マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

危険なプロット

2013-10-31 09:32:07 | 映画ー劇場鑑賞

ー危険なプロットーDANS LA MAISON/IN THE HOUSE

2012年 フランス 105

フランソワ・オゾン監督 ファブリス・ルキーニ(ジェルマン)クリスティン・スコット・トーマス(ジャンヌ)エマニュエル・セニエ(エステル)エルンスト・ウンハウアー(クロード)

 

【解説】

『スイミング・プール』『しあわせの雨傘』などのフランソワ・オゾンが、フアン・マヨルガの戯曲を原作にして放つサスペンスドラマ。類まれな文才を秘めていた生徒と彼に物語の書き方を指導する国語教師が、思わぬ事態を引き起こしていくさまを見つめていく。『屋根裏部屋のマリアたち』などのファブリス・ルキーニ、『サラの鍵』などのクリスティン・スコット・トーマスなど、実力派が出演。ユーモアを絡めながら日常に存在する狂気や人間が抱える闇を浮き上がらせる、オゾン監督の卓越した演出手腕に引き込まれる。

 

【あらすじ】

作文の添削ばかりで刺激のない毎日に嫌気が差している高校の国語教師ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、クロード(エルンスト・ウンハウアー)という生徒が書いた同級生とその家族を皮肉った文章に心を奪われる。その秘めた文才と人間観察能力の高さに感嘆したジェルマンは、彼に小説の書き方を指南する。かつて諦めた作家になる夢を託すようにして熱心に指導するジェルマンだが、クロードの人間観察は次第に過激さを増すように。そして、その果てにジェルマンを思わぬ事態に引きずり込んでいく。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

少年の作文に、なぜ中年教師がここまで引き込まれてしまったのか?

やはり、言語の壁なのか、私には少し退屈な感じでしたが、いろんなレビューを読むと評判がいいです。

 

かつて1冊の小説を書いたが、全く売れなかったという経験を持ち、皮肉屋となった高校教師ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、生徒たちに週末のことを作文に書くように宿題を出した。

数行で終わる者がほとんどの中に、クロード(エルンスト・ウンハウアー)という生徒が書いた作文に目が止まる。

内容は、同級生の家に遊びにいったときのこと。

棘のある文章がジェルマンの心にささった。

文章はうまいが、表現が官能的で不道徳な感じがした。

そして、「続く」で終わっていた。

妻ジャンヌ(クリスティン・スコット・トーマス)にも読み聞かせる。

 

ジャンヌは小さな画廊の雇われ所長。

画廊のオーナーが亡くなり、その後継者である双子の女性が、画廊の経営をめぐって、閑散とした状態が続くなら閉館も辞さないという。

この画廊のコレクションには笑ってしまう。

近代アート???

エロだし、下品。

 

☆ネタバレ

さて、クロードが書いている家庭は、同級生のラファの家。

数学の得意なクロードが、毎週ラファに教えにいっていた。

ラファの家は典型的な中産家庭だが、クロードはセクシーなラファの母親のエステル(エマニュエル・セニエ)に引かれている。

そして自分の境遇が、父一人子一人で、父が障害者、その介護と学業で精一杯という自分とは全く違う、一見平凡だか幸せそうな家庭を持つラファをうらやましく思う気持ちと、バカにした気持ちが混在している。

ラファの父親も同じ名前、ラファといい、中国系の企業に勤めているが直情型の単純な人物。

 

先生は毎週書くようにいい、要求もエスカレートしていく。

ラファの数学の成績が上がらないとクロードが終末に行くのを止めさせられるとなると、数学の試験をコピーしてラファに与えた。

二人は共犯者、一線を越えてしまった。

さらに「読者が想像するように書け」と言われ、クロードと先生は虚構の世界へと迷い込んでいく。

 

要求は「書く」と言うことだけれど、これは映画なので映像となってしまう。

そうなると、覗き見みたいに悪趣味な感じ。

覗きをクロードに先生が強要しているみたい。

見ている私も落ち着かない。

 

クロードは家族が欲しかった。

ラファと替われたら、幸せになれるんじゃないかと思った。

でも、クロードの居場所はラファの家の中にはなかった。

 

ラストは、少し不気味です。

仕事も妻も無くした先生が公園のベンチに座って人々が暮らすたくさんの窓を眺めている。

そこへクロードが来て「先生はすべてをなくしたけれど、僕がいる」と隣に座ります。

窓の向こうの部屋ではいろんな人間の営みが…。

それを並んで眺めている二人…。

 

クロードには意図があったとは思えないけど、孤独で家族を求めていた結果なのかな?

そして、先生という疑似家族を得て、満足なのでしょうか?

先生には人の家庭を覗きたいという文学者としての欲求があって、ここまでのめり込んだのかなあ?

 

フランソワ・オゾンらしいのかな?

私には、難しかった。

 


クロニクル

2013-10-30 09:55:58 | 映画ー劇場鑑賞

ークロニクルーCHRONICLE

2012年 アメリカ 84

ジョシュ・トランク監督 デイン・デハーン(アンドリュー)アレックス・ラッセル(マット)マイケル・B・ジョーダン(スティーブ)マイケル・ケリー(リチャード・デトマー)アシュリー・ヒンショウ(ケイシー)

 

【解説】

ごく普通の生活を送っていた高校生たちが、突如として超能力者として覚醒したことから思わぬ事態に身を投じていくSF作。メガホンを取るのは、テレビドラマ「キル・ポイント」シリーズの新鋭ジョシュ・トランク。キャストには、『欲望のバージニア』のデイン・デハーン、『キャリー』(2013年)のアレックス・ラッセルなどの若手注目株が顔をそろえている。自動車を次々と跳ねのける超能力の描写に加え、ティーンエイジャーの日常や心情をリアルにすくい取ったドラマ部分も魅力。

 

【あらすじ】

超能力を手にした、高校生のアンドリュー(デイン・デハーン)、マット(アレックス・ラッセル)、スティーヴ(マイケル・B・ジョーダン)は、自分たちの姿をビデオで記録することに。超能力を使い、他人がかんでいるガムを口から取り出したり、女子のスカートをめくったり、空中でアメフトをしたりと、退屈だった毎日を刺激的なものに変える三人。そんなある日、クラクションを鳴らして後方からあおってきた車を、アンドリューが超能力でスリップさせる。それを機に、彼は超能力を乱用するようになり……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「クローバーフィールド/HAKAISHA」みたいだなあと思って見ていましたが、ひどい手ぶれもなく、なかなかうまい構成と設定。

いまどき高校生の破滅がラスト一気に盛り上がりました。

これはすごい!

面白かった。

 

高校生のアンドリュー(デイン・デハーン)。

重い病気の母は、自宅療養中。

怪我をして働けなくなった元消防士の父は、酔いどれていて、母の薬代すら滞る。

その当てつけに、父はアンドリューを暴力で押さえつけていた。

さらに、学校ではいじめられっ子でガールフレンドもいない暗い性格のアンドリュー。

いとこのマット(アレックス・ラッセル)が迎えにくる車で通学している。

 

そんなアンドリューが自分撮りを始めた。

片時もカメラを離さないアンドリュー。

ブログのために撮影しているマットのガールフレンド、ケイシー(アシュリー・ヒンショウ)の映像も取り入れながら、物語は進んでいく。

 

☆ネタバレ

マットと、高校では優等生のスティーブ(マイケル・B・ジョーダン)が大きな穴を発見し、アンドリューにその穴を記録するように頼んだ。

深い穴の仲に入っていく3人。

穴の奥には、光り輝く何かがあった。

その光を浴びた3人は、超能力を得たことを知る。

 

3人はその力を使って、いろんないたずらを始めるが、力はどんどん強大になっていく。

3人なりにルールを決めるが、アンドリューだけは不本意だ。

いままで抑圧されて来た思いが、母の具合が悪くなったことで爆発して、歯止めが利かなくなる。

 

アンドリューの超能力でカメラが宙に浮いた状態で撮れるというアイデアが良かった。

空を飛ぶスピード感や、町を破壊するすごさ、迫力がありました。

マットが友情と正義の狭間で苦悩する様子や、彼だけがアンドリューの本質を判っていたところが良かった。

 

才能や可能性を感じる作品でした。

アンドリュー役のデイン・デハーンは、若い時のレオナルド・ディカプリオを彷彿とさせる、母性本能をくすぐるタイプ。

また、3人の主役の適材適所も良かった。

 左から、スティーブ、アンドリュー、マット 

最初知ったときは、2週間首都圏限定公開ということだったけど、やはり評判がいいのでしょうね、いろんな都市で公開されているようです。

特別限定料金1000円というのもいいですね。

 

シュガーマン奇跡に愛された男

2013-10-30 09:49:24 | 映画ーDVD

ーシュガーマン奇跡に愛された男ーSEARCHING FOR SUGAR MAN

2012年 スウェーデン/イギリス 85

マリク・ベンジェルール監督

 

【解説】

1970年代にアメリカでデビューした後、アパルトヘイト下の南アフリカで支持された伝説的ミュージシャン、ロドリゲスの数奇な運命を追ったドキュメンタリー。アメリカでは商業的な成功を収められず消え去るも、南アフリカではザ・ローリング・ストーンズなどの著名ミュージシャンをしのぐほど彼の音楽が支持され続ける理由や、ロドリゲスのその後に迫る。音楽の持つ共鳴力に心打たれる奇跡の実話は、サンダンス映画祭ほか世界中の映画祭で上映されるや大絶賛された。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

東京バンドのビル迎が、今年の神戸ジェームズ・ブルース・ランドのライブの中で紹介してくれた作品。

全くチェックもしてなかったわ。

 いいドキュメンタリーでした。

 

1970年代にボブ・ディランの再来と、アルバムを2枚出したのに、そのまま消えてしまった歌手ロドリゲス。

その代表曲が「シュガーマン」だ。

ヤクの売人のことを歌うこの曲が、アパルトヘイトに苦しむ南アフリカへ渡り、人々の圧倒的な支持を受けていたとは。

これこそ、奇跡。

 

そして、数々の自殺説が流れる中、このロドリゲスという人が、挫折にも負けず、肉体労働者として真面目に働き、家庭を持ち、3人の娘を育て上げたていたというい奇跡。

 

そして、南アフリカのファンに探し出されて、南アフリカでライブを行ったら、何万人というファンに熱狂的に受け入れられて、大成功を納めたなんて!!

すごすぎる話。

 

それでも、ロドリゲスは奢る事無く、アメリカでは自分の生き方を全く変えずに、貧しく真面目に生きているということ。

 

インタビューで綴られているのですが、すべてに愛と奇跡を感じるドキュメンタリーでした。

 

音楽の力って、売れるとか売れないとかじゃない。

ほんと、そうだ!!

 東京バンドもがんばってね!!

オブリビオン

2013-10-30 09:46:26 | 映画ーDVD

ーオブリビオンーOBLIVION

2013年 アメリカ

ジョセフ・コシンスキー監督 トム・クルーズ(ジャック・ハーパー)モーガン・フリーマン(ビーチ)オルガ・キュリレンコ(ジュリア)アンドレア・ライズブロー(ヴィクトリア)ニコライ・コスター=ワルドー(サイクス軍曹)メリッサ・レオ(サリー)

 

【解説】

『ミッション:インポッシブル』シリーズなどのトム・クルーズ主演によるSF大作。エイリアンの襲撃で半壊して捨てられた地球を監視していた男が、謎めいた人物との遭遇を機に自身と地球の運命を左右する事態に巻き込まれていく。『トロン:レガシー』で注目を浴びたジョセフ・コシンスキーが監督を務め、名優モーガン・フリーマン、『007/慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコら、実力派たちが脇を固めている。壮大かつ予測不可能なストーリーに加えて、半壊した地球の鮮烈なビジュアルからも目が離せない。

 

【あらすじ】

エイリアンスカヴの侵略を食い止めたものの、その戦いによって地球が半壊してから60年。生き残った者たちがほかの惑星へと移住してしまった中、ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)だけが地球に残って上空から偵察していた。パトロールに向かっていた彼は、誰一人として生存しているわけがないエリアで何者かの襲撃を受けてしまう。混乱するジャックの前に現れたのは、ビーチ(モーガン・フリーマン)という謎の男。彼との遭遇を機に、ジャックは地球、人類、そして自身の運命を担う冒険に出ることに。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

忙しくて劇場公開を見逃して、DVDのレンタルで見ることになってしまいましたが、惜しいことしました。

面白い。

劇場で見れば良かった。

 

見たことがあるようなSF大作ですが、その世界観は素晴らしい。

エイリアン「スガウ」によって破壊された月、荒れ果てた地球。

地球の人たちは、放射能で汚染された地球を捨てて、木星の惑星へ移住してしまった。

ただ二人、ジャックとヴェガの夫婦が地球に留まり、地球の水を守っている。

再び、スガウに狙われないよう。

ヴェガは司令室との通信、ジャックはパトロールの任務。

 

ある日、見知らぬロケットが不時着。

夢に出てくる女性(オルガ・キュリレンコ)が冬眠状態で乗っていたー。

 

なかなか1回見ただけでは、説明が難しいけど、せつない結末。

ネタバレはやめておきます。

 

もう1回見たくなる作品でした。

やっぱりトム・クルーズ、いいね。

 

ダイアナ

2013-10-30 09:34:50 | 映画ー劇場鑑賞

ーダイアナーDIANA

2013年 イギリス 113

オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督 ナオミ・ワッツ(ダイアナ)ナヴィーン・アンドリュース(ハスナット・カーン)ダグラス・ホッジ(ポール・バレル)ジェラルディン・ジェームズ(ウーナ・トッフォロ)キャス・アンヴァー(ドディ・アルファイド)

 

【解説】

『インポッシブル』などの演技派女優ナオミ・ワッツが主演を務め、1997年に交通事故死した元イギリス皇太子妃ダイアナに迫る感動作。20歳で英国王室に嫁いだ若く魅力的な女性が出産や離婚を経験し、しなやかに変貌と自立を遂げる姿を描き出す。メガホンを取るのは、『ヒトラー~最期の12日間~』『インベージョン』のオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督。一人の女性として精いっぱい生き、36歳の若さで逝ったダイアナ妃の愛と苦悩と戦いの日々に心打たれる。

 

【あらすじ】

1995年、ダイアナ(ナオミ・ワッツ)が夫のチャールズ皇太子と別居してからすでに3年の月日が過ぎようとしていた。ある日、彼女の良き友であり、治療師でもあるウーナ(ジェラルディン・ジェームズ)の夫が倒れたと連絡が入り、ダイアナは急いで病院に駆け付ける。そこで彼女は、優秀な心臓外科医ハスナット(ナヴィーン・アンドリュース)と出会い……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ダイアナ元イギリス王妃が亡くなる前の2年間の物語。

私はダイアナが懸命に生き、亡くなった姿がお気の毒で泣いてしまいましたが、この作品あまり評判は良くないみたいです。

 

実在の人物だし、亡くなった後も絶大な人気をはくしているダイアナなので、描くのは難しかったと思いますが、ナオミ・ワッツは似ていないもののその心情はよく表されていたように思いました。

 

外科医ハスナットとの恋が本当だったのかどうか、私には判らないけど、いままた、お孫さんであるジョージ王子の話題などで、またダイアナのことが思い出されます。

生きておられたら…。

 

私はこの作品、結婚生活の始まりが間違っていたことを潔く受け入れ、ようやく自分らしい生き方を模索していたダイアナの生々しい姿なのかなあと思いました。

イスラム教徒との恋は、イギリス王室への当てつけだったのか、そんな意図はなかったのか、いろいろ下品な想像もしてしまいますが、でも、そんなことより、ダイアナは前を向いて生きたかったのだと思いました。

 

地雷撲滅に取り組んでいたあの緊張した表情は、今も心に焼き付いています。


鉈切り丸

2013-10-28 09:59:22 | 舞台

ー鉈切り丸ー

演出=いのうえひでのり 脚本=青木豪 音楽=岩代太郎

キャスト

源範頼=森田剛 巴御前=成海璃子 源頼朝=生瀬勝久 北条政子=若村麻由美 源義経=須賀健太 梶原景時=渡辺いっけい 和田義盛=木村了 比企の尼=宮地雅子 建礼門院=麻美れい イト=秋山菜津子

 

【あらすじ】

時は平安末期、源範頼(森田剛)は、嵐の中木曾義仲を追っていた。

範頼は兄源頼朝(生瀬勝久)の弟に当たり、義経(須賀健太)の兄であった。

その姿は、せむしでびっこ、顔には醜い痣もあった。

実母は女郎で、生まれたときにへその緒を鉈で切ったところから、幼名を「鉈切り丸」と名付けられた。

権力を得た兄には従順なところを見せていたが、胸の奥にはどす黒い欲望が渦巻いていた。

 

【感想】

劇団☆新感線の作品だとばかり思っていましたが、これはいのうえシェィクスピアのシリーズなのですね。

いのうえさんはよほど「リチャード三世」がお好きなようで、ご自身も3作目だとおっしゃっています。

「朧の森に棲む鬼」も「リチャード三世」が下敷きに作られた作品だそうですし、そのものずばり、古田新太主演の「リチャード三世」もありました。

 

今回は、平安末期の乱世、存在さえ知らなかった源範頼をリチャード三世に重ねています。

範頼にはV6の森田剛。

鬼気迫るような役作りで、圧倒されました。

 

範頼には、最高権力者になってからのビジョンなどはなく、ただただ、権力を手に入れたいという上昇志向だけで動いている人物。

母親からも命を狙われ、たったひとかけらしかなかった愛情も、歪んだ形で終末を迎え、愛する女性とお腹にいた自分の子まで惨殺してしまいます。

 

最終的には、歴史からも名を消され、壮絶なる最後を迎えます。

 

本当に、森田剛の熱演でした。

 

頼朝と北条政子の夫婦は、本当にこうだったんじゃないかなあと思わせるくらいのイキの良さで、笑わせてもらいました。

 

建礼門院の生霊、麻美れいもすごいオーラで圧倒されました。

 

平安末期と言えば、終末思想に貴族たちは怯え、都は混沌としていた時代です。

地方は武士の台頭によって混乱し、政治形態も、庶民の生活もがらりと変わろうとしていた時代。

そして、新興宗教や、彫刻や建物など、新しい息吹も感じられる時代。

そんな流動的な時代に、このお話の背景を持って来たことが、この作品の成功のひとつではないかなと思いました。

範頼のキャラクターが実にしっくりハマる感じがしました。

 

「歴史は勝者が書き換える」

北条政子のセリフも面白かった。

歴史は、確かに勝者の歴史なんだなあ。

それは今も変わらないですよね。

 

トランス

2013-10-23 11:09:27 | 映画ー劇場鑑賞

ートランスーTRANCE

2013年 アメリカ/イギリス 102

ダニー・ボイル監督 ジェームズ・マカヴォイ(サイモン)ヴァンサン・カッセル(フランク)ロザリオ・ドーソン(エリザベス)

 

【解説】

さまざまな作品を世に送り出したダニー・ボイル監督が、『つぐない』などのジェームズ・マカヴォイを主演に迎えたサスペンス。『トレインスポッティング』の脚本家ジョン・ホッジとボイル監督が再びタッグを組み、ギャングと名画を略奪した競売人が絵画の隠し場所の記憶を失い、ギャングが催眠療法で記憶を復活させようと画策するも予期せぬ事態に陥っていくさまを描く。『ブラック・スワン』などのヴァンサン・カッセル、『アンストッパブル』などのロザリオ・ドーソンが共演。

 

【あらすじ】

アート競売人のサイモン(ジェームズ・マカヴォイ)はギャング一味と協力し、オークション会場から40億円の名画を盗み出すことに成功する。しかし計画外の動きを見せた彼はギャングのリーダー(ヴァンサン・カッセル)に暴行され、それが原因で絵画の隠し場所の記憶をなくしてしまう。リーダーは絵画のありかを聞き出すため、催眠療法士(ロザリオ・ドーソン)を雇うものの……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

さすが、ダニー・ボイル監督作品。

スタイリッシュでスピーディー。

置いていかれないように。

 

全部ネタバレみたいな作品なので、見る予定のある方は、絶対に読まないでね。

 

☆ネタバレ

アート競売人のサイモン(ジェームズ・マカヴォイ)、オークション会場で強盗に会ったときのシミュレーションに余念がない。

 

ゴヤの「魔女たちの飛翔」をオークションしている時、まさに、強盗事件が起きた。

訓練通りに絵画を守るサイモン。

最後にマニュアルにはないのに強盗に逆らったため、殴られて気を失った。

 

その後の記憶をなくしてしまったサイモン。

強盗たちが盗んだ鞄の中に、絵画はなかった!!

 

強盗の首領は実業家のフランク(ヴァンサン・カッセル)。

そして、サイモンも強盗の仲間だったのだ。

ひどい拷問を受けても絵画の隠し場所を思い出せないサイモン。

 

そして、深層心理を探るべく催眠療法士(ロザリオ・ドーソン)の登場となります。

 

ここから、どこまでが夢の世界で、どこまでが現実か難しくなっていきます。

サイモンはさらに記憶喪失になっているし、人為的に隠された記憶もあるし、作られた記憶もあって、混乱します。

 

しかし、このせめぎ合いが実に面白い。

三人三様のバトルは見物です。

 

ジェームズ・マカヴォイが、いままでのイメージを払拭するようなダメ男。

ヴァンサン・カッセルは渋くていい男っぷりだし、ロザリオ・ドーソンの巨乳にはびっくり!!

 

私が謎だなあ、と思ったのは、サイモンがオークション会場から逃げる途中にぶつかった女性。

あの女性の死体が赤い車の中にあるというのは現実でしょう?

そうしたら、殺人事件だし、サイモンは犯人だし、お気楽に記憶をなくしていいのか?

死んだ彼女が浮かばれないでしょう?

「だとすると、絵画の盗難事件じゃすまないよ。話が変わってるー」と思いましたが、誰か、判った人はいますか?

 


ラブ・クライム偽りの愛に溺れて

2013-10-23 11:05:48 | 映画ーDVD

ーラブ・クライム偽りの愛に溺れてーCRIME D'AMOUR/LOVE CRIME

2010年 フランス 2010

アラン・コルノー監督 リュディヴィーヌ・サニエ(イザベル)クリスティン・スコット・トーマス(クリスティン)パトリック・ミル(フィリッペ)ギョーム・マルケ(ダニエル)

 

【解説】

フランスの映画監督アラン・コルノーの遺作。主演はリュディヴィーヌ・サニエとクリスティン・スコット・トーマス。コルノーは脚本も担当し、映画公開直後に亡くなった。翻弄され合う上司と部下という2人の女性が辿る、運命の顛末とは。パリにある、とある一流多国籍企業。イザベルは、上司で重役のクリスティーヌのもとで若き女性幹部として働いていた。お互い才能を認め合ってはいたものの、イザベルがクリスティーヌの恋人フィリッペとカイロ出張に行ったことで状況が大きく変化する。イザベルは華々しい業績をあげただけでなく、フィリッペと関係してしまったのだ。それを知ったクリスティーヌはイザベルのアイディアを横取りしたり、徐々にイザベルを排除しようとする。次第にイザベルはクリスティーヌに対して殺意を抱く。(allcinema ONLINE

 

【感想】

先日見たパッションのオリジナル版。

「パッション」のインパクトが強かったので、この作品は地味に見えてしまいました。

 

クリスティン・スコット・トーマスがすごく嫌みな上司をねっちりと好演しています。

この女優さんは、英語でもフランス語でもすごく流暢で、知性あふれています。

 

いじめられる部下にリュディヴィーヌ・サニエ。

この作品では、いじめる側といじめられる側という単純構造で描かれているので、ハリウッド版のようなエロティックな関係はなかったように思いました。

 

この作品の見どころは、完全犯罪の作り方。

このトリックの作り方を丁寧に描いて、サスペンスフルで面白かったです。

 


ロイヤル・アフェア愛と欲望の王宮

2013-10-23 10:49:26 | 映画ーDVD

ーロイヤル・アフェア愛と欲望の王宮ーEN KONGELIG AFFAERE/A ROYAL AFFAIR

2012年 デンマーク 137

ニコライ・アーセル監督 マッツ・ミケルセン(ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ)アリシア・ヴィキャンデル(王妃カロリーネ・マティルデ)ミケル・ボー・フォルスゴー(デンマーク王クリスチャン7世)

 

【解説】

18世紀のデンマーク王室で起きたスキャンダラスな史実を基に、国王と王妃、そして侍医の三角関係を描いた壮大なラブ・ストーリー。国王を意のままに操り、王妃と禁断の恋に落ちたドイツ人医師を、『007/カジノ・ロワイヤル』などのマッツ・ミケルセンが熱演。『ミレニアムドラゴン・タトゥーの女』の共同脚本を手掛けたニコライ・アーセルがメガホンを取り、デンマークの鬼才ラース・フォン・トリアーが製作総指揮として名を連ねる。華麗な世界の裏でうごめくドラマチックな駆け引きから目が離せない。

 

【あらすじ】

18世紀後半のデンマーク。ドイツ人医師のストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)は、精神的な病を患っている国王クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスガール)の侍医となる。国王の信頼を得たストルーエンセは、一方で王妃カロリーネ(アリシア・ヴィキャンデル)と惹(ひ)かれ合うように。しかし事実上の摂政として手腕を振るうようになったストルーエンセを、保守派貴族たちは快く思わず……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「偽りなき者」に引き続き、マッツ・ミケルセン主演の作品。

ちょっとしたマイブームだな。

 

18世紀デンマーク王室のスキャンダル。

時の国王、クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスガール)は精神を病んでいて、奇行が目立っていた。

 

夢と希望を胸いっぱいに抱いて嫁いで来たイングランドのプリンセス、カロリーネ・マティルデ(アリシア・ヴィキャンデル)は、新婚初夜でその淡い夢を打ち砕かれた。

王子が生まれたが、夫婦の間は冷えきったていた。

 

クリスチャンは旅先で病が重くなり、そこで出会ったのがドイツ人医師のストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)。

シェイクスピアの一節をつぶやいた王に、その続きをささやき、二人は盟友となった。

クリスチャンはストルーエンセを侍医に取り立て、一時も自分のそばから離さないほどだった。

 

カロリーネは、始めはストルーエンセのことを疎ましく思っていたが、彼の教養の深さを知り、次第に引かれていく。

 

やがて二人は不倫関係に。

 

クリスチャンは二人の関係に気づかず、クリスチャンとカロリーネの仲も夫婦関係の改善とまではいかなくとも、良い関係となっていく。

摩訶不思議な三角関係。

 

ストルーエンセはクリスチャンを使って国政改革にまで手を伸ばしていく。

当然面白くないのは失脚させられた元老たち。

王太后と組んで、ストルーエンセの失脚を謀っていた。

 

そんなときに発覚したカロリーネの妊娠・出産。

生まれたルイーセ・アウグスタはストルーエンセの子供だと噂された。

 

その噂を楯に、反対派はクーデターを起こし、クリスチャンにストルーエンセの逮捕を迫り、サインをさせて、ストルーエンセを反逆罪で処刑した。

カロリーネも囚人として監禁され、その後追放された。

 

デンマークの歴史スキャンダルでデンマーク人は恥じているらしいけれど、この映画では違う側面が描かれていて、興味深かったです。

 

ストルーエンセは、ただの不倫男、ただの権力欲の強い男ではなく、当時の啓蒙思想に傾倒していて、権力側から言うと思想的には危険人物だったようです。

それが、王と王妃に取り入って啓蒙思想を二人に浸透させて、次々に政策として実行していきます。

ただ、あまりに急進過ぎて、国民もついていけないようでした。

そこを元権力側に煽られて、国民たちもクーデターに利用された形に描いてありました。

 

心配だったのは、不倫の子と言われたルイーセ・アウグスタですが、彼女は王室の子として育ち、王室の夫を持ち、現在のスウェーデン王は彼女の末裔だそうです。

 

また、クリスチャン7世とカロリーネ王妃の間に生まれた王子フレデリク6世は、1808年に即位すると、ストルーエンセの処刑で一旦は逆行した国政を、また改革路線に戻したそうです。

 

なんという、歴史の不思議。

ただのスキャンダル映画ではありません。

面白かったです。

 

ランナウェイ/逃亡者

2013-10-18 13:50:36 | 映画ー劇場鑑賞

ーランナウェイ/逃亡者ーTHE COMPANY YOU KEEP

2012年 アメリカ 122

ロバート・レッドフォード監督 ロバート・レッドフォード(ジム・グラント/ニック・スローン)シャイア・ラブーフ(ベン・シェパード)ジュリー・クリスティ(ミミ・ルーリー)サム・エリオット(マック・マクロード)ジャッキー・エヴァンコ(イザベル・グラント)ブレンダン・グリーソン(ヘンリー・オズボーン)テレンス・ハワード(コーネリアス捜査官)リチャード・ジェンキンス(ジェド・ルイス)アナ・ケンドリック(ダイアナ)ブリット・マーリング(レベッカ・オズボーン)スタンリー・トゥッチ(レイ・フラー)ニック・ノルティ(ドナル・フィッツジェラルド)クリス・クーパー(ダニエル・スローン)スーザン・サランドン(シャロン・ソラーズ)

 

【解説】

俳優や監督として、オスカー受賞作『普通の人々』など数々の名作に携わってきたロバート・レッドフォードが監督、主演を務めた社会派サスペンス。反体制活動を展開した実在の過激派組織を題材に、素性を隠して30年間暮らしてきた元幹部が、当時の仲間の逮捕によりFBIと記者から追われるさまを描く。若手記者を『トランスフォーマー』シリーズのシャイア・ラブーフが熱演するほか、スーザン・サランドン、リチャード・ジェンキンス、クリス・クーパーら豪華共演陣が物語を盛り上げる。

 

【あらすじ】

1969年、ベトナム戦争反対を世に訴えるために連続爆破事件を起こした過激派組織ウェザーマンはFBIの最重要指名手配リストに記載された後、突如消息を絶つ。30年後、元メンバーの一人(スーザン・サランドン)が警察に捕まる。再び話題を呼んでいる事件を調査する新聞記者のベン(シャイア・ラブーフ)は、一見真面目そうな雰囲気のシングルファーザーの弁護士ジム・グラント(ロバート・レッドフォード)にたどり着く。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

私は学生運動に遅れて来た世代だと思っています。

あんなに盛り上がっていた運動が、日航機乗っ取りや浅間山荘事件、さらにはリンチ事件へと、どんどん凶悪化していって反社会的になっていって、終焉を迎えます。

掲げた理想は若者らしい正義感から始まったと信じていたのに、なぜこんなことになってしまったのだろう。

挫折感と、失望感はいまでも心の奥底に空虚な穴となって残っているような気がしていました。

そして、当時何も行動できなかった自分への劣等感と。

 

反戦運動の本場、アメリカでも同じような流れをたどっていたのですね。

運動の凶悪化、銀行襲撃から、警備員を殺害、逃亡、指名手配…。

 

☆ネタバレ

その事件から30年後、指名手配犯の一人、シャロン・ソラーズ(スーザン・サランドン)が当時の友人に電話した。

「自首しようと思う」

その電話を盗聴したFBIは、シャロンが自首する前に逮捕した。

それはFBIの意地だった。

しかし、シャロンは黙秘し、仲間の消息は言わない。

 

同じ指名手配犯で、今はジム・クラントという名前で人権派の弁護士をしているニック・スローンのところにシャロンの弁護の依頼が来たが、ニックは断り、娘を弟(クリス・クーパー)に預けて逃亡した。

自分の無実を晴らすため、やはり指名手配犯であるミミ・ルーリー(ジュリー・クリスティ)の居所を探す旅に出たのだ。

仲間たちは口は堅いが、かつての絆で結ばれていた。

ニックが探していることはミミの耳にも入り、話し合うために二人は接触する。

二人には、二人だけの秘密があった。

 

ニックを別ルートで追いかけるのが地方紙の記者ベン・シェパード(シャイア・ラブーフ)。

シャロンのインタビューや、ニックの人柄に触れるうちに、人殺しの極悪人とされてきた犯人たちには、当時突き動かされた戦争を憎むという正義感があり、今は仮染めにしても市民としての生活があることを知る。

 

私が時代に間に合って、学生運動のまっただ中にいたら、どうしたんだろう。

行動したんだろうか。

過激になって行ったんだろうか。

考えさせられました。

そして、ニックとミミの娘が、残された人の手によって美しく聡明に育っていたことも感動的でした。

 

ロバート・レッドフォードの最近の作品、「大いなる陰謀」「声をかくす人」、アメリカの良心という感じで、気に入っています。

この作品にもスーザン・サランドン、クリス・クーパー、ニック・ノルティ、サム・エリオットといった面々が登場することを思うと、レッドフォードの活動が広く支持されているんだなあと、すごく嬉しく感じました。

 

人はイデオロギーで生きているわけではない。

やはり、地域とか、家族とかそういう多くの人に支えられて生きて、生かされているんだなあって。

若い時にはわからなかったことが、今ここへきてとても共感できる作品でした。

見てください!!