kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

商社は良いお手本

2018-05-09 06:16:52 | 日記
大手商社5社の決算が出そろいました。前期決算は三井物産を除く
4社が過去最高益を更新しました。今期も増益幅は縮小しますが全
社増益見通しです。株価は市場予想に届くか届かないかで明暗を
分けましたが、水準自体は高く5社すべてがリーマンショック後の
下げをほぼ取り戻しています。

高度成長期に日本経済を支えてきたメガバンクや造船・重機、電機
の一角が今もリーマンショック後の水準を下回ったままであること
を考えると勝ち組に入れても問題は無いでしょう。バブル景気以前
には総合商社はあらゆる分野でビジネスを展開していたことからラ
ーメンからミサイルまで取り扱っていると言われていました。当時
のビジネスの中核をなすのは企業と企業をつなぐ仲介業務でした。

しかしこのビジネスモデルは次第にメーカーが自前で原料調達をす
るようになり、また販売分野でも海外売り上げが拡大する過程で直
接販売網を築きあげることが主流となり次第に商社の出番は減少し
ました。1970年代から80年代には「商社冬の時代」と言われ世界で
も珍しい商社というビジネスモデルは時代遅れだということが盛ん
に言われました。

そこで商社が目指した新しいビジネスモデルは自ら資源開発に参加
するビジネスや消費者により近い川下の小売りなどを強化するビジ
ネスに手を広げることでした。それまでの利幅は少ないがリスクも
限定される仲介業務からリスクを果敢に取りリスクは高くても大き
な利益が見込める分野です。

21世紀に入り新興国の経済成長が加速し商社の資源ビジネスは大き
な利益をもたらしました。またスーパーやコンビニを食品企業を傘
下に置くことで原料調達から製品の製造、小売りまでバリューチェ
ーンを構築することに成功、利益をグループ内で享受することで安
定した利益を上げることが出来るようになりました。

住友商事は子会社に食品スーパーを持っています。ケーブルテレビ
大手のJCOMも傘下に置いています。また三菱商事や伊藤忠は大
手コンビニを出資比率を引き上げ子会社にしました。一連の動きは
川下強化の一環です。

もし商社の経営者が旧態依然としたビジネスモデルに固執していた
なら商社という業界は衰退していたかもしれません。伝統的なビジ
ネスだけを続けていて成長できる分野は一握りです。時代の変化に
順応して新しい分野を開拓しなければ多くの企業は生き残れません。

日本企業の中でも過去の成功体験から抜け出せず時代遅れのビジネ
スモデルを続けている企業がまだまだ多いのが実情です。環境の変
化に取り残されれば企業の存続さえ危うくなります。古くは戦後の
日本の花形産業だった砂糖やセメント業界が衰退の道を辿ったのが
典型的な例です。商社の好決算は変われる企業は生き延び変われな
い企業は忘れ去られるという事実を示しているようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする