マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

アメリカン・ギャングスター

2008-02-17 14:58:19 | 映画ー劇場鑑賞
ーアメリカン・ギャングスターー
2007年 アメリカ リドリー・スコット監督 デンゼル・ワシントン(フランク・ルーカス)ラッセル・クロウ(リッチー・ロバーツ)キウェテル・イジョフォー(ヒューイ・ルーカス)キューバ・グッディング・Jr(ニッキー・バーンズ)ジョシュ・ブローリン(トルーポ刑事)テッド・レヴィン(ルー・トバック地方検事)アーマンド・アサンテ(ドミニク・カッターノ)ジョン・オーティス(ジェイ・リヴェラ)ジョン・ホークス(フレディ・スピアマン)カーラ・グギーノ(ローリー・ロバーツ)RZA(モーゼス・ジョーンズ)ルビー・ディー(ママ・ルーカス)コモン(ターナー・ルーカス)ライマリ・ナダル(エヴァ)ロジャー・グーンヴァー・スミス(ネイト)マルコム・グッドウィン(ジミー・ジー)ユル・ヴァスケス(アルフォンゾ・アブルッゾ)リッチー・コスター(ジョーイ・サダーノ)ワーナー・ミラー(メルヴィン・ルーカス)アルバート・ジョーンズ(テレンス・ルーカス)J・カイル・マンゼイ(デクスター・ルーカス)ティップ・ハリス(スティービー・ルーカス)

【解説】
1970年代のニューヨークを舞台に実在した伝説のギャング、フランク・ルーカスの半生を描く犯罪サスペンス。『グラディエーター』の名匠、リドリー・スコット監督がメガホンを取り、しがない運転手から麻薬王にまで上りつめた男の一代記を骨太に描く。主演はオスカー俳優のデンゼル・ワシントン。彼を追う刑事を同じくオスカー俳優のラッセル・クロウが演じる。型破りなギャングスターの知られざる実像、多くの有名アーティストによるゲスト出演などに注目。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
1970年代の初頭のニューヨークで、ハーレムを牛耳っているギャングのボスの運転手をしていたフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、ボスの亡き後、東南アジアの麻薬を密輸する計画を決行する。時に横暴ともいえる強引なやり方で財力をつけたフランクは、マフィアにも一目置かれる麻薬王として街に君臨する。(シネマトゥデイ)

【感想】
この映画は実話なので、ギャング映画にありがちな銃撃戦や派手なアクションは少なかったです。
でも、こういう歴史の裏話ってなかなか興味深いものがありました。

ハーレムを仕切っていた黒人のギャングのボスが死んだ。
運転手として信頼を得て、彼に影のようにぴったりとくっついていた男フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、ボスの死から多くのことを学んだ。
自分から見れば雲の上の存在であるボスでさえ、イタリア人マフィアに搾取されているに過ぎず、時代の流れによっては、右往左往するはかない存在だということを思い知ったのだ。
彼は、麻薬取引きをベトナム戦争を利用して東南アジアから直に輸入するというシステムを確立させ、莫大な富を得る。
そのやり方は、イタリアンマフィアに習い、ファミリーで固め、秘密が外部に漏れないように周到に守られていた。
しかも彼らは、質素で目立たない日常生活をおくって、警察当局や世間の目も欺いていた。

 フランクと兄弟たち

一方、ブルックリンから川を隔てたニュージャージの刑事リッチーは、女癖はいたって悪く、別れた妻とも息子の親権を巡って裁判中の身の上だが、不正は一切しないという信念の持ち主。
トランクにお金がたくさん積まれた自動車を見つけて、警察に届けたというだけで、仲間の刑事からも、あろうことか相棒からも疎んじられる存在。
このころの警察は、賄賂天国、すごく腐敗していたようです。

☆ネタバレ
その彼が、不正に組みしないという評価から「ブルーマジック」という麻薬のブランドの捜査を任される。
チームが結成され、調査が開始された。

彼の目に止まったのが、派手な毛皮のコートとお揃いの帽子をかぶり、世紀の大試合「アリ対フレージャー」のボクシングの試合会場の特等席に妻と陣取ったアフリカ系黒人の男。
マフィアの大親分の前の席に座り、大親分と親しく談笑する黒人、元ボクシングチャンピオンや人気歌手が挨拶して行く男、フランク・ルーカスの姿だった。

目立たない生活を心がけ、弟にも戒めていた彼が、妻に送られた豪華な毛皮のコートで馬脚を現すとはー、とても皮肉でした。

デンゼルの、切れたら殺人も眉ひとつ動かさない冷徹さでやりとげるけれども、普段は理知的な紳士と、ラッセルの、人前でのスピーチは死ぬほど嫌い、ドンパチやっている方が性に合うというがさつな刑事が、ラストに近いわずかな時間だけど、二人の間にいい関係が生まれ、利害が一致して警察の不正を暴いて行く様子は、胸がすく思いでした。

そう言う意味では、デンゼルとラッセルの演技対決が見物の映画でしょう。
刑務所から出て来たデンゼルの引き締まった顔、かっこよかったです。

だけど、このころのアメリカの警察って腐敗し過ぎー!!
この事件で警官の4分の3が逮捕されたって、ひどすぎます。
警察に正義はなかったのか?

それから、同じ黒人なのに、麻薬中毒者をどんどん増やして行くフランクもひどい。
ときどき挿入される麻薬中毒者の悲惨な映像。
同胞にすることかと、憤りを覚えました。

そう思うと、いくら腐敗を暴いたとはいえ、殺人も犯しているし、15年の刑期は短過ぎるんじゃないでしょうか?

警察当局は当時、黒人が組織的に闇社会を牛耳れるはずはないとタカをくくり、フランクにはなかなかたどり着かなかったようです。
このあたり、人種差別の根深さも感じました。