オハネ17(3)

2009-10-23 | 鉄道模型

台車を分解したところです。
軸受けはプレスによる別パーツを内側に貼るので厚みが大きな台車になってしまいます。
この台車用の長軸車輪はHO1067の長軸の規格通りには作れていないのが残念です。

これまでのFABのキット同梱の車輪は通電できない車輪で困っていますが、此処で使われている中途半端な長さの長軸車輪は黒ニッケルメッキによる外観も機能も文句無しの車輪です。
しかし、残念な事に一切別売りされていませんのでFAB旧製品の救済は出来ないのです。

結局、TR-47はいずれダイキャストで作る必要がありそうです。



16番鉄道模型の台車として転がりの良いモノは以下三つがあげられます。

①パブローラー車輪を使った台車(ボールベアリングですね)

②KATO製品

③軸受けメタル+先端にセラミックグリスを微少付けた「状態の良い」ピボット車輪
(IMON製品はこれです)


しかし、この①②③よりも更に桁違いによく転がるのが↑ここに紹介した森井義博さん考案の構造による台車です。
FABの旧車輪(オーストラリア製)では駄目ですが、通常の日本製9.8mm径黒ニッケル車輪では転がりすぎて撮影にも困る程であるという事を報告しておきます。

ただし、この台車は普通ではないし、組立も手間が掛かるのでプロは組立できないかも知れません。
(論理が変ですが、鉄道模型の世界は実にムズカシイのです)




通電する必要がある部分は組屋さんがマスキングして黒塗装してありますが、結果上手く通電できません。
そこで、周囲まで範囲を広げて磨き出す作業をする事になります。


磨きだした後はいさみやの黒染液を筆塗りした後、「固めたティッシュ」などで拭き取りながら磨きます。
この「黒染磨き」した表面は不随意に錆びたりしないので長期的に安心です。


通電に必要な部分が沢山ありますので全て磨きます。
なぜ通電不良を起こすのか? その原因となる部位は確認できていません。
従って、全てを磨き出す作業になって居ます。
一部作業をしないで実験すると判るはずですが、そういう事をする気分になれません。


燐青銅でしょうか
ここもマスキング範囲を越えて磨きの範囲を広げていきます。
やはり「磨き」に使うのはマッハのキサゲ刷毛です。


これらは全て磨いた後、いさみや黒染液による黒染磨きを掛けてあります。


「汚れ色」を吹くためにマスキングしています
ブレーキシューは吹き付け前に筆塗りでレッドブラウンを塗ってあります。


「汚れ色」を吹くためにお盆に載せて塗装場へ出発準備です。


「汚れ色一般」向けに用意した茶色です
IMONでシンガーフィニッシュ製品に使って居る茶色(シンガーさん直伝)はこれより少し彩度が高い茶色でした。

私流の茶色は日本の鉄道模型用塗料から作りやすい色です。
「黄かん色」と「黒」の混合が中心です。
それに「カナリヤ」や「ぶどう色2号+湘南緑色」(ブドウは赤すぎるので緑で押さえます)を加える事もあります。

ウナギのタレのようなモノで、使えば減りますので、ちょっとずつ足しています。
そうして「ほぼ同じだが同一ではない色」を維持する様に意識して居ます。

塗料缶がウナギのタレの雰囲気を出していると思います。




それぞれ吹け上がった状態です。

屋根上は昔なら違う色で汚すところですが、
今はこうして同じ汚し色を吹いています。 (両用で問題なしと判断)


雨樋上面までグレーが吹かれていましたので、わざとその部分をマスキングして汚しを吹きます。
(グレー・・・今回はただのグレーではなく、少し黄色味がかった少し暗いグレーでした)
マスキングを剥がすと現れる雨樋のグレーを見せるわけです。
(実は16番で何十回もやってきた手法です)
(本来なら雨樋外側上角に烏口でグレーのゴムを描く必要がありそうです・・・IMONで完成品を作る事が将来有ったらそうします)


マクラバネの先っちょにひとつ塗装剥がれ発生!


マッハのプライマーを塗り、先ほどとは別のガラス瓶入りの「汚し塗料」で塗ります。
この汚し塗料は「汚し用の茶」と黒の中間でリターダーシンナーで溶かれていて筆塗り用です。
蒸機などの車輪外側を塗るのにも使って居ます。
筆はもちろん西野天祥堂。


こんな風に切って固定してインレタしています。


私のインレタシートはこんな具合になっています。


ともかくようやく完成と言う事になりました。


⑪FAB製 オハネ17 162


⑫FAB製 オハネ17 170


オハネ17 162 (パネルライトを思い切り短く切られたモノ使用)


オハネ17 170 (パネルライトが少し長かった方を使って居ます)


オハネ17 170 やはりこちらの方が満遍なく光が回っています。




オハネ17(2)

2009-10-22 | 鉄道模型

半田付けが終わった室内装置
FABの旧製品にはなかった室内仕切りが新製品になって入るようになりました。

インテリアは井門の領域というわけか、組屋さんは手を付けませんので半田から始める事になります。

線路上に乗せている時は見えない窓の上の部分の仕切りは切り落として仕舞っています。
私は窓の上側の部分の室内装置に必要な仕事は、室内灯の光を満遍なく回す事だと思っています。


塗装が終わりました。
向こうに見えているのはIMONハネ椅子です。
見栄えが良くなるように「白いシーツ」を描こうとしています。


ハネ椅子の一部に白を塗ったところ。
マスキングをした後、このように下地の色が透けやすい「角」にまず白を塗ります。


その後マスキングに掛かるようにべったり筆塗りします。
白を吹き付けるのは余りぞっとしないので筆塗りです。
また、16番時代は「リキッドペーパー」修正液を使って居ましたが、最近は扱い難いけど仕上げが「より美しい」エナメルの白を塗る方向になってきています。


シーツが被さったハネ椅子。
もちろん、本当のハネ椅子ならば、座面と背もたれの間から仕切り壁の色が見えるべきなのですが、そこまで凝ったインテリアにすると負担が大きくなりすぎるのでこの程度が宜しいと考えています。




10系ハネは「ヒルネ」状態の時、寝台間仕切りを開放出来る様になっていました。

IMONのハネ内装製品はというと、当初こういう開放状態を表現していましたが、量産品では「閉」状態にしています。

FAB製品の室内仕切り板には寝台ランプが附属していますが、手間と自分の腕、仕上がりの予想と効果を勘案して省略しています。

この仕切り板は「糊代」が有り、ボンドクリアなどのゴム系で出来るだけ正確な位置に慎重に接着していきます。




オハネ17(1)

2009-10-21 | 鉄道模型
組屋さんに組んで貰って、それを仕上げるわけですがなかなか頭が痛い。

全て自分でやるのとどの位差が有るのか?・・・と悩むほどの作業です。


Hゴムがこの雰囲気で描かれてきます。


この程度まで筆で整えます。


西野天祥堂の細い筆(0号)と宝石用の10倍ルーペを使って描きます。
宝石用の10倍ルーペは模型工作に極めて便利と思います。
間もなくIMONで販売致します。

器用、不器用も模型では重要ですが、
その10倍も重要なのが見えているか見えていないかです。
宝石用ルーペで見ながらだと意外に上手く出来てしまいます。


パネルライトはIMON D-1000ですが、洗面所側に光が入らないように組まれていました。


一旦仕切りを取り外します。
給仕室の仕切りはデッキ仕切りと半田付けなので外せませんがこれは問題なしです。


取り外したパネルライトです。

組屋さんが適当に長さを切っています。
2両のオハネ17で組立時期が違うので切り落とす長さもずいぶん違いますね。

アルミテープの貼り方も、見本を渡してあるのですが見本通りに貼れていません。
タンポ印刷の上にアルミテープが掛かってしまっています。

ぴったりはまるように切り揃えられた「附属のアルミテープ」3枚を
タンポ印刷された白に被さらないように間に(気持ちよく)貼るのが「お約束」ですが、貼れていないので剥がして貼り直します。

一見貼れているようですがずれているのでは全く用をなしていません。
(タンポ印刷された部分の内側には反射鏡が有るのですから)

IMON製品を組む量産の組屋さん(社内でやれない時にお願いする会社)も、パネルライトは組めない、貼れないのです。
不器用な私でも30秒に1つずつ正確に組める極めて簡単な「組み、貼り」ですがプロには不可能なようです。
実に不思議です。


貼り直して点灯テストしてみます。

前側は、導光する必要がないのでアルミテープで塞ぎます。
通常は中央を塞ぎ、端を僅かに露出させて光を漏らす仕組みですが
洗面所を考えない長さで切られているので漏らす光の量が多くする必要があります。
そのために「中央塞ぎのテープ」の幅を狭くしておきました。

写真下側のパネルライトは根元寄り最後の9mm/9mmのアルミテープを
7mm/9mmにしてみました。
(現在のD-1000の幅の狭い方の附属アルミテープは9mm幅なので9mmが多くなってしまう)

9mm/9mmにすると、LEDの真下に隙間が出来る様になっています(現在の説明図はそうなっています)しかし、直下は光が強く、アルミテープ間隙が小さく成るように貼る必要がありました。そして其処の間隙にはタンポ印刷が成されていないのです。

D1000のマイナーチェンジを考えています。
それはアルミテープを7mm/7mmにしてタンポ印刷のテープ貼りガイド兼散光部を設けると同時に、タンポ印刷の幅や長さをあちこち変えようというモノです。

理由は、D-1000は中央部が思ったより暗かったかな・・・との反省からです。
試作のパネルライトより現在の量産のパネルライトの方が透明度が高く、試作時の想定とバランスが違うのです。

ちょっとそのモデルチェンジの実験です。

また、メンディングテープの利用方法の実験も少し意識して居ます。
さて上手く光は行き渡るでしょうか・・・




IMON D51 1 は青森転属!!

2009-10-19 | 鉄道模型


D511は転属だけ見ても

11-04 敦賀  (北陸本線) 新製配置
13-01 稲沢  (東海道本線)
24-04 大垣  (東海道本線)
25-05 上諏訪 (中央東線)
37-06 金沢  (北陸本線)
39-09 盛岡  (東北本線)
43-09 青森  (奥羽本線)
46-10 浜田  (山陰本線)
47-09 梅小路 (動態保存→その後静態保存)

と、かなり異動が多かったカマです。
配置機関区によって時代も表現する事になる機関車です。

IMONの10/20発売のD511は、コミュ二ケーションの不足から
製造サイドは「青森時代」
販売サイドは「盛岡時代」
と考えていたようで、できあがった製品は完全な青森時代のD511である事が判明致しました。
このコミュ二ケーション不足はお恥ずかしい限りです!!

盛岡時代(昭和43年9月までの奥中山越えの時代)
青森時代(昭和43年9月から昭和46年9月までの矢立峠越えの時代)の外観上の違いは

①煙室扉ハンドル
盛岡・・・標準タイプ・・・もちろん黒塗装されたモノです。
青森・・・大宮工場タイプと言われる十文字の派手なタイプを黒塗装したもの。
交換時期;不明ですが、盛岡から尻内機関区に貸し出し中の43年7月に「十文字」をつけて居る写真があるので、東北本線無煙化最末期と言えるこの時期(盛岡時代末期)に他機から譲り受けたと考えられます。

②ボイラーとランボードの隙間を覆うカバー
盛岡・・・D51の原形と言えるカバー有り
青森・・・後年のD51の普通と言えるカバー無し


ボイラーとランボードは離れています。
火の入った状態のボイラーは熱で膨張しますのでボイラーが動くからです。
ホンモノはボイラーに付いたモノは伸縮に応じてキャブの中でも前後に動けるように作られています。

「ボイラー/ランボード」カバーのない状態ではその隙間から下回りが見えます。
見え具合も梅小路などで確認できます。
カバー撤去時期;これまた不明です。

③空気作用管の形状
盛岡・・・標準、継ぎ目の箇所だけ間隔を開けられ、他は隙間無く配置。(下の写真が一つの例)
青森・・・継ぎ目も含めて全て間隔を開けて配置された極寒地仕様。(上の写真参照)作用管の変わった時期;これまた不明です。


乗工社D51重装備B D51785です。

標準的な空気作用管の表現と同時に、ボイラーとランボードの間にカバーが有る姿です。 (D51の原形は「有り」)
現在のIMONの蒸機はランボードに注力しているのが比較でよく判ります。

④テンダー上の重油タンクの両側の手摺り
盛岡・・・無し
青森・・・途中から手摺りが付きます。
実は他社製品で①=盛岡 ②=青森 ④=青森となっている上に③作用管がハンドレールの下を走っており、何処がD511なのか判らない製品があります。 「子細に拘る」のは好きではないですが、これは少し逸脱が酷すぎます。


D511は青森転属初期、テンダーに亀裂が有って長らく側線で火を落としていたそうです。
その修理が成った時から手摺りが付いたと推察しています。
このテンダー重油タンク脇の手摺りが有った方が格好佳いと私は思います。
(従って、青森時代の方が格好佳い)盛岡時代は無かったテンダー後面ハシゴ最上部の「架線注意」が青森時代には有ります。
この見本は販売サイドの指示で「盛岡」と信じて付けていませんが、「青森」を作った事が判明した以上、製品は「架線注意」付きとなります。


青森時代で区名札「盛」の恥ずかしい写真
もっともこの辺りの造作は余り変化していないかもしれません。


架線注意が付きます。(小さい方、つまり‘200mm=実物’)

架線注意は横200mm(蒸機正面ヘッドライト下に使用)と横300mm(それ以外)の2種類が使われていたようです。
(1/87ですから1/80よりやや大きめ位が見栄えの良い16番には少し小さいですが)パーツとして分売開始致します(10/20~)

0.1mm洋白板に印刷して切り抜き済みのモノですので非常に役に立つと思います。



今回痛い失敗を致しました。 恥ずかしい思いもしました。
今後もっと慎重に事を進める所存です。

IMONの蒸機を今後とも宜しくお願い致します。






EF13

2009-10-17 | 鉄道模型

待望のオハネ17の最初2両が落成しました。
これについては後日また報告致します。


組屋さんで組んで貰ったFAB製EF13です。
これはこれで上手い具合に組まれていて結構なのですが結局ウェザリングまでやる事になりました。

走りの具合が良くないので下回りをチェックしていたら、一部動輪が指で回ってしまいます。
よく見るとギヤが欠落しており、幸い箱の中に関係するパーツ4点が落ちていました。

それをきちんと組み付けて正常にする為には台車をギヤボックスから外す必要があります。
はずしたからにはウェザリングもしたくなって仕舞いました。


まあ、軽い汚しで、ボディーは綺麗なまま、屋根は少し雰囲気を出す程度にしました。


パンタグラフを外し、碍子を外し、屋根と別に吹きましたが、電関の汚しは初めてなので具合がイマイチよく判りません。
結果少し予定より汚いパンタグラフになってしまいました。
使用前/使用後の比較が出来ますね・・・
電機のパンタ関節色刺しを勉強してそれも考える必要がありそうです。


台車の汚しの方が慣れています。
まずブレーキ関係をTAMIYAのレッドブラウンで塗装しておいて、
下から7割5分、上から2割5分程度に吹いて、
最後に五反田で教わった方法を仕上げに吹いています。

FABのEF13はIMON等の電機とは極端に構造が違います。
趣味的に面白いですが、走らせたまま放っておいて酒とツマミを用意して・・・という事には向かないようです。

なにぶん旧型電機は蒸機と並んで「ファインスケール」が有り難い機種です。
線路との関係だけじゃなくなかなか宜しいたたずまいだと思います。