kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

物言う株主

2019-01-24 06:05:53 | 日記
米国株の大幅下落で大幅安も懸念された23日の東京市場でしたが
小幅安で終わり不安は杞憂に終わったようです。東京市場の場合
前日に大きく上げ株価水準は先週末よりも低い水準でしたからあ
る程度下げへの備えが出来ていたようです。

しかしこのまま一段と上昇すると期待している投資家は現時点で
は少数派のようです。第三四半期の業績は中国経済との結びつき
の強い企業中心に急激に落ち込んでいるようです。今後本格化す
る決算発表で大幅下方修正を発表する企業が続出すると日経平均
採用銘柄の一株利益が減少し割安感が大幅に後退する懸念もまだ
捨てきれません。

現状では先回りして売り込むだけの材料は揃っていませんが一段
と上値を買い進むだけの根拠はありません。やはり業績発表を吟
味して内容を確かめたいところです。仮に1~3月期が業績の底
になり来期に明るい見通しが示されれば株価の反応もまた違って
くるでしょうがこれは現時点では楽観的な見方でしょうか。米中
貿易戦争の落としどころや中国経済が政府の刺激策で回復するか
どうかも慎重に見極める必要があります。

ただし目先の業績で買えなくても株価上昇が期待できる材料はあ
ります。オリンパスが物言う株主として米国でも実績がある投資
ファンドのバリューアクトから役員を向かい入れ社長も後退する
など経営改革に本腰で取り組むことがニュースで伝わると株価は
急騰しました。

ここまで素直に株価が反応したのはバリューアクトが米マイクロ
ソフトや英ロールス・ロイス・グループにも投資実績があり、マ
イクロソフトのクラウド戦略推進を後押ししたとされるからです。
マイクロソフトは売り切りのビジネスからクラウドを利用した課
金ビジネスに大きく舵を切り業績株価ともここ数年見違えるよう
によくなりました。マイクロソフト躍進の陰にバリューアクトか
らの助言があったという記事もあるようです。

日本企業の一部には技術水準が高く魅力的な事業を抱えている企
業も少なくありません。しかし経営に問題があり業績が伸び悩ん
でいる企業もあるようです。オリンパスの場合主力の消化器内視
鏡で世界シェアトップを握る割にはここ数年業績の伸び悩みが目
立っています。

勿論株価も2015年以降は横ばい圏で推移しています。この間日経
平均が上昇していた訳ですから株価は完全に指数に割り負けてい
ました。外資ファンドが経営に加わる形で業績が中長期的に伸び
るという期待が株価急騰の要因です。第2、第3のオリンパスが出
てくるようだと東京市場も活性化しそうです。
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荒唐無稽

2019-01-23 06:05:16 | 日記
米国株の上昇を受け上昇して始まった今週の東京市場ですが、早く
も試練を迎えたようです。週明けの取引では2万1000円乗せも期待
されましたが、高値は2万892円まででした。投資家は予想以上に
上値を追ってまでも買うことに慎重になっているようです。21日の
伸び悩みが22日の下げに繋がったようです。

そして3連休明けのNY市場が大幅に下げたために今日の東京市場の
動きが気になります。25日からは東京市場でも決算発表が本格化し
ます。既に業績下方修正した安川電機や日本電産が悪材料出尽くし
で上昇したことで市場では業績悪は織り込み済みという見方が多い
ようですが、株価水準が低かったことや米国株高の追い風も見逃せ
ません。今後米国株が軟調に推移するなどあればまた違った景色に
なるかもしれません。まだまだ波乱含みという見方は捨てきれない
と考えています。

先週次のようなニュースが配信されました。「米ブルームバーグ通
信は18日、中国が米国からの輸入額を2024年までの6年間で計1兆
ドル(約110兆円)以上増やし、同年までに貿易黒字を解消させる
案を米国側に示したと報じた。貿易不均衡の是正を求める米政権と
の対立緩和を狙うが、米政権内には大規模な輸入増の実現に懐疑的
な見方があるという。

記事通りの内容なら中国は米国から年間1700億ドル(日本円で18兆
円)ずつ輸入を積み上げなくてはなりません。18年の米国からの輸
入額は1550憶ドルでしたから如何に大規模な輸入増計画だというこ
とが分かります。しかし問題はその実行力がどこまで担保できるか
です。現状ではブルームバーグ通信が伝えたような内容は荒唐無稽
のようです。

中国の輸入品目で金額が大きな品目は鉄鉱石などの金属資源、石炭
原油、穀物です。米国から輸入を増やせるものは原油やLNGそれに
穀物が輸入金額としては大きくなります。工業製品ではやはり航空
機でしょうか。自動車は市場が低迷していることから大きな期待は
出来ません。

今回の貿易戦争でクローズアップされた半導体は米国の得意分野で
すが製造はほとんど米国以外ですから米国の赤字減らしには役立ち
ません。iPhoneだって部品や組み立てはほとんど米国以外というの
が現状なのです。こう考えてみると中国が対米黒字を本気で減少さ
せようとしたら輸出を大幅に減少させなければなりません。

しかし世界の工場として高成長してきた中国経済にとって輸出に制
限を加えるのは自分の首を自分で絞めるようなものです。米国経済
もここにきて米中貿易戦争の悪影響が表面化して悪い経済統計も目
立ってきています。

トランプ大統領も来年の再選に向けて景気失速はどうしても避けた
い問題です。米中も思惑が一致すれば何らかの合意は出来るかもし
れませんが、果たして市場が満足できるような内容になるかどうか
は分かりません。米中貿易戦争の一時休戦はあってもこの問題が長
引くというのは今や市場のコンセンサスになりつつあります。
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宿題を抱えている日本企業

2019-01-22 05:58:25 | 日記
週明け21日の東京市場は週末の米国株が大幅高だったことを好感
して寄り付きは180円程高く始まり一時は上げ幅が220円程度まで
上昇する場面もありましたが、買いは続かず10時過ぎには上げ幅
を縮めました。結局小幅高で取引を終了しました。18日に大幅高
したこともあり上値では利益確定売りもあったのかもしれません。

NYダウと日経平均は連動していますが、年明け以降両社の差は
拡大しています。2018年の値と先週末の値を比較してみました。
前者は6%しています。一方後者は半分の3%の上昇に止まってい
ます。ドル建て日経平均で見れば円建てよりも上回ってしますが
それでも日本株の戻りの鈍さは歴然です。

本当に日本株が米国株に比べて割安なら海外投資家の買いが急増
してみ不思議ではありません。しかし現実にはそうなっていませ
ん。割安イコール投資チャンスとはならないところが投資の難し
さです。日本株にも海外投資家が興味を示している銘柄も決して
少なくないでしょう。

それでも全体としては魅力に欠けるという判断なのでしょう。や
はり理由はいくつかあるでしょうが、大きいのは収益力の低さで
しょうか。収益力を測る物差しにROEがあります。ROEとは当期純
利益を自己資本で除したもので自己資本がどれだけ効率的に使わ
れているかを見るもので、これが高いほど収益力が高いことにな
ります。

ここ数年日本の経営者もROEを経営の物差しに挙げることも多く
なり事実以前に比べれば大きく改善しています。しかしそれでも
米国企業だけでなく欧州企業よりもまだまだ見劣りする水準です。

日本企業の中でもROEの高い企業はPERも高い傾向がはっきりし
ています。日本企業全体のPERが低いのはROEが低いからだとい
う結論は間違っていません。加えて企業の解散価値であるPBRが
低いのも日本企業の特徴です。

それだけ収益力が劣り成長期待が高まらないという評価が定着し
ているのかもしれません。日本企業全体が資本効率を重視した経
営をまだまだ高めないと危機が去っても株価水準が持続的に高く
なりそうもありません。

PBR1倍前後の企業経営者は自社の事業をもう一度見つめ直し利
益率の改善に真剣に取り組み必要があります。まして1倍割れの
企業は市場から落第の烙印を押されているとの認識が必要です。
市場の評価不足ではなく上場企業としてのふさわしくないという
危機感が必要です。
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懸案事項は一つ解決したが

2019-01-21 06:26:46 | 日記
このコーナーでも度々取り上げている日立ですが、英国での原発
事業からの事実上の撤退を先週発表しました。市場では会社側の
正式発表前の段階で噂が広がり正式発表までに株価は数日で15%
ほど上昇しました。

原発事業からの撤退で日立は3000憶円という決して小さくない損
失を計上しますが、事業を継続することで将来発生するかもしれ
ない巨額なリスクが取り除かれたことになります。英国での原発
事業での先行き懸念もありもともと株価は業績に比べて割安な水
準でしたから一気に割安修正に動いたのも当然なのかもしれません。

過去の負の遺産を処理した日立の決断は東芝の教訓が活かされた
のかもしれません。今期決算で原発事業の損失を一度に計上する
ために来期の純利益は急回復するかもしれません。しかし忘れて
はいけないのはまだ日立には巨額な損失に繋がる案件がもう一つ
あるということです。

それは日立が三菱重工との火力発電の合弁事業に引きついだ南ア
フリカでの火力発電案件です。この案件を巡っては重工と裁判で
係争中です。いずれ裁判での結果が出ればこの損失も処理しなけ
ればなりません。

もし日立側に不利な判決がでれば引当金では賄えず巨額な損失が
追加で出るかもしれません。重工との係争が決着しない限り市場
の評価も大きく改善するところまでいかないかもしれません。

また子会社日立化成が昨年引き越した品質偽装問題も現在の統治
体制のままでよいのかという市場からのメッセージもあるでしょ
う。上場子会社を抱えている親会社への海外投資家の視線は厳し
くなっています。企業統治が問われている昨今の状況を考えれば
収益は本体に取り込んでも経営には口を挟まないという姿が果た
してベストなことなのか。

欧米企業のように完全に資本関係を断つとか本体に吸収するとか
何らかの対策は今後必要になるかもしれません。多い時には14社
もの上場子会社を抱えていた日立ですが、現在は4社まで減少し
ています。しかしこれでも上場企業の中では多い方です。

日立が市場の評価を高めるためには何といっても影響力の高い海
外投資家の存在抜きには実現できません。海外投資家は重電分野
では時価総額重電首位の独シーメンスや米GEと比較します。海外
のライバルと比べて魅力を感じなければ日立株の購入は増えません。
日立は魅力を高めるためにさらにやるべきことがありそうです。

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噂で売って事実で買え

2019-01-18 06:33:41 | 日記
17日の東京市場に米国株高の追い風を受け寄り付きこそ100円程
度上昇して始まりましたが、すぐに伸び悩み欧州勢が加わる10時
半過ぎにはマイナス圏へと急落しました。市場関係者の高値予想
は2万800円どころという目標もありましたが、まだまだ投資家の
多くは警戒心が強く上値追いには慎重なようです。

経済紙の記事でも国内投資家による日本株に対する先高期待は現
状でも高まっていません。戻れば売りたいというのが投資家の本
音のようです。ディトレーダーのような短期筋の参加は期待出来
るとしてもこの水準では長期の現物株投資家の動きは鈍いようで
す。

少なくとも2万円を割り込み大発会の水準である1万9000円前半ま
で下げらなければ割安感からの買いはあまり期待できないかもし
れません。欧州の短期筋の買いが目立つような相場では値動きは
大きくとも持続的な上昇は期待薄です。

米国企業とは比べ物にならないくらい日本企業は中国やアジア経
済に依存しています。一例をあげるとここ数年インバウンド特需
で業績も株価も大きく居所を変えた化粧品メーカーやドラッグス
トア各社の状況を見れば明らかです。

中国関連銘柄と言われる機械や非鉄それに電機などだけでなく訪
日観光客が急増する前までのデパートやホテルなどの宿泊施設な
ど観光業全般が海外からの影響を受けるようになりました。

一時は爆買いという言葉が持てはやされた中国人観光客の一人当
たりの消費も昨年は減少に転じています。インバウンドは今後数
だけでなく中身の充実がより重視されます。永く日本に滞在して
モノだけでなくコト消費を満喫してもらう必要が以前にもまして
必要になります。

観光業を成長産業に位置付ける日本にとっては今後の課題となり
ます。米国に比べて内需が弱い日本では株式市場も米国以上の投
資効果を得るのは極めて厳しい状況です。

株式市場の優等生と言われる日本電産が連結純利益予想を従来の
12%増益予想から一転14%の減益予想に大幅下方修正しました。
昨年11月以降急激に収益が落ち込んだと説明しています。株式市
場の優等生の日本電産も米中貿易戦争の悪影響からは逃れられな
かったようです。

一方株式市場の格言で「噂で買って事実で売れ」というのがある
ように多くの人が知ってしまえば情報の価値は半減します。反対
もまた真実だとすれば「噂で売って事実で買え」もあるかもしれ
ません。悪材料が表面化すれば株価の織り込みがどこまで進んで
いるかによりますが、当面の底値を付けるケースもあるようです。

安川電機の場合はそのケースにでしたが、日本電産の場合は夏ご
ろまで株価は堅調でしたから安川電機形とまではいかないかもし
れません。永守氏の経営手腕に対する市場の期待が高くこれまで
決算で失望させる内容だったことはほとんどありませんでした。
それだけに日本電産のケースでは底入れにはしばらく時間が必要
かもしれません。

19、20日の更新はお休みします。
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