kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

長引く米中通商問題

2018-05-08 04:30:00 | 日記
世の中の動きの先行きが読めない場面がこれほど頻繁に出てくるのは
余り記憶がありません。自由の国アメリカがこうも保護主義を前面に
出してくる時代が来るとは。また社会主義の中国が自由貿易の重要さ
を熱心に訴えてくるとは。あたかも米国と中国が入れ替わってしまっ
たかのようです。

歴史を紐解くと米国と日本も繊維や半導体そして自動車分野で貿易摩
擦が激化しました。それでも同盟国同士という関係もあり日本が折れ
る形で決着が計られました。米国と日本との貿易摩擦が世界を巻き込
むような事態には発展しませんでした。しかしグローバル経済が拡大
し当時とは比べられないくらい世界は相互依存の関係が深くなりまし
た。経済大国1位と2位の国がガチで衝突するようなことがあれば世界
経済にとって大きなリスクとなります。

両国の交渉が難航しそうなのは単に貿易不均衡だけが問題ではないと
ころにあります。米国にとって以前に日本とも摩擦が激化した半導体
や自動車は米国の産業の根幹です。今回も同じ構図が見えてきます。
中国が国をあげて推進している「中国製造2025」は労働集約型産業か
ら先端産業に産業構造を転換するというものです。

その中心が半導体産業です。中国は大きな対米黒字を続けていますが
半導体分野では対米赤字です。半導体産業は軍事分野の競争力の源泉
でもあり米国は中国が国策として推進していることを警戒しています。
半導体分野は経済問題でもあり軍事問題でもある訳です。それだけに
この分野で米国が簡単に妥協することは国益の面から考えられません。

中国は習氏の長期政権が視界に入ってきた一方、トランプ大統領の再
選への道はまだ見えてきません。大統領再選の第一関門の中間選挙で
苦戦も予想されています。トランプ大統領の支持母体の一つが農業分
野だとすれば中国は米国から大量輸入している大豆の輸入制限をちら
つかせ米国から譲歩を引き出す戦術は理に適っています。

習政権がトランプ大統領をあらゆる手段を使って揺さぶればトランプ
のツイッターは過激な文章で溢れるでしょう。米中の貿易摩擦が激化
すればやはり日本も無傷ではいられません。工作機械やロボットに強
みがあり自動車に次ぐ輸出品目だという事を考えれば最終的に影響は
軽微になるとしても事態が見通せない状況では積極的な買いは期待で
きません。

米中の通商問題はこれからも悲観論が高まったり楽観論に傾いたり様
々な動きを繰り返しそうです。そのたびごとに市場は揺さぶられそう
です。長期投資家が不透明感から様子見を決め込み市場はヘッジファ
ンドなどの短期筋の順張りで揺れ幅が大きくなります。下値は堅いと
しても方向感はなかなか出づらいでしょう。指数よりも個別銘柄での
一本釣りが主流になるかもしれません。
コメント
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