地政学リスク

円相場は株式市場にとって好ましい方向に向かっているのでしょうか。石破新総裁が誕生し
円高に大きく振れました。石破氏が掲げる金融所得課税の強化や金融緩和に消極的というこ
とが円高・株安に原因になりました。市場が先走って高市トレードで円安株高に進んだ反動
も多分にあったでしょう。

しかし新総理に就任した石破氏は金融緩和の継続と資産立国を目指した岸田路線を引き継ぐ
ということが伝わり円相場は146円台まで戻し高市トレードの水準に戻しました。どんどん
円高が進むという警戒感が後退しつつあることから日経平均は3万8000円を割れて一段安に
落ち込むという懸念は後退したのでしょうか。注目は4日発表の米雇用統計結果が気になる
ところです。

自民党の総裁そして首相になれば選挙や日本経済のことも考えて発言しなければなりません。
金利のある世界や税の公平性という観点からの金融所得課税の強化という自説を強引に直ぐに
推し進める訳にはいかないのでしょう。総選挙で敗北すれば元も子もないという現実に目を
向けなければなりません。

ダウは先週最高値を更新しました。日本株に影響の大きなナスダック指数も7月高値以来の1万
8000ポイント台を回復する場面もありました。SOX指数も戻り局面にあるようです。地政学リ
スクの高まりがここ数日の利益確定売りを誘ったのかもしれません。

円相場のボラティリティも先週から高まり連れて株式市場のボラティリティもこの1週間はかつ
て経験したことがないような高まり具合です。地政学リスクの高まりは防衛関連銘柄物色に繋が
る一方、もともと変動率の高い半導体セクターは一日おきぐらいの頻度で大きな上昇、下落を演
じています。

ホルムズ海峡封鎖という最悪の事態に発展するような緊張が高まれば相場は大きく崩れるでしょ
うが、産油国の湾岸諸国もイランもそれは自国への影響も大きく本当は望んでいないでしょう。
これまでと同じように局地的な衝突で収まるなら相場への影響は軽微で済みそうです。

それでも今は米国景気の先行きや利下げ幅、大統領選挙など不確実性の高い材料が目白押しです
から短期筋の動き次第で相場は大きく荒れます。当面は一喜一憂せずに相場の流れを見極めたい
ところです。長期積立投資をしている投資家は目先の出来事に振り回されるべきではありません。

投資家の性として株価の変動が気にならない人は少ないと思います。持ち株下落で心がザワツカ
ナイ投資家は少数でしょう、まして投資初心者は中東情勢の緊迫化や大統領選挙結果など投資を
始める以前は他人事のようなものでした。投資を始めて日本国以外の要因でこれ程まで株価が左
右されるのかという思いを痛感したでしょう。