はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

秋の一日

2013-11-02 10:50:21 | はがき随筆


 「国語の秋の一日で勉強したギンモクセイが、あったよ」と子どもたちがギンモクセイをたくさん届けてくれた。 
 青々とした緑の硬い葉。薄いオレンジ色の小さな小さな4枚の花びらをつけた花。その花がたくさん集まって咲いている。「いい匂いだね」。たちまち教室が秋の香りでいっぱいになった。ありがとう。
 「ススキが咲いてたよ」「赤いモミジがあったよ」「黄色いイチョウがあったよ」。次々と届く秋の知らせがうれしい。郷里の出水の自宅の柿の木も実をいっぱいつけていることだろう。
  屋久島町 山岡淳子 2013/11/2 毎日新聞鹿児島版掲載

「ドライフルーツ」

2013-11-02 10:09:33 | 岩国エッセイサロンより

2013年11月 2日 (土)

 岩国市  会 員   片山 清勝

「よいしょ」。年配の女性が軒下につるし柿を掛けようと、脚立に上がるところに出くわす。ざるには2締め残っている。出しゃばりかと思いながら、手渡した。「どうもありがとうございました」と言いながら、なれた様子で脚立から下りる。皮むき跡の美しさに驚き秘訣を聞くと、結婚から50年以上の経験という。渋みが抜け、手作りの思いがこもったトロリとした中身、それは家族を喜ばせてきたのだろう。
 「孫が、私の作ったのはただの柿ではなく日本一のドライフルーツ、と喜んでくれます」。話すその笑顔が秋の日に染まる。

 (2013.11.02 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載