ージャージーボーイズーJERSEY BOYS
2014年 アメリカ 134分
クリント・イーストウッド監督 ジョン・ロイド・ヤング(フランキー・ヴァリ)エリック・バーゲン(ボブ・コーディオ)マイケル・ロメンダ(ニック・マッシ)ヴィンセント・ピアッツァ(トミー・デヴィート)クリストファー・ウォーケン(ジップ・デカルロ)
【解説】
『グラン・トリノ』などの名匠クリント・イーストウッドが監督を務め、ブロードウェイの大ヒットミュージカルを基に描くドラマ。1960年代にザ・ビートルズと並ぶほどの人気を誇ったアメリカのポップスグループ、ザ・フォー・シーズンズの光と影を数々の名曲と共に映し出す。ブロードウェイ版同様ジョン・ロイド・ヤングが、バンドのリードボーカル役を担当。グループの宿命でもあるメンバーの友情と不和、栄光と転落の物語が胸に響く。
【あらすじ】
ニュージャージー州の貧しい町で生まれ育った4人の青年たちは、その掃きだめのような場所から逃れるために歌手を目指す。コネも金もない彼らだが、天性の歌声と曲作りの才能、そして素晴らしいチームワークが生んだ最高のハーモニーがあった。やがて彼らは「ザ・フォー・シーズンズ」というバンドを結成し、瞬く間にトップスターの座に就くが……。(シネマトゥデイ)
【感想】
これ、ブロードウェイミュージカルなんですね。
クリント・イーストウッドが映画化するなんて、ちょっと違和感があります。
でも考えてみれば、イーストウッド監督は音楽も大好きだし、しかもこれはイーストウッド監督お得意の少年魂についてのお話でした。
物語は、出演者が順番に回想を語りながら進んでいきます。
ニュージャージーの貧しいイタリア移民の青年トミー・デヴィート(ヴィンセント・ピアッツァ)は、盗品を売買したり盗みを働いたりする不良少年で、兄のニック(マイケル・ロメンダ)とともに、刑務所を出たり入ったりする有様だったが、音楽には才能がありナイトクラブで兄とともにライブ演奏をしていた。
トミーは、美しいファルセットの歌声を持つ少年フランキー・カステルチオ(のちのヴァリ=ジョン・ロイド・ヤング)を自分たちのメンバーに加えようとしていた。
マフィアのボスに気に入られているフランキー
フランキーの歌声は、地元の有力なマフィアのボスジップ・デカルロ(クリストファー・ウォーケン)をも魅了するが、なかなかデビューの機会がつかめないでいた。
そんなときに才能豊かなソングライター、ボブ・ゴーディオ(エリック・バーゲン)と出会い、バンド名も「フォーシーズンズ」と改めた彼らは、「シェリー」を皮切りに、次々とヒット曲を生み出していく。
ボブ・コーディと出会う
☆ネタバレ
スターダムにのし上がった彼らだったが、お定まりの仲間割れ、金銭トラブルに見舞われ、バンドは解散。
借金は残る。
フランキーは借金を返すために地方巡業に励むが、留守がちな家庭は、妻がアル中になり家族はバラバラ、才能のあった愛娘が麻薬の過剰摂取で亡くなるという悲劇に見舞われる。
愛娘と話し合うフランキー
それでもフランキーは歌い続け、ついに「君の瞳に恋してる」が大ヒット。
1990年にロックの殿堂入りを果たし、グループが再会するところまでを描いています。
ロックの殿堂入りを果たす
夫と一緒に見に行ったのですが、彼は途中から泣いていたようでした。
いい映画だけど泣くほどとは思わなかったので、後で感想を聞いてみると、音楽に目覚めた頃に聞いていたのが「シェリー」で、それがポップスへの入り口となり、ビートルズファンへとつながったようです。
少年の日が蘇ったと言うわけです。
そう思ってイーストウッド映画を振り返ると、「グラントリノ」もピュアな少年の心を持った老人のお話でした。
「ミスティックリバー」、私はちょっとかわいそう過ぎて苦手なんだけど、あれも少年の頃を引きずっている人たちのお話でしたね。
彼の作品が男性の心をぎゅっと捉えて話さないのは、こんなふうに少年魂を語るからかなあと思いました。
ボブ・コーディオをフランキーたちに紹介したのが、のちの映画俳優のジョー・ペシという裏話も披露されていました。
主演のジョン・ロイド・ヤングはブロードウェイの舞台でも主演を務めている人です。
そしてラスト、出演者が揃って踊り出すシーンはとても素敵でした。
いつまでも少年の心をなくさないから、いくつになっても若々しい作品が撮れるのかなあ?
さすがイーストウッド監督!という作品でした。
ブラボー!!