『男の嫉妬』

2014-08-23 16:51:10 | 本の話
山本博文著『男の嫉妬』ちくま新書

副題が「武士道の論理と心理」となっており
いわゆる男性の嫉妬と女性の嫉妬なんて話ではありません。

山本先生は一般向けに江戸時代などの実相を
解いて下さる著書が多数ありますね。

ならば本の題も『武士の嫉妬』でよいでしょうに。


この先生、一般向けだからか、論理が粗いことが
しばしば見受けられます。
現代語訳も「そこまでは書いてないだろう」があり
どうもお考えの訴え方が一方的でキツイようです。

こんな先生の下にいたらシンドイのでは?

しかし、それはご本職の守備範囲内ですから
塾のおっさんが何かいうべきではないかもしれません。
きつい反論を頂く前に引っ込むべきかな。

ただね、この本の真ん中あたりに、江戸時代の嫉妬を
話していて急に現代に話が飛ぶのです。
これには驚いた。

江戸時代の話から急に、とある学者の大学紛争批判を引用し
学生にも「嫉妬」があった、と。

『・・そうした嫉妬の影を見る方法にはある種の
 説得力がある。
  現在でも、社会正義を実現するための内部告発に
 そうした影が見られる。』

嫉妬が本当にあるのかどうか存じませんが
微妙な話にずいぶんな断定ですね。
細かい話はありません。

それって飲み屋の話のレベルちゃうか。


本文の江戸時代の話でも強引なところがあります。

(嫉妬が影にある)と言われても・・ホント?
どうとでも言えそうな話を強引に。


現代でも「嫉妬」は使いやすいレッテル貼りです。
卑怯な使われ方も多いのではないか?

何かモノ申せば「嫉妬すんなよ」と言われます。

嫉妬は世界中に存在しますが、上記のような
使われ方は、日本的な文化のありようですね。

既存の体制に順応すべし、
自ら考えることあたわず、とね。