はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「スクスクぶくぶく」

2013-11-13 14:17:38 | 岩国エッセイサロンより
2013年11月13日 (水)

山陽小野田市  会 員   河村 仁美

妊娠5ヵ月の長女が10日ほど帰省した。いつもは夫婦2人だけなので質素な食卓だが、妊婦が加わり品数が増えてちょっぴり豪華。会話もはずんでにぎやかなお食事タイムとなり、おなかも心も満腹で過ごした。
 実家でのんびり過ごし、検診に行った娘から「1カ月で4㌔増えたから、カロリー制限になってしまった」とメール。「え~、私も同じものを食べた」と思った時は既に遅し。娘の増えた体重は赤ちゃんの命の重さ。命を守るための栄養でスクスク育ったおなか。私はぶくぶくと脂肪たっぷりのおなか。スクスクぶくぶく、えらい違いだ。

(2013.11.13 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

お母さんコーラス終わりました!

2013-11-11 07:38:57 | アカショウビンのつぶやき


 やっと終わりました。
実力以上の曲に挑戦した私達「信愛コーラス」。
ちょっと残念だった部分もありましたが、終わりましたー。

本番直前に、色々なアクシデントがあり、主要メンバーが2名欠けて
不安もありましたが、それだけ真剣に練習できました。


控室で、お互いに確かめあっています。

お母さんコーラスの出演団体は57組。
鹿児島市法山ホールのステージは、
個性豊かなパフォーマンスで賑わいました。






講評は
元気がなかった。でも一生懸命さは伝わりました。

あーあ、明日から頑張らなくちゃ。

運動会準備

2013-11-09 20:54:34 | はがき随筆
 引越しの関係で、4歳の長男が2学期から幼稚園に入園した。長女が通った少人数の園とは対照的な、400人超の大所帯。最初はただ規模に圧倒されていたが、行事の時の苦労は考えていなかった。
 9月の運動会前日、台風でテント張りが中止になり、当日は午前5時に来てと夫に声がかかった。「帰宅が遅いので」と肩身の狭い思いでお断りした。
 当日、会場である小学校に着くとまさにテント村だった。大雨の中、場所取りしたらしい、仮眠を取る集団。皆さんお疲れの様子。このパワーについていけるか、次の行事が心配だ。
  鹿児島市 津島友子 2013/11/9 毎日新聞鹿児島版掲載

鹿児島弁

2013-11-09 20:48:31 | はがき随筆
 我が家の隣地で畑作りのYさんとはよく立ち話をする。Yさんは団体で東北を旅行中、栃木の団体と昼食が一緒になった。
 鹿児島弁で大声でしゃべっていると、隣席の女性がけげんな顔で、「どちらからですか」と聞かれた。ちゃめっ気のあるYさんが「韓国からです」と答えると「日本語がお上手ですね」と褒められたそうだ。
 鹿児島弁は他県の人が聞くと、外国人が話しているように聞こえるらしい。戦後、標準語を使うよう指導され、「からいも標準語」とからかわれた。今では純粋な鹿児島弁が聞けなくなったのは、寂しい限りである。
  鹿児島市 田中健一郎 2013/11/8 毎日新聞鹿児島版掲載

思秋期

2013-11-09 20:42:46 | はがき随筆
 ついこの間までは、日差しから逃げていたのに、今では陽のあたる場所を、追いかけている。季節が移ろい続けている。子供2人は、それぞれ自立してどうにかやっている。これから、自分の人生をどんなふうに生きていこうかと、よく思う。夫の転勤のため、ここ5年程は専業主婦をしている。仕事を探してみるものの(どうせ、見つけてもまた、転勤になるし……)と、諦めの気持ちが先にたってしまう。
 できるなら、社会のために何かできる事を……。今、思春期ならぬ、思秋期真っただ中の悩める年ごろの私です。
  志布志市 西田光子 2013/11/7 毎日新聞鹿児島版掲載

あっ、笑ってる

2013-11-09 20:37:56 | はがき随筆
 「かごしまねんりん大学」での現地研修は楽しいでした。
 長谷の「おしゃべり会」では20人程の高齢者が輪になり、大笑いしていました。
 リーダーは声かけだけ。主役はおじいちゃん、おばあちゃんです。
 みんな、踊りたいのよね。歌いたいのよね。下手がいい。普段着のままで自然がいい。心ないおもてなしはいらない。
 コスモス園近くの「大坂ふれあい館」には、ナス2本を持って来るおばあちゃんもいて、みんなで大事にしているとか。いいなあ。笑顔があふれたすてきな町に住みたくなりました。
  阿久根市 別枝由井 2013/11/6 毎日新聞鹿児島版掲載

「大工になった元同僚」

2013-11-09 14:39:50 | 岩国エッセイサロンより
2013年11月 9日 (土)

岩国市  会 員   片山 清勝

近くで棟上げがあった。棟梁は、大工仕事に魅了されて脱サラしたかつての同僚。建築を1から学ぶため大工に弟子入りし、学校にも通うこと6年。1級建築士の資格を得て、一人親方として独立した。
 家が寿命を迎えて解体された時、材料が土に返れる木の家を作ることに彼はこだわっている。そのため完成には手間も時間もかかるという。
 材木市場へ足を運び、納得した木材を購入し、自然乾燥させて使用する。準備した木に墨付けをし、ノコやノミ、カンナなど昔ながらの大工道具を使う。プレカットの普及にともない、最近は墨付け、刻みの仕事が少ない。これができて大工は一人前というこだわりも彼は持っている。 
 今回手がけた家も「軸組模型」を作り、刻んだ材を仮に組む「地組」をし、墨付けや刻みに齟齬のないことを確認したという。また、古民家から出た松などの古材丸太を使っている。その質感、あめ色の艶と重量感は白い新材を引きまとめる力強さがある。
 棟梁こだわりの家を見学した時のこと。玄関を入ったとき、新建材を使わない家に違和感を感じた。しかし玄関を出る時に、室内の空気の柔らかさからか、穏やかな気分になっていた。
 奥さんも元同僚。「よくここまでやってこれました」と棟の主人を見上げながら感慨深げに語る。二人の今日までを知っているだけに心からエールを送った。

  (2013.11.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

かのや第九演奏会まで…

2013-11-08 20:23:53 | アカショウビンのつぶやき


第九の本番まで一カ月を切りました。
演奏会は12月1日。
あぁ─。自信がないのに、オケ合わせ…。



地元唯一のオーケストラ、「かのやオーケストラ」の皆さんです。

指揮者の前田均先生も、がっかりなさったのでは…と反省しきりでした。

最後の追い込み部分をもう少し頑張らなくちゃ…です

「秋の夜長」

2013-11-08 19:59:43 | 岩国エッセイサロンより


2013年11月 8日 (金)

岩国市  会 員   吉岡 賢一

 夕食の終わったテーブルにゴロゴロっと大粒のクリを広げ、包丁片手に鬼皮をむき始める。持ち掛ける世間話に適当な相づちを打ちながらテレビを見ている私に「おとうさんはええねー、うまいうまいと言って食べる役割ばかりで」と言う。渋皮煮を作るクリの鬼皮むきを手伝えという催促か?
 今までやったこともない上に「渋皮に少しでも傷つけたら、もうダメなんよ」と何度も聞かされてきた。それほど難しい鬼皮むきだが「よーし俺だって」。
 孫用の小さな包丁を持ち出し、初挑戦。妻が10個むく間に3個もむいた。褒められた。

   (2013.11.08 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

「秋の駐車場で」

2013-11-08 00:38:58 | アカショウビンのつぶやき
2013年11月 7日 (木)

岩国市  会 員   山下 治子

5%引きでポイント2倍のスーパーの駐車場は、祝日と重なりどこも満杯。やっとこさ駐車すると、メモしてきた買い物を足早に済ませたが、レジも長蛇の列。やれやれと駐車場に戻り、はて、車はどこだ。
 確かこの辺り……とカートを引いて歩き回り、ようやく「あった」とキーを開けようとするのだが、なぜか開かない。秋とは思えぬ炎天下に汗が噴き出し、いら立っていると声をかけられた。
 「どうかしました?」
 「キーが開かなくて」 
 「これ、私の車ですよ。お宅のはそっちでしょ」
 怒り□調でけげんな目をされた。言われてみれば、左隣に色も型も同じ車が並んでいる。
 「おばちゃんもニンチなの?」 
 傍らの女の子の一言に、慌てて口をふさぐと「すみません、失礼言って。母がそれなもんで」とため息まじりに頭を下げられた。
 「おばあちゃん、おうち忘れちゃうの。すぐ迷子になるの」
 女の子のおしゃべりはあどけないが、介護する者の苦労はいかばかりかと「おつらいでしょうね」と言うと、女性は涙ぐまれた。
 車とおうちは違うが、女の子には同じに思えたのだろう。まだ大丈夫と我を張っても老化は否めない。先日、介護保険者証も送られてきた。
 「今日が一番若い日」と心して、人生の秋の味覚を味わっていこう。
  (2013.11.07 毎日新聞「女の気持ち」掲載)岩国エッセイサロンより転載

厳しい経営、身近に感じる

2013-11-06 23:07:24 | 岩国エッセイサロンより
2013年11月 6日 (水)

   岩国市  会 員  片山 清勝

 円安以降、ガソリン価格は高止まりしている。そんな中、行きつけのガソリンスタンド(GS )に「スタッフ給油を廃止します」という掲示が出た。給油機周りに従業員の姿はなく、元気なあいさつの声が消えた。
 アベノミクスで「デフレ脱却、経済が上向いた」といわれるが、地方に住む年金生活ではその実感が伝わるものはまだない。逆に食品を中心に日用品の値上がりに不安を感じている。
 一方、中小企業の厳しい経営状況は報道で知る。行きつけのGS で、顧客へのサービス低下、さらに顧客減につながりかねない策をとる経営者の苦悩は、はたから推し量る以上に厳しい決断だったろう。低燃費車の普及、若者の車離れなど、GS業界への追い風は見当たらない。
 サービスポイントの入力に事務所へ入った。これまでと変わらぬ気持ち良い応対にほっとして、店を後にした。

    (2013.11.06 朝日新聞「声」掲載)岩国エッセイサロンより転載

いもうと

2013-11-05 23:09:48 | はがき随筆
 「妹がほしいな。おいしい物食べてね。トイレに行かないでいれはいいんだよ」。幼稚園児の頃、よくそう言って、私がせがんだと母に聞かされた。その願いが天に通じたのか、10歳違いの妹を授かる。雛壇の前にちょこんとお座りをした器量よしの赤ちゃんは私の自慢だった。ワルガキが妹をいじめた時には、私がしっかりお灸をすえてあげたものだ。
 そんな妹に、晩年の母のことで大いに負担をかけてしまう。本当にゴメンな。私のことを「お兄い、お兄」と慕ってくれた妹も54歳。体に気をつけて、夫婦仲良くね。兄は願っています。
  霧島市 久野茂樹 2013/11/5 毎日新聞鹿児島版掲載

巨人の星

2013-11-05 22:46:03 | はがき随筆


 元巨人軍監督の川上哲治さんが亡くなった。93歳だった。52歳の私が知っているのは巨人V9監督としての川上さん。赤バットで“打撃の神様”と称された現役時代を知らないが、私と同じ熊本県人であるため、少年時代から「川上」といえば野球を連想していた。
 川上さんも太平洋戦争で召集された。沢村栄治投手ら多くの野球人が戦死し、川上さんは野球ができる幸せを語っていた。私の少年時代の人気スポ根アニメ「巨人の星」に登場する川上さんは既に監督で、主人公星飛雄馬の父一徹とはチームメートだった。
 10月24日にあったプロ野球のドラフト会議で県内からも横田慎太郎(鹿児島実業高)、二木康太(鹿児島情報高)両選手らが指名された。高校野球を担当する支局の記者も元高校球児で鹿児島に赴任以来、ドラフトに指名された選手らを追ってきた。いずれも「取材にははつらつと応じ、気持ちよかったですよ」と絶賛、プロでの活躍を楽しみにしているようだ。
 私も甲子園で活躍した球児や有名選手を見てきたが、中には取材慣れをしているのか、あるいは「勘違い」をしているのか、こちらの取材に答えず、完全に無視する者もいた。こちらが聞きたい内容は「試合を振り返って」とか「将来はどんな選手になりたいか」など一般的な質問だったのだが……。「スポーツは人間教育」だと思っている私に一部スポーツマンの態度は異様に映った。監督ら指導者はどんな教育をしているのかなと。
 指宿市であった全国高校駅伝競走大会県予選表彰式に出かけた。体育館前で、男女の選手たちが私に元気よく「こんにちは」と一礼してくれた。選手たちは私の肩書など知らない。柔道ならば「礼に始まり、礼に終わる」。懐かしい気持ちになった。それぞれ、今の気持ちを忘れずに大きな世界を目指してほしい。
 鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2013/11/4 毎日新聞鹿児島版掲載

奄美大島

2013-11-05 22:38:46 | はがき随筆
 奄美空港近くの食堂で食べた名物の鶏飯はおいしかった。
 「この米は奄美でとれたものですか」と、店主に聞くと「いえ、島外の米です」と返答された。やはりそうか、と思う。
 長島中の元同僚5人で訪ねた奄美大島の海は、青々として美しい。四、五百㍍の濃い緑の山も川もあり、本土と何一つ変わらないように見える。大島紬の資料館も見学し、紬織の苦労も知ることができた。アカショウビンにも出会えた。
 ただ、水田がなく、ざわわと鳴る砂糖キビの、昔の薩摩藩の圧政など知らない葉音が、私は何となく悲しかった。
  出水市 小村忍 2013/11/4 毎日新聞鹿児島版掲載








心温まるお手紙

2013-11-05 22:32:18 | はがき随筆
 突然の電話がかかってきた。1日おいて、大きな封筒が届いた。それは、この欄で掲載された、私の「苦悶の日々」への、励ましの手紙だった。
 「自分を頼る誰かがいる。その思いを胸に、今日も生きる」。書道の先生を思わせる。達筆で書かれたこの文が、私の胸を揺さぶる。そして、真綿に包まれたようなぬくもりを、手紙に感じた。
 肝付町の鳥取部京子さん。心温まるお手紙に、ほのぼのとするご自筆の絵に、鼓舞されました。がんたれ息子を頼る誰かのために、私は怒ることを、封印しようと思います。
  出水市 道田道範 2013/11/3 毎日新聞鹿児島版掲載