ーはじまりへの旅ーCAPTAIN FANTASTIC
2016年 アメリカ 119分
監督・脚本=マット・ロス キャスト=ヴィゴ・モーテンセン (ベン) フランク・ランジェラ (ジャック) キャスリン・ハーン (ハーパー) スティーヴ・ザーン (デイヴ)
【解説】
第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門での監督賞受賞を筆頭に、各国映画祭で賞を獲得したロードムービー。森の奥深くで社会と交わらずに生きる一家が、死んだ母親の葬儀のためにアメリカの北西部から南西部へと旅をしながら騒動を巻き起こす。監督は、俳優としても活躍する『あるふたりの情事、28の部屋』などのマット・ロス。『イースタン・プロミス』などのヴィゴ・モーテンセン、『パレードへようこそ』などのジョージ・マッケイ、『フロスト×ニクソン』などのフランク・ランジェラらが顔をそろえる。
【あらすじ】
アメリカ北西部の森の奥深くで、6人の子供と暮らしているベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)。子供たちは社会と接点を持っていないが、厳格なベンが課す特訓と熱心な教育によって全員がスポーツ選手並みの体力を誇り、6か国語を自在に話し、長男に至ってはあらゆる名門大学に合格していた。そんな中、入院していた子供たちの母レスリーが他界し、一家は葬儀が行われるニューメキシコへ向けて旅に出ることに。およそ2,400キロメートルもの長い道のりを行く彼らだが、世間知らずゆえに先々で騒動を起こしてしまう。(シネマトゥデイ)
【感想】
独特の世界観、教育観を持つ父親であるベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)は、アメリカ北西部の森の奥深くで、18歳から8歳までの子供たちと自給自足の暮らしをしている。
子供たちは学校にはいっていないが、ベンの指導のもと体と精神を鍛え、読書に励んでいる。
6ヶ国語を操り、長男のボウは、父親に内緒にしているが一流大学6校から入学許可が届いている。
ベンはノーム・チョムスキーに傾倒していて、子供たちとその生誕を祝い、プレゼントはサバイバルナイフ。
チョムスキーは、アメリカ合衆国の哲学者、言語哲学者、言語学者、認知科学者、論理学者。 彼は50年以上在籍するマサチューセッツ工科大学の言語学および言語哲学の研究所教授 (Institute Professor) 兼名誉教授である。(ウィキペディア)
病気療養中だった子供たちの母親レスリーが自殺したという知らせが、ベンの妹ハーパー(キャスリン・ハーン )から入る。
ベンと仲が悪い舅のジャック(フランク・ランジェラ )から、葬儀に来るなと言われる。
子供たちは母の葬儀に行くことを望み、おんぼろバスに乗って葬儀会場のニューメキシコを目指す。
途中、ハーパーの家にも寄り、子供たちは森と違う価値観の生活を知る。
ハーパーはベンの生き方を批判する。
子供の中にも、ベンのやり方に疑問を持つ者も現れる。
葬儀が行われている教会に乗り込みひと悶着を起こす。
リスリーは火葬を望んでいたが、ジャックは土葬にし、譲らない。
ベンは子供たちをジャックに預け、自分は身を隠そうとするが、子供たちは父を追い、お墓からレスリーの死体を掘り出して、母が生前望んでいた自分たちのやり方で弔う。
リスリーは双極性統合失調症で、その病気を治すためにも一家は森での生活を始めた。
レスリーにとっても理想の暮らしだったのだ。
しかし、病は重く、最悪の結果となった。
家族は再び理解し合い、ボウの旅立ちもあり、社会の中で生きていくことを選択する。
ボウ以外の子供たちは学校へ通い始めたのだ。
理想の育て方をしようとする父親を演じたヴィゴ・モーテンセンが素敵です。
妻を愛し、子供を愛し、頼れるお茶目なお父さん。
今年のアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされていました。
とてもチャーミングでした。
子供たちもすごく可愛い。
お母さんの死体を掘り返した時は、今からホラーになるのかと怯えましたが、とても綺麗なお母さんが現れてホッとしました。
タイトルが「キャプテン ファンタジック」
ベンはまさにそんな感じでしたね。
この家族は、この先どんな困難があっても乗り越えていくでしょうね。
愛が溢れるラストでした。