マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

127時間

2011-06-25 14:13:15 | 映画ー劇場鑑賞

127時間ー127 Hours

2010年 アメリカ/イギリス 

ダニー・ボイル監督 ジェームズ・フランコ(アーロン・ラルストン)アンバー・タンブリン(ミーガン)ケイト・マーラ(クリスティ)リジー・キャプラン(ソニア)クレマンス・ポエジー(ラナ)ケイト・バートン(アーロンの母)

 

【解説】

登山中の思わぬアクシデントで究極の選択を迫られた若き登山家アーロン・ラルストンのノンフィクションを基に、『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督が映画化した感動的なサバイバル・ドラマ。山中で断崖に腕を挟まれた状態のまま、生と死のはざまで127時間を過ごした登山家を襲う絶望と希望を、圧倒的な映像で描く。『スパイダーマン』シリーズのジェームズ・フランコが、迫真の演技で登山家を熱演。主人公が見せる生命力の強さに胸を打たれる。

 

【あらすじ】

アメリカ・ユタ州のブルージョン・キャニオン。ロッククライミングをしていた登山家のアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は落石事故に見舞われ、右腕を断崖に挟まれたまま身動きが取れなくなってしまう。助けを呼ぶ術もなく5日間が過ぎ、命も尽き果てようというとき、アーロンは自身にある決断を下す。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ダニー・ボイル監督じゃなかったら、劇場に見に行かなかったなあ。

だって、予告編だけでも、十分辛そうなんだもの。

 

でも、ダニー・ボイルでしょう?

何かやってくれるんじゃないかって、見に行ってきました。

 

始まりからすっとばして、ダニー・ボイル調。

映像の切り替えの早さ、音楽、全部。

 

アーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は週末、一人で、誰にも告げずにブルージョン・キャニオンにロッククライミングに出かけた。

アーロンにとって、キャニオンランズ国立公園は庭みたいなものだった。

 

4駆で走っていって、車中で1泊して、早朝自転車で出発。

その先は徒歩だ。

デジカメで自分を記録する。

 

 

トレッキングに来ている女性二人連れと出会う。

道案内を買って出て、ガイドブックにはない楽しみ方を教えてあげる。

 

女の子たちはとても喜んで、明日のパーティに招待してくれた。

行きたい気もするけど、どうしようかなあ?

 

ここでは、被写体にはことかかない、おもろい写真がいっぱい撮れれそう、と夢中になっていたら、何がなんだか、クレパスに落ちて岩が右手が挟まってしまった。

ここでタイトル「127時間」。

 

☆ネタバレ

実話なんだから、彼は助かるんだと、いい聞かせながら見ていました。

痛いはずなんだけど、その痛さはあまり伝わって来ず、見ている方は助かりました。

 

ただ、最後はかなり痛いです。

すごい奇跡を起こすんだけどね。

 

とにかく、ほとんどがジェームズ・ブロンコの一人芝居。

この窮地をどう切り抜けるか、ありとあらゆる知恵と能力を発揮するけれども、岩はぴりっとも動かない。

自然て、すごい、と感心している場合ではない。

 

方や、生き延びる執念もものすごい。

彼がすごいのか、そもそも人間がすごいのか?

 

食料はなく、水も乏しく、夜の寒さは半端ではない。

何度も、潔い死を覚悟するが、幻影や夜の暗闇や死の恐怖を受け入れるのも容易ではない。

 

彼は思う。

人を想う。

母や父や妹。

なぜ母の電話に出なかったのか。

一言連絡して来なかったのか。

 

彼は思う。

別れた恋人。

夢の中で助けを求めて拒否される。

 

安心してください。

彼は助かります。

ラストには、ご本人の登場もあります。

 

孤独を楽しみ、自然を相手に自分に多少の自信もあったアーロン。

この事件を機に、考え方も変わったようです。

最愛の妻に出会い、息子に恵まれても、彼は山歩きやスキーをやめていないそうですが、行き先は必ず告げて行くそうです。

 

こんなテーマをエンタメにしてしまうなんて、まさにダニー・ボイル作品でした。

面白かった!!

 


アンストッパブル

2011-06-25 12:59:38 | 映画ーDVD

ーアンストッパブルーUNSTOPPABLE

2010年 アメリカ

トニー・スコット監督 デンゼル・ワシントン(フランク・バーンズ)クリス・パイン(ウィル・コルソン)ロザリオ・ドーソン(コニー・フーバー)イーサン・サプリー(デューイ)ケヴィン・ダン(ガルビン)ケヴィン・コリガン(ワーナー)ケヴィン・チャップマン(バニー)リュー・テンプル(ネッド)TJ・ミラー(ギリース)ジェシー・シュラム(ダーシー・コルソン)デヴィッド・ウォーショフスキー(スチュワート)ミーガン・タンディ(マヤ)エリザベス・マシス(ニコル)

 

【解説】

実際に起こった列車暴走事故を基に、危険な薬物を大量に積載したまま無人で暴走し始めた貨物列車を、二人の鉄道マンが止めようと奮闘するサスペンス・アクション。『クリムゾン・タイド』『サブウェイ123 激突』など、これまで何度もコンビを組んできたトニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンが再びタッグを組む。『スター・トレック』のクリス・パイン、『7つの贈り物』のロザリオ・ドーソンが共演。小さな整備ミスから制御不能となった列車の暴走シーンに息をのむ。

 

【あらすじ】

操車場に停車中の最新式貨物列車777号が、整備ミスによって走り出す。大量の化学薬品とディーゼル燃料を搭載した777号を止めるべく、鉄道会社と警察は手を尽くすが、列車はさらに加速していく。事態を察知したベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)は、この日初めてコンビを組んだウィル(クリス・パイン)と共に、決死の覚悟で暴走列車に立ち向かう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

実際に起こった列車事故の話というけど、さすがアメリカ、スケールがでかいねえ。

それに、この日初めて一緒に仕事をしたという設定のベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)とウィル(クリス・パイン)の個人的なドラマもからませて、止まらない無人の貨物列車を止めてみせる男の話でした。

面白かった!!

 

公開当時は、また、パニックものかーと思って劇場に足を運ばなかったのです。

残念なことをしました。

一人で見るより、友達や家族一緒に見るのがお薦めだなあ。

 

操車場に停車中の最新式貨物列車777号、デューイ(イーサン・サプリー)のミスやいろんな不運が重なって、無人のまま本線に出てしまった。

 

もちろん、最低速度にセットしていたのだが、弾みでトップスビードに入ってしまったようだ。

近くには鉄道見学に来た子供たちを乗せた機関車が…!

なんとか、衝突は回避できたものの、777号は加速したまま都市部へ向かって突っ走る。

都市に入ると、大曲と呼ばれる急カーブがあり、そこでは確実に脱線する。

積み荷には、有毒ガスや燃料も積まれていて、大曲の一帯は燃料保管庫だった。

脱線すると、都市全体が爆発する!!

 

司令室のコニー(ロザリオ・ドーソン)は都市部に入る前に脱線させようと提案した。

 

しかし、会社がまず考えたことは、機関車を前に入れて減速させつつ、ヘリコプターから人をつり下げて運転席に入れてブレーキをかけるというもの。

積み荷を救いたいからだった。

 

しかし、最新式の列車は減速できず、前に入った機関車は脱線炎上しただけだった。

 

次に脱線装置での脱線を試みるが、これも失敗。

 

もう、打つ手がないのかと思ったときに、本線に25両編成の貨物列車がいた。

これを運転していたのがフランクとウィル。

 

無事777号をやり過ごしたものの、自分たちしか777号を止めれるものはないと悟った二人は、知恵と勇気を振り絞って暴走列車に挑んだ。

 

ストーリーは単純だけど、個性的な人々を配置することで、ヒューマンドラマになっていました。

 

うまいね!!

 

大ヘマをやらかすデューイ、「ブロウ」に出ていたトゥナ役の人でした。

久しぶりだなあ。

 


きっと忘れない

2011-06-25 09:42:46 | 映画ーDVD

ーきっと忘れないーWITH HONORS

1994年 アメリカ

アレック・ケシシアン監督 ジョー・ペシ(サイモン・ワイルダー)ブレンダン・フレイザー(モンティ・ケスラー)モイラ・ケリー(コートニー・ブルーメンタル)パトリック・デンプシー ジョシュ・ハミルトン

 

 

【解説】

J・ペシ扮する団塊世代の浮浪者と、B・フレイザー始めとするエリート大学生達の間に育まれる友情を描く。ハーバード大図書館に住み着くルンペンのペシは、フレイザーの落した卒業論文を拾い、一冬の棲み家を提供するのを条件に、それを返す事にする。そして一軒家を借り共同生活を送るフレイザーたちの生活に割り込んでくることに……。ペシがドロップアウトした団塊世代を熱演。マドンナが唄った主題歌が全米NO.1になっている。(allcinema ONLINE

 

【感想】

従妹の推薦で見ました。

世代や価値観を越えた友情物語です。

 

ハーバード大学の学生モンティ(ブレンダン・フレイザー)は、卒論の仕上げに忙しい。

ほとんど出来上がった卒論だったが、パソコンが壊れてしまい、学校の図書館へコピーをとりに行く途中で、空気抜きの穴に卒論を落としてしまった。

図書館の地下に探しに行くと、ボイラー室で浮浪者が卒論を燃やそうとしていた。

浮浪者は、自分への奉仕で1ページずつ返すという。

 

モンティはその浮浪者サイモン(ジョー・ペシ)を、共同生活している友達の両親の家に停めてある故障車に連れて来て、一夜の宿とした。

 

モンティはサイモンの奇妙な言動に戸惑いながらも、何かを得て行き、最終的には、ものの見方まで影響を受ける。

 

しかし、サイモンはアスベストによる病気にかかっていて、余命幾ばくもなかった。

 

サイモンは、私より少し上の世代、自由を求めて家庭からドロップアウトした人です。

そして、病気になり、浮浪者となった。

 

モンティは政治を学ぶエリートで、サイモンのような人と出会ったこともありませんでした。

ある意味、衝撃的だったのでしょう。

 

ストーリーよりもサイモンのセリフが聞かせました。

サイモンがモンティたちの家を出るときの置き手紙

「聞きかじりの知識を信じるな。
本に書かれた死者の言葉も信じるな。
おれの考えや言葉も真に受けるな。
いろいろな意見を聞いて、自分のフィルターにかけろ」

 

政治学の教授をぎゃふんといわせた講義中の演説

「合衆国の憲法はすぐに修正できるところが優れている。作ったのが、独裁者でもない、政治家でもない、農民たちなので、自分たちが未熟なことをよく知っているからだ(こんな意味?)」

 

最後は、赤ちゃんの時に捨てた息子に会いに行くのですが、つれなくあしらわれてほんと、可哀想だったけど、自分の生き方の結果なので、しかたがない。

でも、自分を理解してくれたモンティたちと知り合えて、サイモンはいい人生だったのではないでしょうか?

 

モンティも卒論を、自分の考えを自分の言葉で書き直し、優等賞も取って、めでたしの結末でした。


赤ずきん

2011-06-24 11:22:48 | 映画ー劇場鑑賞

ー赤ずきんーRED RIDING HOOD

2011年 アメリカ

キャサリン・ハードウィック監督 アマンダ・サイフリッド(ヴァレリー)ゲイリー・オールドマン(ソロモン神父)ビリー・バーク(セザール)シャイロー・フェルナンデス(ピーター)マックス・アイアンズ(ヘンリー)ヴァージニア・マドセン(スゼット)ルーカス・ハース(オーガスト神父)ジュリー・クリスティ(おばあちゃん)

 

【解説】

グリム童話の中でも有名なヒロイン「赤ずきん」の成長した姿を描いたファンタジー・サスペンス。危険な恋に落ちるヒロインと満月の夜の残虐な殺人事件をダークなタッチでつづっていく。監督は、『トワイライト~初恋~』のキャサリン・ハードウィック。『マンマ・ミーア!』のアマンダ・セイフライドが大人になった赤ずきんを演じる。赤ずきんをめぐって三角関係を繰り広げる若手俳優、マックス・アイアンズとシャイロー・フェルナンデスにも注目だ。

 

【あらすじ】

赤ずきんことヴァレリー(アマンダ・セイフライド)は木こりのピーター(シャイロー・フェルナンデス)と愛し合っていたが、ヘンリー(マックス・アイアンズ)との婚約を親が勝手に決めてしまう。ある満月の夜、ヴァレリーの姉が何者かに惨殺され、魔物ハンターのソロモン神父(ゲイリー・オールドマン)は人オオカミのしわざだと宣告するが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

監督は、『トワイライト~初恋~』のキャサリン・ハードウィック。

どちらもバンパイアもの。

よほど、好きなのね。

 

いつの時代かわからない、どこの国かもわからない、いかにもおとぎ話に出てきそうな村。

この村には、人狼の伝説があり、人々は毎年生け贄を捧げていた。

ここ20年ほど、その効果があって、人狼が村人を襲うことはなかったのに、とうとうその夜、犠牲者が出た。

 

ヴァレリー(アマンダ・セイフライド)には、親の決めたヘンリー(マックス・アイアンズ)という婚約者がいた。

でも、ヴァレリーは幼なじみのピーター(シャイロー・フェルナンデス)と相思相愛の仲だった。

一緒に村を出る相談をしているときに、村の騒ぎを聞いた。

 

犠牲者はヴァレリーの姉。

両親(ヴァージニア・マドセン、ビリー・バーグ)は悲しみにくれていた。

 

教会では男たちが狼退治に行くといきまいていた。

そして、首尾よく狼はしとめたものの、ヘンリーの父が亡くなった。

 

そこへ、悪魔祓いのソロモン神父(ゲイリー・オールドマン)が家来を引き連れやって来て、「これは人狼の仕業で、しとめた狼は関係がない」という。

 

 

「人狼は普段は人間の形をしていて、村人にまぎれて生活している。赤い月の出ている間に人狼に噛まれたものは、呪われて人狼になる」といい、滞在して、自分が退治すると言い放った。

 

村中の家をくまなく探して、知恵おくれの少年を犯人だと決めつけて拷問にかけた。

少年の姉は、ヴァレリーの友達だったが、ヴァレリーを人狼と話せる魔女だと密告した。

 

ソロモン神父はヴァレリーをおとりに人狼を捕まえようとする。

ピーターとヘンリーは愛するヴァレリーを救うため協力するのだが、ヴァレリーは、村はずれに住む祖母が人狼ではないかと疑い、祖母から贈られた赤いマントを着て、祖母の家に急ぐのだった。

 

そこで、ヴァレリーの見たものは!!

 

「スリーピーホロウ」を思い出しました。

あのときも、金髪の長い髪のクリスティーナ・リッチがヒロインでした。

今回のアマンダも、おとぎ話のヒロインにぴったりでした。

 

ヴァレリーを取り合うピーターもヘンリーもめっちゃイケメンでした。

 

左がヘンリー(マックス・アイアンズ)、右がピーター(シャイロー・フェルナンデス)

 

私はヘンリーがいいなあ。

お父さんは、ジェレミー・アイアンズですって。

お父さんは渋いけど、息子は爽やか系です。

 

怪しい役をやらせたら、右に出る人のいないゲーリー・オールドマン。

魔女でもおかしくないおばあちゃん役のジュリー・クリスティ。

大きな秘密を抱えている母、ヴァージニア・マドセン。

父は、トワイライトでも父親役だったビリー・バーグでした。

 

ラストは、どうなっちゃうのーと心配でしたが、ちょっぴりせつない結末でした。

大人のおとぎ話らしい〆になっていて、よかったーと思いました。

 


テンペスト

2011-06-24 11:16:16 | 映画ー劇場鑑賞

ーテンペストーTHE TEMPEST

2010年 アメリカ

ジュリー・テイモア監督 ヘレン・ミレン(プロスペラ)ラッセル・ブランド(トリンキュロー)リーヴ・カーニー(ファーディナンド)トム・コンティ(ゴンザーロー)クリス・クーパー(アントーニオ)アラン・カミング(セバスチャン)ジャイモン・フンスー(キャリバン)フェリシティ・ジョーンズ(ミランダ)アルフレッド・モリナ(ステファノー)デヴィッド・ストラザーン(アロンゾー)ベン・ウィショー(エアリエル)

 

【解説】

シェイクスピア最後の作品として知られ、2011年に執筆400周年を迎える「テンペスト」を大胆な解釈を加えて実写化。オフ・ブロードウェイで同戯曲の演出経験があるジュリー・テイモアが監督を務め、肉親の陰謀で国を追われたミラノ王プロスペローを女王に置き換え、古典に新風を吹き込む。鬼気迫る演技力で女王を熱演するのは、アカデミー賞女優のヘレン・ミレン。魔法などの視覚的な効果も見逃せない異色のシェイクスピア作品に期待。

 

 

【あらすじ】

ナポリ王アロンゾー(デヴィッド・ストラザーン)、ミラノ大公アントーニオ(クリス・クーパー)らを乗せた船が嵐に遭い、絶海の孤島に漂着する。その島には12年前弟アントーニオの陰謀で大公の地位を追われ追放されたプロスペロー(ヘレン・ミレン)と娘ミランダ(フェリシティ・ジョーンズ)が暮らしていたが、船を襲った嵐は魔法と学問を研究するプロスペローが手下の妖精エアリエル(ベン・ウィショー)に命じた魔法の力によるものだった。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

シェークスピアの原作では、主人公は男性だそうです。

私は、原作を読んでいないし、舞台でも見たことがないけれど、この作品、とても楽しめました。

 

プロスペロラ(ヘレン・ミレン)はミラノ大公の妻だったが、夫が亡くなり、自分が大公を継承した。

ところが、実の弟のアントーニオ(クリス・クーパー)の悪巧みにあい、大公を乗っ取られ、海の孤島に娘のミランダとともに流された。

 

プロスペラは魔法と科学の研究を続け、自分を追放した人たちに復讐の機会をうかがっていた。

 

ナポリ王アロンゾー(デヴィッド・ストラザーン)が娘の結婚式からの帰りに、プロスペラの島の近くを通りかかり、嵐に遭い、船は難破して、乗っていた人たちはプロスペラの島に上陸した。

その船には、アントーニオやアロンゾーの弟、セバスティアン(アラン・カミング)が乗っていた。

 

この嵐は、プロスペラが妖精のエアリエル(ベン・ウィショー)に命じて起こさせたものだった。

魔女によって幽閉されていたエアリエルをプロスペラが助けて、その見返りにいろんな仕事をさせていた。

 

アロンゾーの息子ファーディナンド(リーヴ・カーニー)も一人で上陸し、プロスペラの娘ミランダ(フェリシティー・ジョーンズ)と出会った。

二人は恋に落ちるが、プロスペラは試練を与える。

 

☆ネタバレ

最終的には、プロスペラは復讐を諦め、全員を許します。

 

赦しが、この物語のテーマで、それがヘレン・ミレンだったので、とても感動しました。

ミランダの幸せを一番に考えた結果と思えたからです。

 

芸達者な俳優たちが集まって、人の心の動きを繊細に表現していました。

 

エアリエルもすごくよかったけど、ちょっと頭の足りない怪物を演じたジャイモン・フンスーもどこか哀れでよかったです。

 

やはり、シェークスピアは奥が深いなあと思いました。

 


X-MEN:ファースト・ジェネレーション

2011-06-21 17:55:46 | 映画ー劇場鑑賞

X-MEN:ファースト・ジェネレーションーX-MEN: FIRST CLASS

2011年 アメリカ

マシュー・ヴォーン監督 ジェームズ・マカヴォイ(チャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX))マイケル・ファスベンダー(エリック・レーンシャー(マグニートー))ケヴィン・ベーコン(セバスチャン・ショウ)ローズ・バーン(モイラ・マクタガート)ジャニュアリー・ジョーンズ(エマ・フロスト)オリヴァー・プラット(CIAエージェント)ジェニファー・ローレンス(レイブン・ダークホルム(ミスティーク))ニコラス・ホルト(ハンク・マッコイ(ビースト))ゾーイ・クラヴィッツ(エンジェル・サルバドール(エンジェル))ルーカス・ティル(アレックス・サマーズ(ハボック))ジェイソン・フレミング(アザゼル)ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(ショーン・キャシディ(バンシー))エディ・ガテギ(アルマンド・ムニョス(ダーウィン))アレックス・ゴンサレス(クエステッド(リップタイド))

 

【解説】

遺伝子の突然変異で超人的パワーが覚せいしたミュータントの苦悩と冒険を描いたSFアクションムービー。今作では、X-MENの起源に焦点を絞り、ミュータント第一世代のドラマを壮絶なVFXアクションと衝撃のストーリーで活写する。『キック・アス』のマシュー・ヴォーンが監督を務めるほか、シリーズの立役者ブライアン・シンガーが製作として本作に復帰。『ウォンテッド』のジェームズ・マカヴォイ、『イングロリアス・バスターズ』のマイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ケヴィン・ベーコンら実力派キャストの激闘に注目。

 

【あらすじ】

裕福な家に生まれ、名門大学に通うチャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)は強力なテレパシーを使うことができるミュータントだったが、自分と同じような能力を持つ者の存在に気付き始めていた。やがて強力な磁力を発生させ、金属を自在に操ることのできるエリック(マイケル・ファスベンダー)と出会う。彼らは親友となり、自分たちと同じような若者たちを探し始めるが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

このシリーズ、回を重ねるごとに厚みが増していると思います。

始めのシリーズは、いかにもアメコミという感じだったのに。

スピンオフが充実して、このシリーズにずいぶん思い入れして見てしまうようになりました。

 

若きプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)とマグニトー(マイケル・ファスベンダー)。

その出会いと友情と決別の物語。

かなり意外な展開で、観客の気持ちをそらしません。

 

昨日、テレビで「X-MEN」シリーズの最初の作品をやっていて、少年の頃のマグニトー(エリック)が、ナチスに捕まって両親と離ればなれになるシーンをやっていました。

これが、彼が自分の能力を知る始まりになるのですね。

この作品も、ここから始まりました。

 

ちゃんと検証していないので、緻密かどうかはわかりませんが、シリーズに渡って登場するアイテムやキャラクターが続々と出て来て、ファンはかなりわくわくするのではないでしょうか?

 

マグニトーのヘルメットの由来、プロフェッサーが車椅子生活になった事件、ウルバリンのカメオ出演など、興味は尽きないんだけど、一番面白かったのは、ミスティークと二人の関係でした。

 

あのセクシーなミスティークが、思春期のせつない恋心をチャールズにたいして抱いていたなんて、とてもけなげでした。

 

他にも、「アバウト・ア・ボーイ」で子役だったニコラス・ホルト(ビースト)や、レニー・クラビッツの娘ゾーイ・クラヴィッツ(エンジェル)など、個性的なミュータントたちがたくさん出てきます。

 

二人と対立する悪人、セバスチャン・ショウ(ケヴィン・ベーコン)もミュータントで、人間社会に決戦を挑むという点ではマグニトーと同じです。

このへんがこの作品の少し弱いところで、セバスチャンをやっつけてしまった後、人類との共存を模索するチャールズと、人類との戦争へ突っ走るエリックが決別するところに、少し曖昧さが残りました。

マグニトーは、セバスチャンの意志を引き継いだ形なってしまいましたから。

マグニトーの思いがもう少し強く描かれていたらなあと思いました。

個人的な恨みしか、見えなかったからね。

 

でもここは目をつぶって、矛盾を抱えたままの友情って、このシリーズの魅力のひとつなので、二人の関係を楽しみたいと思います。

 

「X-MEN」シリーズの序章だけど、なかなかいいですよ!!


アジャストメント

2011-06-20 09:49:49 | 映画ー劇場鑑賞

 

ーアジャストメントーTHE ADJUSTMENT BUREAU

2011年 アメリカ

ジョージ・ノルフィ監督 フィリップ・K・ディック原作 マット・デイモン(デヴィッド・ノリス)エミリー・ブラント(エリース・セラス)アンソニー・マッキー(ハリー)ジョン・スラッテリー(リチャードソン)マイケル・ケリー(チャーリー)テレンス・スタンプ(トンプソン)

 

【解説】

『マイノリティ・リポート』などの原作者フィリップ・K・ディックの短編小説を、『ボーン』シリーズのマット・デイモン主演で映画化したサスペンスアクション。第三者によって運命を支配された現実を舞台に、巨大な陰謀に立ち向かう男の奮闘を描く。監督は『ボーン・アルティメイタム』などの脚本家ジョージ・ノルフィ。主人公と愛し合うヒロインを『プラダを着た悪魔』のエミリー・ブラントが演じる。独創的かつ衝撃的な設定と予測が困難な展開に注目だ。

 

【あらすじ】

政治家のデヴィッド(マット・デイモン)は、ある日、バレリーナのエリース(エミリー・ブラント)と恋に落ちる。しかし、突如現れた男たち、アジャストメント・ビューロー(運命調整局)によって拉致されてしまうデヴィッド。彼らの目的は、本来愛し合う予定ではなかったデヴィッドとエリースの運命を操作することだった。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

SFなんだけど、見終わってよく考えてみると、ラブロマンスだよね。

運命の出会いは、運命をも変えるー?

 

下院議員のデヴィッド(マット・デイモン)はスラムの生まれで、両親も兄もなくし、短気で問題の多い性格だが、支持者からの信頼は厚く、上院議員に立候補し、支持率もまずまずだった。

しかし、もうすぐ投票日というときに、酔っぱらって全裸になるという醜態を演じてしまった。

失意の中で開票結果を待っているとき、男子トイレにひそんでいた美女エリース(エミリー・ブラント)と出会い、恋に落ちる。

敗戦の感動的なスピーチをして、また4年後の選挙を目指すこととなった。

 

ところが、デヴッドの心の中は、エリースでいっぱい。

なぜか、もらった電話番号をなくして、連絡しようもなかったのだ。

ある朝、バスの中でエリースと再会。

喜びながら事務所に行ったら、あら不思議、アジャストメント・ビューローの調整中。

「なんだ、これは!!」とあわてて逃げ出すが、調整員たちに捕まってしまう。

 

☆ネタバレ

見つかってしまってはしかたがないと、調整員のリチャードソン(ジョン・スラッテリー)が説明し始めた。

 

人間の運命は「運命の書」によって決まっていて、少しずれが生じたり、運命と違う方向に向かうとアジャストメント・ビューロー(運命調整局)が動いて、調整しているという。

デヴィッドはエリースとは別れるのが運命だそうだ。

今朝も、デヴィッド担当のハリー(アンソニー・マッキー)が、バスに乗る前にコーヒーをこぼさせて、バスには乗り遅れる予定だった。

ところが、彼が居眠りをしている間に、デヴィッドがバスに乗ってしまい、エリースとも会い、調整しているところも見てしまった、というわけ。

 

納得いかないデビッドは、リチャードソンたちを巻いて、エリースに会いに行った。

 

自分たではらちがあかなくなったリチャードソンは、外され、もっと上級のトンプソン(テレンス・スタンプ)のおでまし。

彼は、大上段に人類の歴史と自分たちの関係をぶちまけるけど、結局はデヴィッドとエリースは一緒になれない運命だと言う。

なぜなら、デヴィッドは大統領になる身の上で、エリースも世界的な振り付け師になる運命。

二人が一緒になったら、エリースは幼稚園のバレエの先生で終わるんですって。

 

それでも、デヴッィドはエリースが好き。

諦めきれない。

エリースが元彼のエイドリアンと結婚すると知って、いてもたってもいられずエリースの元へ。

 

そして、変わらぬ愛を確かめた二人は、運命に立ち向かうべく、アジャストメント・ビューローの議長を探しまわります。

 

最終的には、運命の書は書き換えられ、トンプソンはがっかりして去って行き、二人は結ばれるーという結末です。

 

この映画も夫と見たのですが、そのあとの飲み屋では会話が弾みましたよ。

 

「私とあなたが結婚していなかったら、二人はそれぞれの道で成功していたかもしれないね」

「ほんまや、僕は大会社の社長になっていたかも!!」と目を輝かせる夫。

「んな、わけないやん!」としらける私。

でも、まあ、大成しなくても、中年を過ぎて一緒に映画を楽しめる私たち、こういう運命でよかったよねー?

 

 


闇の列車、光の旅

2011-06-17 10:43:52 | 映画ーDVD

ー闇の列車、光の旅ー

SIN NOMBRE/WITHOUT NAME

2009年 メキシコ/アメリカ

ケイリー・ジョージ・フクナガ監督 エドガル・フローレス(カスペル/ウィリー)パウリナ・ガイタン(サイラ)クリスティアン・フェレール(スマイリー)テノッチ・ウエルタ・メヒア(リルマゴ)

 

【解説】

009年のサンダンス映画祭で監督賞と撮影監督賞を受賞した、感動的なロードムービー。現在の中南米の厳しい状況を、ホンジュラス移民の少女とメキシコのギャング団の一員である青年の偶然の出会いを軸に描く。監督はこれが長編デビュー作となる新鋭のケイリー・ジョージ・フクナガ。ヒロインをメキシコのテレビで活躍するパウリナ・ガイタンが好演する。不法移民やギャングという闇の世界で生きる者たちの感動の人間ドラマが胸に染みる。

 

【あらすじ】

サイラ(パウリナ・ガイタン)は、父と叔父とともにホンジュラスを出て自由の国アメリカを目指す。3人はどうにかメキシコまでたどり着き、米国行きの列車の屋根に乗り込むことができる。ほっとしたのもつかの間、ギャング一味のカスペル(エドガール・フローレス)らが、移民たちから金品を巻き上げるために列車に乗り込んで来て……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

日系の新進監督ケイリー・ジョージ・フクナガが09年のサンダンス映画祭で監督賞と撮影賞を受賞した作品です。

 

予告編で見た、列車の上に乗って国境を目指す人々の群れ。

すごい光景です。

 

カスペル(エドガール・フローレス)というギャングの名前を持つウィリー。

メキシコのギャング、MS(マラ・サルバトルチャ)のメンバーで、忠誠を誓うタトゥーも入れている。

12歳の少年スマイリー(クリスティアン・フェレール)を呼び出して、組織に入れる儀式をした。

 

ガスペルはリーダーのリルマゴ(テノッチ・ウエルタ・メヒア)に一目置かれているが、秘密があった。

恋人のマルタとの秘め事。

でも、このことは絶対にリルマゴに知られてはならない。

 

しかし、秘密が暴かれる日は早く来た。

ガスペルの浮気を疑ってマルタが集会にやって来たのだ。

ガスペルは袋だたきに会い、マルタは殺されてしまう。

泣き崩れるガスペルにリルマゴは容赦がない。

スマイリーとともに列車強盗に連れ出した。

二人の忠誠心を試そうとしたのだ。

 

世界でも貧しい国とされているホンジュラスの暮らすサイラ(パウリナ・ガイタン)。

出稼ぎでアメリカで暮らしていた父が強制送還されて帰って来た。

父にはアメリカに新しい家族がいた。

ホンジュラスの暮らしに見切りをつけ、ちち、叔父とともにアメリカを目指す決心をしたサイラ。

明日をも知れない危険な旅に出た。

 

ようやく確保した列車の屋根の居場所。

列車はのろのろと進む。

雨が降って来た。

ビニールシートを広げ雨を避ける。

 

そこへ、リルマゴ一味が乗り込んで来たのだ。

銃やナイフを突きつけて金を脅し取る。

サイラの元にもギャングどもがやってきた。

「サルマ・ハエックに似ているぞ」とリルマゴ。

強姦しようと押さえつけたとき、ガスペルの刀がリルマゴの首を斬りつけた。

列車から落ちるリルマゴ。

ガスペルはスマイリーを下ろし、自分は列車の端に座り込んで流れる景色をぼーっと見ていた。

 

人々はガスペルを殺そうとするが、サイラはそのつど妨害する。

父に禁じられても、ガスペルに近づいて行く。

 

ガスペルが列車を降りたとき、サイラもついて来た。

 

ギャングは裏切り者のガスペルを許さない。

どこまでも追ってくる。

「なぜついて来たんだ?恋人を守れなかった自分に。もう明日のない自分に」

ガスペルはうめく。

 

サイラはひるまない。

「あんたを信じている」

 

ラストは、かなり衝撃的ですが、これは悲劇なのか、サイラは光を見つけたのか?

うーん、そんなに簡単じゃない問題に、私の思いは立ち止まってしまいました。

 

不法移民は悪いことですが、命の危険を冒してまで自分の国を脱出する人のことを考えたら、ほんと、どうにかしないと!と思います。

 

また一方の、「シティ・オブ・ゴッド」でも描かれていたメキシコのギャング。

幼い少年までギャングにされて悪事に利用されるのは、とても残酷なことです。

それもまた、生きる手だてのない貧困の結果だと思います。

 

この映画に描かれている国家の貧困。

その問題を真っ正面から取り上げたのが、日系の監督というのが、なんとなく誇らしい気がしました。

 


ガフールの伝説

2011-06-17 10:40:46 | 映画ーDVD

ーガフールの伝説ーLEGEND OF THE GUARDIANS: THE OWLS OF GA'HOOLE

2010年 アメリカ

 

ザック・スナイダー監督 キャスリン・ラスキー原作 ジム・スタージェス(ソーレン)ライアン・クワンテン(クラッド)アビー・コーニッシュ(オツリッサ)ヒューゴ・ウィーヴィング(グリンブル/ノクタス)ヘレン・ミレン(ナイラ)ジェフリー・ラッシュ(エジルリブ)デヴィッド・ウェンハム(ディガー)アンソニー・ラパリア(トワイライト)エミリー・バークレイ(ジルフィー)ミリアム・マーゴリーズ(ミセスP)バリー・オットー(ハリモグラ)エイドリアンヌ・デファリア(エグランタイン)リチャード・ロクスバーグ(ボロン)デボラ=リー・ファーネス(バーラン)ジョエル・エドガートン(メタルビーク)サム・ニール(アロミア)

 

【解説】

フクロウの世界を舞台に、世界征服をたくらむ組織から王国を救おうとする若きフクロウたちの戦いを壮大なスケールで描いた冒険ファンタジー・アニメ。多くのファンに愛されているキャスリン・ラスキーのファンタジー小説「ガフールの勇者たち」を、アニメ初挑戦となる『300 <スリーハンドレッド>』のザック・スナイダー監督が映画化。声の出演には、『ラスベガスをぶっつぶせ』のジム・スタージェス、『ブライト・スター~いちばん美しい恋の詩(うた)~』のアビー・コーニッシュらが名を連ねる。

 

【あらすじ】

世界征服をたくらむ純血団との戦いに挑んだガフールの勇者たちの伝説に夢中な若きフクロウ、ソーレンだったが、好戦的な兄のクラッドはそんな弟を見下していた。ある日、木の上の巣から落ちたクラッドとソーレンの兄弟は、純血団に捕らわれてしまう。ソーレンは勇気ある友の助けを借り、決死の脱出を試みるが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

DVD鑑賞となったので、評判のいい3Dは味わえず残念でした。

ダークだけど、きれいな映像で、劇場で見たら、さぞかし…と思いました。

声の出演も豪華です。

 

子フクロウのソーレン(ジム・スタージェス)は兄のクラッド(ライアン・クワンテン)と妹のエグランタイン(エイドリアンヌ・デファリア)と一緒に巣の中にいました。

お父さんから聞いた「ガフールの勇者たち」の物語が大好きな男の子です。

 

幼くてまだ飛べず、クラットドともにやっと枝渡りの練習を始めたばかりでしたが、親の目を盗んで枝渡りの練習をしているときに落下、「純血団」によって誘拐されてしまいました。

 

「純血団」は、子フクロウを誘拐して、月の光で催眠をかけ、自分たちの帝国を作ろうと企んでいました。

 

ソーレンは、グリンブル(ヒューゴ・ウィーヴィング)の手引きでアジトを脱出し、あの伝説の勇者たちの住む伝説の神木を目指して旅に出た。

 

「翼が疲れ切って、もはや飛ぶ気力もなくなってしまったとき、半分まで来たと思え」と言われるほどの過酷な旅を経て、ソーレンと仲間たちは神木へたどり着く。

そこには、伝説の勇者「キールのライズ」と呼ばれるエジルリブ(ジェフリー・ラッシュ)もいた。

ソーレンは自分の英雄が実在していたことに大興奮。

 

勇者たちは「純血団」の企みを知り、クイーン・ナイラ(ヘレン・ミレン)は戦いを決断する。

 

ソーレンは勇者たちに混じって、戦いに向かい、兄のグラッドと運命の血統に臨むのだった。

 

ストーリーはよくある感じですが、無表情なフクロウたちが、豊かな感情を語り、壮大な叙事詩のように素敵な作品でした。

 

 


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2011-06-13 09:52:01 | 映画ー劇場鑑賞

 

ーマイ・バック・ページー

2011年 日本

監督=山下敦弘 原作=川本三郎  脚本=向井康祐 キャスト=妻夫木聡(沢田雅巳)松山ケンイチ(梅山(片桐優))忽那汐里(倉田眞子)石橋杏奈(安宅重子)韓英恵(浅井七恵)中村蒼(柴山洋)長塚圭史(唐谷義朗(東大全共闘議長))山内圭哉(前橋勇(京大全共闘議長))古舘寛治(中平武弘(週刊東都記者))松浦祐也(タモツ)青木崇高(キリスト)山本浩司(佐伯仁)山本剛史(清原)中野英樹(津川(週刊東都記者))菅原大吉(小林(東都ジャーナル編集長))康すおん(高峰(刑事))中村育二(島木武夫(週刊東都編集長))山崎一(徳山健三(週刊東都デスク))あがた森魚(飯島(東都ジャーナルデスク))三浦友和(白石(東都新聞社社会部部長))

 

【解説】

海外ではベトナム戦争、国内では反戦運動や全共闘運動が激しかった1969年から1972年という時代を背景に、理想に燃える記者が左翼思想の学生と出会い、奇妙なきずなで結ばれていく社会派エンターテインメント。川本三郎がジャーナリスト時代の経験を記したノンフィクションを『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘監督が映像化。激動の時代を駆け抜けた若者たちの青春を初共演で体現する、妻夫木聡、松山ケンイチの熱演から目が離せない。

 

【あらすじ】

全共闘運動が最も激しかった1960年代後半、週刊誌編集部で働く記者・沢田(妻夫木 聡)は、理想に燃えながら日々活動家たちの取材を続けていた。ある日、梅山と名乗る男(松山ケンイチ)から接触を受けた沢田は、武装決起するという梅山の言葉を疑いながらも、不思議な親近感と同時代感を覚えてしまう。

(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、あの時代の日本を知っているのと知らないのでは、大きく感想が異なると思いました。

 

鑑賞後、若い女性は「わからなかった」といい、若い男性は「あんなんにダマされるなんて、アホや」という声が聞こえてきました。

 

なぜ川本三郎ともあろう人物ー東大を出て、東都ジャーナル(朝日ジャーナル)の記者をしていた人物が、自称新左翼の梅山(本名は片桐)に惑わされてしまったのか。

 

私は高校時代○○ジャーナルという雑誌を作るクラブに所属していました。

当時の早稲田大学新聞には「右手にジャーナル、左手にマガジン(週刊少年マガジン)」と書かれたそうで、それほどまでに、学生に指示されていた週刊誌でした。

そこで、社会問題には縁のないようなお嬢さん学校であった我が校でも、2年上の先輩が○○ジャーナルを立ち上げたのでした。

 

1969年1月に、安田講堂が陥落して、東大全共闘の活動は終息へと向かって行った訳ですが、学生運動は各大学へと広がり、過激派は地下へ潜っていった時代でもありました。

 

そして、国民に見えてきたのは、よど号ハイジャック事件や、浅間山荘、それにつづく大量リンチ事件でした。

 

こうして、学生運動は、国民感情から乖離して行き、人々はしらけた空気に包まれました。

 

そういう時代を背景に、この物語が語られています。

 

 妻夫木聡

 

沢田(妻夫木 聡)は、東大を出て、憧れの東都新聞社に入社するのだが、配属されたのは希望した東都ジャーナルではなく、大衆紙と呼ばれる週刊東都だった。

表紙も、高校生モデルの倉田眞子(忽那汐里)がきまり、編集部もジャーナルとは違う雰囲気だった。

 

フーテンの潜入取材から戻った沢田は、傍観者的な視点で記事を書く自分に偽善的なものを感じていた。

そこへ、先輩記者中平(古舘寛治)に接触して来た梅山と名乗る男(松山ケンイチ)を取材することになった。

中平は、梅山をうさんくさく感じ、近づくなと言ったが、その夜一晩自宅に泊めた沢田には、なにか引かれるものがある人物だった。

宮沢賢治を愛読する、CCRの「雨を見たかい」を一緒に歌ったということで、沢田は梅山の話にのめり込んで行くのだった。

 

 松山ケンイチ

 

☆ネタバレ

ここから起きる事件は、現実にあった「朝霞自衛官殺害事件」を元にしています。

「朝霞自衛官殺害事件」は、1971年に赤衛軍と名乗る犯人によって、陸上自衛隊朝霞駐屯地内で自衛官が殺害された事件です。

この事件で、当時週刊朝日ジャーナルの記者だった川本三郎が犯人の菊井から自衛官の腕章を受け取り、自宅裏で焼いたことから、証拠隠滅材に問われ、有罪となり、朝日新聞社も退社しました。

 

名前は変えて描かれていますが、ほぼ事実に近いんじゃないかなあと思いました。

 

今の感覚から見れば、沢田のしたことは問題が多すぎます。

実際、起きたことは人命が失われた事件なので、結果責任をとわれても仕方がないと思いました。

 

でも当時は、知識人を自負する人は、世の中を変えなければいけない、そのためには多少の暴力や犠牲は必要だと考えていた人も多かったように思います。

特に、警察官や自衛官は権力側の人間と位置づけて、闘争の中では敵となっていました。

でも、違うよね。

警察官も自衛官もただの職業です。

親もあり、制服を脱げばよき家庭人である日本人には違いがありません。

判決が出て、職場を離れるときの沢田に、その意識があったかどうかー。

 

数年経って、沢田がかつて取材したフーテンのタモツ(松浦祐也)の店にたまたま入って、タモツの生活を目の当たりにして流す涙の意味ー。

とても深いものがあったと思います。

 

この涙の意味について、夫と語り合いましたが、結局彼の生き様というか、傍観者的な考え方が、がらがらと崩れ落ちた涙だったのではないかという結論になりました。

私は悔恨の涙だと思い、夫は再生の涙だと思ったようでした。

 

どちらにしても、この妻夫木聡の演技は素晴らしかった。

 

そして、3.11を経験したかつての全共闘世代が、過去の挫折から立ち直って、ふたたび行動に出るきっかけになる作品じゃないかなあと思いました。

 

でも、この作品を手がけた山下敦弘監督も、脚本の向井康祐もこの事件の後に生まれた人たちなのですね。

だから、ここまで冷静に描けたのかもしれないし、立脚点もぶれなかったのかもしれない。

 

あがた森魚も出演していい味を出していたし、長塚圭史の全共闘議長もぴったり、三浦友和も出番は少ないけど、渋くてよかったです。

 

沢田の部屋にあるものが、見覚えのあるものばかり。

カラーボックスとか、床材とか、カーテンの柄とか…。

うまく集めたねー。

 

とってもいい作品でした。