マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

クローバーフィールド/HAKAISHA

2008-10-30 11:28:17 | 映画ーDVD
ークローバーフィールド/HAKAISHA
ーCLOVERFIELD
2008年 アメリカ
マット・リーヴス監督 マイケル・スタール=デヴィッド(ロブ)マイク・ヴォーゲル(ジェイソン)オデット・ユーストマン(ベス)ジェシカ・ルーカス(リリー)リジー・キャプラン(マレーナ)T・J・ミラー(ハッド)

【解説】
巨大都市ニューヨークを舞台に、“未知の何者か”が大規模な破壊を繰り広げるSFパニック・アクション超大作。『M:i:III』のJ・J・エイブラムスによる徹底した秘密主義の下、“映画史上初めてタイトルも隠した映画”として全世界で話題が集中。監督はテレビドラマ「フェリシティの青春」シリーズなどを手掛けたマット・リーヴス。自由の女神の頭部が破壊され、突然眼前に落下してくるパニック映像や、巨大都市を崩壊と破滅に追い込む“HAKAISHA”など未曾有の展開に期待。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
とあるニューヨークの夜、日本への転属が決まり、赴任することになったロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)のために、大勢の仲間たちがサプライズ・パーティーを開く。そのパーティーの最中、突然、とてつもない爆音が聞こえ彼らが屋上へ行くと、まるで爆撃を受けたかのようにニューヨークの街がパニックに陥っていた。(シネマトゥデイ)

【感想】
アメリカでは大評判で、日本ではイマイチだったのでしょうか?
私も、パニックものはもういいわと、スルーしていたのですが、娘が「面白かった」と言うものだから、見てみる気になりました。

そうしたら、なかなか面白かった!!

最初は延々と続くホームビデオです。
恋人たちが、いちゃいちゃしているかと思うと、画面か切り替わってロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)の東京へ副社長として栄転して行くのを祝った、サプライズのお別れパーティ。
パーティを撮影しているのは、ハッド(T・J・ミラー)。
ロブの兄ジェイソン(マイク・ヴォーゲル)から頼まれて、ロブのカメラで撮っています。

ともだちたちが、カメラに向かって自己紹介と一言メッセージ。

ロブが現れて、別れた恋人ベス(オデット・ユーストマン)が新しいボーイフレンドと登場してから、二人の表情がぎくしゃくしていきます。

ロブとベスは気まずく分かれ、ベスは先に帰ってしまいました。

そこに大爆音。
テレビのニュースも異変を伝えています。
みんながビルの屋上に上がってみると、ニューヨークの町は何者かに襲われてパニツクに。

ずっと、手持ちのホームビデオで撮られている風なのですが、たぶん、とても計算されているのだと思います。
あまり画面酔いはしないと思います。
私は大丈夫でした。

結局、ニューヨークを襲っているものは何なのか、よくわからないまま終わってしまうのですが、どんな事件でも事故でも巻き込まれた人は、たぶん、その状況はわからないままだと思うので、そういう臨場感が味わえるのが新感覚でした。

9.11も思い起こさせるし、JRの事故にあった人もこんな感じだったと思いました。

途中と最後に挿入される、恋人たちの楽しかった時間。
とてもいい構成だと思いました。

映画って、自分で見てみないとわからない。
つくづく思いました。

ジャンパー

2008-10-30 11:25:58 | 映画ーDVD
ージャンパーーJUMPER
2008年 アメリカ
ダグ・リーマン監督 ヘイデン・クリステンセン(デヴィッド・ライス)ジェイミー・ベル(グリフィン・オコナー)レイチェル・ビルソン(ミリー・ハリス)サミュエル・L・ジャクソン(ローランド・コックス)ダイアン・レイン(メアリー・ライス)

【解説】
スティーヴン・グールドの傑作SF小説を、『Mr.&Mrs.スミス』のダグ・リーマンが映画化したSFアクション。世界中のどこへでもテレポートできる“ジャンパー”と、そんな彼の抹殺を使命とする謎の組織の攻防が展開する。主演は『スター・ウォーズ』シリーズのヘイデン・クリステンセン。彼の恋の相手を実生活でも交際中のレイチェル・ビルソンが演じる。ニューヨーク、ロンドン、パリ、さらには東京での撮影を敢行した世界規模のストーリーと映像が楽しめる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
ミシガン州の高校生デヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)は、自分にテレポート能力があることを発見。母が家を出て以来、人が変わった父との生活にうんざりしていたデヴィッドはニューヨークへと向かい、瞬間移動した銀行の金庫室で大金をせしめる。しかし、そんな彼を謎の男ローランド(サミュエル・L・ジャクソン)がつけ狙い……。(シネマトゥデイ)

【感想】
評判がよくないので、劇場で見るのはスルーしましたが、そんなに悪い作品じゃないです。

時空をジャンプするジャンパー。
あるとき、その才能に目覚めたデイヴィド(ヘイデン・クリステンセン)。

父親との確執。
学校での孤独。
ありがちな現代っ子です。

その彼が、特殊能力に目覚めてやったことといったら、家出からはじまって、銀行強盗。
いつでも、自由に銀行の金庫室からお金を盗み出して、ホテルのペントハウスで優雅に暮らし、世界中のどこへでも行って、お気軽にガールハント。

「ハンコック」よりひどい生活です。

ある日、ジャンパーを皆殺しにしようと昔から追いかけている組織、パラディンに襲われます。
初めて身の危険を感じるデイヴィッド。
恋人も組織に命を狙われるはめに。
しかも、失踪した母もパラディンの一味だったー。

こうして書くと、面白そうなんですが、この作品、ストーリーや設定には重要性を感じていないようです。

謎も解けないし、ラストもほったらかしです。

でも、それを補ってあまりある、ジャンプシーンのリアリティ。
これは、一見の価値有りではないでしょうか。

女帝エンペラー

2008-10-30 11:19:57 | 映画ーDVD
ー女帝エンペラーーTHE BANQUET/夜宴
2006年 中国/香港
フォン・シャオガン監督 チャン・ツィイー(ワン)ダニエル・ウー(ウールアン)グォ・ヨウ(リー)ジョウ・シュン(チンニー)ホァン・シャオミン

【解説】
五代十国時代を舞台に、純粋な愛となまめかしい欲望が交錯する宮廷を描く歴史ロマン。シェイクスピアの『ハムレット』をベースに、『ハッピー・フューネラル』のフォン・シャオガンが豪華絢爛(けんらん)な愛と復しゅうの物語を描き出す。夫の仇(かたき)に抱かれながら復しゅうを胸に秘めたヒロインを演じるのは『SAYURI』のチャン・ツィイー。官能的な演技を見せる彼女の魅力と、ワイヤーワークを駆使したダイナミックな画作りが堪能できる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
実の兄を殺して王位を奪い、甥にあたる皇太子ウールアン(ダニエル・ウー)をも抹殺しようとしていた新皇帝リー(グォ・ヨウ)。皇帝を殺された王妃ワン(チャン・ツィイー)は、密かに想いを寄せていた義理の息子である皇太子を守るため、リーとの結婚に同意する。憎き男に抱かれながら、復しゅうを胸に秘めたワンは……。(シネマトゥデイ)

【感想】
ついこの間、王妃の紋章を見たばかり。
同じ五代十国時代を舞台した映画なので、ついつい比べてしまいました。

この作品も主人公は王妃(チャン・ツィイー)。
先帝の妻だったが、先帝の弟(グォ・ヨウ)が密かに暗殺し、自分が王位を次いだ。
そして、未亡人である王妃を自分の妃として迎えたのだ。

どこかで聞いた筋書き、と思ったら、シェイクスピアの「ハムレット」を下敷きに作られたようです。

少し違っているのは、王妃は元々皇太子(ダニエル・ウー)の恋人だったということ。
王妃と皇太子は、引かれ合いながらも憎しみあい、王への復讐の機会をうかがっています。

でも、この映画の見どころは、そんな筋書きも忘れてしまうような、美しい映像でしょう。
アクションもダンスを見ているようです。
そもそも、皇太子が歌舞を愛する、歌舞のなかに逃げ込んでいるような人物です。

そこがとても美しいんだけど、ちょっと長過ぎる感じもしました。
それで、ストーリーや主人公たちの悲劇性が薄まったようでした。

「王妃の紋章」がかなりインパクトが強かったので、少し分が悪い気がしました。

文七元結

2008-10-29 11:02:48 | 映画ー劇場鑑賞
ー文七元結ー
2008年 日本
監督=山田洋次
キャスト=中村勘三郎[18代目](左官長兵衛)中村扇雀[3代目](女房お兼)中村勘太郎[2代目](手代文七)中村芝のぶ(お久)片岡亀蔵(鳶頭伊兵衛)坂東彌十郎(和泉屋清兵衛)中村芝翫(角海老女房お駒)

【解説】
日本映画界を代表する名匠、山田洋次監督が初めて歌舞伎の台本改訂と演出を手掛け、2007年10月に上演された舞台を映像化したシネマ歌舞伎。明治時代に三遊亭円朝が口演した落語を原作に、ばくち好きで情に厚い主人公の長兵衛を、歌舞伎界の大スター中村勘三郎が人間味たっぷりに演じる。山田監督と勘三郎という夢の顔合わせが実現し、中村扇雀、中村勘太郎、中村芝翫ら華やかな顔ぶれがそろった舞台の臨場感を高画質映像で味わえる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
左官の長兵衛(中村勘三郎)は腕前も人柄も良いのだが、大のばくち好きで女房とはけんかばかり。見かねた娘のお久(中村芝のぶ)は吉原に身を売る決心をしたが、事情を察した吉原の妓楼(ぎろう)の女房・お駒(中村芝翫)は長兵衛を諭し、50両を貸し与える。孝行娘の思いに改心した長兵衛だったが、帰り道に身投げをしようとしている若い男を見かけ……。(シネマトゥデイ)

【感想】
いままで、舞台をスクリーンやテレビで見ると、迫力が半減されるような気がしましたが、この作品は、山田洋次監督が手がけたからか、とても臨場感がありました。

中村勘三郎さんは、比べてはいけないのかもしれませんが、藤山寛美の全盛期を思い出させるような、エネルギッシュな演技で、圧倒してしいました。

中村勘太郎も絶妙のマで、さらに実力をつけた感じがしました。

パンフレットに、フーテンの寅と長次郎を重ね合て、いろいろ書いてありましたが、べたべたの人情話。
ほんとうに家族泣かせの、迷惑な男なのに、なぜか放っておけない長次郎と彼を取り巻く人々の心根が、見る人の心を温める作品でした。

歌舞伎にはふつう見られないカーテンコールもあり、映画じゃなかったら、スタンディングで拍手喝采したい気分でした。

当代随一といっていいくらいの勘三郎さんの舞台を、永久保存、しかも一流監督・山田洋次の手になって、未来永劫残されるのですから、これは、文化的価値も大きな作品だと思います。

でも、やはり本物の舞台で見て、観客どうし感動を分かち合いたいなあ、と思いました。

オペラ座の怪人(大阪公演)ー3回目

2008-10-29 10:43:28 | 舞台
「オペラ座の怪人」をお昼に見に行きました。(10/23)
後ろの席だと3150円。
「四季の会」に入っている友達が誘ってくれました。

さらに、舞台が終わった後『オペラ座の怪人』の日本上演20周年記念イベントがあって、250人くらいの人を5組に分けて、「マスカレード」の歌と踊りを教えてくれました。
最後は各組対抗のダンスの発表会。
ステージに上げて、ライトを浴びて、マスカレードを踊らせてくれました。
すごく、面白い経験でした。

指導する団員の方達も、とても手際よく親切でした。
最初は絶対できないと思っても、短時間のうちに、本人が満足する程度には仕込んでくださいました。
「四季」は、料金を値下げしたことといい、スターシステムを用いない独自の上演形態の構築といい、本当に頑張っていると思います。

劇団四季のホームページにイベントのレポートがありました。こちら

それにしても、私は「オペラ座~」が好きです。
何回見ても感動します。

今回は、父を慕って行くお墓のシーンがよかったなあ。
怪人役の村俊英さん、いままで見た中で一番よかった気がします。

この作品は、上の方の席から見るのが一番いいから、お得な劇だと思うなあ。



くいだおれライブー有山じゅんじと上田正樹

2008-10-28 10:03:21 | ライブ
私は、生まれも育ちも大阪の下町なのですが、営業している間「くいだおれ」のお店にに入ったことがありませんでした。

有山じゅんじ・上田正樹と、「くいだおれ」の縁は、1975年に二人が発表したアルバム「ぼちぼちちいこか」のジャケットにくいだおれ太郎が使われたことにあります。

 古いジャケット

「くいだおれ」閉店の時に、ゲリラライブを行い、ファンが殺到しました。
そこであらためて、「ぼちぼちいこか」CDの発売記念、くいだおれ太郎のタレントとしての初仕事をかねて、このライブとなったようです。

私は「くいだおれ」閉店の時に行けなかったので、このライブはぜひ行きたいと思いましたが、午後4時の部、午後6時半の部共に100人の限定ライブだったので、抽選に外れたりして、なかなかたいへんでした。



10月22日、小雨降る中、閉店の時も雨だったそうですが、整理券順に入れてもらった会場は、かつてはレストランだった1階でした。
そこに、椅子がぎっしりと並べられて、前の座席ギリギリにステージが作ってありました。

二人が登場。
2、3曲演奏したところで、くいだおれ太郎が登場しました。
二人の真ん中にどかっと座った太郎に、上田正樹さんがうまく絡みながら、ライブは進んで行きました。
LP「ぼちぼちいこか」ファンの私にとっては、うれしい曲ばかり。
もちろん、CDもサイン入りポスターも買って帰ってきました。

 新発売のCDのジャケット(糸川燿史撮影・当日糸川さんも会場にいらっしゃいました)

途中、毎日放送の「ちちんぷいぷい」の生放送も入り、とても楽しいライブになりました。

今日のヤフーニュースに、「くいだおれ太郎が道頓堀に復帰-中座ビルリニューアルに合わせ」こちらの記事が載っていました。
道頓堀に太郎が居続けてくれるのは、大阪ッ子としては、うれしいニュースです。

宮廷画家ゴヤはみた

2008-10-26 12:20:16 | 映画ー劇場鑑賞
ー宮廷画家ゴヤは見たーGOYA'S GHOSTS
2006年 アメリカ/スペイン
ミロス・フォアマン監督 ハビエル・バルデム(ロレンソ神父)
ナタリー・ポートマン(イネス・ビルバトゥア/アシリア)ステラン・スカルスガルド(フランシスコ・デ・ゴヤ)ランディ・クエイド(国王カルロス4世)ミシェル・ロンズデール(異端審問所長)ホセ・ルイス・ゴメス(トマス・ビルバトゥア)マベル・リベラ(マリア・イザベル・ビルバトゥア)

【解説】
アカデミー賞監督賞などを受賞したミロス・フォアマン監督が、スペインの天才画家ゴヤの目を通して人間の真実、愛の本質を見つめた感動作。ゴヤが描いた2枚の肖像画のモデルたちがたどる数奇な運命を、18世紀末から19世紀前半の動乱のスペイン史を背景に描く。『ノーカントリー』のハビエル・バルデム、若手実力派女優ナタリー・ポートマン、『エクソシスト ビギニング』のステラン・スカルスガルドら国際派キャストが織り成す重厚なドラマに圧倒される。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
18世紀末スペイン、ゴヤ(ステラン・スカルスガルド)は国王カルロス4世(ランディ・クエイド)の宮廷画家に任命される一方、権力や社会を批判する絵画も描いていた。ある日、彼のミューズであるイネス(ナタリー・ポートマン)が、ロレンソ神父(ハビエル・バルデム)が指揮する異端審問所にとらわれてしまう。そして彼女を救おうとしたゴヤが見たものとは……。(シネマトゥデイ)

【感想】
この映画を見終わって、異端審問とか、拷問ととか、こういうヨーロッパの長い歴史が根っこにあって、あのアウシュビッツの悲劇が起きたんではないか、と思ったのですが、実際、監督のミロス・フォアマンの両親はアウシュビッツで亡くなったそうです。
それに加えて、監督自身が若い時にチェコにいて、「プラハの春」を体験してアメリカに渡り、「カッコーの巣の上で」でアカデミー賞とGG賞の監督賞を受賞しています。

私の大好きな「アマデウス」の監督でもあります。

それを考えると、この作品も彼らしい作品だなあと思いました。

異端審問とか、拷問とか、まるで前世の亡霊のような言葉ですが、監督が経験したファシズムの中にも、共産党の独裁の中にも潜んでいる、人間の救いがたい残虐性が、誰の中にもあるのだという危うさを、私たちに再認識させてくれているようでした。

「この作品のイネスの拘留は、横田めぐみさんの拉致にも通じる」と一般の人のレビューで読みましたが、本当にそうだと、あらためて憤りを感じました。

 イネス(ナタリーポートマン)
そして、その対極にある、人の純真無垢な心の美しさ。
これは、イネス(ナタリー・ポートマン)が体現しているのですが、その姿も心も拷問と長い拘置生活でボロボロになりながらも、決して失われない心の清らかさには、こころを揺すぶられました。
牢屋で鎖に繋がれ、人としての尊厳をすべて打ち破られた中でも、彼女は家族を思い、家族の愛に感謝します。
そして、とらわれの長い年月を経て、自分自身を失っても、彼女の中に残る人間であることの証明。
他者を愛する心は失われていなかったのです。

それを宮廷画家ゴヤ(ステラン・スカルスガルド)の目を通して、浮かび上がらせるという手法が、すごく成功していました。

下手をすると、興味本位の恐いもの見たさの作品に成り下がってしまいそうなテーマを、とてもバランスよくしかも楽しめる作品に仕上げていました。

そう、見終わった後の不快感はまるでありませんので、安心してみていただきたいと思います。

☆ネタバレ
ゴヤのアトリエには、様々な絵画があったが、その中に、裕福な商人の娘イネスと、教会の重鎮ロレンソ神父(ハビエル・バルデム)の肖像画もあった。

 ロレンソ神父(ハビエル・バルデム)

イネスは、ゴヤが描く教会の壁画の天使のモデルにも使われているほど、美しい少女でした。

ゴヤは宮廷画家として、王室に使えている身でありながら、自らの心情を曲げるのも最小減にとどめるし、自由に教会の風刺画も描いて庶民の支持を得るような一面も持っていました。

あろうことか、その天使のようなイネスが異端審問会に呼び出され、そのまま帰らなくなってしまった。

 イネスと兄たち

兄と遊びに行った居酒屋で、イネスはブタを食べなかった。
小人の足にキスで祝福して、施しをした。
どちらの行動が問題だったのか、内偵していた審問会の役人の報告が本部に届いてしまったのだった。

「なぜ、ブタを食べなかったのか?」審問官は優しく問いかけた。
「口に合わなかったからです」イネスは無邪気にそう答えたが、聴聞という名の拷問にかけられた。
「真実を述べよ」
苦痛に悲鳴を上げながら尋ねるイネス「真実とは何ですか?」
とうとうイネスは自分は祖先のユダヤ教を信仰していたと告白してしまう。

 イネスの両親

イネスの父は、ゴヤを通じてロレンソ神父を自宅に招く。
拷問による自白は真実ではないと、神父に迫るが、神父はそれこそが真実だという。

父は、ゴヤを追い出し、ロレンソを拷問にかけ、ウソの自白をさせて、拷問の不当性を証明し、イネスの救出をロレンソに約束させるが、告白してしまった囚人の釈放は論外と、父のお金だけを取って、教会は知らん顔。

さすがに哀れと思ったロレンソはイネスを尋ねるが、同情を装って関係を持った後、行方をくらましてしまう。

そして、15年後、フランスでは革命が起き、ナポレオンが天下を取った。
スペインにもフランス軍が攻めて来て、解放とは名ばかりの侵略が行われた。

イネスの実家も略奪され、皆殺しとなった。

しかし、異端審問会は解散となり、囚人たちは開放され、がりがりの体、顔もみにくく歪んで別人と成り果てたイネスも釈放された。

今は聾者となったゴヤを尋ね、「獄中で産んだ赤ちゃんを捜してくれ」と哀願する。

 ゴヤが描いた王様の一家の絵の前に、侵略者として帰ってきたロレンソ。

一方ロレンソは、フランス革命の英雄として、スペイン教会に乗り込んできた。
自由と権力を謳歌する彼には、愛する妻と家族があった。

ゴヤはイネスを連れてロレンソに会いにきた。
「私たちの赤ちゃんはどこなの?」と問いかけるイネス。
ロレンソは非情にも、イネスを精神病の施設に送ってしまった。

ある日ゴヤは公園で、若い時のイネスと瓜二つの少女をみつけた。
「あれこそがイネスの娘」と確信するゴヤ。

しかし、歴史はまた、動く。
フランスの支配にごうを煮やした民衆が、イギリス軍の助けを借りて王制を復古させたのだ。

すばやく逃げ出すロレンソ。
しかし、家族は逃がしたが自分は捕まってしまった。

酒場で拾った赤ちゃんを、自分の赤ちゃんだと思い込んでいる哀れなイネス。
ロレンソが捕まったのも知らず、彼を探しまわる。
ロレンソにその赤ちゃんを会わせて、喜ばせたいという気持ちしかない。
「あの人は、まだ知らないの」と無邪気に言うイネスの笑顔に、涙があふれました。

ふたたび権力を握った教会から死刑判決を受けるロレンソ。
「改心したら命を助けよう」という言葉にも、もう従う気力さえない。
それとも、こんな極悪非道、冷徹な男にも、人間としての誇りが一欠片だけ残されていたのかー?
抜け殻のようになって公開処刑されてしまったロレンソ。

荷馬車に引かれたロレンソの手を握り、嬉しそうに歩いて行くイネスの後を、ゴヤがそっとついて行きました。

バルデムが悪人を演じると、ノーカントリーの時もそうだったけど、どこかしらユーモアがただよいます。

ナタリー・ポートマンも細い裸身をさらしての大熱演。

そして、要のゴヤ役、ステラン・スカルスガルド(名前が難しくて覚えられません)はパイレーツ・カリビアンでおなじみ、ウィル(オーランド・ブルーム)の父親役です。


パリ、恋人たちの2日間

2008-10-26 11:37:56 | 映画ーDVD
ーパリ、恋人たちの2日間ー2 DAYS IN PARIS
2007年 フランス/ドイツ
ジュリー・デルピー監督・脚本・音楽
ジュリー・デルピー(マリオン)アダム・ゴールドバーグ(ジャック)ダニエル・ブリュール(ルーカス)マリー・ピレ(アンナ)アルベール・デルピー(ジャノ)アレクシア・ランドー(ローズ)アダン・ホドロフスキー(マチュー)アレックス・ナオン(マニュ)

【解説】
パリを訪れた倦怠(けんたい)期のフランス人とアメリカ人のカップルがさまざまな危機に遭遇するラブコメディー。この2人の間に横たわる大きなカルチャーギャップを、日常のささいな事柄から面白おかしく検証する。『ビフォア・サンセット』のジュリー・デルピーは本作で監督、脚本、音楽、編集、主演を担当。その才能をいかんなく発揮した。テンポの良い会話とともに普段着のパリの風景も堪能できる。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
ニューヨーク在住のフランス人写真家マリオン(ジュリー・デルピー)と、アメリカ人インテリアデザイナーのジャック(アダム・ゴールドバーグ)は付き合って2年になる。彼らはそのマンネリな関係をリフレッシュしようとベニス旅行に出かけ、帰りに2日間パリに立ち寄ることに。だが到着早々フランス語のできないジャックは不機嫌になり……。(シネマトゥデイ)

【感想】
「恋人たちの距離(ディスタンス)」「ビフォア・サンセット」は私の大好きな作品です。

さて、この2作を踏まえて、ジュリー・デルピーが脚本・制作・編集・音楽まで勤めた、監督初作品となる本作品や如何に?

最初から最後まで会話の嵐。
これは、付き合って2年目、ロマンティックな時代は過ぎた、倦怠期の恋人たちを扱っているので、前述の作品のような初々しさや、謙虚さ恥じらいなどは皆無です。

ホンネの恋人たち、ホンネのパリ。
かなり怖いです。

でも、考えてみれば、パリと言えども生身の人間たちが生きている場所。
日常生活なんだから、これが普通ですよね。
ドラマも生まれなければ、きれいごともない。
マリオン(ジュリー・デルピー)が叫ぶ。
「これが、パリ!!」なのかも。

よい意味で裏切られた感のある楽しい作品。
うちの夫も、普段は男女の会話劇なんてまるで興味のない人ですが、面白がってみていました。

皮肉とユーモア、大阪人には共通しているのかもしれません。
また、男と女では、見方も分かれるでしょうね。
タテマエで生きたい人と、ホンネで生きたい人との評価もわかれるでしょう。

若い人から夢を奪ってはいけませんので、中年以降の人にはお薦めだと思います。

ちなみに、恋人役のアダム・ゴールドバーグ(ジャック)はジュリーの元恋人、両親役には実の両親を配置しています。
なかなか、やるよねー。

僕はラジオ

2008-10-17 17:33:24 | 映画ーDVD
ー僕はラジオーRADIO
2003年 アメリカ
マイク・トーリン監督 キューバ・グッディング・Jr(ラジオ)エド・ハリス(ハロルド・ジョーンズ)アルフレ・ウッダード(ダニエルス校長)デブラ・ウィンガー(リンダ)S・エパサ・マーカーソン(マギー)クリス・マルケイ(フランク)サラ・ドリュー(メアリー)

【解説】
アメリカ最大の発行部数をほこるスポーツ専門雑誌が掲載した記事を基に、知的障害の青年とアメフトのコーチとの友情を描く感動作。“ラジオ”とニックネームがついたこの青年を演じるのは『ザ・エージェント』でアカデミー賞助演男優賞を受賞したキューバ・グッディングJr.。彼を見守るコーチ役には『ポロック2人だけのアトリエ』の名優エド・ハリス。監督は『バーシティ・ブルース』のマイク・トーリン。ロケ地、サウスカロライナの町の住民がふんするユニークなエキストラにも注目。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
ハナ高校でコーチを務めるハロルド・ジョーンズ(エド・ハリス)は練習場のまわりをうろつく知的障害の青年(キューバ・グッディングJr.)が気になっていた。ある日、ボールを持って行かれたことに腹をたてたチームの生徒が彼に暴力をふるう。(シネマトゥデイ)

【感想】
この話、実話というところがぐっと真実みを帯びて深みを増します。
フットボールシーン、バスケットボールシーンもなかなかの迫力で、ただの「よいお話」で終わらせない、スタッフの実力もたいしたものです。

最初、コーチジョーンズ(エド・ハリス)がラジオに声をかけたのは、指導している高校のフットボールチームの生徒が、知的障害者で、いつも町をうろついているラジオ(本当の名前はジェームズ・ロバート・ケネディ、キューバ・グッディングJr.)をいじめて、怯えさせてすまなかったという贖罪の気持ちだったと思う。
あとで娘に語る、かつて障害を持っている人を見過ごしてしまった自分への悔恨の情もあったと思う。

でも、結局、人としてあたりまえのことをしたという気持ちが強いのではないかしら。
それがジョーンズの人間としての素晴らしいところだと思いました。
彼は、ラジオを普通の友達のように大切に受け入れたし、だから、ラジオもジョーンズを信頼したのだと思う。

ラジオのママも立派な人でした。
ラジオを心から愛して、でも、貧しくて働き詰めで…。
ただ、可愛がるだけではなく、ラジオの成長を喜べるお母さんでした。
ママの人生を思って、涙が出ます。

今の日本では、自分の学校の生徒でもない知的障害のある青年を教室に入れるなんて、考えられないことです。
でも、そうやって、健常者と障害のある人を隔てて、どうやって両者の理解が進むというのでしょう。

私は障害を持つ人とほとんど、接したことがありません。
だから、公共の場で会っても、何をどうしたらいいかもわかりません。
同じ社会に行きている人間同士なのに、恥ずかしいことです。

エド・ハリスもキューバ・グッディングJr.も素晴らしい演技でした。
デブラ・ウィンガーもジョーンズの奥さん役で出演していて、存在感があり、この作品に奥行きを与えていました。

王妃の紋章

2008-10-17 17:32:00 | 映画ーDVD
ー王妃の紋章ー
CURSE OF THE GOLDEN FLOWER/満城尽帯黄金甲
2006年 中国/香港
チャン・イーモウ監督 チョウ・ユンファ(国王)コン・リー(王妃)ジェイ・チョウ(次男・傑(ジエ)王子)リィウ・イエ(長男・祥(シャン)王子)リー・マン(蒋嬋)ニー・ターホン(蒋医師)チェン・ジン(蒋氏)チン・ジュンジエ(三男・成(チョン)王子)

【解説】
『HERO』や『LOVERS』などのヒットメーカー、チャン・イーモウ監督による絢爛豪華(けんらん)な歴史大作。きらびやかな宮廷の裏に渦巻く陰謀と策略のドラマを華麗に描き出す。俳優陣も香港のトップスター、チョウ・ユンファ、『SAYURI』のコン・リー、『頭文字[イニシャル]D THE MOVIE』のジェイ・チョウらアジアを代表するスターたちが名を連ねる。細部にまでこだわった圧巻の映像美と怒とうのアクションシーンまで一瞬たりとも目が離せない。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
10世紀、唐時代の中国。美貌の王妃(コン・リー)は継子である皇太子(リィウ・イエ)と不倫関係にあった。王(チョウ・ユンファ)はそれを知りながらも“重陽節”を祝うため、第二王子ジェイ(ジェイ・チョウ)を伴い王宮に帰還する。だが盛大に儀式が執り行われる最中、数千に及ぶ黄金の甲冑姿の兵士たちが城内に姿を現し……。(シネマトゥデイ)

【感想】
あまり期待もしないでみたのですが、豪華絢爛という意味では、かなりの高得点ではないかな?

時は唐の国が滅んだ後の国情が不安定な中国。
宮廷では、なにやらいらいらしている美貌の王妃(コン・リー)の朝のしたくから始まります。

何か、教訓めいたことを言いながら時を告げて回る家来たち。
ベッドから起き上がって、お化粧やら身支度に忙しい妖艶な侍女たち。

そんな宮廷の朝の様子の合間に映し出される、帰還を目前にしている王(チョウ・ユンファ)の部隊。

父の帰還を告げにきた三男に冷たい態度、尋ねて行った皇太子である長男とはどうもただならぬ関係の様子の王妃。
この嫌な女が主人公?
しかも、かなりドロドロ?
いやーな予感。

後宮前の広場には、兵士がぎっしりと並び、王妃をはじめ女たちもずらりと並んで王の帰還を待っているところに、王の帰還は明日に延びたと使いのものが告げて、この日は終わりです。

王は次男(ジェイ・チョウ)のいる本陣へ向かったのでした。
王は次男に「自分の与える物以上は、取ってはならない」と戒めます。

すごい数の兵士や家来が出てきますが、結局は王の家族の物語。
成功を得るために捨てた最初の妻。
結局、この女性に対する罪の意識から、誰も愛せなくなってしまった王様。
疑心暗鬼に陥り、大国である梁から迎えた王妃が疎ましくなった王は、王妃に毒を盛り時間をかけて殺す計画を立てました。

次男を王位につけるため、謀反を計画しながら、時を待って毒と知りつつ薬を飲み続ける王妃。
王妃のいらだちの原因がわかりました。
その事実を知り、心を痛める次男。

長男である皇太子が、母が後妻にいってもうけた実の妹と、それと知らずに深く愛し合っていたという運命のイタズラ。

両親から愛されないとひねくれてしまった三男。

結局、王の野心が家族の悲劇の元凶だった、という物語でした。

原題は「満城尽帯黄金甲」黄金を帯びた甲が城を満たすーということかしら?
まったく、ラストシーンは重陽の節句にちなんだ菊の鉢が一面に並べられているお城の広場に、黄金の甲冑をまとった兵士でいっぱいになりました。
それが、謀反を見破った王の軍勢の待ち伏せに会い、追いつめられて、みんな血まみれになって全滅してしまいました。
すごいシーンでした。

ワイヤーアクションのタイミングが合わなかったり、大写しの剣がぐにゃとなったり、「あらあら」と思うシーンもあったけど、娯楽大作としては、なかなか気に入りました。

女性の衣装は、西洋のお姫様を思わせるような、胸の大きく空いたドレスに、裾を引いたガウン。
すごく中国らしい繊細な刺繍や、贅沢な調度品。
かと思えば、現代風なネイルアート。
ちゃらちゃら音が鳴る金のかんざしや、自由な髪型も素敵でした。
これは、時代考証はしていないでしょうね。
まさかね。

でも、なんでも人海戦術の中国式は、いつの時代でもこうだったんだろうなと思わせ、ハッピーエンドではなかったものの、なかなか見応えのある作品でした。