マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

6才のボクが、大人になるまで

2014-11-28 09:05:28 | 映画ー劇場鑑賞

6才のボクが、大人になるまでーBOYHOOD

2014年 アメリカ 165

リチャード・リンクレーター監督・脚本 パトリシア・アークエット (オリヴィア)
エラー・コルトレーン (メイソン)ローレライ・リンクレイター (サマンサ)イーサン・ホーク (メイソン・Sr)

【解説】

『ビフォア』シリーズなどのリチャード・リンクレイター監督がメガホンを取り、6歳の少年とその家族の12年にわたる軌跡をつづった人間ドラマ。主人公を演じた新星エラー・コルトレーンをはじめ、主要人物4人を同じ俳優が12年間演じ、それぞれの変遷の歴史を映し出す。主人公の母をパトリシア・アークエット、母と離婚しアラスカに行ってしまった父をイーサン・ホークが熱演。お互いに変化や成長を遂げた家族の喜怒哀楽を刻み付けた壮大な歴史に息をのむ。

 

【あらすじ】

メイソン(エラー・コルトレーン)は、母オリヴィア(パトリシア・アークエット)と姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とテキサス州の小さな町で生活していた。彼が6歳のとき、母は子供たちの反対を押し切って祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。さらに彼らの転居先に、離婚してアラスカに行っていた父(イーサン・ホーク)が1年半ぶりに突然現れ……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

私はリンクレイター監督好きだなあ。

特に「ビフォア」シリーズは、大好き!!

最近3部目「ビフォア・サンセット」が公開されて、期待は裏切られませんでした。

 

それにしてもこの作品はすごい。

発想がすごい。

6歳の男の子が18歳になるまで、ずっと一つの映画を撮るなんて、考えた人が偉い。

まあ、ハリーポッターも主役たちが成長するのを取り続けた映画だけれども、これはファミリーがテーマで、12年間も断続的に取り続けるなんて、なんと気の長い話。

そして、勇気のいる仕事だと思いました。

 

ストーリーはわりとシンプル。

若くて結婚したオリヴィア(パトリシア・アークエット)とメイソン(イーサン・ホーク)は、サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とメイソン(エラー・コルトレーン)という子供に恵まれるが、メイソンが6歳のときに両親が離婚。

パパのメイソンはアラスカに行ってしまった。

生活に困ったオリヴィアは、自分の実家のあるメンフィスに引っ越し、アルバイトをしながら大学へ通い直してキャリアを付けることにした。

  ママとメイソン

ヒューストンに移ったとたん、父メイソンが舞い戻り、子供たちにも定期的に会うようになる。

 パパとメイソンと姉のサマンサ

オリヴィアは、大学の先生と再婚するが、この人がアルコール中毒で子供たちを虐待する。

オリヴィアは子供たちを連れて逃げ出す。

それでもオリヴィアは勉強を続け博士号も取り、教職に就くが、男運の悪さは続く。

 

そんな中でも子供たちは思春期を迎え、それぞれにたくましく成長していき、サマンサもメイソンも大学生となり、オリヴィアの元から巣立っていく。

 

メイソンの成長物語であると同時に、オリヴィアの成長物語にもなっています。

若くて未熟な母親が、自分の自立を目標に頑張って、子供も無事に育て上げるんだけど、やはりその旅立ちを見送るのは辛いと言う母親の心情がひしひしと伝わって、私も泣いてしまいました。

  高校生のメイソン

こういう人の感情の機微を描くのがうまい監督ですね。

いつもどこかで泣かされてしまいます。

 

リンクレイター監督作品ではおなじみのイーサン・ホークも、パトリシア・アークエットもいいんだなあ。

子供たちの成長もいい感じ。

サマンサ役を勤めたのは、リンクレイター監督の娘。

なんか、監督がこの作品に生け贄を捧げた感じもするけど、その覚悟もすごいです。

 

また、この家族を取り巻くパソコンだったり、携帯だったり、ゲームだったり、それこそハリポタシリーズの巻数だったり、時代のツールの変遷も面白いですよ。

なにもかもうまくいきましたね!!

 

誰でも思い当たる人生の一コマ。

いい映画ですよ。

オススメです。

 

紙の月

2014-11-26 11:46:59 | 映画ー劇場鑑賞

ー紙の月ー

2014年 日本 126

監督=吉田大八 原作=角田光代 キャスト=宮沢りえ (梅澤梨花)池松壮亮 (平林光太)大島優子 (相川恵子)小林聡美 (隅より子)田辺誠一(梅澤正文)

 

【解説】

銀行勤めの平凡な主婦が引き起こした大金横領事件のてん末を描いた、『八日目の蝉』の原作などで知られる直木賞作家・角田光代の長編小説を映画化。まっとうな人生を歩んでいた主婦が若い男性との出会いをきっかけに運命を狂わせ、矛盾と葛藤を抱えながら犯罪に手を染めていく。監督は、『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八。年下の恋人との快楽におぼれ転落していくヒロインの心の闇を、宮沢りえが体現する。

 

【あらすじ】

バブルがはじけて間もない1994年、銀行の契約社員として働く平凡な主婦・梅澤梨花(宮沢りえ)は綿密な仕事への取り組みや周囲への気配りが好意的に評価され、上司や顧客から信頼されるようになる。一方、自分に関心のない夫との関係にむなしさを抱く中、年下の大学生・光太と出会い不倫関係に陥っていく。彼と逢瀬を重ねていくうちに金銭感覚がまひしてしまった梨花は、顧客の預金を使い始めてしまい……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

これは実話ではないようです。

横領事件と言えば愛人に貢ぐという常套の結末に原作者の角田光代が違和感を覚え、「お金を介在してしか恋愛ができなかったという能動的な女性を描きたいという思いが湧き上がった」そうです。

 

また吉田大八監督は、原作にはない無邪気で天真爛漫でありながら梨花の転落を加速させるこの映画のジョーカーとなる存在であるわかば銀行のテラー(窓口係)・相川恵子(大島優子)と、梨花と対照的に厳格でストイックな勤続20年以上の仕事のできる先輩事務員・隅より子(小林聡美)を登場させ、主人公梅澤梨花(宮沢りえ)の転落人生を際立たせることに成功したと思いました。

 

梨花はサラリーマンの夫(田辺誠一)と二人暮らし。

最近銀行のパートから正社員となり、仕事に向かって張り切っていた。

 

外交からの帰り道、デパートに立ち寄った梨花は店員から「外回りですか、肌が乾燥するんですよね」と声をかけられ、化粧品を買うことに。

4万円の買い物に3万円しか持っていない梨花。

カードも夫の反対で持っていなかった。

1品外してもらうが、それでも足りない。

梨花は、集金したお金に手をつける。

このときは、すぐにお金を返して事無きを得たのだが、これが心のハードルを下げる第1歩となった。

 

外交で訪問するお得意先で、大学生の光太と出会う。

すぐに体の関係となり、光太とデートするためにとうとう銀行のお金に手をつけてしまった。

あとは、自転車操業。

コピー機やプリントゴッコを駆使して、証書を作りお金を集めて回る。

 

☆ネタバレ

悪銭身に付かずの言葉通り、梨花と光太は浪費に溺れるが、ようやく隅より子の慧眼で犯罪が発覚する。

その額があまりの巨額に銀行も驚く。

しかも、梨花は銀行の窓を割り、逃亡。

ラストはタイで逃亡生活を送る梨花の様子でした。

 

この宮沢りえと小林聡美のラストの対峙は素晴らしかった。

正しいことをしたはずのより子が、梨花に押されている。

「自由が欲しかった」と居直る梨花に、より子もたじたじ。

 

観客としては「自由と言っても、大学生の愛人とたかだかホテルのスイートに連泊して、時計買ったり服買ったりしただけやん」と思う。

それが自由なのか?

 

お金で自由が買えるのか?

じゃあ「買えないものがあったら言ってみろ」と反論されると「やっぱりたいていのものは買えるよね」と思ったり。

 

確かにお金お金と私たちがありがたがっているものは、紙でてきているはかないもの。

そんなもので、自由が買えるわけがないけど、買えると思ってしまうところが、弱さだなあ。

 

この作品での宮沢りえの演技、平凡な主婦の顔が悪女のように輝き出すところ。

彼女の代表作になると思う。

そして、梨花を誘惑する小悪魔のような大島優子と厳格な良心のような小林聡美の相乗作用もすばらしかった。

  梨花を誘惑する相川恵子(大島優子)

 

 梨花を追いつめる隅より子(小林聡美)

ただ、梨花のダンナさんがなかなかいい人なんよ。

少し鈍感なだけ。

私はいいなあと思って、彼がかわいそうだったわ。

 

なかなかいい作品でした。

 


ブリングリング

2014-11-26 10:37:01 | 映画ーDVD

ーブリングリングーTHE BLING RING

2013年 アメリカ,フランス,イギリス,日本,ドイツ 90

 

ソフィア・コッポラ監督・脚本 ナンシー・ジョー・セイルズ原作 エマ・ワトソン(ニッキー)ケイティ・チャン(レベッカ)クレア・ジュリアン(クロエ)イスラエル・ブルサード(マーク)タイッサ・ファーミガ(サム)レスリー・マン(ローリー)

 

【解説】

SOMEWHERE』などのソフィア・コッポラ監督が、無軌道なティーンが引き起こした被害総額3億円に上る実際の窃盗事件を映画化した異色青春ドラマ。ハリウッドセレブに羨望(せんぼう)のまなざしを向ける若者たちが、遊び感覚でセレブ宅に侵入し窃盗を繰り返すさまを、スタイリッシュな映像で描く。『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソンを主演に、期待の若手俳優たちが出演。実際に被害に遭ったパリス・ヒルトンが自宅を撮影場所に提供している。

 

【あらすじ】

セレブの豪邸が立ち並ぶ高級住宅街カラバサス、華やかな生活に憧れを抱くニッキー(エマ・ワトソン)ら5人の少年少女たちは、パリス・ヒルトンやオーランド・ブルームなどセレブの豪邸をインターネットで調べ、留守宅への侵入と窃盗を繰り返していた。それはほんの悪ふざけのつもりだったが、やがて彼らは後戻りできないところにまで足を踏み入れてしまう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

公開当時から見たかった映画ですが、DVDにて鑑賞となりました。

 

この少女たちの行動、実話と言うから驚きです。

あまりに罪悪感が無いので呆気にとられてしまいますが、昨今の日本でも行われている、いたずらや犯罪行為を得意げにツイッターやフェイスブックに上げて喜ぶ風潮と根っこは一緒ですね。

目立ちたがり屋とモラルの欠如。

 

盗まれる邸宅の方も、あまりに無防備なのにも驚きです。

たいした計画性も、道具もなく易々と。

しかも、何が盗まれたのか本人もわからないんじゃないかな?

それほどにたくさんのブランド品の数々。

 

女の子たちは毎夜パーティやディスコに出かけ、アルコールやドラッグにも手を出して遊んでいる子たちです。

お小遣いには不自由しない、かなり裕福な家の少女たち。

美人だし、スタイルも良くて、頭もいい。

将来も語れるし、家族も円満。

でも、セレブのようにブランド品の流行を追いかけたりはできない。

 

そんな中で発見したお宝の山!というわけでしょうね。

生活のため、生きるためではないので、友達にも平気で自慢してしまいます。

そしていざ捕まったら、友情もなにもない、裏切ることだって平気。

 

なんというか…この少女たちの生き方に、呆気にとられてしまいます。

みつからなかったら、セレブ邸荒らしは延々と続いていたのでしょうし、明るみに出てからも、マスコミからはスター扱いでインタビューも受け、彼女たちの真の反省なんて、一生無い感じがしました。

 

この貧富の差のあまりに激しい、モラルの欠如した社会。

この少女たちが社会に対して何か警告を発していることだけは確か。

ソフィア・コッポラの目の付けどころは正しい。

 

でも、この行為、おばさんは理解不能、思考力停止になってしまうわー。

消費社会の成れの果て、かな?

 


マンデラ 自由への長い道

2014-11-21 12:17:49 | 映画ーDVD

ーマンデラ 自由への長い道ーMANDELA: LONG WALK TO FREEDOM

2013年 イギリス、南アフリカ 146

ジャスティン・チャドウィック監督 ネルソン・マンデラ原作 イドリス・エルバ(ネルソン・マンデラ)ナオミ・ハリス(ウィニー・マンデラ)

 

【解説】

2013125日に逝去した元南アフリカ大統領、ネルソン・マンデラの「自由への長い道ネルソン・マンデラ自伝」を実写化した伝記ドラマ。人種隔離政策アパルトヘイトに挑む闘士から大統領となった彼が歩んだ波瀾(はらん)万丈の人生を、重厚なタッチで映し出していく。メガホンを取るのは、『ブーリン家の姉妹』などのジャスティン・チャドウィック。『パシフィック・リム』などのイドリス・エルバが、マンデラを熱演。実際にマンデラと親交の深かったU2のボノが作品のために書き下ろした主題歌も聴きもの。

 

【あらすじ】

人種隔離政策アパルトヘイトによって、白人たちが優位に立ち、黒人たちが迫害されていた、南アフリカ共和国。弁護士として働いていたネルソン・マンデラ(イドリス・エルバ)は、そんな差別や偏見が当然のように存在している状況に疑問と怒りを感じられずにはいられなかった。その思いを強くするあまり、彼は反アパルトヘイトを訴えた政治活動に身を投じていくが、それと同時に当局から目を付けられるように。活動は熱を帯び、ついには国家反逆罪で逮捕され、終身刑という重い判決を下されてしまう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「マンデラの名もなき看守」や「インビクタス」など、南アフリカ共和国の元大統領・ネルソン・マンデラを描いた作品はたくさんありますが、これは自伝を元にした作品なので、神格化されたマンデラではなく、一人の人間としてのマンデラを知り、そうだからこそ彼の偉大さに気が付く作品となっています。

 

弁護士として活躍していたマンデラ(イドリス・エルバ)、結婚もしてアパルトヘイト政策の中でも平穏に暮していた。

しかし、弁護士として、日々差別や偏見に触れるうちに政治活動に参加するようになり、やがて妻とも離婚し、ますます政治にのめり込んでいく。

政府の、反政府運動への弾圧もどんどん厳しくなっていった。

マンデラたちも、平和的な運動に留まれず、暴力に訴えるようになっていった。

 

ナオミ・ハリス(ウィニー・マンデラ)と再婚し、子供も産まれて幸せに暮らしていたが、ある日国家警察が家にきて、国家反逆罪で連行された。

 

そこから27年、同士たちとともに獄中生活を送る。

 

その間も、南アフリカでは虐げられた黒人たちによってさらに過激な反政府活動が行われていた。

その先頭に立っていたのがウィニー。

度重なる当局の圧力や投獄にもめげず、人々の熱烈な支持を集める女性戦士と変貌していく。

 

そして、マンデラが解放された時、ウィニーとマンデラは支持者に仲睦まじいところを見せるが、27年という隔たりは埋め難く、二人は離婚という道を選ぶ。

  釈放後、仲睦まじいネルソンとウィニーだったが。

私もウィニーとの離婚が不思議だったのです。

でも、この映画を見てわかりました。

人は変わります。

27年間、社会と隔絶した状態で思慮を深めたマンデラと、現実の社会で身を挺して闘ってきたウィニーとでは、全く価値観も考え方も違ってしまったのでした。

 

「生まれたときから、肌の色や育ち、宗教で他人を憎む人などいない。

人は憎むことを学ぶのだ。

もし憎しみを学べるのなら、愛を教えることもできる。

愛は憎しみに比べ、より自然に人間の心に届く」

というマンデラ。

人がそこまで悟りを開くのは、並みの人間ではないということがわかります。

 

そういうマンデラだからこそ、人種を越えてアパルトヘイト政策撤廃の後の初代大統領に選ばれたのです。

白人たちは恐れていました。

1割の白人が9割の黒人を支配して来たのですもの、報復は怖いに決まっている。

でもマンデラならと、人々は南アフリカの未来を彼に託したのでした。

 

奇跡のようなことですが、人は変われるし、人は赦せるし、平和だって絵に書いた餅ではない、自分たちの力で実現できるのだと、全世界の人々に希望を与えてくれた出来事でした。

 

2013125日に、95歳で逝去されたマンデラ元大統領の偉大さを、しみじみかみしめる作品でした。

 

美女と野獣

2014-11-19 11:41:53 | 映画ー劇場鑑賞

ー美女と野獣ーLA BELLE ET LA BETE/BEAUTY AND THE BEAST

2014年 フランス、ドイツ 113

クリストフ・ガンズ監督 レア・セドゥ(ベル)ヴァンサン・カッセル(野獣/王子)アンドレ・デュソリエ(商人)イボンフ・カッターフェルト(プリンセス)

 

【解説】

映画やアニメーションなどで世界中の人々に愛されてきた世界的に著名な小説を、『サイレントヒル』などのフランスの異才クリストフ・ガンズ監督が映画化。『アデル、ブルーは熱い色』などのレア・セドゥがヒロインを演じ、野獣の姿をした王子の秘密に迫っていく。孤高の野獣を『ブラック・スワン』などのヴァンサン・カッセルが好演。美しくも切ない真実の愛の物語に胸が震える。

 

【あらすじ】

バラを盗んだ代償に命をささげるよう言われた父親の代わりに、若く美しい娘ベル(レア・セドゥ)が野獣(ヴァンサン・カッセル)の住む城に連れていかれてしまう。彼女は命さえ投げ出す覚悟で城に出向いたものの、毎晩同じ時間に野獣と夕食を取る以外何の制約も受けなかった。自由に城内を移動する彼女は、恐ろしい外見の野獣の意外な過去に気付く。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

幼い頃、西洋の児童向けの小説なんかを読んでいたら、「美女と野獣」を引き合いに出されていることが多くて、どんなお話なんだろうと思っていました。

西洋の子供には常識のおとぎ話らしく、内容までは書かれていませんでした。

当時の日本では、そんなに有名なお話ではなかったのにね。

 

ディズニーのアニメが発表されたら、大好きになって、今もお気に入りの作品です。

 

でも原作は、フランス人のヴィルヌーヴ夫人が1740年に書かれた小説だったのですね。

そして、本家本元のフランスが映画化した作品。

監督のクリストフ・ガンズの「サイレントヒル」は、ホラーだけど好きな作品です。

 

なぜプリンスが野獣になったのか、というところが深く描かれていて、とてもいい内容になっていました。

レア・セドゥは、最近いろんな作品にちょこちょこ顔出しして、売れっ子ぶりを発揮していますね。

この作品でようやく、美女レア・セドゥが認知されたのではないかな?

 

野獣役のヴァンサン・カッセルは、もう貫禄という感じでした。

彼の場合は説得力だなあ。

 野獣/プリンス役のヴァンサン・カッセル 

☆ネタバレ

勇敢なプリンスが愛するプリンセスとの約束を破って、金の牝鹿を殺したために起こった悲劇。

牝鹿の正体はニンフ、プリンスに恋して人間に姿を変えていたのです。

ニンフの父である神は怒り、プリンスを醜い野獣の姿に変えてしまった。

本当の愛だけが彼を救うことができる。

 

それから何年もたって、裕福だったのに商売に失敗して悪者に終われている商人がお城のそばを通りかかり、美しいバラをみつけた。

末娘のベルにあげようと摘んだところ、野獣に襲われる。

商人は家族との別れを懇願し、家に戻されるが、その話を聞いた末娘のベルが身代わりにお城にやってくる。

 

命はないものと覚悟をしていたベルだったが、野獣はベルに美しいドレスを着せ、7時のディナーを一緒に取ることだけを要求する。

ベルは毎夜不思議な夢を見る。

プリンセスとプリンスの夢。

 

ベルは家族が恋しく、たった一度の里帰りを望む。

ベルが戻らないと自分は死ぬと、野獣はつぶやいた。

1日の猶予をもらったベルが家に帰ると、父親はベルのことが心配で病気になっていた。

ベルは必死で看病し、野獣から渡された薬で父親は意識を取り戻した。

 

ベルは野獣の真心を感じ、お城に向かう。

兄と対立する悪者によって行く手を阻まれ、野獣は瀕死となるが、命の泉で息を吹き返し、もと王子の姿に戻った。

めでたし、めでたし。

 

お城の内装や調度品も素晴らしく、ドレスも素敵でした。

あっという間の2時間弱。

おとぎ話の世界にみごとに連れていってもらえました。

 

こういう作品、好きだなあ。

 

レイルウェイ 運命の旅路

2014-11-16 12:25:47 | 映画ーDVD

ーレイルウェイ 運命の旅路ーThe Railway Man

2013年 オーストラリア、イギリス 116

ジョナサン・テプリツキー監督 コリン・ファース(エリック・ローマクス)ニコール・キッドマン(パトリシア・ローマクス)ジェレミー・アーヴァイン(若きエリック)ステラン・スカルスガルド(フィンレイ)真田広之(永瀬隆)サム・リード(若きフィンレイ)石田淡朗(若き永瀬)

 

【解説】

コリン・ファース、ニコール・キッドマン、真田広之が共演を果たし、エリック・ローマクスの自叙伝を映画化した歴史ドラマ。第2次世界大戦時、タイとビルマ間を往来する泰緬鉄道の建設に捕虜として従事させられたイギリス人将校の姿を追う。ほかに『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどのステラン・スカルスガルドや『戦火の馬』などのジェレミー・アーヴァインらが出演。むごたらしい戦争体験はもとより、実話をベースに描かれる次世代にも伝えるべき物語のてん末に息をのむ。

 

【あらすじ】

2次世界大戦中に日本軍の捕虜となったエリック(コリン・ファース)は、タイとビルマ間を走る泰緬鉄道建設のための強制労働に就かされる。彼は過酷な戦争体験に苦しみながらも、妻パトリシア(ニコール・キッドマン)と一緒に穏やかな日々を送ろうとしていた。そんなある日、エリックは当時施設にいた日本人通訳の永瀬(真田広之)が生存していると知る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

これは日本人にとって辛い映画です。

名作「戦場に架ける橋」と同じ泰緬鉄道(タイ-ビルマ鉄道)の話です。

 

この鉄道は第二次世界大戦中にタイとビルマを結んでいた鉄道で、旧日本軍によって建設運行されたが、戦後連合軍によって部分的に撤去され、現在はナムトックサイヨークノイ停車場で途切れている。大量の死者を出した過酷な建設労働から英語圏ではむしろ「死の鉄道(Death Railway)」の名で知られる。(ウィキペデア)

 

最初に事実に基づく物語というテロップが出て、主人公の手記を元に作られた映画だということがわかります。

 

エリック(コリン・ファース)は、第2次世界大戦中に日本軍の捕虜になった経験がトラウマとなり、時ともなく襲われる発作に一人苦しんでいた。

退役軍人の集まりでも、誰とも話さず孤独に鉄道関係の本や時刻表を眺めていた。

 

そんな彼がある日、運命の人パトリシア(ニコール・キッドマン)に会った。

パトリシアと結婚したエリックだったが、トラウマによるパニック障害はますますひどくなっていった。

 

そんなときに、日本軍の憲兵隊で通訳をしていた永野隆(真田広之)が泰緬鉄道の近くで憲兵博物館の案内人をしていることを知る。

戦友のフィンレイ(ステラン・スカルスガルド)の自殺を機に、エリックは永野隆に会いに出かけた。

 

☆ネタバレ

泰緬鉄道建設にあたり、動員された連合軍捕虜は62000千人で、そのうち12619人が亡くなったと言います。

その他にも、タイ人、ミャンマー人、マレーシア人、インドネシア人労働者が使われましたが、建設現場は劣悪な労働環境で、食料不足からくる栄養失調とコレラやマラリアにかかって死者が莫大な数にのぼったそうです。(ウィキペデイアより)

 

エリックは、仲間たちと脱走計画を企てていたのがバレた上に、趣味で書いていた鉄道地図がみつかり、スパイ容疑をかけられ、残酷な拷問を受けました。

 

戦後、泰緬鉄道建設を担った鉄道連隊に所属する兵士や連合軍捕虜を取り扱った俘虜収容所の関係者らが、BC級戦犯として「捕虜虐待」などの戦争犯罪に問われ、処刑されたにもかかわらず、永野隆は通訳であったために処刑を免れたのでした。

 

エリックはそんな彼を許せず、対決のために現地に向かったのです。

 

対峙した永野とエリック。

このシーンはすごい緊張感で、どきどきします。

でも、このシーンは日本人の私にも納得できる見せ場になっていました。

二人の名優のお陰ですね。

 

この後、エリックはパトリシアと現地を訪れ、永野と和解します。

二人の交流はエリックが亡くなるまで続き、ふたり共著で本も出したようです。

 

エリックの赦しの精神も素晴らしいですが、永野隆という人の生き方もまた素晴らしかったことがうかがえます。

映画ではあまり多くは語られていなくて残念でしたが、彼は泰緬鉄道建設に当たり何が起きたかを証言し、イギリス軍の墓地捜索たちの通訳となります。

日本に帰国してからは、教師や私塾の経営などしながら、毎年タイを訪れ、泰緬鉄道建設に駆り出されて病死などで死亡した連合国兵士およびアジア人兵士労働者を慰霊し、1995年から横浜市でイギリス連邦軍戦死者の追悼礼拝を開催。2002年、イギリス政府より特別感謝状を受けています。93歳で亡くなられました。(ウィキペディアより)

 

どんな素晴らしい人格を持った人でも、戦争は人間性を破壊していきます。

それが戦争なんです。

戦争が終わったからといって、破壊された人間性を取り戻すために、一生を使い切る人もいるのです。

 

こうして語り継がれる物語があるというのが、素晴らしいと思いました。

ちょっと辛くてしんどいけど、ぜひ見て下さい。

 


秘密と嘘

2014-11-15 11:11:16 | 映画ーDVD

ー秘密と嘘ーSECRETS & LIES

1996年 イギリス 142

マイク・リー監督・脚本 ブレンダ・ブレシン(シンシア)ティモシー・スポール(モーリス)フィリス・ローガン クレア・ラッシュブルック マリアンヌ・ジャン=バプティスト(ホーテンス) エリザベス・バーリントン リー・ロス

 

【解説】

96年度のカンヌ、パルムドール大賞を受賞したヒューマン・ドラマ。教養もなくひたすら陽気なだけが取り柄のような中年女シンシア。だがしかし、彼女にはどこか暗い陰りがあった。私生児の娘ロクサンヌと二人暮らしの彼女は、若い時分のふしだらさを年頃の娘に非難されてばかりいたのだ。子供のいない写真館を営む弟のモーリスは姪っこ可愛さに、姉を経済的に援助している。人生の成功者である彼も、浪費家の妻と共にどこか救われない悲しさを抱えている……(allcinema ONLAINE)

 

【感想】

また、素敵な作品を発掘しました。

これは、これは!

 

マイク・リー監督はわりと最近に「家族の庭」を見ました。

ずいぶん突き放した描き方でちょっと冷たい感じがしましたが、この作品は、突き放した描き方は変わりませんが、見終わった後、温かい涙がこぼれました。

 

モーリス(ティモシー・スポール)は写真館を営んでいる。

妻と二人の裕福な暮らし、1年前に家を新築した。

子供がないので、姉シンシア(ブレンダ・ブレシン)の娘ロクサンヌをかわいがっている。

でも、ロクサンヌも思春期からは疎遠になってしまった。

そんな夫の気持ちを察して、妻はロクサンヌの21歳の誕生日を我が家で開こうと提案する。

 

そんな優しい妻なのに、ときどき腹痛やいらいらに悩まされて、体調が悪そうだ。

ぜいたくだけがはけ口になっている。

 

一方、シンシアはおんぼろの実家で、母亡き後、父と弟のモーリスの世話をして来た。

ロクサンヌができた後は、工場で働きながら暮しているシングルマザー。

モーリスの援助も少し受けている様子。

一人娘のロクサンヌは市役所で路上のゴミ掃除を担当している。

ボーイフレンドとくっついたり別れたり、母が父親もわからない自分を産んだことを暗に非難していて、親子の関係は悪い。

 

ホーテンス(マリアンヌ・ジャン=バプティス)は、検眼士をしている独身女性。

最近母親を亡くした。

7歳のときに両親から自分は養女であることを打ち明けられていた。

母が亡くなったことを機に、実の親を捜し始めた。

法律が変わって、出生届が開示されたのだ。

自分の母親が白人のシンシアだと言うことを知る。

そう、ホーテンスの肌の色は黒だった。

 

☆ネタバレ

ホーテンスから連絡を受けたシンシアはびっくりするが、二人は会うこととなった。

当時16歳だったシンシアは、自分の産んだ赤ん坊も見ずに養子に出してしまっていた。

まさか黒人の子供とも思っていなかった。

男か女かも知らなかったのだ。

 

しかし、ホーテンスには動揺する母を受け入れる器があった。

 

シンシアとホーテンスはしばしば会うようになった。

本来陽気で情に厚いシンシアは、ホーテンスも実の子として愛するようになる。

 

そして、モーリスの家でのロクサンヌの誕生会にもホーテンスを招待した。

 

☆ネタバレのネタバレ

家族が持ち寄った「秘密と嘘」。

ここで、シンシアの考えのなさからホーテンスがロクサンヌの姉だということを明かされる。

何も知らされていなくて、傷ついたロクサンヌは家を飛び出すが、モーリスに諭され戻ってくる。

この家族の話し合いが、この作品の真骨頂。

モーリスの妻の不妊の苦しみも語られ、シンシアは心から同情する。

そして、モーリスはここまでのホーテンスの忍耐を賞賛するのだった。

 

ここですよね。

母に捨てられて、しかも黒人であるホーテンス、一番傷ついているはずのホーテンスをモーリスが賞賛するシーン、ティモシー・スポールの演技が素晴らしいです。

「ハリポタ」シリーズの鼠男ですけどね。

 

ホーテンスは何があっても冷静ですが、それは実の親を捜そうと決心したときに、何があっても受け入れようと、覚悟を決めたからなのでしょう。

ホーテンスの真実に立ち向かう勇気が、秘密と嘘に塗り固められた家族に幸せの扉を開けたのでしょう。

 

ラストは日の当たるシンシアの家の庭で、二人の娘に囲まれてお茶を飲んでいます。

「人生っていいわね」とシンシアが言う。

あなたが言うか?と突っ込みそうになりますが、ほんと、そうかもしれませんね。

モーリスの妻のように、夫も家もあってぜいたくできても、絶対に手に入らないものもある。

何が自分にとって大切かという話ですが。

シンシアも辛い人生でしたが、結果がよければすべてよしなのでしょう。

子供が財産、家族が財産。

私も実感だなあ。

 

若い人には、家族を作る努力をして欲しいというのが、おばちゃんとしての私の願いです。

若い人たちに幸あれ。

 


グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

2014-11-14 11:35:55 | 映画ー劇場鑑賞

ーグレース・オブ・モナコ 公妃の切り札ーGRACE OF MONACO

2014年 フランス,アメリカ,ベルギー,イタリア 103

オリヴィエ・ダアン監督 ニコール・キッドマン(グレース公妃)ティム・ロス(レーニエ3世)フランク・ランジェラ(タッカー神父)パズ・ヴェガ(マリア・カラス)パーカー・ポージー(マッジ)マイロ・ヴィンティミリア(ルパート・アラン)デレク・ジャコビ(デリエール伯爵)ロバート・リンゼイ(オナシス)ジェラルディン・ソマーヴィル

ニコラス・ファレル(アントワネット)アンドレ・ペンヴルン(シャルル・ド・ゴール)ロジャー・アシュトン=グリフィス(ヒッチコック)

 

【解説】

ハリウッド女優からモナコ公妃となったグレース・ケリーの華やかなシンデレラストーリーの裏に隠された激動の半生に迫る伝記ドラマ。夫のモナコ大公レーニエ3世と、当時のフランス大統領シャルル・ド・ゴールとの間に起きた国家的危機に立ち向かっていく姿を描く。『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』などのオリヴィエ・ダアンがメガホンを取り、主演は人気女優ニコール・キッドマン。『ロブ・ロイ/ロマンに生きた男』などのティム・ロス、『フロスト×ニクソン』などのフランク・ランジェラらが共演。

 

【あらすじ】

女優を引退しモナコ大公レーニエ3世(ティム・ロス)と結婚した公妃グレース(ニコール・キッドマン)は、アルフレッド・ヒッチコック監督からの新作オファーに心が揺れていた。そんな折、夫の推し進めていた政策が当時のフランス大統領シャルル・ド・ゴールを激怒させ、武力衝突に発展する可能性もある危機に直面。彼女はスクリーン復帰か、家族そして国家のために全てをささげるかの選択に直面し……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

グレース・ケリーの物語というから、おとぎ話のようなプリンセスもの、あるいは不慮の事故で亡くなった悲劇の物語かと想像していましたが、まったく違うお話でした。

 

クールビューティと歌われた清楚なグレース・ケリーと肉食系美女のニコール・キッドマンは全く似ていないですが、それでも全く問題なし。

これはグレースのシチュエーションを借りた、ニコールの映画でした。

辛口ではないですよ。

それほどニコールが素敵ということです。

 

女優を引退してモナコで暮して数年が経つグレースの元にヒッチコックが訪ねてきます。

新作「マーニー」の主役は君しかない、とグレースを口説きます。

 

グレースはモナコの生活になじめないでいました。

まず、公用語のフランス語になじめない、社交界の女は政治に口を出しては行けないという暗黙の了解にもなじめないでいました。

 

そこへきたハリウッドからの誘い。

心が揺らぎます。

しかし、その情報はリークされ出演を断念せざる得ない事態に。

 

そしてそのころ、モナコに対してフランスが圧力をかけて来て、両国は一触即発状態に追い込まれました。

 

☆ネタバレ

こういう事態もあったのかもしれませんが、この問題自体はフィクションだということです。

 

グレースはハリウッド復帰は諦めますが、モナコで女優の才能を生かそうと考えました。

フランス語やマナーを学び、一世一代のヒロインを勤めます。

そのスピーチが素晴らしい。

国の危機を救った切り札、というわけです。

 

グレースとレーニエの信頼関係も素敵でした。

現代のシンデレラとして、世界中の女性から羨望のまなざしを向けられていたグレース。

でも、現実はさまざまな難しいことと向き合う毎日だったことでしょう。

 

カメラは幾度もニコールをアップで捉え、ニコールは目の動きでグレースの内面の感情を表現します。

さすが千両役者、ニコールの独壇場!!

ブラボー!!

 


ハンナ・アーレント

2014-11-14 11:26:35 | 映画ーDVD

ーハンナ・アーレントーHANNAH ARENDT

2012年 ドイツ 114

マルガレーテ・フォン・トロッタ監督・脚本 バルバラ・スコヴァ(ハンナ・アーレント)アクセル・ミルベルク(ハインリヒ・ブリュッヒャー)ジャネット・マクティア(メアリー・マッカーシー)ユリア・イェンチ(ロッテ・ケラー)ウルリッヒ・ノエテン(ハンス・ヨナス)ミヒャエル・デーゲン(クルト・ブルーメンフェルト)

 

【解説】

『ローザ・ルクセンブルグ』のマルガレーテ・フォン・トロッタ監督と、主演のバルバラ・スコヴァが再び手を組んだ感動の歴史ドラマ。ドイツで生まれ、第2次世界大戦中にナチスの収容所から逃れてアメリカに亡命した哲学者ハンナ・アーレントの不屈の戦いを描く。彼女の親友役を『アルバート氏の人生』のジャネット・マクティアが好演。信念に基づき冷静に意見を述べた哲学者の希有(けう)な才能と勇気に脱帽。

 

【あらすじ】

1960年、ナチス親衛隊でユダヤ人の強制収容所移送の責任者だったアドルフ・アイヒマンが、イスラエル諜報(ちょうほう)部に逮捕される。ニューヨークで暮らすドイツ系ユダヤ人の著名な哲学者ハンナ(バルバラ・スコヴァ)は、彼の裁判の傍聴を希望。だが、彼女が発表した傍聴記事は大きな波紋を呼び……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、とても考えさせられる普遍のテーマを提示しています。

これは多くの人に見ていただきたい、戦争の本質に迫る作品です。

 

ドイツ系ユダヤ人のハンナ(バルバラ・スコヴァ)は裕福な家庭に育った。

大学時代、ハイデッカーの講義を受け哲学に没頭した。

ハイデガーとは師弟関係を越え、不倫関係となったハンナだが、ナチスのユダヤ人迫害が激しくなり、ハイデガーがナチスに入党して二人の関係は終わった。

 

ハンナはフランスの強制収容所に連行されるが脱出し、夫ハインリヒ・ブリュッヒャー(アクセル・ミルベルク)と母とともにアメリカに亡命する。

戦争後はアメリカの大学で教え、ブリストン大学で初の女性専任教授に抜擢、充実した日々を送っていた。

 

1961年、アドルフ・アイヒマンが逮捕され、イスラエルで裁判を受けるというニュースを聞き、裁判をレポートするためにイスラエルに向かった。

そして2年後、ニューヨーカー誌に裁判傍聴レポートを連載し始めるとすぐに、全米で激しい論戦を巻き起こした。

沈黙を守るハンナに世間の風当たりは厳しく、大学教授の職まで失いかねない勢いだった。

ハンナは、自分の主張に間違いがないという確信があったので誹謗中傷を無視していたが、大学からの仕打ちには我慢がならず、反論に出た。

 

ハンナは、アイヒマンを「悪の陳腐さ」と表現し、完全に官僚化されたアイヒマンの行動を論理的に喝破した。

さらに、ユダヤ人指導者の果たした役割に付いても批判したので、ユダヤ人社会から反目を受けたのだ。

ハンナは、ナチスも私たちと同じように人間であるというところから考え始め、人間の何が全体主義となるのかを突き詰めた。

 

考えることが人間を強くすると言う彼女の言葉に、戦争をしない勇気をもらえたらいいなあと思いました。

ハンナは、かつての師、かつての恋人であるハイデガーの名誉回復にも尽力したと言います。

批判を恐れず、人種を越えて人間を見つめ、人間を愛したハンナに物語は、強く胸を打ちました。

オススメです。

 


ドン・ジョン

2014-11-14 11:06:35 | 映画ーDVD

ードン・ジョンーDON JON

2013年 アメリカ 90

 

ジョセフ・ゴードン=レビット監督 ジョセフ・ゴードン=レビット(ジョン・ドン・ジョン・マテーロ・ジュニア)スカーレット・ヨハンソン(バーバラ・シュガーマン)ジュリアン・ムーア(エスター)アン・ハサウェイとチャニング・テイタム(映画の中の人物)

 

【解説】

ジョセフ・ゴードン=レヴィットが初の監督を務め、第63回ベルリン国際映画祭をはじめ多方面から高く評価されたラブコメディー。モテモテのプレーボーイにもかかわらず理想の女性、愛を求めポルノ鑑賞にハマる青年が全然違うタイプの女性2人と出会ったことで、新たな価値観にたどり着くさまを描く。ジョセフふんする主人公の人生を変える女性を、スカーレット・ヨハンソンとジュリアン・ムーアが演じる。

 

【あらすじ】

家族関係は良く教会通いも欠かさないジョン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、ナンパにかけては無敵で周囲からは伝説のプレーボーイ、ドン・ファンにちなみドン・ジョンと呼ばれていた。誰もがうらやむモテ男なのだが満たされない彼は、さらなる快楽を求め日々ポルノ鑑賞に熱中。そんなある日、正反対のタイプの女性2人と出会った彼は、接していくうちに自身の人生を見つめ直していく。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの初監督作品なんだ!

というのも、ジョセフ・ゴードン=レヴィットって「(500日の)サマー」で初めて彼の名前を覚えて、あの作品の主人公はおとなしくひかえめでお行儀のいい青年だったので、その印象がとても強かった。

その後も「インセプション」とか、「ダークナイト ライジング」のロビンとか、どちらかというと清潔なイメージ。

でも、この作品はマッチョで頭の中まで筋肉むきむきみたいな主人公。

主演だけならイメージチェンジかなともおもうけど、初監督作品となれば、思い入れも深い作品なのでしょうね。

 

予告編ではかなり過激そうと思ったけど、見終わってみれば、自分探し、成長物語になっていて、作品自体は平凡でした。

ちょっと物足りない気もするんだけど、その分いろんな人が楽しめるんじゃないかな。

 

家族も仲がよく、信心深く、もてもてなジョン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。

ナンパしても100発100中、夜のデートまで完結しちゃう。

人呼んで「ドン・ジョン」。

でも、生身の女性では物足りない、さらにポルノにハマっていると言う絶倫男です。

ポルノがやめられないのは自己中だから。

生身の女の子は自分の思い通りにはいかないからね。

 

ある日、理想の女性バーバラ(スカーレット・ヨハンソン)に出会い、自己中男が恋の奴隷となるのだが、ポルノ狂いはやめられなかった。

バーバラも自己中女で、ジョンのことを理想の男性に育てたがった。

結局は破局。

傷心のジョンは、夜学で知り合ったエスター(ジュリアン・ムーア)と付き合ううちに、人生を見直すきっかけを見つけた。

 

インターネットのお陰で、自分の好みがピンポイントで探せる世の中。

人の指向はどんどん狭くなり、どんどんコミュニケーションがいらなくなるような気がしています。

自分の好みを人に押し付けたり、好みが少しでも違うと拒否したり、人間関係が難しくなっている気がします。

セックスも然りなのでしょう。

 

やはりいい出会いを大切に、相手のことを思いやり、自分を成長させて行くのが大切だということですね。

気楽にどうぞ。