当てとを絶妙に絡ませてスピーディーに描いたスパイ・アクション。恋のライバルでもあるエージェントを演じるのは、『スター・トレック』のクリス・パインと『インセプション』のトム・ハーディ。二人の間で揺れ動く女性を、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のリース・ウィザースプーンが演じる。『チャーリーズ・エンジェル』シリーズのマックG監督らしい、二転、三転するスピーディーな展開から目が離せない。

 

【解説】

CIAエージェントのFDR(クリス・パイン)とタック(トム・ハーディ)は闇商人を追うも失敗し、謹慎処分の憂き目に遭う。暇になってしまったタックは恋人紹介サイトでローレン(リース・ウィザースプーン)と知り合うが、なんとFDRもローレンをナンパ。ローレンを巡って、精鋭チームとハイテク兵器を駆使したバトルが勃発(ぼっぱつ)する。そんな中、闇商人がローレンに近づき……(シネマトゥデイ)

 

【感想】 

これははっきり言います。

ラブコメです。

そう思ってみると、CIAの仰々しいスパイ合戦も楽しい。

 

CIAエージェントのFDR(クリス・パイン)とタック(トム・ハーディ)は、息のあったいいコンビだが、一つの仕事をしくじって、内勤勤務を言い渡される。

 

バツイチで寂しいタックは恋人紹介サイトでローレン(リース・ウィザースプーン)と知り合う。

ローレンも失恋し、悶々と暮しているところを親友がサイトに登録したのだった。

 

ひょんなことから、ローレンとFDRとも知り合い、3人は三角関係に。

FDRとタックは紳士協定を結び、ローレンの気持ちをどちらが掴むかという恋の鞘当てに発展する。

 

イケメン二人はいいとしても、その鞘当ての対象がなぜリースなのか、ちょっと納得のいかないところですが、安心して楽しめる作品でした。

 

デートムービーにいかが?

 


別離

2012-04-23 09:16:00 | 映画ー劇場鑑賞

ー別離ーJODAEIYE NADER AZ SIMIN/NADER AND SIMIN, A SEPARATION

2011年 イラン

アスガー・ファルハディ監督 レイラ・ハタミ(妻・シミン)ペイマン・モアディ(夫・ナデル)シャハブ・ホセイニ(ホッジャト)サレー・バヤト(ラジエー)サリナ・ファルハディ(娘・テルメー)ババク・カリミ(判事)メリッラ・ザレイ(ギャーライ先生)

 

【解説】

イラン人夫婦に訪れる危機を軸に、人間の複雑な心理と共に社会問題をも浮き彫りにし、ベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞した人間ドラマ。『彼女が消えた浜辺』のイラン映画界の異才、アスガー・ファルハディがメガホンを取り、濃密ながら壊れやすい家族の関係を繊細に映し出す。娘のために外国への移住を決断する妻をレイラ・ハタミが、父親の介護のためにイランに残りたい夫をペイマン・モアディが好演。波乱含みの様相にさらなる秘密とうそが絡み合い、スリリングに転がっていく展開に心を奪われる。

 

【あらすじ】

イランのテヘランで暮らすシミン(レイラ・ハタミ)とナデル(ペイマン・モアディ)には11歳になる娘がいた。妻シミンは娘の教育のために外国へ移住するつもりだったが、夫ナデルは老いた父のために残ると言う。ある日、ナデルが不在の間に父が意識を失い、介護人のラジエー(サレー・バヤト)を追い出してしまう。その夜、ラジエーが入院し流産したとの知らせが入り……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

『彼女が消えた浜辺』の監督、アスガー・ファルハディ。

今年のアカデミー外国語映画賞を獲得したイランの映画です。

 「彼女が消えた浜辺」はたくさんの登場人物がいて、雑然とした印象でしたが、今回は2組の夫婦にしぼられ、問題点も明確です。

 

最初から離婚の申し立て。

妻シミン(レイラ・ハタミ)は、娘テルメーを伴って外国へ移り住むことを願っていました。

でも、夫のナデル(ペイマン・モアディ)は、父が認知症なので外国には行けないと言います。

そこで、夫婦仲は問題ないけど、離婚の申し立てということなのだと、必死で訴えるシミン。

「イランではダメなのですか?」と係の人が尋ねます。

シミンは「イランの教育環境は最悪です」と答えます。

係の人は、「これはご夫婦で解決すべき問題です」と突っぱねました。

 

失望したシミンは実家へ戻り、冷却期間を置くことにしました。

娘のテルメーも一緒にと思いますが、テルメーは父と残ると言いはります。

 

認知症の父親の介護に、知り合いから紹介された女性を雇うことにしました。

敬虔なイスラム信者のラジエー(サレー・バヤト)は幼い娘を連れていました。

通ってくるには遠いし、報酬は安いと、あまり気乗りのしないようですが、次の日から働くことを約束して帰りました。

 

ラジエーとその幼い娘

 

ラジエーは二人目を妊娠していました。

夫のホジャト(シャハブ・ホセイニ)は、長年勤めた靴屋を、短気が元で辞めて以来失業していました。

宗教的な制約があるのに、お金がいるラジエーは夫に内緒でこの家で働くことにしたのです。

 

認知症の老人の世話は、大変なことでした。

宗教的な制約があり、介護知識もなく、妊婦で、幼い子供も一緒のラジエーには、無理な仕事に思えましたが、そこを無理してしまうところにひずみが出てしまいます。

 

ラジエーの夫。トラブルメーカー。

 

そこからが、この映画のすごいところ。

それぞれの言い分、または、言えないところ、保身のための小さなウソなどを、つぎつぎと暴いて行きます。

 

自分の正論を曲げないナデルと、テルメーのために示談ですませようとするシミン。

二人の溝はどんどん広がって行きます。

 

夫婦の離婚の構図が、きめ細やかに描かれていました。

 

イランと日本、国は違えど人の気持ちって同じなんだなあ。

信じる宗教があってもなくても、人の感情の動きって同じだなあ、と妙に冷静に見てしまいました。

すごく、面白かったです。

 

ドライブ

2012-04-19 09:36:01 | 映画ー劇場鑑賞

ードライブーDRIVE

2011年 アメリカ

ニコラス・ウィンディング・レフン監督 ライアン・ゴズリング(ドライバー)キャリー・マリガン(アイリーン)ブライアン・クランストン(シャノン)クリスティナ・ヘンドリックス(ブランチ)ロン・パールマン(ニーノ)オスカー・アイザック(スタンダード)アルバート・ブルックス(バーニー・ローズ)

 

【解説】

スタントマンと逃がし屋の二つの顔を持つドライバーの姿をクールに描き、欧米の評論家の称賛を浴びたクライム・サスペンス。昼と夜では別の世界に生きる孤独な男が、ある女性への愛のために危険な抗争へと突き進んでいく。メガホンを取ったデンマーク人監督ニコラス・ウィンディング・レフンは、本作で第64回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。『ブルーバレンタイン』のライアン・ゴズリングと、『17歳の肖像』のキャリー・マリガンの演技派が出演。緊迫感あふれるバイオレンスとフィルム・ノワールのような雰囲気、ジェットコースターのような展開から目が離せない。

 

【あらすじ】

天才的なドライブテクを武器に、昼は映画のカースタント、夜は強盗逃し専門の運転手をしているドライバー(ライアン・ゴズリング)。ドライバーはアイリーン(キャリー・マリガン)にひそかに思いを寄せていたが、彼女には服役中の夫スタンダード(オスカー・アイザック)がいた。ある日、服役から戻ってきたスタンダードがガレージで血まみれで倒れている姿をドライバーが目撃し……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

一昔前のストーリーみたいでした。

男は強くて寡黙、女は可憐で不幸…みたいな。

 

ライアン・ゴスリングが若い時の高倉健さんに見えました!

ウソです!!

 

どこからかやってきて、この町に住み着いた謎のドライバー(ライアン・ゴズリング)、シャノン(ブライアン・クランストン)の経営する自動車工場で働いている。

シャノンの口利きで映画のカースタントもこなす。

犯罪者を問わずの秘密の運転手の仕事もしていた。

 

シャノンが、ドライバーのテクニックに目をつけ、バーニー(アルバート・ブルックス)の出資を取り付け、レーシングカーを買った。

 

ドライバーの隣に住むアイリーン(キャリー・マリガン)と息子のベニシオは、ひょんなことからドライバーと知り合いになり、親しくなる。

アイリーンには服役中の夫スタンダード(オスカー・アイザック)がいた。

ある日出所してきて、3人の楽しい日々は終わった。

 

☆ネタバレ

スタンダードは、刑務所の仲である男に借金をし、その男が犯罪を持ちかけてきた。

その脅しの現場にドライバーが行き会わせた。

相手はとても凶暴な男で、言うことを聞かなければ、アイリーンやベニシオも狙われると言う。

 

ドライバーもドライバーとしてその犯罪に参加することになる。

質屋を襲う計画ーしかし、これには裏があった。

共犯の女が大金を車に運び込んだ後、スタンダードは質屋の主人に射殺された。

もう1台車が現れ、ドライバーの乗った車を追いかけてきた。

その車をぶっ壊して、モーテルへ。

ニュースでは、なくなった大金について報じられなかった。

女の話から、この計画には裏切りがあったことを知る。

殺し屋たちがモーテルにやってきて女は射殺されたが、ドライバーはかろうじて逆襲した。

 

シャノンがバーニーに、ドライバーが関わっていたことをしゃべってしまい、アイリーンとドライバーがつながっていることが知られてしまう。

バーニーと、この事件の黒幕ニーノとは旧知の仲だったのだ。

しかも、ドライバーが奪ったのは、マフィアのお金。

 

ドライバーは、アイリーンとベニシオを救うため、バーニーやニーノと対決することを決意した。

 

このドライバー、きっとものすごく辛い過去を背負っているんだと思う。

そう思わせるライアン・ゴスリングの演技の良さが、この作品の魅力だと思う。

セリフが少ないけど、表情で彼の切なさがわかってしまう。

エレベーターのキス、よかったです。

 

キャリー・マリガンのテンネンな感じが、このドライバーを惚れさせちゃったんだなあって思いました。

 

「お金を渡すから、遠い町へ行って。ベニシオと暮して。僕も一緒に。君を守るから」なんて、きゃあ、言われてみたいもんです。

 

 


エレクトリック・ミスト 霧の捜査線

2012-04-19 09:33:50 | 映画ーDVD

ーエレクトリック・ミスト 霧の捜査線ーIN THE ELECTRIC MIST

2009年 アメリカ/フランス

ベルトラン・タヴェルニエ監督 トミー・リー・ジョーンズ ジョン・グッドマン ピーター・サースガード メアリー・スティーンバージェン ケリー・マクドナルド

【解説】人気俳優、トミー・リー・ジョーンズが主演を務めたハードボイルドアクション。刑事のデイヴは、若い女性を狙った連続レイプ殺人犯を追っていた。ある日彼は事件現場からの帰路、南北戦争の映画撮影に来ていた俳優・エルロッドと出会い(キネマ旬報データベースより)

 

【感想】

日本未公開だし、ヤフー映画のレビユー評価も低いし、どうだろ?

でも、キャストは個性派ぞろいで面白そうだと思って、見ることにしました。

 

この映画、かなりハードボイルドです。

そう思ってみたら、なかなかいかしていましたよ。

 

大きなハリケーンが残した傷跡が未だに癒えない南部の町。

その退廃した感じがなんともいえない。

こういう雰囲気の好きな人には、たまんない作品でした。

もっと、ブルースが聞きたい感じだった。

 

トミー・リー・ジョーンズが、いい感じでした。