マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

リトル・ミス・サンシャイン

2006-12-30 14:51:43 | 映画ー劇場鑑賞
ーリトル・ミス・サンシャインー
2006年 アメリカ ジョナサン・デイトン 、ヴァレリー・ファリス監督 グレッグ・キニア 、トニ・コレット 、スティーヴ・カレル 、アラン・アーキン 、ポール・ダノ 、アビゲイル・ブレスリン 、ブライアン・クランストン 、マーク・タートルトーブ 、ベス・グラント

【解説】
サンダンスを始め、多くの国際映画祭で、スタンディング・オベーションの絶賛を受けたロードムービー。美少女コンテストのクィーンを夢見る少女とその個性的な家族が、黄色いワゴン車に乗ってコンテスト会場を目指す姿を描く。主人公の家族を演じるのは、『40歳の童貞男』のスティーヴ・カレル、『イン・ハー・シューズ』のトニ・コレットら。機能不全に陥った一家族が、旅を通して再生していくハートウォーミングな展開が見どころ。第19回東京国際映画祭で最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、観客賞など最多3部門を受賞した。

【あらすじ】
小太りの眼鏡っ子、オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)の夢は美少女コンテストで優勝すること。地方予選で繰り上げ優勝した彼女は、独自の成功論に取りつかれる父リチャード(グレッグ・キニア)や母のシェリル(トニ・コレット)、自殺を図ったゲイの伯父フランク(スティーヴ・カレル)らと車で決勝大会の会場を目指す。 (シネマトゥデイ)

【感想】
この作品が2006年の劇場での見納めになりました。

「ミス・サンシャイン」とは子供のミスコンのこと。
オリーブ(アビゲイル・ブレスリン)はコンテストに出るため、おじいちゃん(アラン・アーキン)とダンスの練習に余念がありません。
そこに、繰り上げで全国大会へ出場が決まったという知らせが!!
 狂喜するオリーブ。
でも、アラバマからLAまで、誰が連れて行くの?

おじいちゃんがまず名乗りを上げる。
彼はドラッグの使用が見つかり、老人ホームから帰されて来たばかり。
パパ(グレッグ・キニア)は、生まれて初めてつかんだ本の出版の返事待ちで動けないと言う。
ママ(トニ・コレット)はマニュアル車は動かせないし、自殺願望のある兄(ステイーブ・カレル)を引き取ったばかり。彼をおいては行けません。
お兄ちゃん(ポール・ダノ)は航空学校入学を祈願して無言の行の真っ最中。
「みんな嫌い」と紙に書いて、すごく不機嫌。いわゆるオタクか引きこもりか。
ママは彼もおいていけません。
無言の願掛けーアメリカにも、こういう風習があるのね。

さて、すったもんだのあげく、全員でLAを目指すことになりました。
オンボロワーゲンバスでいざ出発。

でも、オリーブのコンテストのためにという目的以外は、みんな考えていることがバラバラ。
 バスの中はいつも一触即発状態。

おまけにバスが故障、その上、災難が次々に襲って…

 オンボロバスが故障して…


 かわいいオリーブ
後は、見てのお楽しみです。
オリーブちゃんが小太りですって?
とんでもないです!!
こんなに子供らしいかわいらしい女の子は他にいません。
まったりとした動作、仕草にうっとりです。

子供のミスコンなんて、もってのほか。
子供はみんな個性的で、枠にはまらないところが素晴らしいのに。
大人の格好を真似してニコニコ笑っている他のミスコン出場者たちは、みんなお化けに見えました。

もちろん、芸達者なキャストたちですが、ポール・ダノがずいぶん良かったと思いました。
難しい役をうまく演じていました。
「THE KING 罪の王」で、息子役だったのね。
あれはある意味優等生役だったものね。

限られた時間の中にさりげなく伏線をちりばめ、緻密に無駄なくつないで行くかと思えば、クライマックスは全く思いがけないハチャメチャぶり。
うまい作り方です。

脚本もいい。
とくにおじいちゃん、ジャンキーでスケベ、口を開いたら荒っぽい汚い言葉のアラシです。
でも、その裏に隠された、奥深い珠玉の言葉とやさしいまなざし。
孫や息子が大事なんだという深い愛情が感じられました。
勝ち組だの負け組だのの色分けじゃなく、人生に大切なのは学びだということを、押し付けがましくなく観客にも教えてくれます。

家族だからって、性格も違うし、考え方だって違う、仲が良いとは限らない。
でも、家族の誰かの一大事となると、一致団結して助けようとするのも家族なんです。
私の家族もそうあって欲しいし、あなたの家族もきっとそうだと信じさせてくれるいい作品でした。

この出来事で、家族の問題がなにひとつ解決したわけじゃないけど、絆は取り戻せたのでしょう。
この家族はきっともう大丈夫。
壊れたバスの乗り方も、もう息もぴったりだものね。

今年の締めがこの映画で、とても幸せー!!
なんて、いい映画なんでしょう。
チョーお薦めです。

ゲス・フー/招かれざる恋人

2006-12-30 13:42:09 | 映画ーTV
ーゲス・フー/招かれざる恋人ー
2005年 ケヴィン・ロドニー・サリヴァン監督 バーニー・マック 、アシュトン・カッチャー 、ゾーイ・サルダナ 、ジュディス・スコット 、ハル・ウィリアムズ 、ケリー・スチュワート

【解説】
アメリカの若者に大人気のアシュトン・カッチャー主演による、抱腹絶倒のラブコメディ。愛する女性と結婚するために悪戦苦闘する男の姿をコミカルに描く。監督は『ステラが恋に落ちて』のケヴィン・ロドニー・サリヴァンが担当し、娘の結婚に猛反対する父親役には『オーシャンズ11』のバーニー・マックがふんする。婚約者の父親に気に入られようと必死になる男の姿は、世界中のカップルの共感を呼ぶ。

【あらすじ】
サイモン(アシュトン・カッチャー)は、恋人のテレサ(ゾーイ・サルダナ)の実家に婚約報告をしに行った。しかしテレサの父親パーシー(バーニー・マック)と顔を合わせた瞬間、ある誤解が生じていたことが判明する。 (シネマトゥデイ)

【感想】
1967年のアメリカ映画、「招かれざる客」(スペンサー・トレイシー 、キャサリン・ヘプバーン 、シドニー・ポワチエ)のリメイクですが、オリジナルは白人家庭に黒人のフィアンセが訪ねていくという内容でしたが、この作品は人種が逆、黒人家庭に白人の恋人が訪ねていくという設定です。

オリジナルは社会派のシリアスな内容ですが、こちらはミート・ザ・ペアレンツのようなどたばたコメディです。

テレサ(ゾーイ・サルダナ)の家庭はカソリックの真面目な家庭、サイモン(アシュトン・カッチャー)は離婚家庭で父親は行方不明、やり手の母親に育てられ、温かい家庭に憧れています。

サイモンはやり手のトレーダーですが、上司に「黒人と結婚するのはやめろ」と言われ、会社に辞表を叩き付けたばかり。
愛するテレサに、それだけは口が裂けても言えないのです。

仕事がクビになったことがテレサやパパにばれ、苦しい言い訳で切り抜けようとします。
でも、テレサはさらに傷つき、このまま二人は破局してしまうのか??

アシュトンが心優しい白人青年を好演していました。

人種の微妙な問題を、カメラは優しいタッチで笑い飛ばしていきました。
アメリカ社会も難しい問題が山積みのようですが、彼らのように、勇気と愛情で乗り越えて行って欲しいものです。


トレインスポッティング

2006-12-30 13:19:02 | 映画ーDVD
ートレインスポッティングー
1996年 イギリス ダニー・ボイル監督 ユアン・マクレガー 、ユエン・ブレムナー 、ジョニー・リー・ミラー 、ロバート・カーライル 、ケリー・マクドナルド 、ピーター・ミュラン 、ケヴィン・マクキッド

【解説】
ヘロイン中毒のレントンは、仲間たちと愉快ででたらめな日々を過ごしていた。ロンドンで仕事を見つけたものの、仲間たちのせいで結局クビに。そんなところへ、売人から大量のドラッグを売りさばく仕事を持ちかけられて……。イギリスでカルト的な人気を得、舞台にもなったI・ウェルシュの同名小説に、秀作スリラー「シャロウ・グレイブ」のチームが挑んだ話題作。本国はもとより、アメリカ、日本でも大ヒットとなった。

【感想】
ユアン・マクレガーの出世作。
この映画、有名なので、ときどきTVで見ていたんだけど、あのトイレに入って行くシーンでいつもギブアップでした。
今回はDVDを借りて、気合いを入れてみました。

「シャロウグレイブ」を見ていることもあって、今回は楽しく見ることが出来ました。
ドラッグとセックスと暴力がテーマの、汚い内容ですが、なかなかおしゃれにスタイリッシュにクールに作ってありました。

原作は若者群像みたいですが、これはユアンが演じるレントンを主人公に据えて、彼が中心の物語にしてあります。
世間ではよく「悪い仲間」というけど、この連中こそが悪い仲間です。
ドラッグを止めようと努力しても、彼らと交わるとまたドラッグ漬け。
ドラッグから抜けて、働き始めても、追っかけてくる。
レントン自身もまんざらいやではないらしい。

ロバート・カーライルが演じるベグビーはワルの見本のような男。
一緒にいたらトラブルばかりなのに、「友達だから」って関わるのが不思議。
007オタクでぽん引きのシックボーイ、心優しいヤク中のスパッド、ガールフレンドに振られたのをきっかけに、ドラッグに溺れるトミー。
レントンのセックスフレンド、お固い女子中学に通うダイアン。

そして、レントンと言えば、何度もドラッグから足を洗おうと努力するが、結局仲間に引きずられてしまう。

悲惨な日常、絶望的な未来であっても、自分の未来のしあわせを追い求めないではいられないレントン。
そして、彼が出した結論とは!!

どこまで堕ちて行くのか、という青春映画。

それにしても、こんな最悪のテーマを、こんな名作にしてしまうダニー・ボイルって、すごい監督だなあ。
こんな、どうしようもない若者を魅力たっぷり繊細に演じたユアンもすごい。


ヘンダーソン夫人の贈り物

2006-12-29 17:30:44 | 映画ー劇場鑑賞
ーヘンダーソン夫人の贈り物ー
2005年 イギリス スティーヴン・フリアーズ監督 ジュディ・デンチ 、ボブ・ホスキンス 、ウィル・ヤング 、クリストファー・ゲスト 、ケリー・ライリー 、セルマ・バーロウ 、アンナ・ブリュースター 、ロザリンド・ヘルステッド 、サラ・ソルマーニ 、ナタリア・テナ 、トーマス・アレン 、ラルフ・ノセック

【解説】
イギリスで初めてヌードレビューを上演した、実在の劇場のオーナーをモデルにした上質のエンターテインメント作。上流階級出身ながら無邪気で天真らんまんな女性をオスカー女優のジュディ・デンチが熱演し、支配人役にふんしたイギリスの名優ボブ・ホスキンスと絶妙のコンビネーションをみせる。第二次世界大戦中も閉館せず、戦地に赴く兵士たちを楽しませたオーナーの真意に胸が熱くなる。

【あらすじ】
37年、夫を亡くしたヘンダーソン夫人(ジュディ・デンチ)は莫大な遺産を手にする。ひとりで途方に暮れていた彼女はウィンドミル劇場を衝動買いし、マネージャーとしてショービジネスのプロであるヴァンダム氏(ボブ・ホスキンス)を雇う。彼らは1日中ノンストップでミュージカルコメディを上演することを決め……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
「Mrs.Henderson Presents」ね。
映画の中の、ヘンダーソン夫人(ジュディ・デンチ)の演説の仲で、辻褄合わせのような邦題「贈り物」の由来の話は出てきますが、やはりここはミセス・ヘンダーソン・プレゼンツだよなあ、と思いました。

大富豪の夫が亡くなって、莫大な遺産を継いだローラは、70歳といえども情熱溢れる女性。
並のお稽古事では満足できません。
見つけたのがウィンドミル(風車)という劇場。
それをを買い取り、改修工事もして、支配人としてヴァンダム氏(ボブ・ホスキンス)を雇い入れます。
この絶対合いそうもない二人の関係が笑えます。

自分の手腕に自信のあるヴァンダム氏は「すべて自分に任せるよう」強く言い放ちます。
それでも、あれこれわがままを言うローラに彼は劇場への出入りまで禁止してしまいます。
ただでさえヒマを持て余しているローラは、中国人に変装したり、熊のぬいぐるみを着てオーディションを受けたり、なんとか劇場に入り込もうとあの手この手。
めちゃくちゃお茶目です。
ヌードのアイデアを出して、許可を取り付けたのも彼女の手腕。
ただ、踊り子さんと全戦に送られる兵士の仲を取り持ったことから、思わぬ不幸が訪れました。

観客は知っています。
わがままで礼儀知らずなローラの、寂しい心のうちを。
21歳で戦死した息子のお墓に語りかける姿に、涙くんでしまいました。
さすがデイムの称号を持つ女優さんですね。

そして、戦争の激化にともない政府から閉鎖を迫られた時、押し掛けてくる観客に向かって、感動的な演説をします。
彼女の真実が語られ、人々の心を動かし、戦争中も一度も閉じなかった劇場として名を残したのでした。

オールヌードのびっくりするようなシーンもありましたが、ユーモアいっぱい、しかも心に残るいい作品でした。

お薦めです。

日の名残り

2006-12-26 16:17:15 | 映画ーDVD
1993年 イギリス ジェームズ・アイヴォリー監督 ベン・チャップリン 、アンソニー・ホプキンス 、エマ・トンプソン 、ジェームズ・フォックス 、クリストファー・リーヴ 、ピーター・ヴォーン 、ヒュー・グラント 、ミシェル・ロンズデール 、レナ・ヘディ

【解説】
日系の英国作家K・イシグロのブッカー賞受賞作を基に「眺めのいい部屋」のJ・アイヴォリー監督が、侯爵に忠実な執事として徹底的にストイックに生きた一人の男の悲哀を描いた物語。恋を知らぬ彼は安っぽい恋愛小説に慰めを得、それを女中頭に見つかり頬を赤らめる。互いに愛情を感じながらもその感情を抑えこんでしまう彼に、彼女は待ちきれず、彼の友人と結婚し町を去る。戦後、侯爵がこの世を去り、ようやく自由を感じた彼は女中頭を訪ねるのだが……。(yahoo映画)

【感想】
上映中の映画「上海の伯爵夫人」の原作者、カズオ イシグロ。
日系の彼が、こういう話を書くなんて本当に不思議に思いました。
これも、そういう興味に引かれてみた作品です。

これは、第一次世界大戦が終わり、ヨーロッパの安定という理想のために、ドイツ擁護に回った貴族(ジェームズ・フォックス)の家に使えていた忠実な執事(アンソニー・ホプキンス)が主人公です。
ある日、女中としてサラ(エマ・トンプソン)が雇われます。
自分のプロ意識を自覚している彼女は執事と張り合うように仕事をします。
そのうちにお互いに愛情が芽生え、意識し始めるのですが…。

二人の演技が見物です。
A・ホプキンスは複雑な表情かうまいですねえ。
笑っているのに、心は泣いているような表情がすごいです。

時は流れ、戦争は終わり、貴族は告発され、裁判で破れ、失意の中で亡くなります。
執事はそのまま屋敷の執事として新しい主人に仕えます。
新しい主人が先代スーパーマンのクリストフアー・リーヴ。
戦勝国アメリカを象徴するように、生気があふれ、とても新鮮でした。

この映画の後、事故で体の自由が奪われたようですね。
特典では、事故前と事故後、両方の彼がコメントを入れていました。
不自由な体でも、青い目がゆっくりと動き、人形のようだなあ、と思いました。
残念なことに、亡くなられましたね。

そして、執事は20年経った今も思いは変わらないことを伝えに、サラに会いにいきます。
夕暮れの町を歩いて、二人は人生をかみしめます。
執事もあの頃のようにかたくなな仕事人間ではなく、サラも鼻っ柱の強い小娘ではありません。
執事は人生にミスを犯したと思い、サラもそうだと打ち明けますが、サラには別の長い人生があり、もうすぐ孫も生まれる。

執事は屋敷に戻り、また、黙々と仕事にかかるのでした。

淡々とした物語ですが、ちょうど人生を振り返る年齢に達した私には、いろいろ考えさせられるテーマをたくさん含んだ映画でした。
いろいろ選択の余地もあったのに、この道で良かったのだろうか。
ミスをしたくてしたわけじゃないけど、あれはミスだったかも、とか。

「日の名残り」、この邦題も含みがあっていいですね。

王の男

2006-12-20 18:57:56 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 イ・ジュンイク監督 カム・ウソン 、イ・ジュンギ 、チョン・ジニョン 、カン・ソンヨン 、チャン・ハンソン 、ユ・ヘジン

【解説】
16世紀の韓国の宮廷を舞台に繰り広げられる歴史ドラマ。地方から都にやって来て、王の前で芸を披露するまでになる2人の芸人の数奇な運命をたどる。見事な職人芸をみせるのは、本作で大鐘賞主演男優賞に輝いた『スパイダー・フォレスト 懺悔』のカム・ウソン。『ホテル ビーナス』のイ・ジュンギが女形を演じ、妖しい魅力を放っている 。当時の宮廷を再現した豪華なセットや、生ぐさい陰謀渦巻く宮廷絵巻に魅了される。

【あらすじ】
16世紀初頭、地方の旅芸人一座の花形チャンセン(カム・ウソン)と女形のコンギル(イ・ジュンギ)は、一座を抜け漢陽へ向かう。彼らはそこで宮廷をからかった芝居を上演し、民衆の心をつかむ。だがある日、王の重臣(チャン・ハンソン)に宮廷で芸を披露し、王(チョン・ジニョン)が笑わなければ死刑だと言い渡される。 (シネマトゥデイ)

【感想】☆ネタバレ☆
芸能の研究を少しかじった身としては、とても興味深い作品でした。
日本に入ってきた芸能は、たいてい、朝鮮半島から入ってきたと考えられるので、この二人が行っていた仮面劇も、日本の正倉院などに残っている伎楽面からわかるように、仮面芸能の名残でしょう。
舞台の形も、四天王寺さんにあるのとそっくり。
仮面劇のルーツや進化の仕方を考えるだけでも、ひとつのテーマになるんじゃないかと思うほど、興味深いものでした。
日本は、平安時代以降、中国とは付き合わなくなり、朝鮮半島ともそれまでほどは文化交流もなかったようで、それぞれ独自の芸能が発達していったのでしょうね。
韓国にも、能のような仮面を使う劇があるのでしょうか。

ふたりの芸の内容は明らかに日本で言う猿楽風ですね。
時事ネタを劇に取り入れて、滑稽な物まね芸で人を笑わせます。
世阿弥以前の日本の猿楽もこんなだったのかなあ。
考えただけで、わくわくします。
風俗も、日本とは違うようで、似ているところもあり…。
ほんと、面白かったです。

宮廷内部の様子も面白かった。
韓国の上流階級の様子を見せてもらったのは「スキャンダル」についで2度目です。
(韓流はTVでも見ないので)
ついつい日本の貴族の様子と比較してしまうけど、これも中国とも違うし、日本とも違うし、でも、似ているところもありますね。
この三国がもう少し、お互いのことを比較研究して、理解が進むといいのになあ。

さて、テーマは芸人魂ともいうべき普遍的なもの。
権力をかさに力づくで言うことを聞かそうと言う王様と、芸人魂に命をかけるチャンセン(カム・ウソン)。
芸は売っても魂は売らない、というところでしょうか。
権力と表現の自由の闘い。
こじつけるならジョニー・デップの「リバテイーン」もテーマは同じでした。
現代の芸人はチャンセンの生き様をどうみるでしょうか。

チャンセンとコンギル(イ・ジュンギ)の関係は、ほんとうのところどういうのでしょうね。
私は、師弟関係、相方関係と見ましたが。
相方関係には、夫婦愛にもにた感情があるのではないでしょうか。
コンギルが王の前で人形劇をしながら、命を絶とうとするするシーンでは涙が出ました。
チャンセンへの真実の思いが伝わりました。

それぞれの人物をうまく描写して、バカ殿ともいえる王(チョン・ジニョン)の生い立ちに触れ、屈折した人物像にまで迫っていました。
ラストも悲劇的になりすぎず、良かったと思いました。

トイズ

2006-12-20 18:39:38 | 映画ーTV
1992年 バリー・レヴィンソン監督 ロビン・ウィリアムズ 、マイケル・ガンボン 、ジョーン・キューザック 、ロビン・ライト 、LL・クール・J 、ドナルド・オコナー 、アーサー・マレット 、ジャック・ウォーデン

【解説】
 個性的な工場を持つおもちゃ会社の社長が急死し、社長の兄であるバリバリの軍国主義者(元将軍)が会社を引き継ぐことになる。しかし彼は事もあろうに最新ハイテク技術を用いて超小型軍事兵器のおもちゃを開発しようとするのだった。それを知った社長の息子レスリーは阻止すべく将軍の許へ向かうのだったが……。「レインマン」のレヴィンソン監督が、R・ウィリアムズを起用して描いたファミリー向けファンタジー“反戦”コメディ。(yahoo映画)

【感想】
クリスマスムードいっぱいのオープニングですが、物語はだんだん怪しい方へ。
おもちゃがいっぱい出てきて、ファンタジー溢れる映画と思って見ていると、期待は裏切られます。

かわいいおもちゃどうしが戦争の道具となり、散り散りに爆発する様は、趣味がいいとはいえないでしょう?
戦闘地域では、かわいいおもちゃに手榴弾が仕掛けてあるというニュース、そんなことも連想してしまうシーンもありました。
さらに、えんえんと続く戦闘シーン、どうコメントすればいいのか…。
私には「反戦」とも、コメディとも、思えませんでしたね。
まして、ファミリー向けなんて、とんでもないと思いました。
あまり、子供に見て欲しくないなあ。

ジョーン・キューザックっていつもおかしい。
最後にロボットだったというオチですが、ほんと、動きが変だなあ、と思っていましたが、この人、それが地みたいなとこありますよね。

マイケル・ガンボンはヒットラーに似ていました。
怖かった。
でも、平和主義のレスリー(ロビン・ウィリアムス)だって、結局は愛するおもちゃで応戦したものね。

ジェイミー・フォックスがちょい役で出ているのが発見でした。

DEAN/ディーン

2006-12-20 10:50:10 | 映画ーDVD
2001年 マーク・ライデル監督 ジェームズ・フランコ 、マイケル・モリアーティ 、ヴァレンティナ・チェルヴィ 、エンリコ・コラントーニ 、エドワード・ハーマン 、ジョアンヌ・リンヴィル 、ジョン・プレシェット 、バリー・プリマス 、デヴィッド・プローヴァル 、クリストファー・リー

【感想】
解説が見つかりませんでした。
私が最初に感動した映画が「エデンの東」。
日曜洋画劇場でした。

やはり、今も大好きな映画。
キャルの父や母を思う気持ちが、せつなくてたまりません。
この映画も、9歳の時に母を亡くしたディーンが、父親と別れて育ってもなお、父親との和解を望んで苦しむ様子が描かれていました。
いくつになっても、子供は親に理解されたい、認められたいと願うものなのですね。

「エデンの東」ファンとしては、キャルと父親のあの名場面が、当時のメイキングのように描かれているのが、とても感慨深く見ました。
あのシーンいいよなあ。
また、映画が見たくなりました。

現実のディーンとキャルが重なるように描かれていて、本物のディーンが演技しているような気持ちになりました。
マーティン・ランドーと無名時代からの友達だったとか、すごく目が悪かったとか、伝記映画としてファンには興味深い作品だと思いました。

 この愛車で事故を起こしたようです。

ジェームズ・フロンコはもともとあまり似ているとは思えないし、ところどころ意識し過ぎじゃない?と思うところもありましたが、演技力で引っ張って行くところはさすがだなあ、と思いました。

この人、デ・ニーロの「容疑者」の息子役の人だったのですね。
あの役も、キャルを彷彿とさせました。
今年は、「トリスタンとイゾルデ」で評価も上がったのではないでしょうか?


 この写真、うちのトイレの鏡の柄です。他に2枚、飾ってあります。

彼が、今も生きて現役だったら、どんな役者さんになっていたでしょう。
映画のように、お父さんと和解していたなら、もっと幅の広い役をこなせる役者さんになっていたのでしょうか。
「永遠のジミー」だから、今も魅力的なのでしょうか。


この笑顔、やっぱりたまらないなあ。

connie & carla コニー&カーラ

2006-12-19 09:24:08 | 映画ーDVD
2004年 マイケル・レンベック監督 ニア・ヴァルダロス脚本 ニア・ヴァルダロス 、トニ・コレット 、デヴィッド・ドゥカヴニー 、スティーヴン・スピネラ 、ダッシュ・ミホク 、アレック・マパ 、デビー・レイノルズ 、イアン・ゴメス

【解説】
マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』でスターの座についたニア・ヴァルダロスと、『アバウト・ア・ボーイ』のトニ・コレットが共演した女性版バディ・ムービー。『X-ファイル』のデヴィッド・ドゥカブニーや、伝説の女優、『雨に唄えば』のデビー・レイノルズなど豪華キャストの共演も見逃せない。女性であるということを隠しながら、困難にも負けず、女装した男として歌い踊る彼女達の前向きな姿に勇気づけられる。

【あらすじ】
コニー(ニア・ヴァルダロス)とカーラ(トニ・コレット)の夢は歌とダンスで有名になること。ある事件に巻き込まれた2人はロサンゼルスに逃げ、身分を偽り”ドラッグクィーン”として舞台に立つことに。 (シネマトゥデイ)

【感想】
今年はたくさんのドラッグクイーン映画を見ましたが、これが見納め、かな。

ただ、この映画はただのドラッグクイーンではなく、女性が身元を隠すためドラッグクイーンになりすます、というもの。
それがコニー(ニア・ヴァルダロス)とカーラ(トニ・コレット)。

コニー役のニアが脚本を書いています。
この人、「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」でブレイクしたんだけど、こちらも彼女の脚本。すごいなあ。

特典で監督が「撮影日数が44日間しかなかった」とぼやいていましたが、なかなか良い出来だったと思いました。
ステージでショーのシーンが多く、とても楽しめました。
ミュージカル好きには結構たままらない映画かも。

どちらの女優さんとも、ハイテンションでいい感じです。
二人を狙う殺し屋が、全国のショーをまわってだんだんショー好きになるところも面白かった。
トニ・コレットが若々しくてキュート。
何歳だっけ?と思いました。
彼女も実力派ですね。

硫黄島からの手紙

2006-12-15 12:08:27 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 クリント・イーストウッド監督 ポール・ハギス製作総指揮 クリント・イーストウッド音楽 渡辺謙 、二宮和也 、伊原剛志 、加瀬亮 、中村獅童 、裕木奈江

【解説】
第2次世界大戦時の最も悲劇的な戦いと言われる“硫黄島の戦い”を、日本側の視点から描いた戦争映画。硫黄島でアメリカ軍を悩ませた伝説の陸軍中将である栗林忠道と彼の部下たちによる死闘が描かれる。監督は『ミリオンダラー・ベイビー』のクリント・イーストウッド。『ラスト サムライ』の渡辺謙、嵐の二宮和也ら、日本人俳優が出演する。イーストウッドが日米双方の視点から“硫黄島の戦い”を描く“硫黄島プロジェクト”第2弾作品としても注目だ。

【あらすじ】
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、アメリカ留学の経験を持ち、西洋の軍事力も知り尽くしている陸軍中将の栗林忠道(渡辺謙)が、本土防衛の最後の砦ともいうべき硫黄島へ。指揮官に着任した彼は、長年の場当たり的な作戦を変更し、西郷(二宮和也)ら部下に対する理不尽な体罰も戒めるなど、作戦の近代化に着手する。 (シネマトゥデイ)

【感想】
戦争映画は苦手なので、父親たちの星条旗がよかったから、これも見なくちゃしょうがないなあ、というスタンスで見に行きました。
でも、結果は違いました。
「硫黄島~」はすばらしかった。
アメリカ人監督が撮ったなんて信じられない自然さでした。



映画を見たから言えることですが、よくもまあ、あんな希望のない闘いをしたものです。
多勢に無勢、物量の圧倒的な違い。
誰もが、勝ち目のないことはわかっていたみたいじゃないですか。
その潔さをどうとらえるか、日本人独特の死生観によるものでしょうか。

確かに作戦はよく、敵に大きな損害は与えました。
しかし、後方支援のない悲劇。
本国にも見放されて、食料も水も、弾薬もなくなるのは時間の問題。
おびただしい数の敵兵がすぐそばに迫っても、どうすることもではない。
その絶望の中で、どうやって正気を保っていたのでしょうか。
あげくには、死守せよという命令が守れないと言って集団自決。
壮絶でした。
これは、今の私たちにも信じがたいことです。
その先端の人物とも言える、中村獅童が死に損なうのが皮肉でした。
緊張の糸が切れ、ボロボロになってアメリカ兵に発見されたときの表情、獅童君、うまかった。

「天皇万歳、靖国で…」
あのシーンで日本の首相が靖国神社参拝に固執することがわかった気がしました。
そういいながら国のためにと死んでいった人たちの魂のことが、どうしてもなおざりにできないのですね。
ああ、ますます難しい問題なんだと思い直しました。

アメリカ兵捕虜をリンチで殺してしまう日本兵。(イギーの逸話ですね)
投降してきた日本兵を「見張っているのが面倒だ」と銃殺してしまうアメリカ兵。
描き方はどこまでも公平でした。

英雄的な栗林を中心に据えるのではなく、私たちの気持ちに一番近い西郷の目から硫黄島の闘いを描いたところが、とてもよかったのではないでしょうか。

誰に感情移入することも許さないイーストウッド監督の作り方、すごいなあと感心するばかりです。
個人の意志なんかまったく意に介せずに、戦争は進んで行く。
一度始まったら、雪玉が転げていくようにどんどん大きくなって、もうダメだーというところに行き着くまで、誰にも止められない。
だから、英雄扱いなんかでだまされないぞ、戦争はだめだ、戦争をしてはいけないという主張が、2つの作品を通してはっきりと見えました。

あのような状況に自分の夫や息子が置かれていたと知った家族は、どんな気持ちだったのでしょう。
体験のある方が見たら、どう感じたのでしょうか。
私はとりあえず、私の息子でなくて本当に良かったと思いました。
この映画が硫黄島で亡くなった方達のレクイエムになりますように。
これから先も、戦争のない国でありますように。

【人物紹介】
栗林 忠道(くりばやし ただみち、1891年(明治24年)7月7日 - 1945年(昭和20年)3月26日)は、日本陸軍の軍人。長野県埴科郡旧西条村(現長野市松代町)出身。旧制長野中学校(現長野県長野高等学校)出身。米国とカナダの駐在経験があり、陸軍の中では珍しい米国通だった。国際事情にも明るく対米開戦にも批判的だったとされる。硫黄島の戦いで米軍との激戦を指揮し、最後は自ら200名の兵士達の先頭に立ち突撃を行い戦死したと言われるが、その最期についての正確な情報は未だ無い。その生き様に対しては、敵国である米国でも賞賛の声が絶えない。

 伊原剛志が演じる西

バロン西
西 竹一(にし たけいち、1902年7月12日 - 1945年3月22日)は、大日本帝国陸軍の軍人。ロサンゼルスオリンピック馬術競技の金メダリスト。戦車第26連隊長を務め、硫黄島の戦いで戦死した。最終階級は陸軍大佐。
(ウィキペディアより)