ー焼肉ドラゴンーJURASSIC WORLD: FALLEN KINGDOM
2018年 日本 127分
原作・脚本・監督=鄭義信 キャスト=真木よう子 (長女・静花) 井上真央 (次女・梨花) 大泉洋 (哲男) 桜庭ななみ(三女・美花) 大谷亮平(長谷川さん) 大江晋平(末っ子・時生) イ・ジュンウン(母・英順) キム・サンホ(父・龍吉)
【解説】
『愛を乞うひと』などの脚本家としても知られる鄭義信が、数々の演劇賞に輝いた自身の舞台を映画化。1970年を舞台に、関西で小さな焼肉店を営む一家が、たくましく生きる姿を描く。3姉妹に『さよなら渓谷』などの真木よう子、『八日目の蝉』などの井上真央、『最後の忠臣蔵』などの桜庭ななみ、長女の幼なじみに『探偵はBARにいる』シリーズなどの大泉洋、父親に『隻眼の虎』などのキム・サンホ、母親にイ・ジョンウンがふんする。
【あらすじ】
日本万国博覧会が開催された高度経済成長期の1970年、関西地方で焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む龍吉(キム・サンホ)と妻・英順(イ・ジョンウン)は、娘3人と息子と共に暮らしていた。戦争で故郷と左腕を奪われながらも、前向きで人情味あふれる龍吉の周りには常に人が集まってくる。(シネマトゥデイ)
【感想】
1970年の万博が行われている頃の大阪を舞台に、焼肉店を営む韓国人一家の話。
もともとは舞台劇だったようですね。
父親の龍吉(キム・サンホ)は、太平洋戦争では日本軍に従軍して左腕を失い、戦後生まれ故郷の済州島に戻るが、四・三事件で家族を失い済州島を追われ、そこで知り合った英順(イ・ジョンウン)と知り合い、日本に戻った。
龍吉には長女・静花(真木よう子)と次女・梨花がおり(井上真央)、英順には三女となる美花(桜庭ななみ)がいて、結婚したのちに末っ子の時生(大江晋平)が誕生した。
物語は万博の2年前から始まる。
次女の梨花が哲男(大泉洋)と婚姻届を提出する予定だったのに、哲男は戸籍係と喧嘩をして婚姻届の用紙を破り捨ててしまったので、梨花はカンカン。
哲男は、梨花の姉の静花と幼馴染で、静花の足が不自由になった事故に責任を感じていた。
哲男は静花にプロポーズするが静花は断り、梨花と結婚することになったのだ。
梨花はこの一件も、静花に未練があるからではないかと機嫌が悪い。
静花は妹夫婦がうまくいくようにと、思いを寄せてくれる常連客と付き合い始める。
美花はキャバレーの支配人と不倫している。
ドラゴンの屋号の焼肉店は、国から不法占拠と言われ、立ち退きを要求されているが、龍吉はお金を払って買った土地だと、頑なに拒否している。
時生は、龍吉の強い意向で地元の進学校に通っているが、きついいじめにあい、とうとう失語症となってしまった。
⭐︎ネタバレ
時生は出席日数が足りず、留年となってしまうが、龍吉は退学や転校を許さない。
時生は橋から身を投げて死んでしまった。
梨花は哲男との結婚に悩み、不倫する。
そして、離婚。
哲男は、静花に結婚を申し込み、二人は北朝鮮の帰還事業に参加し、北へ行く。
ドラゴンの店も国に没収され、梨花も浮気相手と再婚し、大韓民国へと移住する。
三女の美花もキャバレーの支配人が離婚したので、晴れて籍を入れ、彼が営むスナックで働く。
両親はリヤカーに荷物を積んで、長らく暮らした土地を離れた。
こうして、家族はバラバラになってしまった。
やはり、末っ子の時生くんの自殺は衝撃的でした。
お父さんが厳しすぎると思いましたが、お父さんは「僕の腕を返せ、時生を返せ」と叫んでいたので、彼は日本という異国が自分から大切なものを奪ったという気持ちなのでしょうね。
痛ましいです。
映画が終わってからは、長女夫婦がそれからどうなったかが心配で、そのことから頭が離れません。
折しも、トランプ大統領と金正恩書記長の正規の会談が行われた今年。
拉致問題解決は当然のこととして、帰還事業で離散している家族が一刻も早く会えるように祈らずに入られません。
こういう重い問題をたくさん含みながらも、ユーモアにあふれ、明るく生きる家族の作品として、楽しく見ることができました。
家族の絆の強さも感じられました。
評判がいいのもわかりました。