kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

懸案事項は一つ解決したが

2019-01-21 06:26:46 | 日記
このコーナーでも度々取り上げている日立ですが、英国での原発
事業からの事実上の撤退を先週発表しました。市場では会社側の
正式発表前の段階で噂が広がり正式発表までに株価は数日で15%
ほど上昇しました。

原発事業からの撤退で日立は3000憶円という決して小さくない損
失を計上しますが、事業を継続することで将来発生するかもしれ
ない巨額なリスクが取り除かれたことになります。英国での原発
事業での先行き懸念もありもともと株価は業績に比べて割安な水
準でしたから一気に割安修正に動いたのも当然なのかもしれません。

過去の負の遺産を処理した日立の決断は東芝の教訓が活かされた
のかもしれません。今期決算で原発事業の損失を一度に計上する
ために来期の純利益は急回復するかもしれません。しかし忘れて
はいけないのはまだ日立には巨額な損失に繋がる案件がもう一つ
あるということです。

それは日立が三菱重工との火力発電の合弁事業に引きついだ南ア
フリカでの火力発電案件です。この案件を巡っては重工と裁判で
係争中です。いずれ裁判での結果が出ればこの損失も処理しなけ
ればなりません。

もし日立側に不利な判決がでれば引当金では賄えず巨額な損失が
追加で出るかもしれません。重工との係争が決着しない限り市場
の評価も大きく改善するところまでいかないかもしれません。

また子会社日立化成が昨年引き越した品質偽装問題も現在の統治
体制のままでよいのかという市場からのメッセージもあるでしょ
う。上場子会社を抱えている親会社への海外投資家の視線は厳し
くなっています。企業統治が問われている昨今の状況を考えれば
収益は本体に取り込んでも経営には口を挟まないという姿が果た
してベストなことなのか。

欧米企業のように完全に資本関係を断つとか本体に吸収するとか
何らかの対策は今後必要になるかもしれません。多い時には14社
もの上場子会社を抱えていた日立ですが、現在は4社まで減少し
ています。しかしこれでも上場企業の中では多い方です。

日立が市場の評価を高めるためには何といっても影響力の高い海
外投資家の存在抜きには実現できません。海外投資家は重電分野
では時価総額重電首位の独シーメンスや米GEと比較します。海外
のライバルと比べて魅力を感じなければ日立株の購入は増えません。
日立は魅力を高めるためにさらにやるべきことがありそうです。

コメント
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