はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

菜園作れぬ福島悲し

2013-11-19 10:39:16 | 岩国エッセイサロンより
2013年11月19日 (火)

    岩国市  会 員  横山 恵子

 9月にまいた大根が、少しずつ大きくなつてきた。1㍉くらいの種が土の栄養分を吸収して成長する。自然の営みに感謝だ。
 わが家の畑で安全安心の野菜作りができることは当たり前と思っていたが、福島では、除染は終了して帰宅はできるが畑は作れないと、途方にくれている人がテレビに映し出されていた。
 その胸中を思うと言葉がない。原発事故を想定した避難訓練が今もあるが、もしものときがあればその後をどうするのか。福島では今も15万人もの人たちが、不安を抱えながら避難生活を送っておられるではないか。
 汚染水問題は解決のめどさえ立たない。核廃棄物処理場や、廃炉完了まで30〜40年かかるなど、とてもコントロールできるとは思えない。
 日本は地震国である。台風、竜巻も考えると、原発は造るべきではないと思う。ひとたび事故が起きると、自国だけの問題ではなくなる。何よりも、もう二度と住めないような土地を子どもたちに残してはならないと思う。 

    (2013.11.19 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載