フルヤ金属 工場見学

2011-01-07 | 鉄道模型ではない仕事

都電荒川線大塚駅前電停

12月のある日、工場見学に行ってきました。 出発地点はフルヤ金属本社のある大塚です。


見学したのはJASDAQ上場の「フルヤ金属」のつくば工場と土浦工場です。 此処はつくば工場です。

株式会社フルヤ金属 (7826)
http://www.furuyametals.co.jp/

フルヤ金属は元々ジュエリー業界の出身です。

ジュエリー井門の主要取引先である福井屋商事の石山社長は古谷社長の長年来の友人です。 (そのご縁で私も時々ご一緒させて頂いております)

そんな事から古谷社長に久々に「事業を見せて頂く」のに同道いたしました。

フルヤ金属は日本で数少なくなった世界のトップ企業です。

「モノ作り日本」が韓国、中国にその座を明け渡しつつあるこの時代においても世界の「オンリーワン」として追随を許していません。

分野は「白金族」元素を扱うことです。

白金族は高温という環境でも化合して変化しない(内容物も変化させない)凄い素材です。
しかしそれ故に、また更に加えて融点が高く、硬く脆いから加工することが極端に難しい素材です。

プラチナ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%87%91

ルテニウム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0

イリジウム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0

フルヤ金属は早くからこれら白金族の工業利用に特化して世界の「開発」をリードしてきました。
今やデジタル時代の牽引車です。

国内外のハイテク企業はフルヤ無しでは仕事を進めていけない程の存在です。


白衣、帽子を付けて工場を見せて頂きます。


研究開発センターです。 


様々な研究機関、数多くの大学と協同開発を行っているとのこと。

ガラスの先は「クラス1000」のクリーンルームです。
(現在一番良く使われている米FED-STD-209Eによる分類、0.5μm以上の粒子数が立法フィート中1000以下を表わします)


薄膜技術の粋を見てもなかなかその意味はわかりにくいですが最先端の記録媒体に不可欠な技術です。

展示がきちんとされているのは世界中の顧客企業が頻繁に訪れているからだと思います。


工場側の「見せたいものではないもの」を撮影する変な見学者ですみません m(_ _)m

それにしても「見学者への挨拶」や清潔極まる工場内の様子に驚かされます。


こちらはクラス「10000」のクリーンルームと聞いたように思います。


高温下でも化合・変化しない白金族の性質を利用した温度計、センサー類は世界中の「先端製造業」を支えています。


こちらいかにも「工場」という情景、しかし何処まで行っても清潔そのものです。


これは金のインゴットを作っているところです!


(たぶん)これがイリジウムのるつぼです。

イリジウムは例え高温下でも金、白金が冒される薬品にも全く反応しない金属です。

そして宇宙で一番重い元素(比重は22.61、融点は2454℃)です。

こういったものを多く使うのは医薬分野や光学分野だったと思います。

一時プラスチックが主流を占めた光学レンズも小さく超高密度・大画素数の撮像素子を使うデジカメになってから恐るべき解像度を要求され、再びガラスに戻っています。

ハイレベルな光学用ガラス加工に必要なものなのだそうです。


プラチナと金が展示されて居たので撮ってしまいました。

プラチナはフルヤ金属製のインゴットです。

金属の純度を上げることはフルヤ金属の得意の分野です。


筑波山を見ながら土浦工場へ移動します。

茨城沖はたしかに地震が多いですが筑波山周辺は震源となる可能性が特別低い事から3工場のうち2カ所が此処に集中しているとの事です。


工場内で酸を使って居るので万一に備えてゴーグルを着用します。


手に持っているのは使い終わってリサイクルされるのを待つホンモノの「ルテニウムターゲット」です。

ターゲットというのは「的」です。 (当たり前ですか・・・)

高価なルテニウムを使ってハードディスク等を作る時使われる技術が「ターゲット」です。

電子を超高速でターゲットにぶつけると、ターゲットを組成しているルテニウム元素が1つ飛び出して目的物に付着する。 メッキ、蒸着より遙かに薄く表面をルテニウムで完全に覆う為にある技術がルテニウムターゲットです。

元素1個づつ剥ぎ取った結果、変な形に減ったものがこの「使用済みルテニウムターゲット」です。

厄介な元素ルテニウムは簡単に元の形に鋳直せないようです。

使用済みルテニウムターゲットや色々な廃物からルテニウムを回収する技術が確立した時世界の相場が大きく動いたことを伝えるニュースがこれです。

http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/9c4b906732e18617f89f3a37d62793ef/page/1/


日本だろうと韓国中国だろうと技術を絶対に盗まれないようにずらりと並ぶ装置はパーツ毎に複数の機械メーカーに発注して自分たちで組み立てたとのことです。

世界の最先端という事はそういう事が必要ということなのですね。


工場の完成された姿は設計済みで、現在必要な部分だけを増築拡張しながら事業を進めています。


モノ作り日本の誇りを見せて頂きました。







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