kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

日本企業の生きる道

2018-05-30 05:48:58 | 日記
NY市場の休場もあり29日も閑散に売りなしかとみていましたが
イタリア政局の緊迫化でリスクオフのムードが一気に広がった
ようです。29日の米国株の大幅下落を予想したような動きでした。
米朝首脳会談の開催の有る無しで一喜一憂していた市場でしたが
相場を大きく動かす要因はノーマークだったイタリアやスペイン
の政治状況だったようです。市場はこの問題を織り込む過程で変
動が避けられなくなったようです。

世界初の市販クオーツ腕時計を世に送り出したセイコーが1970年
代に特許を公開したことで各時計メーカーがクオーツ時計に参入
したことで低価格が進み爆発的に普及しました。スイスを始めと
した欧米勢は機械式時計が売れなくなりクオーツショックとも呼
ばれました。

イノベーションが起き既存の産業が衰退する法則にしたがえば欧
米の機械式腕時計メーカーは消える運命になっても不思議ではあ
りませんでした。しかし機械式腕時計は1990年代に見事に復活し
ます。時間を正確に知るだけならいくら高価な機械式時計でもク
オーツ時計には太刀打ちできません。

しかし、腕時計が単に時を知る道具だけでなく宝石などと同等の
高級アクセサリーにまで進化させたことが復活の大きな要因です。
熟練の職人がコメ粒ほどの部品を一つ一つ組み上げる機械式時計
は大量生産されるクオーツ時計に比べて芸術品の領域にまで到達
したことです。

数十万円から1000万円を超える商品まで機械式高級は幅広い価格
帯を設けることによりファン層を拡大させました。またスイスや
ドイツなどは職人に対する評価が国を挙げて高いことが機械式腕
時計の市場をここまで広げました。

巨額な資本が必要で技術を簡単に模造でき国を挙げて産業を振興
している中国と同じ土俵で日本企業は戦っても勝ち目はありませ
ん。一時は日本企業が世界を席巻した太陽電池や液晶パネルも大
型投資を短期間で決断してしまう中国勢には叶いません。最近で
は自動車用リチウム電池での攻勢も激しく既にこの分野では世界
のトップランナーです。

物量作戦で来る中国勢とは違う土俵で戦うしか日本の生きる道は
ありません。インバウンド需要や越境ECで資生堂やコーセーの
高級化粧品が中国人に受け入れられているのは中国メーカーが
まねできない品質だからです。中国や東南アジアが経済成長して
国民の所得が増えればより品質の良いもの高級なものへと需要が
シフトします。日本企業の生きる道は化粧品メーカーのように
差別化できる商品を開発できるかどうかです。

投資のヒントもその辺にありそうです。化粧品メーカーや花王や
ユニ・チャームの日用品メーカーの株価がここ数年でここまで上
昇するとは思いもよりませんでした。国内市場が中心で今後人口
の減る日本ではあまり期待できないという先入観念がお宝を掘り
当てられなかった原因です。

日本人が思っている以上に海外での評価が高い商品を出している
企業を見つけることが投資の世界でも生き残る道かもしれません。
高級機械式腕時計の地位を確立したスイス勢や高付加価値の化粧
品が中国人にヒットした日本の化粧品メーカーが教えていること
が投資の世界でもヒントになりそうです。
コメント
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